ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko3456 れいむのゆん生
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『れいむのゆん生』 18KB
虐待 日常模様 妊娠 番い 透明な箱 失礼します。
虐待 日常模様 妊娠 番い 透明な箱 失礼します。
anko2611 ゲスゆっくり奮闘記1
anko2622 ゲスゆっくり奮闘記2
anko3414 ゲスゆっくり奮闘記3
anko3417 ゲスゆっくり奮闘記4
「」ゆっくりの台詞
『』人間の台詞
誤字脱字失礼します
続き物を完結させていませんがご容赦下さい
anko2622 ゲスゆっくり奮闘記2
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「」ゆっくりの台詞
『』人間の台詞
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れいむは幸せなゆっくりだった
森の中の小さな群れの
狩りが上手なまりさと、子育て上手なれいむの間に生まれた
そんなゆっくりだった
森の中の小さな群れの
狩りが上手なまりさと、子育て上手なれいむの間に生まれた
そんなゆっくりだった
「ゆっ! おちびちゃんたち おとーさんがごはんさんをとってきたのぜ!」
「まりさ、おかえりなさい」
「「「おちょーしゃん! おきゃえり~! はやきゅごはんしゃんにちよーね!」」」
季節は春の中ごろ
成体ゆっくりが4匹ほど入れる、この森の群れでは平均的な木の根元に穴を掘った巣の中に明るい声が響く
時刻は昼を少し回ったころ、時間の概念が希薄なゆっくりたいにとっては『ポカポカタイム』である
そのポカポカタイム、一日で一番ゆっくり出来る時間に朝から狩りに出ていた父親役であるまりさが口にビニール袋を咥えて帰ってきた
番であるれいむは夫の無事を喜び
その子供であるまりさ二匹とれいむは、狩りから帰ってきたこと、つまりご飯になることを喜ぶ
別に薄情だとかゲスだとかではない、この一家の子ゆっくり3匹はまだ生まれて半月ほど、そろそろ赤ちゃん言葉が抜けるかどうかといったところの、まだまだ子供なのだ
親の苦労を労うと言う高度な感情の会得にはいたらず、欲求を満たすことを優先してしまうのも仕方ない
その証拠に3匹の子ゆっくりの目に影はない、それぞれ無駄にキラキラ輝き、口の端から涎を垂らして無意識に「ごひゃん、むーちゃむーちゃしちゃいよ」と独り言には大きすぎる声を漏らしている
「ゆん! すぐにごはんにするからまってるのぜ! れいむ、いもむしさんと やわらかいはっぱさん いがいは そうこにいれておくのぜ!」
「わかったよまりさ、ゆぅうん♪ きょうもたっくさんのごはんさんだね! さすがれいむのまりさだよぉ!」
親まりさは、以前拾って以来ある種狩りのパートナーである小さなビニール袋をれいむの前に放ると、親まりさは子ゆっくりたちと触れ合いだした
このビニール袋は人間が捨てたものを拾ったものである
人間にとってはゴミだがまりさに、ゆっくりにとってはとてもゆっくり出来る袋なのだ
狩りにおいてゆっくりは口の中に獲物を貯めるか、自らの帽子に貯めるかしかない
その量は限られたもので、日に何度も巣と狩場を行き来しなくてはならない
しかし、親まりさはこのビニール袋を手に入れたことで、一日分以上の狩りを一回で済ませることが出来るようになったのだ
ビニール袋だけで狩りの成果がそうも変わるかというと、変わるのだ
ゆっくりは沢山の食料を見つけて、それを採取して巣に戻り、また残りを取りにいこうとしても、それがどこにあったかを明確に覚えてはいないのだ
『たしかこのへんにあったよ!』くらいに認識で見切り発射してしまい、結局チャンスを逃してしまう
しかし、この袋があれば見つけた食料を思う存分取ることが出来る
故に親まりさはこの群れでは狩りの名人と呼ばれている
「ゆっしょ! ゆん! ごはんさんのじゅんびができたよ! みんなあつまってね!」
「ゆっ、わかったのぜ! おちびちゃん、ごはんなのぜ!」
「ゆわぁい!」「おにゃかしゅいたのじぇ!」「れいみゅ、たくしゃんむーちゃむーちゃしゅるよ!」
親れいむの声に、親まりさも子ゆっくりたちも即座に反応する
親まりさは底部をゆっくり這わせ、子ゆっくりたちは小さな体を精一杯動かしポムポムと跳ねて進む
巣の置く、食料を溜め込む小部屋の前大きな葉っぱが三枚並べられ、その上に今日親まりさがとって来た芋虫や瑞々しい草が載せられている
3つの皿はそれぞれ両親の、そして子ゆっくりたちの分である
両親の分はそれぞれ分けられ、子ゆっくり3匹のご飯は一枚の葉っぱにまとめられているのには意味がある
「ゆ! きょうはいもむししゃんがありゅのじぇ!」「しゅぎょいよ! れいみゅイモムシさんだいしゅき!」「ゆっくちぃいいい!!」
子ゆっくりたちは自分の目の前の大きくたっぷり身の詰まったイモムシに目を奪われていた
その子ゆっくり達のイモムシは親まりさが苦労してとったもので、そう多くは取れない
今回も取れたの2匹だけ、内一匹はまりさの葉っぱに乗せられ、もう一匹は子ゆっくりたちの葉っぱに
そう数の取れない貴重な虫などを喧嘩しないように分けるため、一つにまとめられている親れいむの配慮である
それではむしろ取り合いにならないかと思うが、子ゆっくりたちは真っ先に好物のイモムシに食いつき、それぞれの好きな方向から食べ進めて行く
まだ体の小さい子ゆっくりなので、自分の領地を食べきる頃まだ他の子ゆっくりと触れることもなく、お互いの食べる場所がなくなった頃にはイモムシは均等に腹に納められてることにだろう
「ゆふふ、おちびちゃんたちおなかがぺーこぺこなんだね!」
「それじゃあ、ごはんにするのぜ! ゆっくりいただきます!!」
「「「いちゃじゃきま~しゅ!!」」」
親まりさの声を合図に、子ゆっくり達は一斉に芋虫に被りついた
親れいむの配慮そのままに同じ速度で同じだけ食べて行く
「「「む~ちゃむ~ちゃ! ちあわせぇぇええええ!!」」」
巣の中には幸せそうな声が響いていた
……。
…………。
暖かい春を過ぎて、季節は夏を目の前にしていた
群れのゆっくりたちは精力的に野山を駆け回り、そこいら中に声が響いていた
例のゆっくり一家も、長女まりさが死んでしまった不幸はあったがそれを乗り越えて、元気に過ごしていた
子れいむと子まりさは、それぞれ成体の一歩手前といった体格になり、もう少ししたら独り立ちという時期に差し掛かっていた
それまで精一杯可愛がろうと両親は必死に狩りをし、遊び暮らしていた
子まりさは親まりさの狩りの技術を受け継ぎ、更に幸運にもビニール袋を拾いメキメキと狩りの腕を伸ばしていた
子れいむは、これといって特技もなかったが、皆に優しく人気のゆっくりであった
「ゆっゆっゆっゆっゆ!」
その子れいむは今一生懸命に跳ねて、群れから少し外れた場所にあるとても広い広場に来ていた
そこは森の中で急に木や草が生えなくて、あまり見たことのないものが所々にある不思議な場所であった
親まりさ子まりさのビニール袋もここで手に入れたものであり、他にも色々とゆっくり出来るものが手に入る場所で群れのゆっくりからは【ゆっくりのかみさまがつくったひろば】と呼ばれていた
ここに狩りに行ったゆっくりがたまに消えることもあり、そのゆっくりはかみさまに選ばれたゆっくりと呼ばれていた
子れいむはその広場につくと、忙しなく周囲を見回す
その顔はほんのり赤く染まっていた
「れいむ? もうきてたの? とってもとかいはね」
「あ、ありす! ゆ、ゆっくりしていってね!」
子れいむの背後の草むらから、成体なり立てといったところのゆっくりアリスが現れた
「れいむもいまきたところだよ! ゆっく、ゆっくりしていってね!」
「はいはい、ゆっくりさせてもらうわね、となりいいかしら?」
「ゆゆ! もちろんだよ!」
アリスはゆっくりと這うと、子れいむと肌が触れるか触れないかの位置で止まる
隣の子れいむは顔をさっきより明らかに赤くして、隣で優しく笑うアリスの顔にチラチラ視線を向けていた
「あ、アリスは、もうひとりだちしたの?」
「そろそろかしらね、まずおうちと、それとダーリンみつけなくちゃね」
「ゆっ! まだ、なんだ……」
子れいむはモジモジと体を揺らし、揉み上げを落ち着き無く動かす
このアリスはれいむの幼馴染であり、少しだけ早く生まれたお姉さんでもある
狩りもお歌も達者で、とかいはなアリス
子れいむの憧れでもある
元々小さい群れである、子供の頃の付き合いがそのまま一生の付き合いになることも珍しくない
子れいむもそのご他聞に漏れず、アリスに恋心を抱いていた
お互い成体に、巣立ちの時期が近いこの頃、相手に対する意識は高まっていた
それはアリスも同じであるが、『じぶんからいうのはとかいはじゃない』という照れ隠しの元、子れいむの言葉を待っているのだ
このアリスの他の姉妹は既に独り立ちしており、最後の一匹なのだ
少し焦りを感じているが、きっと子れいむが伝えてくれる
そう信じていた
その時は直ぐに訪れる
「あ、アリス!」
「なにかしら?」
子れいむ、否れいむはアリスに向き直る
顔を真っ赤に、揉み上げをたしたしさせたれいむは真剣な面持ちでアリスの目を見つめる
アリスもさっきまでのお姉さん然とした表情ではなく、不安そうな顔をしていた
「れ、れいむと、れいむとずっといっしょにゆっくりしてほしいよ!」
「!」
ずっといっしょにゆっくり
ゆっくりの間の一般的なプロポーズの台詞だ
「あ、アリスも、おなじきもちよ、れいむとゆっくりしたいわ」
ここにまた、新しい番が生まれた
群れから祝福され、次世代の種を残す新しいゆっくりたちの希望だ
『お、いたいた、ゆっくりだ』
「「ゆ?」」
しかし、ゆっくりの希望なんてゴミと同義語でしかない
そのことを彼女らは知らなかった
「ゆっ? だ、だれなの? ここはゆっくりのかみさまのひろばだよ! かってにはいらないでね!」
『は? 神様? はぁ? 何言っちゃってるのこいつ……』
【ゆっくりのかみさまがつくったひろば】
そこは……
『ここ作ったの人間さまなんだけどなぁ、あ! ってことは人間が神様ってことか?』
森の中、ハイキングコースの小さい休憩所である
ベンチとゴミ箱、そしてトイレがあるだけの場所であるが、森で暮らすゆっくりにとっては神聖な場所であるらしかった
ハイキングに来た人が捨てたゴミなどをゆっくりたちは利用しているだけに過ぎなかった
「へんなこといわないでね! おまえなんかかみさまじゃないよ!」
「そうよ! いなかものまるだしよ! きぶんがわるくなるわ!」
れいむとアリスは目の前に現れた初めて見る人間に不快感を露にする
実物は見たこと無かったけれど何故か勝手に自分達以下の生物とランクインさせてある人間が、あまつさえ神様などと言う物だから怒り心頭といったところらしい
そんな理不尽な感情を向けられている人間の青年はニヤニヤと笑っている
そして、背中に背負ったリュックを下ろしその上に座った
「はやくでていってね! ここはにんげんがいて いいばしょじゃないんだよ!」
「あんまりアリスをおこらせないでね!」
『なぁ、お前ら番、あー夫婦か?』
「「ゆ?」」
青年の言葉にゆっくり二匹は言葉を止める
「…………」
「…………」
そしてお互いをチラッと見て、同時に顔を逸らすというムカつく仕草をしていた
『なるほどなるほど付き合いたてか、へぇすっきりはしたのか?』
「へ、へんなこといわないでね!」
「そうよ! アリスたちはきよいこうさいなのよ!」
青年の無神経なのかも知れない言葉に二匹は顔を真っ赤にして反論する
『そうかそうかまだなのか、ふぅんそれじゃあ――』
「「ゆ? おそろとんでるみたい!」」
青年はゆっくり二匹を両手で一匹づつ掴み
『俺が手伝ってあげるね!』
「「ゆ!? な、なにいって、ゆぅぅううううぅうう!!」」
両手を振動させながら近づける、そしてれいむとアリスの頬を擦り合わせる
「やめ、やめてね! ま、まだれいむには、は、はや、ゆぅぅん!」
「こんなのいやよぉお! アリスはもっとムードがゆぅぅん!」
『はいはい、勝手に言ってろ』
口ではどうと叫びながらもお互い直ぐに発情して、体中を気持ち悪い液体で濡らしていく
直ぐに静かな休憩所にぬちゃぬちゃという耳レイプものな音が響いて
そして、しばらくすると
「「すっきり~~~!」」
底抜けにむかつく声とともに、れみの額から一本の茎が伸び、そこに4つのビー玉程度の実がなった、ゆっくりの元だ
「ゆ、ゆぅ? れ、れいむのおちびちゃん!?」
「そ、そうよ! れいむとアリスのかわいいおちびちゃんよ!」
強制的に作らされた子でも可愛いのか、未だに青年の手に掴まれているゆっくり二匹は目を輝かせる
れいむはこれからどうやって子育てをしようか考えていた
そして、普段は使わない餡子脳を必死に回転させて自分が子供の頃どんな風に育てられたかを考え出した
アリスはこれからどうやってとかいはに育てようか考えていた
れいむがおかーさんになるのだから自分は狩りを頑張らなくては、その前に草で赤ちゃんのベッドを作ってあげなくては考えていた
内容は違えど、どの中身は子供のため、これからの希望に満ち溢れていた
「「おちびちゃん! ゆっくりそだってね!」」
『んじゃ、お前お持ち帰りな』
「ゆ?」「ゆべっ!」
さっきも説明したが、ゆっくりの希望なんてゴミでしかないのである
青年は、アリスをその辺に放り投げると、立ち上がり
椅子にしていたリュックサックから皆大好き一家いくつか加工所産の透明な箱を取り出し、その中にれいむを押し込んだ
「ゆ!? や、やめてね! れいむこんなところはいりたくないよ!」
『大人しくしてろって、頭の茎折れるぞ?』
「ゆ!?」
箱に入れられるれいむは抵抗にはならないが、必死に身をよじっていたがそれを鬱陶しく感じた青年の言葉に動きを止めた
それを確認して、一応茎に気をつけてれいむを仕舞いこむ
蓋をしてしまうと流石は加工所製、れいむの声はまったく聞こえなくなった
『はい、収納完了、じゃ帰るか、ん?』
れいむを箱につめてリュックに仕舞い直した青年は、足にポスっと言う衝撃を受けた
『……何してんだ? お前』
「れいむをかえじなざいぃぃいいいい!!!!」
足元には鬼の形相で青年に体当たりを繰り返すアリスがいた
「れいむは! れいぶはぁ! これからアリスと、いっしょうとかいはにゆっくりしていくのよ! れいむをがえじなざい!!」
出来たばかりの番を連れ去られそうになったのだから怒りも当然だろうが、相手が悪すぎた
青年はつまらなそうに頭をかくと、アリスに一切かまわず歩き出した
「にげるなぁぁあぁぁぁああああああ!!!!」
人間にとっての歩くは、ゆっくりの走るをはるかに凌駕する
アリスは凄まじい気迫で走り続けたが、差は一向につまらずむしろ広がり、最後には疲労困憊で動けなくなってしまった
「れいぶぅ、れいぶぅ!」
それでもアリスは自分の番の名前を呼び続けた
……
…………
『ほぉら、今日からここがお前のゆっくりプレイスだよ! ゆっくりしていってね!』
「ゆっくりしていってね! ゆっくりできるわけないでしょぉおおおお!! はやくれいむをアリスのもとにかえしてねえぇぇえぇええ!!」
青年はれいむを自宅に連れ帰ると、台所の隅に置かれたと長方形の透明な箱に入れた
その箱は横幅は30センチほどだが、高さはかなりありゆっくりが跳ねただけでは一生届かないレベルであった
底部は固定されており、体当たりで倒れる心配もなさそうだ
「ゆっ!? それにここはすっごくくさいよ! はやくここからだしてね!!」
その箱の中には汚い汁がところどころにこびり付き、生ゴミの欠片が散乱していた
『ださねーよ、お前はそこでゆっくりするんだよ』
れいむの言葉に青年は笑顔で返す
「こ、こんなところでゆっくりできないよ!! はやくもりさんにかえしてね! こんなばしょじゃおちびちゃんのきょうっいくによくないよ!!」
『知らねーよ、とりあえず明日までにこれ食っとけよ!』
「ゆ!? や、やめ、ゆわぁぁああ!! く、くさい、くさいよこれぇぇえ!!!」
『たりめーだ、前のが死んでから一週間は放置したからなこの時期に、じゃ、任せた』
「これどかしてね! れいむほんとうにおこ――」
れいむの言葉なんかに取り合うことをしないで、青年は蓋を閉めた
防音ばっちりのその箱は、閉めるとれいむの雑音まがいの声は聞こえなくなる
『ふぅー、これで一安心だな、前のコンポスト一年近く使ってたからなぁ、結構愛着あったんだけどなぁ』
青年は一仕事終えた達成感に伸びをしながら、大きく欠伸をした
れいむに妊娠させたのは子供の栄養を取る為に沢山食べるだろうという考えからだ
『しっかり仕事してくれよな、俺はゆっくりプレイスとご飯やるんだからさ』
新しいコンポストの働きに期待しながら、青年は家を出た
……
…………
青年が家を出て直ぐ、れいむは叫ぶことが無意味だと気付いた
どれだけ叫んでも返事はおろか姿を見せないのだから、これはもう自分でどうにかするしかない、そうれいむは判断した
「ゆぅうう、ここはくさいよ、はやくでないと、おちびちゃんがかわいそうだよ……」
横目で、青年がさっき放り込んだ腐った生ゴミをみて、次に自分の頭に実る赤ゆっくりを見る
「ゆぅ? なんだか、おちびちゃんゆっくりしてないよ?」
生まれて直ぐに見てからそれどころではなかったので、久しぶりに見上げた実ゆっくりは全員苦しそうな顔をしていた
「きっとここがくさいからだね! すぐにゆっくりさせてあげるからね!」
本当は栄養不足により、十分餡子が行き渡っていないからなのだが、れいむは気付かない
生ゴミを避けて、どこか出口はないか探す
見た目を透明なので、どこからでも出られそうなのだが、出口は一つもない
それに気付いたれいむは次に上を見る
「ゆぅ、じしんないけど、あそこまでぴょんぴょんするしかないね!」
自分が入れられたのが上からであったのを思い出したのか、れいむは何度も何度もジャンプを繰り返す
箱の高さはゆっくりの頭身の3倍以上、ゆっくりの平均ジャンプは自分の等身の半分
しかもれいむは現在妊娠している、飛び越えられるはずはない
しかし、それでもれいむは何度も不毛なジャンプを繰り返す
「ゆっ! もう! すこし! で! でれるよ! アリス! まってて! ね!」
実ゆっくりの表情がどんどん険しくなっているのにれいむは気付かない
……
…………
「ゆ゛、ど、どぼじで、でられないのぉ……」
あれからいくらジャンプしても出られず、壁に体当たりしても出られず
それでも諦めずに動き回ったれいむは完全にエネルギーを切らしていた
潰れた大福みたいに床に伸びて、荒い息で憎らしげに目の前を睨んでいた
「は、はやく、でないと、お、おちびちゃんが、ゆ?」
呼吸を整えようとしたれいむの前に妙なものが落ちた
黒くしわくちゃになった丸い物体
最初れいむはまた人間が上から何か入れたのかと思い、見回したが誰もいない
しかし、その上を見たときに自分の茎が目に入った
その先端にぶら下がっていた実ゆっくりがなくなっていることに気付くにあたり、目の前の物体の正体を理解した
「お、おちびちゃんんんんんんんんんんんん!!!!?」
そうれいむの目の前に落ちた、しわくちゃのレーズンみたいな物体は茎の先端に実っていたおちびちゃんだ
栄養が行き渡らなくなったことにより、先端の一匹へ回す分を他に拡散したのだ
その結果、栄養の行き渡らなくなったそれはどんどんしなびて、最後には落ちてしまったのだ
れいむは目の前でわが子の死を目撃して、目から涙を流しながら絶句した
まだお飾りも出来ていなくて、アリスかれいむかも解らないままに死んでしまった子供に何も言えなかった
どんな風にゆっくり育ててあげようか悩んでいた我が子が生まれる前に死んでしまった
「どぼじでぇ……どぼじででいぶのおちびちゃんがぁ」
『そりゃお前、飯食ってねーからだろ』
「ゆっ!?」
不意にかけられた言葉に、れいむは顔をあげる
そこにはビニール片手に青年が立っていた
「はやぐごごからだせぇぇぇぇえええええええ!!! おちびちゃんがしんじゃったでしょぉおおぉおおおおおおお!!!!」
れいむは空腹も忘れて、全力で壁に体当たりをした
しかし、それで壁が壊れるわけもなく、れいむは壁にぶつかり顔を痛めだだけだった
『あー、ほらまた、そんな状態で動くから……』
「なにいってるんだぁぁぁあああ!! いいからはやくだ……ゆぅ?」
青年が箱の中のれいむ、その少し前を指さす
れいむは怒鳴りながらもチラッとそっちに視線を動かす、そこには
「ゆ、ゆぅ? おちび、ちゃ、ゆぅううううう!!??」
またしわくちゃのレーズンみたいな物体が転がっていた
慌てて自分の頭の上を確認するが一つまた減っていた
「ど、どぼじでぇぇぇえぇええええええええ!!!!?」
『だぁかぁらぁ、飯食えよ飯、食わないとまた死ぬぞ?』
「ゆゆ!?」
青年の言葉にれいむは目を見開く
そして体を震わせて叫ぶ
「ばにゆっでるのぉおおおおお!!? ごごがくさいからおちびちゃんしんじゃったんでしょぉおおおおおお!!!」
『はぁ?』
れいむの中では、ここの臭いのせいでおちびちゃんが死んでしまったということになっているらしい
青年は呆れたように溜息をつくと、また箱の中を指差した
『ほれ、お前が声出して無駄にエネルギー使うから……』
「ゆぅううう!?!?」
またれいむの前に萎びたおちびちゃんが落ちる
これで、れいむの茎に生っているのは後一匹になってしまった
「でいぶの、アリスとの、かわいい、かわいいおちびちゃん、が……」
れいむは体を小刻みに揺らす、今にも爆発しそうな怒りを溜め込んでいるのだろう
青年はそれを見て『あーあ、こいつ馬鹿だな』と呟いた
「よぐもぉおおおおおぉおおおおおおおおおっぉお……お、おぉぉお、お、おお、ゆ? まっくらさんだ、よ?」
『だから早く飯を食えっていったのに……』
青年はつまらなそうに箱をあけ、中の臭いに顔をしかめると近くに置いてあったゴム手袋をはめ、れいむを取り出した
「おちび、ちゃん、どこいったの? もうよるさんなの? おちびちゃん? アリス? どこいったの?」
れいむは皮の中の餡子がついに限界まで無くなり、目玉は体内に落ちてしまった
茎に生えていた実ゆっくりもレーズンになり、茎自体も萎びてしまっていた
『はいはい、ゆっくりゆっくり』
うわ言の様に繰り返すれいむに適当に答えると、青年は窓を開けてれいむを放り投げる
れいむの体にはほとんど餡子が残っておらず、そのせいでビニール袋を投げるようなものになり、飛距離もほとんど出ずに庭に落下した
時期に蟻か何かの餌になるのだろう
青年はゴム手袋をはずして、大きく欠伸をしながら呟いた
『またコンポスト用のを拾いにいかなきゃかぁ、案外向き不向きがあるんだなぁ』
そう考えると前のコンポストゆっくりは優秀だったんだな、と感慨にふける
ゴミ袋に入れて捨てるのではなく墓でも作ってやればよかったと考えながら
「つってももうゴミやばいし、その辺から適当に連れてくるか」
青年は次はどんなゆっくりをコンポストにするか考えながら、家を出た
今さっき投げ捨てた、ほんの数時間前まで希望にあふれていたれいむのことなどとっくに忘れて
「まりさ、おかえりなさい」
「「「おちょーしゃん! おきゃえり~! はやきゅごはんしゃんにちよーね!」」」
季節は春の中ごろ
成体ゆっくりが4匹ほど入れる、この森の群れでは平均的な木の根元に穴を掘った巣の中に明るい声が響く
時刻は昼を少し回ったころ、時間の概念が希薄なゆっくりたいにとっては『ポカポカタイム』である
そのポカポカタイム、一日で一番ゆっくり出来る時間に朝から狩りに出ていた父親役であるまりさが口にビニール袋を咥えて帰ってきた
番であるれいむは夫の無事を喜び
その子供であるまりさ二匹とれいむは、狩りから帰ってきたこと、つまりご飯になることを喜ぶ
別に薄情だとかゲスだとかではない、この一家の子ゆっくり3匹はまだ生まれて半月ほど、そろそろ赤ちゃん言葉が抜けるかどうかといったところの、まだまだ子供なのだ
親の苦労を労うと言う高度な感情の会得にはいたらず、欲求を満たすことを優先してしまうのも仕方ない
その証拠に3匹の子ゆっくりの目に影はない、それぞれ無駄にキラキラ輝き、口の端から涎を垂らして無意識に「ごひゃん、むーちゃむーちゃしちゃいよ」と独り言には大きすぎる声を漏らしている
「ゆん! すぐにごはんにするからまってるのぜ! れいむ、いもむしさんと やわらかいはっぱさん いがいは そうこにいれておくのぜ!」
「わかったよまりさ、ゆぅうん♪ きょうもたっくさんのごはんさんだね! さすがれいむのまりさだよぉ!」
親まりさは、以前拾って以来ある種狩りのパートナーである小さなビニール袋をれいむの前に放ると、親まりさは子ゆっくりたちと触れ合いだした
このビニール袋は人間が捨てたものを拾ったものである
人間にとってはゴミだがまりさに、ゆっくりにとってはとてもゆっくり出来る袋なのだ
狩りにおいてゆっくりは口の中に獲物を貯めるか、自らの帽子に貯めるかしかない
その量は限られたもので、日に何度も巣と狩場を行き来しなくてはならない
しかし、親まりさはこのビニール袋を手に入れたことで、一日分以上の狩りを一回で済ませることが出来るようになったのだ
ビニール袋だけで狩りの成果がそうも変わるかというと、変わるのだ
ゆっくりは沢山の食料を見つけて、それを採取して巣に戻り、また残りを取りにいこうとしても、それがどこにあったかを明確に覚えてはいないのだ
『たしかこのへんにあったよ!』くらいに認識で見切り発射してしまい、結局チャンスを逃してしまう
しかし、この袋があれば見つけた食料を思う存分取ることが出来る
故に親まりさはこの群れでは狩りの名人と呼ばれている
「ゆっしょ! ゆん! ごはんさんのじゅんびができたよ! みんなあつまってね!」
「ゆっ、わかったのぜ! おちびちゃん、ごはんなのぜ!」
「ゆわぁい!」「おにゃかしゅいたのじぇ!」「れいみゅ、たくしゃんむーちゃむーちゃしゅるよ!」
親れいむの声に、親まりさも子ゆっくりたちも即座に反応する
親まりさは底部をゆっくり這わせ、子ゆっくりたちは小さな体を精一杯動かしポムポムと跳ねて進む
巣の置く、食料を溜め込む小部屋の前大きな葉っぱが三枚並べられ、その上に今日親まりさがとって来た芋虫や瑞々しい草が載せられている
3つの皿はそれぞれ両親の、そして子ゆっくりたちの分である
両親の分はそれぞれ分けられ、子ゆっくり3匹のご飯は一枚の葉っぱにまとめられているのには意味がある
「ゆ! きょうはいもむししゃんがありゅのじぇ!」「しゅぎょいよ! れいみゅイモムシさんだいしゅき!」「ゆっくちぃいいい!!」
子ゆっくりたちは自分の目の前の大きくたっぷり身の詰まったイモムシに目を奪われていた
その子ゆっくり達のイモムシは親まりさが苦労してとったもので、そう多くは取れない
今回も取れたの2匹だけ、内一匹はまりさの葉っぱに乗せられ、もう一匹は子ゆっくりたちの葉っぱに
そう数の取れない貴重な虫などを喧嘩しないように分けるため、一つにまとめられている親れいむの配慮である
それではむしろ取り合いにならないかと思うが、子ゆっくりたちは真っ先に好物のイモムシに食いつき、それぞれの好きな方向から食べ進めて行く
まだ体の小さい子ゆっくりなので、自分の領地を食べきる頃まだ他の子ゆっくりと触れることもなく、お互いの食べる場所がなくなった頃にはイモムシは均等に腹に納められてることにだろう
「ゆふふ、おちびちゃんたちおなかがぺーこぺこなんだね!」
「それじゃあ、ごはんにするのぜ! ゆっくりいただきます!!」
「「「いちゃじゃきま~しゅ!!」」」
親まりさの声を合図に、子ゆっくり達は一斉に芋虫に被りついた
親れいむの配慮そのままに同じ速度で同じだけ食べて行く
「「「む~ちゃむ~ちゃ! ちあわせぇぇええええ!!」」」
巣の中には幸せそうな声が響いていた
……。
…………。
暖かい春を過ぎて、季節は夏を目の前にしていた
群れのゆっくりたちは精力的に野山を駆け回り、そこいら中に声が響いていた
例のゆっくり一家も、長女まりさが死んでしまった不幸はあったがそれを乗り越えて、元気に過ごしていた
子れいむと子まりさは、それぞれ成体の一歩手前といった体格になり、もう少ししたら独り立ちという時期に差し掛かっていた
それまで精一杯可愛がろうと両親は必死に狩りをし、遊び暮らしていた
子まりさは親まりさの狩りの技術を受け継ぎ、更に幸運にもビニール袋を拾いメキメキと狩りの腕を伸ばしていた
子れいむは、これといって特技もなかったが、皆に優しく人気のゆっくりであった
「ゆっゆっゆっゆっゆ!」
その子れいむは今一生懸命に跳ねて、群れから少し外れた場所にあるとても広い広場に来ていた
そこは森の中で急に木や草が生えなくて、あまり見たことのないものが所々にある不思議な場所であった
親まりさ子まりさのビニール袋もここで手に入れたものであり、他にも色々とゆっくり出来るものが手に入る場所で群れのゆっくりからは【ゆっくりのかみさまがつくったひろば】と呼ばれていた
ここに狩りに行ったゆっくりがたまに消えることもあり、そのゆっくりはかみさまに選ばれたゆっくりと呼ばれていた
子れいむはその広場につくと、忙しなく周囲を見回す
その顔はほんのり赤く染まっていた
「れいむ? もうきてたの? とってもとかいはね」
「あ、ありす! ゆ、ゆっくりしていってね!」
子れいむの背後の草むらから、成体なり立てといったところのゆっくりアリスが現れた
「れいむもいまきたところだよ! ゆっく、ゆっくりしていってね!」
「はいはい、ゆっくりさせてもらうわね、となりいいかしら?」
「ゆゆ! もちろんだよ!」
アリスはゆっくりと這うと、子れいむと肌が触れるか触れないかの位置で止まる
隣の子れいむは顔をさっきより明らかに赤くして、隣で優しく笑うアリスの顔にチラチラ視線を向けていた
「あ、アリスは、もうひとりだちしたの?」
「そろそろかしらね、まずおうちと、それとダーリンみつけなくちゃね」
「ゆっ! まだ、なんだ……」
子れいむはモジモジと体を揺らし、揉み上げを落ち着き無く動かす
このアリスはれいむの幼馴染であり、少しだけ早く生まれたお姉さんでもある
狩りもお歌も達者で、とかいはなアリス
子れいむの憧れでもある
元々小さい群れである、子供の頃の付き合いがそのまま一生の付き合いになることも珍しくない
子れいむもそのご他聞に漏れず、アリスに恋心を抱いていた
お互い成体に、巣立ちの時期が近いこの頃、相手に対する意識は高まっていた
それはアリスも同じであるが、『じぶんからいうのはとかいはじゃない』という照れ隠しの元、子れいむの言葉を待っているのだ
このアリスの他の姉妹は既に独り立ちしており、最後の一匹なのだ
少し焦りを感じているが、きっと子れいむが伝えてくれる
そう信じていた
その時は直ぐに訪れる
「あ、アリス!」
「なにかしら?」
子れいむ、否れいむはアリスに向き直る
顔を真っ赤に、揉み上げをたしたしさせたれいむは真剣な面持ちでアリスの目を見つめる
アリスもさっきまでのお姉さん然とした表情ではなく、不安そうな顔をしていた
「れ、れいむと、れいむとずっといっしょにゆっくりしてほしいよ!」
「!」
ずっといっしょにゆっくり
ゆっくりの間の一般的なプロポーズの台詞だ
「あ、アリスも、おなじきもちよ、れいむとゆっくりしたいわ」
ここにまた、新しい番が生まれた
群れから祝福され、次世代の種を残す新しいゆっくりたちの希望だ
『お、いたいた、ゆっくりだ』
「「ゆ?」」
しかし、ゆっくりの希望なんてゴミと同義語でしかない
そのことを彼女らは知らなかった
「ゆっ? だ、だれなの? ここはゆっくりのかみさまのひろばだよ! かってにはいらないでね!」
『は? 神様? はぁ? 何言っちゃってるのこいつ……』
【ゆっくりのかみさまがつくったひろば】
そこは……
『ここ作ったの人間さまなんだけどなぁ、あ! ってことは人間が神様ってことか?』
森の中、ハイキングコースの小さい休憩所である
ベンチとゴミ箱、そしてトイレがあるだけの場所であるが、森で暮らすゆっくりにとっては神聖な場所であるらしかった
ハイキングに来た人が捨てたゴミなどをゆっくりたちは利用しているだけに過ぎなかった
「へんなこといわないでね! おまえなんかかみさまじゃないよ!」
「そうよ! いなかものまるだしよ! きぶんがわるくなるわ!」
れいむとアリスは目の前に現れた初めて見る人間に不快感を露にする
実物は見たこと無かったけれど何故か勝手に自分達以下の生物とランクインさせてある人間が、あまつさえ神様などと言う物だから怒り心頭といったところらしい
そんな理不尽な感情を向けられている人間の青年はニヤニヤと笑っている
そして、背中に背負ったリュックを下ろしその上に座った
「はやくでていってね! ここはにんげんがいて いいばしょじゃないんだよ!」
「あんまりアリスをおこらせないでね!」
『なぁ、お前ら番、あー夫婦か?』
「「ゆ?」」
青年の言葉にゆっくり二匹は言葉を止める
「…………」
「…………」
そしてお互いをチラッと見て、同時に顔を逸らすというムカつく仕草をしていた
『なるほどなるほど付き合いたてか、へぇすっきりはしたのか?』
「へ、へんなこといわないでね!」
「そうよ! アリスたちはきよいこうさいなのよ!」
青年の無神経なのかも知れない言葉に二匹は顔を真っ赤にして反論する
『そうかそうかまだなのか、ふぅんそれじゃあ――』
「「ゆ? おそろとんでるみたい!」」
青年はゆっくり二匹を両手で一匹づつ掴み
『俺が手伝ってあげるね!』
「「ゆ!? な、なにいって、ゆぅぅううううぅうう!!」」
両手を振動させながら近づける、そしてれいむとアリスの頬を擦り合わせる
「やめ、やめてね! ま、まだれいむには、は、はや、ゆぅぅん!」
「こんなのいやよぉお! アリスはもっとムードがゆぅぅん!」
『はいはい、勝手に言ってろ』
口ではどうと叫びながらもお互い直ぐに発情して、体中を気持ち悪い液体で濡らしていく
直ぐに静かな休憩所にぬちゃぬちゃという耳レイプものな音が響いて
そして、しばらくすると
「「すっきり~~~!」」
底抜けにむかつく声とともに、れみの額から一本の茎が伸び、そこに4つのビー玉程度の実がなった、ゆっくりの元だ
「ゆ、ゆぅ? れ、れいむのおちびちゃん!?」
「そ、そうよ! れいむとアリスのかわいいおちびちゃんよ!」
強制的に作らされた子でも可愛いのか、未だに青年の手に掴まれているゆっくり二匹は目を輝かせる
れいむはこれからどうやって子育てをしようか考えていた
そして、普段は使わない餡子脳を必死に回転させて自分が子供の頃どんな風に育てられたかを考え出した
アリスはこれからどうやってとかいはに育てようか考えていた
れいむがおかーさんになるのだから自分は狩りを頑張らなくては、その前に草で赤ちゃんのベッドを作ってあげなくては考えていた
内容は違えど、どの中身は子供のため、これからの希望に満ち溢れていた
「「おちびちゃん! ゆっくりそだってね!」」
『んじゃ、お前お持ち帰りな』
「ゆ?」「ゆべっ!」
さっきも説明したが、ゆっくりの希望なんてゴミでしかないのである
青年は、アリスをその辺に放り投げると、立ち上がり
椅子にしていたリュックサックから皆大好き一家いくつか加工所産の透明な箱を取り出し、その中にれいむを押し込んだ
「ゆ!? や、やめてね! れいむこんなところはいりたくないよ!」
『大人しくしてろって、頭の茎折れるぞ?』
「ゆ!?」
箱に入れられるれいむは抵抗にはならないが、必死に身をよじっていたがそれを鬱陶しく感じた青年の言葉に動きを止めた
それを確認して、一応茎に気をつけてれいむを仕舞いこむ
蓋をしてしまうと流石は加工所製、れいむの声はまったく聞こえなくなった
『はい、収納完了、じゃ帰るか、ん?』
れいむを箱につめてリュックに仕舞い直した青年は、足にポスっと言う衝撃を受けた
『……何してんだ? お前』
「れいむをかえじなざいぃぃいいいい!!!!」
足元には鬼の形相で青年に体当たりを繰り返すアリスがいた
「れいむは! れいぶはぁ! これからアリスと、いっしょうとかいはにゆっくりしていくのよ! れいむをがえじなざい!!」
出来たばかりの番を連れ去られそうになったのだから怒りも当然だろうが、相手が悪すぎた
青年はつまらなそうに頭をかくと、アリスに一切かまわず歩き出した
「にげるなぁぁあぁぁぁああああああ!!!!」
人間にとっての歩くは、ゆっくりの走るをはるかに凌駕する
アリスは凄まじい気迫で走り続けたが、差は一向につまらずむしろ広がり、最後には疲労困憊で動けなくなってしまった
「れいぶぅ、れいぶぅ!」
それでもアリスは自分の番の名前を呼び続けた
……
…………
『ほぉら、今日からここがお前のゆっくりプレイスだよ! ゆっくりしていってね!』
「ゆっくりしていってね! ゆっくりできるわけないでしょぉおおおお!! はやくれいむをアリスのもとにかえしてねえぇぇえぇええ!!」
青年はれいむを自宅に連れ帰ると、台所の隅に置かれたと長方形の透明な箱に入れた
その箱は横幅は30センチほどだが、高さはかなりありゆっくりが跳ねただけでは一生届かないレベルであった
底部は固定されており、体当たりで倒れる心配もなさそうだ
「ゆっ!? それにここはすっごくくさいよ! はやくここからだしてね!!」
その箱の中には汚い汁がところどころにこびり付き、生ゴミの欠片が散乱していた
『ださねーよ、お前はそこでゆっくりするんだよ』
れいむの言葉に青年は笑顔で返す
「こ、こんなところでゆっくりできないよ!! はやくもりさんにかえしてね! こんなばしょじゃおちびちゃんのきょうっいくによくないよ!!」
『知らねーよ、とりあえず明日までにこれ食っとけよ!』
「ゆ!? や、やめ、ゆわぁぁああ!! く、くさい、くさいよこれぇぇえ!!!」
『たりめーだ、前のが死んでから一週間は放置したからなこの時期に、じゃ、任せた』
「これどかしてね! れいむほんとうにおこ――」
れいむの言葉なんかに取り合うことをしないで、青年は蓋を閉めた
防音ばっちりのその箱は、閉めるとれいむの雑音まがいの声は聞こえなくなる
『ふぅー、これで一安心だな、前のコンポスト一年近く使ってたからなぁ、結構愛着あったんだけどなぁ』
青年は一仕事終えた達成感に伸びをしながら、大きく欠伸をした
れいむに妊娠させたのは子供の栄養を取る為に沢山食べるだろうという考えからだ
『しっかり仕事してくれよな、俺はゆっくりプレイスとご飯やるんだからさ』
新しいコンポストの働きに期待しながら、青年は家を出た
……
…………
青年が家を出て直ぐ、れいむは叫ぶことが無意味だと気付いた
どれだけ叫んでも返事はおろか姿を見せないのだから、これはもう自分でどうにかするしかない、そうれいむは判断した
「ゆぅうう、ここはくさいよ、はやくでないと、おちびちゃんがかわいそうだよ……」
横目で、青年がさっき放り込んだ腐った生ゴミをみて、次に自分の頭に実る赤ゆっくりを見る
「ゆぅ? なんだか、おちびちゃんゆっくりしてないよ?」
生まれて直ぐに見てからそれどころではなかったので、久しぶりに見上げた実ゆっくりは全員苦しそうな顔をしていた
「きっとここがくさいからだね! すぐにゆっくりさせてあげるからね!」
本当は栄養不足により、十分餡子が行き渡っていないからなのだが、れいむは気付かない
生ゴミを避けて、どこか出口はないか探す
見た目を透明なので、どこからでも出られそうなのだが、出口は一つもない
それに気付いたれいむは次に上を見る
「ゆぅ、じしんないけど、あそこまでぴょんぴょんするしかないね!」
自分が入れられたのが上からであったのを思い出したのか、れいむは何度も何度もジャンプを繰り返す
箱の高さはゆっくりの頭身の3倍以上、ゆっくりの平均ジャンプは自分の等身の半分
しかもれいむは現在妊娠している、飛び越えられるはずはない
しかし、それでもれいむは何度も不毛なジャンプを繰り返す
「ゆっ! もう! すこし! で! でれるよ! アリス! まってて! ね!」
実ゆっくりの表情がどんどん険しくなっているのにれいむは気付かない
……
…………
「ゆ゛、ど、どぼじで、でられないのぉ……」
あれからいくらジャンプしても出られず、壁に体当たりしても出られず
それでも諦めずに動き回ったれいむは完全にエネルギーを切らしていた
潰れた大福みたいに床に伸びて、荒い息で憎らしげに目の前を睨んでいた
「は、はやく、でないと、お、おちびちゃんが、ゆ?」
呼吸を整えようとしたれいむの前に妙なものが落ちた
黒くしわくちゃになった丸い物体
最初れいむはまた人間が上から何か入れたのかと思い、見回したが誰もいない
しかし、その上を見たときに自分の茎が目に入った
その先端にぶら下がっていた実ゆっくりがなくなっていることに気付くにあたり、目の前の物体の正体を理解した
「お、おちびちゃんんんんんんんんんんんん!!!!?」
そうれいむの目の前に落ちた、しわくちゃのレーズンみたいな物体は茎の先端に実っていたおちびちゃんだ
栄養が行き渡らなくなったことにより、先端の一匹へ回す分を他に拡散したのだ
その結果、栄養の行き渡らなくなったそれはどんどんしなびて、最後には落ちてしまったのだ
れいむは目の前でわが子の死を目撃して、目から涙を流しながら絶句した
まだお飾りも出来ていなくて、アリスかれいむかも解らないままに死んでしまった子供に何も言えなかった
どんな風にゆっくり育ててあげようか悩んでいた我が子が生まれる前に死んでしまった
「どぼじでぇ……どぼじででいぶのおちびちゃんがぁ」
『そりゃお前、飯食ってねーからだろ』
「ゆっ!?」
不意にかけられた言葉に、れいむは顔をあげる
そこにはビニール片手に青年が立っていた
「はやぐごごからだせぇぇぇぇえええええええ!!! おちびちゃんがしんじゃったでしょぉおおぉおおおおおおお!!!!」
れいむは空腹も忘れて、全力で壁に体当たりをした
しかし、それで壁が壊れるわけもなく、れいむは壁にぶつかり顔を痛めだだけだった
『あー、ほらまた、そんな状態で動くから……』
「なにいってるんだぁぁぁあああ!! いいからはやくだ……ゆぅ?」
青年が箱の中のれいむ、その少し前を指さす
れいむは怒鳴りながらもチラッとそっちに視線を動かす、そこには
「ゆ、ゆぅ? おちび、ちゃ、ゆぅううううう!!??」
またしわくちゃのレーズンみたいな物体が転がっていた
慌てて自分の頭の上を確認するが一つまた減っていた
「ど、どぼじでぇぇぇえぇええええええええ!!!!?」
『だぁかぁらぁ、飯食えよ飯、食わないとまた死ぬぞ?』
「ゆゆ!?」
青年の言葉にれいむは目を見開く
そして体を震わせて叫ぶ
「ばにゆっでるのぉおおおおお!!? ごごがくさいからおちびちゃんしんじゃったんでしょぉおおおおおお!!!」
『はぁ?』
れいむの中では、ここの臭いのせいでおちびちゃんが死んでしまったということになっているらしい
青年は呆れたように溜息をつくと、また箱の中を指差した
『ほれ、お前が声出して無駄にエネルギー使うから……』
「ゆぅううう!?!?」
またれいむの前に萎びたおちびちゃんが落ちる
これで、れいむの茎に生っているのは後一匹になってしまった
「でいぶの、アリスとの、かわいい、かわいいおちびちゃん、が……」
れいむは体を小刻みに揺らす、今にも爆発しそうな怒りを溜め込んでいるのだろう
青年はそれを見て『あーあ、こいつ馬鹿だな』と呟いた
「よぐもぉおおおおおぉおおおおおおおおおっぉお……お、おぉぉお、お、おお、ゆ? まっくらさんだ、よ?」
『だから早く飯を食えっていったのに……』
青年はつまらなそうに箱をあけ、中の臭いに顔をしかめると近くに置いてあったゴム手袋をはめ、れいむを取り出した
「おちび、ちゃん、どこいったの? もうよるさんなの? おちびちゃん? アリス? どこいったの?」
れいむは皮の中の餡子がついに限界まで無くなり、目玉は体内に落ちてしまった
茎に生えていた実ゆっくりもレーズンになり、茎自体も萎びてしまっていた
『はいはい、ゆっくりゆっくり』
うわ言の様に繰り返すれいむに適当に答えると、青年は窓を開けてれいむを放り投げる
れいむの体にはほとんど餡子が残っておらず、そのせいでビニール袋を投げるようなものになり、飛距離もほとんど出ずに庭に落下した
時期に蟻か何かの餌になるのだろう
青年はゴム手袋をはずして、大きく欠伸をしながら呟いた
『またコンポスト用のを拾いにいかなきゃかぁ、案外向き不向きがあるんだなぁ』
そう考えると前のコンポストゆっくりは優秀だったんだな、と感慨にふける
ゴミ袋に入れて捨てるのではなく墓でも作ってやればよかったと考えながら
「つってももうゴミやばいし、その辺から適当に連れてくるか」
青年は次はどんなゆっくりをコンポストにするか考えながら、家を出た
今さっき投げ捨てた、ほんの数時間前まで希望にあふれていたれいむのことなどとっくに忘れて