ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko3110 隻眼のまりさ 第三話
最終更新:
ankoss
-
view
『隻眼のまりさ 第三話』 17KB
戦闘 群れ 例によって続きです。どうぞよろしく。
戦闘 群れ 例によって続きです。どうぞよろしく。
初めましての方は初めまして
他の作品を見てくださった方はありがとうございます。
投稿者の九郎です。
タイトルどおり前作の続編です。
他の作品を見てくださった方はありがとうございます。
投稿者の九郎です。
タイトルどおり前作の続編です。
―――――――――――――――――――――――――――――
――――某日、日の出――――
ここはいつものゆっくり達が住む集落。
まだ日が昇ったばかりでゆっくり達はまだ夢の中。
ただし、現在広場にいるゆっくりを除いてだ。
まだ日が昇ったばかりでゆっくり達はまだ夢の中。
ただし、現在広場にいるゆっくりを除いてだ。
隻眼のまりさは早めに目を覚ましていた。
早起きをしてトレーニングをしていたのだ。
早起きをしてトレーニングをしていたのだ。
「ゆ゙っ…ゔっゆ゙ゔゔ………!!」
まりさは直立姿勢から比べて大きく右に傾いていた。
斜めに立っていると言った方が正しいかもしれない。
足である底面全体を地面につけるのではなく
足と側面である場所ギリギリのところに力を集中し
不安定な姿勢で立っていた。
斜めに立っていると言った方が正しいかもしれない。
足である底面全体を地面につけるのではなく
足と側面である場所ギリギリのところに力を集中し
不安定な姿勢で立っていた。
「ゆっ!あっ!うわ!!」
バランスを崩し横にコロンと転がってしまった。
ふぅ、と一息つくと今度は足の左側に力を込めて身体を左に傾ける。
ふぅ、と一息つくと今度は足の左側に力を込めて身体を左に傾ける。
「ぐっ…ゆ゙っ…ゆ゙ゆ゙っ………!!」
これは、あの時のきめぇ丸の状態を必死に思い出して考えた
隻眼のまりさの新しいトレーニング方法だった。
あの時、きめぇ丸はものすごく横に傾いた状態で平然と立っていた。
自分が真似してみると、ものすごく辛い。
人間で言えば片足立ちで横に重心をずらしているようなものだ。
まりさはただ走るだけのトレーニングでは限界と考え
とにかく新しい方法を試しているのだ。
隻眼のまりさの新しいトレーニング方法だった。
あの時、きめぇ丸はものすごく横に傾いた状態で平然と立っていた。
自分が真似してみると、ものすごく辛い。
人間で言えば片足立ちで横に重心をずらしているようなものだ。
まりさはただ走るだけのトレーニングでは限界と考え
とにかく新しい方法を試しているのだ。
「よっ!わっ!ぐぐぐぐ……!!」
バランスを崩しそうになったが何とか踏みとどまった。
以前ぱちゅりーに強くなるのにどうしたらいいか、と
聞いたことがあったのだがその時人間さんは
様々な方法で身体を鍛えているそうだが
その方法のほとんどが手足を使ったものばかりなので
今のまりさに真似できるものではない。
だが一つだけ、鍛えたいところがあるなら
その部分を使い続ければいいということだけは
はっきり分かっている、と。
聞いたことがあったのだがその時人間さんは
様々な方法で身体を鍛えているそうだが
その方法のほとんどが手足を使ったものばかりなので
今のまりさに真似できるものではない。
だが一つだけ、鍛えたいところがあるなら
その部分を使い続ければいいということだけは
はっきり分かっている、と。
「ぬ゙っ…ゔっ…ふぅ……」
今度は自発的に力を抜いた。
ここで無理をして狩りのほうに影響が出ても困るので
体力全てをつぎ込もうとは思っていなかった。
ここで無理をして狩りのほうに影響が出ても困るので
体力全てをつぎ込もうとは思っていなかった。
まあ要するに、走るのが速くなりたければ
足を使い続けて強化するしかないということだ。
そこにあのきめぇ丸を真似してみた結果が今のトレーニングだった。
足を使い続けて強化するしかないということだ。
そこにあのきめぇ丸を真似してみた結果が今のトレーニングだった。
――――同日、朝方――――
集落のゆっくり達が起き始める時間だ。
仕事始めと言ってもいい。
仕事始めと言ってもいい。
「あ、まりさ!ゆっくりしていってね!!!」
「ゆっく…おはよう!」
「ゆっく…おはよう!」
まりさの試行の二つ目。それはゆっくり断ちだった。
あの日感じた違和感が形となっていたのは『ゆっくり』という
単語であったことに気が付いたのだ。
自分は速く走りたいんだ、ゆっくりじゃなく。
これがどのような結果を生むのかは、或いは何も起きないかもしれないけど
ゆっくりすることを至上とするゆっくりという種のとっては壮大な試みだった。
場合によっては集落から追放なんて事態もありうると
考えたまりさはこのことについては誰にも相談していない。
実際、他人を罵るときに『ゆっくりできない』なんて物言いがあるくらいだ。
その単語を発することをやめるなどと言い出せば何が起こってもおかしくない。
あの日感じた違和感が形となっていたのは『ゆっくり』という
単語であったことに気が付いたのだ。
自分は速く走りたいんだ、ゆっくりじゃなく。
これがどのような結果を生むのかは、或いは何も起きないかもしれないけど
ゆっくりすることを至上とするゆっくりという種のとっては壮大な試みだった。
場合によっては集落から追放なんて事態もありうると
考えたまりさはこのことについては誰にも相談していない。
実際、他人を罵るときに『ゆっくりできない』なんて物言いがあるくらいだ。
その単語を発することをやめるなどと言い出せば何が起こってもおかしくない。
だが、断ってみて気が付いたのだが別にゆっくりという言葉を発しなくても
『おはよう』とか『こんにちは』とか代用できる単語はあるし
ゆっくりしなくても食事や狩りは出来る。
『おはよう』とか『こんにちは』とか代用できる単語はあるし
ゆっくりしなくても食事や狩りは出来る。
「じゃあゆ…じゃなくて、早く『ぶりーふぃんぐ』に行くよ!」
『ゆっくり○○するよ!』などと言葉を発して行動するのが多いゆっくりだが
だからこそ逆にこの隻眼のまりさが気付くことができたことなのかもしれない。
だからこそ逆にこの隻眼のまりさが気付くことができたことなのかもしれない。
「むきゅ?早いわね。もう来たの」
「うん。ドスは?」
「まだ寝てるわ…」
「うん。ドスは?」
「まだ寝てるわ…」
ドスの洞窟に行ってみるとぱちゅりーがすでに動き回っていた。
ぱちゅりー種は身体が弱いと聞くし、実際斜向かいに住んでいる
親ぱちゅりーは家にこもりがちなのだが
集落の参謀を務めるこのぱちゅりーは肉体労働こそしないものの
大声を出したりするとても元気なぱちゅりーだ。
さすが子育ての上手いと言われた前村長が育てただけのことはある。
ぱちゅりー種は身体が弱いと聞くし、実際斜向かいに住んでいる
親ぱちゅりーは家にこもりがちなのだが
集落の参謀を務めるこのぱちゅりーは肉体労働こそしないものの
大声を出したりするとても元気なぱちゅりーだ。
さすが子育ての上手いと言われた前村長が育てただけのことはある。
「おはよー!!ゆっくりしていってね!!!」
「おはよう」
「おはよう」
幼馴染のまりさの一匹が洞窟へやって来た。
今度はゆっくりと言いかけることもなく挨拶ができた。
今度はゆっくりと言いかけることもなく挨拶ができた。
「ぱちゅりー!今日は何をすればいいの?」
「待ちなさい。皆で聞かないと駄目よ」
「待ちなさい。皆で聞かないと駄目よ」
それからしばらくして。
「むきゅ、それじゃあ『ぶりーふぃんぐ』を始めるわ」
皆がぱちゅりーに注目いつもの光景だ。
だが、隻眼のまりさにとってはここで一つの問題にぶつかった。
そういえば、みんなと走れというのがリーダーの言葉であり
自分の守ってきた行動理念だ。
だが、今のまりさは一人で走ろうとしている。
そのことを誰かに相談すべきではないか?
自分ひとりの考えで行動することがどういうことか分かっているのか?
だが、隻眼のまりさにとってはここで一つの問題にぶつかった。
そういえば、みんなと走れというのがリーダーの言葉であり
自分の守ってきた行動理念だ。
だが、今のまりさは一人で走ろうとしている。
そのことを誰かに相談すべきではないか?
自分ひとりの考えで行動することがどういうことか分かっているのか?
「じゃあ今日はあなたが皆を連れて虫さんのいっぱいいる
森に行ってね」
「え?ああ…うん…」
「どうしたの?まりさ」
「なんでもないよ」
森に行ってね」
「え?ああ…うん…」
「どうしたの?まりさ」
「なんでもないよ」
ぱちゅりーの言葉に反応するのが送れたためか
横にいたまりさが少し心配そうに声をかけてくる。
そうだ、自分は何も皆から離れようというわけではない。
いつも通り仕事をこなして、いつも通り行動し
その合間に自分が気付いたことを試していくだけだ。
そこには問題はない。
それにまりさ自身分からない領域に踏み込もうというのだ。
他者に理解してもらえるなどと初めから思っていない。
やれるだけのことをやって自分が満足すればそれでいいのだ。
隻眼のまりさはそのように自己弁護して自分を納得させた。
横にいたまりさが少し心配そうに声をかけてくる。
そうだ、自分は何も皆から離れようというわけではない。
いつも通り仕事をこなして、いつも通り行動し
その合間に自分が気付いたことを試していくだけだ。
そこには問題はない。
それにまりさ自身分からない領域に踏み込もうというのだ。
他者に理解してもらえるなどと初めから思っていない。
やれるだけのことをやって自分が満足すればそれでいいのだ。
隻眼のまりさはそのように自己弁護して自分を納得させた。
「じゃあドスは、私と『ばりけーど』のために使う
資材を探しに行くから」
「ゆっくり理解したよ」
資材を探しに行くから」
「ゆっくり理解したよ」
以前までなら何気なしに使っていた表現に
我知らず嫌悪感すら覚えるようにまでなっていたことには
目をつぶりながら。
我知らず嫌悪感すら覚えるようにまでなっていたことには
目をつぶりながら。
――――同日、昼前――――
「ま、まってよー!!まりさー!!」
「れいむは疲れたんだねー、わかるよー」
「こんなに早いなんてとかいはじゃないわ!」
「れいむは疲れたんだねー、わかるよー」
「こんなに早いなんてとかいはじゃないわ!」
隻眼のまりさは集落の若いゆっくり達を連れて狩りをしていた。
「大丈夫!まりさは遠くへは行かないよ!
皆が離れてきたらまりさが自分から戻ってくるからー!!」
皆が離れてきたらまりさが自分から戻ってくるからー!!」
まりさは左右ジグザグにぴょんぴょん飛び跳ねながら大きな声で答えた。
これはまりさが戦闘スタイルを見直す意味で考えた
新しいフットワークだった。
ゆっくりの戦闘スタイル、というよりは唯一の攻撃手段は体当たりだ。
場合によっては噛み付き攻撃もするが通常種には
れみりゃのような鋭い牙も中身を吸い出すような器用な真似はできない。
加えて、体当たりによる攻撃は直線的だ。
昔から破れかぶれに真っ直ぐ突進して痛い目にあったなどという
例は数え切れないほどあった。
新しいフットワークだった。
ゆっくりの戦闘スタイル、というよりは唯一の攻撃手段は体当たりだ。
場合によっては噛み付き攻撃もするが通常種には
れみりゃのような鋭い牙も中身を吸い出すような器用な真似はできない。
加えて、体当たりによる攻撃は直線的だ。
昔から破れかぶれに真っ直ぐ突進して痛い目にあったなどという
例は数え切れないほどあった。
「ゆっ!ほっ!やっ!!とうっ!!」
そこでまりさが考案した左右の高速シフトだ。
早朝のトレーニングで鍛えた左右への力の強化が活きてくる動き。
れみりゃの直線的な動きはれみりゃの周りを回ることで回避するという
方法が考案されていたがそれだけでは攻撃に移れない。
が、左右への動きが可能ならば回っている最中に
突然真横に飛んで体当たりしたり
場合によっては直線の攻撃は避けながら接近が出来る
そんな攻防一体の戦闘スタイルだった。
早朝のトレーニングで鍛えた左右への力の強化が活きてくる動き。
れみりゃの直線的な動きはれみりゃの周りを回ることで回避するという
方法が考案されていたがそれだけでは攻撃に移れない。
が、左右への動きが可能ならば回っている最中に
突然真横に飛んで体当たりしたり
場合によっては直線の攻撃は避けながら接近が出来る
そんな攻防一体の戦闘スタイルだった。
これを思いついたきっかけもやはりあのきめぇ丸だった。
あんなに速い奴の攻撃を目で見て避けるなんて不可能だ。
だからこそ全く止まらずに左右に移動し続け的を絞らせない作戦。
あんなに速い奴の攻撃を目で見て避けるなんて不可能だ。
だからこそ全く止まらずに左右に移動し続け的を絞らせない作戦。
「蝶がいたよ!」
木の根元に生えている花に大きな蝶が止まっていた。
まりさは蝶の正面に回りこみ、花ごと噛み付くつもりで飛び掛った。
まりさは蝶の正面に回りこみ、花ごと噛み付くつもりで飛び掛った。
「はっ!!」
接触寸前に蝶が横へ飛んだ。
まりさは蝶野位置を横目で捉えると
まりさは蝶野位置を横目で捉えると
「えいっ!!」
横っ飛びで木に体当たり。
蝶を挟み込む要領で潰して仕留めた。
蝶を挟み込む要領で潰して仕留めた。
この行動には、連続攻撃の意味合いもある。
攻撃位置への移動、そして連続でジャンプをすることで
外れた対象に方向転換することなく着地の瞬間真横や真後ろに向かって再び攻撃ができる。
今仕留めた蝶もそうだが、動く敵には攻撃し辛いし
自分が縦横無尽に動けるのならば回避行動も攻撃行動もとりやすいという
利点を併せ持っていた。
攻撃位置への移動、そして連続でジャンプをすることで
外れた対象に方向転換することなく着地の瞬間真横や真後ろに向かって再び攻撃ができる。
今仕留めた蝶もそうだが、動く敵には攻撃し辛いし
自分が縦横無尽に動けるのならば回避行動も攻撃行動もとりやすいという
利点を併せ持っていた。
「いたたたたた…蝶々は…それなりー」
あまりにうまくいったため調子に乗って思い切り体当たりをしてしまった。
木と衝突した身体がちょっと痛かった。
木と衝突した身体がちょっと痛かった。
――――同日、昼過ぎ――――
太陽が真南を通過する頃、一行は目的の狩場で狩りをしていた。
隻眼のまりさはというと、木の枝をくわえては下ろしている。
隻眼のまりさはというと、木の枝をくわえては下ろしている。
「これは大きいかな…こっちは細いかも…」
ここでまりさが行っているのは武器の選定だ。
戦闘において、敵に止めを刺すには必ず二匹以上での連携が不可欠だ。
というのも、ゆっくりの死亡条件である中身の喪失という条件を
ゆっくりの身であるまりさが満たすには、相手の頭部を潰すしかないのだ。
そして頭部を潰すには囮役となり敵の攻撃を回避する役
敵を倒すか止まった敵に一撃を加えてフィニッシュに持っていく
もう一匹がどうしても必要。
それが必要なのもゆっくり同士で相手を損傷させるのが
困難であることに起因する。
というのも、ゆっくりの死亡条件である中身の喪失という条件を
ゆっくりの身であるまりさが満たすには、相手の頭部を潰すしかないのだ。
そして頭部を潰すには囮役となり敵の攻撃を回避する役
敵を倒すか止まった敵に一撃を加えてフィニッシュに持っていく
もう一匹がどうしても必要。
それが必要なのもゆっくり同士で相手を損傷させるのが
困難であることに起因する。
そこでまりさが取った方法の一つがみょん種のやっている
木の枝を使った戦闘方法である。
だが、みょん種が特別強いというわけではない。
問題は致命打を与えるかどうかということ。
一対一でならともかく、多数対多数の戦闘で
木の枝を使って攻撃を仕掛けたとて、一匹にダメージを与えるだけで
殺すことはできないし、刺した棒を再び武器として使うには
抜いてから再び構えないといけない。
木の枝を使った戦闘方法である。
だが、みょん種が特別強いというわけではない。
問題は致命打を与えるかどうかということ。
一対一でならともかく、多数対多数の戦闘で
木の枝を使って攻撃を仕掛けたとて、一匹にダメージを与えるだけで
殺すことはできないし、刺した棒を再び武器として使うには
抜いてから再び構えないといけない。
だからまりさは使い捨てで使える木の棒を選定しているのだ。
長すぎると取り回しが悪いし持って戦うにしても邪魔になる。
そして実際使うに当たって基本的には口にくわえて
体当たりの攻撃力を増大させるのが目的。
故にインパクトの瞬間折れることがないもの
つまりは真っ直ぐであり、鋭く、なおかつくわえるグリップ部分が
太めになっている枝がベストなのである。
長すぎると取り回しが悪いし持って戦うにしても邪魔になる。
そして実際使うに当たって基本的には口にくわえて
体当たりの攻撃力を増大させるのが目的。
故にインパクトの瞬間折れることがないもの
つまりは真っ直ぐであり、鋭く、なおかつくわえるグリップ部分が
太めになっている枝がベストなのである。
「っ!つっ!!」
口にくわえたまま例のステップを敢行。
一通りステップを踏んでみた結果、一本いいものを見つけた。
実戦で使ってみるまで使い勝手は分からないが
役に立たないのであれば捨てて戦えばいいのだ。
一通りステップを踏んでみた結果、一本いいものを見つけた。
実戦で使ってみるまで使い勝手は分からないが
役に立たないのであれば捨てて戦えばいいのだ。
「まりさ、何してるの?」
「ん、別に…」
「ん、別に…」
ありすが近づいてきた。
元々誰かに話すつもりはなかったし
このありすに話しても理解できるとは思えなかった。
元々誰かに話すつもりはなかったし
このありすに話しても理解できるとは思えなかった。
「最近まりさ、かっこよくなったわよね…」
「え?そ…そう…?」
「え?そ…そう…?」
なんだか様子がおかしい。
このありすはこの夏独り立ちをしたばかりで
越冬に向けての食料集めが難航してるという話を聞いた。
今回の狩りにどうこうしたのもそれが理由だ。
このありすはこの夏独り立ちをしたばかりで
越冬に向けての食料集めが難航してるという話を聞いた。
今回の狩りにどうこうしたのもそれが理由だ。
「なんて言うのかしら…変わったというか強くなったというか…
前のまりさと今のまりさは全然違う…」
「…………?」
前のまりさと今のまりさは全然違う…」
「…………?」
なにやら身の危険を感じ始めた隻眼のまりさ。
が、仮にも集落の一員だ。
いきなり攻撃するわけにもいかない。
ともかく、話してみないことにはどうにもならない。
が、仮にも集落の一員だ。
いきなり攻撃するわけにもいかない。
ともかく、話してみないことにはどうにもならない。
「ありす、狩りの調子はどう?
越冬に向けて秋のうちにたくさん食料を集めないと大変だよ?」
「まりさ…私とずっとゆっくりして!!」
越冬に向けて秋のうちにたくさん食料を集めないと大変だよ?」
「まりさ…私とずっとゆっくりして!!」
ありすの唐突な言葉。
『自分とゆっくりして』はゆっくり達に共通する求愛の言葉だ。
そう言えばこのありすはまだ番がいなかったな、と頭の片隅で考える一方
隻眼のまりさは今回も『ゆっくり』という言葉に反応した。
『自分とゆっくりして』はゆっくり達に共通する求愛の言葉だ。
そう言えばこのありすはまだ番がいなかったな、と頭の片隅で考える一方
隻眼のまりさは今回も『ゆっくり』という言葉に反応した。
「いやだよ!ありすとゆっくりするつもりなんかないよ!!」
ついつい怒鳴ってしまった。
今のまりさはゆっくりするつもりなど全くない。
ありすのゆっくりして、がまりさにとっては嫌悪感を感じさせる
言葉以外の何者でもなかったのだ。
ちなみに否定したのはゆっくりすること、なのだが
ありすにとっては致命的な言葉。
そしてその一瞬の感情の爆発は
今のまりさはゆっくりするつもりなど全くない。
ありすのゆっくりして、がまりさにとっては嫌悪感を感じさせる
言葉以外の何者でもなかったのだ。
ちなみに否定したのはゆっくりすること、なのだが
ありすにとっては致命的な言葉。
そしてその一瞬の感情の爆発は
「まりさあああああああああああああああああ!!!
つんでれなのねええええええええええええええ!!!」
つんでれなのねええええええええええええええ!!!」
ありすをレイパーとして覚醒させる起爆剤となってしまった。
「うわあああああああああああああああああ!!!」
飛び込んできたありすをバックステップで緊急回避。
危なかった。
今回自分が考えた戦闘スタイルがなければ
こんな回避方法は取れなかっただろう。
そして自分が考えた方法が決して間違いでなかったことを
感じさせるには十分だった。
危なかった。
今回自分が考えた戦闘スタイルがなければ
こんな回避方法は取れなかっただろう。
そして自分が考えた方法が決して間違いでなかったことを
感じさせるには十分だった。
「まりさああああああああああああああ!!!」
そこでまりさは一つのことを考え付いた。
自分は武器の選定を誰にも話すつもりはなかった。
故に、ここには誰もいない。
そして、今自分の下には丁度いい枝が一本だけ。
レイパーと化して他のゆっくりを死なせた者は
例外なく制裁か追放だ。
だからこそ、このありすで模擬戦闘を行おうという考えに至った。
自分は武器の選定を誰にも話すつもりはなかった。
故に、ここには誰もいない。
そして、今自分の下には丁度いい枝が一本だけ。
レイパーと化して他のゆっくりを死なせた者は
例外なく制裁か追放だ。
だからこそ、このありすで模擬戦闘を行おうという考えに至った。
「まりさあああああああああああああ!!!
すっきりしましょおおおおおおお!!!!」
「……っ!!!」
すっきりしましょおおおおおおお!!!!」
「……っ!!!」
真っ直ぐ突進してくるありすを今度はサイドステップでかわす。
目を見開き涎をたらすありすは今までのすました
ありすのイメージとはかけ離れている。
髪の毛を振り乱して突進してくる様はれみりゃとは
違う恐怖心を煽られる。
目を見開き涎をたらすありすは今までのすました
ありすのイメージとはかけ離れている。
髪の毛を振り乱して突進してくる様はれみりゃとは
違う恐怖心を煽られる。
「どぼじでにげるのおおおおおおおおお!!???
どっでもぎもぢいいのよおおおおおおお!!??」
どっでもぎもぢいいのよおおおおおおお!!??」
まりさに回避されたありすがこちらに顔を向けてきた。
顔面から地面に激突したありすはさらにひどい顔になっている。
正直直視したくない。
まりさは連続でバックステップを踏んで距離をとる。
顔面から地面に激突したありすはさらにひどい顔になっている。
正直直視したくない。
まりさは連続でバックステップを踏んで距離をとる。
「まりさあああああああああああああ!!!!」
それしか言えないのか、と冷めた感情を持ちながら
サイドステップで接近。
サイドステップで接近。
「まりさああああああああ!!!
やっどうげいれでぐれるのねえええええええええ!!」
やっどうげいれでぐれるのねえええええええええ!!」
冗談じゃない。
まりさの心はますます冷え切っていく。
すれ違う瞬間、まりさはカウンターチャンスを見ていた。
ゆっくり同士が衝突する場合、顔面から正面衝突するより
人間で言うショルダーチャージの要領で斜めから
当たるほうが有利だ。
その方が顔面が痛くないし側面のほうが凹凸が少なく頑丈
なおかつ痛みが少ないので手加減なしで体当たりが可能だ。
まりさの心はますます冷え切っていく。
すれ違う瞬間、まりさはカウンターチャンスを見ていた。
ゆっくり同士が衝突する場合、顔面から正面衝突するより
人間で言うショルダーチャージの要領で斜めから
当たるほうが有利だ。
その方が顔面が痛くないし側面のほうが凹凸が少なく頑丈
なおかつ痛みが少ないので手加減なしで体当たりが可能だ。
「どぼじでよげるのおおおおおおおおおおお!!!!」
連続で突っ込んでくるありすを最小限のサイドステップで回避。
まりさの回避運動が闘牛士のように冴え渡る。
普通のゆっくりなら背を向けて逃げてしまうため
なりふり構わない突進をしてくるレイパーに体力差で
捕まってしまうのだが
今のまりさは最低限度の動きで回避しているのだ。
このペースで行けばありすのほうが先に力尽きるのがオチだろう。
まりさの回避運動が闘牛士のように冴え渡る。
普通のゆっくりなら背を向けて逃げてしまうため
なりふり構わない突進をしてくるレイパーに体力差で
捕まってしまうのだが
今のまりさは最低限度の動きで回避しているのだ。
このペースで行けばありすのほうが先に力尽きるのがオチだろう。
「ばりざ!ばりざ!ばりざ!ばりざああああああああああ!!!」
ありすの顔はもう先ほどと同じゆっくりとは思えないほどに変貌していた。
その場ですっきりするつもりで仕掛けてきたのだろう。
連続しておあずけを食らって頭がおかしくなったのかもしれない。
が、ありすの熱が高まれば高まるほどまりさの心は冷え切っていった。
そして冷え切るのと同時に、これまでにない昂ぶりも感じていた。
ゆっくりしていた頃には考えられない。
冷めれば冷めるほど、冷静な回避ができた。
高まれば高まるほど、強力な攻撃が出せる予感がした。
その場ですっきりするつもりで仕掛けてきたのだろう。
連続しておあずけを食らって頭がおかしくなったのかもしれない。
が、ありすの熱が高まれば高まるほどまりさの心は冷え切っていった。
そして冷え切るのと同時に、これまでにない昂ぶりも感じていた。
ゆっくりしていた頃には考えられない。
冷めれば冷めるほど、冷静な回避ができた。
高まれば高まるほど、強力な攻撃が出せる予感がした。
「…!!」
そうか、と隻眼のまりさは唐突に気付いた。
これが戦闘だ。
ゆっくりにとって制裁やゲスの攻撃など単なる暴力だ。
相手がまともに抵抗しないように数や力だけで圧倒する
単純なものではない。
確実に、残酷に、相手の命を奪うことに特化した
命、誇り、信念をかけた戦い。
これが戦闘だ。
ゆっくりにとって制裁やゲスの攻撃など単なる暴力だ。
相手がまともに抵抗しないように数や力だけで圧倒する
単純なものではない。
確実に、残酷に、相手の命を奪うことに特化した
命、誇り、信念をかけた戦い。
「ま…………まり…………………まりざぁ………
まりざああああああああああああああああああ!!!」
「うわああああああああああああああああああ!!!」
まりざああああああああああああああああああ!!!」
「うわああああああああああああああああああ!!!」
隻眼のまりさは全身に力がみなぎるのを感じた。
それは、不思議な感覚だった。
カウンターを発動するときの緊張感じゃない。
突進するときのがむしゃらさでもない。
最後の力を振り絞って向かってくるありすに
まりさは、全力の攻撃を仕掛けていた。
それは、不思議な感覚だった。
カウンターを発動するときの緊張感じゃない。
突進するときのがむしゃらさでもない。
最後の力を振り絞って向かってくるありすに
まりさは、全力の攻撃を仕掛けていた。
――――同日、夕刻――――
隻眼のまりさは連れて行った狩りに行った皆と共に
集落へ帰還していた。
…件のありすをのぞいて。
集落へ帰還していた。
…件のありすをのぞいて。
「じゃあ、結局見つからなかったの?」
「うん、遠くに狩りに行ったのかもしれないし
気付いたらいなくなってたんだよ。
一人立ちしてからまだ狩りになれてなかったからかも…」
「うん、遠くに狩りに行ったのかもしれないし
気付いたらいなくなってたんだよ。
一人立ちしてからまだ狩りになれてなかったからかも…」
嘘だ。
ありすはまりさが殺したのだ。
ありすはまりさが殺したのだ。
「ごめんね。
まりさがしっかりしていなかったから…」
「仕方がないわ。
いくらまりさでも全部のゆっくりを見張ることなんてできないわ」
まりさがしっかりしていなかったから…」
「仕方がないわ。
いくらまりさでも全部のゆっくりを見張ることなんてできないわ」
あの後、まりさが集合をかけて皆を集めた時
ありすは当然戻ってこなかった。
皆で少しだが辺りを探してみたが
地面に埋められたありすの死骸を
他のゆっくりが発見できるはずもなく
やむなく集落に戻ってきた、という形を取ったのだ。
現在ブリーフィングでその旨を報告しているところである。
ありすは当然戻ってこなかった。
皆で少しだが辺りを探してみたが
地面に埋められたありすの死骸を
他のゆっくりが発見できるはずもなく
やむなく集落に戻ってきた、という形を取ったのだ。
現在ブリーフィングでその旨を報告しているところである。
「ありすの家族は?」
「あのありすは一人だったし、おかあさんとおとうさんも
もう死んじゃってるから…」
「…そう、わかったわ
まりさ、今日は大変だったわね。
日が暮れるからもう休みましょう」
「分かったよ」
「あのありすは一人だったし、おかあさんとおとうさんも
もう死んじゃってるから…」
「…そう、わかったわ
まりさ、今日は大変だったわね。
日が暮れるからもう休みましょう」
「分かったよ」
そう言ってぱちゅりーは自分の部屋であるドスの
洞窟の横穴に入っていった。
洞窟の横穴に入っていった。
――――同日、日没――――
まりさは、あの時のことを思い出していた。
『うわああああああああああああああああ!!!』
『まりさあああああああああああああ!!!ぎゅぶぇっ!!!』
『まりさあああああああああああああ!!!ぎゅぶぇっ!!!』
いつものカウンターとは全く違う感覚。
木の枝をくわえて突進してくるありすに対して
交差法での体当たり。
それだけのはずだったのだが
あの時の体当たりは全く違うものだ。
なぜならば、体当たりのヒットしたありすは見事に
『バラバラに砕け散って』死んだのだ。
木の枝をくわえて突進してくるありすに対して
交差法での体当たり。
それだけのはずだったのだが
あの時の体当たりは全く違うものだ。
なぜならば、体当たりのヒットしたありすは見事に
『バラバラに砕け散って』死んだのだ。
その直後、我に返ったまりさは急に別の意味で頭が冷えていき
大変だ、どうしよう、と焦りに焦った。
だが少ししてからだったら埋めてしまおう、と思い
武器の候補として集めていた木の枝を使って
ありすの死骸を地面に埋めてやり過ごした。
ありすがレイパーに名って襲ってきたと言えば
理解が得られるかもしれないが
何よりまりさはあの状況、あの感覚を
誰かに説明する気になれなかったのだ。
ゆっくり殺しの汚名を着せられることでもなく
ただあの時の一瞬の感覚と
戦いの中で得たものをごたごたのせいで失くしてしまうことが
まりさにとっては一番の損失だった。
大変だ、どうしよう、と焦りに焦った。
だが少ししてからだったら埋めてしまおう、と思い
武器の候補として集めていた木の枝を使って
ありすの死骸を地面に埋めてやり過ごした。
ありすがレイパーに名って襲ってきたと言えば
理解が得られるかもしれないが
何よりまりさはあの状況、あの感覚を
誰かに説明する気になれなかったのだ。
ゆっくり殺しの汚名を着せられることでもなく
ただあの時の一瞬の感覚と
戦いの中で得たものをごたごたのせいで失くしてしまうことが
まりさにとっては一番の損失だった。
そしてまりさはこの一件ではっきりと分かった。
自分を縛っていたのはゆっくりだ。
ゆっくりしていたらあのありすに襲われていただろう。
そして、ゆっくりしていたらあの感覚は得られなかっただろう。
自分を縛っていたのはゆっくりだ。
ゆっくりしていたらあのありすに襲われていただろう。
そして、ゆっくりしていたらあの感覚は得られなかっただろう。
もう二度とゆっくりするものか、と思いつつ
隻眼のまりさは倫理や、秩序、規範
そしてゆっくりとしての概念や矜持を捨ててでも
この先にあるものを見てやる、と意識を新たにしながら眠りについていた
隻眼のまりさは倫理や、秩序、規範
そしてゆっくりとしての概念や矜持を捨ててでも
この先にあるものを見てやる、と意識を新たにしながら眠りについていた
続く
あとがき
まず最初に、掲示板での様々なコメントありがとうございました。
下げた頭が上がらないというのはこのことです。
あれほどの反響が得られるほどこの作品が読まれていたことを
そして続いて欲しいという言葉を嬉しく思います。
下げた頭が上がらないというのはこのことです。
あれほどの反響が得られるほどこの作品が読まれていたことを
そして続いて欲しいという言葉を嬉しく思います。
感想を一通り読ませてもらいましたが
全ての意見の中でおおよそ共通するのは
『評価されたきゃ完走しろ』というのがありました。
全ての意見の中でおおよそ共通するのは
『評価されたきゃ完走しろ』というのがありました。
人気がないのであれば投稿自体が邪魔になってはいないかとも思っていたのですが
僭越ながら続けさせてもらおうという思いを新たにしました。
本当にありがとうございます。
僭越ながら続けさせてもらおうという思いを新たにしました。
本当にありがとうございます。
加えて、感想を下さいなどということをあとがきに載せた事
本当に申し訳ありませんでした。
ご迷惑になっていなければいいのですが。
本当に申し訳ありませんでした。
ご迷惑になっていなければいいのですが。
まあこの話題はこれくらいで。
この作品の特徴ですが
ゆっくりがゆっくりらしくない
心理描写が多すぎ
の二つを含むところはテーマ上変わらず続いていくので
ご了承ください。
ゆっくりがゆっくりらしくない
心理描写が多すぎ
の二つを含むところはテーマ上変わらず続いていくので
ご了承ください。
これからは私は九郎ver.2とまでは行きませんが
九郎ver.1.01位の気持ちでやっていきたいと思います。
九郎ver.1.01位の気持ちでやっていきたいと思います。
お気に召しましたら、今後もどうぞよろしくお願いします。
最後に、この作品を読んでくださった全ての方に無上の感謝を。
私がここに投稿させて頂いた作品一覧
anko3052 ゆっくり駆除業者のお仕事風景
anko3053 ゆっくり駆除業者のお仕事風景2 前編
anko3054 ゆっくり駆除業者のお仕事風景2 後編
anko3060 ゆっくり駆除業者のお仕事風景3
anko3061 隻眼のまりさ プロローグ
anko3075 隻眼のまりさ 第一話
anko3084 ゆっくり駆除業者のお仕事風景 幕間
anko3091 隻眼のまりさ 第二話
anko3101 ゆっくり駆除業者のお仕事風景4
anko3053 ゆっくり駆除業者のお仕事風景2 前編
anko3054 ゆっくり駆除業者のお仕事風景2 後編
anko3060 ゆっくり駆除業者のお仕事風景3
anko3061 隻眼のまりさ プロローグ
anko3075 隻眼のまりさ 第一話
anko3084 ゆっくり駆除業者のお仕事風景 幕間
anko3091 隻眼のまりさ 第二話
anko3101 ゆっくり駆除業者のお仕事風景4