ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko3788 最悪の選択
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ankoss
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『最悪の選択』 24KB
制裁 自業自得 仲違い ドスまりさ ひとまず、スクロールバーが下がりきるまで読んで頂ければ幸いです。
制裁 自業自得 仲違い ドスまりさ ひとまず、スクロールバーが下がりきるまで読んで頂ければ幸いです。
- 直接的に虐待する描写はありません。
- 前半は超愛で展開無双です。ゆっくりできない人は後半まで飛ばしてください。
- おしまい詐欺注意
- ひどい目にあう人間がいます
- ゆっくりが世の中に現れ始めた初期の時代、という設定です。
「ゆっ、どすはどすだよ! むれのみんなをゆっくりさせるよ!」
あるところに、ドスまりさがいました。
ドスは元々、普通のまりさでしたが、梅雨の終わりごろにドスまりさに進化したのです。
突然現れたドスにみんなは大喜び。みんなの声に指示されて、ドスまりさは群の長になりました。
あるところに、ドスまりさがいました。
ドスは元々、普通のまりさでしたが、梅雨の終わりごろにドスまりさに進化したのです。
突然現れたドスにみんなは大喜び。みんなの声に指示されて、ドスまりさは群の長になりました。
「にんげんさん、どすはにんげんさんと、きょうっていっをむすぶよ!」
夏の暑いある日、ドスは群のある山のふもとの人間さんの村と、協定を結びました。
ドスの中には「きょうっていっ」という名の「きょうっはくっ」をして人間さんの怒りを買う者もいましたが、このドスは人間さんとゆっくりが仲良く暮らすためのルールを作るために、一生懸命に考えて協定を結びにきたのです。
村の人間さんたちは、話し合いが出来る賢いドスに感心します。ドスは人間さんと協定を結ぶことに成功しました。
夏の暑いある日、ドスは群のある山のふもとの人間さんの村と、協定を結びました。
ドスの中には「きょうっていっ」という名の「きょうっはくっ」をして人間さんの怒りを買う者もいましたが、このドスは人間さんとゆっくりが仲良く暮らすためのルールを作るために、一生懸命に考えて協定を結びにきたのです。
村の人間さんたちは、話し合いが出来る賢いドスに感心します。ドスは人間さんと協定を結ぶことに成功しました。
「ゆっくりしていってね!」
「ああ、お前達もゆっくりしていってね!」
実りの秋、山の中にはゆっくりと人間さんの挨拶が響きました。
ゆっくりは松茸や柿などのある場所を人間さんに教え、人間さんはゆっくりには取れない高いところの実などをとってやります。
ドスの結んだ協定のおかげで、群のゆっくりたちと人間さんたちは仲良くなっていました。
優しい人間さんたちの手助けもあって、食べ物を人間さんと分け合っても、いつもよりたくさんの越冬用の食料がドスのもとに集まります。
これでゆっくりできるね! とゆっくりたちは大喜び。人間さんも、貴重な松茸や美味しい柿・栗が楽に手に入って笑顔です。
「ああ、お前達もゆっくりしていってね!」
実りの秋、山の中にはゆっくりと人間さんの挨拶が響きました。
ゆっくりは松茸や柿などのある場所を人間さんに教え、人間さんはゆっくりには取れない高いところの実などをとってやります。
ドスの結んだ協定のおかげで、群のゆっくりたちと人間さんたちは仲良くなっていました。
優しい人間さんたちの手助けもあって、食べ物を人間さんと分け合っても、いつもよりたくさんの越冬用の食料がドスのもとに集まります。
これでゆっくりできるね! とゆっくりたちは大喜び。人間さんも、貴重な松茸や美味しい柿・栗が楽に手に入って笑顔です。
ところが。
「たいへん、たいへんだよどす! もうごはんさんがないよ!」
「ゆわああ、もうむーしゃむーしゃできないのお!?」
例年よりも十分手に入ったはずの越冬用のご飯さんが、冬の半ばになってなくなろうとしていました。
その原因は、例年よりもたくさんたくさん、何倍も沢山つくったおちびちゃんでした。
ドスが長になり、人間さんとも仲良くなって暮らしが良くなったゆっくりたちは、たくさんすっきりーをして、たくさんのおちびちゃんを作ったのです。
おちびちゃんは大人のゆっくりにも負けないくらいたくさんのご飯さんをむーしゃむーしゃします。そのせいで、例年より多いはずのご飯さんでも全然足りなかったのでした。
「ゆゆう、こまったよ。このままじゃみんな、えいえんにゆっくりしちゃうよ……」
困ってしまっても後の祭り。ご飯さんはありません。
すっきりー制限をしたり、早い内に増えすぎた赤ゆを間引けば良かったのかもしれませんが、ドスはすっきりー制限なんてゆっくりしていないことはしたくありませんでしたし、赤ゆを殺すことなんて考えすらしませんでした。
それに、今更なくなってしまったご飯さんはどうしようもないのです。ドスもみんなも困り果て、おなかがすいて赤ちゃんたちもゆわーんゆわーん泣きました。
「ゆわああ、もうむーしゃむーしゃできないのお!?」
例年よりも十分手に入ったはずの越冬用のご飯さんが、冬の半ばになってなくなろうとしていました。
その原因は、例年よりもたくさんたくさん、何倍も沢山つくったおちびちゃんでした。
ドスが長になり、人間さんとも仲良くなって暮らしが良くなったゆっくりたちは、たくさんすっきりーをして、たくさんのおちびちゃんを作ったのです。
おちびちゃんは大人のゆっくりにも負けないくらいたくさんのご飯さんをむーしゃむーしゃします。そのせいで、例年より多いはずのご飯さんでも全然足りなかったのでした。
「ゆゆう、こまったよ。このままじゃみんな、えいえんにゆっくりしちゃうよ……」
困ってしまっても後の祭り。ご飯さんはありません。
すっきりー制限をしたり、早い内に増えすぎた赤ゆを間引けば良かったのかもしれませんが、ドスはすっきりー制限なんてゆっくりしていないことはしたくありませんでしたし、赤ゆを殺すことなんて考えすらしませんでした。
それに、今更なくなってしまったご飯さんはどうしようもないのです。ドスもみんなも困り果て、おなかがすいて赤ちゃんたちもゆわーんゆわーん泣きました。
「こうなったらしかたないよ。にんげんさんにごはんさんをもらいにいくよ!」
ドスは決断しました。
人間さんも冬は大変な筈ですが、ゆっくりたちよりもたくさんのご飯さんがある筈です。
協定があるとはいえ、迷惑をかけるのは心苦しいことでしたが、そうしなければ群のみんなが越冬できずに永遠にゆっくりしてしまいます。
きっと、心をこめてお願いすれば人間さんも助けてくれるよ!
そう信じて、ドスは寒い寒い冬の山を飛び跳ねて人間さんの村へと向かったのでした。
ドスは決断しました。
人間さんも冬は大変な筈ですが、ゆっくりたちよりもたくさんのご飯さんがある筈です。
協定があるとはいえ、迷惑をかけるのは心苦しいことでしたが、そうしなければ群のみんなが越冬できずに永遠にゆっくりしてしまいます。
きっと、心をこめてお願いすれば人間さんも助けてくれるよ!
そう信じて、ドスは寒い寒い冬の山を飛び跳ねて人間さんの村へと向かったのでした。
「にんげんさん! ゆっくりおねがいするよ、ドスたちにごはんさんをわけてほしいよ!」
「なんとドスよ、協定にゆっくりを助けようなんてことはなかった筈だぞ」
こんな真冬に山から下りてきたドスに、村の人間さんたちはびっくりしてしまいました。
しかし、ドスが懸命に群の危機を訴えると、人間さんたちもうーむ、と考え込んでしまいます。
人間さんたちは、ゆっくりが増えすぎたこと、それがゆっくり自身の管理の甘さが原因であることをすぐさま見破りましたが、ここまで仲良く問題もなくやってきたドスの頼みです。
突っぱねるのは簡単ですが、次に山に来るゆっくりがドスのように良いゆっくりとは限りませんし、何より、村の皆もゆっくりのことを友達のように思っていました。
「わかったドスよ、わしらもできる限りのことをしよう」
「ゆっくりありがとう、にんげんさん!」
ひとまず、この冬はゆっくりたちに協力しよう。そうしよう。
人間さんたちのおかげで、群のゆっくりたちはなんとかこの危機を乗り越えることができたのです。
「なんとドスよ、協定にゆっくりを助けようなんてことはなかった筈だぞ」
こんな真冬に山から下りてきたドスに、村の人間さんたちはびっくりしてしまいました。
しかし、ドスが懸命に群の危機を訴えると、人間さんたちもうーむ、と考え込んでしまいます。
人間さんたちは、ゆっくりが増えすぎたこと、それがゆっくり自身の管理の甘さが原因であることをすぐさま見破りましたが、ここまで仲良く問題もなくやってきたドスの頼みです。
突っぱねるのは簡単ですが、次に山に来るゆっくりがドスのように良いゆっくりとは限りませんし、何より、村の皆もゆっくりのことを友達のように思っていました。
「わかったドスよ、わしらもできる限りのことをしよう」
「ゆっくりありがとう、にんげんさん!」
ひとまず、この冬はゆっくりたちに協力しよう。そうしよう。
人間さんたちのおかげで、群のゆっくりたちはなんとかこの危機を乗り越えることができたのです。
春になって、ぽーかぽーか暖かくなって来た頃、ゆっくりたちはまた元気に山をはね回っていました。
人間さんたちの援助があったといっても、たくさんのゆっくりが全員お腹いっぱいにむーしゃむーしゃするのは難しかった冬。
しかし豊かな緑あふれる春になって、またみんながゆっくりと、お腹ぺーこぺーこにならずに過ごせるようになったのです。
「ゆ~、はるになってみんなゆっくりしてるよ。ありがとう、にんげんさん!」
「しかしドスよ、このままではまた、冬には同じことの繰り返しだぞ」
「ゆゆぅ……」
その通りでした。今回は、なんとか人間さんの助けがあったから乗り越えられたのです。
また冬になれば同じように、いえおちびちゃんが大きくなって更におちびちゃんを増やすでしょうから、今回よりもっと大変になる筈です。
人間さんも、毎年毎年、どんどん増えていくゆっくりのご飯さんをずーっといつまでもお世話することはできません。
なんとかしないといけないよ。でないと、みんながゆっくりできなくなってしまうよ……
そんな風に悩むドスに、人間さんはこんなことを言ったのです。
「なぁドスよ、お野菜さんの作り方を覚えてみないか?」
「……ゆゆっ?」
人間さんたちの援助があったといっても、たくさんのゆっくりが全員お腹いっぱいにむーしゃむーしゃするのは難しかった冬。
しかし豊かな緑あふれる春になって、またみんながゆっくりと、お腹ぺーこぺーこにならずに過ごせるようになったのです。
「ゆ~、はるになってみんなゆっくりしてるよ。ありがとう、にんげんさん!」
「しかしドスよ、このままではまた、冬には同じことの繰り返しだぞ」
「ゆゆぅ……」
その通りでした。今回は、なんとか人間さんの助けがあったから乗り越えられたのです。
また冬になれば同じように、いえおちびちゃんが大きくなって更におちびちゃんを増やすでしょうから、今回よりもっと大変になる筈です。
人間さんも、毎年毎年、どんどん増えていくゆっくりのご飯さんをずーっといつまでもお世話することはできません。
なんとかしないといけないよ。でないと、みんながゆっくりできなくなってしまうよ……
そんな風に悩むドスに、人間さんはこんなことを言ったのです。
「なぁドスよ、お野菜さんの作り方を覚えてみないか?」
「……ゆゆっ?」
お野菜さんは勝手に生えてくる。人間さんはお野菜さんの生えてくるゆっくりプレイス「はたけさん」を独り占めしている。
それがゆっくりの常識でした。
けれど、人間さんにお野菜さんの育て方を教えてもらってわかったこと。
「はたけさんは、にんげんさんが、じぶんたちでつくったものだったんだねー!」
「おやさいさんは、にんげんさんがとかいはなおていれをするから、はたけさんでおおきくそだつのね!」
最初は半信半疑だったゆっくりたちも、人間さんたちが鍬で地面を耕して群の近くに畑を作ってみせると、納得せざるを得ませんでした。
「しょうっげきっのじじつっ!」
「びっくりー!!」
と目から鱗が落ちているゆっくりたちに、人間さんたちは面白そうに笑います。
ゆっくりたちは早速、人間さんたちに教えてもらいながら、畑に種や苗を植えたり、水をやったりするのでした。
それがゆっくりの常識でした。
けれど、人間さんにお野菜さんの育て方を教えてもらってわかったこと。
「はたけさんは、にんげんさんが、じぶんたちでつくったものだったんだねー!」
「おやさいさんは、にんげんさんがとかいはなおていれをするから、はたけさんでおおきくそだつのね!」
最初は半信半疑だったゆっくりたちも、人間さんたちが鍬で地面を耕して群の近くに畑を作ってみせると、納得せざるを得ませんでした。
「しょうっげきっのじじつっ!」
「びっくりー!!」
と目から鱗が落ちているゆっくりたちに、人間さんたちは面白そうに笑います。
ゆっくりたちは早速、人間さんたちに教えてもらいながら、畑に種や苗を植えたり、水をやったりするのでした。
夏になる頃には、畑に植えた作物でも気の早いものが収穫できるようになりました。
お野菜さんが出来るまでも、畑の雑草や虫をとることでたくさんのごはんさんを確保できましたが、自分たちが育てた野菜はとても美味しくてしあわせーな味です。
「むーしゃむーしゃ…… ししし、しあわせー!」
ドスも、自分たちの力で作ったお野菜さんの格別なおいしさに、かんっどうっしていました。
危険を冒して人間さんの畑に入ってお野菜さんを盗んだりしなくても、安全に、たくさんのお野菜さんを食べられるようになりました。
それと同時に、自分たちでお野菜さんを作る苦労を知って、群れのみんなは今まで人間さんたちを「おやさいさんをひとりじめしている」なんて考えていたことを恥じ、同時に人間さんたちの知恵を尊敬もするようになったのです。
お野菜さんが出来るまでも、畑の雑草や虫をとることでたくさんのごはんさんを確保できましたが、自分たちが育てた野菜はとても美味しくてしあわせーな味です。
「むーしゃむーしゃ…… ししし、しあわせー!」
ドスも、自分たちの力で作ったお野菜さんの格別なおいしさに、かんっどうっしていました。
危険を冒して人間さんの畑に入ってお野菜さんを盗んだりしなくても、安全に、たくさんのお野菜さんを食べられるようになりました。
それと同時に、自分たちでお野菜さんを作る苦労を知って、群れのみんなは今まで人間さんたちを「おやさいさんをひとりじめしている」なんて考えていたことを恥じ、同時に人間さんたちの知恵を尊敬もするようになったのです。
お野菜さんを育てることを覚えたドスの群れは、近隣でもとてもゆっくりした群れとして有名になり、群はますます大きくなっていましたが、畑さんのおかげで食料も増え、今年はちゃんと越冬することができそうです。
とはいえ、このままの調子で大きくなっていくと、今度はこの山そのものの限界を超えてゆっくりがあふれてしまいそうです。
まだまだ先のことですが、ドスはちょっとだけそれを不安に思っていました。
……ですが、その悩みは次の春さんに解消することになるのです。
とはいえ、このままの調子で大きくなっていくと、今度はこの山そのものの限界を超えてゆっくりがあふれてしまいそうです。
まだまだ先のことですが、ドスはちょっとだけそれを不安に思っていました。
……ですが、その悩みは次の春さんに解消することになるのです。
「おおドスよ、畑は順調みたいだな。立派な野菜が出来ているじゃないか」
「ゆっ、ありがとうにんげんさん! にんげんさんが、おやさいづくりをおしえてくれたおかげだよ!」
「うむ、ドスよ。……よかったら、わしらの畑の手伝いもしてみんか?」
「……ゆゆっ?」
人間さんからの申し出に、ドスはぱちくりと目をまばたかせました。
話を聞いてみると、人間さんは畑さんに生える雑草や虫さんからお野菜さんを守るために、とても苦労しているというのです。
そこで、数が多く、視点が地面に近くて雑草さんや虫さんを見つけやすいゆっくりたちに手伝ってもらえればとても助かる、ということでした。
ドスたちの畑がとてもよく出来ているからこその、人間さんからの申し出です。
勿論、お手伝いをしてくれたゆっくりにはお野菜さんを渡すし、畑仕事のためなら村の中にゆっくりが住んでも良い、ということになりました。
つまり、ドスの群は山の中だけでなく、人間さんたちの村にも進出して、広がって行くことになったのです。
「ゆゆぅ……! そういうことなら、おてつだいさせてもらうよ!」
「おおドスよ、引き受けてくれるか。ありがとう」
「ゆっ、ありがとうにんげんさん! にんげんさんが、おやさいづくりをおしえてくれたおかげだよ!」
「うむ、ドスよ。……よかったら、わしらの畑の手伝いもしてみんか?」
「……ゆゆっ?」
人間さんからの申し出に、ドスはぱちくりと目をまばたかせました。
話を聞いてみると、人間さんは畑さんに生える雑草や虫さんからお野菜さんを守るために、とても苦労しているというのです。
そこで、数が多く、視点が地面に近くて雑草さんや虫さんを見つけやすいゆっくりたちに手伝ってもらえればとても助かる、ということでした。
ドスたちの畑がとてもよく出来ているからこその、人間さんからの申し出です。
勿論、お手伝いをしてくれたゆっくりにはお野菜さんを渡すし、畑仕事のためなら村の中にゆっくりが住んでも良い、ということになりました。
つまり、ドスの群は山の中だけでなく、人間さんたちの村にも進出して、広がって行くことになったのです。
「ゆゆぅ……! そういうことなら、おてつだいさせてもらうよ!」
「おおドスよ、引き受けてくれるか。ありがとう」
しかしドスは一人きり。山の群れも、村の皆も、両方とも守って導いてあげるのはとても難しいことです。
そこで、畑さんでのお野菜さん育てに熱心な、みんなを引っ張る力のあるまりさにお願いして、村の畑を見てもらうことにしたのです。
「わかったのぜ、ドス。まりさは、むらのはたけのリーダーになるのぜ!」
「ありがとう、まりさ。どすもときどき、ようすをみにいくよ!」
頼もしげにおさげで胸(?)を叩くまりさと、そのまりさと仲の良いゆっくりたちが人間さんたちの村に出向くことになりました。
お野菜さんの育て方をすっかりマスターしたまりさたちは村でも大歓迎。ゆっくりたちはますます増えて、栄えるのでした。
そこで、畑さんでのお野菜さん育てに熱心な、みんなを引っ張る力のあるまりさにお願いして、村の畑を見てもらうことにしたのです。
「わかったのぜ、ドス。まりさは、むらのはたけのリーダーになるのぜ!」
「ありがとう、まりさ。どすもときどき、ようすをみにいくよ!」
頼もしげにおさげで胸(?)を叩くまりさと、そのまりさと仲の良いゆっくりたちが人間さんたちの村に出向くことになりました。
お野菜さんの育て方をすっかりマスターしたまりさたちは村でも大歓迎。ゆっくりたちはますます増えて、栄えるのでした。
それから何年も何年も経ちました。
ドスの群はとてもとても大きくなって、もうドスにも群の端っこがどこまで続いているのか、よくわかりません。
ドスの群から新たなゆっくりぷれいすを求めて旅立ったまりさたちのうち、何ゆんもが立派なドスになって、さらに群れを広げていきます。
ドスの群れは、沢山の群れが集まってできた、ゆっくりの王国のようになっていました。
そして、ドスはその国の王様だったのです。
ドスの群はとてもとても大きくなって、もうドスにも群の端っこがどこまで続いているのか、よくわかりません。
ドスの群から新たなゆっくりぷれいすを求めて旅立ったまりさたちのうち、何ゆんもが立派なドスになって、さらに群れを広げていきます。
ドスの群れは、沢山の群れが集まってできた、ゆっくりの王国のようになっていました。
そして、ドスはその国の王様だったのです。
そのドスにも、ついに寿命がやってきました。
「どす!」
「びっぐどす!」
「しなないで、びっぐどす!」
永遠にゆっくりするのを待つドスのもとに、遠くに旅立った群のまりさたちがその死に目に会う為に戻ってきていました。
その中にはドスになったまりさも沢山いて、元からいたドスはびっぐドスと呼ばれて慕われていました。
たくさんのドス。たくさんのゆっくり。通常種も希少種も、中にはなんと捕食種まで。
そして、今や大切な仲間になった人間さん。
ドスのひろいおうちを埋め尽くす、たくさんの仲間たちに囲まれて、ドスはとてもゆっくりしていました。
群のみんなをゆっくりさせるために頑張ってきたドス。こんなに大きな群を作って、たくさんのゆっくりと、そして人間さんたちをゆっくりさせてきたドス。
そのドス自身の歩いてきた歴史が、誇りになってドスの胸にとてつもなく大きなゆっくりをもたらします。
「みんな、きいてね……」
ゆっくりと静かに語るドスに、みんなはシンと静まりかえります。
「どすは、みんながこうしてきてくれて…… いま、ほんとうに、ほんとうにゆっくりしているよ。
これからも、みんないっしょに…… にんげんさんたちとも、なかよくして……」
どす……! びっぐどす……!
これがドスの最期の言葉になるでしょう。それを感じてか、周りの皆もさざなみのようにびっぐドスの名前を呼びます。
「ずっとずっと…… ゆっくりしていってね!!!」
「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」
ドスの最期の挨拶に、みんな声をそろえて叫びました。
その轟きは波のように、ドスからおうちの中の皆へ、おうちの中から外に詰めかけている皆へ、山から村へ、村からさらにその外へと広がっていきます。
その声を聞いた人間さんもまた、空を見上げ、こう叫ぶのでした。
「ゆっくりしていってね!!!」
「どす!」
「びっぐどす!」
「しなないで、びっぐどす!」
永遠にゆっくりするのを待つドスのもとに、遠くに旅立った群のまりさたちがその死に目に会う為に戻ってきていました。
その中にはドスになったまりさも沢山いて、元からいたドスはびっぐドスと呼ばれて慕われていました。
たくさんのドス。たくさんのゆっくり。通常種も希少種も、中にはなんと捕食種まで。
そして、今や大切な仲間になった人間さん。
ドスのひろいおうちを埋め尽くす、たくさんの仲間たちに囲まれて、ドスはとてもゆっくりしていました。
群のみんなをゆっくりさせるために頑張ってきたドス。こんなに大きな群を作って、たくさんのゆっくりと、そして人間さんたちをゆっくりさせてきたドス。
そのドス自身の歩いてきた歴史が、誇りになってドスの胸にとてつもなく大きなゆっくりをもたらします。
「みんな、きいてね……」
ゆっくりと静かに語るドスに、みんなはシンと静まりかえります。
「どすは、みんながこうしてきてくれて…… いま、ほんとうに、ほんとうにゆっくりしているよ。
これからも、みんないっしょに…… にんげんさんたちとも、なかよくして……」
どす……! びっぐどす……!
これがドスの最期の言葉になるでしょう。それを感じてか、周りの皆もさざなみのようにびっぐドスの名前を呼びます。
「ずっとずっと…… ゆっくりしていってね!!!」
「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」
ドスの最期の挨拶に、みんな声をそろえて叫びました。
その轟きは波のように、ドスからおうちの中の皆へ、おうちの中から外に詰めかけている皆へ、山から村へ、村からさらにその外へと広がっていきます。
その声を聞いた人間さんもまた、空を見上げ、こう叫ぶのでした。
「ゆっくりしていってね!!!」
おしまい
「……というのが、俺の予想する『最良の選択をしたお前の未来』だ」
手製の紙芝居を最後のページまでめくった俺は、物語の余韻をかみしめる様に、そうくくって聴衆を見やる。
たった一人の聴衆…… ドスまりさは、両目から滂沱の涙を流して虚空を見つめていた。
その頭に帽子はなく、額に生えるというドススパーク用のキノコどころか、流れるようなブロンドも全て刈り取られ、二度と生えてこない様に黒く焼かれている。
あんよは動けないようにズタズタに切り裂かれ、さらに口も強引に縫いつけられて、舌や噛みつき、ドススパークなどの抵抗は勿論のこと、しゃべることも動くことすらも許されてはいなかった。
ドスはもはや、そびえたつ肌色饅頭の塊に目だけがついた物体となりはてている。
「まぁ…… 多分に希望的な観測が入ってることは認めるよ。お前達がうまく野菜を育てられるのか、とか。いやバカにしているわけじゃない、人間だって野菜作りは決して楽な仕事じゃないんだからな。
だが、この紙芝居通りの未来も、確かにあり得た未来だと俺は思う」
聞いているのか、いないのか。
ドスは変わらず、涙を流し続けている。
手製の紙芝居を最後のページまでめくった俺は、物語の余韻をかみしめる様に、そうくくって聴衆を見やる。
たった一人の聴衆…… ドスまりさは、両目から滂沱の涙を流して虚空を見つめていた。
その頭に帽子はなく、額に生えるというドススパーク用のキノコどころか、流れるようなブロンドも全て刈り取られ、二度と生えてこない様に黒く焼かれている。
あんよは動けないようにズタズタに切り裂かれ、さらに口も強引に縫いつけられて、舌や噛みつき、ドススパークなどの抵抗は勿論のこと、しゃべることも動くことすらも許されてはいなかった。
ドスはもはや、そびえたつ肌色饅頭の塊に目だけがついた物体となりはてている。
「まぁ…… 多分に希望的な観測が入ってることは認めるよ。お前達がうまく野菜を育てられるのか、とか。いやバカにしているわけじゃない、人間だって野菜作りは決して楽な仕事じゃないんだからな。
だが、この紙芝居通りの未来も、確かにあり得た未来だと俺は思う」
聞いているのか、いないのか。
ドスは変わらず、涙を流し続けている。
この紙芝居が事実を語るのは4ページ目…… ゆっくりたちが食糧不足に陥る所まで、だ。
そこから先の流れは現実とは違う。
ドスは人間にお願いなどと殊勝なことはせずに、群の皆を引き連れて村の畑を襲撃したのだ。
それまで仲良くしていた筈のゆっくりたちの、突然の乱心。油断していた村人は、それを見てドスがいるにも関わらず無防備に近づいた。
「おいドス、何をしているんだ!? そこは俺の畑だぞ!」
「おやさいさんをひとりじめするげすなにんげんはゆっくりしねぇ!」
舞い上がるドスの巨体に、恐怖と驚きで固まる村人。
中身が餡子とはいえ、2mを越すドスの巨体の重量は実に100キロ以上。その体当たりやのしかかりは、人間にとっても驚異だ。
ドスの攻撃を受けた彼は命に別状はなかったものの、全身打撲と骨折で全治数ヶ月の怪我を負った。
幸い、本格的にドスが追撃に入る前に他の村人たちがそれを発見して阻止し、ゆっくりたちと村人たちとの間で乱闘が始まった。
とはいえ秋までは仲良くしていた相手だ。戸惑いでなかなか手が出せず、状況は拮抗していた。
「もうどすはおこったよ! むーしゃむーしゃ…… どすすぱーく!!!」
その拮抗を崩したのは、ドスによるドススパークの一撃である。
ドスの頭、帽子の下に生える特別なキノコをむーしゃむーしゃして放つその熱線は、タメが長くあからさまに危険な光があふれるため、人間は危険を察して避け、人的な被害は出なかった。
しかし、流れスパークが民家に直撃し、それを半壊させたのだ。
それを見た村人は、ついにこいつらを完全な敵として認識し、畑にいた群は赤ゆっくりに至るまで全て潰され、ドスまりさも捕獲されたのだった。
そこから先の流れは現実とは違う。
ドスは人間にお願いなどと殊勝なことはせずに、群の皆を引き連れて村の畑を襲撃したのだ。
それまで仲良くしていた筈のゆっくりたちの、突然の乱心。油断していた村人は、それを見てドスがいるにも関わらず無防備に近づいた。
「おいドス、何をしているんだ!? そこは俺の畑だぞ!」
「おやさいさんをひとりじめするげすなにんげんはゆっくりしねぇ!」
舞い上がるドスの巨体に、恐怖と驚きで固まる村人。
中身が餡子とはいえ、2mを越すドスの巨体の重量は実に100キロ以上。その体当たりやのしかかりは、人間にとっても驚異だ。
ドスの攻撃を受けた彼は命に別状はなかったものの、全身打撲と骨折で全治数ヶ月の怪我を負った。
幸い、本格的にドスが追撃に入る前に他の村人たちがそれを発見して阻止し、ゆっくりたちと村人たちとの間で乱闘が始まった。
とはいえ秋までは仲良くしていた相手だ。戸惑いでなかなか手が出せず、状況は拮抗していた。
「もうどすはおこったよ! むーしゃむーしゃ…… どすすぱーく!!!」
その拮抗を崩したのは、ドスによるドススパークの一撃である。
ドスの頭、帽子の下に生える特別なキノコをむーしゃむーしゃして放つその熱線は、タメが長くあからさまに危険な光があふれるため、人間は危険を察して避け、人的な被害は出なかった。
しかし、流れスパークが民家に直撃し、それを半壊させたのだ。
それを見た村人は、ついにこいつらを完全な敵として認識し、畑にいた群は赤ゆっくりに至るまで全て潰され、ドスまりさも捕獲されたのだった。
俺は、抵抗できなくなるまで痛めつけられ倉庫に転がされたドスまりさへの尋問に立ち会っていた。
曰く、どうしてこんなことをしていたのか。協定を結んでいたのではないのか。仲良くしていた筈ではなかったのか。
「じがだないでしょおおおおおおお!!? どすだぢのおやまざんにば、もうどごにも、ごばんざんがながっだんだよおおおおお!!」
「じゃあどうずればよがっだの!? どすはどうずればよがっだの!? おじえでよおおおおおお!!!」
言われたとおりに、俺は教えてやったわけだ。
わざわざ手製の紙芝居なんぞ作って、ドスがどうすべきだったのかを。そうしていれば、どうなっていたのかを。
……まぁ、はたから見れば酔狂にしか見えないだろう。急造だから紙芝居の絵なども下手くそだ。
急造だから下手なのであって、俺に絵心が壊滅的にないのとは無関係である。たぶん。
曰く、どうしてこんなことをしていたのか。協定を結んでいたのではないのか。仲良くしていた筈ではなかったのか。
「じがだないでしょおおおおおおお!!? どすだぢのおやまざんにば、もうどごにも、ごばんざんがながっだんだよおおおおお!!」
「じゃあどうずればよがっだの!? どすはどうずればよがっだの!? おじえでよおおおおおお!!!」
言われたとおりに、俺は教えてやったわけだ。
わざわざ手製の紙芝居なんぞ作って、ドスがどうすべきだったのかを。そうしていれば、どうなっていたのかを。
……まぁ、はたから見れば酔狂にしか見えないだろう。急造だから紙芝居の絵なども下手くそだ。
急造だから下手なのであって、俺に絵心が壊滅的にないのとは無関係である。たぶん。
「俺達だって鬼じゃない。協定ではゆっくりは人間の畑から野菜をとらないことになっていたが、お前らがきちんと頭を下げて頼むなら、冬を越す手助けくらいしてやったさ」
ドスはただ泣いて、俺の方をじっと見ている。
「だが、あえて俺達の敵に回ったのはお前達だ。だから、俺達は全力でお前たちの群を殺した」
目の前で群のゆっくりたちが殺されていくのを思い出したのか、ドスの目から流れる涙が増量した。
「ドス、お前もこの後で殺されることが決まった。……人間を敵に回したお前の選択で、群は全滅だ。これがお前のしたことの結果だよ」
もう一度見開いたドスの瞳は、絶望と諦観に塗りつぶされて、虚ろだ。
「せいぜい、あの世でゆっくりしていってね」
口を縫い閉じられているとはいえ、お決まりの台詞にも言葉を返そうとはしない。
こうしてドスは……群の最期の一ゆんは、身体よりも先にその心から、死んでいったのだった。
ドスはただ泣いて、俺の方をじっと見ている。
「だが、あえて俺達の敵に回ったのはお前達だ。だから、俺達は全力でお前たちの群を殺した」
目の前で群のゆっくりたちが殺されていくのを思い出したのか、ドスの目から流れる涙が増量した。
「ドス、お前もこの後で殺されることが決まった。……人間を敵に回したお前の選択で、群は全滅だ。これがお前のしたことの結果だよ」
もう一度見開いたドスの瞳は、絶望と諦観に塗りつぶされて、虚ろだ。
「せいぜい、あの世でゆっくりしていってね」
口を縫い閉じられているとはいえ、お決まりの台詞にも言葉を返そうとはしない。
こうしてドスは……群の最期の一ゆんは、身体よりも先にその心から、死んでいったのだった。
おしまい
「──と、そこで終われば良かったんだがな」
ぴくり、とドスの身体が震えた。
一体何を言っているんだ、とばかりに疑問と戸惑いでいっぱいの瞳を、おそるおそるこちらに向ける。
「ドス、お前の攻撃でうちの村から一人、重傷者が出た。そして、お前のドススパークで家がひとつ半壊してしまった」
それが一体どうしたのか。こっちは群れのみんなが全員死んだし、おうちが壊れたといっても人間さんたちは誰も死んではいない。
そんなことを考えているんだろう。ドスの瞳は増えていく疑問と戸惑いで、涙も既に止まっていた。
「ゆっくりによって、人間の村がここまで大きな被害を出したのは初めてだそうだ。うちの村に、テレビが来てな。
あー…… テレビというのは、遠くで起こった出来事を、沢山の人に知らせるもののことだ。ほら、昨日お前のところにも、機材を構えたやつらが来ただろう」
正確には、その取材である。
ドスのところまでは本来カメラの立入を許していなかったが、行儀の悪いやつらが無断で入り込み、撮影していったようなのだ。
その時はまだドスは口を縫い合わされておらず、自分たちの所業をカメラに向かって大声でつまびらかにしたのである。
すぐに村人が気付いて追い払ったが、その時のVTRはすぐさまお昼のワイドショーに流れ出た。
「……その意味がわかるか? ドス、お前が人間に対してやったことを、日本中の全ての人間が知ったってことだ」
何かゆっくりできない予感を感じたのだろう。ドスの顔色が青くなる。
……中身、黒い餡子の筈なのにな。なんで青くなるんだろう。不思議饅頭とも言われる奴らのことだから、気にしても仕方ないが。
一体何を言っているんだ、とばかりに疑問と戸惑いでいっぱいの瞳を、おそるおそるこちらに向ける。
「ドス、お前の攻撃でうちの村から一人、重傷者が出た。そして、お前のドススパークで家がひとつ半壊してしまった」
それが一体どうしたのか。こっちは群れのみんなが全員死んだし、おうちが壊れたといっても人間さんたちは誰も死んではいない。
そんなことを考えているんだろう。ドスの瞳は増えていく疑問と戸惑いで、涙も既に止まっていた。
「ゆっくりによって、人間の村がここまで大きな被害を出したのは初めてだそうだ。うちの村に、テレビが来てな。
あー…… テレビというのは、遠くで起こった出来事を、沢山の人に知らせるもののことだ。ほら、昨日お前のところにも、機材を構えたやつらが来ただろう」
正確には、その取材である。
ドスのところまでは本来カメラの立入を許していなかったが、行儀の悪いやつらが無断で入り込み、撮影していったようなのだ。
その時はまだドスは口を縫い合わされておらず、自分たちの所業をカメラに向かって大声でつまびらかにしたのである。
すぐに村人が気付いて追い払ったが、その時のVTRはすぐさまお昼のワイドショーに流れ出た。
「……その意味がわかるか? ドス、お前が人間に対してやったことを、日本中の全ての人間が知ったってことだ」
何かゆっくりできない予感を感じたのだろう。ドスの顔色が青くなる。
……中身、黒い餡子の筈なのにな。なんで青くなるんだろう。不思議饅頭とも言われる奴らのことだから、気にしても仕方ないが。
さて。では、このドスの選択の結果を教えてやろう。
「お前のしでかしたことを知った人間たちは、こう思っただろう。
あのドスは協定を結んでいた筈の人間の村を襲った。──他のドスも、協定などと言っていつ人間を襲うかわからない。
あのドスは人間を殺そうとし、怪我をさせた。──他のドスも、人間を殺す力を持っている。
あのドスは人間の家をドススパークで破壊した。──他のドスも、ドススパークを使って人間の大事な家を壊すだろう。
あのドスは人間を殺そうとし、怪我をさせた。──他のドスも、人間を殺す力を持っている。
あのドスは人間の家をドススパークで破壊した。──他のドスも、ドススパークを使って人間の大事な家を壊すだろう。
……そうだ、ドス。お前は、人間にとってドスは危険だということを、全ての人間に知らせてしまった。
ドスが危険な生き物であると知った人間は、どうするだろう。
──この村みたいに被害を出す前に、ドスを殺すよ。勿論、その群れもだ」
ドスが危険な生き物であると知った人間は、どうするだろう。
──この村みたいに被害を出す前に、ドスを殺すよ。勿論、その群れもだ」
真っ青になったドスは、ふさがれた口で何事かわめこうとし、ぐねぐねと身体を振り回して涙をまき散らした。
わかったのだ。自分の選択が、自分と自分の群れだけでなく、見知らぬ多くのドスとその群れのゆっくり全てを危険に晒してしまったことが。
これからは、皆をゆっくりさせるためのドスが原因で、皆がゆっくりできなくなってしまうことが。
そして、それを取り消すことはもう出来ないことも。
わかったのだ。自分の選択が、自分と自分の群れだけでなく、見知らぬ多くのドスとその群れのゆっくり全てを危険に晒してしまったことが。
これからは、皆をゆっくりさせるためのドスが原因で、皆がゆっくりできなくなってしまうことが。
そして、それを取り消すことはもう出来ないことも。
たとえば、ある日不注意で気付かずに落ちていた何かのボタンを踏んづけて押してしまったとしよう。
──その後、それが大都市に向けられた核ミサイルの発射スイッチだったと知らされたらどうだろう?
自分のほんの不注意な一歩が、何十万何百万という人たちを無慈悲に殺し、そしてもう何をしても取り消すことはできないと知らされたら?
やめてくれ、俺のせいじゃない、許してくれ。無駄だとわかってもそう泣きわめくだろう。
一生モノのトラウマを背負って、怯え苦しむことになるだろう。
──その後、それが大都市に向けられた核ミサイルの発射スイッチだったと知らされたらどうだろう?
自分のほんの不注意な一歩が、何十万何百万という人たちを無慈悲に殺し、そしてもう何をしても取り消すことはできないと知らされたら?
やめてくれ、俺のせいじゃない、許してくれ。無駄だとわかってもそう泣きわめくだろう。
一生モノのトラウマを背負って、怯え苦しむことになるだろう。
それと同じ重責を、今、このドスは感じていた。
「協定を結んでいても殺す。結んでいなくても殺す。
ドスを見たら殺す。見かけなくても探し出して殺す。
良いドスも殺す。悪いドスも殺す。善し悪しがわからなくても殺す。
ドスに率いられたゆっくりも殺す。率いられていないゆっくりも殺す。
大人でも子供でも、ゆっくりは皆、殺す。
そうしなければ人間が危険でゆっくりできないと、お前が、全ての人間に教えてくれたからな」
ドスはぐるんぐるんと涙をまき散らすスプリンクラーと化していた。汚いので数歩下がる。
口が開いていたら、俺の言葉をかき消すためにその口から大量の涎と大音声の絶叫をまき散らしていたことだろう。
しかし現実には、むーむーとくぐもったうめきをあげるだけで、静かに語る俺の声をかき消すことすらできていない。
「お前が、村を襲おうなんて思わなければ。せめて直前ででも思いとどまれば。村人に怪我をさせなければ。最悪、ドススパークで家を壊したりなんかしなければ。
ひとつでも違っていたら、こんなことにならなかったのにな。
……なぁ、ドス。お前、なんでこんなことしたんだ?」
問いかけるが、ドスは答えない。答えられない。
それに実のところ、俺はその答えに大体のところ納得できる理由を出してはいた。
ドスを見たら殺す。見かけなくても探し出して殺す。
良いドスも殺す。悪いドスも殺す。善し悪しがわからなくても殺す。
ドスに率いられたゆっくりも殺す。率いられていないゆっくりも殺す。
大人でも子供でも、ゆっくりは皆、殺す。
そうしなければ人間が危険でゆっくりできないと、お前が、全ての人間に教えてくれたからな」
ドスはぐるんぐるんと涙をまき散らすスプリンクラーと化していた。汚いので数歩下がる。
口が開いていたら、俺の言葉をかき消すためにその口から大量の涎と大音声の絶叫をまき散らしていたことだろう。
しかし現実には、むーむーとくぐもったうめきをあげるだけで、静かに語る俺の声をかき消すことすらできていない。
「お前が、村を襲おうなんて思わなければ。せめて直前ででも思いとどまれば。村人に怪我をさせなければ。最悪、ドススパークで家を壊したりなんかしなければ。
ひとつでも違っていたら、こんなことにならなかったのにな。
……なぁ、ドス。お前、なんでこんなことしたんだ?」
問いかけるが、ドスは答えない。答えられない。
それに実のところ、俺はその答えに大体のところ納得できる理由を出してはいた。
ドスは協定を結んだ人間を、自分たちと同じ立場だと、仲間だとは思っていなかったのだ。
だから自分たちが危機に陥った時、対等に話し合い、その助力を請おうとするのではなく、一方的に奪い去ろうとした。
人間は自分たちより下だから、だから何を奪っても心が痛まない。協定など破ってもかまわない。
あるいは、群の皆たちのために頭を下げることより、人間に頭など下げたくないというプライドが勝ったのかもしれない。
いずれにしろ、ドスは人間を自分より、ゆっくりより下だと思っていた。
ドス自身にその自覚はなかったかもしれないが、おそらく、この考えは大して間違っていないだろう。
だから自分たちが危機に陥った時、対等に話し合い、その助力を請おうとするのではなく、一方的に奪い去ろうとした。
人間は自分たちより下だから、だから何を奪っても心が痛まない。協定など破ってもかまわない。
あるいは、群の皆たちのために頭を下げることより、人間に頭など下げたくないというプライドが勝ったのかもしれない。
いずれにしろ、ドスは人間を自分より、ゆっくりより下だと思っていた。
ドス自身にその自覚はなかったかもしれないが、おそらく、この考えは大して間違っていないだろう。
「……まぁともかく、諦めろよ。全てお前の選んだ結果で、ゆっくりは人間の隣人から潰すべき敵になったんだ。
……じゃぁな。そろそろ、お前を焼く為の薪の用意が終わった頃だ。すぐに沢山のドスとゆっくりがお前の後を追うから、一足先にゆん獄で待ってろ」
ぐねぐねと身体を捻って泣き散らすドスに背中を向けて、俺はその場を後にした。
……じゃぁな。そろそろ、お前を焼く為の薪の用意が終わった頃だ。すぐに沢山のドスとゆっくりがお前の後を追うから、一足先にゆん獄で待ってろ」
ぐねぐねと身体を捻って泣き散らすドスに背中を向けて、俺はその場を後にした。
その一時間後、ドスは広場にキャンプファイヤーのように積まれたやぐらの中で、火を放たれて焼き殺された。
途中で縫い合わせた口が焼き切れて自由になったのか、ドスの断末魔の悲鳴が響き渡ってきていた。
「あ゛ああああ゛あああああ゛!!! やべで!! ぼうやべで!!!
どずがわるがっだでず!!! わる゛いのばどずだげだんでず!!!! だがらほがのみ゛んな゛ばゆるじでえええええええええ!!!!」
村人たちはその悲痛な声にも声ひとつ上げず、ドスの声が途絶え、大きな炎が全てを焼き尽くし燃え尽きてしまうまで、険しく憎しみを滲ませた表情でじっと炎を見つめていた。
途中で縫い合わせた口が焼き切れて自由になったのか、ドスの断末魔の悲鳴が響き渡ってきていた。
「あ゛ああああ゛あああああ゛!!! やべで!! ぼうやべで!!!
どずがわるがっだでず!!! わる゛いのばどずだげだんでず!!!! だがらほがのみ゛んな゛ばゆるじでえええええええええ!!!!」
村人たちはその悲痛な声にも声ひとつ上げず、ドスの声が途絶え、大きな炎が全てを焼き尽くし燃え尽きてしまうまで、険しく憎しみを滲ませた表情でじっと炎を見つめていた。
ドスたちゆっくりは……あるいは群のゆっくりの中にはそうでない奴もいたかもしれないが……人間を仲間だと思っていなかった。
だが人間たちは、彼らを信頼していたのだ。
夏から冬にかけて、半年だけではあるが何度となくゆっくりと言葉をかわし、仲良く山の幸をわけあい、笑いあい、彼らは本当は良い奴らなんだと、村人みんながゆっくりを同じ土地に住む仲間として信頼しようとしていた。
その矢先に、裏切られたのだ。それはただ普通に奴らに襲われるよりも、酷く深く痛む心の傷を残した。
その結果、村人たちは誰も彼も、ドスたちゆっくりに対し、強い怒りと憎しみを抱いていた。
何故裏切ったんだ、という怒り。
どうして対等な立場として頼ってくれなかったんだ、という憎しみ。
……そう。俺もその怒りと憎しみを抱いた。
俺はその怒りと憎しみをドスにぶつけるために、あの紙芝居を作ったのだ。
紙芝居という形を選んだのは、奴らが俺達を裏切って得たものと失ったものを、子供程度の知能であるゆっくりたちにわかりやすいように教えるためだ。
だが人間たちは、彼らを信頼していたのだ。
夏から冬にかけて、半年だけではあるが何度となくゆっくりと言葉をかわし、仲良く山の幸をわけあい、笑いあい、彼らは本当は良い奴らなんだと、村人みんながゆっくりを同じ土地に住む仲間として信頼しようとしていた。
その矢先に、裏切られたのだ。それはただ普通に奴らに襲われるよりも、酷く深く痛む心の傷を残した。
その結果、村人たちは誰も彼も、ドスたちゆっくりに対し、強い怒りと憎しみを抱いていた。
何故裏切ったんだ、という怒り。
どうして対等な立場として頼ってくれなかったんだ、という憎しみ。
……そう。俺もその怒りと憎しみを抱いた。
俺はその怒りと憎しみをドスにぶつけるために、あの紙芝居を作ったのだ。
紙芝居という形を選んだのは、奴らが俺達を裏切って得たものと失ったものを、子供程度の知能であるゆっくりたちにわかりやすいように教えるためだ。
紙芝居の内容は沢山の希望的観測に支えられた「考えられる限り最高の未来」。
その後ドスに語ったのは、逆に沢山の希望的、あるいは絶望的な観測に支えられた「考えられる限り最悪の未来」。
その後ドスに語ったのは、逆に沢山の希望的、あるいは絶望的な観測に支えられた「考えられる限り最悪の未来」。
実際、今回の件がきっかけでドスに不信感を抱きゆっくりを殺そうとする人間たちもいるだろう。
だが、本当の信頼関係を築き上げ、そんなことは関係ないとばかりにゆっくりを守る人間たちもいるだろう。
一番多いのは、実際に被害も出ていないのにそこまですることも……といった、よく言えば中庸、悪くいえばめんどくさがりなその他大勢だろうか。
だが確実に、ドスの行動によってゆっくりへの人々の印象は悪くなっただろう。
ゆっくりと人間との関係は、これからどうなっていくのか。
それはまだわからないが、今回のドスの行動は、最悪の未来へと繋がりうる最悪の選択肢だった。
それだけは確かなように、俺には思えるのだ。
だが、本当の信頼関係を築き上げ、そんなことは関係ないとばかりにゆっくりを守る人間たちもいるだろう。
一番多いのは、実際に被害も出ていないのにそこまですることも……といった、よく言えば中庸、悪くいえばめんどくさがりなその他大勢だろうか。
だが確実に、ドスの行動によってゆっくりへの人々の印象は悪くなっただろう。
ゆっくりと人間との関係は、これからどうなっていくのか。
それはまだわからないが、今回のドスの行動は、最悪の未来へと繋がりうる最悪の選択肢だった。
それだけは確かなように、俺には思えるのだ。
おしまい
……何度も済まない。いや、俺も許してもらおうと思っているわけじゃない、仏の顔も三度までと言うしな。
だが少しだけ、蛇足の話をさせてくれ。
あのドスまりさの「最悪の選択」から、一年と少しが過ぎ、春が来た。
あの頃はまだ、ゆっくりというものが人間の世界に現れて間もない頃だった。
人間は史上初めてとなる「人間以外の知的生物」との接触に戸惑い、彼らが人間にとって素晴らしい友なのか、それともわかり合えない敵なのか、どういう付き合いをするべきなのかを掴みかねている時期だった。
あの頃はまだ確かに、紙芝居に語ったような、人間とゆっくりが手を取り合って共に繁栄する未来もありえたように思う。
だが少しだけ、蛇足の話をさせてくれ。
あのドスまりさの「最悪の選択」から、一年と少しが過ぎ、春が来た。
あの頃はまだ、ゆっくりというものが人間の世界に現れて間もない頃だった。
人間は史上初めてとなる「人間以外の知的生物」との接触に戸惑い、彼らが人間にとって素晴らしい友なのか、それともわかり合えない敵なのか、どういう付き合いをするべきなのかを掴みかねている時期だった。
あの頃はまだ確かに、紙芝居に語ったような、人間とゆっくりが手を取り合って共に繁栄する未来もありえたように思う。
だがあれから時間が経つにつれ、ゆっくりの地位はどんどん低くなった。
あのドスまりさの選択も、大きなきっかけのひとつではあったと思う。
だがしかし、他にもドゲスと呼ばれるゲスなドスまりさが多く確認され、人間たちの街にも薄汚い野良ゆっくりがあふれ、人間たちはどんどんゆっくりたちを蔑み敵視するようになった。
昨今では、ドスを専門に抹殺する特殊部隊やゆっくりを駆除する公的組織まで存在し、つい先日にはゆっくり駆除用のスプレーまで発売されるようになった。
もはや、ゆっくりは人間にとって対等な仲間でも隣人でもなく、害虫や害獣の類にまでおとしめられているのである。
その全てがあのドスまりさのせい……では、勿論、ない。
「最悪の選択」をしたのはあのドスだけではなかった、ということなのだろう。
とはいえ、未だに人間とうまく共存しているようなゆっくりたちも確かにいるという。
まだまだ、「想像しうる限りの最悪な未来」は遠いようだった。
あのドスまりさの選択も、大きなきっかけのひとつではあったと思う。
だがしかし、他にもドゲスと呼ばれるゲスなドスまりさが多く確認され、人間たちの街にも薄汚い野良ゆっくりがあふれ、人間たちはどんどんゆっくりたちを蔑み敵視するようになった。
昨今では、ドスを専門に抹殺する特殊部隊やゆっくりを駆除する公的組織まで存在し、つい先日にはゆっくり駆除用のスプレーまで発売されるようになった。
もはや、ゆっくりは人間にとって対等な仲間でも隣人でもなく、害虫や害獣の類にまでおとしめられているのである。
その全てがあのドスまりさのせい……では、勿論、ない。
「最悪の選択」をしたのはあのドスだけではなかった、ということなのだろう。
とはいえ、未だに人間とうまく共存しているようなゆっくりたちも確かにいるという。
まだまだ、「想像しうる限りの最悪な未来」は遠いようだった。
しかし俺の知る限り一箇所だけ、既にその最悪の未来が訪れている場所がある。
他でもない、俺の住む村だ。
あの事件から、村ではゆっくりは存在そのものがタブーとなった。
ゆっくりを見かけたら問答無用で殺す。いや、見かけなくても定期的に山狩りをし、探し出して殺す。
善良とかゲスとか、そんなことには関わりなく殺す。赤ゆでも子ゆでも関係なく殺す。
まだ現れてはいないが、もしも再びドスが現れたとしたら、村人総出で全力をもって殺しに行くだろう。
ゆっくりは、皆殺しにする。
「ゆっ、おにいさん、ゆっくりしていっべぶえぇ!!」
俺が今、道ばたで見かけたまりさをすぐさま踏みつぶしたように。
……また山に新たなゆっくりが移り住んできたのかもしれない。また山狩りしなければ。
他でもない、俺の住む村だ。
あの事件から、村ではゆっくりは存在そのものがタブーとなった。
ゆっくりを見かけたら問答無用で殺す。いや、見かけなくても定期的に山狩りをし、探し出して殺す。
善良とかゲスとか、そんなことには関わりなく殺す。赤ゆでも子ゆでも関係なく殺す。
まだ現れてはいないが、もしも再びドスが現れたとしたら、村人総出で全力をもって殺しに行くだろう。
ゆっくりは、皆殺しにする。
「ゆっ、おにいさん、ゆっくりしていっべぶえぇ!!」
俺が今、道ばたで見かけたまりさをすぐさま踏みつぶしたように。
……また山に新たなゆっくりが移り住んできたのかもしれない。また山狩りしなければ。
俺達の村は、ゆっくりと話し合い生存を許すことを諦めた。そういう選択をした。
この怒りと憎しみは、ゆっくりが現れ続ける限り消えず、村人たちの心をかき乱し続けるだろう。
だがしかし、ゆっくりたちはいくら潰しても、いつの間にかまた新しく山に住み着いてしまう。
この村はきっと、全てのゆっくりが死に絶えるか、この村から人が皆いなくなるまで、ゆっくりを憎み続けるのだ。
この怒りと憎しみは、ゆっくりが現れ続ける限り消えず、村人たちの心をかき乱し続けるだろう。
だがしかし、ゆっくりたちはいくら潰しても、いつの間にかまた新しく山に住み着いてしまう。
この村はきっと、全てのゆっくりが死に絶えるか、この村から人が皆いなくなるまで、ゆっくりを憎み続けるのだ。
俺達がしたのもまた、怒りと憎しみを抱き続けるという「最悪の選択」なのであった。
あとがき
愛でを書いてみたかったので、前半はわりとノリノリで書けました。
後半はちょっとクドくなりすぎた気がします。精進します。
後半はちょっとクドくなりすぎた気がします。精進します。
過去作
anko3604 ゆっくり立入禁止
anko3695 ゆっくりをお風呂に入れよう
anko3604 ゆっくり立入禁止
anko3695 ゆっくりをお風呂に入れよう