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anko3286 ゆっくり病院 精神科
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『ゆっくり病院 精神科』 28KB
虐待 制裁 自業自得 改造 飼いゆ ゲス 現代 虐待人間 暇つぶしにどうぞ
虐待 制裁 自業自得 改造 飼いゆ ゲス 現代 虐待人間 暇つぶしにどうぞ
- 登場するゆっくりの思考・体構造・医療に多分の独自解釈が含まれる仕様です。
- その他ネタ被り、独自設定、意味不明な箇所など書き捨て御免ということで。
- それでも読んでみる方は暇つぶしにどうぞ。話のネタにしてくれたら幸いです。
ゆっくり病院 精神科
「……まりさちゃん、次の質問だよ。しーしーやうんうんはどこでするの?」
「しーしーやうんうんは、まりささまがしたいところでゆっくりすっきりするのぜ!」
「どこでもいいの? まりさちゃんが遊ぶ床の上にうんうんがあったら臭くないかい?」
「とってもくさいのぜぇ! くそばばあにとっととかたずけさせるのぜ!」
診療室の机上に据え置かれた透明な箱の中。ゆっくりまりさは自らに投げかけられる質問に即答する。
回答は全てまりさ自身の経験則と記憶から導き出される。嘘は一切ない。
回答は全てまりさ自身の経験則と記憶から導き出される。嘘は一切ない。
まりさの視線の先には、自らの奴隷である「くそばばあ」と、煩わしい質問を投げかける「くそじじい」がいる。
面白くない質問ばかりで全然ゆっくりできない。まりさは心底ウンザリしていた。
面白くない質問ばかりで全然ゆっくりできない。まりさは心底ウンザリしていた。
「おいくそばばあ! さっきからこのうざいくそじじいはなんなのぜ?
はやくおうちにかえって、まりささまをゆっくりさせないと、せいっさい! するのぜ!」
はやくおうちにかえって、まりささまをゆっくりさせないと、せいっさい! するのぜ!」
「まりさちゃん!? ああ、先生に向かってなんて事を! 本当に申し訳ありません」
「いえ、気になさらずに。まりさちゃんも退屈なんでしょう」
まりさの奴隷である「くそばばあ」が、白い「くそじじい」にペコペコ頭を下げる。
実に無様だ。これでは「くそばばあ」の主であるまりさの格が低く感じられるではないか。
実に無様だ。これでは「くそばばあ」の主であるまりさの格が低く感じられるではないか。
「まりさちゃん、最後の質問だよ。
まりさちゃんは飼い主のお姉さんといっしょにあまあまを五つ貰いました。お姉さんとどう分ける?」
まりさちゃんは飼い主のお姉さんといっしょにあまあまを五つ貰いました。お姉さんとどう分ける?」
「あまあま!? あまあまはぜんぶまりささまのものだぜ! はやくもってくるのぜ!」
イライラが募っていたまりさだったが、「あまあま」という単語を聞きとるや色めき立ってしまう。
まりさは、自らがゆっくりすることへの渇望に些かの揺らぎも迷いも無かった。
まりさは、自らがゆっくりすることへの渇望に些かの揺らぎも迷いも無かった。
「お疲れ様、まりさちゃん。じゃあ御褒美に、あまあまをプレゼントするね」
透明な箱の上蓋が開かれ、まりさの目前に小皿が置かれる。
小皿にはクッキーが小山に盛られ、甘い匂いを強烈に発していた。
小皿にはクッキーが小山に盛られ、甘い匂いを強烈に発していた。
「うっめ! これ、まじうっめ! ぱねぇ! ぱねぇ!!」
まりさはクッキーを下品に喰い散らかし、一心不乱に貪った。
「金バッジは購入時に取得済み、自宅に迎えてから成長するに従い態度が尊大になった、と」
「ええ、飼い主である私の対応が悪かったんです。きっと自分の感覚に頼って甘やかしたせいなんです。
このままでは、バッジの更新も不可能だって言われました」
このままでは、バッジの更新も不可能だって言われました」
まりさの飼い主である若い女性の声を、白衣を纏った白髪混じりの「先生」がカルテに写す。
件のまりさはクッキーを食べた直後、ゆっくりした表情で眠ってしまっていた。
件のまりさはクッキーを食べた直後、ゆっくりした表情で眠ってしまっていた。
「迷いが一切無い回答内容から、いわゆるゲス化が性根の部分で完成されていることが解ります」
「先生、やっぱり手遅れなんですか? どこを伺ってもサジを投げられて、処分したほうが早いって」
まりさの飼い主である女性は目を潤ませて、「先生」をジッと見つめる。
「先生」は即答を控え、カルテと机上のモニターに表示されたデータ類を見比べるばかりだ。
「先生」は即答を控え、カルテと机上のモニターに表示されたデータ類を見比べるばかりだ。
「子供が産めない身体の私は、まりさちゃんを実の子供のように育ててきました。
周りにどう言われても、まりさちゃんとの思い出は宝物なんです。先生、どうか!」
周りにどう言われても、まりさちゃんとの思い出は宝物なんです。先生、どうか!」
「完全にゲス化した性根は、再教育での根治は不可能です。ある方法を使えば話は別ですが」
「ある方法……?」
「インフォームドコンセントに従って、事前に治療内容を説明しましょう。
治療を受けるかどうかは、まりさちゃんの飼い主である、あなた次第になります」
治療を受けるかどうかは、まりさちゃんの飼い主である、あなた次第になります」
「先生」と女性は時間をかけて会話を重ねていたが、当のまりさはムニャムニャと寝息を立てるばかりだった。
「ゆふぁ~あ。まりささまのおめざめなのぜ~」
まりさが目を覚ますと、そこはやはり透明な箱の中だった。
だが、周囲の光景は無機質なタイル張りの部屋となっていた。まりさはゆっくりできない雰囲気に眉を顰める。
だが、周囲の光景は無機質なタイル張りの部屋となっていた。まりさはゆっくりできない雰囲気に眉を顰める。
「とてもゆっくり眠っていたね。ゆっくりおはよう、まりさちゃん」
部屋の中央に置かれた作業台の脇で、白い「くそじじい」が機械を取り扱っている。
何故「おうち」じゃないのか。それより奴隷の「くそばばあ」は何処へ行ったのか。
疑問を考察するでもなく、まりさは感情的になるばかりだ。
何故「おうち」じゃないのか。それより奴隷の「くそばばあ」は何処へ行ったのか。
疑問を考察するでもなく、まりさは感情的になるばかりだ。
「おい、くそじじい! まりささまはおうちでゆっくりあそびたいのぜ!
くそばばあはどこなのぜ! はやくよんで、まりさをゆっくりていねいにはこばせるのぜ!!」
くそばばあはどこなのぜ! はやくよんで、まりさをゆっくりていねいにはこばせるのぜ!!」
「ああ、飼い主のお姉さんにはまた明日来てもらうよ。今からまりさちゃんの治療をするからね」
「はあぁ!? なんなのぜそれ。どうでもいいからくそばばあをだすのぜ!!」
「まりさちゃんは退屈なんだね。M31、相手をしてやってくれ」
透明な箱が開かれ、まりさの眼前にM31と呼ばれた成体まりさが置かれた。
そのM31まりさは、まりさと同じぐらいの大きさで、とてもゆっくりした表情を浮かべている。
そのM31まりさは、まりさと同じぐらいの大きさで、とてもゆっくりした表情を浮かべている。
「はじめまして! まりさはまりさだよ。ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!! ……ゆぷぷっ! そのざまで、なにがゆっくりなのぜー! ゆぎゃはははっ!」
M31まりさは表情こそゆっくりしていたが、外観はとてもゆっくりできなかった。
帽子にはまりさと同じ金バッジが付いているものの、「つば」の部分が破られて三角帽子の体を成していた。
髪の毛も方々千切られており、三つ編みお下げは根元から無くなっている。
身体のあちこちには破れた皮の補修跡があり、歪な印象を醸し出している。
帽子にはまりさと同じ金バッジが付いているものの、「つば」の部分が破られて三角帽子の体を成していた。
髪の毛も方々千切られており、三つ編みお下げは根元から無くなっている。
身体のあちこちには破れた皮の補修跡があり、歪な印象を醸し出している。
本来ならこうした「ゆっくりできないゆっくり」は、他のゆっくりを嫌悪感でゆっくりできなくする。
しかし、まりさのゆっくりを求める貪欲さは、相手を嘲る事で存分にゆっくり出来るまでになっていた。
しかし、まりさのゆっくりを求める貪欲さは、相手を嘲る事で存分にゆっくり出来るまでになっていた。
「まりさはとてもゆっくりできてるね。まりさもとてもゆっくりできるよ」
「まりさはおつむがおかしいのぜ? まりささまは、まりさのぶざまがおかしくて、たまらないのぜー!」
「まりさのかっこうでまりさがゆっくりできるんだね。よかった。まりさもゆっくりできるよ!」
度重なる嘲笑にもM31まりさはゆっくりした態度を崩さない。むしろ、一層ゆっくりしている。
まりさは相手が無様に悔しがってゆっくりしてない姿を見て、ゆっくりしたかったのだ。
けっしてM31まりさをゆっくりさせたかったわけではない。まりさは無性にイライラが募った。
まりさは相手が無様に悔しがってゆっくりしてない姿を見て、ゆっくりしたかったのだ。
けっしてM31まりさをゆっくりさせたかったわけではない。まりさは無性にイライラが募った。
「まりささまをばかにしてるのぜ? じゃあ、そこをうごくななのぜ!」
ぽよよんっ
言うなり、まりさはM31まりさに体当りを仕掛けた。それをM31まりさは微動だにせず受け止める。
透明な箱の中では威力も半減してしまい、M31まりさは壁に跳ね返されてコロリと戻ってくる。
透明な箱の中では威力も半減してしまい、M31まりさは壁に跳ね返されてコロリと戻ってくる。
「まりささまの、やまをもくだくいちげき、おそれいったか! なのぜ!」
「まりさ、ゆっくりできてる? もっと、まりさをすきにしてもいいよ」
「ゆっへへー! これはいいおもちゃなんだぜ!」
まりさは調子づいて、透明な壁に跳ねかえっては戻るを繰り返すM31まりさを突き飛ばし続ける。
M31まりさは時折痛がってのけ反るぐらいで、悲鳴らしい悲鳴もあげない。
無抵抗の相手を弄る愉しみに、まりさは夢中になった。
M31まりさは時折痛がってのけ反るぐらいで、悲鳴らしい悲鳴もあげない。
無抵抗の相手を弄る愉しみに、まりさは夢中になった。
「おいおい、あまり痛めつけないほうがいいよ。後で後悔するぞ」
「しるかなのぜ! まりささまのつよさをきざみこんでやるのぜ!」
「くそじじい」に懸けられた忠告を無視し、まりさはM31まりさの左頬に噛みつき、深く歯型をつけた。
それでもM31まりさは悲鳴をあげない。痛みを堪えつつもゆっくりとした表情を崩さない。
あまりの異様さに、まりさは無意識に身を離した。
それでもM31まりさは悲鳴をあげない。痛みを堪えつつもゆっくりとした表情を崩さない。
あまりの異様さに、まりさは無意識に身を離した。
「お、おい、くそじじい! こいつはなんなのぜ! きもちわるいのぜぇ!!」
「M31は周りがゆっくりする事で自分がゆっくりできる、飼いゆっくりの見本のようなゆっくりだ。
その為なら奉仕も傷つく事も厭わない、人間に都合のいい性根を持つゆっくりだよ」
その為なら奉仕も傷つく事も厭わない、人間に都合のいい性根を持つゆっくりだよ」
「はぁぁ~!? まりささまのほうが、よっぽどかいゆっくりのなかのかいゆっくり! なのぜ!」
「M31が不遇だったのは、飼い主が虐待嗜好の持ち主だったことだ。無抵抗のM31は散々痛めつけられた」
「ゆへへっ! つまり、うんもじつりょくのうちっ! なのぜ~!」
「しかしM31の性根に呆れた飼い主は、旧友の私にM31の治療を依頼したが、結局所有権ごと私に押しつけた。
以来、M31はここで保護している」
以来、M31はここで保護している」
「おお、みじめみじめ。ゆっくりのなかのゆっくりであるまりささまをみて、せいぜいゆっくりするのぜ!」
「まりさはまりさのおかげでゆっくりできてる? まりさもとってもゆっくりできるよ!」
まりさには話の内容は大して理解できなかった。
M31まりさと比較して、いかに自分がゆっくりしているかと自画自賛することでゆっくりしているだけだった。
片やM31まりさも、まりさの得意絶頂を見てゆっくりしていた。
M31まりさと比較して、いかに自分がゆっくりしているかと自画自賛することでゆっくりしているだけだった。
片やM31まりさも、まりさの得意絶頂を見てゆっくりしていた。
「さあ、こちらの準備はできた。治療の前に、特製のあまあまをあげようね」
透明な箱の上部から、「くそじじい」の両手によって白くて丸い塊が運ばれてきた。
その塊は甘い匂いを満遍なく放ち、まりさの食欲を激しく刺激する。
その塊は甘い匂いを満遍なく放ち、まりさの食欲を激しく刺激する。
「あまあま! いただきっ! なんだぜーっ!」
まりさは白い塊に向かって跳びついた。瞬間、塊は「くそじじい」の右手から離れ、まりさの口中に納まる。
たちまち強烈な甘味がまりさの舌から全身に広がり、全身が快楽に打ち震える。
たちまち強烈な甘味がまりさの舌から全身に広がり、全身が快楽に打ち震える。
「し、し、しゅわしゅわ~~~~~!! しあわせ~~~~~~~~~~~っっ!!」
「よかったね、まりさちゃん。ホラ、M31も」
「はい、いただきます。……しあわせー!」
「まじぱねぇっ! あまあまだったのぜ~! くそじじい! もっとよk――」
さらなるゆっくりを求めて要求を深めるまりさだったが、不意に強烈な眠気に襲われた。
暗転する視界。脱力感。抵抗する間もなく、まりさの意識は失われた。
暗転する視界。脱力感。抵抗する間もなく、まりさの意識は失われた。
「ゆっくり眠りなさい。次に目覚めたらM31ではなく、いい人に飼――」
M31まりさに話しかける「くそじじい」の言葉は記憶にすら残らなかった。
「ゆふぁ~あ。まりささまのおめざめなのぜ~」
何時ものように目覚めるまりさ。瞬間、全身の違和感に身悶えた。
痛い。全身が鈍く痛む。
痛い。全身が鈍く痛む。
「いでででっ!! なんなのぜぇ、これは! いだいいだいっ!!」
「おや。お早う、M31。元気そうでなによりだね」
「くそじじい! まりささまになにし……まりさ!?」
まりさは目を剥いて驚いた。「くそじじい」に抱かれてる、そのゆっくりに。
大きく美しい黒色の帽子。そこに輝く金バッジ。豊かな金色の髪を束ねたお下げ。
モチモチ感溢れる肌。凛々しくも愛嬌のある眼差し。少々困り気味に歪む口元。
モチモチ感溢れる肌。凛々しくも愛嬌のある眼差し。少々困り気味に歪む口元。
透明な壁を隔てて眼前にいるゆっくりを、何故かまりさ自身だと知覚できた。
「あれ? まりささまはここにいるのに、まりささまがあそこに? ……いだだだだっ!」
「せんせい、まりさがいたがってるよ。まりさがゆっくりさせてあげていい?」
「問題無い。M31もすぐに慣れるよ。それでは次のテストだ。まりさちゃん、これは誰だい?」
「くそじじい」は懐から取り出した物を、腕の中のまりさに見せる。
それは、一人の人間が写った写真だった。
それは、一人の人間が写った写真だった。
「まりさのかいぬしのおねーさんだよ! まりさ、いままでおねーさんにゆっくりできないことばかりしたよ!
だから、まりさはおねーさんがゆっくりできるようにしないとといけないんだよ!」
だから、まりさはおねーさんがゆっくりできるようにしないとといけないんだよ!」
「うむ。判別も思考基準も問題無しだ。まりさちゃんは本当にいい子だね」
澱み無く答えたまりさに、「くそじじい」は満足そうに頷き、優しく「なーでなーで」をする。
その光景に、透明な箱に閉じ込められてままのまりさは、奇妙な違和感を増幅させていた。
その光景に、透明な箱に閉じ込められてままのまりさは、奇妙な違和感を増幅させていた。
(ゆん? あのしゃしんのくそにんげん、どこかで……。そうだ! あいつはまりささまのばばあなんだぜ!
ゆゆん? やっぱりまりささまのばばあじゃないような。ゆゆゆん???)
ゆゆん? やっぱりまりささまのばばあじゃないような。ゆゆゆん???)
あのまりさは、まりさが考えもしない事を言う。そもそも、あれはまりさ自身じゃないのか?
まりさがゆん生初めて深く悩んだ時、不意に箱の底に視線を落とした、その瞬間――、
まりさがゆん生初めて深く悩んだ時、不意に箱の底に視線を落とした、その瞬間――、
「ゆゆっ!?」
目が合った。
「くそじじい」が「M31」と呼んでいたまりさと、目が合った。
昨日つけてやった頬の歯型が右側にあるが、このゆっくりできない姿は間違いない。
そして、それが鏡面状になっている箱の底に映った自らの姿だと理解するのに、ゆっくりと時間をかけた。
「くそじじい」が「M31」と呼んでいたまりさと、目が合った。
昨日つけてやった頬の歯型が右側にあるが、このゆっくりできない姿は間違いない。
そして、それが鏡面状になっている箱の底に映った自らの姿だと理解するのに、ゆっくりと時間をかけた。
「……どぼじでええええええええええええっっ!!?」
まりさが絶叫する頃には、「くそじじい」も抱かれたまりさも部屋から姿を消していた。
「まりさちゃん! 心細かったでしょうに。寂しく無かった?」
「まりさはへいきだよ! おねーさんこそ、さびしくなかった?」
「まりさちゃん?」
「いままでゆっくりできないことばっかりして、まりさはわるいゆっくりだったよ。ごめんなさい!」
「まりさ……ちゃん」
「まりさ、おねーさんがゆっくりできるように、おねーさんのいうこと、ちゃんときくからね」
「あの、先生、これ、まりさちゃん、ですよね」
昨日と同時刻。診療室の中では、同じ顔ぶれが顔を合わせた。
まりさの飼い主である女性は、昨日までとは明らかに違うまりさの態度に、ひどく動揺していた。
「先生」は白衣の襟を正し、透明な箱の中からまりさを取り出す。
まりさの飼い主である女性は、昨日までとは明らかに違うまりさの態度に、ひどく動揺していた。
「先生」は白衣の襟を正し、透明な箱の中からまりさを取り出す。
「抱いてみれば判りますよ。さあ、まりさちゃんをやさしく抱き上げて下さい」
「ありがとう、ございます。……間違いないわ、まりさちゃんだわ! ああ、このあんよの傷跡も」
「そこはまりさがこどものときに、つみきのかどをふんで、おおけがをしたところだよ。
あんこがいっぱいもれたけど、おねーさんがたすけてくれたよね。ゆっくりありがとうね」
あんこがいっぱいもれたけど、おねーさんがたすけてくれたよね。ゆっくりありがとうね」
「覚えていたのね、まりさちゃん!」
感極まってまりさを両手で抱く女性。涙が頬を伝い、まりさの頬を濡らす。
「ゆっくりしているおねーさんは、とてもあたたかくてゆっくりできるよ」
「先生。これで、これで良かったんでしょうか? 全部、私のせいなのに」
「確かに、あなたはまりさちゃんへの対応を間違えたかもしれません」
「…………」
「一方でまりさちゃんがあなたの足元を見て増長したのも事実。あなたが無用な責を感じる必要は無いんです」
「…………」
「性根を入れ替えたまりさちゃんは飼い主のあなたを思いやる事が出来る、本当にいい子です。
人生の一時、まりさちゃんと共に、健やかに歩んでください」
人生の一時、まりさちゃんと共に、健やかに歩んでください」
「…………先生。本当に、本当にありがとうございました」
「えーと、せんせい。まりさはせんせいと、いっぱいゆっくりしていたようなきがします。
ごめんなさい、へんなこといって。でも、ゆっくりおせわになりました」
ごめんなさい、へんなこといって。でも、ゆっくりおせわになりました」
まりさと女性のゆっくりした姿に、「先生」は黙って微笑みを浮かべるばかりだった。
「おいっ!! くそじじい!! いだいなまりささまに、なにをしたのぜぇ!?」
「M31は、随分記憶を持ってきたようだね。内殻の容積が小さかったのかな?」
無機質なタイル張りの部屋に戻ってきた「くそじじい」に、激情するまりさ。
この「くそじじい」が異変を起こした張本人なのは、まりさ程度の思考能力でも理解の行きつくところだった。
この「くそじじい」が異変を起こした張本人なのは、まりさ程度の思考能力でも理解の行きつくところだった。
「どういうことなんだぜぇ!? ただじゃすまさないのぜぇ!!」
「まだ時間もあるようだし、話してあげようか。理解できないとは思うが」
そう言って「くそじじい」は、部屋の中央に置かれた作業台に向かい、複雑な機械に手を置いた。
何処をどう見ても、まりさには理解できない代物だった。
何処をどう見ても、まりさには理解できない代物だった。
「こいつは中枢餡交換機。同種のゆっくり2頭の中枢餡を、容積を変化させること無く交換する事が出来る。
このチューブの先の針を刺してね」
このチューブの先の針を刺してね」
機械から伸びる4本のチューブが「くそじじい」の両手に握られ、その先端の長く鋭い注射針が光を反射した。
恐怖感から、ゆひっ、と小さな悲鳴を上げるまりさ。
恐怖感から、ゆひっ、と小さな悲鳴を上げるまりさ。
「そ、そんなのまりさはしらないのぜ。おぼえてないのぜ」
「眠ってたから当然さ。完全にゆっくりした状態で眠ってもらわないと、中枢餡が安定しないからね」
「ゆ? ゆ?」
「高密度で液状に近い中枢餡内部は、粘度の差異で外殻と内殻に分離している。
外殻はデータ部分だ。母体から遺伝した形質情報や本能に加え、個体記憶を司り、記憶が増えるとともに成長する」
外殻はデータ部分だ。母体から遺伝した形質情報や本能に加え、個体記憶を司り、記憶が増えるとともに成長する」
「ゆ? ゆ? ゆ?」
複雑で難解な言葉を紡ぐ「くそじじい」に、まりさはどう反応していいか解らない。
独白するような「くそじじい」の言葉に、適当に相槌を打つぐらいしかできなかった。
独白するような「くそじじい」の言葉に、適当に相槌を打つぐらいしかできなかった。
「内殻は思考を行うプログラム的な部分で、本能と記憶に沿ってよりゆっくりできる思考パターンを形成していく。
それが性根だ。多数のゆっくりを同条件下においた場合、個体ごとに反応が分かれるのも性根の差異による」
それが性根だ。多数のゆっくりを同条件下においた場合、個体ごとに反応が分かれるのも性根の差異による」
「ゆ……?」
「中枢餡内殻も母体からの因子である程度形成されるが、成長期の経験で完成に至り、以後は矯正不可能になる。
まりさちゃんの性根はゲスとして完成され、治療に残された手段は一つだけだった」
まりさちゃんの性根はゲスとして完成され、治療に残された手段は一つだけだった」
少なくとも自分がバカにされたように言われた事は理解できた、ような気がした。
イライラが沸々と募り、いよいよゆっくりできなくなったまりさは結論を急ぐ。
イライラが沸々と募り、いよいよゆっくりできなくなったまりさは結論を急ぐ。
「くそじじい!! まりささまにわかるようにいうのぜ! まりささまに、なにをしたのぜ!?」
「まりさちゃんとM31の中枢餡内殻、つまり性根の部分をそっくり入れ替えた」
「……!!?」
言葉が出なかった。意味が解るようで解らなかった。解りたくなかった。
まりさはゆっくりできるまりさでなく、ゆっくりできないM31まりさにされた???
まりさはゆっくりできるまりさでなく、ゆっくりできないM31まりさにされた???
「入れ替わった性根は、移動先の個体記憶を参照して、性根の思考パターンに基づいた反応を行う」
「そ、そんな……うぞだ!」
「お前はまりさちゃんではない。M31その物なんだよ」
「うぞだあああああっ!! まりざざまはまりざざまなんだああああっ!!」
「嘘だと思うなら思い出してみなさい。ここに来る前の、飼いゆっくりだった頃の記憶を」
いつの間にか、まりさは涙を流していた。信じられるものか。
自分はまりささまなんだ。飼いゆっくりの頂点なんだ。目をつむれば、ゆっくりできた思い出の数々が――、
自分はまりささまなんだ。飼いゆっくりの頂点なんだ。目をつむれば、ゆっくりできた思い出の数々が――、
「……ゆ、ゆ、ゆああああああああああああああああああああああああああああああっっ!!?」
無かった。
詰られ、叩かれ、蹴られ、踏まれ、投げられ、刺され、毟られ、奪われ、破られ、抜かれ、焼かれ、犯され……。
M31まりさの中枢餡には、数限りなく虐待を受けた記憶が刻みこまれていた。
「くそじじい」に保護されていた間の事など、霞むほどのゆっくりしか感じられない。
そして、まりさが思い出そうとしたゆっくりは、形として思い出す事が出来なかった。
M31まりさの中枢餡には、数限りなく虐待を受けた記憶が刻みこまれていた。
「くそじじい」に保護されていた間の事など、霞むほどのゆっくりしか感じられない。
そして、まりさが思い出そうとしたゆっくりは、形として思い出す事が出来なかった。
「虐められては治されてを繰り返し。ゆん生の大半を虐待されていた頃の記憶が、鮮明に蘇るだろう?
アイツの悪趣味な道楽に対して、以前のM31はよくも笑えたものだ」
アイツの悪趣味な道楽に対して、以前のM31はよくも笑えたものだ」
「いやだいやだいやだぁっ!! こんなのまりざざまじゃないぃっ!! いやだあああっっ!!
まりざざまのゆっぐりを、ゆっぐりをかえぜええええええええええっ!!」
まりざざまのゆっぐりを、ゆっぐりをかえぜええええええええええっ!!」
透明な箱の中で、まりさは泣きながら悶絶した。
全てのゆっくりを奪われて、絶叫した。
全てのゆっくりを奪われて、絶叫した。
プルルルルルルルルルルルル ガチャッ
「はい処置室。ああ、わかった。時間通りだね。構わないからここに通してくれ」
力いっぱい駄々をこね、泣き叫ぶまりさに、「くそじじい」が話しかける。
「今朝方、お前の元飼い主に連絡してみたんだ。治ったからまた飼う気は無いかって。
そしたらあいつ、凄い乗り気でね。ぜひ会わせてほしいって言うから今日にでも来いと言ったんだ」
そしたらあいつ、凄い乗り気でね。ぜひ会わせてほしいって言うから今日にでも来いと言ったんだ」
ビクッ!!
その言葉を聞いたまりさが意味を理解した瞬間、飼い主の記憶が呼び起こされた。部屋に静寂が訪れる。
冷や汗がダラダラ流れ、歯がカチカチと鳴って言葉を紡げない。
冷や汗がダラダラ流れ、歯がカチカチと鳴って言葉を紡げない。
「で、只今到着したようなので、ここに呼んだ。久しぶりの御対面だよ」
「………………い、いやだ。いやだあああああああああああああああああああああああああっ!!!
だせぇぇ!! ここからだせえええええええええええええええええええええええええええっ!!!」
だせぇぇ!! ここからだせえええええええええええええええええええええええええええっ!!!」
まりさは狭い透明な箱の中で大暴れし、七転八倒する羽目になろうとも、死力を振り絞ってもがき続けた。
いるべき場所に戻らなければ――戻る場所ってどこだ。あそこに戻ってはいけない。逃げなければ。
思考がグルグルと巡り、まりさは混乱を増すばかりだあった。
いるべき場所に戻らなければ――戻る場所ってどこだ。あそこに戻ってはいけない。逃げなければ。
思考がグルグルと巡り、まりさは混乱を増すばかりだあった。
ゴンゴンゴンッ!! ガチャンッ!!
「いよーう、久しぶり! 直ったって? ウチのまりさ!」
「ゆんやああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっ!!!」
まりさは荒々しいノックの直後に部屋に入ってきたその男を見るなり、悲鳴を上げた。
間違い無い、自らの飼い主である「くそどれい」だ。まりさの性根は何の疑いも無く、そう認識した。
全身を黒い服装で覆われた肉体は「くそじじい」よりも一回り大きく、より力強く見えた。
間違い無い、自らの飼い主である「くそどれい」だ。まりさの性根は何の疑いも無く、そう認識した。
全身を黒い服装で覆われた肉体は「くそじじい」よりも一回り大きく、より力強く見えた。
「ふん。人に権利まで押しつけておいて、何を今さらウチのまりさ! だ」
「済まねぇ。最初はゆっくりらしく治療してほしくて預けたけど、オマエが治らないって言うから手放したんだ」
「1頭だけなら治療は不可能だった。ともかく、飼い主のつもりがあるなら挨拶ぐらいしてやれ」
「どれどれ。おぅ、久しぶりだなぁ、まりさぁ!!」
「ゆひいいいぃっ!?」
「くそじじい」に促されたまりさの「くそどれい」が、透明な箱に身を寄せた。
目が合った瞬間、「おそろしーしー」が垂れ流された。まりさの全身を圧倒的な恐怖が包む。
猶予はない。まりさは震える口を開き、拒否の意思を言葉に表した。
目が合った瞬間、「おそろしーしー」が垂れ流された。まりさの全身を圧倒的な恐怖が包む。
猶予はない。まりさは震える口を開き、拒否の意思を言葉に表した。
「い、い、いやじゃあああっ!! まりざざまをいじめるくそどれいは、ゆっぐりじないでじねええっ!!」
「うおぉぉ!? マジか!? この反応、口の利き方、俺のリクエスト通りじゃないか!!」
「この治療は拒絶反応が出やすい為、相性のいい同種ゆっくりが中々見つからないのがネックなんだ」
「で、どうやったんだい?」
「今回は偶然にも里親が同じだったんで成功した。あちらの飼い主も喜んでいたよ」
「そうか。アイツは俺みたいなクズには勿体ないヤツだったからな。飼い主サンと、幸せになるといいな」
「しろいくそじじいは、まりささまをゆっくりしてないでもとにもどせぇぇ!! もどぜぇぇ!!」
まりさは激情して言葉を放つが、2人の人間には一切届かない。
完全に無視されていた。
完全に無視されていた。
「さて、お前さんのようなクズにお似合いのM31、もといまりさだが、すぐにでも退院できるぞ」
「ヒャア! 恩にきるぜ! 権利関係と報酬は、月末までに必ず払うよ!」
「それより、あちらの飼い主の治療報酬も半分持つって言ったの、忘れるなよ。このヤクザもの」
「ど、ど、どぼじでぇぇ!? どぼじでまりざざまのいうごど、ぎいでぐれないのぉぉ!?
まりざざまをもどにもどじでよぉぉ!! まりざざまは、ゆっぐりずるんだよぉぉぉ!!」
まりざざまをもどにもどじでよぉぉ!! まりざざまは、ゆっぐりずるんだよぉぉぉ!!」
2人が会話を重ねる傍らで、まりさは自分の無力さに打ちのめされていた。
あの2人は自分の意思などお構いなしに話を進め、今まさに自分を地獄へと押しやろうとしている。
身体が疲労するまで暴れても、この狭い箱から脱出することは遂に叶わなかった。
いつのまにか、言葉を紡ぐ事も忘れ、まりさは嗚咽するばかりとなっていた。
あの2人は自分の意思などお構いなしに話を進め、今まさに自分を地獄へと押しやろうとしている。
身体が疲労するまで暴れても、この狭い箱から脱出することは遂に叶わなかった。
いつのまにか、言葉を紡ぐ事も忘れ、まりさは嗚咽するばかりとなっていた。
「ゆっ、ゆっ、ゆぐっ、ゆぐっ、ゆ゛え゛え゛え゛え゛っ!!」
「コイツの無様な泣き顔、初めて見たぜ。堪らねえ。帰ってからの事を考えるだけでゾクゾクするぜ」
「適材適所、さ。精々可愛がってやってくれ」
「お前をここまでムカつかせるなんて、よっぽどのゲスだな。たっぷり可愛がってやるぜ。
さーぁ、まりさちゃん、お家に帰ろうねー。ヒャッハーッ!!」
さーぁ、まりさちゃん、お家に帰ろうねー。ヒャッハーッ!!」
「ゆ゛ん゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!!」
その後、飼い主と共に退院したまりさは、
詰られ、叩かれ、蹴られ、踏まれ、投げられ、刺され、毟られ、切られ、破られ、抜かれ、焼かれ、犯され続けた。
詰られ、叩かれ、蹴られ、踏まれ、投げられ、刺され、毟られ、切られ、破られ、抜かれ、焼かれ、犯され続けた。
「よーう、3年ぶりかな。また見てくれよ。身体の方がダメみたいでな」
「ウチは精神科だぞ! とりあえず見せてくれ。
……久しぶりだね、まりさ。随分と可愛がられたな」
……久しぶりだね、まりさ。随分と可愛がられたな」
「ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ」
まりさは言葉を紡げなかった。苦しみの呻きを発するだけだった。
目は刳り抜かれ、歯は抜かれ、舌は切られ、髪は抜かれ、あんよは焼かれ、お飾りは無い。
無数の治療跡が全身を覆うその姿は、不気味なハゲ饅頭そのものだった。
目は刳り抜かれ、歯は抜かれ、舌は切られ、髪は抜かれ、あんよは焼かれ、お飾りは無い。
無数の治療跡が全身を覆うその姿は、不気味なハゲ饅頭そのものだった。
「どうしろと」
「ホラ、またアレやってくれよ。今度は記憶含めて全部。相方はこちらで用意したからさ」
「飼いゆっくりじゃないと治療行為ができないんだぞ。どうせバッジの更新も出来なかったろうに。
私を牢屋にブチ込みたいのか?」
私を牢屋にブチ込みたいのか?」
「こんな事もあろうかと、用意しました2頭分の金バッジ証明書。金ぇ握らせればイチコロよ」
「ヤレヤレ、私は知らないからな。お前さん、あと何年そのまりさを虐め倒すつもりなんだ?」
「多分死ぬまで。潰すのはゆっくりより人間の方がイイ。だけどな、虐めるのはコイツじゃないとダメなんだ」
「…………」
「やっぱり思い出って大事だろ。虐め抜いた記憶がコイツに刻まれ続けるんだ。大切な俺達のメモリーだよ」
「人間用の精神科医、紹介してやろうか?」
「ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ」
まりさは言葉を紡げなかった。苦しみの呻きを発するだけだった。
「……まりさ。聞こえるかい、まりさ。気分はどうだい?」
「……むにゃむにゃ。ゆーん、ゆっくりおはよう、なのぜ~」
まりさは爽快な気分で目覚めた。慢性的な痛みが消え去っている。何より目が見える。
周囲の光景は無機質なタイル張りの部屋となっていた。遠い昔に見た光景である。
相変わらず自分の身体は透明な箱に入れられ、目の前には「くそじじい」がこちらを見つめている。
周囲の光景は無機質なタイル張りの部屋となっていた。遠い昔に見た光景である。
相変わらず自分の身体は透明な箱に入れられ、目の前には「くそじじい」がこちらを見つめている。
「ゆっ!! くそじじい!! よくもまりささまをひどいめにあわせたのぜ!
ゆっくりしないで、もとにもどすのぜ!!」
ゆっくりしないで、もとにもどすのぜ!!」
「拒絶反応は無し。まあ相方の相性からして当然か。まりさも自分の目で確認してくれ」
まりさの眼前に鏡が突き出された。そこに映る自らの姿に呆然とするまりさ。
目がある、歯がある、舌もある、美しい金髪もお下げもある、立派な黒い帽子もある。
まりさは自分のゆっくりした姿に、喜びを爆発させた。
目がある、歯がある、舌もある、美しい金髪もお下げもある、立派な黒い帽子もある。
まりさは自分のゆっくりした姿に、喜びを爆発させた。
「ゆわ~いっ! すーぱーぐれーとごーじゃすえくせれんとなまりささまが、もとにもどったのぜえぇぇっ!!」
「異常は無いようだね。非ゆっくり症の兆候も無い。身体に痛みは無いかい?」
「ゆんっ! どこもいたくないのぜ! まりさ、もしかしてゆめをみていたのぜ?」
「夢じゃない。現実だ。まりさは健全な身体を取り戻したんだ」
「やったのぜ~!! まりささまはたくさんゆっくりするのぜぇ~っ!!
おい、くそじじい! まずはあまあまをゆっくりしないでもってくるんだぜ!!」
おい、くそじじい! まずはあまあまをゆっくりしないでもってくるんだぜ!!」
「現実だから、治療が済んだまりさを飼い主が迎えに来るんだよ。もう来る時間だ」
「ゆひっ!?」
ゴンゴンゴンッ!! ガチャンッ!!
「いよーう! 直ったか? ウチのまりさ!」
「ゆんやああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっ!!!」
まりさは部屋に入ってきた「くそどれい」を見るなり、悲鳴を上げた。
希望が絶望に転じた瞬間だった。
希望が絶望に転じた瞬間だった。
「受付ぐらい通してから来てくれ。ここはお前の家じゃない」
「悪ぃ悪ぃ。では早速拝見。……完璧じゃねぇか。飼ったばかりのころを思い出すねぇ」
「確かに、お前さんの用意した相方は完ぺきだった。何の拒絶反応も無い」
「だろ? なにせ、コイツの子供だからなぁ」
「ゆゆ!?」
怯えるばかりのまりさだったが、「くそどれい」が述べた「子供」という言葉には気を引かれた。
まりさの子供? おちびちゃん? 何の、事だ?
まりさの子供? おちびちゃん? 何の、事だ?
「ハハハ。コイツのこの顔。目が点ってヤツだ。なあ、入れ替えた子供はどうしたんだ?」
「中枢餡が未熟なままなので、苦痛に耐えられなかったようだ。見てみるか?」
「くそじじい」が床に置かれた黒い箱を開いた瞬間。
部屋中に不気味な声が響き渡った。
部屋中に不気味な声が響き渡った。
「ゆぴょぴょぴょぴょぴょぴょぴょっ! ゆぴょぴょぴょっ! ゆぴょぴょぴょぴょぴょっ!」
「な、なんのこえなのぜぇぇ! ゆっくりできないぃぃっ!! ……ゆひぃぃっ!!」
まりさは驚愕した。「くそじじい」に抱かれていたのは、「ゆっくりできないゆっくり」であった
不気味なハゲ饅頭その物の不気味なゆっくりは、理解不能な声を上げ続けていた。
しかし、まりさは覚えがあった。あれは、まりさ自身だった、モノだ。
不気味なハゲ饅頭その物の不気味なゆっくりは、理解不能な声を上げ続けていた。
しかし、まりさは覚えがあった。あれは、まりさ自身だった、モノだ。
「ゆぴょっ! ゆぴょぴょぴょっ! ゆぴょぴょぴょっ! ゆぴょぴょぴょっ!」
「解るかい、まりさ。これは昨日までのまりさの身体だ。体内にはまりさの子供の中枢餡が入っている」
「まりさの、おちびちゃん……?」
「覚えて無いか? 野良ゆっくり共に散々レイプされた事を。その時に出来た赤ゆを俺が片っ端から奪ったのを」
「そんな、ましゃか」
「まりさと共に持ち込まれた赤まりさは冷凍保存されていた。その1頭を解凍し、成長剤で成体にした」
「いや、いやだ。やめるんだぜ」
「あとは、丸ごと交換だ。オマエの身体は、オマエのおちびちゃんの身体なんだよ!」
「ゆぴょぴょぴょぴょぴょぴょぴょぴょぴょぴょっぴょぴょぴょぴょぴょぴょぴょぴょぴょぴょっ!」
「うぞだああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっ!!!」
あの「ゆっくりできないゆっくり」が自らの子供であることを理解した瞬間、まりさは絶叫した。
幾度も幾度も犯され、その果てにできた「おちびちゃん」達。奪われた「おちびちゃん」達。
「まりさのおちびちゃん」は絶望に塗れたまりさにとって、たった一欠けらの「ゆっくり」だったのだ。
幾度も幾度も犯され、その果てにできた「おちびちゃん」達。奪われた「おちびちゃん」達。
「まりさのおちびちゃん」は絶望に塗れたまりさにとって、たった一欠けらの「ゆっくり」だったのだ。
そして、自分と引き換えに「ゆっくりできないゆっくり」となった「おちびちゃん」。
思わぬ再会を果たしたまりさからは、先程の生まれ変わったような高揚感は跡形も無く消え去っていた。
思わぬ再会を果たしたまりさからは、先程の生まれ変わったような高揚感は跡形も無く消え去っていた。
「で、コレどうする? 重度の非ゆっくり症だ。成体ベースなら応用で治せたが、幼体では治る見込みは無い」
「ああ、お前の手は煩わせねぇよ。貸しな」
まりさの「くそどれい」はそう言うや、「くそじじい」から「まりさのおちびちゃん」を奪い取ると、
そのまま床に投げ落とし、踏みつぶした。餡子が辺りに飛び散る。
そのまま床に投げ落とし、踏みつぶした。餡子が辺りに飛び散る。
「ゆびょるっ! ぶじゅるるるるる……」
「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!! まりざざまのおぢびぢゃんがあ゛あ゛あ゛っ!!」
「床を汚すな! 結局手を煩わせやがって!」
「あぁ、済まねぇ。つい」
「ど、どぼじで……」
「「ん?」」
「どぼじでまりざざまをゆっぐりざぜでぐれないのおお!? まりざざまはがいゆっぐりなんだよぉぉ!!
ごんなの、ごんなのおがじいよぉぉ!! もどにもどじでよぉぉ!! ゆっぐりざぜでよぉぉ!!」
ごんなの、ごんなのおがじいよぉぉ!! もどにもどじでよぉぉ!! ゆっぐりざぜでよぉぉ!!」
まりさは力の限り泣き、叫んだ。想いの限り、泣き叫んだ。
しかし2人の人間は意に介そうともせず、微動だにもしない。
しかし2人の人間は意に介そうともせず、微動だにもしない。
「飼いゆっくりなら、飼いゆっくりの務めを果たせば良かったんだ。まりさはそれを怠った」
「づどめっでなにぃぃ!? まりざざまはゆっぐりずるんだよぉ! ゆっぐりじでるんだよぉぉ!!」
「アァ? オマエだけがゆっくりしてどうするんだ? 飼い主をなんだと思ってやがる」
「がいぬじはまりざざまのぐぞどれいなんだよぉぉ! まりざざまをゆっぐりざぜるんだよぉぉ!」
「飼いゆっくりの価値は、飼い主をゆっくりさせる事だ。それが出来ない飼いゆっくりはゴミに等しい」
「ごみじゃないよおお!! まりざざまはがぢがあるんだよぉぉ!! ゆっぐりでぎるんだよぉぉ!!」
「だからオマエはさ、俺に虐められて俺をゆっくりさせるしか価値が無いんだよ! この糞饅頭がッ!!」
「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛っ!! ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛っ!!」
2人が浴びせる責め句に、まりさは自分が「ゆっくりできるゆっくり」だと言い返すしか出来なかった。
どんなに言葉を返しても、もはや自分をゆっくりさせる事すら出来なかった。
返す言葉をも失い泣き続けるまりさの身体を、「くそどれい」が乱暴に掴み上げる。
どんなに言葉を返しても、もはや自分をゆっくりさせる事すら出来なかった。
返す言葉をも失い泣き続けるまりさの身体を、「くそどれい」が乱暴に掴み上げる。
「いやだああっ!! やめろぉぉ!! ばなぜぇぇ!!」
「ところでさ、コイツの身体に入ってたまりさはどうなったか判るかい?」
「先日、飼い主さんが挨拶に見えられたよ。まりさちゃんはとてもゆっくりした表情で、寿命を全うしたって。
ノイローゼ気味だった飼い主さんは、すっかり立ち直ってたよ」
ノイローゼ気味だった飼い主さんは、すっかり立ち直ってたよ」
「そいつは良かった。アイツは飼いゆっくりの役目を果たしたんだな」
「しかし、お前さんに飼われている間は役目を果たせなかったんだがな」
「そんな目で見るな。あんなんだって判ってれば、最初から飼わなかったって」
「結果オーライ、か。今のお前さん達はお似合いだよ。まりさ、精々そいつをゆっくりさせてやってくれ」
「もういやだああああぁっ!! ごろじでええっ!! まりざざまをごろじでええっ!!」
まりさは「くそじじい」に自らの死を懇願する。無様に泣き叫び、「しーしー」を漏らしながら。
しかし「くそじじい」は、黙ってまりさを見据えるだけだった。
しかし「くそじじい」は、黙ってまりさを見据えるだけだった。
「じゃあ帰るわ。これからもヨロシク!」
「二度と来るな」
「さぁーて、まりさちゃん。帰ったら何して遊ぼうかな? 心配する事は無いよ。
身体が壊れても、心が壊れても、必ず治して元通りにしてやるからね。ヒャッハーッ!!」
身体が壊れても、心が壊れても、必ず治して元通りにしてやるからね。ヒャッハーッ!!」
「ゆ゛ん゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!!」
それから40年余りの間、まりさは身体と心が壊れる度に治療を受け、元通りにされた。
詰られ、叩かれ、蹴られ、踏まれ、投げられ、刺され、毟られ、切られ、破られ、抜かれ、焼かれ、犯され続けた。
詰られ、叩かれ、蹴られ、踏まれ、投げられ、刺され、毟られ、切られ、破られ、抜かれ、焼かれ、犯され続けた。
まりさは飼い主が天寿を全うし、飼い主の親族に処分されるまで、永遠にゆっくりすることは許されなかった。
完