ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko3604 ゆっくり立入禁止
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ankoss
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『ゆっくり立入禁止』 11KB
制裁 ギャグ 日常模様 初投稿です
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「うーむ……」
農家のお兄さんは悩んでいた。
あの不思議饅頭生物が世に現れ出でて以来、全国津々浦々の農家の皆様方が等しく悩む問題である。
即ち、ゆっくりの畑被害であった。
あの不思議饅頭生物が世に現れ出でて以来、全国津々浦々の農家の皆様方が等しく悩む問題である。
即ち、ゆっくりの畑被害であった。
「どうしたもんかな……」
ゆっくりの畑被害は、農家にとって頭の痛い問題である。
ゆっくりたちは大根や人参を引き抜くことはできないし、それらを掘り起こしたりもしない。
だが、地表に露出したごく一部分だけをかじって台無しにしてしまうのだ。
しかも、一口二口をかじって満足したら、次へ……といった調子で、まんべんなく野菜を駄目にしていく。
そのまるで嫌がらせの様な食べ散らかし方は、その他の野生動物に食い荒らされるよりもよっぽど精神的にクるものがあった。
ゆっくりたちは大根や人参を引き抜くことはできないし、それらを掘り起こしたりもしない。
だが、地表に露出したごく一部分だけをかじって台無しにしてしまうのだ。
しかも、一口二口をかじって満足したら、次へ……といった調子で、まんべんなく野菜を駄目にしていく。
そのまるで嫌がらせの様な食べ散らかし方は、その他の野生動物に食い荒らされるよりもよっぽど精神的にクるものがあった。
ところで、ゆっくりというのは饅頭である。
よって「ゆっくりは生き物ではない」という主張が少なからず存在し、そしてまかり通っている。
だが、このお兄さんは決して愛で派でも虐待派でもないが、ゆっくりもまた生き物としてとらえる派のお兄さんであった。
なので、畑を荒らしたゆっくりを潰す事に抵抗はなくとも、別に潰さずに済むならばそれが良いと思うのだ。
一斉駆除とか、自分たちでやるにしても行政に頼むにしても、大がかりになりすぎて大変だし。
よって「ゆっくりは生き物ではない」という主張が少なからず存在し、そしてまかり通っている。
だが、このお兄さんは決して愛で派でも虐待派でもないが、ゆっくりもまた生き物としてとらえる派のお兄さんであった。
なので、畑を荒らしたゆっくりを潰す事に抵抗はなくとも、別に潰さずに済むならばそれが良いと思うのだ。
一斉駆除とか、自分たちでやるにしても行政に頼むにしても、大がかりになりすぎて大変だし。
「口で言って通じる奴らじゃないしなー……」
実体験であった。
一度、ゆっくりの畑荒らしに遭遇し、適度に痛めつけ、畑は人間が守っているから二度と近づくな、と言い含めて逃がしたことがあった。
痛い目にあったゆっくりが、仲間のゆっくりにそれを伝えてくれれば被害が減るかもしれない。
……それが浅はかな考えであったことを知るのは、その翌日、逃がしたゆっくりが味方を連れて退去してやってきた時であった。
お兄さんの目を盗んで野菜を食べるどころか、真っ向から数に頼んでかさにかかって襲いかかってきたのである。
一度、ゆっくりの畑荒らしに遭遇し、適度に痛めつけ、畑は人間が守っているから二度と近づくな、と言い含めて逃がしたことがあった。
痛い目にあったゆっくりが、仲間のゆっくりにそれを伝えてくれれば被害が減るかもしれない。
……それが浅はかな考えであったことを知るのは、その翌日、逃がしたゆっくりが味方を連れて退去してやってきた時であった。
お兄さんの目を盗んで野菜を食べるどころか、真っ向から数に頼んでかさにかかって襲いかかってきたのである。
あー…… こいつら、言っても無駄なんだなー……
やけに達観した無表情でそれを実感しながら、とりあえず全部踏みつぶしておいた。
ゆっくりを潰すことより、その残骸を片付けることの方が大変だった。
ゆっくりを潰すことより、その残骸を片付けることの方が大変だった。
「……よし、看板を作ってみよう!」
ふと、そんなことを思いついた。
一度思いついて口にしてみると、うん、これはなかなか良いアイデアではないかと思えた。
ゆっくりが畑を荒らすのは、目先の野菜にとらわれ、そのリスクを理解できないからである。……と思う。
ならば、看板で警告すれば良いのではないだろうか。
一度思いついて口にしてみると、うん、これはなかなか良いアイデアではないかと思えた。
ゆっくりが畑を荒らすのは、目先の野菜にとらわれ、そのリスクを理解できないからである。……と思う。
ならば、看板で警告すれば良いのではないだろうか。
「うんうん、じゃぁ早速作るかー!」
なかなかいいアイデアが浮かんだ。そしてやる事も決まった。
となると、急に心が浮き立ってやる気がわいて出てくるのが、このお兄さんである。
お兄さんは、いささか餡子脳であった。
となると、急に心が浮き立ってやる気がわいて出てくるのが、このお兄さんである。
お兄さんは、いささか餡子脳であった。
──数十分後。
「よっし、できたー!」
満足げに額の汗をぬぐって、素敵な笑顔でお兄さんは宣言した。
といっても、大工仕事が不慣れなだけで、大した工夫はしていない。
ただ木の看板にペンキを塗り、わかりやすく「ゆっくり立入禁止! 発見次第、潰します」と書いてあるだけだ。
これならば、ゆっくりの害を防ぐ……までは行かなくとも、警戒くらいはしてくれるだろう。
といっても、大工仕事が不慣れなだけで、大した工夫はしていない。
ただ木の看板にペンキを塗り、わかりやすく「ゆっくり立入禁止! 発見次第、潰します」と書いてあるだけだ。
これならば、ゆっくりの害を防ぐ……までは行かなくとも、警戒くらいはしてくれるだろう。
「ふふふふ…… ははははー!」
ゆっくりそっくりのドヤ顔で看板を片手に、お兄さんは高笑いをぶちかました。
そして翌日。
「むーしゃむーしゃ! おやさいさん、しあわせぇー!」
「……脳天気に食ってんじゃねぇーっ!!?」
「ゆぎゃばああああああああああああああ!!!!?」
「……脳天気に食ってんじゃねぇーっ!!?」
「ゆぎゃばああああああああああああああ!!!!?」
看板の効果も虚しく、数体の饅頭がのんきに野菜をかじっていた。
有言実行、看板の表示通り、猛ダッシュで接近した勢いのまま全力で黒帽子のゆっくりを蹴り飛ばす。
悲鳴をあげた瞬間に、そのゆっくりは炸裂して散弾銃のように餡子を飛ばした。
突然の惨劇に思わず硬直するゆっくりたちを、素早く無慈悲に──苦しむヒマもなく死なせるという意味ではこの上なく有情に──踏みつぶす。
有言実行、看板の表示通り、猛ダッシュで接近した勢いのまま全力で黒帽子のゆっくりを蹴り飛ばす。
悲鳴をあげた瞬間に、そのゆっくりは炸裂して散弾銃のように餡子を飛ばした。
突然の惨劇に思わず硬直するゆっくりたちを、素早く無慈悲に──苦しむヒマもなく死なせるという意味ではこの上なく有情に──踏みつぶす。
「おいこら、てめェ……!!」
「ゆ……ゆ、ゆ、ゆわあぁぁぁぁぁ!!? いだいいだいいだいいいいぃぃぃ!!」
「ゆ……ゆ、ゆ、ゆわあぁぁぁぁぁ!!? いだいいだいいだいいいいぃぃぃ!!」
"ビキィ!?"と効果音つきで青筋浮かべて、最後の一体をアイアンクローでギリギリと締め付ける。
「看板にきちんと、ここに来たら潰すって書いてあっただろ!?
だっつーのにのんきに野菜をむーしゃむーしゃしやがって、なにがしあわせーだコノ野郎!!」
「ゆぎいぃぃぃぃ!! ぞんなの゛じらないよ゛おぉぉぉぉぉ!! がんばんざんなんがよめないよおぉぉぉぉ!!!」
「読めないだと……!!?」
だっつーのにのんきに野菜をむーしゃむーしゃしやがって、なにがしあわせーだコノ野郎!!」
「ゆぎいぃぃぃぃ!! ぞんなの゛じらないよ゛おぉぉぉぉぉ!! がんばんざんなんがよめないよおぉぉぉぉ!!!」
「読めないだと……!!?」
こいつ適当なことを言いやがって……!
と考えたが、はた、と思い直す。
そうだ。日本人は義務教育が行き渡っているから当たり前のように文字が読めるが、発展途上国などでは、いい大人でも母国語の読み書きができない、ということはおかしなことではない。
何故ならば、そこには教育が無いからである。
野生のゆっくりが、読み書きの教育なんか受けているわけがないではないか……!
と考えたが、はた、と思い直す。
そうだ。日本人は義務教育が行き渡っているから当たり前のように文字が読めるが、発展途上国などでは、いい大人でも母国語の読み書きができない、ということはおかしなことではない。
何故ならば、そこには教育が無いからである。
野生のゆっくりが、読み書きの教育なんか受けているわけがないではないか……!
「く…… なんということだ、そんな根本的なミスがあったとは……」
思わずアイアンクローの手から力が抜ける。
その手の中から解放されたゆっくりは万物の法則に従って落下し、「ゆべっ!?」と言いながらも起き上がり、ぽいんぽいんと跳ねていった。
そうか…… 看板が読めなかったというのなら、仕方ない。これはお兄さんのミスである。
その手の中から解放されたゆっくりは万物の法則に従って落下し、「ゆべっ!?」と言いながらも起き上がり、ぽいんぽいんと跳ねていった。
そうか…… 看板が読めなかったというのなら、仕方ない。これはお兄さんのミスである。
「だがそれはそれとして、潰すけどな」
「ゆぎゃあぁぁああああああっ!!」
「ゆぎゃあぁぁああああああっ!!」
所詮、いくら急いでもゆっくりのスピードでは歩いてでも簡単に追いつける。
世の無常さをかみしめるような侘びしい表情になりつつも、お兄さんは逃げたゆっくりに追いつき踏みつぶした。
世の無常さをかみしめるような侘びしい表情になりつつも、お兄さんは逃げたゆっくりに追いつき踏みつぶした。
「文字が駄目なら絵にしてみよう!」
お兄さんは不屈の人である。
第一次看板作戦は惜しくも失敗に終わったが、文字が駄目なら絵で描いてみることにする。
そう、人類はかつて文字を持たなかった頃、洞窟の壁に絵を描き、野生動物の知識や狩りの方法などを伝え、残したという。
そして今こそ、その偉大なる先人の知恵に従うべき……!
キリッ! とした表情のお兄さんは、新たな歴史の1ページを描くような心持ちで、看板に筆を走らせた。
第一次看板作戦は惜しくも失敗に終わったが、文字が駄目なら絵で描いてみることにする。
そう、人類はかつて文字を持たなかった頃、洞窟の壁に絵を描き、野生動物の知識や狩りの方法などを伝え、残したという。
そして今こそ、その偉大なる先人の知恵に従うべき……!
キリッ! とした表情のお兄さんは、新たな歴史の1ページを描くような心持ちで、看板に筆を走らせた。
「えっと、ゆっくりってどんな形してたっけなー…… こう、下ぶくれで、おさげがあってー……
うぉわあ!? なにこれキモい!? ゆっくりじゃない何か別の冒涜的な生き物だよ! いあいあ!」
うぉわあ!? なにこれキモい!? ゆっくりじゃない何か別の冒涜的な生き物だよ! いあいあ!」
だが、お兄さんに絵心はなかった。
──二時間後。
「……なんとか、ゆっくりっぽくなった…… と、思う!」
冷や汗と脂汗の混じった汗をぬぐいながら、お兄さんは出来上がった看板を掲げた。
どうにか、言われてみればまりさに見えないこともない絵がそこには描かれている。
野菜を食べるまりさの絵から矢印が伸びて、潰されたまりさの絵を指し示した図案だ。
どうにか、言われてみればまりさに見えないこともない絵がそこには描かれている。
野菜を食べるまりさの絵から矢印が伸びて、潰されたまりさの絵を指し示した図案だ。
「これならっ……! この看板ならどうにかしてくれるっ……!」
そこはかとなく感じる不安を誤魔化しつつ、お兄さんは自己暗示をかけるように繰り返しそうつぶやいていた。
「むーしゃむーしゃ! なにかかいてあったけど、きにせずむーしゃむーしゃするよ!」
「気にしろよこの餡子脳がアァァァァ!!!」
「ぶぎゃああぁぁぁぁぁっ!!? でいぶのじんじゅのようなはがあぁぁぁぁっ!!」
「気にしろよこの餡子脳がアァァァァ!!!」
「ぶぎゃああぁぁぁぁぁっ!!? でいぶのじんじゅのようなはがあぁぁぁぁっ!!」
「むーしゃむーしゃ! まりさの"え"さんがかいてあったから、ここはきっとまりさせんようのゆっくりプレイスだね!」
「違ぇよ!? 矢印の先も見ろよオラァ!!?」
「ゆっぎいぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!? ばりざのおべべがあぁぁぁぁぁっ!!」
「違ぇよ!? 矢印の先も見ろよオラァ!!?」
「ゆっぎいぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!? ばりざのおべべがあぁぁぁぁぁっ!!」
「むーきゅむーきゅ! むきゅきゅ、ぱちぇはまりさじゃないから、おやさいさんをたべてもだいじょうぶね!」
「ンなわけあるかあぁぁぁぁっ!!」
「むきゅうううぅぅぅぅぅっ!!? ぱちぇの……えれえれえれ……」
「ンなわけあるかあぁぁぁぁっ!!」
「むきゅうううぅぅぅぅぅっ!!? ぱちぇの……えれえれえれ……」
「ゆっへっへ、さいっきょうのまりささまが、にんげんなんかにやられるわけないのぜえええぇぇぇ!!」
「やってみろやオラアァァァァァ!!!」
「ぎゃびいいぃぃぃぃぃぃっ!!? まりざざまのびろーどのようなおぼうじいいぃぃぃぃぃっ!!」
「やってみろやオラアァァァァァ!!!」
「ぎゃびいいぃぃぃぃぃぃっ!!? まりざざまのびろーどのようなおぼうじいいぃぃぃぃぃっ!!」
結論:どうにもなりませんでした。
今日もお兄さんのハイパー銀色の足スペシャルがうなる。
看板の絵を理解できないもの、そもそも理解しようともしないもの、間違って理解するもの、理解していながら無視するもの。
看板を見て引き返そうとするゆっくりなど、一匹たりともいなかった。
今日もお兄さんのハイパー銀色の足スペシャルがうなる。
看板の絵を理解できないもの、そもそも理解しようともしないもの、間違って理解するもの、理解していながら無視するもの。
看板を見て引き返そうとするゆっくりなど、一匹たりともいなかった。
「くそっ、一体何がいけなかったんだ……」
つとめて看板を見ない様にして、お兄さんは毒づいた。
絵がヘタだからだ、という単純ゆえにどうにもならない問題は、できるだけ気にしないことにする。
畑にはあちこちかじられた野菜と、ぶちまけられたつぶあん・こしあん・生クリーム等が散乱し、どこからかやってきた蟻がたかっていた。
お兄さんの畑はそれほど広くない。この惨状がもたらした被害と後片付けの手間は、お兄さんを暗澹とさせた。
絵がヘタだからだ、という単純ゆえにどうにもならない問題は、できるだけ気にしないことにする。
畑にはあちこちかじられた野菜と、ぶちまけられたつぶあん・こしあん・生クリーム等が散乱し、どこからかやってきた蟻がたかっていた。
お兄さんの畑はそれほど広くない。この惨状がもたらした被害と後片付けの手間は、お兄さんを暗澹とさせた。
「いや…… 俺は諦めない……!」
お兄さんは不屈の人であった。
そして時は流れ流れて。
「すーやすーや…… おやさいさんはかってにはえてくるんだよ……」
「ゆぅ……ゆぅ…… ゆっくりしてないにんげんさん……」
「ゆぅ……ゆぅ…… ゆっくりしてないにんげんさん……」
月が真上に昇る頃、お兄さんは山の中にいた。
そこはお兄さんの畑にほど近いゆっくりの群れがある。今までお兄さんの畑に来たゆっくりたちも、大半はこの群れのゆっくりだろう。
今まで結構な数を潰してきたと思っていたのだが、いざ来てみるとあちこちからゆっくりの寝言が聞こえていた。
こんなにいたんだな、と不思議饅頭たちの群を抱え込んでしまう大自然の懐の深さに深い感銘を受けつつ、お兄さんは群れをぐるっと一回り。
大体の規模と巣の場所を確認し終えたお兄さんは、手にした道具を高くふりあげた。
そこはお兄さんの畑にほど近いゆっくりの群れがある。今までお兄さんの畑に来たゆっくりたちも、大半はこの群れのゆっくりだろう。
今まで結構な数を潰してきたと思っていたのだが、いざ来てみるとあちこちからゆっくりの寝言が聞こえていた。
こんなにいたんだな、と不思議饅頭たちの群を抱え込んでしまう大自然の懐の深さに深い感銘を受けつつ、お兄さんは群れをぐるっと一回り。
大体の規模と巣の場所を確認し終えたお兄さんは、手にした道具を高くふりあげた。
そして振り下ろす。
「ゆ……ぎいぃぃぃぃっ!!? いぢゃいいぃぃぃぃぃっ!!?」
「ゆゆぅ、うるさいよまりさ…… なんなのこれええええぇぇぇぇぇぇ!!?」
「ゆゆぅ、うるさいよまりさ…… なんなのこれええええぇぇぇぇぇぇ!!?」
にわかに巣穴の中が騒がしくなる。
お兄さんの振り下ろした鍬が巣穴の仲間で貫通し、中にいたまりさを抉ったようだった。
どうやら致命傷ではないようだ。軽くかすった程度だろうか。
番らしきゆっくりの声が一緒に響いていたが、関係ない。畑を耕すように掘り起こして巣穴を崩し、もう一度鍬を振り上げる。
お兄さんの振り下ろした鍬が巣穴の仲間で貫通し、中にいたまりさを抉ったようだった。
どうやら致命傷ではないようだ。軽くかすった程度だろうか。
番らしきゆっくりの声が一緒に響いていたが、関係ない。畑を耕すように掘り起こして巣穴を崩し、もう一度鍬を振り上げる。
「ゆぶあぁ!? ばりざのおうぢがああぁぁぁ!!?」
「ゆゆぅっ!? に、にんげんさ」
「ゆゆぅっ!? に、にんげんさ」
振り下ろす。
「んぎゅいぃっ!!」
「れ、れいぶううぅぅぅぅぅぅぅ!!?」
「れ、れいぶううぅぅぅぅぅぅぅ!!?」
巣穴が崩れて姿を見せた番のゆっくり──れいむだったが、関係ない──が、鍬に貫かれてざっくりと破壊された。
畑仕事で鍛えられたお兄さんの鍬さばきにかかれば、切るとか潰すとかではない、土と一緒に混ぜられて「破壊」と呼ぶに相応しい惨状になる。
畑仕事で鍛えられたお兄さんの鍬さばきにかかれば、切るとか潰すとかではない、土と一緒に混ぜられて「破壊」と呼ぶに相応しい惨状になる。
「や、やべっ! ゆぶっ!! どぼじでっ!! も、もっど、ゆっぐり……!!」
ざく、ざく、ざく、ざく。
ゆっくりの声など聞こえていないかのように、何度も鍬を振り下ろしてれいむとまりさごと巣穴を耕して潰していく。
十分に耕して、ゆっくりの姿形が破壊され土と餡子が混じり合ったころ、お兄さんはようやくその手を止めた。
ゆっくりの声など聞こえていないかのように、何度も鍬を振り下ろしてれいむとまりさごと巣穴を耕して潰していく。
十分に耕して、ゆっくりの姿形が破壊され土と餡子が混じり合ったころ、お兄さんはようやくその手を止めた。
「……ゅゅ……」
「…………ゅ……?」
「…………ゅ……?」
今の騒ぎで目が醒めたのか、周囲の巣穴からいくつかゆっくりたちの声がする。
お兄さんは鍬を担ぎ、声がした手近な巣穴に向かって、鍬を振り上げた。
お兄さんは鍬を担ぎ、声がした手近な巣穴に向かって、鍬を振り上げた。
結論から言うと、お兄さんの努力は無駄に終わった。
どんな看板を立てても、ゆっくりに理解できるようにと工夫をこらしても、ゆっくりたちは全く気にしなかった。
文字も絵も、テープレコーダーによる警告や大きな音の鳴る罠、柵や市販の罠なども、大した効果をあげなかった。
どんな看板を立てても、ゆっくりに理解できるようにと工夫をこらしても、ゆっくりたちは全く気にしなかった。
文字も絵も、テープレコーダーによる警告や大きな音の鳴る罠、柵や市販の罠なども、大した効果をあげなかった。
おやさいさんはかってにはえてくるんだよ!
おやさいさんはゆっくりしたゆっくりにたべてほしがってるんだよ!
にんげんさんはおやさいさんをひとりじめしないでぜんぶよこしてね!
おやさいさんはゆっくりしたゆっくりにたべてほしがってるんだよ!
にんげんさんはおやさいさんをひとりじめしないでぜんぶよこしてね!
そんな理論にもなっていない理論がまずあって、それを疑うどころか押しつけてきてやまないゆっくりたちは、看板を理解できないのではなく、理解しようとしていなかった。
たまに理解するものがいても、何かしら理屈をつけて無視したり、人間なんかにやられるわけがない、という無駄に過剰で根拠レスな自信をもって無視してくる。
たまに理解するものがいても、何かしら理屈をつけて無視したり、人間なんかにやられるわけがない、という無駄に過剰で根拠レスな自信をもって無視してくる。
ぶっちゃけ、疲れたのだ。
こちらがどれだけ穏便に済ませようとしても、相手に全くその意志がない。
畑はゆっくりできないから近寄るなと、何度言ってもどんな手段で伝えても理解しない、いや、しようとしない。
それでもお兄さんは不屈の人であった。
頑張った。
すごく頑張った。
ちょー頑張った。
それは、こうして実力行使に出るまでに3ヶ月も努力し続けたところからもわかるだろう。普通の農家なら一週間ももたない。
お兄さんの畑の被害も、堪忍袋の緒も、もはや限界であった。
こちらがどれだけ穏便に済ませようとしても、相手に全くその意志がない。
畑はゆっくりできないから近寄るなと、何度言ってもどんな手段で伝えても理解しない、いや、しようとしない。
それでもお兄さんは不屈の人であった。
頑張った。
すごく頑張った。
ちょー頑張った。
それは、こうして実力行使に出るまでに3ヶ月も努力し続けたところからもわかるだろう。普通の農家なら一週間ももたない。
お兄さんの畑の被害も、堪忍袋の緒も、もはや限界であった。
全てのゆっくりを「耕し」終えた頃には、まばゆい朝日が山を照らしていた。
清々しい朝日であった。
清々しい朝日であった。
「あーあ、最初からこうしときゃ良かった!」
やり遂げた男の顔で言いながら大きく伸びをして、お兄さんは意気揚々と山を下りていった。
こうして、しばらくの間、麓にある農家はゆっくりの被害に悩むことはなくなったとさ。めでたしめでたし。
あとがき
初投稿です。
愛でが書きたかったのですが、看板程度じゃ絶対ゆっくりが行動改めたりなんかしないと思ったらこうなりました。
前半でぬるい愛で派みたいなこと言ってるのは愛でたかった名残ですが、まぁこんなラストなのは、その、ブチ切れたから、ということで。
次回は愛でを書きたいと思います。
思うだけです。
初投稿です。
愛でが書きたかったのですが、看板程度じゃ絶対ゆっくりが行動改めたりなんかしないと思ったらこうなりました。
前半でぬるい愛で派みたいなこと言ってるのは愛でたかった名残ですが、まぁこんなラストなのは、その、ブチ切れたから、ということで。
次回は愛でを書きたいと思います。
思うだけです。