ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko3423 夕暮れと選ばれなかった者達の末路
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ankoss
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『夕暮れと選ばれなかった者達の末路』 12KB
愛で 虐待 差別・格差 日常模様 野良ゆ 現代 作、長月 今回は愛でよりな話です
愛で 虐待 差別・格差 日常模様 野良ゆ 現代 作、長月 今回は愛でよりな話です
※俺設定注意
※シリーズ「夕暮れの町ゆっくり達」の第5作目 今回は三日月まりさでなく加工所で働くお兄さん視点でやんすまりさが主役の話です
※カードゲーム、特に遊●王知らない人には分かりにくい箇所があります
※シリーズ「夕暮れの町ゆっくり達」の第5作目 今回は三日月まりさでなく加工所で働くお兄さん視点でやんすまりさが主役の話です
※カードゲーム、特に遊●王知らない人には分かりにくい箇所があります
今まで書いた作品はこちらに
http://www26.atwiki.jp/ankoss/pages/393.html
http://www26.atwiki.jp/ankoss/pages/393.html
美しい自然と夕暮れの美しいことで知られる町、黄昏町。
山々に囲まれたある郊外の町にそのまりさはいる。
野良ゆっくりの身でありながら加工所の敷地内におうちを持ち
お飾り売りとしてゆっくりに飾りを売り歩き
この町のゆっくり達に知らぬものがないと言われているそのまりさの帽子には、なぜか三日月を形どったお飾りがついているという。
夕暮れと選ばれなかった者達の末路
「ふぅ・・・」
僕は公園のベンチでコーヒーを片手にため息をついた。
別に人を待っているわけでも何か目的があってここに居るわけでもない。ただなんとなく家に帰りたくないんでここに居るだけなのだ。
手に持っているコーヒーは既にぬるくなり掛けている。ホットで買ったはずなのだがもうアイスで買ったのと大して変わらない。
「さぁ早く開けようぜ!!」
「今度こそ、ウルトラレアのでーおー入ってるといいなー。」
「俺ドスてんこーが欲しいなー。てんこのなかじゃあれだけ持ってないんだよ。」
ふと見ると夕暮れの中、公園の芝生で少年達が騒いでいた。
彼らが手にしているのは「ゆっくり王 餡庫モンスターズ」のトレーディングカードパック。
様々なゆっくりの書かれているカードを集めデッキを組み対戦する奴だ。カードバトルとコレクションする要素が子供たちに受けて十年以上前から続くロングヒット商品になっているやつだ。おそらく彼らが持ってるのは多分そこの玩具屋で買った奴だろう。
懐かしい。僕もこのカードが出始めた小学生時代はなけなしの小遣いを持ってゲーム屋に行ったものだった。
「よっしゃー!!!スーパーレアの絶対死んでもゆるさなえとゆるすわこゲットだぜー!!!」
「マジ!?ケンちゃんこの前、もげふらんのウルトラレア引き当てたばっかりじゃん。相変わらず引き強いなー。」
「うー・・・マダオてんこが2枚も入ってた。こんなのいらねーのに。」
「いらないんなら俺にくれよ。今度メス豚てんこデッキ作る予定だから。」
「あー、ノーマルカードのれいむとまりさしか入ってねー・・・ついてねーな、捨てよ。」
パックの中身を確認し一喜一憂する小学生達。
日々の仕事に疲れぐったりとしおれたようになっている自分からしてみればうらやましいほど元気だ。
自分にも覚えがある。大人からすれば馬鹿みたいに思えるかもしれないが子供にとってレア(希少)カードを持っていることは最高のステータスであり、持っている者は子供たちにとってはヒーローなのだ。
「あややー。なぜ泣くのー、あややは山にー。」
その時公園に備えつけられたスピーカーから「七つの子(ゆっくりあややVer)」が流れた。この公園の六時を知らせるチャイムだ。
「やっべー。ヒトヅマイレブン始まってるじゃん!!」
「じゃあなー。また明日。」
「うん。バイバーイ。」
少年達は紅く染まった出口へ駆けていく。家に帰るつもりだろう。
子供達のいなくなった後に公園にいるのはベンチに座っている僕ひとり
そして子供達がいらないと捨てていったカードだけが残った。
「うっひょー!!おたからがいっぱいでやんす!!」
ぼんやりとほおづえついて夕日を見てるとひどく間の抜けたひょうきんな声が聞こえた。
見ればそこに居たのは一匹のゆっくりまりさ。子供達が捨てていったカードをかき集め帽子の中に入れている。
「やんすまりさ・・・」
僕はこのゆっくりを知っている。やんすまりさだ。
普通はゆっくりなんて種族くらいでしか分からないものだがこいつの場合特徴的な喋り方なのですぐに分かる。
「ゆゆ?おにいさんじゃないでやんすか、おひさしぶりでやんすね。」
こちらに気づきぺこりと頭を下げるまりさ。相変わらず野良とは思えないとぼけた顔だ。
こいつはこの公園に住む地域ゆっくり。通称やんすまりさだ。
なんでもとある子供向けゆっくりアニメのキャラに口調がそっくりなのでそう名付けられたらしいが詳しくはわからない。
ともかく「自分は三日月まりさの一の子分」を自称するやんすまりさは三日月まりさつながりで加工所職員である僕とちょくちょく会う事があるのだ。おかげで野良ゆと加工所職員という猫とネズミ、ライオンとウサギのような奇妙な交友関係が続いている。
「おしごとはもうおわったんでやんすか?」
「ああ、今日は定時で上がれてね。お前こそそんな物拾ってどうするんだ?」
「ああ、このカードはこゆいんのおちびたちのおもちゃにするんでやんすよ。」
「ああ。なるほど・・・」
そう言えばこの公園は野良ありすのやっている弧ゆ院があるんだった。
やんすまりさはそこの子ゆっくり達の面倒を良く見ているようだからこのカードも子ゆっくりへプレゼントするつもりだろう。
「ゆゆ?なんだかおにーさんげんきがないみたいでやんすね。なにかゆっくりできないことでもあったでやんすか?」
心配そうな顔で俺の顔を覗き込むやんすまりさ。
「・・・はは・・相変わらずだな・・・」
こいつはとぼけた顔しているわりには意外と鋭いところがある。まぁリストラされた親父よろしく公園のベンチでうなだれてれば誰でも普通じゃないのは分かるかもしれないが。
「まぁちょっと仕事でね・・・」
僕は持っていた缶コーヒーをベンチに置く。
「分かってるんだ・・・これが僕の仕事なんだって・・自分の選んだ道なんだって・・仕方のないことだって・・・」
僕は加工所の駆除課で勤務しているのだが正直、加工所の仕事はけして楽ではない。
こう言うとゲスゆっくりの相手ばかりでストレス溜まるからと思われるかもしれないがそれは間違いだ。
ゲスゆはどれだけ傲慢に悪態ついたところで最後は無様に命乞いしながら処分されるのが分かっているからそこまで腹は立たない。むしろ自分の立場すら理解できない頭の悪さに哀れみすら感じてしまう。
むしろストレスを貯まるのはゲスな人間相手の時だ。
うちは飼えなくなった飼いゆを有料で処分するサービスをやっているのだがこの客層がひどい。
処分する理由に飽きたから、引っ越すのに邪魔だからなんてのは序の口で希少種や金バッジを飼う前のお試しでとか、ゆっくりは子ゆっくりになるまでがかわいいので元々成体になったら捨てるつもりだったと悪びれずに言う飼い主が毎日のようにうちには来るのだ。
中にはこんなに大きくなるとは思わなかった、もっと手のひらサイズでゆーゆー喋るだけだと思ったなどというものも居る。
どうやら人工的に品種改良された豆ゆをTVなんかで見て、普通のゆっくりも同じだと勘違いしているらしい。それぐらい少し調べれば分かりそうなものだが。
他にも処分料が高い、こっちは新しいゆっくり買わなきゃいけないんだからタダにしろなどとゲスゆのごとく喚くおばさんや、捨てゆをダンボールに詰めて加工所敷地内に不法投棄していく連中、約束もなしで押しかけたあげく抗議と称して窓口や応接室に長々と愚痴り続けるゆっくり愛護団体などなど、挙げていったらきりがない。
今日もそんな胴付きでいぶまがいの連中相手に心底精神が参っていたのだ。
「・・・ってわけさ。正直いやになる。最近じゃ人間のほうがゆっくりより遥かに性質の悪いゲスなんじゃと良く思うくらいさ・・」
「そうでやんすか。にんげんさんもたいへんなんでやんすね。」
僕の話を聞きうんうんとうなづくやんすやんすまりさ。
人の話など聞かずただ自分の妄想や欲望を喚くゲスゆが多い中こいつは中々聞き上手だ。人間ですら自分語りに夢中になり会話相手を置き去りにする奴が多いのに。
公園利用者の中にはやんすまりさ目当てにここに来ている奴がいるというのもこれが原因のひとつだろう。
「なぁ、やんすまりさ・・・お前はどうなんだ?」
「ゆ・・・?」
ふと僕は前から思っていた疑問を口にする。
「お前も昔は飼いゆっくりだったんだろ?恨んでいないのか?前の飼い主を。お前を野良にしてゆっくりできなくしたそいつを?」
こいつの性格から言ってゲス化したから捨てられたとは考えにくい。前に「すっきりーとかはよくわかんないでやんす。あっしは、どうっていっでやんすから。」と恥ずかしそうに頭をかきながら言っていたからどこぞの野良ゆをにんっしんっさせて追い出されたというのもないだろう。生粋の野良ゆにしては人間側の事情に詳しすぎる。
恐らくやんすまりさは捨てられたのだろう。自身には責任のない理由で。
「・・・そうでやんすね。のらがゆっくりできるかっていわれると・・・ゆっくりできるといったらうそになりやすね・・・」
答えにくそうに歯切れ悪くしゃべるやんすまりさ。僕は悪いこと聞いてしまったかもと少し後悔した。
「のらもたいへんなんでやんすよ・・こうえんにすまわせてもらってるあっしはまだいいほうで・・・よくゆめをみるでやんすよ。まだじぶんがバッジさんをつけていたころのゆめを。みよちゃん・・まえのかいぬしだったにんげんさんにだっこされてオムライスをおなかいっぱいたべたところでめがさめるんでやんすがね・・・」
そう言ってやんすまりさは力なく笑う。
その哀愁漂う顔は一見お気楽でひょうきんなゆん生を歩んでいるように見えるやんすまりさもそれなりに苦労しているのが見て取れる。
「でもあっしはそれをうらんだことなんていちどもありやせん・・・あっしはじぶんでのらになることをのぞんだんでやんすから・・・」
「え・・・?」
自分で進んで野良になったとはどういうことなのか。
「みよちゃん」と言いかけていたがそれはやんすまりさを飼っていた元飼い主の名前だろうか。
喉まで疑問が出かかったがあえて止めておく。
野良ゆに言いたくない過去はつきものだ。聞くのは野暮と言うものだろう。
「そっか・・強いんだなお前・・・」
嘘やお世辞ではなく心底そう思う。
強いゆっくりというのは喧嘩の強いみょんやゆーぎ種でも、人間のように手足の使える胴付きでも山のように大きいドスでもない。
野良ゆという絶望的な状況であってもけして腐らず自分を捨てた飼い主を恨まず、自分の出来る事を精一杯頑張って生きている。
そんなこいつこそ本当に強いゆっくりだと思うのだ。少なくともこんな所でうじうじ悩んでいる自分のような奴よりは。
「ゆへへっ。あっしはこのまちのおやぶんゆっくりであるみかづきまりさのこぶんでやんすからね。これぐらいとーぜんでやんすよ。」
そう照れたように笑うやんすまりさの顔が沈みかけの夕日に照らされ印象的だった。
「ここはどこー?」
公園から帰る途中僕は聞きなれた声を路地裏から耳にした。
「なんでちぇんはこんなとこいるのー?らんしゃまはー?おにいさんはー?」
路地裏で不安げにキョロキョロ見回すゆっくりちぇん。野良ゆにしては身体がきれい過ぎるがその頭にはバッジがない。
「どうしてー!!ちぇん、らんしゃまとかいゆっくりになったはずなのにー!!わからないーわからないよー!!」
寒天でできた目に涙を浮かべわからないと連呼するちぇん。しかしその声にこたえる者は誰一人居ない。
恐らくあのちぇんはらんと抱き合わせ商法で売られた奴だろう。時々ゆっくりショップで見る「金バッジらんと銅バッジちぇんの仲良しカップルセット 別売り不可」とかいうやつだ。
行儀の悪い商売をする連中が良く使う手で、余った在庫の通常種を強制的に人気のある希少種と一緒に売ってしまおうという魂胆なのだ。
こうすれば客1人辺りの単価が上がる上、不良在庫もさばけるため一石二鳥。その上ゆっくりフードその他の消耗品は必然的に2倍売れるのだから良いこと尽くめだ。
買われた2匹が赤ゆっくりを産んだりすればさらにショップに福沢諭吉が舞い込むだろう。
買うほうも買うほうで、しばらく一緒に飼ってみて、飽きたら食玩の菓子部分を捨てる感覚で通常種ゆっくりを捨てる輩が多いのだから本当にどうしようもない。
「なんでーわからないー!!わからないよー!!」
もう既に夕日もすっかり落ちかかっている。自分の未来を暗示するかのように暗い路地裏で泣き続けるちぇん。
その泣きじゃくるちぇんに僕はさっきの公園の出来事を思い出す。
このちぇんもあの捨てられていたカードも同じだ。
強く希少価値のあるレアカードは大事にされるが、どこにでもあるノーマルカードはぞんざいに扱われる。
ゆっくりも人間に都合のいい希少種はちやほやされるが、どこにでもいる通常種は例え飼いゆでもいつ捨てられてもおかしくなく、一度野良に身を堕としたら奇跡でも起きない限り這い上がれない。
僕はちぇんに背を向けて歩き出す。残念ながら僕に出来る事はない。僕の住んでいるアパートはゆっくりを飼うことは禁止されているし、その場限りの施しなんて無駄でしかない。
大体1匹や2匹、自己満足で野良を拾ったところでどうしようもない。日本では年間数十万頭のゆっくりが捨てられているのだから。
多分あのちぇんは生き残れないだろう。それが人間に選ばれなかったモノの末路はいつだって悲惨なのだ。
僕は夜空を見上げる。空には雲ひとつなく星が良く見えた。
そして空に輝く三日月が一つ出ていて僕は三日月まりさの顔を思い出す。
やんすまりさならあのちぇんを見てどうするのだろうか。
叱咤激励して野良ゆとして生きていけるようアドバイスするのだろうか。
それともあんな甘ったれどの道生きていけないからと無視するのだろうか。
考えてみれば僕は三日月まりさのことも全然知らない。
なぜ野良でありながら加工所にいるのか。
なぜ他の野良の反感を買いながらお飾り売りなんてしてるのか。
あの帽子につけているぱちゅりーの物らしき三日月の飾りはなんなのか。
もう1年以上同じ職場にいるのに。
今にも降ってきそうな星空の下で三日月が僕を青白く照らしていた。
後書き
夕暮れの町ゆっくり達シリーズ初の人間視点の物語。実際加工所に勤めたら虐待お兄さんかよほど仕事と割り切って考えられる人間以外はノイローゼになりそうですよね。あとゆっくりを捨てに来る人間のあまりの身勝手さに人間不信になるとか。
はじめて三日月まりさの出てこない話でしたがどうだったでしょうか?
夕暮れの町ゆっくり達シリーズ初の人間視点の物語。実際加工所に勤めたら虐待お兄さんかよほど仕事と割り切って考えられる人間以外はノイローゼになりそうですよね。あとゆっくりを捨てに来る人間のあまりの身勝手さに人間不信になるとか。
はじめて三日月まりさの出てこない話でしたがどうだったでしょうか?
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