ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko1672 奇跡のドス
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ankoss
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※駄文、稚拙な表現注意
※俺設定注意
その群れはとある鬼意山という山の谷に存在する。
電信柱のような大きなぺにぺにを持つクイーンありすが長を務める、これといった変わった掟があるわけでも、希少種がいるわけでもないごく普通のゆっくりの群れ。
しかし、その群れにはある伝説があった。
この群れを作り、そして命をかけて守った、ある「奇跡のドス」の伝説が。
奇跡のドス
作、長月
そのドスはとても変わっていた。
ドススパークも撃てず、ゆっくりオーラも使えない。
お帽子もひしゃげた変な形でみつあみもない。髪の色も他のドスとは違う。
しかし、誰にでも優しく、身を粉にして群れの為に尽くしてくれたので群れの皆からはとても人気があった。
「ゆーん。ドスのくれるあまあまはとてもゆっくりできるよー。」
「むーしゃ、むーしゃしあわせー。」
また、ドスは時々とても美味しくバスケットボール大のあまあまをくれることもあり、ゆっくり達はとても喜んだ。
不思議なことにそのあまあまはドスがどこからともなく取ってきてくれるもので、同じものは山のどこにも存在しないのだ。
ドスがくれるあまあま、その味はとても甘くてジューシーで、こんな美味しいあまあまをくれるドスはきっと特別な存在なのだと群れのゆっくりは誰もが感じていた。
そんなある日、群れにドゲスの群れが攻めてきた。
このあたりは食料も豊富で捕食種や危険な野生動物もいない。そこへドゲス達に目をつけられたのだ。
「ゆっふっふっ。ドススパークを喰らいたくなかったらさっさとこーふくするんだぜ!!」
勝利を確信してニタニタと笑うドゲスたち。
確かにあちらの方が倍以上数が多い上、こちらのドスはドススパークも使えないのだ。
どう考えても勝ち目がない。
そんな絶望的な状況の中、震える群れのゆっくり達を守るように敢然と前に出るゆっくりがいた。
そう、あのドスである。
この敗色濃厚な状況でも慌てず騒がず、余裕すら感じさせる笑みを浮かべている。
「ゆゆっ!!なにニタニタわらってるんだぜ!!」
その余裕にいらだつドゲスまりさ。しかしドスはその微笑を崩そうとしない。
「なめるなぁあああ!!!しねぇええええええ!!!」
イライラが頂点に来ていたドゲスは、ドススパークをドスへ放った。
「ああ・・・ドス・・・」
「ゆふっふっ・・・このいだいっなるドスまりささまにはむかうから・・・ゆっ!?」
次の瞬間、ドゲスは、いやその場にいた全員が目を疑った。
「なん・・・だと・・なんだぜ・・・」
そこには平然としたドスの姿があったからだ。
「しにぞこないがぁああああ!!!しねぇええええええ!!!」
何発もドススパークを乱射するドゲスまりさ。しかしドスには傷ひとつつけることが出来ない。
そのうちドゲスはドススパークを撃たなくなった。ドススパークを撃つのに必用な魔法キノコがなくなったのである。
「ゆがぁあああああ!!!これならどうだぁあああああ!!!」
近くにあった尖った枝を持ちドスへ突き刺そうとするドゲスまりさ。しかし結果は一緒だ。
まるで見えないシールドでも張ってあるかのように攻撃は跳ね返され、木の枝が折れるだけ。
その後も体当たりや投石、果ては噛み付き攻撃などを繰り返したが、ドスの余裕の表情を崩すことは出来なかった。
「くっ!!おぼえてるんだぜ!!」
安っぽい時代劇の悪役のような捨てゼリフを残し逃げ出すドゲス。他のゲスゆっくり達も恐れをなし逃げていく。
「やったわ、ドス!!」
「ドスがいればゲスなんてもうこわくないよ!!」
「ドスはきせきをおこせるドスなんだねー。わかるよー。」
「きせきのドスばんざーい!!きせきのドスばんざーい!!」
こうして味方はおろか敵すら傷つけることなくゲスゆっくり達を退けたドス。群れのゆっくり達は歓喜し、ドスを「奇跡のドス」ともてはやした。
その後様々なドゲス達がドスに挑戦してきた。
あるものはドスのゆっくりプレイスを我が物にする為、あるものは食料を略奪する為。中には「奇跡のドス」を倒して自分の名を上げてやる、なんてドゲスもいた。
しかし全員返り討ち。ドスの魔法のような奇跡のまえに全くダメージを与えられず、皆コソコソと逃げ帰った。
群れのゆっくりは喜んだ。
やっぱりドスは奇跡のドスだ。ドスについていけばずっとゆっくりできる。
群れのゆっくりは皆そう信じていた。
しかしその奇跡のドス伝説にもピリオドが打たれる日が来ることになる。
奇跡のドスの群れにゆっくりできない人間が来たのだ。
その人間の禍々しいまでのゆっくりできないオーラに、幹部のデカマラありすは思わずしーしーをもらしてしまった。
ありすとて伊達に群れの幹部をしているわけではない。特にゆっくりのような弱い生物に必用な能力である相手の力を見抜く事には誰よりも長けていた。
その本能が言っている。
こんなやつ相手にしてはいけない。こいつは人間の皮を被った化け物だ、と。
今までのドゲス達の戦闘力がよんっまんにっせん程度なら、この人間は最低でもごじゅうさんまんっ以上。
しかもまだ3回位変身を残していそうだ。
駄目だ。殺される。
そうありすが覚悟した時。
「え・・・ドス・・・?」
いつものようにドスは群れの守るようにその人間の前に立ちはだかった。
「だめよ!!ドス!!ころされるわ!!」
ありすは止めた。いくらなんでも相手が悪すぎる。ヤムチャが範馬勇次郎に戦いを挑むようなものだ。
しかしドスはありすに後は頼むと一言だけいうと、その人間と共に森の奥へと消え、そのまま二度と戻ってくることはなかった。
ドスが帰らないことで群れのゆっくり達は悟った。
ドスは犠牲になったのだ・・・・
命をかけてあのゆっくりできない人間からこの群れを守ってくれたのだ、と。
それから数日、群れのゆっくりたちの泣き声がやむことはなかった。
こうして「奇跡のドス」はこの群れに語り継がれる伝説となった。
そして今日もその「奇跡のドス」の墓へ熱心にお参りするゆっくりがいる。
元幹部のデカマラありすだ。今は奇跡のドスの跡を継ぎ、群れを治めるクイーンありすをやっている。
墓参りはありすの日課になっており、他のゆっくりが供えたらしき花や木の実などのお供え物が墓の前に所狭しと並んでいた。
あの後、ドスがいなくなり崩壊しかけた群れを
「ドスはしんだ!!もういない!!だけど、ありすのせなかに・・・そしてこのぺにぺにに、ひとつになっていきつづける!!」
と天元突破しそうな熱い演説で見事にまとめあげ、その功績から長になったのだ。
その後幸運にもクイーンありすに進化し、元々大きかったぺにぺにも更に大きくなり電柱大に。
今ではクイーンありすの能力である「ぺにぺにを自在に操る程度の能力」も習得し、ぺにぺにをドリルにして地面を掘り進むことや13km伸ばすことも出来るようになった。
ありすは思う。自分がクイーンになれたのもドスの起こしてくれた奇跡ではないかと。奇跡によって、この群れを守り続けたドスの最後の奇跡。最後の願い。
だから自分はこの群れを守り続ける。ドスの遺志をついで。
今日も明日も明後日も。これからもずっと。
ドスが命をかけて守ったこの群れを。
「だからドス・・・ゆっくりしてってね!!」
ありすは空に向かって叫ぶ。空の向こうに消えたドスへ届けと言わんばかりに。
空でドスが笑ってくれたような気がした。
しかしありす達は知らなかった。
奇跡のドスがまだ生きていることを。
そしてドスの秘密を。
ありす達の群れから東に100キロ程言った場所にある幻想町。その町で一番大きな和風の木造建築。
常識に囚われないこの町の支配者であり、ボーダー商事の社長でもある紫社長の自宅である。
「ふぁあ・・・てんこーしんぶんもってきてー。」
眠そうに目をこすりながら起きてきたこのババ・・お姉さんこそ紫社長だ。ちなみに今は平日の午前11時すぎ。どう考えてもまともな社会人の起きる時間ではない。
「はーい、ただいまー。」
メイド服を着た胴付きてんこが新聞を持ってきた。それを受け取り、ご褒美にてんこを踏みつける。
普通胴付きゆっくりをメイドにするとなるとさくやを想像するかもしれないが、意外とてんこをメイドにする飼い主も多い。
基本的にタフで頭も決して悪くなく、自分を虐めてくれる人間には素直で従順だからだ。
「あぁあん・・・もっと・・・もっとつよくふんでね・・・めすぶたってののしってね・・・」
もだえるてんこを無視して紫社長は縁側にある大きなソファーベッドに寝そべりながら新聞を読み始めた。
いつもと変わらない穏やかな日常だ。
「ん・・・これって・・・」
新聞を読んでいた紫社長が何かに気づいた。
「ねぇ・・・あんたって確か前は鬼意山にいたのよね?」
なぜかソファーに話しかける紫社長。と言っても別に年のせいで、ぼけ始めた訳ではない。
「ええ、そうよ。」
その時、ソファーがむくりと起き上がった。
いや、これはソファーではない。青い髪に桃の付いた帽子。巨大なゆっくりてんこだ。
紫社長がドスてんこをソファー替わりにしていたのだ。
「てんこ、こうみえても、むれのおさやってたのよ。きせきのドスってよばれてたんだから!!」
そう胸(?)をはるてんこ。
そう奇跡のドスの正体はドスめすぶたてんこ、略してドスぶただったのである。
3年前、鬼意山でハイキングをしていた紫社長。そこでドスてんこに出会ったのだ。
ドMであるドスてんこはドSクイーンの紫社長に一目ぼれ。ナンバー2であるデカマラありすに「あとはよろしく」と言って、そのまま紫社長のペットになってしまったのだ。
群れの長として無責任この上ない行動である。
まあ、てんこが群れの長になった理由は「長になればドゲスやゲスゆっくりに優先的に虐めてもらえる」「奴隷のようにこき扱われるドスってサイコー」というものだったので、より虐めてもらえそうな紫社長についていくのも仕方ないといえば仕方ないのだが。
「・・・?ところでそれがどうかしたの?」
「いや、別に・・・」
歯切れ悪く答える紫社長。そっと新聞をてんこの見えないところに置く。
(さすがにこれは言わないほうが良さそうね・・・)
紫社長が床に置いた新聞。その新聞の見出しにはこう書いてあった。
「鬼意山、ダムに沈む。今日正午より注水開始」
「ぎゃああああああ!!!」
「どぼじでおみずさんがくるのぉおおおおお!!?」
「だれがだずけでぇえええええ!!!!」
阿鼻叫喚の断末魔とともに、奇跡のドスの群れが消えたのはそれから数時間後のことである。
後書き
いつもご愛読ありがとうございます。長月改め長月MDO(マダオ)です(嘘)
ちなみに今回登場したこのドスてんこは「anko1127 めすぶた祭り」で神輿に乗っていたドスてんこです。興味があればそちらのほうも読んでみてください。
ご意見ご感想等お待ちしております。
今まで書いた作品
anko259 ゆっくりちるのの生態(前編)
anko268 選ばれしゆっくり
anko279 新種ゆっくり誕生秘話 選ばれしゆっくり番外編
anko292 ゆっくり見ていってね
anko304 またにてゐ う詐欺師てゐの日々
anko313 VS最強のゆっくり 史上最低の戦い
anko333 夢と現実のはざまで
anko350 あるまりさの一生
anko385 ゆっくりを拾ってきた
anko425 ゆっくり Change the World(出題編)
anko448 ゆっくり Change the World(出題編2)
anko484 ゆっくり Change the World(解答編)
anko497 あるゆっくりできない2匹の一生
anko542 てんこがゆっくりするSSさん
anko558 あるドスまりさの一生 とてもゆっくりした群れ
anko577「餡子ンペ09」ゆっくりを愛でてみた
anko613「餡子ンペ09」れいむと幸せを呼ぶ金バッジ
anko633「餡子ンペ09」としあき博士のれいぱーありす矯正計画
anko735「餡子ンペ09」あるてんこの一生 メスブタの群れ
anko764「餡子ンペ09」あるさなえの一生 ゆっくりは皆それぞれ(前編)
anko791「餡子ンペ09」あるさなえの一生 ゆっくりは皆それぞれ(後編)
anko932 誰も救われない話
anko1022 あるババ・・お姉さんの結婚
anko1057 もらうぞ
anko1127 めすぶた祭り
anko1224 あるちるのの一生 ずっと続いていく物語
anko1500 ある愛でお兄さんの午後
anko1530 どうして・・・
anko1638 とてもかわいそうなでいぶ
※俺設定注意
その群れはとある鬼意山という山の谷に存在する。
電信柱のような大きなぺにぺにを持つクイーンありすが長を務める、これといった変わった掟があるわけでも、希少種がいるわけでもないごく普通のゆっくりの群れ。
しかし、その群れにはある伝説があった。
この群れを作り、そして命をかけて守った、ある「奇跡のドス」の伝説が。
奇跡のドス
作、長月
そのドスはとても変わっていた。
ドススパークも撃てず、ゆっくりオーラも使えない。
お帽子もひしゃげた変な形でみつあみもない。髪の色も他のドスとは違う。
しかし、誰にでも優しく、身を粉にして群れの為に尽くしてくれたので群れの皆からはとても人気があった。
「ゆーん。ドスのくれるあまあまはとてもゆっくりできるよー。」
「むーしゃ、むーしゃしあわせー。」
また、ドスは時々とても美味しくバスケットボール大のあまあまをくれることもあり、ゆっくり達はとても喜んだ。
不思議なことにそのあまあまはドスがどこからともなく取ってきてくれるもので、同じものは山のどこにも存在しないのだ。
ドスがくれるあまあま、その味はとても甘くてジューシーで、こんな美味しいあまあまをくれるドスはきっと特別な存在なのだと群れのゆっくりは誰もが感じていた。
そんなある日、群れにドゲスの群れが攻めてきた。
このあたりは食料も豊富で捕食種や危険な野生動物もいない。そこへドゲス達に目をつけられたのだ。
「ゆっふっふっ。ドススパークを喰らいたくなかったらさっさとこーふくするんだぜ!!」
勝利を確信してニタニタと笑うドゲスたち。
確かにあちらの方が倍以上数が多い上、こちらのドスはドススパークも使えないのだ。
どう考えても勝ち目がない。
そんな絶望的な状況の中、震える群れのゆっくり達を守るように敢然と前に出るゆっくりがいた。
そう、あのドスである。
この敗色濃厚な状況でも慌てず騒がず、余裕すら感じさせる笑みを浮かべている。
「ゆゆっ!!なにニタニタわらってるんだぜ!!」
その余裕にいらだつドゲスまりさ。しかしドスはその微笑を崩そうとしない。
「なめるなぁあああ!!!しねぇええええええ!!!」
イライラが頂点に来ていたドゲスは、ドススパークをドスへ放った。
「ああ・・・ドス・・・」
「ゆふっふっ・・・このいだいっなるドスまりささまにはむかうから・・・ゆっ!?」
次の瞬間、ドゲスは、いやその場にいた全員が目を疑った。
「なん・・・だと・・なんだぜ・・・」
そこには平然としたドスの姿があったからだ。
「しにぞこないがぁああああ!!!しねぇええええええ!!!」
何発もドススパークを乱射するドゲスまりさ。しかしドスには傷ひとつつけることが出来ない。
そのうちドゲスはドススパークを撃たなくなった。ドススパークを撃つのに必用な魔法キノコがなくなったのである。
「ゆがぁあああああ!!!これならどうだぁあああああ!!!」
近くにあった尖った枝を持ちドスへ突き刺そうとするドゲスまりさ。しかし結果は一緒だ。
まるで見えないシールドでも張ってあるかのように攻撃は跳ね返され、木の枝が折れるだけ。
その後も体当たりや投石、果ては噛み付き攻撃などを繰り返したが、ドスの余裕の表情を崩すことは出来なかった。
「くっ!!おぼえてるんだぜ!!」
安っぽい時代劇の悪役のような捨てゼリフを残し逃げ出すドゲス。他のゲスゆっくり達も恐れをなし逃げていく。
「やったわ、ドス!!」
「ドスがいればゲスなんてもうこわくないよ!!」
「ドスはきせきをおこせるドスなんだねー。わかるよー。」
「きせきのドスばんざーい!!きせきのドスばんざーい!!」
こうして味方はおろか敵すら傷つけることなくゲスゆっくり達を退けたドス。群れのゆっくり達は歓喜し、ドスを「奇跡のドス」ともてはやした。
その後様々なドゲス達がドスに挑戦してきた。
あるものはドスのゆっくりプレイスを我が物にする為、あるものは食料を略奪する為。中には「奇跡のドス」を倒して自分の名を上げてやる、なんてドゲスもいた。
しかし全員返り討ち。ドスの魔法のような奇跡のまえに全くダメージを与えられず、皆コソコソと逃げ帰った。
群れのゆっくりは喜んだ。
やっぱりドスは奇跡のドスだ。ドスについていけばずっとゆっくりできる。
群れのゆっくりは皆そう信じていた。
しかしその奇跡のドス伝説にもピリオドが打たれる日が来ることになる。
奇跡のドスの群れにゆっくりできない人間が来たのだ。
その人間の禍々しいまでのゆっくりできないオーラに、幹部のデカマラありすは思わずしーしーをもらしてしまった。
ありすとて伊達に群れの幹部をしているわけではない。特にゆっくりのような弱い生物に必用な能力である相手の力を見抜く事には誰よりも長けていた。
その本能が言っている。
こんなやつ相手にしてはいけない。こいつは人間の皮を被った化け物だ、と。
今までのドゲス達の戦闘力がよんっまんにっせん程度なら、この人間は最低でもごじゅうさんまんっ以上。
しかもまだ3回位変身を残していそうだ。
駄目だ。殺される。
そうありすが覚悟した時。
「え・・・ドス・・・?」
いつものようにドスは群れの守るようにその人間の前に立ちはだかった。
「だめよ!!ドス!!ころされるわ!!」
ありすは止めた。いくらなんでも相手が悪すぎる。ヤムチャが範馬勇次郎に戦いを挑むようなものだ。
しかしドスはありすに後は頼むと一言だけいうと、その人間と共に森の奥へと消え、そのまま二度と戻ってくることはなかった。
ドスが帰らないことで群れのゆっくり達は悟った。
ドスは犠牲になったのだ・・・・
命をかけてあのゆっくりできない人間からこの群れを守ってくれたのだ、と。
それから数日、群れのゆっくりたちの泣き声がやむことはなかった。
こうして「奇跡のドス」はこの群れに語り継がれる伝説となった。
そして今日もその「奇跡のドス」の墓へ熱心にお参りするゆっくりがいる。
元幹部のデカマラありすだ。今は奇跡のドスの跡を継ぎ、群れを治めるクイーンありすをやっている。
墓参りはありすの日課になっており、他のゆっくりが供えたらしき花や木の実などのお供え物が墓の前に所狭しと並んでいた。
あの後、ドスがいなくなり崩壊しかけた群れを
「ドスはしんだ!!もういない!!だけど、ありすのせなかに・・・そしてこのぺにぺにに、ひとつになっていきつづける!!」
と天元突破しそうな熱い演説で見事にまとめあげ、その功績から長になったのだ。
その後幸運にもクイーンありすに進化し、元々大きかったぺにぺにも更に大きくなり電柱大に。
今ではクイーンありすの能力である「ぺにぺにを自在に操る程度の能力」も習得し、ぺにぺにをドリルにして地面を掘り進むことや13km伸ばすことも出来るようになった。
ありすは思う。自分がクイーンになれたのもドスの起こしてくれた奇跡ではないかと。奇跡によって、この群れを守り続けたドスの最後の奇跡。最後の願い。
だから自分はこの群れを守り続ける。ドスの遺志をついで。
今日も明日も明後日も。これからもずっと。
ドスが命をかけて守ったこの群れを。
「だからドス・・・ゆっくりしてってね!!」
ありすは空に向かって叫ぶ。空の向こうに消えたドスへ届けと言わんばかりに。
空でドスが笑ってくれたような気がした。
しかしありす達は知らなかった。
奇跡のドスがまだ生きていることを。
そしてドスの秘密を。
ありす達の群れから東に100キロ程言った場所にある幻想町。その町で一番大きな和風の木造建築。
常識に囚われないこの町の支配者であり、ボーダー商事の社長でもある紫社長の自宅である。
「ふぁあ・・・てんこーしんぶんもってきてー。」
眠そうに目をこすりながら起きてきたこのババ・・お姉さんこそ紫社長だ。ちなみに今は平日の午前11時すぎ。どう考えてもまともな社会人の起きる時間ではない。
「はーい、ただいまー。」
メイド服を着た胴付きてんこが新聞を持ってきた。それを受け取り、ご褒美にてんこを踏みつける。
普通胴付きゆっくりをメイドにするとなるとさくやを想像するかもしれないが、意外とてんこをメイドにする飼い主も多い。
基本的にタフで頭も決して悪くなく、自分を虐めてくれる人間には素直で従順だからだ。
「あぁあん・・・もっと・・・もっとつよくふんでね・・・めすぶたってののしってね・・・」
もだえるてんこを無視して紫社長は縁側にある大きなソファーベッドに寝そべりながら新聞を読み始めた。
いつもと変わらない穏やかな日常だ。
「ん・・・これって・・・」
新聞を読んでいた紫社長が何かに気づいた。
「ねぇ・・・あんたって確か前は鬼意山にいたのよね?」
なぜかソファーに話しかける紫社長。と言っても別に年のせいで、ぼけ始めた訳ではない。
「ええ、そうよ。」
その時、ソファーがむくりと起き上がった。
いや、これはソファーではない。青い髪に桃の付いた帽子。巨大なゆっくりてんこだ。
紫社長がドスてんこをソファー替わりにしていたのだ。
「てんこ、こうみえても、むれのおさやってたのよ。きせきのドスってよばれてたんだから!!」
そう胸(?)をはるてんこ。
そう奇跡のドスの正体はドスめすぶたてんこ、略してドスぶただったのである。
3年前、鬼意山でハイキングをしていた紫社長。そこでドスてんこに出会ったのだ。
ドMであるドスてんこはドSクイーンの紫社長に一目ぼれ。ナンバー2であるデカマラありすに「あとはよろしく」と言って、そのまま紫社長のペットになってしまったのだ。
群れの長として無責任この上ない行動である。
まあ、てんこが群れの長になった理由は「長になればドゲスやゲスゆっくりに優先的に虐めてもらえる」「奴隷のようにこき扱われるドスってサイコー」というものだったので、より虐めてもらえそうな紫社長についていくのも仕方ないといえば仕方ないのだが。
「・・・?ところでそれがどうかしたの?」
「いや、別に・・・」
歯切れ悪く答える紫社長。そっと新聞をてんこの見えないところに置く。
(さすがにこれは言わないほうが良さそうね・・・)
紫社長が床に置いた新聞。その新聞の見出しにはこう書いてあった。
「鬼意山、ダムに沈む。今日正午より注水開始」
「ぎゃああああああ!!!」
「どぼじでおみずさんがくるのぉおおおおお!!?」
「だれがだずけでぇえええええ!!!!」
阿鼻叫喚の断末魔とともに、奇跡のドスの群れが消えたのはそれから数時間後のことである。
後書き
いつもご愛読ありがとうございます。長月改め長月MDO(マダオ)です(嘘)
ちなみに今回登場したこのドスてんこは「anko1127 めすぶた祭り」で神輿に乗っていたドスてんこです。興味があればそちらのほうも読んでみてください。
ご意見ご感想等お待ちしております。
今まで書いた作品
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anko385 ゆっくりを拾ってきた
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anko448 ゆっくり Change the World(出題編2)
anko484 ゆっくり Change the World(解答編)
anko497 あるゆっくりできない2匹の一生
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