ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko1651 超高級ゆっくり市
最終更新:
ankoss
-
view
とある大都市の一等地で開かれた、三月に一度行われる歴史と伝統の最高級ゆっくり市。
世界中のゆっくり企業や一流のブリーダーたちが威信をかけて送り出す最高級のゆっくりがそろっている。
世界中の養殖家やハンターたちが希少種やドスを真っ先に持ち寄ってくる。
白く輝く大理石が林立する大ホール、そこではまるで宝石飾りかなにかのように
ゆっくりたちがショウケースに入れられ二重のロックで厳重に守られている。
足元には高級感あふれる深い赤のカーペット、大きなシャンデリアがゆっくりたちの顔をぼんやり見守っていた。
ここでは特に希少な商品を取り扱うため、入場には職業犯罪歴などの身分審査が必須とされ、
更に保証金として大量のお金を預けなければならない。
今年は不況の影響で、去年あんなに沢山買っていったあの人もその人も居なくなってしまった。
しかし高級ゆっくりの需要は相変わらず高く、今年もかなりの人たちが訪れたようだ。
「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」
会場の扉が開けられる、胴付きたちが挨拶する。
この市では胴付きゆっくりに接客させるのが習わしだ。
(普通のゆっくりにやらせてみようという話もあったが、普通のゆっくりでは身長が足りず接客出来なかった)
ゆっくりを扱う商社の人間や、重度のゆっくり愛好家、新たな興奮を求めるHENTAI、
希少種を扱う研究者、動物園に希少ゆっくりを招く経営者たち。
ここにゆっくりを求める理由は人それぞれだ。
そのような人間達が自分の武器を胸にたずさえ、やってくる。
☆☆☆
「そこのプラチナバッヂ基本種をそれぞれ十個づつ、あとは希少種を適当に包んでくれ」
ふくよかで髭を蓄えちょっと太ましい、落ち着いた雰囲気の中年男性だ。
髭を長く蓄えていて、なんだかアラビアーンな人である。
売却が決まったゆっくりはパアッとした表情になり、飛んだり跳ねたりそれぞれ喜んでいる。
プラチナバッチを取れたゆっくりはこのような場所で販売されるが、
運が悪いのか愛嬌に欠けていたのかやはり売れ残ってしまう個体というのもある。
そうなれば高級ペットショップへ、最後には町のペットショップへと販売の場は落とされ、
出される餌は貧相に、虐待鬼意山に出会う可能性も上がるだろう。
だから出来るだけ早く、良い所で売れたほうがゆっくりできる、一部のブリーダーたちはゆっくりにそう言い聞かせ、
高いバッヂを取り売れるゆっくりになるためのモチベーションを高めようとする。
買われたショウケースの中では様々なゆっくりドラマが繰り広げられていた。
「おかーさああああん!!!!!」
「おちびちゃああああああああんんん!!!!!」
プラチナバッヂの母れいむに、プラチナバッヂの子れいむ。
おちびちゃんがゆっくりした人に貰われていく。
プラチナバッヂを取るために親子が受けた教育は並大抵の物ではない。
朝から晩までしつけの勉強、数や文字を理解するのにどれだけ血の涙を流したか。
最低でも四ケタの算数、初頭漢字の理解、完全なごあいさつが要求されるのがプラチナバッヂだ。
年齢が重なると商品価値が落ちるので、これを全て一歳前までに習得しなければいけない。
多くのゆっくりたちがブリーダーに処分され、銀や金のレベルで脱落している。
おちびちゃんのそんな苦労を知っていた母れいむだから、買われ先が決まった時の感動もひとしおだった。
「お代はほけんりょうをいれて8500万円になりますが」
高級ゆっくりにはゲス化保険などをかけるのが一般的で、それがまた値段を余計に押し上げるのだ。
中年男性は小切手にさらさらと金額を記入し、接客の胴付きぱちゅりーに渡した。
「ずいぶんいっぱい買いますね」
ぱちゅりーが尋ねる。個人の参加者がここまで買いこむのは珍しかった。
「ああ、それはな」
中年男性はお別れを済ませたばかりのプラチナ子れいむをがっしり掴んで虚空に放り投げた。
何が起こったのかわからず、きょとんとしたまま空中でくるくるまわる子れいむ。
そしてその子ゆっくりに近づく二つの影、それは……。
「うー☆ あまあまだどぉ~☆」
「うぅー、ふらんもたべるー!」
子れいむは両ほほを捕食種の鋭い牙で抉られた。あふれ出る餡子。
「ゆんやあああああ!!!!!!」
捕食種の、ゆっくりをしとめて味わうためだけの攻撃。ブリーダーの鞭よりずっと痛い。
二体のちゅっちゅは悪魔より激しく、その餡子はずるずると外部へ排出される。
しかし餡子が漏れるたびに痛みは薄れ、すでに細かい震えだけが子れいむが生きていることを示すのみになった。
すでに干し柿のようにしぼんで、ゴミ同然の体であるが、プラチナバッヂの輝きだけは前と変わらず
とてもゆっくりとした白銀色を誇っていた。
「ゆああああああ!!! でいぶのゆうっじゅうっなおぢびぢゃんがあああああ!!!!」
ゆっくりしたゆん生を送ることを約束された金バッヂよりももっとゆっくりしてたのに。
あの苦労もこの苦労も全部水の泡、苦しいしつけの挙げ句が捕食種のエサというみじめなゆん生。
「れみりゃとふらんにはちゃんとしたゆっくりを与えている、そうしないと餡の質が悪くなってしまうかもしれないだろう」
プラチナバッヂの虐待という所業に、周りの鬼意山たちは拍手喝采だ。
「何を言う、私は立派な愛でお兄さんだ」
高いゆっくりを買い求める理由は人それぞれ。
「ゆああああ!!!! ぶらぢなばっぢにぞんなごどじていいどおぼっでんのがあああああ!!!!!」
狂ってぼよぼよ暴れるのは、先ほど食い殺された子れいむの母である。
先ほどまでのゆっくりした振る舞いはどこへやら、歯茎を出して激怒の抗議だ。
「ああ、すっかりゲスになっています」
「何かの間違いでバッヂ試験を通ってしまった個体だろう、認定はもっと厳しくやって貰わないと信用問題になる」
母れいむはゲスワードを撒き散らさないようタオルを口にあてられ、店員に抱えられながら会場の裏へ消えていった。
☆☆☆
「さあ、ほかにはいませんか?」
特に高級なゆっくりはオークショニアの手でさばかれてゆく。
専門教育を受けたまりさがおさげで器用にハンマーをぽんぽこ振り回している。
300万円を超える最高級クラスのゆっくりは大抵ここで売られる。
希少種であるだけではここには並ばない、希少種であり更に高ランクのバッヂ持ちであるとか、
10mを超える怪物級のドスまりさなどの超珍品のみがここで取り扱われる。
注意せよ。ここは特に金を吸い取るブラックホールのような場所だ。
高いだけあって魅力的なゆっくりばかりが揃っているが、財布を固く閉じ、
絶対に欲しいゆっくりだけを狙い、他は無視するのがよいだろう。
毎年軍資金をオーバーさせて結局手放すはめになる人が必ず出るらしい。
このごろは二度三度出品されるゆっくりも良くある。
今回の目玉は希少種であるゆっくりてるよの胴付きの、真っ白なアルビノであった。
参加者の目の前にそのてるよが現れた時には、希少なゆっくりを見慣れている彼らをして感動のため息をつかせしめた。
そもそもゆっくりてるよは「よく今まで絶滅せずに済んだな」というレベルのあまりの怠惰さをもつゆっくりである。
気が向いたときにしか行動しない、すっきりも本当にまれにしか行わず、
人間がむりやりすっきりさせても、疲れるのが嫌なのか実ゆに栄養を与えず枯らせてしまうことがほとんど。
1年何も食べずとも済む省エネルギー体質であり、その体質がてるよを希少種たらしめている。
しかしそれでもそのさらさらして黒く長い髪は多くの愛好家を古くから魅了しつづけており、
奈良の昔、五人の愛でお兄さんが老夫婦の家の飼いてるよを得る権利を取りあって、
最後には帝を巻き込んでの血で血を洗う殺し合いをしたという話はあまりにも有名である。
そのてるよの胴付きの、さらにアルビノである。
結局そのてるよは数万円代のこまかい争いのすえ、四億円近くの値がついた。
ゆっくりは基本的に十年を生きないので億単位の値が付くことはほとんどないが、
何十年も生きる長命な種は積極的な投資対象になり、他の種よりも値段が上がる傾向にある。
特に観客から好奇の視線を集めたのは、激しい遺伝子操作を経て作られた高知能ゆっくりたちである。
「「「「ハハッ! どうも、私共はゆっくり霊夢です! 皆様の財力で私共をお買い求めください!」」」」
ゆっくりはその知能の割に構造が単純なので、遺伝子操作やサイボーグ化など広く研究されている。
勿論将来的に人間に応用できることを期待しての研究だ。
その過程で生まれた試作ゆっくりが、研究費のためにこのオークションに出されることがある。
あまりに奇妙な物は値が伸びないという事もあるが、意外と白熱して値が上がっていくこともある。
このオークションで一番読めないのがこのジャンルのゆっくりだ。
「ゆっくりしていってね! まりさはまりさだよ!」
「おぢびぢゃんはありずでじょおおおお!!!!!」
成体まりさの中枢餡を完全な形で移植した赤ありす(親付き)
「ピピピー、ユックリシテイッテネ!」
「おぢびじゃんゆっぐりじでえええええ!!!!」
コンピューターに組み込めば生体CPUとして機能する子まりさ(親付き)
「Hallo! I'm Reimu! Take it easy!」
「おぢびじゃんなにいっでるのぼおおおおお!!!!」
様々な言語をインストールして操れる子れいむ(親付き)
今回特に人気があったのはこのあたりだ。
スポーツ関係のゆっくりも人気がある。
ゆくリンピックや競ゆのような競技で優れた成績をあげたゆっくりにはファンもつくので
引退した後、ここで売りに出されるケースも多いのだ。
まじめに練習させるにはゲスにならないようしっかり教育をしておかないといけないので
意外と体力バカということもなく、飼いゆとしてもなかなかである。
人間さんよりも早く走れるゆくリンピック短距離走世界新をつい数日前記録したちぇんの出品は
ゆっくり愛好家だけではなく一般マスメディアをも巻き込んで話題となった。
スポンサーの会社が倒産し、その債務のために差し押さえられてしまったのが原因であった。
落札者の鬼意さん(会社経営)は今後もちぇんをアスリートゆっくりとして活躍させるつもりらしい。
☆☆☆
<ゆっくりショーが始まります、ご来場の皆様は是非足をお運びください>
<ゆっくりショーが始まります、ご来場の皆様は是非足をお運びください>
この市はゆっくりを売り買いするのが主な目的で開かれるのだが、時折開かれるゆっくりを使ったショーも人々の注目を集める。
様々なゆっくりショーの興行団体が参加し、なかなか見られない様々な催しが一か所に集められているのだ。
ショーは愛で系の会場と虐待系の会場で区切られているので好きな方に立ち寄ろう。
どちらかといえば豪快な虐待ショーに人気が集まっているようだが、愛で系も質は高い。
「どぼじておびずさんがおうぢにはいってきでるのおおお!!!??」
「「「「ゆんやあああ!!! おきゃーしゃあああんん!!!!」」」」
大量のカメラを設置し、普段は見れない巣の内部で苦しむゆっくりを見る「ゆっくり観察してね」ショー。
使われる巣は自然発生した野生ゆのものをわざわざ切り出してきたものだ。
一流の鬼意山がそろっているから、この家族はあと一時間は殺してもらえないだろう。
「ゆわあああ!!! たしゅけてえええ!!!!」
「おちびちゃん! おちないようにゆっくりしてるんだぜ!!」
崖の肌のわずかなでっぱりに設置された赤ゆを親ゆに助けさせる「九死に一生劇場」。
ちなみにこの親子は一度生還できたものの、観客のアンコールによって
再び危機におとしいれられ親子ともども転落死した。
「ぶひー♪」「ぶひぃ♪」
「おらおら媚びてんじゃねえぞ豚!!」
鞭で叩かれたてんこが楽器のように鳴いて曲を奏でる「てんこのめすぶたショー」のような笑いを誘うものもある。
いずれもこの市を賑やかにし、そこに彩りを添えるものだ。
☆☆☆
この市は朝から晩まで三日間続き、最後の夜にはかなりのゆっくりが売れてしまっている。
売上総額がこの三日だけで数百億円にのぼるというのだから凄まじい。
そして閑散とした会場の中には、青くなって震えるゆっくりばかりがあった。
ゆっくりは一般に寿命が短く、それゆえ経年により販売価格はずるずると落ちてゆく。
プラチナバッヂの子ゆはそれだけで百万に届く場合すらあるが、
二歳を超えたら数万円代まで落ちていって、最悪ブランド保持のため引き取られ殺処分されることもある。
プラチナバッヂの教育には高いコストがかかっているので十万円から二十万円あたりが赤字ラインとなってくる場合が多い。
「売れ残りやがって、この糞饅頭が!!」
「ごべんなざいいいいい!!!! つぎがらぢゃんとじまずうううう!!!!」
このれいむはプラチナを取り三度も出品されたのだがまったく手をつけてもらえず、
値段は既に十万円まで下げられてしまって、それでも売れない。
優秀は優秀なのだがお飾りの色がちょっと暗く毛の量が微妙に多い、わさわさ癖が直らず、
それゆえ今のお客さんにはあまり好まれないタイプとなっていた。
ゆっくりはオレンジジュースで簡単に治療ができるので、売れないと腹いせに虐待されることがある。
一回売れなかったぐらいなら仕方がないで済むかもしれないが、二・三回目となると生活がかかってくる。
これぐらい売れないと値段がいい加減下がって金バッヂのそれに近づいてくるので、
こういう市よりもむしろペットショップでの販売のほうが売れる見込みが出てくるだろう。
だがプラチナバッヂのゆっくりたちは、頭がいいので口には出さないものの
ペットショップのゆっくりたちを半ばうんうんかしーしーのように見下している。
餌もその他の待遇もそのゆっくりたちと同じレベルに落とされ、プライドが崩れ去ったプラチナゆっくりたちの
中には長い時間をかけてゲス化の兆候を表すものもあり客にも敬遠されてしまう。
そうしてますます売れない、そんなケースも中にはある。
「お前に次は無い、ペットショップ行きだ」
「ゆ、ゆっぐりりがいじまじだ……」
れいむはプラチナバッヂを取った一年前、自分ほど賢い美れいむはすぐに売れるに違いない、
一時間もつかどうか、いや三十分もあやしい、と思っていた。
結果がこれである。鼻を高くしすぎたのもいけなかったのかもしれないが、
反省したところで時間はもう戻らない。
厳しい世の中、プラチナを取っても決して安泰ではないのだ。
この市は最上級のゆっくりを求める人々と、最上級のゆっくりを求めるゆっくりたちの交差点である。
札束や小切手が飛び交う、珍ゆが山のようにある、しかしそこは華やかで輝かしいだけの場所ではない。
自信がありあまりすぎて堕ちていくゆっくりや、ゆっくりにのめり込み過ぎて破産してしまう人間もある。
ここは富に虚栄、何もかもを吸いつくす魔窟でもあるのだった。
おわり
・ゆっくりした過去作さん
anko1637 一人のまぬけでみんな台無し
anko1621 れいぱーは人気者
anko1609 幸せ崩壊丼
anko1592 赤ゆが凄い生えちゃった事件
世界中のゆっくり企業や一流のブリーダーたちが威信をかけて送り出す最高級のゆっくりがそろっている。
世界中の養殖家やハンターたちが希少種やドスを真っ先に持ち寄ってくる。
白く輝く大理石が林立する大ホール、そこではまるで宝石飾りかなにかのように
ゆっくりたちがショウケースに入れられ二重のロックで厳重に守られている。
足元には高級感あふれる深い赤のカーペット、大きなシャンデリアがゆっくりたちの顔をぼんやり見守っていた。
ここでは特に希少な商品を取り扱うため、入場には職業犯罪歴などの身分審査が必須とされ、
更に保証金として大量のお金を預けなければならない。
今年は不況の影響で、去年あんなに沢山買っていったあの人もその人も居なくなってしまった。
しかし高級ゆっくりの需要は相変わらず高く、今年もかなりの人たちが訪れたようだ。
「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」
会場の扉が開けられる、胴付きたちが挨拶する。
この市では胴付きゆっくりに接客させるのが習わしだ。
(普通のゆっくりにやらせてみようという話もあったが、普通のゆっくりでは身長が足りず接客出来なかった)
ゆっくりを扱う商社の人間や、重度のゆっくり愛好家、新たな興奮を求めるHENTAI、
希少種を扱う研究者、動物園に希少ゆっくりを招く経営者たち。
ここにゆっくりを求める理由は人それぞれだ。
そのような人間達が自分の武器を胸にたずさえ、やってくる。
☆☆☆
「そこのプラチナバッヂ基本種をそれぞれ十個づつ、あとは希少種を適当に包んでくれ」
ふくよかで髭を蓄えちょっと太ましい、落ち着いた雰囲気の中年男性だ。
髭を長く蓄えていて、なんだかアラビアーンな人である。
売却が決まったゆっくりはパアッとした表情になり、飛んだり跳ねたりそれぞれ喜んでいる。
プラチナバッチを取れたゆっくりはこのような場所で販売されるが、
運が悪いのか愛嬌に欠けていたのかやはり売れ残ってしまう個体というのもある。
そうなれば高級ペットショップへ、最後には町のペットショップへと販売の場は落とされ、
出される餌は貧相に、虐待鬼意山に出会う可能性も上がるだろう。
だから出来るだけ早く、良い所で売れたほうがゆっくりできる、一部のブリーダーたちはゆっくりにそう言い聞かせ、
高いバッヂを取り売れるゆっくりになるためのモチベーションを高めようとする。
買われたショウケースの中では様々なゆっくりドラマが繰り広げられていた。
「おかーさああああん!!!!!」
「おちびちゃああああああああんんん!!!!!」
プラチナバッヂの母れいむに、プラチナバッヂの子れいむ。
おちびちゃんがゆっくりした人に貰われていく。
プラチナバッヂを取るために親子が受けた教育は並大抵の物ではない。
朝から晩までしつけの勉強、数や文字を理解するのにどれだけ血の涙を流したか。
最低でも四ケタの算数、初頭漢字の理解、完全なごあいさつが要求されるのがプラチナバッヂだ。
年齢が重なると商品価値が落ちるので、これを全て一歳前までに習得しなければいけない。
多くのゆっくりたちがブリーダーに処分され、銀や金のレベルで脱落している。
おちびちゃんのそんな苦労を知っていた母れいむだから、買われ先が決まった時の感動もひとしおだった。
「お代はほけんりょうをいれて8500万円になりますが」
高級ゆっくりにはゲス化保険などをかけるのが一般的で、それがまた値段を余計に押し上げるのだ。
中年男性は小切手にさらさらと金額を記入し、接客の胴付きぱちゅりーに渡した。
「ずいぶんいっぱい買いますね」
ぱちゅりーが尋ねる。個人の参加者がここまで買いこむのは珍しかった。
「ああ、それはな」
中年男性はお別れを済ませたばかりのプラチナ子れいむをがっしり掴んで虚空に放り投げた。
何が起こったのかわからず、きょとんとしたまま空中でくるくるまわる子れいむ。
そしてその子ゆっくりに近づく二つの影、それは……。
「うー☆ あまあまだどぉ~☆」
「うぅー、ふらんもたべるー!」
子れいむは両ほほを捕食種の鋭い牙で抉られた。あふれ出る餡子。
「ゆんやあああああ!!!!!!」
捕食種の、ゆっくりをしとめて味わうためだけの攻撃。ブリーダーの鞭よりずっと痛い。
二体のちゅっちゅは悪魔より激しく、その餡子はずるずると外部へ排出される。
しかし餡子が漏れるたびに痛みは薄れ、すでに細かい震えだけが子れいむが生きていることを示すのみになった。
すでに干し柿のようにしぼんで、ゴミ同然の体であるが、プラチナバッヂの輝きだけは前と変わらず
とてもゆっくりとした白銀色を誇っていた。
「ゆああああああ!!! でいぶのゆうっじゅうっなおぢびぢゃんがあああああ!!!!」
ゆっくりしたゆん生を送ることを約束された金バッヂよりももっとゆっくりしてたのに。
あの苦労もこの苦労も全部水の泡、苦しいしつけの挙げ句が捕食種のエサというみじめなゆん生。
「れみりゃとふらんにはちゃんとしたゆっくりを与えている、そうしないと餡の質が悪くなってしまうかもしれないだろう」
プラチナバッヂの虐待という所業に、周りの鬼意山たちは拍手喝采だ。
「何を言う、私は立派な愛でお兄さんだ」
高いゆっくりを買い求める理由は人それぞれ。
「ゆああああ!!!! ぶらぢなばっぢにぞんなごどじていいどおぼっでんのがあああああ!!!!!」
狂ってぼよぼよ暴れるのは、先ほど食い殺された子れいむの母である。
先ほどまでのゆっくりした振る舞いはどこへやら、歯茎を出して激怒の抗議だ。
「ああ、すっかりゲスになっています」
「何かの間違いでバッヂ試験を通ってしまった個体だろう、認定はもっと厳しくやって貰わないと信用問題になる」
母れいむはゲスワードを撒き散らさないようタオルを口にあてられ、店員に抱えられながら会場の裏へ消えていった。
☆☆☆
「さあ、ほかにはいませんか?」
特に高級なゆっくりはオークショニアの手でさばかれてゆく。
専門教育を受けたまりさがおさげで器用にハンマーをぽんぽこ振り回している。
300万円を超える最高級クラスのゆっくりは大抵ここで売られる。
希少種であるだけではここには並ばない、希少種であり更に高ランクのバッヂ持ちであるとか、
10mを超える怪物級のドスまりさなどの超珍品のみがここで取り扱われる。
注意せよ。ここは特に金を吸い取るブラックホールのような場所だ。
高いだけあって魅力的なゆっくりばかりが揃っているが、財布を固く閉じ、
絶対に欲しいゆっくりだけを狙い、他は無視するのがよいだろう。
毎年軍資金をオーバーさせて結局手放すはめになる人が必ず出るらしい。
このごろは二度三度出品されるゆっくりも良くある。
今回の目玉は希少種であるゆっくりてるよの胴付きの、真っ白なアルビノであった。
参加者の目の前にそのてるよが現れた時には、希少なゆっくりを見慣れている彼らをして感動のため息をつかせしめた。
そもそもゆっくりてるよは「よく今まで絶滅せずに済んだな」というレベルのあまりの怠惰さをもつゆっくりである。
気が向いたときにしか行動しない、すっきりも本当にまれにしか行わず、
人間がむりやりすっきりさせても、疲れるのが嫌なのか実ゆに栄養を与えず枯らせてしまうことがほとんど。
1年何も食べずとも済む省エネルギー体質であり、その体質がてるよを希少種たらしめている。
しかしそれでもそのさらさらして黒く長い髪は多くの愛好家を古くから魅了しつづけており、
奈良の昔、五人の愛でお兄さんが老夫婦の家の飼いてるよを得る権利を取りあって、
最後には帝を巻き込んでの血で血を洗う殺し合いをしたという話はあまりにも有名である。
そのてるよの胴付きの、さらにアルビノである。
結局そのてるよは数万円代のこまかい争いのすえ、四億円近くの値がついた。
ゆっくりは基本的に十年を生きないので億単位の値が付くことはほとんどないが、
何十年も生きる長命な種は積極的な投資対象になり、他の種よりも値段が上がる傾向にある。
特に観客から好奇の視線を集めたのは、激しい遺伝子操作を経て作られた高知能ゆっくりたちである。
「「「「ハハッ! どうも、私共はゆっくり霊夢です! 皆様の財力で私共をお買い求めください!」」」」
ゆっくりはその知能の割に構造が単純なので、遺伝子操作やサイボーグ化など広く研究されている。
勿論将来的に人間に応用できることを期待しての研究だ。
その過程で生まれた試作ゆっくりが、研究費のためにこのオークションに出されることがある。
あまりに奇妙な物は値が伸びないという事もあるが、意外と白熱して値が上がっていくこともある。
このオークションで一番読めないのがこのジャンルのゆっくりだ。
「ゆっくりしていってね! まりさはまりさだよ!」
「おぢびぢゃんはありずでじょおおおお!!!!!」
成体まりさの中枢餡を完全な形で移植した赤ありす(親付き)
「ピピピー、ユックリシテイッテネ!」
「おぢびじゃんゆっぐりじでえええええ!!!!」
コンピューターに組み込めば生体CPUとして機能する子まりさ(親付き)
「Hallo! I'm Reimu! Take it easy!」
「おぢびじゃんなにいっでるのぼおおおおお!!!!」
様々な言語をインストールして操れる子れいむ(親付き)
今回特に人気があったのはこのあたりだ。
スポーツ関係のゆっくりも人気がある。
ゆくリンピックや競ゆのような競技で優れた成績をあげたゆっくりにはファンもつくので
引退した後、ここで売りに出されるケースも多いのだ。
まじめに練習させるにはゲスにならないようしっかり教育をしておかないといけないので
意外と体力バカということもなく、飼いゆとしてもなかなかである。
人間さんよりも早く走れるゆくリンピック短距離走世界新をつい数日前記録したちぇんの出品は
ゆっくり愛好家だけではなく一般マスメディアをも巻き込んで話題となった。
スポンサーの会社が倒産し、その債務のために差し押さえられてしまったのが原因であった。
落札者の鬼意さん(会社経営)は今後もちぇんをアスリートゆっくりとして活躍させるつもりらしい。
☆☆☆
<ゆっくりショーが始まります、ご来場の皆様は是非足をお運びください>
<ゆっくりショーが始まります、ご来場の皆様は是非足をお運びください>
この市はゆっくりを売り買いするのが主な目的で開かれるのだが、時折開かれるゆっくりを使ったショーも人々の注目を集める。
様々なゆっくりショーの興行団体が参加し、なかなか見られない様々な催しが一か所に集められているのだ。
ショーは愛で系の会場と虐待系の会場で区切られているので好きな方に立ち寄ろう。
どちらかといえば豪快な虐待ショーに人気が集まっているようだが、愛で系も質は高い。
「どぼじておびずさんがおうぢにはいってきでるのおおお!!!??」
「「「「ゆんやあああ!!! おきゃーしゃあああんん!!!!」」」」
大量のカメラを設置し、普段は見れない巣の内部で苦しむゆっくりを見る「ゆっくり観察してね」ショー。
使われる巣は自然発生した野生ゆのものをわざわざ切り出してきたものだ。
一流の鬼意山がそろっているから、この家族はあと一時間は殺してもらえないだろう。
「ゆわあああ!!! たしゅけてえええ!!!!」
「おちびちゃん! おちないようにゆっくりしてるんだぜ!!」
崖の肌のわずかなでっぱりに設置された赤ゆを親ゆに助けさせる「九死に一生劇場」。
ちなみにこの親子は一度生還できたものの、観客のアンコールによって
再び危機におとしいれられ親子ともども転落死した。
「ぶひー♪」「ぶひぃ♪」
「おらおら媚びてんじゃねえぞ豚!!」
鞭で叩かれたてんこが楽器のように鳴いて曲を奏でる「てんこのめすぶたショー」のような笑いを誘うものもある。
いずれもこの市を賑やかにし、そこに彩りを添えるものだ。
☆☆☆
この市は朝から晩まで三日間続き、最後の夜にはかなりのゆっくりが売れてしまっている。
売上総額がこの三日だけで数百億円にのぼるというのだから凄まじい。
そして閑散とした会場の中には、青くなって震えるゆっくりばかりがあった。
ゆっくりは一般に寿命が短く、それゆえ経年により販売価格はずるずると落ちてゆく。
プラチナバッヂの子ゆはそれだけで百万に届く場合すらあるが、
二歳を超えたら数万円代まで落ちていって、最悪ブランド保持のため引き取られ殺処分されることもある。
プラチナバッヂの教育には高いコストがかかっているので十万円から二十万円あたりが赤字ラインとなってくる場合が多い。
「売れ残りやがって、この糞饅頭が!!」
「ごべんなざいいいいい!!!! つぎがらぢゃんとじまずうううう!!!!」
このれいむはプラチナを取り三度も出品されたのだがまったく手をつけてもらえず、
値段は既に十万円まで下げられてしまって、それでも売れない。
優秀は優秀なのだがお飾りの色がちょっと暗く毛の量が微妙に多い、わさわさ癖が直らず、
それゆえ今のお客さんにはあまり好まれないタイプとなっていた。
ゆっくりはオレンジジュースで簡単に治療ができるので、売れないと腹いせに虐待されることがある。
一回売れなかったぐらいなら仕方がないで済むかもしれないが、二・三回目となると生活がかかってくる。
これぐらい売れないと値段がいい加減下がって金バッヂのそれに近づいてくるので、
こういう市よりもむしろペットショップでの販売のほうが売れる見込みが出てくるだろう。
だがプラチナバッヂのゆっくりたちは、頭がいいので口には出さないものの
ペットショップのゆっくりたちを半ばうんうんかしーしーのように見下している。
餌もその他の待遇もそのゆっくりたちと同じレベルに落とされ、プライドが崩れ去ったプラチナゆっくりたちの
中には長い時間をかけてゲス化の兆候を表すものもあり客にも敬遠されてしまう。
そうしてますます売れない、そんなケースも中にはある。
「お前に次は無い、ペットショップ行きだ」
「ゆ、ゆっぐりりがいじまじだ……」
れいむはプラチナバッヂを取った一年前、自分ほど賢い美れいむはすぐに売れるに違いない、
一時間もつかどうか、いや三十分もあやしい、と思っていた。
結果がこれである。鼻を高くしすぎたのもいけなかったのかもしれないが、
反省したところで時間はもう戻らない。
厳しい世の中、プラチナを取っても決して安泰ではないのだ。
この市は最上級のゆっくりを求める人々と、最上級のゆっくりを求めるゆっくりたちの交差点である。
札束や小切手が飛び交う、珍ゆが山のようにある、しかしそこは華やかで輝かしいだけの場所ではない。
自信がありあまりすぎて堕ちていくゆっくりや、ゆっくりにのめり込み過ぎて破産してしまう人間もある。
ここは富に虚栄、何もかもを吸いつくす魔窟でもあるのだった。
おわり
・ゆっくりした過去作さん
anko1637 一人のまぬけでみんな台無し
anko1621 れいぱーは人気者
anko1609 幸せ崩壊丼
anko1592 赤ゆが凄い生えちゃった事件