ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko3397 どくしょ
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ankoss
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『どくしょ』 2KB
観察 小ネタ 日常模様 現代 小ネタ3本目です
観察 小ネタ 日常模様 現代 小ネタ3本目です
【どくしょ】
「ふぐ…ぶぎゅ…」
壁一面に書架の並ぶ、そう広くない一室
定年を迎えた私に残された、書斎兼自室の一角
定年を迎えた私に残された、書斎兼自室の一角
一冊の本に埋まるようにゆっくりぱちゅりーが
ケタケタと
嬉しそうに悲鳴を上げている。
ふむ、このまま放っておけばまもなく干からびるだろう
頃合いである。
頃合いである。
「ぱちゅよ、読書も結構だがそろそろ一息入れないかね」
「む、ぎゅ」
たっぷり2分を費やしてぱちゅりーは振りかえり
こちらを見た。
こちらを見た。
日ごろから動きの鈍重なゆっくりの中でも
とりわけ動きの遅いぱちゅりー種
とりわけ動きの遅いぱちゅりー種
その中でも目の前の個体は特別動きに活力が無い。
もちろん底部を焼くような事はしていない。
純粋に生命活動に割くリソースが足りていないのだ。
純粋に生命活動に割くリソースが足りていないのだ。
「にん゛げん、ざん」
「なんだい?」
「むぎゅっ!むぎゅぐっ!」
「おっと」
見極めが甘かった、与える間隔が短くなっている気がする。
これでも健康状態という意味では随分改善したのだが…
拾った時は破れたビニール袋の様だった身体は、私が餌を与えるようになってから
平均的な飼いゆっくり程度に持ち直したし
この書斎から一歩も出ないのだから
外敵に襲われるような環境では、もちろんない。
平均的な飼いゆっくり程度に持ち直したし
この書斎から一歩も出ないのだから
外敵に襲われるような環境では、もちろんない。
だというのに、私が拾ってから僅か数日で今のようになってしまった。
この、本が山と積まれた部屋に来ただけで。
室温で十分にぬるくなった缶のオレンジジュースを餌皿に開けてやる
ひきつけを起こしたように、笑いながら
餌皿のジュースにかぶりつき、声をあげる。
餌皿のジュースにかぶりつき、声をあげる。
「この゛『まどうしょ』は、きょうみぶがいわ゛」
「そうさね、世界で一番有名な『魔導書』だろうよ」
「これを゛よめれば、ここにある『まどうしょ』ぜんぶ、よ゛めるかじら」
「おそらく読むのは可能だろう」
難易度的に嘘は言っていない。
ただまぁ、口が裂けても『できる』と断言はできないなぁ…
ただまぁ、口が裂けても『できる』と断言はできないなぁ…
ぱちゅりーが今読んでいる本は『新約聖書』という。
駅前で配っていた安っぽい緑ビニールの装丁は、
ゆっくりが乱暴に扱ってもびくともしない。
駅前で配っていた安っぽい緑ビニールの装丁は、
ゆっくりが乱暴に扱ってもびくともしない。
二週間目の今日、分からない文字を何度も何度も私に尋ねながら
ぱちゅりーは今日めでたく目次を読了した。
ぱちゅりーは今日めでたく目次を読了した。
この部屋には若いころから集め続けた8000を超える本があり
飼いゆっくりの寿命は最長で約5年
ぱちゅりーの平均寿命は2年かそこらだと言う。
飼いゆっくりの寿命は最長で約5年
ぱちゅりーの平均寿命は2年かそこらだと言う。
一冊の本の目次を読み終わるまでに二週間を費やしたぱちゅりーは
この部屋の本すべてを読み尽くす事が出来ると信じて疑わない。
この部屋の本すべてを読み尽くす事が出来ると信じて疑わない。
『それ』を教えれば、それだけで死んでしまうだろう。
その時の事を考えるだけで
この部屋に並ぶ、読み終わった本の一冊程度には
ぱちゅりーは私の老後を愉しませてくれるのだった。
この部屋に並ぶ、読み終わった本の一冊程度には
ぱちゅりーは私の老後を愉しませてくれるのだった。
おわり
今まで書いたもの
anko3391 たんぺん
anko3392 だんしんぐ一家
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