ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko3279 死を覚悟したにとり 下
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ankoss
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『死を覚悟したにとり 下』 28KB
制裁 差別・格差 同族殺し 番い 群れ 希少種 現代
制裁 差別・格差 同族殺し 番い 群れ 希少種 現代
7.
それから数日経った。
山小屋建築の件は滞りなく進む。上司に建築予定地についての報告をまとめ、了承を得た後、資材発注や委託業者の選定。
似たような作業は過去に何度もやって来た事だし、問題など起きない。
ただ、にとりとひなのことが気にかかった。
俺はゆっくり愛好家ではないから、にとりとひなの境遇にどうこうしてやる気はない。にとりとひなが殺されたとしても、
悲しむことはないだろう。だが、目前にある死の危険を、笑って受け入れる生き方に、納得の出来ないとっかかりを感じた。
なるべく考えないようにしたいと思っているが、そうはいかなかった。山小屋建設において、
ぱちゅりーの群れのゆっくりどもをどう諌めるかの問題に対して、未だ対抗策を決めていないからだ。
長のぱちゅりーの顔を思い出すと、どうもにとりとひなの事が気にかかり、鬱になってしまう。
ちなみに、一応最寄の加工所に連絡して、野生ゆっくりの大量引取りについて話をしてみた。すると、
場所と時間の指定があれば、即日で引き取りに来てくれるとのことだった。ただ、捕獲作業まで依頼するとなると、
安くない金額がかかる様なので、捕獲作業は事務所の職員が自ら行おうということになり、
近々に双葉山で山狩りを行うことになるかも知れないと、周りの職員に声掛けをしておいた。
それから数日経った。
山小屋建築の件は滞りなく進む。上司に建築予定地についての報告をまとめ、了承を得た後、資材発注や委託業者の選定。
似たような作業は過去に何度もやって来た事だし、問題など起きない。
ただ、にとりとひなのことが気にかかった。
俺はゆっくり愛好家ではないから、にとりとひなの境遇にどうこうしてやる気はない。にとりとひなが殺されたとしても、
悲しむことはないだろう。だが、目前にある死の危険を、笑って受け入れる生き方に、納得の出来ないとっかかりを感じた。
なるべく考えないようにしたいと思っているが、そうはいかなかった。山小屋建設において、
ぱちゅりーの群れのゆっくりどもをどう諌めるかの問題に対して、未だ対抗策を決めていないからだ。
長のぱちゅりーの顔を思い出すと、どうもにとりとひなの事が気にかかり、鬱になってしまう。
ちなみに、一応最寄の加工所に連絡して、野生ゆっくりの大量引取りについて話をしてみた。すると、
場所と時間の指定があれば、即日で引き取りに来てくれるとのことだった。ただ、捕獲作業まで依頼するとなると、
安くない金額がかかる様なので、捕獲作業は事務所の職員が自ら行おうということになり、
近々に双葉山で山狩りを行うことになるかも知れないと、周りの職員に声掛けをしておいた。
『はあ・・・』
『なんですか、浮かない顔してますね』
『ああ、そんなことないよ。双葉山の山小屋建築の件も、一段落したしね』
『知ってますよ、そこに住み着いてるゆっくりたちの駆除もするんでしょ』
『いや、面倒だし、しないに越した事ないだけどね』
『なんだ、つまんない。是非やりましょうよ』
『あのなあ、下手すれば、双葉山全部のゆっくりを駆除することになるかもしれないだぞ。そしたらとんでもない労力になる』
『え、それは、やだなあ』
『ま、始めの内はお菓子をばら撒いてご機嫌取りをしつつ、それでも揉めるようだったら・・・』
『なんですか、浮かない顔してますね』
『ああ、そんなことないよ。双葉山の山小屋建築の件も、一段落したしね』
『知ってますよ、そこに住み着いてるゆっくりたちの駆除もするんでしょ』
『いや、面倒だし、しないに越した事ないだけどね』
『なんだ、つまんない。是非やりましょうよ』
『あのなあ、下手すれば、双葉山全部のゆっくりを駆除することになるかもしれないだぞ。そしたらとんでもない労力になる』
『え、それは、やだなあ』
『ま、始めの内はお菓子をばら撒いてご機嫌取りをしつつ、それでも揉めるようだったら・・・』
後輩達は、ゆっくり狩りに積極的だった。用があって山に行けば、連中は邪魔はしないまでも罵声を浴びせてくるので、
ゆっくりに良い印象を持っているものはいない。ゆっくりの駆除に賛成なのも、当然な話だ。
俺だって、今後もぱちゅりーの群れのゆっくりどもの相手をしなくてはならないことを考えると、いっその事駆除してやりたい、
そう考えてしまうわけだが・・・。
ゆっくりに良い印象を持っているものはいない。ゆっくりの駆除に賛成なのも、当然な話だ。
俺だって、今後もぱちゅりーの群れのゆっくりどもの相手をしなくてはならないことを考えると、いっその事駆除してやりたい、
そう考えてしまうわけだが・・・。
そして、今日は金曜日。
山小屋建築の計画は実行段階まできた。来週末には業者の人間も双葉山に向かい、資材や重機も入ることになるだろう。
業務を終え、皆土日の休みに胸を躍らしながら、帰路についていく。
俺も、来週の作業予定を確認した後、事務所を出て、自宅に向かって車を走らせていた。
だが、俺の頭の中には、にとりとひなの事が巡っていた。
あいつら、まだ生きているかな・・・
ぱちゅりーの群れと、和解できていないかな・・・
子ゆっくりたちは、どうしているかな・・・
自宅に戻り、着替えた後でも、妻と向かい合って座り、夕食を摂っているときも、なかなか頭から離れなかった。
山小屋建築の計画は実行段階まできた。来週末には業者の人間も双葉山に向かい、資材や重機も入ることになるだろう。
業務を終え、皆土日の休みに胸を躍らしながら、帰路についていく。
俺も、来週の作業予定を確認した後、事務所を出て、自宅に向かって車を走らせていた。
だが、俺の頭の中には、にとりとひなの事が巡っていた。
あいつら、まだ生きているかな・・・
ぱちゅりーの群れと、和解できていないかな・・・
子ゆっくりたちは、どうしているかな・・・
自宅に戻り、着替えた後でも、妻と向かい合って座り、夕食を摂っているときも、なかなか頭から離れなかった。
『ねえあなた・・・なんか元気がないわね。お仕事で何かありました?』
『ん・・・』
『ん・・・』
妻にその様子を感づかれたか。
まあ、仕事の話でも無いし、話してみるか。
まあ、仕事の話でも無いし、話してみるか。
『仕事とはちょっと違うけどね。双葉山に、珍しいゆっくりが住んでてね・・・』
俺は、にとりとひなの事、ぱちゅりーの群れとの確執の事を話した。
『え、それって・・・ひどいじゃない。群れに入るか出て行かないと、殺すって言ったの?』
『縄張りの中に住んでるからな』
『放って置けばいいじゃない。誘拐未遂だっけ、それだって放って置いてあげれば、起きなかったんでしょう』
『なんていうか・・・この家の使っていない部屋に、突然知らない人間が住み着いて生活を始めた・・・様なものだよ。
極端な言い方に聞こえるだろうけど、ゆっくりの縄張り意識って、そんなものだ』
『縄張りの中に住んでるからな』
『放って置けばいいじゃない。誘拐未遂だっけ、それだって放って置いてあげれば、起きなかったんでしょう』
『なんていうか・・・この家の使っていない部屋に、突然知らない人間が住み着いて生活を始めた・・・様なものだよ。
極端な言い方に聞こえるだろうけど、ゆっくりの縄張り意識って、そんなものだ』
知らないけど、多分。
でも確かに、ぱちゅりーが、にとりとひなを出て行かせようとした理由ははっきり分かっていないな。
縄張り意識が原因だったら、幹部のれいむが来た時点で、黙認されることもなかっただろう。いくら権限がないとは言え、
幹部の名において、立ち退きか群れの傘下に収まるかの宣告ぐらいはするはずだ。
正直俺も、長のぱちゅりーの立退き勧告、まりさの誘拐未遂の話を聞いたとき、展開の速さに驚いた。
群れに何があったのだろうか。
でも確かに、ぱちゅりーが、にとりとひなを出て行かせようとした理由ははっきり分かっていないな。
縄張り意識が原因だったら、幹部のれいむが来た時点で、黙認されることもなかっただろう。いくら権限がないとは言え、
幹部の名において、立ち退きか群れの傘下に収まるかの宣告ぐらいはするはずだ。
正直俺も、長のぱちゅりーの立退き勧告、まりさの誘拐未遂の話を聞いたとき、展開の速さに驚いた。
群れに何があったのだろうか。
『ねえ、だったら、そのにとりちゃんとひなちゃん、うちで飼ってあげたら』
『え、飼う』
『希少種って言うんでしょう、にとりちゃんとひなちゃん。野生ゆっくりでも、ゲス化しにくくて飼いやすいって聞いたし』
『え、飼う』
『希少種って言うんでしょう、にとりちゃんとひなちゃん。野生ゆっくりでも、ゲス化しにくくて飼いやすいって聞いたし』
そうか、逃げ場が無いなら、俺が保護してやればいい。
そういえば俺、飼いゆっくりにならないかって、声をかけたことあったな。にとりも、悪い返事はしなかった。
珍しいゆっくりを飼うのは、俺も悪い気はしないし。
そういえば俺、飼いゆっくりにならないかって、声をかけたことあったな。にとりも、悪い返事はしなかった。
珍しいゆっくりを飼うのは、俺も悪い気はしないし。
『いいか?』
『ええ、もちろん』
『わかった』
『ええ、もちろん』
『わかった』
俺は笑顔で返事をした。久しぶりに心から笑えた気がした。
明日、ゆっくりを迎えにいこう。休日に私服で山に行くのはあまり良くないんだが・・・まあいいだろう。
その夜は妻と、名前は何にしましょうか、いや名前は「にとり」と「ひな」だ、などとちょっとずれた会話をしながら、
寝についた。
明日、ゆっくりを迎えにいこう。休日に私服で山に行くのはあまり良くないんだが・・・まあいいだろう。
その夜は妻と、名前は何にしましょうか、いや名前は「にとり」と「ひな」だ、などとちょっとずれた会話をしながら、
寝についた。
そして次の日。
俺はインターネットでゆっくりの飼い方について検索し、該当ページをプリントアウトしておいた。
双葉山の途中にペットショップがあるから、必要なものもそこで買おうと思ったのだ。
午前中に家を出て、車に乗り込む。しかし、俺は、
俺はインターネットでゆっくりの飼い方について検索し、該当ページをプリントアウトしておいた。
双葉山の途中にペットショップがあるから、必要なものもそこで買おうと思ったのだ。
午前中に家を出て、車に乗り込む。しかし、俺は、
『・・・』
変な焦燥感に襲われていた。
車の速度が普段より遅い気がして、何度も最高速度をオーバーしかけた。信号の停止時間が普段の3倍に感じた。
ペットショップに寄って、水槽とゆっくりフードを買おうとしたが、素通りしてしまった。
車の速度が普段より遅い気がして、何度も最高速度をオーバーしかけた。信号の停止時間が普段の3倍に感じた。
ペットショップに寄って、水槽とゆっくりフードを買おうとしたが、素通りしてしまった。
『帰りに買おう、帰りに・・・にとりとひなに選ばせて・・・』
そんなことを言い訳のように呟きつつ、自分自身が急いでいる理由を落ち着いて頭の中で反復した。
殺される。
にとりとひなが、ぱちゅりーどもに殺される。
そう、昨夜は、にとりとひなを救う手立てを見つけたことに舞い上がり、あいつらが今どういう状況にあるかを忘れていた。
ぱちゅりーの群れとの戦端が開かれてから、もう何日か過ぎている。
ひょっとしたら、あの家族は、もう潰されて居ないかもしれないのだ。
殺される。
にとりとひなが、ぱちゅりーどもに殺される。
そう、昨夜は、にとりとひなを救う手立てを見つけたことに舞い上がり、あいつらが今どういう状況にあるかを忘れていた。
ぱちゅりーの群れとの戦端が開かれてから、もう何日か過ぎている。
ひょっとしたら、あの家族は、もう潰されて居ないかもしれないのだ。
『くそっ・・・』
そして双葉山についた。
車を停車させるまでは意識して落ち着いていたが、車を降りてからは全力疾走だった。
双葉山への扉をくぐると、すぐに道をそれ、にとりとひなの住処に向かって駆ける。
大分踏み慣らされた草地を抜け、そこに辿り着いた。
そこは、にとりと、ひなが住処にしていた小川。
普段なら、にとりとひなの番とその子ゆっくりたちが、しあわせな生活を送っているはずなのに。
俺の目前に現れたのは、傷ついたにとり、気絶しているひな、潰されたまりさの死骸が4つ、そして潰されたにとりとひなの子ゆっくり。
車を停車させるまでは意識して落ち着いていたが、車を降りてからは全力疾走だった。
双葉山への扉をくぐると、すぐに道をそれ、にとりとひなの住処に向かって駆ける。
大分踏み慣らされた草地を抜け、そこに辿り着いた。
そこは、にとりと、ひなが住処にしていた小川。
普段なら、にとりとひなの番とその子ゆっくりたちが、しあわせな生活を送っているはずなのに。
俺の目前に現れたのは、傷ついたにとり、気絶しているひな、潰されたまりさの死骸が4つ、そして潰されたにとりとひなの子ゆっくり。
「やあ、めいゆう・・・やられたよ」
8.
ぱんぱんと、手についた土を払った。
俺の目の前にあるのは子にとりと子ひなの墓。
憔悴しているにとりとひなの替わりに、土に埋めてやった。
因みに、襲撃してきたまりさの死骸は、住処から少し離れた所に穴を掘り、無縁塚のように放り込んだ。
ぱんぱんと、手についた土を払った。
俺の目の前にあるのは子にとりと子ひなの墓。
憔悴しているにとりとひなの替わりに、土に埋めてやった。
因みに、襲撃してきたまりさの死骸は、住処から少し離れた所に穴を掘り、無縁塚のように放り込んだ。
『おちびちゃんのお墓、出来たぞ』
「・・・ゆ・・・ありがとう、めいゆう」
「・・・ゆ・・・ありがとう、めいゆう」
- 悲しかった。
俺は間に合わなかった。
子ゆっくりを守れなかったし、にとりとひなも、飼いゆっくりになることを拒否した。
恐らく、ぱちゅりーの群れのゆっくりを、一匹でも多く殺し、死ぬつもりなのだろう。
俺の守ってやりたかったものは、全て俺の手から滑り落ちた。
子ゆっくりを守れなかったし、にとりとひなも、飼いゆっくりになることを拒否した。
恐らく、ぱちゅりーの群れのゆっくりを、一匹でも多く殺し、死ぬつもりなのだろう。
俺の守ってやりたかったものは、全て俺の手から滑り落ちた。
「おちびちゃん・・・」
「くるくる・・・おちびちゃん・・・」
「くるくる・・・おちびちゃん・・・」
にとりとひなは、お墓の前にお菓子を置いた。俺が前回来た時に、にとりに渡したものだ。
お墓の前で両手、というか髪を両手のように合わせて、子の冥福を祈る親ゆっくり。俺も「ゆんごく」に行ける様に、一緒に祈った。
果たしてにとりとひなの心中はいかなるものだろう。
葬式が終わった後、俺は色々気まずく、帰ろうとするタイミングを図っていたのだが、それを察するようににとりは、
俺に世間話を投げかけて、俺を帰すまいとしていた。
その様子を見て俺は、にとりとひなは寂しがっている・・・そう思った。
子ゆっくりが死んだことで、にとりとひなを縛っていた枷は外れた。もうこの住処に留まる理由はない。
生き続けたいと思うなら、別の土地に逃避すればいい。
ぱちゅりー達に怒っているのならば、逃げたゆっくりを追って群れを襲い玉砕すればいい。
ここに留まり、座して死を待つのは、子ゆっくりに死なれた悲しみから、死に場所を探しているのだろう。
恐怖心も、怒りもない。あるのは悲しみ、そして死の甘受、だがその寂しさ。
お墓の前で両手、というか髪を両手のように合わせて、子の冥福を祈る親ゆっくり。俺も「ゆんごく」に行ける様に、一緒に祈った。
果たしてにとりとひなの心中はいかなるものだろう。
葬式が終わった後、俺は色々気まずく、帰ろうとするタイミングを図っていたのだが、それを察するようににとりは、
俺に世間話を投げかけて、俺を帰すまいとしていた。
その様子を見て俺は、にとりとひなは寂しがっている・・・そう思った。
子ゆっくりが死んだことで、にとりとひなを縛っていた枷は外れた。もうこの住処に留まる理由はない。
生き続けたいと思うなら、別の土地に逃避すればいい。
ぱちゅりー達に怒っているのならば、逃げたゆっくりを追って群れを襲い玉砕すればいい。
ここに留まり、座して死を待つのは、子ゆっくりに死なれた悲しみから、死に場所を探しているのだろう。
恐怖心も、怒りもない。あるのは悲しみ、そして死の甘受、だがその寂しさ。
『今まで、両親以外の、どんなゆっくりと付き合ってたことがある?』
「そうだね、いぜん、さなえがおさをつとめるむれがあってね・・・」
「そうだね、いぜん、さなえがおさをつとめるむれがあってね・・・」
結局は、ゆっくりの社会にありふれた悲劇の1つに、俺は偶然関わったに過ぎない。
住処の問題の解決方法は「おうちせんげん」しかない。数多くのゆっくりに悲劇を生んだ、欠陥だらけの解決方法だ。
通常種と希少種の差別意識は、昔から有る問題で、その解決方法は人間にすら出せていない。
ぱちゅりーの群れも、にとりとひなも、お互いがお互いに、間違った事と間違っていない事をし、そして起きた結果なのだ。
まして俺は第三者、人間でありゆっくりですらない。ゆっくりの社会にありふれた悲劇の、起きた結果を見ることしか出来ない。
住処の問題の解決方法は「おうちせんげん」しかない。数多くのゆっくりに悲劇を生んだ、欠陥だらけの解決方法だ。
通常種と希少種の差別意識は、昔から有る問題で、その解決方法は人間にすら出せていない。
ぱちゅりーの群れも、にとりとひなも、お互いがお互いに、間違った事と間違っていない事をし、そして起きた結果なのだ。
まして俺は第三者、人間でありゆっくりですらない。ゆっくりの社会にありふれた悲劇の、起きた結果を見ることしか出来ない。
- そして時は経ち、カラスの鳴き声が聞こえた。
空を見上げれば、日は傾き始めている。
俺もにとりもひなも、思わず長く空を見上げてしまった。
俺もにとりもひなも、思わず長く空を見上げてしまった。
- にとりが申し訳なさそうに、別れの時をつむぐ為に口火を切った。
「おそくなってしまったね、めいゆう。ちょっとはなしすぎちゃったよ」
『いや、いいよ。気にするなよ、話できてよかった。いや、おちびちゃんは本当に残念だったが・・・』
「くるくる・・・おそくまでわたしたちにつきあってくれて・・・ありがとうございます」
「めいゆうにつきあわせてしまって、わるかったよ」
『ん・・・』
『いや、いいよ。気にするなよ、話できてよかった。いや、おちびちゃんは本当に残念だったが・・・』
「くるくる・・・おそくまでわたしたちにつきあってくれて・・・ありがとうございます」
「めいゆうにつきあわせてしまって、わるかったよ」
『ん・・・』
いい加減しつこい自分に情けないと思ったが、最後のチャンスだ。
にとりとひなに、飼いゆっくりなってくれるよう、声をかける。
にとりとひなに、飼いゆっくりなってくれるよう、声をかける。
『なあ、思い直してくれないか。俺の所に来て飼いゆっくりになってくれ』
「うん、わるいけど・・・」
『このままぱちゅりーの群れに殺されても、死んだ子ゆっくりは決して喜ばない。悲しむだけだ。それに、』
「うん、わるいけど・・・」
『このままぱちゅりーの群れに殺されても、死んだ子ゆっくりは決して喜ばない。悲しむだけだ。それに、』
お別れになればもう二度と、俺はにとりとひなに会うことはない。俺は禁断の言葉を口にする。
『おちびちゃんなら又作ればいい。行き続ければそれができる』
最後の賭けのつもりで言った言葉は、しかし、
「ありがとう。でもにとりにとってのおちびちゃんは、おはかのしたにいる、あのおちびちゃんだけだ」
眉一つ動かさず、笑顔で返された。
俺は、そうか、と一つ呟いて、立ち上がった。
俺は、そうか、と一つ呟いて、立ち上がった。
『残念だな。俺は、お前さんと話していると、まるで人間と話をしているようだったよ』
「ははは、じゃあかいゆっくりにはにあわないよ。ぺっとって、かいぬしのまえで、ゆっくりだけをするものだろ?」
『そう、だな・・・それじゃな』
「ははは、じゃあかいゆっくりにはにあわないよ。ぺっとって、かいぬしのまえで、ゆっくりだけをするものだろ?」
『そう、だな・・・それじゃな』
俺は片手を挙げて挨拶をすると、にとりとひなの住処を去った。
もはや、頭の中は真っ白だ。
はっ、と気がつくと車のドアに手をかけていた。にとりとひなの住処から、駐車場まで歩いた記憶がない。
いけない、こんな精神状態で車を走らせたら事故を起こす。
俺は深呼吸をして気分を落ち着け、普段に増して、安全運転をして家に帰った。
家に帰ると妻に、遅くなったことを詫び、にとりとひなの一件を話し、飼いゆっくりは拒まれた事を伝えた。
元々情に脆い妻は、話を聞いて泣いた。
もはや、頭の中は真っ白だ。
はっ、と気がつくと車のドアに手をかけていた。にとりとひなの住処から、駐車場まで歩いた記憶がない。
いけない、こんな精神状態で車を走らせたら事故を起こす。
俺は深呼吸をして気分を落ち着け、普段に増して、安全運転をして家に帰った。
家に帰ると妻に、遅くなったことを詫び、にとりとひなの一件を話し、飼いゆっくりは拒まれた事を伝えた。
元々情に脆い妻は、話を聞いて泣いた。
(にとりよ、おまえの不幸を悲しむ人が、又一人いたぞ。)
俺は、明日も知れないにとりのことを思った。
9.
月曜日になった。
いい加減にとりとひなのことは吹っ切れたつもりだった。いや、今はもう、2匹は生きていないかもしれないが。
なるべく作業に没頭して、いやなことは思い出さないようにするに限る。
俺は、メールで送られてきた文章をプリントアウトし、課長のところに持っていく。
月曜日になった。
いい加減にとりとひなのことは吹っ切れたつもりだった。いや、今はもう、2匹は生きていないかもしれないが。
なるべく作業に没頭して、いやなことは思い出さないようにするに限る。
俺は、メールで送られてきた文章をプリントアウトし、課長のところに持っていく。
『課長、ちょっとよろしいでしょうか』
『おう、どうした』
『双葉山の山小屋の件の、業者の注文書です。後日、判を押されたものを頂いて来ます』
『うん、御苦労。ああ、後さ』
『はい』
『午後にでもゆっくりショップに行って、ゆっくりフードを買ってきてくれるか。ちょっと高級なやつを。
領収書切って。ぱちゅりーの懐柔用のやつさ』
『ああ・・・はい・・・』
『はは、なんだよ、嫌か?』
『いえ、失礼。そんなことはありませんが・・・』
『おう、どうした』
『双葉山の山小屋の件の、業者の注文書です。後日、判を押されたものを頂いて来ます』
『うん、御苦労。ああ、後さ』
『はい』
『午後にでもゆっくりショップに行って、ゆっくりフードを買ってきてくれるか。ちょっと高級なやつを。
領収書切って。ぱちゅりーの懐柔用のやつさ』
『ああ・・・はい・・・』
『はは、なんだよ、嫌か?』
『いえ、失礼。そんなことはありませんが・・・』
ゆっくりの話になって、つい、にとりとひなを思い出してしまった。
でも、一応話しておくか、全くの無関係ではないし・・・
でも、一応話しておくか、全くの無関係ではないし・・・
『ええ、実は・・・』
俺は、土曜日あったことを、課長に話した。
『ま、そういうわけで・・・』
『そんなことがあったのか・・・でもお前、あんまり、休日に山行くなよ』
『あ、すみません』
『それはともかく、縄張り争いが戦争になったわけか。じゃあ、にとりとひなも、今頃は・・・』
『まあ、分からないですけど、生きていたとしても、近いうちに・・・』
『そうか』
『だからと言って、どうということはないですけどね』
『そんなことがあったのか・・・でもお前、あんまり、休日に山行くなよ』
『あ、すみません』
『それはともかく、縄張り争いが戦争になったわけか。じゃあ、にとりとひなも、今頃は・・・』
『まあ、分からないですけど、生きていたとしても、近いうちに・・・』
『そうか』
『だからと言って、どうということはないですけどね』
席に戻り、ゆっくりショップの場所を検索する。
なんだ、近場に無いじゃないか。俺の家より遠くに一軒有るだけだ。片道1時間半もかかる。
面倒くさいな、電話で発注するか。
と思ったが、電話で発注するほど大量に買うわけじゃない。税金の無駄である。
仕方なく、午後一で事務所を出て、車でゆっくりショップに向かった。
あんまりのんびりするのも良くないが、初めての物珍しさから、店内を少し見て回る。
なんだ、近場に無いじゃないか。俺の家より遠くに一軒有るだけだ。片道1時間半もかかる。
面倒くさいな、電話で発注するか。
と思ったが、電話で発注するほど大量に買うわけじゃない。税金の無駄である。
仕方なく、午後一で事務所を出て、車でゆっくりショップに向かった。
あんまりのんびりするのも良くないが、初めての物珍しさから、店内を少し見て回る。
「ゆっくりしていってね!!!ゆっくりしていってね!!!」
「とかいはなおにいさん!ありすといっしょにゆっくりしましょう!」
「ゆっきゅりしちぇいっちぇくだしゃいね!」
「おお、ゆっくりゆっくり」
「とかいはなおにいさん!ありすといっしょにゆっくりしましょう!」
「ゆっきゅりしちぇいっちぇくだしゃいね!」
「おお、ゆっくりゆっくり」
れいむ、まりさ、ありすなどといった基本種から、さなえ、らん、きめぇまるといった希少種もいる。
胴付きのゆっくりというのも驚かされた。人間と変わらない。頭と胴体の比率がおかしくて、まるで幼女のようだが。
金バッチのゆっくりともなると高いが、銅バッチなら安い、子供の小遣いでも買える。
にとり、ひなも売っていた。慰めに買ってみようか・・・とちょっと思ったが、まあ今は止めておこう・・・。
さて、時間潰しはもういい。上から数えたほうが早いぐらいの、ちょっとランクの高いゆっくりフードを多目に買うと、
再び車で事務所に戻った。
もう4時だ。
胴付きのゆっくりというのも驚かされた。人間と変わらない。頭と胴体の比率がおかしくて、まるで幼女のようだが。
金バッチのゆっくりともなると高いが、銅バッチなら安い、子供の小遣いでも買える。
にとり、ひなも売っていた。慰めに買ってみようか・・・とちょっと思ったが、まあ今は止めておこう・・・。
さて、時間潰しはもういい。上から数えたほうが早いぐらいの、ちょっとランクの高いゆっくりフードを多目に買うと、
再び車で事務所に戻った。
もう4時だ。
『ただいま戻りました』
『お、お帰り。ちょうどいいところに戻ってきた』
『?どういう意味です』
『双葉山のぱちゅりーの群れの件でな、別の対応策を考えたんだ』
『別の?ゆっくりフードで懐柔じゃなくて?どんなです?』
『お、お帰り。ちょうどいいところに戻ってきた』
『?どういう意味です』
『双葉山のぱちゅりーの群れの件でな、別の対応策を考えたんだ』
『別の?ゆっくりフードで懐柔じゃなくて?どんなです?』
俺は荷物を置きながら、課長の話を聞く。その方法とは・・・
『どうだ、単純だが、理に適ってるだろ』
『ええ、まあ・・・なるほど。ていうか、方針が180度変わりましたね』
『懐柔と比べるとな。それはともかく、確認のため、お前毎日、双葉山の確認に行ってくれ』
『ええ!マジですか?!必要なのはわかりますけど・・・』
『その代わり、今日からお前4時あがりでいいから』
『はあ、それなら。ゆっくりフード如何しましょう』
『棚に入れとけ。うまく行くとは限らないから、使うかもしれん』
『はい』
『ええ、まあ・・・なるほど。ていうか、方針が180度変わりましたね』
『懐柔と比べるとな。それはともかく、確認のため、お前毎日、双葉山の確認に行ってくれ』
『ええ!マジですか?!必要なのはわかりますけど・・・』
『その代わり、今日からお前4時あがりでいいから』
『はあ、それなら。ゆっくりフード如何しましょう』
『棚に入れとけ。うまく行くとは限らないから、使うかもしれん』
『はい』
俺は手早く片づけを済ます。
『じゃあ、双葉山に行って、そのまま直帰します』
『わかった。確認取れたら、必ず俺に連絡を入れるんだぞ。あと工事は来週以降って業者に連絡入れておけ。明日でいい』
『はい』
『わかった。確認取れたら、必ず俺に連絡を入れるんだぞ。あと工事は来週以降って業者に連絡入れておけ。明日でいい』
『はい』
俺は上司から言い渡された秘策を胸に、事務所を出た。
双葉山に向かう。おととい会った、にとりとひなを思い出す。
何も考えない。にとりとひなの姿を思い描くだけだ。もう、俺に出来ることなど何も無い。俺は傍観者なのだ。
双葉山に着く。車を止め降りる、山へ向かう扉をくぐる。
静かに歩く、歩く、歩く。にとりとひなの住処へ。
ここも歩きなれた、急げ、急ぐな、ゆっくり急げ。
俺は、ここを始めて歩いた時を思い出す。無理やり思い出す。
声が聞こえて、その声の主を気まぐれで追った、そして会った。
遠くに小川が見える。にとりとひなが住んでいた、あの小川。
俺はすぐ近くの大木に身を潜める。覗き見る。顔だけ出して、にとりの姿を探す、探す、遠すぎたか、見えない、
見えない、探す、探す、目を凝らす、凝らす。
何も考えない。にとりとひなの姿を思い描くだけだ。もう、俺に出来ることなど何も無い。俺は傍観者なのだ。
双葉山に着く。車を止め降りる、山へ向かう扉をくぐる。
静かに歩く、歩く、歩く。にとりとひなの住処へ。
ここも歩きなれた、急げ、急ぐな、ゆっくり急げ。
俺は、ここを始めて歩いた時を思い出す。無理やり思い出す。
声が聞こえて、その声の主を気まぐれで追った、そして会った。
遠くに小川が見える。にとりとひなが住んでいた、あの小川。
俺はすぐ近くの大木に身を潜める。覗き見る。顔だけ出して、にとりの姿を探す、探す、遠すぎたか、見えない、
見えない、探す、探す、目を凝らす、凝らす。
にとりの帽子。
ひなの、リボン・・・。
潰れた、潰された、ゆっくり。青い青い、緑色の髪。
がさり。
足元で音がした。なんてこと無い。俺の足音。
前に進め、と、脳が指示を、出さ、なくても、俺は、前に、
にとりとひなの住処に、ここはにとりとひなの住処だ。間違いない、だってにとりが、ひなが、ここに、居て、
俺は、こんな結果を、こんなことになるのを望んでなかった、なのに、なんで、なんで、なんで、なんで、
あいつが、なにを、なんで、なんで、なんで 、なん、で
足元で音がした。なんてこと無い。俺の足音。
前に進め、と、脳が指示を、出さ、なくても、俺は、前に、
にとりとひなの住処に、ここはにとりとひなの住処だ。間違いない、だってにとりが、ひなが、ここに、居て、
俺は、こんな結果を、こんなことになるのを望んでなかった、なのに、なんで、なんで、なんで、なんで、
あいつが、なにを、なんで、なんで、なんで 、なん、で
にとりとひなは死んだ。ぱちゅりーの群れによって。
理由は、縄張り争い。
俺は、周りを見渡す。まりさが十数匹、ちぇんとみょんが4匹、れいむが2匹、ありすが1匹、死んでいた。
俺は、にとりとひなの亡骸を、両手ですくうように持ち上げ、子ゆっくりの墓の傍に持っていった。
墓は荒らされていなかったが、供えられていたはずのお菓子は、無くなっていた。
子ゆっくりの墓の隣に、また穴を掘り、にとりとひなの亡骸を、埋めた。
ただ、にとりの帽子と、ひなのリボンは、形見にもらった。
他のゆっくりの死骸は放置し、俺は双葉山を出て駐車場に戻る。携帯を取り出し、課長に連絡を取る。
理由は、縄張り争い。
俺は、周りを見渡す。まりさが十数匹、ちぇんとみょんが4匹、れいむが2匹、ありすが1匹、死んでいた。
俺は、にとりとひなの亡骸を、両手ですくうように持ち上げ、子ゆっくりの墓の傍に持っていった。
墓は荒らされていなかったが、供えられていたはずのお菓子は、無くなっていた。
子ゆっくりの墓の隣に、また穴を掘り、にとりとひなの亡骸を、埋めた。
ただ、にとりの帽子と、ひなのリボンは、形見にもらった。
他のゆっくりの死骸は放置し、俺は双葉山を出て駐車場に戻る。携帯を取り出し、課長に連絡を取る。
- にとりとひなの死を知らせる。
『・・・そうか、分かった。いきなりだったな』
『はい・・・じゃあ、明日?』
『おう、みんなに声掛けておく。お前も明日は、双葉山に直行しろ。7時な』
『分かりました。加工所の方も?』
『加工所も、俺が連絡しておく。お前は帰って休め。大丈夫か?』
『ああ、大丈夫です大丈夫です。じゃ、お先に失礼します・・・』
『おう、お疲れ』
『はい・・・じゃあ、明日?』
『おう、みんなに声掛けておく。お前も明日は、双葉山に直行しろ。7時な』
『分かりました。加工所の方も?』
『加工所も、俺が連絡しておく。お前は帰って休め。大丈夫か?』
『ああ、大丈夫です大丈夫です。じゃ、お先に失礼します・・・』
『おう、お疲れ』
俺は車に乗り込む。
にとりとひなに別れを言った前回とは違い、今度は頭がすっきりしていた。
明日は早い。気落ちしている余裕は、今の俺には無い。
にとりとひなに別れを言った前回とは違い、今度は頭がすっきりしていた。
明日は早い。気落ちしている余裕は、今の俺には無い。
10.
次の日の朝、双葉山につくと、事務所の人間が集まっていた。
特に若者が元気だ。こういう場合、早朝に慣れない若者は少し元気がない事が多いから、これは良いことだ。
次の日の朝、双葉山につくと、事務所の人間が集まっていた。
特に若者が元気だ。こういう場合、早朝に慣れない若者は少し元気がない事が多いから、これは良いことだ。
『おはようございます!』
『『『おはようございます!』』』
『課長、おはようございます』
『おう、おはよう。昨日はごくろうさんな』
『いえ。』
『『『おはようございます!』』』
『課長、おはようございます』
『おう、おはよう。昨日はごくろうさんな』
『いえ。』
俺は、課長から大きな袋と、軍手を受け取る。
若くて体格のいい連中は、緑色の大きな網が渡された。
若くて体格のいい連中は、緑色の大きな網が渡された。
そして、7時になった。事務所の人間は皆集合した。ざっと30人か。
『よし、いくぞ!』
『『『はい!』』』
『『『はい!』』』
一斉に双葉山に登っていく。向かうは勿論、ぱちゅりーの群れである。
ゆっくりどもは、双葉山を自分の領土として、人間達に主張してきた。
別に根拠は無いが、対応が面倒であるため、その主張を認めてやった。
だが、その主張とはまったく別の角度の、大義名分があれば、どうなるか。
ゆっくりどもは、双葉山を自分の領土として、人間達に主張してきた。
別に根拠は無いが、対応が面倒であるため、その主張を認めてやった。
だが、その主張とはまったく別の角度の、大義名分があれば、どうなるか。
「むむ、にんげんたちがきたみょん!」
「たくさんでおしかけて、ゆっくりしてないみょん、なんのようだみょん!」
「たくさんでおしかけて、ゆっくりしてないみょん、なんのようだみょん!」
ぱちゅりーの群れにたどり着く。入り口にみはりのみょんが4匹いる。
みょんの言うことは無視し、素早く4匹とも掴み、袋に放り込んだ。
みょんの言うことは無視し、素早く4匹とも掴み、袋に放り込んだ。
「ゆゆ!おそら!!」
「な、なにするみょん!!」
「な、なにするみょん!!」
そんな悲鳴にいちいち返事するはずが無い。皆一様に群れの中に入り込んでいく。
緑の網を持った連中だけが、網を広げて、入り口に陣取った。
群れが静かだと思って進んでみると、ゆっくり達は子ゆっくりも含めて、全員が長の家の前に並んでいた。
ぱちゅりーは演説台の切り株に立ち、何やら話している。
全体朝礼でもやっていたのだろうか。なかなか壮観だ。
ゆっくりどもは、突然の人間の襲来に驚き手間取っていた。
緑の網を持った連中だけが、網を広げて、入り口に陣取った。
群れが静かだと思って進んでみると、ゆっくり達は子ゆっくりも含めて、全員が長の家の前に並んでいた。
ぱちゅりーは演説台の切り株に立ち、何やら話している。
全体朝礼でもやっていたのだろうか。なかなか壮観だ。
ゆっくりどもは、突然の人間の襲来に驚き手間取っていた。
「にんげんだよ、にんげんがたくさんきたよ!」
「みょんが!みょんがつかまってるよ!!」
「なにしにきたのぉおおお!!」
「みょんが!みょんがつかまってるよ!!」
「なにしにきたのぉおおお!!」
長のぱちゅりーが眼を見開いて喰って掛かる。
「むきょぉおおおお!!なにをしているのにんげんたちぃいいいい!!みょんをはなしなさいいいいいい!!」
『はいはい、ゆっくりゆっくり』
「ゆっくりできるわけないでしょおおおおおおおお!!!どうしてこんなことをするのよおおおおおおお!!!」
『はいはい、ゆっくりゆっくり』
「ゆっくりできるわけないでしょおおおおおおおお!!!どうしてこんなことをするのよおおおおおおお!!!」
そういうやりとりの間に、群れのゆっくりの周りに各自立ち、なるべく逃げられないようにする。
「なんとかいいなさいこのげすにんげんんんんん!!!こんなりふじんなぼうりょくはゆるされないわあああああ!!!」
「そうだそうだ!!!こんなくそにんげんどもなんかせいっさいしちゃえ!!!」
「いいきかいなんだぜえええええ、ちょうしにのりすぎのにんげんどもにめにものみせるのぜえええええ!!!」
『五月蝿いぞゆっくりども!お前ら川岸に住むにとりとひなを殺しただろ!!』
「そうだそうだ!!!こんなくそにんげんどもなんかせいっさいしちゃえ!!!」
「いいきかいなんだぜえええええ、ちょうしにのりすぎのにんげんどもにめにものみせるのぜえええええ!!!」
『五月蝿いぞゆっくりども!お前ら川岸に住むにとりとひなを殺しただろ!!』
突然の人間の大声に、ゆっくりどもは驚いて静まり返った。
長のぱちゅりーだけが、今の言葉を理解し始めた。にとりとひなといえば、あの不法侵入したゲスゆっくりしかいない。
長のぱちゅりーだけが、今の言葉を理解し始めた。にとりとひなといえば、あの不法侵入したゲスゆっくりしかいない。
「むきゅう・・・あのげすなにとりとひなが、どうかしたの?」
ここで課長は、一旦呼吸を整える。周りのみんなも一斉に身構えた。
そして、高らかに宣言した。
そして、高らかに宣言した。
『お前たちは人間と同盟関係にあったにとりとひなを殺した!その制裁としてお前らを全員加工所送りにする!』
そして、俺たちは一斉に捕獲作業を開始した。
目の前に居るゆっくりどもを、次々に掴んで袋に放り込む。
目の前に居るゆっくりどもを、次々に掴んで袋に放り込む。
「ゆわあああああやめなさい!!!いなかものおおおおおおおおおおおおお!!!」
「やめてねえええええ!!!ゆっくりしてないよおおおおおおおおおお!!!」
「まりさああああああああああああ!!!おさあああああああああああ!!!たすけてええええええええええええええ!!!」
「やめてねえええええ!!!ゆっくりしてないよおおおおおおおおおお!!!」
「まりさああああああああああああ!!!おさあああああああああああ!!!たすけてええええええええええええええ!!!」
俺達の新たな対策とは。
ゆっくりが想像出来ない、全く別の大義名分を持って、群れを滅ぼすこと。
にとりとひなを、出汁に使ったのだ。
ぱちゅりーの群れは、狩りも、外敵からの防衛も、教育も福祉も一流だった。
だが、唯一つ、外交が弱かった。他の群れや人間とのコミュニケーションは、担当する幹部はおらず、長が兼任していた。
もしぱちゅりーが何か事情があって、別の群れに攻め込みたいと考えたら、その周りの群れに話しを持ち込むだろう。
周りの群れと同盟を結ぶか、最低でも不介入の約束を取り付けるはずだ。
更に、攻め込む群れと交易を行っている群れがあれば、その損害はどう補償するか、新たな境界はどうするか。
こういった問題を解決してから、戦いを挑むはずだ。
だが今回は、にとりとひなを、たかが一家族とみて舐めすぎ、滅ぼすことのリスクを軽視していた。
金網で遮られていたとはいえ、人間と隣接する場所に住んでいたのだ。人間との関わりを疑うべきだった。
ゆっくりが想像出来ない、全く別の大義名分を持って、群れを滅ぼすこと。
にとりとひなを、出汁に使ったのだ。
ぱちゅりーの群れは、狩りも、外敵からの防衛も、教育も福祉も一流だった。
だが、唯一つ、外交が弱かった。他の群れや人間とのコミュニケーションは、担当する幹部はおらず、長が兼任していた。
もしぱちゅりーが何か事情があって、別の群れに攻め込みたいと考えたら、その周りの群れに話しを持ち込むだろう。
周りの群れと同盟を結ぶか、最低でも不介入の約束を取り付けるはずだ。
更に、攻め込む群れと交易を行っている群れがあれば、その損害はどう補償するか、新たな境界はどうするか。
こういった問題を解決してから、戦いを挑むはずだ。
だが今回は、にとりとひなを、たかが一家族とみて舐めすぎ、滅ぼすことのリスクを軽視していた。
金網で遮られていたとはいえ、人間と隣接する場所に住んでいたのだ。人間との関わりを疑うべきだった。
「やめてちょうだい!!!しらなかったのよおおお!!!にとりとひなが・・・エレエレエレ・・・」
『知らなかったで済むか!このゲスが!』
『知らなかったで済むか!このゲスが!』
捕獲の手はゆっくりどもの巣にも伸びる。巣の中を掻き回してみると、赤ゆっくりが居た。
「おちびちゃあああああん!!!にげてえええええええええ!!!」
「ゆゆ、にんげんしゃん、なにしちぇるの?」
「やめちぇにぇ、いちゃいことしないでにぇ・・・」
「ゆゆ、おちょらを!!」
「ゆゆ、にんげんしゃん、なにしちぇるの?」
「やめちぇにぇ、いちゃいことしないでにぇ・・・」
「ゆゆ、おちょらを!!」
巣から掻き出した赤ゆっくりは、透明の平べったいケースに並べて入れられた。
赤ゆっくりは多少丁寧に扱わないと、簡単に死んでしまうからだ。
赤ゆっくりは多少丁寧に扱わないと、簡単に死んでしまうからだ。
「ゆんやああああああ!!だしちぇえええええええ!!」
「おとうしゃんんん!!おかあしゃんん!!」
「おとうしゃんんん!!おかあしゃんん!!」
などと言っているが、助けなんぞ来るはずがない。
「おちびちゃんんんんん!!!おちびちゃんはだしてあげてねええええええ!!!」
「やめるんだぜええええ!!!おちびをはなせえええええええ!!!」
『五月蝿いぞ、静かにしろ(ゲシ)』
「ゆぎゃ!!」
「やめるんだぜええええ!!!おちびをはなせえええええええ!!!」
『五月蝿いぞ、静かにしろ(ゲシ)』
「ゆぎゃ!!」
更に、長の家も調べられた。
『おーい、長の家にありすが隠れてたぞう!』
『長の家?』
『長の家?』
俺と課長は顔を見合わせる。
『おお、本当だ』
「いやあああ、はなしなさい!!いなかものおおお!!」
『こいつ、部屋の隅っこで震えていやがったぜ、仲間を見捨てて生き延びるつもりだったのかなあ、ありすちゃん?』
「ありすは!ありすはちがうううううううう!!」
『待った!待った待った!』
「いやあああ、はなしなさい!!いなかものおおお!!」
『こいつ、部屋の隅っこで震えていやがったぜ、仲間を見捨てて生き延びるつもりだったのかなあ、ありすちゃん?』
「ありすは!ありすはちがうううううううう!!」
『待った!待った待った!』
俺は、ありすを袋詰めにしようとする職員をあわてて止める。課長も近づいてきた。
『ん、先輩。何ですか』
『いや、このありす・・・』
『いや、このありす・・・』
ぱちゅりーの群れの幹部にありすはいるがこんなに小さくは無い。幹部でもないゆっくりが、長の家に居るわけが無い。
逃げ惑って長の家に隠れたのなら、俺は気付いていたはずだ。
長の家で寝泊りし、長の演説にも参加しないゆっくり。こいつは・・・
逃げ惑って長の家に隠れたのなら、俺は気付いていたはずだ。
長の家で寝泊りし、長の演説にも参加しないゆっくり。こいつは・・・
『お前さん、隣の、ありすの群れのゆっくりだな』
震えているありすが、ゆっくりと俺の方を見る。恐怖で怯えながらも、俺の問いに答え始めた。
「そ、そうよ・・・」
『ぱちゅりーの群れに何か用事があって来てたのか』
「べっどさんをうって・・・かわりにごはんさんをうけとる、はずだったのよ・・・」
『べっど・・・』
『ぱちゅりーの群れに何か用事があって来てたのか』
「べっどさんをうって・・・かわりにごはんさんをうけとる、はずだったのよ・・・」
『べっど・・・』
部屋の奥を見ると、干草を編んで作った、鳥の巣のようなゆっくり用ベッドが10個ぐらい置いてあった。
更に足元に、どこかのコンビニのビニール袋。恐らくこれに入れて運んでいたのだろう。
なるほど、ゆっくり用の家具は、別の群れから買っていたのか。
更に足元に、どこかのコンビニのビニール袋。恐らくこれに入れて運んでいたのだろう。
なるほど、ゆっくり用の家具は、別の群れから買っていたのか。
『じゃあ、ご飯を受け取れば、お前さんの用事は済むわけだな。どれどれ』
俺は部屋を出た。この部屋が何に使われているのか知らなかったが、他所の群れの外交官用の貴賓室だったのだ。
俺は食糧庫に入る。課長と、ありすを手に乗せた後輩も着いてきた。
俺はビニール袋にご飯を詰め込みだした。特に林檎や柿などのあまあまは余さず入れた。
俺は食糧庫に入る。課長と、ありすを手に乗せた後輩も着いてきた。
俺はビニール袋にご飯を詰め込みだした。特に林檎や柿などのあまあまは余さず入れた。
「え、そんなに・・・」
『運べないか』
「はこべるけど、りょうきんにあわないし・・・」
『どうせこの群れは今日滅ぶ。ゆっくりのご飯は人間は食べられないから捨てるしかない。お前さんが持っていけ』
「ひっ・・・」
『運べないか』
「はこべるけど、りょうきんにあわないし・・・」
『どうせこの群れは今日滅ぶ。ゆっくりのご飯は人間は食べられないから捨てるしかない。お前さんが持っていけ』
「ひっ・・・」
袋に詰め終わった。後輩はありすを地面に置いた。俺はビニールをありすに咥えさせる。
『ありす、群れに帰ったらこう伝えろ。ぱちゅりーの群れは、人間の同盟国だったにとりの群れを滅ぼしたため、
制裁した。以後、ぱちゅりーの縄張りは、人間が引き継ぐ、と。』
「わ、わかったわ。それじゃ!」
制裁した。以後、ぱちゅりーの縄張りは、人間が引き継ぐ、と。』
「わ、わかったわ。それじゃ!」
そういうとありすは、あんよで背中を蹴る勢いで、逃げるように去っていった。
『好都合ですね』
『ああ、群れを滅ぼした理由が、すぐ山中に広まる』
『あとは、連中がこのことをどう受け取るかだな』
『ああ、群れを滅ぼした理由が、すぐ山中に広まる』
『あとは、連中がこのことをどう受け取るかだな』
さて、俺が群れの広間に視線を戻すと、ゆっくりの捕獲は完了していた。
「ゆうぅぅぅ・・・・・」
「たすけてえ・・・・」
「おちびだけは、おちびだけは・・・」
『済んだか』
『ええ、成体、子ゆっくり、赤ゆっくり合わせて90匹ってところですね』
「たすけてえ・・・・」
「おちびだけは、おちびだけは・・・」
『済んだか』
『ええ、成体、子ゆっくり、赤ゆっくり合わせて90匹ってところですね』
ゆっくりがぎっしり詰められた袋、赤ゆっくりが敷き詰められたケースが並べられた。
長のぱちゅりーは、かなりの量のクリームを吐いて気絶している。死なれてもつまらないし、
オレンジジュースをぶっ掛けたうえで、他のゆっくりどもとは別の袋に入れておいた。
長のぱちゅりーは、かなりの量のクリームを吐いて気絶している。死なれてもつまらないし、
オレンジジュースをぶっ掛けたうえで、他のゆっくりどもとは別の袋に入れておいた。
『これで・・・加工所の職員に引き渡して、終わりですかね・・・』
『集団誘拐みたいでぱっとしないなあ・・・何か制裁っぽい感じにしたいんだが・・・』
『そうですね、じゃあ・・・』
『集団誘拐みたいでぱっとしないなあ・・・何か制裁っぽい感じにしたいんだが・・・』
『そうですね、じゃあ・・・』
俺達は、ただ加工所に連れて行くだけではなく、制裁の儀式を行うことにした。それは・・・
「あじじじじじじじじ!!!あじゅいあじゅいあじゅいやめてえええええええええええ!!!」
「みょーーーん!!!しぬみょん!!しぬみょん!!たすけてみょーーーーーーん!!!」
「おろじてえええええ!!!あづい!!!あづい!!!おさああああ!れいむううううう!たずけで!!!」
「みょーーーん!!!しぬみょん!!しぬみょん!!たすけてみょーーーーーーん!!!」
「おろじてえええええ!!!あづい!!!あづい!!!おさああああ!れいむううううう!たずけで!!!」
公開処刑を行うことにした。
処刑方法は、ゆっくりを木に吊るし、下で焚き火を行うことによる、火あぶりの刑。
処刑対象は、軍事関係を取り仕切っていた幹部まりさと、適当にまりさ2匹、みょん2匹。
あんよだけを焼くような生易しいものじゃなく、下半身を炭になるまで焼いて、絶命させる。
処刑した5匹のゆっくりは、吊るしたまま放置だ。他の群れのゆっくりどもが、後日様子を見に来る可能性があるから、
処刑が行われたことを見せ付けるためだ。
ちなみに処刑対象から外れたゆっくりは、半分は震え上がり、半分は恐怖の余り気絶していた。
自分が処刑対象にならなくて良かった、などと思っているのだろう。
加工所に送られたほうが、よっぽど酷い目に遭わされるんだけどね・・・どうでもいいけど。
そして午後に、加工所のトラックが双葉山にやってきた。
捕獲した残りのゆっくりを引き渡した。これですっかり終わりだ。
処刑方法は、ゆっくりを木に吊るし、下で焚き火を行うことによる、火あぶりの刑。
処刑対象は、軍事関係を取り仕切っていた幹部まりさと、適当にまりさ2匹、みょん2匹。
あんよだけを焼くような生易しいものじゃなく、下半身を炭になるまで焼いて、絶命させる。
処刑した5匹のゆっくりは、吊るしたまま放置だ。他の群れのゆっくりどもが、後日様子を見に来る可能性があるから、
処刑が行われたことを見せ付けるためだ。
ちなみに処刑対象から外れたゆっくりは、半分は震え上がり、半分は恐怖の余り気絶していた。
自分が処刑対象にならなくて良かった、などと思っているのだろう。
加工所に送られたほうが、よっぽど酷い目に遭わされるんだけどね・・・どうでもいいけど。
そして午後に、加工所のトラックが双葉山にやってきた。
捕獲した残りのゆっくりを引き渡した。これですっかり終わりだ。
『あ、お疲れさまです』
『済んだな。これで工事は遅らせずに済みそうだな』
『ええ、事務所に戻りますか』
『そうだな・・・これで、他の群れのゆっくりどもも、大人しくしてくれればいいんだがな』
『駄目なら、ゆっくりフードでご機嫌とって。それでもがたがた言う様なら・・・』
『・・・そうだな・・・』
『済んだな。これで工事は遅らせずに済みそうだな』
『ええ、事務所に戻りますか』
『そうだな・・・これで、他の群れのゆっくりどもも、大人しくしてくれればいいんだがな』
『駄目なら、ゆっくりフードでご機嫌とって。それでもがたがた言う様なら・・・』
『・・・そうだな・・・』
皆、車で事務所に向かっていく。
俺は、にとりとひなの住処があった方を一瞥し、車に乗り込んだ。
俺は、にとりとひなの住処があった方を一瞥し、車に乗り込んだ。
11.
あれから二週間が経過した。
山小屋建設は本格的に始まった。頑丈な鉄製の柵、ゆっくり対策用の強化ガラスなど、予定通り、
ゆっくりの襲撃を考慮した作りとなった。
あれから二週間が経過した。
山小屋建設は本格的に始まった。頑丈な鉄製の柵、ゆっくり対策用の強化ガラスなど、予定通り、
ゆっくりの襲撃を考慮した作りとなった。
『ふう・・・』
俺は現場監督と会い、予定通り作業が進んでいることを確認し、挨拶して回った。
『結局あいつら、大人しくしてくれたなあ・・・』
俺達が一番恐れていた、ありすやまりさの群れからの襲撃は無かった。
人間が起こしたぱちゅりーの群れへの制裁を、他の群れは正当な行為として受け入れざるを得なかったのだ。
ありすの群れは、「とかいはなかぐ」の最大の輸出先を失い、食糧が不足傾向になっているようだ。
今は新たに交易品を増やそうと、すぃーの開発を行っているようだが、なかなか上手く行っていない様である。
まりさの群れは、元ぱちゅりーの群れとの街道を封鎖してしまった。このままでは人間には滅ぼされる判断したのだろう。
群れを拡大しようと、森の奥側に隣接するえいきの群れを攻め落とそうと企て始め、人間とは関係ないところで、
小競り合いを繰り返しているらしい。
結局ゆっくりは、人間の強引なやり方に対抗する気概は無く、人間に屈した、ということだった。
勿論油断は出来ない。あの餡子脳どもが、いつ再び人間に楯突いてくるか分からないが・・・
当面は、人間とゆっくりの関係は、このままだろう。
人間が起こしたぱちゅりーの群れへの制裁を、他の群れは正当な行為として受け入れざるを得なかったのだ。
ありすの群れは、「とかいはなかぐ」の最大の輸出先を失い、食糧が不足傾向になっているようだ。
今は新たに交易品を増やそうと、すぃーの開発を行っているようだが、なかなか上手く行っていない様である。
まりさの群れは、元ぱちゅりーの群れとの街道を封鎖してしまった。このままでは人間には滅ぼされる判断したのだろう。
群れを拡大しようと、森の奥側に隣接するえいきの群れを攻め落とそうと企て始め、人間とは関係ないところで、
小競り合いを繰り返しているらしい。
結局ゆっくりは、人間の強引なやり方に対抗する気概は無く、人間に屈した、ということだった。
勿論油断は出来ない。あの餡子脳どもが、いつ再び人間に楯突いてくるか分からないが・・・
当面は、人間とゆっくりの関係は、このままだろう。
『こんなの事なら、もっと早く強気に出てりゃあ、にとりとひなは・・・』
先日加工所に行き、実験という名の拷問を受けていた元長のぱちゅりーから、にとりとひな襲撃の理由を聞いた。
どうやら、にとりとひなが住んでいた、川辺の雑草が欲しかったらしい。
事の発端は、ありすの群れで作られている、干草を編んで作られたベッドだ。
流石ありすの群れで作られたベッドは品質が良く、ぱちゅりーの群れは大量にベッドを輸入した。
だが、ありすの群れへの支払いの為の食糧も膨大な量となり、ぱちゅりーは憂慮すべき事態と、
幹部ありすに命じ、独自にベッドの開発を行わせた。
すると最近になって、ベッドの原材料となる干草は、川辺の雑草を干したものが一番良い、と分かった。
そしてその川辺に、希少種ゆっくりが住み着いたという、れいむの報告を思い出し、眉をひそめる。
何だ、ありすの群れとの遅れを取り戻さねばならないこの大事なときに、訳の分からぬ希少種なんぞ・・・。
不愉快に思ったぱちゅりーは譲歩案など出さず、にとりとひなに高圧的に接して話をこじらせ、
挙句の果て群れのまりさが暴行を受けたと聞くと、碌に事件の調査もせずにとり討伐を強行した。
どうやら、にとりとひなが住んでいた、川辺の雑草が欲しかったらしい。
事の発端は、ありすの群れで作られている、干草を編んで作られたベッドだ。
流石ありすの群れで作られたベッドは品質が良く、ぱちゅりーの群れは大量にベッドを輸入した。
だが、ありすの群れへの支払いの為の食糧も膨大な量となり、ぱちゅりーは憂慮すべき事態と、
幹部ありすに命じ、独自にベッドの開発を行わせた。
すると最近になって、ベッドの原材料となる干草は、川辺の雑草を干したものが一番良い、と分かった。
そしてその川辺に、希少種ゆっくりが住み着いたという、れいむの報告を思い出し、眉をひそめる。
何だ、ありすの群れとの遅れを取り戻さねばならないこの大事なときに、訳の分からぬ希少種なんぞ・・・。
不愉快に思ったぱちゅりーは譲歩案など出さず、にとりとひなに高圧的に接して話をこじらせ、
挙句の果て群れのまりさが暴行を受けたと聞くと、碌に事件の調査もせずにとり討伐を強行した。
『ふう・・・』
俺は一旦駐車場に戻り、車から紙袋をおろした。
再び山に入り、今度は工事現場ではなく、かつて、にとりとひなの住処だった場所に向かう。
さらさらと小川の流れる音が心地良いそこにあるのは、にとりとひな、そしてその子供達の墓だけだ。
俺は、墓の前にかがみこみ、袋から板切れを取り出した。
板切れにはにとりとひなを模した、木製のアクセサリが括り付けられている。
俺が、ゆっくりショップのアクセサリ売り場で買ってきた物だ。
更に、板切れの開いた部分に、マジックで一文を書き入れた。
再び山に入り、今度は工事現場ではなく、かつて、にとりとひなの住処だった場所に向かう。
さらさらと小川の流れる音が心地良いそこにあるのは、にとりとひな、そしてその子供達の墓だけだ。
俺は、墓の前にかがみこみ、袋から板切れを取り出した。
板切れにはにとりとひなを模した、木製のアクセサリが括り付けられている。
俺が、ゆっくりショップのアクセサリ売り場で買ってきた物だ。
更に、板切れの開いた部分に、マジックで一文を書き入れた。
『我が盟友、にとりとひなに捧ぐ』
俺は、お手製の墓標を、墓の盛り土の前に置き、更に袋からお菓子を取り出し、墓標の前に備えた。
俺は立ち上がり、墓の前で黙祷する。
俺は立ち上がり、墓の前で黙祷する。
(・・・見殺しにしてすまない、にとり)
俺は、目を閉じたまま、にとりとひなの顔を思い浮かべた。
と・・・
と・・・
(・・・ゆふふふふ・・・めいゆう・・・)
(・・・え、何?!)
(・・・え、何?!)
俺は、声が聞こえたような気がして、あたりを見た。いや、人など居ない、ゆっくりもいない。
誰も居ない。気配すらない。
誰も居ない。気配すらない。
(・・・みていたよめいゆう・・・ありがとう・・・かたきをうってくれてさ・・・)
(何を言ってる。人間は、お前の死を利用して、漁夫の利を得ただけだぞ)
(あははははは、めいゆうはばかだな!にとりは、じぶんでしぬときめたんだぞ?)
(なにを言って・・・)
(にとりのしを、にんげんがりようしてなにがわるい?)
(お前はその結果に、満足できるのか・・・?)
(けっかだけみたら、めいゆうが、にとりをころしたしかえしをしてくれた。まんぞくさ)
(何を言ってる。人間は、お前の死を利用して、漁夫の利を得ただけだぞ)
(あははははは、めいゆうはばかだな!にとりは、じぶんでしぬときめたんだぞ?)
(なにを言って・・・)
(にとりのしを、にんげんがりようしてなにがわるい?)
(お前はその結果に、満足できるのか・・・?)
(けっかだけみたら、めいゆうが、にとりをころしたしかえしをしてくれた。まんぞくさ)
そりゃ、ぱちゅりーの群れを駆除する建前が、そうだから・・・。
だけど。
だけど。
(俺は、お前に生きていて欲しかったよ)
(・・・)
(・・・)
- 何かが遠ざかる。
(めいゆうのかいゆっくりになれなくて、ざんねんだ。さようならめいゆう)
(くるくる・・・さようなら)
(さようなら、めいゆうさん)
(くりゅくりゅ・・・さようにゃらあ・・・)
(くるくる・・・さようなら)
(さようなら、めいゆうさん)
(くりゅくりゅ・・・さようにゃらあ・・・)
そう、か・・・
『幸せそうで良かった』
俺は、にとりたちがゆんごくで幸せに暮らせると、何故か確信して、その場を去った。