ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko3083 境界線 後編その2
最終更新:
ankoss
-
view
『境界線 後編その2』 39KB
制裁 自業自得 群れ ゲス ドスまりさ 希少種 自然界 独自設定 ナナシ作 次で完結予定
制裁 自業自得 群れ ゲス ドスまりさ 希少種 自然界 独自設定 ナナシ作 次で完結予定
*注意
- anko2997 境界線 後編その1 の続きです。
- この物語はフィクションであり、実在の人物、団体、国家とは一切関係ありません。
- 独自設定の希少種が出ます。
- 人間が犯罪行為を犯す場面が出てきます。
- いつも通り過去作品の登場人物や世界観が出ますが読んでなくても大丈夫です。
「んほおおおお!とうとう、とかいへとしんしゅつするときがきたのね!
はやくあのおうきなおうちをこーでぃねいとしたいわー!あのおうちこそが、とかいはのありすにふさわしいのよ!」
「ゆへへ!すっきりせいげんもなくなって、これからは、すっきりしほうだなのぜ!」
「みゃみゃー!れいみゅはやくおやさいさんを、おなかいっっぱいむしゃむしゃしたいよー!」
「ゆふふふ!まっててねおちびちゃん!これからはくそにんげんがひとりじめしてたおやさいを、まいにちすきなだけたべらるからね!」
「おっやさい!おっやさい!たのしみだよー!わかるよー!」
「ゆゆ!そうだね!これからは、たっくさんおちびちゃんをつくって、くそにんげんどもをどれいにして、みんなでおもうぞんぶんゆっくりしようね!
これもみんな、どすのおかげだよ!」
はやくあのおうきなおうちをこーでぃねいとしたいわー!あのおうちこそが、とかいはのありすにふさわしいのよ!」
「ゆへへ!すっきりせいげんもなくなって、これからは、すっきりしほうだなのぜ!」
「みゃみゃー!れいみゅはやくおやさいさんを、おなかいっっぱいむしゃむしゃしたいよー!」
「ゆふふふ!まっててねおちびちゃん!これからはくそにんげんがひとりじめしてたおやさいを、まいにちすきなだけたべらるからね!」
「おっやさい!おっやさい!たのしみだよー!わかるよー!」
「ゆゆ!そうだね!これからは、たっくさんおちびちゃんをつくって、くそにんげんどもをどれいにして、みんなでおもうぞんぶんゆっくりしようね!
これもみんな、どすのおかげだよ!」
ある山の山道を、ガヤガヤと騒がしく会話しながらゆっくりたちの集団が移動している。
その不快極まりない騒がしさが示すように、ゆっくりたちの集団の数はかなりの規模であった。
それもそのはずである、この集団は山を拠点としている群れの全ゆっくりが一斉に移動しているのだ。
つまりこの山に住む全てのゆっくりが集結していることになる、多いはずだ。
その不快極まりない騒がしさが示すように、ゆっくりたちの集団の数はかなりの規模であった。
それもそのはずである、この集団は山を拠点としている群れの全ゆっくりが一斉に移動しているのだ。
つまりこの山に住む全てのゆっくりが集結していることになる、多いはずだ。
そんなゆっくりたちの向かう目的地は、本来ならば立ち入り禁止区域となっている人間の領土である麓の村だ。
通常ならゆっくり一匹がそこに侵入しただけで制裁、及び駆除の対象となるような場所である。
だがしかし、山道を下るゆっくりたちの顔はそんなことまったく気にしておらず、みな一様に明るく未来への希望に満ちている。
自分たちが悪い事をしているという自覚はまったくない。
いやむしろ、これは正当なる行為だと言わんばかりの勢いである。
そう、これは当のゆっくりたちにとってはまさに、正当なる行為にのっとった正義の行進なのである!
通常ならゆっくり一匹がそこに侵入しただけで制裁、及び駆除の対象となるような場所である。
だがしかし、山道を下るゆっくりたちの顔はそんなことまったく気にしておらず、みな一様に明るく未来への希望に満ちている。
自分たちが悪い事をしているという自覚はまったくない。
いやむしろ、これは正当なる行為だと言わんばかりの勢いである。
そう、これは当のゆっくりたちにとってはまさに、正当なる行為にのっとった正義の行進なのである!
「いそぐのぜ!いそぐのぜ!」
「まりさー!まってねー!はやすぎるよー!」
「もうすでになんびきものゆっくりがおくれてるみょん!」
「わかるよー!だいぶうしろのゆっくりたちときょりがあいてしまったんだねー!」
「まりさー!まってねー!はやすぎるよー!」
「もうすでになんびきものゆっくりがおくれてるみょん!」
「わかるよー!だいぶうしろのゆっくりたちときょりがあいてしまったんだねー!」
さてそんなゆっくりたちの集団の中において、ポヨンポヨンとゆっくりにしては速い速度でいそいそと山道を先陣切って進んでいる一団があった。
群れの、えいっゆうまりさとその取り巻き集団であった。
群れの、えいっゆうまりさとその取り巻き集団であった。
「うるさいんだぜ!ついてこれないやつはおいていくのぜ!」
一団の先頭を突っ走るえいっゆうまりさは後ろからの声に叱咤で答え、まったくスピードを落とそうとしなかった。
ゆえに、このまりさたちはの一団はゆっくりの集団からは突出した形になっていた。
これは本来の予定とは大きく異なる進軍の形である。
ゆえに、このまりさたちはの一団はゆっくりの集団からは突出した形になっていた。
これは本来の予定とは大きく異なる進軍の形である。
そもそも当初は、群れのゆっくりたちはみんな一緒に固まって人間の村へと続く山道を進軍していた。
だが徐々に、えいっゆうまりさを中心としたグループが行軍速度を上げ先行しだしたのだ。
それにつられた幾つかの後続が速度を上げてしまい、今やゆっくりたちの集団は長い列のような感じで伸びきっていしまっていた。
これでは明らかに先頭と最後尾では到着に時間差が生じてしまい、大勢のゆっくりで一斉に交渉の場に現れるという、
森のけんじゃぱちゅりーのこうっどな作戦はおじゃんである。
しかし、それでもあえてこのえいっゆうまりさは行軍速度を落とすことはなかった。
だが徐々に、えいっゆうまりさを中心としたグループが行軍速度を上げ先行しだしたのだ。
それにつられた幾つかの後続が速度を上げてしまい、今やゆっくりたちの集団は長い列のような感じで伸びきっていしまっていた。
これでは明らかに先頭と最後尾では到着に時間差が生じてしまい、大勢のゆっくりで一斉に交渉の場に現れるという、
森のけんじゃぱちゅりーのこうっどな作戦はおじゃんである。
しかし、それでもあえてこのえいっゆうまりさは行軍速度を落とすことはなかった。
「ゆっへっへっへ!まりささまだって、どすみたいにくそにんげんをどげざさせてみせるのぜ!ゆへへへへ!」
集団の先頭を率いながら、薄汚い笑いを顔に貼り付けるえいっゆうまりさ。
この先行行為はえいっゆうまりさの独断であった。
この先行行為はえいっゆうまりさの独断であった。
今、この群れで一番調子に乗っているゆっくりは誰かと聞かれれば、それはぱちゅりーやドスではなくこのえいっゆうまりさであろう。
つい最近までは、群れでもただ単に声と態度がでかいだけの典型的な若い一ゆっくりにすぎなかったまりさだが、
人間の下から帰還したことがきっかけで、群れのえいっゆうと評されるまでにその地位を高めていったのだ。
おかげではじめは数匹しかいなかったまりさの取り巻きも、今では若いゆっくりを中心に群れの3分の1ほどに膨れ上がっている。
しかしまだ足りない!こんなものではこのまりさは全然満足できないのだ。
つい最近までは、群れでもただ単に声と態度がでかいだけの典型的な若い一ゆっくりにすぎなかったまりさだが、
人間の下から帰還したことがきっかけで、群れのえいっゆうと評されるまでにその地位を高めていったのだ。
おかげではじめは数匹しかいなかったまりさの取り巻きも、今では若いゆっくりを中心に群れの3分の1ほどに膨れ上がっている。
しかしまだ足りない!こんなものではこのまりさは全然満足できないのだ。
(まりささまは群れのえいっゆう!選ばれたゆっくりなのだぜぇ!いずれまりささまだってドスになるのは確定してるのぜ!
でもそれじゃ遅いのぜ、今手を打っておかないと、今いるドスにおいしいところを全部持ってかれてしまうのぜ!
だから、まりささまがドスになったときのことを考えて、今の内にまりささま専用の領地を確保しておく必要があるのぜ!
そのためには、くそ人間との交渉をまりささまだけで行って、まりささまに有利の協定をあらかじめ盛り込んでおく必要があるのぜ!)
でもそれじゃ遅いのぜ、今手を打っておかないと、今いるドスにおいしいところを全部持ってかれてしまうのぜ!
だから、まりささまがドスになったときのことを考えて、今の内にまりささま専用の領地を確保しておく必要があるのぜ!
そのためには、くそ人間との交渉をまりささまだけで行って、まりささまに有利の協定をあらかじめ盛り込んでおく必要があるのぜ!)
えいっゆうまりさの計画はこうだ。
ドスがゆっくりと進軍している間に、自分と取り巻きの一部で一気に先行して人間たちのとの交渉の場へとおもむき、
そこで人間共と、さっさと自分のプレイスを保障させるき協定を結んでしまおうというわけだ。
ドスがゆっくりと進軍している間に、自分と取り巻きの一部で一気に先行して人間たちのとの交渉の場へとおもむき、
そこで人間共と、さっさと自分のプレイスを保障させるき協定を結んでしまおうというわけだ。
そもそも今回の件の最大の功労者は自分なのだ。
毎日毎日お野菜プレイスへと抗議へ出かけ、あげく卑怯な人間の不意打ちにあって捕まり、辛い思いをした。
自分がゆっくりできなくなっていた間に、あのドスやぱちゅりーは一体何をしてくれたというのだ。
偉そうに口ばかりのぱちゅりー、自分からはほとんど何もしないで結果だけ自分の手柄にしようとするドス。
まったくとんでもないゲス連中だ、こんな奴らに群れを任せるわけにはいかない。
今こそえいっゆうである自分が立ち上がるときなのだ!
毎日毎日お野菜プレイスへと抗議へ出かけ、あげく卑怯な人間の不意打ちにあって捕まり、辛い思いをした。
自分がゆっくりできなくなっていた間に、あのドスやぱちゅりーは一体何をしてくれたというのだ。
偉そうに口ばかりのぱちゅりー、自分からはほとんど何もしないで結果だけ自分の手柄にしようとするドス。
まったくとんでもないゲス連中だ、こんな奴らに群れを任せるわけにはいかない。
今こそえいっゆうである自分が立ち上がるときなのだ!
と、そんなことを考えているうちに山道を抜け、開けた場所に出る。目的地へと到着したのだ。
えいっゆうまりさの目の前に広がるのは、お野菜が勝手に生えてくる素晴らしいゆっくりプレイス!
今日からは全て、まりささまのゆっくりプレイスだ!
辺りを見回すとプレイスの中心部にクソ人間の女が二人立っている。
昨日見た顔だった。
ちょうどいい、こいつらはまだドスでさえ土下座させてないクソ人間だ。
ドスが来る前にこいつらを土下座させて、さっさとまりささまの要求を飲ませてしまうとしよう。
えいっゆうまりさの目の前に広がるのは、お野菜が勝手に生えてくる素晴らしいゆっくりプレイス!
今日からは全て、まりささまのゆっくりプレイスだ!
辺りを見回すとプレイスの中心部にクソ人間の女が二人立っている。
昨日見た顔だった。
ちょうどいい、こいつらはまだドスでさえ土下座させてないクソ人間だ。
ドスが来る前にこいつらを土下座させて、さっさとまりささまの要求を飲ませてしまうとしよう。
「おらぁあああ!やくそくどおりまりささまが、わざわざきてやったんだぜええええ!
ずがたかいんだぜええええ!まずはどげざして、あいさつだろうがああああああ!」
ずがたかいんだぜええええ!まずはどげざして、あいさつだろうがああああああ!」
畑に到着した早々に人間たちに向かって吼えるまりさ。
それに対して二人の人間は冷めた表情だった。
それに対して二人の人間は冷めた表情だった。
「ええっと、わざわざきてくれたのはいいが、ドスはどこだ?もしかしてこないのか?」
眉をひそめながらえいっゆうまりさに訊ねる先輩。
「ゆふん!どすはあとからくるのぜぇ!
だからいまは、このまりささまとこうっしょうするのぜえ!」
「いやいや、交渉は普通双方のリーダーとやるもんだろう。
ドスがこないというのならまだしも、後から来るというなら今君と交渉する意味はまったくないだろう」
「うるさいんだぜえ!ごちゃごちゃいってないで、さっさとこのまりささまに、くそにんげんどものりょうどのはんぶんをわたす
きょうっていをむすぶんだぜえ!まりささまはむれのえいっゆうだぞおおおおおお!
はやくしないといたいめをみるんだぜええええええ!」
だからいまは、このまりささまとこうっしょうするのぜえ!」
「いやいや、交渉は普通双方のリーダーとやるもんだろう。
ドスがこないというのならまだしも、後から来るというなら今君と交渉する意味はまったくないだろう」
「うるさいんだぜえ!ごちゃごちゃいってないで、さっさとこのまりささまに、くそにんげんどものりょうどのはんぶんをわたす
きょうっていをむすぶんだぜえ!まりささまはむれのえいっゆうだぞおおおおおお!
はやくしないといたいめをみるんだぜええええええ!」
強気な態度で自身の要求を訴えるまりさ。
しかし、先輩とおねいさんはそれらの台詞からこのまりさの大体の魂胆を把握したようだ。
しかし、先輩とおねいさんはそれらの台詞からこのまりさの大体の魂胆を把握したようだ。
「ああ、なるほどね。突然一匹で現れて何事かと思ったが、
これは………つまりあれか、本当はいっぺんに来る予定だったんだけど、功を焦ったまりさが、
ドスを置いて勝手に先行してきちゃったとかそういうことか?」
「どうやらそうみたいねぇん、全員でくるなら皆で一気に来ればいいものを、わざわざ各個撃破しやすいようバラバラに来てくれるなんて、
さっすが、ゆっくりの行動はおねいさんでも想像の斜め上をいくわぁん。
これで万に一つもこいつらを取り逃がす可能性はなくなったわねん」
「私は何だか空しいよ、何のために集団で逃げ出したときのために昨日夜遅くまで柵を作る作業してたんだか、はぁ」
これは………つまりあれか、本当はいっぺんに来る予定だったんだけど、功を焦ったまりさが、
ドスを置いて勝手に先行してきちゃったとかそういうことか?」
「どうやらそうみたいねぇん、全員でくるなら皆で一気に来ればいいものを、わざわざ各個撃破しやすいようバラバラに来てくれるなんて、
さっすが、ゆっくりの行動はおねいさんでも想像の斜め上をいくわぁん。
これで万に一つもこいつらを取り逃がす可能性はなくなったわねん」
「私は何だか空しいよ、何のために集団で逃げ出したときのために昨日夜遅くまで柵を作る作業してたんだか、はぁ」
溜息をつく先輩。
と、そこへ。
と、そこへ。
「ゆゆ!やっとおいついたよ!」
「まりさぁ!はやすぎるよー!」
「みょん!でもこれでだいぶどすからは、きょりがかせげたみょん!」
「まりさぁ!はやすぎるよー!」
「みょん!でもこれでだいぶどすからは、きょりがかせげたみょん!」
先輩とおねいさんの推論を確証付けるように、次々と後続のゆっくりたちが畑に到着する。
「ゆっへっへっへ、ぞくぞくとまりささまのぶかがあつまってくるのぜぇ!
わかったらさっさとどげぶぎゃあああああああ!」
わかったらさっさとどげぶぎゃあああああああ!」
えいっゆうまりさは最後まで喋ることができなかった。
何故ならおねいさんの蹴りがその顔面にヒットして吹っ飛ばされたからだ。
何故ならおねいさんの蹴りがその顔面にヒットして吹っ飛ばされたからだ。
「さあってと、それじゃあ本命のドスが来る前に軽く準備運動といくとするわよん。
こいつら後で虐待するからできるだけ潰さないで捕まえてねん」
こいつら後で虐待するからできるだけ潰さないで捕まえてねん」
おねいさんが先輩に言う。
「何でそんなめんどくさいことを私が……」
「いいから、いいからん。
貴女だってこいつらには腹が立ってるんでしょん、さあ口じゃなくて体を動して」
「やれやれだ、こういうとにはやたら熱心なんだから」
「いいから、いいからん。
貴女だってこいつらには腹が立ってるんでしょん、さあ口じゃなくて体を動して」
「やれやれだ、こういうとにはやたら熱心なんだから」
そう愚痴りながらも、先輩はゆっくり捕獲用のネットをやってきたゆっくりの一団向かって投擲した。
「ゆああ!なにこれー!」
「わからないよー!」
「ゆうううう!ゆっくりできないいいい!」
「わからないよー!」
「ゆうううう!ゆっくりできないいいい!」
突然えいっゆうまりさがおねいさんに蹴り飛ばされたことにより、放心状態だったゆっくりたちの頭上に、
先輩が投擲した網が広がって落ち、その身動きを封じてしまう。
先輩が投擲した網が広がって落ち、その身動きを封じてしまう。
「ゆうう、なんだかゆっくりできないきがするよ!れいむはにげるよ!………ゆべがっ!」
さらに敏感に危機を察し、その場から離れようとしたゆっくりはおねいさんに容赦なく潰された。
「ゆゆ!おちびちゃん!れいむたちのゆっくりぷれいすにとうっちゃくしたよ!さあおちびちゃんいっしょに……ゆぎゃあああああああ!」
「!!みゃみゃーーー!どうちでごんなごとす……ゆっぷぎゃあああああああ!」
「!!みゃみゃーーー!どうちでごんなごとす……ゆっぷぎゃあああああああ!」
そして次々とやってくる後続のゆっくりたちも、バラバラにやってきたものは無造作に踏み潰され、
「なんなのおおおおお!このあみさんはああああああ!だしてね!いじわるしないでれいむをここからだしてねええええ!」
「んほおおおおお!こんなのぜんぜんとかいはじゃないわあああああああ!」
「いだいいいい!まりさのもっちもちのはだに、あみがくいこむうううう!」
「んほおおおおお!こんなのぜんぜんとかいはじゃないわあああああああ!」
「いだいいいい!まりさのもっちもちのはだに、あみがくいこむうううう!」
ある程度の集団で固まって来た連中は、ゆっくり捕獲用のネットによって次々にまとめて生け捕りにされていった。
「ゆっ……ぐぐぐ……いだい゛ゆっぐじできない……」
次々と潰されるか、あるいは捕獲されるゆっくりたち。
その信じられないような光景を、茫然と眺めるえいっゆうまりさ。
まりさは、おねいさんに蹴られた衝撃で全身に痛みが走り、まともな思考ができなかった。
何だこれは?いったい何が起きているというのだ?クソ人間はゆっくりに負けを認めたはずじゃ……。
その信じられないような光景を、茫然と眺めるえいっゆうまりさ。
まりさは、おねいさんに蹴られた衝撃で全身に痛みが走り、まともな思考ができなかった。
何だこれは?いったい何が起きているというのだ?クソ人間はゆっくりに負けを認めたはずじゃ……。
「ああん、あなたがあれねぇ、はじめににんげんにつかまってたっていうまりさねぇん」
「ゆぼはが!」
「ゆぼはが!」
虚脱状態だったえいっゆうまりさを突然激しい痛みが襲う。
おねいさんがえいっゆうまりさを踏みつけたのだ。
おねいさんがえいっゆうまりさを踏みつけたのだ。
「ゆがががあべぼ!つ、ぶれるううううううう!
やべろおおおおおお!まりざさまはむれのえいっゆうだぞおおおおおおお!
いだいいいいいいい!やべでええええええええ!」
やべろおおおおおお!まりざさまはむれのえいっゆうだぞおおおおおおお!
いだいいいいいいい!やべでええええええええ!」
グリグリと踏みつけられ、叫び声をあげるえいっゆうまりさ。
痛い!なんなんだこれは!何でえいっゆうであるはずのまりさまがこんな目にいいいいい!
痛い!なんなんだこれは!何でえいっゆうであるはずのまりさまがこんな目にいいいいい!
「あらあら、さっすが主犯格だけあって元気一杯ねぇ。でもそうでなくっちゃ面白くないわぁん。
それじゃあ、おねいさんは今忙しいからまたあとでねん」
それじゃあ、おねいさんは今忙しいからまたあとでねん」
そういうとおねいさんは懐から大きめのクギのような物体を取り出すと、
グサ!!
グサ!!
「ゆっがああああああああああああああああああ!」
無造作にえいっゆうまりさの腹からあんよにかけて斜めに突き刺し、地面に縫い付けた。
そうすることで苦痛を与えつつ、えいっゆうまりさの移動を封じたのだ。
そうすることで苦痛を与えつつ、えいっゆうまりさの移動を封じたのだ。
「うふ、うふふふふふふふ!」
「ゆひっいいい!」
「ゆひっいいい!」
えいっゆうまりさは恐怖した。
そのときのおねいさんの表情に。
何か……ひょとすると、自分はとんでもない勘違いをしているのではないか?いいやそんなはずは!いやしかし……。
増長しきったゲスゆすら一瞬にして戦慄させる何かがそこにはあった。
そのときのおねいさんの表情に。
何か……ひょとすると、自分はとんでもない勘違いをしているのではないか?いいやそんなはずは!いやしかし……。
増長しきったゲスゆすら一瞬にして戦慄させる何かがそこにはあった。
「それじゃあ、まりさちゃん、またあとでねん」
それだけ言うとくるりと踵を返し、相変わらず次々とやってくる群れのゆっくりたちの処理に戻るおねいさん。
「あっ、ああああ、あががががあああああ」
ジョボボボボ。
自身を貫く鋭いクギの痛みと体験したことのない未知なる恐怖に、おそろしーしーをもらしたえいっゆうまりさであった。
自身を貫く鋭いクギの痛みと体験したことのない未知なる恐怖に、おそろしーしーをもらしたえいっゆうまりさであった。
その頃山のゆっくりの群れでは。
「はぁ、はぁ、くそったれが」
荒い息を吐きながら太い木を背に寄りかかる男。
だらりと下げられた右腕からは、真っ赤な血が滴り落ちている。
女によって撃たれた傷のためであった。
だらりと下げられた右腕からは、真っ赤な血が滴り落ちている。
女によって撃たれた傷のためであった。
それはつい先ほどの出来事。
男に向かって振り返った女の手には猟銃が握られていたのだ。
驚愕と共にその存在を目に認めた男は、咄嗟に女と距離を離すために地を蹴って大きく後退した。
が、しかし間髪を入れずに猟銃から発射された弾丸は、男の右手を浅くかすめた。
右手から来る衝撃と激痛におもわず地面に転がりながらも、男は何とか大きな木の裏にへと退避することに成功した。
男に向かって振り返った女の手には猟銃が握られていたのだ。
驚愕と共にその存在を目に認めた男は、咄嗟に女と距離を離すために地を蹴って大きく後退した。
が、しかし間髪を入れずに猟銃から発射された弾丸は、男の右手を浅くかすめた。
右手から来る衝撃と激痛におもわず地面に転がりながらも、男は何とか大きな木の裏にへと退避することに成功した。
(ああ、クソ失敗した。突然銃なんか出されたから思わずビビッて後ろに下がっちまったが、
本来ならあの女に向かっていくべきだったんだ。
おかげで撃たれた上に距離まで離れて大ピンチじゃねえか!)
本来ならあの女に向かっていくべきだったんだ。
おかげで撃たれた上に距離まで離れて大ピンチじゃねえか!)
木の裏に隠れながら己の失敗を悔やむ男。
女が持っている猟銃は一発しか弾が発射できないタイプのものであった。
よって一発目を何とかしのげば後は接近戦に持ち込めるのである。
初めに撃たれた際に思い切って前進し、被弾しつつもそのまま取っ組み合いに持ち込めば十分男に勝機はあった。
だが突然の事態に動揺した男は思わず後退を選択してしまった。
結果として利き腕に被弾してしまった上に、女に弾を再装填されてしまったのだ。
今の状況は男にとって最悪の一言であった。
女が持っている猟銃は一発しか弾が発射できないタイプのものであった。
よって一発目を何とかしのげば後は接近戦に持ち込めるのである。
初めに撃たれた際に思い切って前進し、被弾しつつもそのまま取っ組み合いに持ち込めば十分男に勝機はあった。
だが突然の事態に動揺した男は思わず後退を選択してしまった。
結果として利き腕に被弾してしまった上に、女に弾を再装填されてしまったのだ。
今の状況は男にとって最悪の一言であった。
「あの、傷のほうは大丈夫ですか?」
自分が圧倒的有利な立場にいることを自覚してか、
身を隠している木の反対側から女のいたわる声が聞こえる。
身を隠している木の反対側から女のいたわる声が聞こえる。
「大丈夫なわけあるかボケェ!撃たれてんだぞ!何考えてんだテメェ!」
「それだけ大声が出せれば命に別状はなさそうですね、安心しました。
どうです?そんなところに隠れてないで、こっちに来てお話しませんか?」
「安心すんな!誰が自分を撃ったヤツの目の前にノコノコ出て行く間抜けがいるかってんだよ!
お前自分が何したかわかってるのか!流石にこれはシャレじゃすまねえぞ!」
「それだけ大声が出せれば命に別状はなさそうですね、安心しました。
どうです?そんなところに隠れてないで、こっちに来てお話しませんか?」
「安心すんな!誰が自分を撃ったヤツの目の前にノコノコ出て行く間抜けがいるかってんだよ!
お前自分が何したかわかってるのか!流石にこれはシャレじゃすまねえぞ!」
木の裏側から思わず怒鳴る男。
確かに猟銃で人を撃つなどと言う行為は最早、ゆっくりとは何の関係もなしに犯罪行為である。
もう今さら穏便にとか言ってる場合ではない。
しかし女は対して気にした風でもなく、
確かに猟銃で人を撃つなどと言う行為は最早、ゆっくりとは何の関係もなしに犯罪行為である。
もう今さら穏便にとか言ってる場合ではない。
しかし女は対して気にした風でもなく、
「ああ、ごめんなさい、しかしあなたもいけないんですよ、私を力ずくで連れ帰るなんて言うから。
だから、私も知も力ずくで抵抗させてもらいました。
おかげでめでたく犯罪者になってしまいました。
いや、私としても撃ちたくなかったんですよ、ほんとうに」
だから、私も知も力ずくで抵抗させてもらいました。
おかげでめでたく犯罪者になってしまいました。
いや、私としても撃ちたくなかったんですよ、ほんとうに」
バツが悪そうに答える。
「ふざけんな!そうまでして帰りたくない理由はなんだ!
いや、そもそもお前一体何が目的なんだよ!」
いや、そもそもお前一体何が目的なんだよ!」
叫ぶ男。
この状況を見れば女とゆっくりが手を組んでいたのはもはや明らかだった。
どこから入手したかしらないが、こんな猟銃を持っていてゆっくりに捕まってましたなんて話は誰も信じないだろうし、
第一一緒に帰ろうという男を撃つ理由がまったくない。
しかし何故女がこんな事をしているかは依然として不明なのだ。
この状況を見れば女とゆっくりが手を組んでいたのはもはや明らかだった。
どこから入手したかしらないが、こんな猟銃を持っていてゆっくりに捕まってましたなんて話は誰も信じないだろうし、
第一一緒に帰ろうという男を撃つ理由がまったくない。
しかし何故女がこんな事をしているかは依然として不明なのだ。
「んー、まあもう話してもいいでしょう、もはや私の目的の第一段階は達成されたも同然の状況ですからね。
私の目的、それはゆっくりと人間の境界線をなくし、人間の支配から解放することによって、あらゆる差別を根絶することです」
「……………はい?」
私の目的、それはゆっくりと人間の境界線をなくし、人間の支配から解放することによって、あらゆる差別を根絶することです」
「……………はい?」
女の答えにキョトンとなる男。
境界線をなくす?差別がなんだって?何言ってんだコイツ?
境界線をなくす?差別がなんだって?何言ってんだコイツ?
「あっ、あれ?わかりにくかったですか?今回は以前お会いしたときと違って、特にはぐらかしたりしてないんですが。
つまりですね、今現在の山などに生息している群れのゆっくりたちは国営機関、つまり貴方たちによって管理、支配されていますよね。
これは著しく不自然的なことです、本来この世界に住むものたちに優越などないのですから。
そしてゆっくりたちもまた人間の呪縛から逃れたがっている、だからゆっくりたちが独立できるようにと少々お力添えをしたのです」
つまりですね、今現在の山などに生息している群れのゆっくりたちは国営機関、つまり貴方たちによって管理、支配されていますよね。
これは著しく不自然的なことです、本来この世界に住むものたちに優越などないのですから。
そしてゆっくりたちもまた人間の呪縛から逃れたがっている、だからゆっくりたちが独立できるようにと少々お力添えをしたのです」
淡々と言い放つ女。
「バッ、バカかテメェはああああああああ!
ゆっくりの独立って、本気で勝てると思ってるのか!ゆっくりが!人間に!
そりゃ今回の件はお前にまんまとしてやられたよ、一時的ではあるがゆっくりに対して俺たちは退いた、それは事実だよ。
だがそれだけだ、こんなことがいつまでも続くと思ってるのか、すぐに人間は反撃を開始するぞ、いやもうすでにしているんだ。
そしたらあんな連中あっという間に駆除だ、それともあれか、お前さんがその銃でゆっくりに敵対する人間を一人づつ撃ち殺していくのか?
バカも休み休み言いやがれ!」
「ふふふふ、誰がゆっくりが人間に勝つと言いましたか?」
「なにぃ!」
「今回の騒動でゆっくりが勝つ必要などまったくないのですよ、むしろ勝ってしまってはまずいのです。
まあ、仮にゆっくりが人間に全面的な勝利を治めたとしましょうか。
しかしそれでは所詮、人間とゆっくりの支配者と被支配者が入れ替わるだけの話。これはとうてい真の平等とは言えません。
私の目的とは違う」
「お前イカレてんのかよ、さっきから話しがめちゃくちゃだ!」
「まあまあ、落ち着いてそう興奮なさらないで、怪我にさわりますよ」
ゆっくりの独立って、本気で勝てると思ってるのか!ゆっくりが!人間に!
そりゃ今回の件はお前にまんまとしてやられたよ、一時的ではあるがゆっくりに対して俺たちは退いた、それは事実だよ。
だがそれだけだ、こんなことがいつまでも続くと思ってるのか、すぐに人間は反撃を開始するぞ、いやもうすでにしているんだ。
そしたらあんな連中あっという間に駆除だ、それともあれか、お前さんがその銃でゆっくりに敵対する人間を一人づつ撃ち殺していくのか?
バカも休み休み言いやがれ!」
「ふふふふ、誰がゆっくりが人間に勝つと言いましたか?」
「なにぃ!」
「今回の騒動でゆっくりが勝つ必要などまったくないのですよ、むしろ勝ってしまってはまずいのです。
まあ、仮にゆっくりが人間に全面的な勝利を治めたとしましょうか。
しかしそれでは所詮、人間とゆっくりの支配者と被支配者が入れ替わるだけの話。これはとうてい真の平等とは言えません。
私の目的とは違う」
「お前イカレてんのかよ、さっきから話しがめちゃくちゃだ!」
「まあまあ、落ち着いてそう興奮なさらないで、怪我にさわりますよ」
女はどうどうとなだめるように言う。
「つまりですね、今回暴れてもらっているゆっくりたちの群れは捨て駒。
あ、いやこういう言い方はよくないですね。言い換えるのならそう、狼煙なのですよ」
「狼煙だぁ」
「そう、全国に数え切れないほど沢山存在するゆっくりたちのための反撃の狼煙なのです」
「………お前、まさか」
あ、いやこういう言い方はよくないですね。言い換えるのならそう、狼煙なのですよ」
「狼煙だぁ」
「そう、全国に数え切れないほど沢山存在するゆっくりたちのための反撃の狼煙なのです」
「………お前、まさか」
女のセリフから何か不吉な予感を感じる男。
「だいぶわかってきてもらえたようですね。
お察しの通り今回の件は、たとえ一時的とはいえゆっくりが人間に対して勝利し、村の領土を奪ったという既成事実を作り上げるのが目的なのです。
勝利は一度きりで十分、人間が人質に取られているとなればあなた方はうかつにゆっくりに手出しはできませんから、それぐらいは可能です。
そしてあなた方は私の予想通り交渉にやってきたゆっくりたちを無傷で返した、私の身を案じてもらってありがとうございますね。
さらに仕事に忠実なあなた方のことです、人質がいると知れば、直ちに警察や機動隊に連絡をしたことでしょう。
そこまで騒ぎが大きくなれば当然マスコミなども放っておかない。
なにせはじめてのゆっくりによる人質事件、そして人間への大規模な反抗行為。
世間のゆっくりによる関心はそれなりに高いですから、きっと大ニュースになるはずです。
そしてそのニュースを知るのは人間だけではない、全国に存在している群れや野良ゆっくりたちもこの事実を知ることになるでしょう。
彼らはきっと立ち上がり戦うことでしょう、自由のため平等のためにね」
「ふざけんな!」
お察しの通り今回の件は、たとえ一時的とはいえゆっくりが人間に対して勝利し、村の領土を奪ったという既成事実を作り上げるのが目的なのです。
勝利は一度きりで十分、人間が人質に取られているとなればあなた方はうかつにゆっくりに手出しはできませんから、それぐらいは可能です。
そしてあなた方は私の予想通り交渉にやってきたゆっくりたちを無傷で返した、私の身を案じてもらってありがとうございますね。
さらに仕事に忠実なあなた方のことです、人質がいると知れば、直ちに警察や機動隊に連絡をしたことでしょう。
そこまで騒ぎが大きくなれば当然マスコミなども放っておかない。
なにせはじめてのゆっくりによる人質事件、そして人間への大規模な反抗行為。
世間のゆっくりによる関心はそれなりに高いですから、きっと大ニュースになるはずです。
そしてそのニュースを知るのは人間だけではない、全国に存在している群れや野良ゆっくりたちもこの事実を知ることになるでしょう。
彼らはきっと立ち上がり戦うことでしょう、自由のため平等のためにね」
「ふざけんな!」
大声で女のセリフを遮る男。
「テメェはゆっくりと人間との間に戦争でも起こす気かよ!
そんなことして一体何になる、誰も得しねえよ」
そんなことして一体何になる、誰も得しねえよ」
吐き捨てるように言う男。
「何になると言われましても、私の目的はゆっくりと人間の境界線をなくし、あらゆる差別を根絶することだとはじめに言ったでしょうが」
「何で今の話からそうなる。
例え今お前が言ったことが現実に起こったとしても、それは結局人間とゆっくの間の溝を深めるだけだ。
もし戦いになれば人間とゆっくりが今以上に憎しみあうことは目に見えている。
ゆっくりが好きな人間、人間とは関わりあわないように生きているゆっくりにも否応なしに巻きこまれ、多大な被害がでる。
平等だか何だか知らないが、ゆっくりと人間との全面戦争なんて起こしても多くのものが不幸になるだけだぞ。
そして最後にはゆっくりたちの全滅だ、それぐらいちょっと考えればわかるだろうが!」
「そうでしょうか?
そもそも人間の戦争の歴史とは、即ち自由への戦いの歴史でもあるのです。
自由のための戦いならば、それはつまり避けることのできない戦いということ。
無理に押さえつけていてもいずれは限界がくるのです。
そして戦いの結果ゆっくりが滅びることになっても、それはそれで仕方ありません。
自由や平等というのは自身の行動に責任を伴うものです。
今回の件もそうですね、恐らくあの群れは人間との戦いに敗れ全駆除されることでしょう。
残念ですがそれが行動の結果というのならば仕方がない」
「そもそもそれは、テメェがそう誘導したことだろうが!」
「何で今の話からそうなる。
例え今お前が言ったことが現実に起こったとしても、それは結局人間とゆっくの間の溝を深めるだけだ。
もし戦いになれば人間とゆっくりが今以上に憎しみあうことは目に見えている。
ゆっくりが好きな人間、人間とは関わりあわないように生きているゆっくりにも否応なしに巻きこまれ、多大な被害がでる。
平等だか何だか知らないが、ゆっくりと人間との全面戦争なんて起こしても多くのものが不幸になるだけだぞ。
そして最後にはゆっくりたちの全滅だ、それぐらいちょっと考えればわかるだろうが!」
「そうでしょうか?
そもそも人間の戦争の歴史とは、即ち自由への戦いの歴史でもあるのです。
自由のための戦いならば、それはつまり避けることのできない戦いということ。
無理に押さえつけていてもいずれは限界がくるのです。
そして戦いの結果ゆっくりが滅びることになっても、それはそれで仕方ありません。
自由や平等というのは自身の行動に責任を伴うものです。
今回の件もそうですね、恐らくあの群れは人間との戦いに敗れ全駆除されることでしょう。
残念ですがそれが行動の結果というのならば仕方がない」
「そもそもそれは、テメェがそう誘導したことだろうが!」
男が反論する。
「それは心外なセリフですね。
あのゆっくりたちは、はじめから人間たちに対して領土を奪う計画を立てていました。
つまり私が何もしなくても反旗を翻したであろうことは確実なのです。
よって私はあの群れのゆっくりたちに、何も強要はしてはいないということです。
まあ、利害の一致から少々手を貸したことは否定しませんがね。
さっきの捨て駒発言は失言でしたが、私は自身の目的のためだけに彼らの意にそぐわぬことを押し付けたりはしません。
彼らのを平等に扱い、自由を尊重していますからね。何ら私の発言に矛盾はありません」
「たとえそうだとしても、お前が介入してこなけりゃこんな大事にはならなかった。
群れを全駆除なんてことしなくても、何とかなる可能性はあったんだよ」
「いつものように、あなたがたがたが秘かに暗躍して、いわゆる反乱の先導元となるゲスを処理してですか?
そうやって都合の悪いゆっくりは殺し、都合のいいゆっくりだけ生かす。
そういった差別や支配をいつまで続ける気ですか?
そんな考えが根底にあるから、人はいつまでたっても分かり合えないのですよ」
「わけのわからないことを言ってるんじゃねえ!
人とゆっくりとでは話しが違うだろうが!」
「同じ事ですよ、人は自分の気に入らない人間を同じ人間扱いせず、ゴミのように扱う。
それこそゆっくりのように扱う。
人の思い上がりを正さない限り、永久に同じ事の繰り返しです。
あなたは、ゆっくりと人間が戦争になれば双方が不幸になると言いましたね。
それはその通りでしょう。
だた、そういった戦争の結果、お互いが不幸になるというのなら、そもそもなぜこんな戦いが起きたのかを考えなければならないのです。
そして愚かな人類はやっと気づくのです、人間がゆっくりを差別しなければこんなことは起きなかったと。
そしてそれは人間でもまったく同じ事が言えるのです。
生まれた国が違うから差別する、信じている神が違うから差別する、肌の色が違うから差別する、性別が違うから差別する、
自分が気に入らないから差別する!本当はみんな分かっているくせに必死に目を逸らして知らない振りをする。
だったら!人間同士がいくら争っても気づかないなら、もうゆっくりに教えてもらうしかない。
我々の多くが下等だから、生意気だからといって差別的虐待を繰り返すゆっくりたち。
しかしそんなかれらに反逆されることで、人はまた改めて意味なく差別をすることの不毛さを学ぶのです」
あのゆっくりたちは、はじめから人間たちに対して領土を奪う計画を立てていました。
つまり私が何もしなくても反旗を翻したであろうことは確実なのです。
よって私はあの群れのゆっくりたちに、何も強要はしてはいないということです。
まあ、利害の一致から少々手を貸したことは否定しませんがね。
さっきの捨て駒発言は失言でしたが、私は自身の目的のためだけに彼らの意にそぐわぬことを押し付けたりはしません。
彼らのを平等に扱い、自由を尊重していますからね。何ら私の発言に矛盾はありません」
「たとえそうだとしても、お前が介入してこなけりゃこんな大事にはならなかった。
群れを全駆除なんてことしなくても、何とかなる可能性はあったんだよ」
「いつものように、あなたがたがたが秘かに暗躍して、いわゆる反乱の先導元となるゲスを処理してですか?
そうやって都合の悪いゆっくりは殺し、都合のいいゆっくりだけ生かす。
そういった差別や支配をいつまで続ける気ですか?
そんな考えが根底にあるから、人はいつまでたっても分かり合えないのですよ」
「わけのわからないことを言ってるんじゃねえ!
人とゆっくりとでは話しが違うだろうが!」
「同じ事ですよ、人は自分の気に入らない人間を同じ人間扱いせず、ゴミのように扱う。
それこそゆっくりのように扱う。
人の思い上がりを正さない限り、永久に同じ事の繰り返しです。
あなたは、ゆっくりと人間が戦争になれば双方が不幸になると言いましたね。
それはその通りでしょう。
だた、そういった戦争の結果、お互いが不幸になるというのなら、そもそもなぜこんな戦いが起きたのかを考えなければならないのです。
そして愚かな人類はやっと気づくのです、人間がゆっくりを差別しなければこんなことは起きなかったと。
そしてそれは人間でもまったく同じ事が言えるのです。
生まれた国が違うから差別する、信じている神が違うから差別する、肌の色が違うから差別する、性別が違うから差別する、
自分が気に入らないから差別する!本当はみんな分かっているくせに必死に目を逸らして知らない振りをする。
だったら!人間同士がいくら争っても気づかないなら、もうゆっくりに教えてもらうしかない。
我々の多くが下等だから、生意気だからといって差別的虐待を繰り返すゆっくりたち。
しかしそんなかれらに反逆されることで、人はまた改めて意味なく差別をすることの不毛さを学ぶのです」
女は滔々と語る。
「そのために沢山の罪のない人や、ゆっくりが酷い目にあってもか!」
「愚か者は何かが起きないと、反省することをしませんからね。
それに革新には犠牲はつきものですよ、何も失わずに何かを得ることはできない。
ゆっくりも人間もそれは同じ事です。
しかしこの試練を乗り越えることができれば、人類は新たなるステージに進むことができるのです」
「世迷いごとだ、そんなお前の思い通りに行くわけないだろう、世の中を舐めるな」
「やれやれ、あなた方のような人間は、理屈で負けると二言目にはすぐそれですね。
大人になれ、世間が黙ってないぞ、世の中そんなに甘くない、ですか。
確かに私の試みが絶対に成功する保証などどこにもない。
しかし、どうせそんなと諦めて、何もしないのはもっと悪いことなのです。
行動しなければ、一歩を踏み出さなければ結局いつまでも何も変わらない。
不満のある現状を、しかたないさと無理やり納得し、世間の理不尽さに耐え、
貝のように口を閉ざして生きていき、そして最後にはそういう「世間の厳しさ」を知ったつもりになった自分に満足する。
冗談じゃない!私はそんなのはゴメンです!何もやらずに生きた屍になるくらいなら、世界を変えるために何かやって死にたい。
その覚悟が私にはある!」
「…………ふぅ、わかったよ」
「愚か者は何かが起きないと、反省することをしませんからね。
それに革新には犠牲はつきものですよ、何も失わずに何かを得ることはできない。
ゆっくりも人間もそれは同じ事です。
しかしこの試練を乗り越えることができれば、人類は新たなるステージに進むことができるのです」
「世迷いごとだ、そんなお前の思い通りに行くわけないだろう、世の中を舐めるな」
「やれやれ、あなた方のような人間は、理屈で負けると二言目にはすぐそれですね。
大人になれ、世間が黙ってないぞ、世の中そんなに甘くない、ですか。
確かに私の試みが絶対に成功する保証などどこにもない。
しかし、どうせそんなと諦めて、何もしないのはもっと悪いことなのです。
行動しなければ、一歩を踏み出さなければ結局いつまでも何も変わらない。
不満のある現状を、しかたないさと無理やり納得し、世間の理不尽さに耐え、
貝のように口を閉ざして生きていき、そして最後にはそういう「世間の厳しさ」を知ったつもりになった自分に満足する。
冗談じゃない!私はそんなのはゴメンです!何もやらずに生きた屍になるくらいなら、世界を変えるために何かやって死にたい。
その覚悟が私にはある!」
「…………ふぅ、わかったよ」
男は溜息混じりに言った。
「ご理解いただけましたか」
「ああ、わかったぜ。
テメェがどうしようもねぇ大馬鹿野郎だってことがなああああああああ!」
「ああ、わかったぜ。
テメェがどうしようもねぇ大馬鹿野郎だってことがなああああああああ!」
男は叫んだ。
「試練を乗り越える?新たなるステージに進むだぁ?中二病患者かってんだよテメェは!
バーカ!バーカ!そんなことしたって、世界は何もかわりゃしねえよ!」
「………………」
「もしお前が本当に何かを変えたいと本気で思うのなら、こんなアホな方法じゃなくて政治家にでも何でもなって、
それから地道に変えていけばいいんだよ!
インテリは目に見える結果を求めて、すぐ過激なことをやる出す!革命だとか何とかいってな!
だがなぁ、自分の行動一つで歴史を早めたり、遅くしたりできると考えるのは思い上がりだってんだよ。
簡単には変われないんだ、人も、ゆっくりだって」
「よくわかっているじゃないですか、そう人は簡単には変われない。
だからこそ私はゆっくりたちに……」
「違うね!」
「!?」
バーカ!バーカ!そんなことしたって、世界は何もかわりゃしねえよ!」
「………………」
「もしお前が本当に何かを変えたいと本気で思うのなら、こんなアホな方法じゃなくて政治家にでも何でもなって、
それから地道に変えていけばいいんだよ!
インテリは目に見える結果を求めて、すぐ過激なことをやる出す!革命だとか何とかいってな!
だがなぁ、自分の行動一つで歴史を早めたり、遅くしたりできると考えるのは思い上がりだってんだよ。
簡単には変われないんだ、人も、ゆっくりだって」
「よくわかっているじゃないですか、そう人は簡単には変われない。
だからこそ私はゆっくりたちに……」
「違うね!」
「!?」
何か言おうとした女を男が遮る。
「人間の問題はどこまで言っても人間の問題なんだよ、ゆっくりは関係ねえ。
お前が言うように差別を生み出したのは人間だ。
だからどんなに困難でも時間がかかっても、それは人間自身の手で解決しなきゃいけない問題なんだよ。
だが、お前は本来なら人間が自身で解決しなきゃいけない問題を見限って、ゆっくりに逃げたんだよ。
人間同士の困難にぶち当たるのが嫌で、早々にゆっくりに逃げてきたんだ。
そんなザマで世界をどうこうしようと思ってるとは笑わせるぜ」
お前が言うように差別を生み出したのは人間だ。
だからどんなに困難でも時間がかかっても、それは人間自身の手で解決しなきゃいけない問題なんだよ。
だが、お前は本来なら人間が自身で解決しなきゃいけない問題を見限って、ゆっくりに逃げたんだよ。
人間同士の困難にぶち当たるのが嫌で、早々にゆっくりに逃げてきたんだ。
そんなザマで世界をどうこうしようと思ってるとは笑わせるぜ」
そう男は真っ向から女の考えを否定した。
だが、
だが、
「………言いたいことはそれだけですか」
女はまったく動じることはなかった。
「あなたは物事のスケールが小さいのですよ。
人間の問題は人間のみで解決すべきとあなたはおっしゃいますが、
今人間は好むと好まざると、この世界の支配種と化してしまっています。
その人間の問題となれば、それは即ち全世界の生命の問題でもあるということです。
ゆっくりや他の生き物がこの問題に関わってくるのは自然な成り行きなのです、そしてそれが結果的に双方のためになる」
「それが傲慢だって言うんだよ」
「ふむ、見解の相違ですね。
どうやらまだ私たちが分かり合うのは無理なようです。
では申し訳ありませんが、貴方にはもうしばらくこの場に留まってもらいます。
ゆっくりたちが一時的に勝利を治める為に、今日一日ぐらいは私は人質としてこの山にいなければならないので。
今貴方にこの山を下りられるわけにはいきません、実は私が人質ではないということが露顕してしまいますからね」
「断ると言ったら?」
「そのときは仕方ありませんね、全力で阻止させてもらいます」
「つまり撃ち殺すってことね」
「大人しくここにいれば、何もしませんよ。さっきも言いましたがなるべくなら撃ちたくないんです」
「やれやれだ」
人間の問題は人間のみで解決すべきとあなたはおっしゃいますが、
今人間は好むと好まざると、この世界の支配種と化してしまっています。
その人間の問題となれば、それは即ち全世界の生命の問題でもあるということです。
ゆっくりや他の生き物がこの問題に関わってくるのは自然な成り行きなのです、そしてそれが結果的に双方のためになる」
「それが傲慢だって言うんだよ」
「ふむ、見解の相違ですね。
どうやらまだ私たちが分かり合うのは無理なようです。
では申し訳ありませんが、貴方にはもうしばらくこの場に留まってもらいます。
ゆっくりたちが一時的に勝利を治める為に、今日一日ぐらいは私は人質としてこの山にいなければならないので。
今貴方にこの山を下りられるわけにはいきません、実は私が人質ではないということが露顕してしまいますからね」
「断ると言ったら?」
「そのときは仕方ありませんね、全力で阻止させてもらいます」
「つまり撃ち殺すってことね」
「大人しくここにいれば、何もしませんよ。さっきも言いましたがなるべくなら撃ちたくないんです」
「やれやれだ」
男は溜息をつく。
結局議論は物別れに終わったのだ。
しかし男にとって今の話はかなり有意義なものだった。
何故ならば今まで不明だった女の目的を正確に知ることができたからだ。
結局議論は物別れに終わったのだ。
しかし男にとって今の話はかなり有意義なものだった。
何故ならば今まで不明だった女の目的を正確に知ることができたからだ。
(さて、どうしたものかな)
話すことがなくなり、これからの行動を思案する男。
この場合一番無難で賢い選択は、彼女の要求に従い大人しくこの場にとどまることだった。
何故ならば、実のところ男は彼女のとの勝負にはもう既に『勝っている』からだ
この場合一番無難で賢い選択は、彼女の要求に従い大人しくこの場にとどまることだった。
何故ならば、実のところ男は彼女のとの勝負にはもう既に『勝っている』からだ
先ほどの話で、今回の女の企みの根幹は、ゆっくりたちの騒動を大々的に外部へと知らしめることにあるということがわかった。
そのために女は、わざわざゆっくりたちに捕まった振りまでして人質事件をでっち上げたりしたのだ。
そして女はゆっくりたちが交渉の場から無傷で帰還したことにより、自らが人質としての機能を十全にはたしていると確信し、
男たちがとっくに警察や機動隊に連絡していると勘違いしている。
だからこそ自分の目的はもうほとんど成功したようなものだと男に語ったのだ。
実際には男たちが警察には連絡していないのにも関わらずだ。
そのために女は、わざわざゆっくりたちに捕まった振りまでして人質事件をでっち上げたりしたのだ。
そして女はゆっくりたちが交渉の場から無傷で帰還したことにより、自らが人質としての機能を十全にはたしていると確信し、
男たちがとっくに警察や機動隊に連絡していると勘違いしている。
だからこそ自分の目的はもうほとんど成功したようなものだと男に語ったのだ。
実際には男たちが警察には連絡していないのにも関わらずだ。
だが女がこう判断したとしても無理ないことだ。
人質事件が起こっているのにも関わらず、まさか男たちが警察関係に連絡を入れないとは常識では考えられないし、
女が人質として身を隠すために昨日からずっと山にこもったままで、麓の村の情報がまったく入手できない状況なのも大きい。
人質事件が起こっているのにも関わらず、まさか男たちが警察関係に連絡を入れないとは常識では考えられないし、
女が人質として身を隠すために昨日からずっと山にこもったままで、麓の村の情報がまったく入手できない状況なのも大きい。
そんなわけで結果論的にだが、男たちのとったムチャな行動によって、既にこの事件を世界に発信するという彼女の計画は完全に失敗している。
つまり、女が気づいていないだけで男は勝負には既に『勝って』いるのだ。
そして無論そのことは男は既に気づいている。
その上で男は考えるのだ。
つまり、女が気づいていないだけで男は勝負には既に『勝って』いるのだ。
そして無論そのことは男は既に気づいている。
その上で男は考えるのだ。
(大人の判断をするのなら、このまま大人しく待ってるのが一番か……。
腕は痛むが、かすっただけで骨に異常はなさそうだし出血も止まった、大事ないだろう。
それに彼女がオレを殺したくないってのは多分本音だろうしな。
今頃は先輩たちが、交渉の場にやってきたゆっくりたちを全駆除しているところだろうし、
変にコイツの相手をせずに大人しくやり過ごしちまえば、身の安全は保障されたまま自動的に事態を解決できるってわけだ。
だが…………)
腕は痛むが、かすっただけで骨に異常はなさそうだし出血も止まった、大事ないだろう。
それに彼女がオレを殺したくないってのは多分本音だろうしな。
今頃は先輩たちが、交渉の場にやってきたゆっくりたちを全駆除しているところだろうし、
変にコイツの相手をせずに大人しくやり過ごしちまえば、身の安全は保障されたまま自動的に事態を解決できるってわけだ。
だが…………)
これでいいのだろうか?と男は自問する。
確かにこのまましばらく待てば、なるほどこの女は男に危害を加えることなく山を下りるだろう。
そして、恐らくは先輩達によって皆殺しにされてたゆっくりと、まるで騒ぎになっていない麓の村の様子を見て、
自身の企みが失敗したことを知ることになるだろう。
確かにこのまましばらく待てば、なるほどこの女は男に危害を加えることなく山を下りるだろう。
そして、恐らくは先輩達によって皆殺しにされてたゆっくりと、まるで騒ぎになっていない麓の村の様子を見て、
自身の企みが失敗したことを知ることになるだろう。
しかしその後女はどうするだろうか?大人しく警察に自首する?それとも失敗の腹いせにオレや先輩達に復讐する?
……いいや、違う。彼女はそんなことはしない、彼女はこんなことでは決して諦めない。
……いいや、違う。彼女はそんなことはしない、彼女はこんなことでは決して諦めない。
今回の件で、女は男を銃で撃つというあからさまな犯罪行為を犯している。
そしてそのことで捕まることは、本人も覚悟の上での行動だろう。
しかしそれはあくまで自身の計画の成功を見届けてからの話なのだ。
そしてそのことで捕まることは、本人も覚悟の上での行動だろう。
しかしそれはあくまで自身の計画の成功を見届けてからの話なのだ。
女が山を下りた後、計画が失敗していることを悟れば、彼女は大人しく捕まるようなことはせず、
きっとどこかへと身を隠し、機会を待ち、また同じようなことをするだろう。
それこそ成功するまで何度でもだ。
迷惑極まりないが、この女にはそれだけの信念と覚悟がある。
男は先ほどの会話からそのことをよく理解していた。
きっとどこかへと身を隠し、機会を待ち、また同じようなことをするだろう。
それこそ成功するまで何度でもだ。
迷惑極まりないが、この女にはそれだけの信念と覚悟がある。
男は先ほどの会話からそのことをよく理解していた。
つまるところ、男は確かに今回の彼女との試合には勝った。
が、しかしながら根本的な勝負にはまだ勝利していないということなのだ。
が、しかしながら根本的な勝負にはまだ勝利していないということなのだ。
「ああ、なるほどね」
(つまりオレはコイツをここで)
「逃がしちゃいけないってわけか。あーめんどくせぇ」
男はフッと自嘲気味に笑うと、どっこらしょっと、言いながら立ち上がり、
盾にしていた木の裏側からゆっくりと女の前に姿をあらわした。
盾にしていた木の裏側からゆっくりと女の前に姿をあらわした。
「!?」
男の突然の行動に慌てて銃を男に向かって構え直す女。
「急にどうしました?もうあなたとは話すことはないはずですが?」
「そうだな、確かにもう話すことはない。お互いに言いたいことを言い終えて、なおかつ和解できなかったんだからな。
つまり後はもう、直接やり合うしか道はないわけだ」
「そうだな、確かにもう話すことはない。お互いに言いたいことを言い終えて、なおかつ和解できなかったんだからな。
つまり後はもう、直接やり合うしか道はないわけだ」
さも当然のことのように男が言う。
しかし、女は困惑気味だった。
しかし、女は困惑気味だった。
「なっ、何を言っているのです!
あなた今のご自分の立場をわかっているのですか!
目の前に銃を突きつけられているのですよ!
今度は怪我じゃすみません、命さえ落とすかもしれないのですよ!」
あなた今のご自分の立場をわかっているのですか!
目の前に銃を突きつけられているのですよ!
今度は怪我じゃすみません、命さえ落とすかもしれないのですよ!」
銃を男に向かって構えながら女が凄む。
女の戸惑いは当然だった。
通常ならこんな男にとって絶対的不利な条件で、直接やり合うなど正気の沙汰ではない。
しかし男はどこ吹く風だ。
女の戸惑いは当然だった。
通常ならこんな男にとって絶対的不利な条件で、直接やり合うなど正気の沙汰ではない。
しかし男はどこ吹く風だ。
「そりゃオレだって、できればやり合いたくないよ、実際危険だしね。
でもさ、仕方ないんだよ。お前をここから逃がすわけにはいかない。
今ここで決着をつける必要があるのさ」
「さっぱり意味がわかりませんね。
先ほども言いましたが、もう私の計画は半ば成功したようなもの。
ここであなたが死のリスクを背負ってまで私と争う理由はないはずです。
このままじっとしていれば、私があなたに危害を加えないというのが信用できませんか?
それともひょっとして、自分が利用されたことに対する腹いせか何かですか?
だったらやめておきなさい、そんなことで命を無駄にするのはあまりにも馬鹿らしい」
「いや別に腹いせなんかじゃねーよ、お前のことはムカツクけどな。
そんなんじゃなくてさ、つまりこれがオレの仕事なんだよ。
ゆっくりに対するゴタゴタやトラブルを解決するってことがさ。
今回はたまたまその相手がゆっくりじゃなくて、人間だったってだけの話なわけだ」
「フッ、なるほど、見上げたプロ根性ですね。
いいでしょう。そこまで言うのならばお相手します。
正直私にとっては何の意味もない戦いなので、気は進みませんけどね」
でもさ、仕方ないんだよ。お前をここから逃がすわけにはいかない。
今ここで決着をつける必要があるのさ」
「さっぱり意味がわかりませんね。
先ほども言いましたが、もう私の計画は半ば成功したようなもの。
ここであなたが死のリスクを背負ってまで私と争う理由はないはずです。
このままじっとしていれば、私があなたに危害を加えないというのが信用できませんか?
それともひょっとして、自分が利用されたことに対する腹いせか何かですか?
だったらやめておきなさい、そんなことで命を無駄にするのはあまりにも馬鹿らしい」
「いや別に腹いせなんかじゃねーよ、お前のことはムカツクけどな。
そんなんじゃなくてさ、つまりこれがオレの仕事なんだよ。
ゆっくりに対するゴタゴタやトラブルを解決するってことがさ。
今回はたまたまその相手がゆっくりじゃなくて、人間だったってだけの話なわけだ」
「フッ、なるほど、見上げたプロ根性ですね。
いいでしょう。そこまで言うのならばお相手します。
正直私にとっては何の意味もない戦いなので、気は進みませんけどね」
女は渋々といった様子で銃の引き金に指をかける。
いつでも発射できる態勢だ。
男が女に向かって動き出せば、ためらなく引き金を引くことだろう。
しかし男は慌てず騒がず、何気ない調子で女に話しかける。
いつでも発射できる態勢だ。
男が女に向かって動き出せば、ためらなく引き金を引くことだろう。
しかし男は慌てず騒がず、何気ない調子で女に話しかける。
「あーそうそう、やり合う前にさ、一つ言っとくことがあったわ」
「なんです?遺言ですか?」
「なんです?遺言ですか?」
女は油断なく男を見据えながら訊ねる。
「ああ、いや別に大したことじゃないんだ。
ただお前さんがちょっと勘違いしているみたいだから、訂正させてもらおうかと思ってね。
あのさ、お前さんはオレたちが警察その他に連絡して、今頃麓の村では大騒ぎになってると思ってるみたいだけどさ、
実はオレ警察関係には一切連絡を入れてないんだわ。ゴメンね」
「なっ!」
ただお前さんがちょっと勘違いしているみたいだから、訂正させてもらおうかと思ってね。
あのさ、お前さんはオレたちが警察その他に連絡して、今頃麓の村では大騒ぎになってると思ってるみたいだけどさ、
実はオレ警察関係には一切連絡を入れてないんだわ。ゴメンね」
「なっ!」
女は男からもたらされた驚愕の情報に目を見開く。
「そっ、そんなバカな!ハッタリです!
そんな嘘で私を動揺させようなどと……」
「嘘じゃないさ、そもそもおかしいとは思わないのか?」
「何がです!」
「オレが一人でここにお前を迎えにきたことがだよ。
もしオレが警察機関に連絡していたとしたら、事件の主導権はあっちに移るはずだ。
なんたって、人質事件なんだからな。
一介のゆっくり専門機関職員のオレの出る幕なんてあるわけないだろう?」
「ぐっ……それは…そうですが…」
そんな嘘で私を動揺させようなどと……」
「嘘じゃないさ、そもそもおかしいとは思わないのか?」
「何がです!」
「オレが一人でここにお前を迎えにきたことがだよ。
もしオレが警察機関に連絡していたとしたら、事件の主導権はあっちに移るはずだ。
なんたって、人質事件なんだからな。
一介のゆっくり専門機関職員のオレの出る幕なんてあるわけないだろう?」
「ぐっ……それは…そうですが…」
唇をかみ締め、男を見据える女。
今まで何が起きても冷静な態度を崩さなかった女が、ここに来て初めて動揺を見せていた。
今まで何が起きても冷静な態度を崩さなかった女が、ここに来て初めて動揺を見せていた。
「くっ、なんてこと……」
(いえ……落ち着くのです。
こんなのはブラフに決まっています。
嘘の情報で私の戦意を奪い、あわよくば捕らえるという作戦でしょう。
さっき話したときの反応からして、彼が私の計画を事前に予想していたは考えにくい。
そして増長したゆっくりたちが無傷で帰ってきたことから、人質の効果は確かにあったと思っていい。
となれば彼が、警察に連絡しないという選択肢を取る理由がないではないですか。
そう!そんな行動は明らかに矛盾しいます、警察に連絡をしていないはずがない!
いや…だがしかし、それでは彼が言うように、単独でこの場に現れたということの説明がつかない。
もしかして自分の失態の責任を取るための独断行動ということでしょうか?
そうだ!そうに違いありません。それならばこんな無茶な戦いを仕掛けようとしていることにも説明がつきます。
いや、でも、もしかしたら………)
(いえ……落ち着くのです。
こんなのはブラフに決まっています。
嘘の情報で私の戦意を奪い、あわよくば捕らえるという作戦でしょう。
さっき話したときの反応からして、彼が私の計画を事前に予想していたは考えにくい。
そして増長したゆっくりたちが無傷で帰ってきたことから、人質の効果は確かにあったと思っていい。
となれば彼が、警察に連絡しないという選択肢を取る理由がないではないですか。
そう!そんな行動は明らかに矛盾しいます、警察に連絡をしていないはずがない!
いや…だがしかし、それでは彼が言うように、単独でこの場に現れたということの説明がつかない。
もしかして自分の失態の責任を取るための独断行動ということでしょうか?
そうだ!そうに違いありません。それならばこんな無茶な戦いを仕掛けようとしていることにも説明がつきます。
いや、でも、もしかしたら………)
疑心暗鬼に陥り、答えの出ない思考を続ける女。
相変わらず銃は男に向けられたままだが、今まで一分の隙もなかった状態から、
若干ではあるが女の注意が散漫になっていた。
相変わらず銃は男に向けられたままだが、今まで一分の隙もなかった状態から、
若干ではあるが女の注意が散漫になっていた。
「…………………」
(よーし、いい感じに迷ってるな。
自分の作戦の根幹に関わる情報だからな、考えまいとしてもどうしても気にせざるを得ないだろう。
やる気も自信も満々の相手にガチンコしかけるのはゴメンだからね。
せいぜい動揺してスキを晒してもらうぜ。
あとは、地面に落ちてる砂でもぶん投げて目潰しとかだな。
それで何とか接近戦に持ち込んで、それからは運にまかせるとするか)
(よーし、いい感じに迷ってるな。
自分の作戦の根幹に関わる情報だからな、考えまいとしてもどうしても気にせざるを得ないだろう。
やる気も自信も満々の相手にガチンコしかけるのはゴメンだからね。
せいぜい動揺してスキを晒してもらうぜ。
あとは、地面に落ちてる砂でもぶん投げて目潰しとかだな。
それで何とか接近戦に持ち込んで、それからは運にまかせるとするか)
女の動揺を認め、自身の企みの成功を確信する男。
彼女が構えている銃にこめられている弾丸は一発。
つまりこの勝負は、男が女に接近するまでに弾丸を当てれば女の勝ち。
逆に男が弾丸をスカすか、接近して取っ組み合いに持ち込めれば男の勝ちである。
男としてはいかに女の注意を逸らすかにかに尽力する必要がある。
だからこそ、あえてあの話をしたのだ。
そして男がした話は全て真実である。
よって真実ゆえの説得力があり、女はそのことに思考を割かざるを得ないのだ。
彼女が構えている銃にこめられている弾丸は一発。
つまりこの勝負は、男が女に接近するまでに弾丸を当てれば女の勝ち。
逆に男が弾丸をスカすか、接近して取っ組み合いに持ち込めれば男の勝ちである。
男としてはいかに女の注意を逸らすかにかに尽力する必要がある。
だからこそ、あえてあの話をしたのだ。
そして男がした話は全て真実である。
よって真実ゆえの説得力があり、女はそのことに思考を割かざるを得ないのだ。
「………………」
(さて、行くかな)
(さて、行くかな)
いよいよ特攻を仕掛ける覚悟を決める男。
あまり時間をかけて女が冷静さを取り戻してもいけない。
やるのならば今をおいてほかはなかった。
あまり時間をかけて女が冷静さを取り戻してもいけない。
やるのならば今をおいてほかはなかった。
睨みあう両者。
互いにスキをうかがいあい、相手のこと以外はまったく目に入らない。
周囲には緊張が走り、物音一つしない。
勝負は一瞬で決まることだろう。
と、次の瞬間!
ありえない事態が起こった。
互いにスキをうかがいあい、相手のこと以外はまったく目に入らない。
周囲には緊張が走り、物音一つしない。
勝負は一瞬で決まることだろう。
と、次の瞬間!
ありえない事態が起こった。
「ちょっと待ってね!」
「「!?」」
「「!?」」
緊迫した両者にとって、完全に予想外の声がかけられる。
「ゆふふふふふふ!その勝負、ドスも加えさせてもらうよ!」
いつの間にその場に現れたのだろうか?
何と二人に声をかけたのはドスまりさだった。
その声、その身体、その表情。
正真正銘あの群れのドスと同一のものであった。
何と二人に声をかけたのはドスまりさだった。
その声、その身体、その表情。
正真正銘あの群れのドスと同一のものであった。
「これは……驚きましたね。
ドス、あなたは人間たちのところへ行ったのではなかったのですか?
麓の村の様子は?人間たちの抵抗はどんな感じでしたか?」
ドス、あなたは人間たちのところへ行ったのではなかったのですか?
麓の村の様子は?人間たちの抵抗はどんな感じでしたか?」
突然の闖入者であるドスに矢次に質問を浴びせる女。
女にとってこの場に突然ドスが現れたということは、まさに僥倖であったのだ。
何故ならドスから麓の村の人間たちの様子を聞くことで、現在の自分の作戦の状況を正確に把握できるからだ。
いやそもそも、ドスがこの場に無傷で現れたということは、人間がゆっくりに対して無抵抗だったということ。
それは即ち作戦の成功を意味しているのでは?
女にとってこの場に突然ドスが現れたということは、まさに僥倖であったのだ。
何故ならドスから麓の村の人間たちの様子を聞くことで、現在の自分の作戦の状況を正確に把握できるからだ。
いやそもそも、ドスがこの場に無傷で現れたということは、人間がゆっくりに対して無抵抗だったということ。
それは即ち作戦の成功を意味しているのでは?
しかし、ドスからの返答は女の期待したものではなかった。
「ゆゆ!ドスはおねいさんのことが気になってね、途中から引き返してきたんだよ!偉いでしょう!」
ドスは得意げに女に言い放つ。
「………そうですか。それは……嬉しいような残念なような……」
期待していた答えが得られず、若干拍子抜けする女。
ドスが途中で引き返してきて人間たちと遭遇していないのなら、状況を判断する材料にはならない。
いまだ作戦の合否はわからぬままだ。
ドスが途中で引き返してきて人間たちと遭遇していないのなら、状況を判断する材料にはならない。
いまだ作戦の合否はわからぬままだ。
「…………………」
そんなドスと女の様子を、黙ってみている男。
その視線は何故かドスの足元に向けられていた。
その視線は何故かドスの足元に向けられていた。
「まあいいでしょう、少々危険ですが村の様子はこれから自身の目で直接確認しにいくことにします。
ある程度山を下れば遠目からも判断できるはずですからね」
「おい待てよ!お前はここから逃がすわけにはいかないと言ったはずだが?」
ある程度山を下れば遠目からも判断できるはずですからね」
「おい待てよ!お前はここから逃がすわけにはいかないと言ったはずだが?」
そのままさっさと山を下りていってしまいそうな勢いの女を、男が呼び止める。
それに対して女は呆れたようにして口を開く。
それに対して女は呆れたようにして口を開く。
「はぁ、あなた今の状況わかってます?
ひょっとしてまだ私と勝負をするおつもりなのですか?
先ほどのまでの状況ですら私が圧倒的有利だったのに、今ではドスまで援軍に来てくれたのですよ。
二体一です。あなたには万に一つの勝ち目もない。無駄なことはおやめなさい。
何度も言うように、私は無益な殺生は望むところではないのですよ、私たちを追ってこなければ何もしま…」
「言いたいことはそれだけか?」
「むっ!」
ひょっとしてまだ私と勝負をするおつもりなのですか?
先ほどのまでの状況ですら私が圧倒的有利だったのに、今ではドスまで援軍に来てくれたのですよ。
二体一です。あなたには万に一つの勝ち目もない。無駄なことはおやめなさい。
何度も言うように、私は無益な殺生は望むところではないのですよ、私たちを追ってこなければ何もしま…」
「言いたいことはそれだけか?」
「むっ!」
男の素っ気ない返答に、流石にカチンときたのか眉間に皺を寄せる女。
「ふぅ、ほんとわからない人ですねぇ、以前山でお会いして話したときはもう少し賢い選択ができる人だと思ってたんですけど、
見込み違いでしたかね」
見込み違いでしたかね」
そう溜息混じりに言う。
「ゆっふっふ!おにいさん、ほんとにそれでいいのかなぁ!
ドスはどっちでもいいんだよ、怖いのなら戦わなくてもね!」
ドスはどっちでもいいんだよ、怖いのなら戦わなくてもね!」
さらにドスが挑発的な発言をする。
しかしそれに対して男は気分を悪くするでもなく答える。
しかしそれに対して男は気分を悪くするでもなく答える。
「ああ、心配してくれてどうもありがとさん。
だが問題ない、オレはもう覚悟を決めている。
今のこの場で決着をつける。
だからドス!オレにまっすぐ向かってきやがれ!」
「ゆっふっふ!望むところだよ!ドスの体当たりでぺちゃんこにしてあげるよ!」
だが問題ない、オレはもう覚悟を決めている。
今のこの場で決着をつける。
だからドス!オレにまっすぐ向かってきやがれ!」
「ゆっふっふ!望むところだよ!ドスの体当たりでぺちゃんこにしてあげるよ!」
そう言い、向かい合う男とドス。
ドスのすぐ後ろに隠れるようにして銃を構える女。
女が先ほど言ったとおり、これは男にとって圧倒的不利な場面であった。
何せ男が女に攻撃を加えるためには、ドスという巨大な障害物を通過しなければならないのだ。
ドスまりさの戦闘力はそれほどでもないが、その巨体ゆえに耐久力は通常のゆっくの比ではない。
いくら男でも素手で瞬殺できる相手ではないのだ。
ドスのすぐ後ろに隠れるようにして銃を構える女。
女が先ほど言ったとおり、これは男にとって圧倒的不利な場面であった。
何せ男が女に攻撃を加えるためには、ドスという巨大な障害物を通過しなければならないのだ。
ドスまりさの戦闘力はそれほどでもないが、その巨体ゆえに耐久力は通常のゆっくの比ではない。
いくら男でも素手で瞬殺できる相手ではないのだ。
無論ドス一体に集中して攻撃すれば倒すことはそれ程難しくはないだろう。
だがしかし、迂闊にドスばかりに構っていると、今度はその間に女に狙い撃ちにされてしまうのは明らかだ。
はっきり言ってこれは、男にとって不利どころか絶望的とすら言える状況だ。
だがしかし、迂闊にドスばかりに構っていると、今度はその間に女に狙い撃ちにされてしまうのは明らかだ。
はっきり言ってこれは、男にとって不利どころか絶望的とすら言える状況だ。
しかしだと言うのに、男の顔にはいささかの迷いもない。
それこそ覚悟を決めたということなのだろう。
睨みあう男とドス。
そして次の瞬間。
それこそ覚悟を決めたということなのだろう。
睨みあう男とドス。
そして次の瞬間。
「うおおおおおおおおおおおおお!」
「ゆあああああああああああああ!」
「ゆあああああああああああああ!」
両者が雄叫びを上げながら、一斉にお互いに向かって動き出す。
男は全力疾走だった。
ぶつかる瞬間にフェイントをかけて横に逃れるとか、そういう意図はまったく感じられない。
ただまっすぐドスに、いや、その後ろで銃を構えている女に向かって突き進む。
体当たりで一気にドスと、後ろにいる女ごと吹き飛ばすつもりだろうか?
いや、いくらなんでもそれは無理だろう。
ドスの巨体にぶつかってなお、それを吹き飛ばすなど絶対に無理だ。
流石に当たり負けすることはないだろうが、接触の瞬間、男は必ずその衝撃で減速するだろう。
そして男の動きが止まった瞬間、女はそのスキを銃で狙い撃ちにすればいいだけの話。
男は全力疾走だった。
ぶつかる瞬間にフェイントをかけて横に逃れるとか、そういう意図はまったく感じられない。
ただまっすぐドスに、いや、その後ろで銃を構えている女に向かって突き進む。
体当たりで一気にドスと、後ろにいる女ごと吹き飛ばすつもりだろうか?
いや、いくらなんでもそれは無理だろう。
ドスの巨体にぶつかってなお、それを吹き飛ばすなど絶対に無理だ。
流石に当たり負けすることはないだろうが、接触の瞬間、男は必ずその衝撃で減速するだろう。
そして男の動きが止まった瞬間、女はそのスキを銃で狙い撃ちにすればいいだけの話。
ああ、なんて無謀な行為なのだろう。
きっとこの男は怒りで冷静な判断能力を失っているのだ。
女は瞬時にそう理解した。
きっとこの男は怒りで冷静な判断能力を失っているのだ。
女は瞬時にそう理解した。
そして見る見る男とドスの距離が縮まっていく。
もう二人の距離はそれこそ絶無!
そしてついに両者が接触するその瞬間!
男はボソリと呟いた。
もう二人の距離はそれこそ絶無!
そしてついに両者が接触するその瞬間!
男はボソリと呟いた。
「悪いな…………ぬえ!」
「!?」
「!?」
その時、女にとって理解不能なことが起こった。
男とドスが接触した瞬間、どちらが当たり負けるでもなく、男がドスの中に消えていった。
かと思ったら、突然ドスの背中から男が飛び出してきて………。
男とドスが接触した瞬間、どちらが当たり負けるでもなく、男がドスの中に消えていった。
かと思ったら、突然ドスの背中から男が飛び出してきて………。
「オラァァアア!」
「がっふ!」
「がっふ!」
次の瞬間、茫然とする女のアゴに男の左アッパーが直撃した。
まったく予想外のことが起こり無防備な女に、脳を揺さぶる鋭く重い一撃が突き刺さる。
何がなんだかわからないうちに女の意識は深い闇へと沈んでいった。
まったく予想外のことが起こり無防備な女に、脳を揺さぶる鋭く重い一撃が突き刺さる。
何がなんだかわからないうちに女の意識は深い闇へと沈んでいった。
ドサッ!と、糸が切れた人形のように崩れ去る女。
男は油断することなく、女の手から銃を回収する。
そして、
男は油断することなく、女の手から銃を回収する。
そして、
「はぁーーーーよかったーーー。
いや、やばかったわまじで」
いや、やばかったわまじで」
女が完全に無力化したことを確認したのち、男はヘナヘナとその場で脱力した。
緊張の糸が切れたのだろう、実際に相当の疲労があった。
緊張の糸が切れたのだろう、実際に相当の疲労があった。
「やったねおにいさん!」
そんな男の後ろから軽い調子で声がかけらる。
そこにいたのはドスではなく、男と行動を共にしているゆっくり、ぬえであった。
何と、先ほどこの場に現れたドスは、このぬえが擬態していた姿だったのだ。
そしてそのことに気づいた男は、女の不意をつくために一芝居打ったというわけだ。
そこにいたのはドスではなく、男と行動を共にしているゆっくり、ぬえであった。
何と、先ほどこの場に現れたドスは、このぬえが擬態していた姿だったのだ。
そしてそのことに気づいた男は、女の不意をつくために一芝居打ったというわけだ。
「やったね!じゃねええええええええええええええ!
お前一体何してんだ!突然何の脈絡もなく出てきやがって、ビビったじゃねーか!
大体今回は人間が絡んでて、何が起こるかわからないから部屋でじっとしてろって昨日言っただろうが!」
「だってさ、悔しかったんだもん!この女の所為で、おにいさんがあんなドゲスに土下座するはめになってさ!」
「ちょ、お前なんでそのこと知ってんだ!
……ああそうか、昨日の交渉を空から隠れて見てたんだな」
「そうだよ!ドゲスもそうだけど、一番許せないのはコイツだよ!
なんだかよく意味はわからなかったけど、結局コイツがやりたいことって、
自分がゆっくりするために、何の落ち度も無い人間やゆっくりをゆっくりさせなくすることでしょ!
そんなのその辺のゲスゆと同じじゃん!許せないね!」
「そんなに単純な話しじゃ………いや、そうなのかもしれないな」
お前一体何してんだ!突然何の脈絡もなく出てきやがって、ビビったじゃねーか!
大体今回は人間が絡んでて、何が起こるかわからないから部屋でじっとしてろって昨日言っただろうが!」
「だってさ、悔しかったんだもん!この女の所為で、おにいさんがあんなドゲスに土下座するはめになってさ!」
「ちょ、お前なんでそのこと知ってんだ!
……ああそうか、昨日の交渉を空から隠れて見てたんだな」
「そうだよ!ドゲスもそうだけど、一番許せないのはコイツだよ!
なんだかよく意味はわからなかったけど、結局コイツがやりたいことって、
自分がゆっくりするために、何の落ち度も無い人間やゆっくりをゆっくりさせなくすることでしょ!
そんなのその辺のゲスゆと同じじゃん!許せないね!」
「そんなに単純な話しじゃ………いや、そうなのかもしれないな」
男はやや遠い目をしながら言った。
「それにしても流石おにいさんだね、すぐに私の擬態を見破るなんてさ!
もしかしたら、気づかれないんじゃないかって、それだけが心配だったんだよ!」
「ああぁん、アホかお前は。
いくら目の前の相手に集中してたからって、突然音もなくドスが出現したりしたらバカでもおかしいと思うわ!」
「えっ!でもあの女は気づかなかったじゃん!」
「それはなぁ、たまたまだ、た・ま・た・ま!
あいつはもしかしたら自分の計画が失敗してるかもしれないと思って、相当テンパッてたんだ。
とにかく現在の状況を確認したい一心で、小さい事には目が行き届いてない状況だったから騙せたんだよ。
大体おかしいことだらけなんだよ、今言ったように突然ドスが現れるのも変だし、よく見るとどこにも足跡が無かったり、
声は同じでも喋り方が全然違ったり、そもそも触られたら一発アウトなのに女の近くに居すぎだお前は。
おかげでこっちは終始ハラハラしぱなしだったぜ」
「えっと、ひょとしてこの作戦、けっこうヤバい状況だった?」
もしかしたら、気づかれないんじゃないかって、それだけが心配だったんだよ!」
「ああぁん、アホかお前は。
いくら目の前の相手に集中してたからって、突然音もなくドスが出現したりしたらバカでもおかしいと思うわ!」
「えっ!でもあの女は気づかなかったじゃん!」
「それはなぁ、たまたまだ、た・ま・た・ま!
あいつはもしかしたら自分の計画が失敗してるかもしれないと思って、相当テンパッてたんだ。
とにかく現在の状況を確認したい一心で、小さい事には目が行き届いてない状況だったから騙せたんだよ。
大体おかしいことだらけなんだよ、今言ったように突然ドスが現れるのも変だし、よく見るとどこにも足跡が無かったり、
声は同じでも喋り方が全然違ったり、そもそも触られたら一発アウトなのに女の近くに居すぎだお前は。
おかげでこっちは終始ハラハラしぱなしだったぜ」
「えっと、ひょとしてこの作戦、けっこうヤバい状況だった?」
ぬえが恐る恐る訊ねる。
「ヤバイも何も、ギリギリの状況だった。
上手くいったのが奇跡だな。
大体こういうのは作戦とは言わねえ、単なる無茶振りって言うんだよ」
「えええ!それは酷いよー!それにこの作戦を考えたのはぱちゅりーなんだよ、
もしおにいさんと、この女が争うようなことになったら、ドスの振りして女を騙してスキを作れってさ!」
「何か妙だと思ったらあいつの入れ知恵かよ。
はぁ、まあでも結果的に助かったわけだしな、例を言っとくよありがとう。
でも次からは何かやる前に必ず一声かけてくれよ、心臓に悪い」
「うん!わかったよ!」
上手くいったのが奇跡だな。
大体こういうのは作戦とは言わねえ、単なる無茶振りって言うんだよ」
「えええ!それは酷いよー!それにこの作戦を考えたのはぱちゅりーなんだよ、
もしおにいさんと、この女が争うようなことになったら、ドスの振りして女を騙してスキを作れってさ!」
「何か妙だと思ったらあいつの入れ知恵かよ。
はぁ、まあでも結果的に助かったわけだしな、例を言っとくよありがとう。
でも次からは何かやる前に必ず一声かけてくれよ、心臓に悪い」
「うん!わかったよ!」
いい返事で頷くぬえを見て、本当にわかってのかなと思う男であった。
つづく