ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko4046 超天才外科医の休日
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『超天才外科医の休日』 30KB
虐待 野良ゆ 失礼します
虐待 野良ゆ 失礼します
平日の朝八時。
人気の無い道路を散歩している男。スーパードクターYuの二つ名を持つ天才外科医だ。
不可能と言われる手術をいくつも成功させ、助からないと諦められた患者を何人も助けて
いる。また、獣医免許も持っており、副業でゆっくりの治療もやっている。
今日は久ぶりの休みの日だった。
人気の無い道路を散歩している男。スーパードクターYuの二つ名を持つ天才外科医だ。
不可能と言われる手術をいくつも成功させ、助からないと諦められた患者を何人も助けて
いる。また、獣医免許も持っており、副業でゆっくりの治療もやっている。
今日は久ぶりの休みの日だった。
「平日の朝から散歩か。我ながら贅沢な遊びだねぇ」
長い灰色の髪に、痩せた身体と窶れた頬、左目を眼帯で隠し、やや目蓋を下ろした右目
には、不気味な光が灯っている。右手に鞄を提げていた。
外見はどう見てもドクターキリコです。
ともあれ、男はふと電柱の影に目を向けた。
には、不気味な光が灯っている。右手に鞄を提げていた。
外見はどう見てもドクターキリコです。
ともあれ、男はふと電柱の影に目を向けた。
「だれかありすのおちびちゃんをたすけてくださいいい! おちびちゃんがじにぞうなん
ですうう! だれかああ! おねがしますううう!」
ですうう! だれかああ! おねがしますううう!」
ゆっくりがいた。野良のありす種。髪の毛もぼさぼさで、肌にも張りがない。栄養状態
が足りていない事が分かる。典型的な野良だった。
普通なら願いも叶わず親子共に潰されていただろう。
だが、このありすは幸運だった。
が足りていない事が分かる。典型的な野良だった。
普通なら願いも叶わず親子共に潰されていただろう。
だが、このありすは幸運だった。
「お前は、おちびちゃんを助けたいのか?」
男はありすを見下ろした。
ありすの横では子りすが一匹、苦しげに息をしている。
男に気付き、ありすが泣きながら懇願してきた。
ありすの横では子りすが一匹、苦しげに息をしている。
男に気付き、ありすが泣きながら懇願してきた。
「にんげんさん、おねがいしばずうう! さいごのおちびちゃんなんでずうう! ありず
はどうなっでもがまいまぜん!」
「その言葉に嘘はないな?」
はどうなっでもがまいまぜん!」
「その言葉に嘘はないな?」
瞳に不吉な光を灯し、聞く。
「はいいいっ!」
即答するありす。次々と死んでいくおちびちゃんたち。残ったのは一番元気だったこの
子だけ。もう人間に頼るしかない。絶望的な賭けだが、それを実行するしかない。実行し
なければ、おちびちゃんは絶対に死ぬから。
男は子ありすを右手で持ち上げた。
子だけ。もう人間に頼るしかない。絶望的な賭けだが、それを実行するしかない。実行し
なければ、おちびちゃんは絶対に死ぬから。
男は子ありすを右手で持ち上げた。
「ゆっ。ゆぅ……」
小さく呻いている。痩せ細った、いや窶れた身体。碌に食事をしていないのだろう。目
を閉じ苦しげに息をしている。熱があるのか、顔が赤い。そのお腹には緑色のカビが生え
ていた。口を見ると、歯が三本抜けている。
を閉じ苦しげに息をしている。熱があるのか、顔が赤い。そのお腹には緑色のカビが生え
ていた。口を見ると、歯が三本抜けている。
「栄養失調で弱ってた所をカビにやられたな。ま、よくあることだ」
手早く診断し、男は上着の内側から小箱をひとつ取り出し、それを地面に置く。蓋を開
けると、中には数本のメスなどが並んでいた。鋏やピンセット、匙もある。
男はそこからメスを一本取り出した。人間用ではなく、ゆっくり用の外科手術メス。替
刃使捨式ではなく、柄と刃が一体化した構造である。
けると、中には数本のメスなどが並んでいた。鋏やピンセット、匙もある。
男はそこからメスを一本取り出した。人間用ではなく、ゆっくり用の外科手術メス。替
刃使捨式ではなく、柄と刃が一体化した構造である。
「移植手術をする。お前のクリームと皮と歯を少し貰うぞ」
「はいいい!」
「はいいい!」
ありすの返事を聞いた瞬間、
男はメスを動かした。刃が躍る。そのメス捌きを、そう表現する者もいる。
鋭利な刃が子ありすの黴びた部分を切り落とした。すぐさま親ありすの身体にメスを走
らせ、必要な皮を切り取る。一度メスを起き、医療用匙を用いて、親アリスのカスタード
クリームを子ありすに移植。そして皮を張り付けた。
湾曲した縫合針を動かし、皮を縫い付けていく。
男はメスを動かした。刃が躍る。そのメス捌きを、そう表現する者もいる。
鋭利な刃が子ありすの黴びた部分を切り落とした。すぐさま親ありすの身体にメスを走
らせ、必要な皮を切り取る。一度メスを起き、医療用匙を用いて、親アリスのカスタード
クリームを子ありすに移植。そして皮を張り付けた。
湾曲した縫合針を動かし、皮を縫い付けていく。
「次は歯だな」
子ありすを地面に起き、親ありすの身体の穴を縫い合わせる。
そのまま親ありすの歯を一本引き抜くと、メスで削って瞬く間に三本の小さな歯へと加
工した。生物の歯のように複雑な層構造も無いため、こういう事もできる。
男は三本の歯を、子ありすの歯の無い場所に差し込んだ。
そのまま親ありすの歯を一本引き抜くと、メスで削って瞬く間に三本の小さな歯へと加
工した。生物の歯のように複雑な層構造も無いため、こういう事もできる。
男は三本の歯を、子ありすの歯の無い場所に差し込んだ。
「あとは下のパーツか」
人差し指を伸ばし、親ありすのまむまむの下を突く。
「おほっ!」
一瞬でぺにぺにをふるぼっきさせるありす。
男はメスでぺにぺにの先端を小さく切り取った。そして、子ありすの顎の下にメスで小
さな穴を開け、そこに切ったぺにぺにの先端を移植する。
最後に、針でしーしー穴とあにゃるを作って終了。
男はメスでぺにぺにの先端を小さく切り取った。そして、子ありすの顎の下にメスで小
さな穴を開け、そこに切ったぺにぺにの先端を移植する。
最後に、針でしーしー穴とあにゃるを作って終了。
「よし。終わりだ」
所要時間一分。
男は子ありすを地面に下ろす。
男は子ありすを地面に下ろす。
「お、おきゃーしゃん?」
起き上がった子ありすが、親ありすに声を掛ける。ついさっきまで死にかけていた子あ
りすが、もう動ける程度まで回復している。ゆっくりの回復力を差し引いても、異常な回
復速度だった。男の治療のおかげである。
りすが、もう動ける程度まで回復している。ゆっくりの回復力を差し引いても、異常な回
復速度だった。男の治療のおかげである。
「おぢびぢゃあああん!」
「ゆー、くりゅちいわ」
「ゆー、くりゅちいわ」
大泣きしながら、親ありすが子ありすにすーりすーりしている。
それから、男に向き直ると。
それから、男に向き直ると。
「ありがどうございばずううう!」
べたんべたんと、大袈裟なまでに土下座して礼を言う。
男は周囲の道路を眺めてから、ありす親子を見下ろした。
男は周囲の道路を眺めてから、ありす親子を見下ろした。
「ここに長居すると潰されるぞ。さっさと消えろ」
「ありがどうございばずううう!」
「ありがどうございばずううう!」
子ありすを咥え、親ありすは路地の奥に消えていった。
「どこまで生きられるかは知らんが、せいぜい頑張れよ」
独り言のように呟き、道具を片付ける。
メスを持ち上げ、光にかざす。
アストロンれいむを鋳融かし、そこにドスパキノコ、フランの牙、てるよの髪の毛など
を溶かし込み、いくつかの工程を経て作られる刃物用高級ゆ鉄。それをもこう&おくう炉
で鍛造し作り上げたゆっくり用のメスだった。
ゆっくり相手に無上の切れ味を生みだし、連続で百匹を解体しても切れ味が鈍ることは
ない。また、あまりに鋭利なため、切られたゆっくりが痛みを感じることはない。
道具を片付け終わり、少し歩いていると。
男の前に、れいむが一匹飛び出してきた。
メスを持ち上げ、光にかざす。
アストロンれいむを鋳融かし、そこにドスパキノコ、フランの牙、てるよの髪の毛など
を溶かし込み、いくつかの工程を経て作られる刃物用高級ゆ鉄。それをもこう&おくう炉
で鍛造し作り上げたゆっくり用のメスだった。
ゆっくり相手に無上の切れ味を生みだし、連続で百匹を解体しても切れ味が鈍ることは
ない。また、あまりに鋭利なため、切られたゆっくりが痛みを感じることはない。
道具を片付け終わり、少し歩いていると。
男の前に、れいむが一匹飛び出してきた。
「おじさんはやさしいひとなんだね。れいむ、みてたよ。おじさん、れいむはねかわいそ
うなんだよ。だからあまあまちょうだいね!」
うなんだよ。だからあまあまちょうだいね!」
ビュン。
すくい上げるように振り抜かれた手刀が、れいむの頭を真っ二つにしていた。包丁で切
ったような切り口で、中枢餡も真っ二つ。最期の言葉すら言えずに即死である。
ったような切り口で、中枢餡も真っ二つ。最期の言葉すら言えずに即死である。
「俺は医者だ。安楽死はやってねぇ。一応はな……」
男は鞄から紙袋を取り出した。
素手のまま素早くれいむを解体すると、その残骸を四枚の紙袋に分けて、ホチキスで口
を閉じた。周囲を見回し、ゴミ集積所を見つける。今日が燃えるゴミの日で、収集車がま
だ来てない事を確認し、男は紙袋をゴミ集積所に放り込んだ。
素手のまま素早くれいむを解体すると、その残骸を四枚の紙袋に分けて、ホチキスで口
を閉じた。周囲を見回し、ゴミ集積所を見つける。今日が燃えるゴミの日で、収集車がま
だ来てない事を確認し、男は紙袋をゴミ集積所に放り込んだ。
散歩を続けていると、一匹のちぇんが駆け寄ってきた。
「おじいさん、おじいさん! に゙あ゙」
顔面に靴の裏を叩き付け、ぐりぐりと踵を捻る。顔を凹ませ、尻尾を引きつらせて悶え
るちぇん。潰れるほどではないが、確実に痛いという踏み方だった。
るちぇん。潰れるほどではないが、確実に痛いという踏み方だった。
「俺も若くはないが、まだ爺さんと言われる歳じゃねえ」
「わがっだよぉー!」
「わがっだよぉー!」
泣きながら答えるちぇん。
男は靴裏を離した。
公園から二十メートルほど離れた場所。歩道と車道が分かれていない二車線道路。
ちぇんの帽子には、緑と白の四角いバッジが付けられている。地域ゆっくり証明バッジ
だった。バッジの白い部分には星のシールが一枚。一般ゆっくりの印である。
男は靴裏を離した。
公園から二十メートルほど離れた場所。歩道と車道が分かれていない二車線道路。
ちぇんの帽子には、緑と白の四角いバッジが付けられている。地域ゆっくり証明バッジ
だった。バッジの白い部分には星のシールが一枚。一般ゆっくりの印である。
「何の用だ? 地域ゆっくりが公園から出るなんて珍しいな」
地域ゆっくりは、公園など特定の場所の管理の手伝いをすることで、ある程度の生活を
保障された連中だ。仕事場であり縄張りである公園から出ることは珍しい。
保障された連中だ。仕事場であり縄張りである公園から出ることは珍しい。
「おじさんをみかけて、ちょっとぬけだしてきたんだよー。おじさんはおいしゃさんなん
だね。きめぇまるからきいたよー」
だね。きめぇまるからきいたよー」
二本の尻尾を持ち上げ、そう言ってくる。地域ゆっくりの群れの間を移動し、情報伝達
などを行うきめぇ丸。地域ゆっくりの一種だ。
などを行うきめぇ丸。地域ゆっくりの一種だ。
「さいきんうんうんがでなくてこまってるんだよ。たすけてねー?」
やや恥ずかしそうに言ってくる。
男は露骨なあきれ顔を見せた。
男は露骨なあきれ顔を見せた。
「……便秘のゆっくりなんて、珍しいもん見たわー」
快食快便。食べたら出る。生物よりもかなり単純な構造なので、便秘になることはまず
ない。食生活の関係か体質なのか、稀になることはある。
男は鞄から小さな紙袋を取り出した。
ない。食生活の関係か体質なのか、稀になることはある。
男は鞄から小さな紙袋を取り出した。
「まずはこれ食え。不味いけど全部食え」
返事も聞かずちぇんを持ち上げ、その口をこじ開け、紙袋の中身を投入する。
それは籾殻だった。稲から中身を取り除いた皮である。適当な餌にもなり餡子の代わり
の詰め物にもなり、手で量も調整できる。入手も簡単だ。ゆっくりの即席治療の小道具と
して、かなり優秀なものだ。
それは籾殻だった。稲から中身を取り除いた皮である。適当な餌にもなり餡子の代わり
の詰め物にもなり、手で量も調整できる。入手も簡単だ。ゆっくりの即席治療の小道具と
して、かなり優秀なものだ。
「あががが」
口一杯の籾殻にちぇんが悶える。
苦しむ様子は一切気にせず、続けて男は水筒の水を適当口に流し込み、それから手で口
を閉じさせる。ちぇんの身体を何度か大きく上下にシェイクした。
苦しむ様子は一切気にせず、続けて男は水筒の水を適当口に流し込み、それから手で口
を閉じさせる。ちぇんの身体を何度か大きく上下にシェイクした。
ごくん。
と、口の中身を呑み込むちぇん。
「げっぷ。おなかぱんぱんなんだよー」
男はちぇんの頭と脚を掴んだ。上下に引っ張ると、三倍ほどの長さに伸びる。続けて、
頭の左右を掴んで引っ張る。さらに、顔と後頭部を掴んで引っ張る。
頭の左右を掴んで引っ張る。さらに、顔と後頭部を掴んで引っ張る。
のーびのーびのーびのーび。
何度か餅のように全身を伸ばしてから、今度は身体全体をこねていく。
もるもるもるもるもるん。
うどん生地をこねるようにマッサージしてから、男はちぇんを下ろした。ほんのりと顔
が赤く染まり、心地よさそうな笑顔を見せている。
が赤く染まり、心地よさそうな笑顔を見せている。
「ぽっかぽかなんだねー。わかるよー。きもちいい――い?」
くきゅるるるるる。
お腹から響く音。
「に゙あ゙!」
固まるちぇん。見る間に顔が青くなり、脂汗が流れ出す。
さきほどのマッサージ。ゆっくりの中身を強く活性化させるマッサージである。疲労回
復、免疫力強化、消化促進などの効果がある。籾殻を食べ、適量の水を摂取し、体内チョ
コの活性化。便秘は即座に解消される。
さきほどのマッサージ。ゆっくりの中身を強く活性化させるマッサージである。疲労回
復、免疫力強化、消化促進などの効果がある。籾殻を食べ、適量の水を摂取し、体内チョ
コの活性化。便秘は即座に解消される。
結果は――
「ふっふっ、ひー……」
か細く息をしながら、ちぇんが公園の方へと這い始めた。素早いちぇん種のぴょんぴょ
んではなく、ずーりずーり。時折固まっては、苦しげに痙攣している。動けば出る。思考
よりも早く、ちぇんは理解していた。
男はちぇんの背に声をかける。
んではなく、ずーりずーり。時折固まっては、苦しげに痙攣している。動けば出る。思考
よりも早く、ちぇんは理解していた。
男はちぇんの背に声をかける。
「地面汚したら生きたまま解剖してやるからな。もしくは出したもん全部食わせる」
「ゆっ、ゆっ……。それはゆっくり、でぎない、よお……。わがるよー。ゆんせい、さい
だい……の、ぴんち、なんだね。わが、りだぐ……ないよぉ!」
「ゆっ、ゆっ……。それはゆっくり、でぎない、よお……。わがるよー。ゆんせい、さい
だい……の、ぴんち、なんだね。わが、りだぐ……ないよぉ!」
泣きながら、ちぇんは必死に公園へと向かう。
ずーりずーりと、ゆっくりと。
ずーりずーりと、ゆっくりと。
およそ二十分の苦闘の末。
公園のゆっくりトイレでちぇんは全てを開放した。
公園のゆっくりトイレでちぇんは全てを開放した。
「すっきりー!」
ゆんせいさいだいの"そうっかいっかんっ!"だったよー。
後にちぇんはそう語っている。
人気のない路地裏を歩きながら、男は空を見上げた。
「小腹が空いたな。朝飯食ってくりゃよかった」
朝の十時頃。昼食には早い。面倒くさがって朝食を取らなかった事を今になって後悔す
る。朝食の重要さは知っているのだが、面倒臭さが先に出てしまった。
手元に食べ物はなく、近所にコンビニなどもない。食べ物が全く無いわけでもないが、
生の餃子皮食べても味気ないし、砂糖や小麦粉を舐めても虚しい。籾殻を食べるのはさす
がに無理だろう。
と、足を止めた。
る。朝食の重要さは知っているのだが、面倒臭さが先に出てしまった。
手元に食べ物はなく、近所にコンビニなどもない。食べ物が全く無いわけでもないが、
生の餃子皮食べても味気ないし、砂糖や小麦粉を舐めても虚しい。籾殻を食べるのはさす
がに無理だろう。
と、足を止めた。
「ここはまりさのなわばりなんだぜ!」
「とおりたいならつうこうりょうをはらいなさい!」
「ゆっくりか」
「とおりたいならつうこうりょうをはらいなさい!」
「ゆっくりか」
男の前に飛び出してきたまりさとありす。ゆっくりは勝手に生えてくる。お野菜は云々
に対する言葉だが、あながち間違っていないと男は考えていた。ゆっくりはいて欲しいと
思う時に、まるで計ったように現われる事がある。
いなくていいと思う時も勝手に現われるのだが。
に対する言葉だが、あながち間違っていないと男は考えていた。ゆっくりはいて欲しいと
思う時に、まるで計ったように現われる事がある。
いなくていいと思う時も勝手に現われるのだが。
「きこえないのかぜ? ばかなのぜ?」
見上げてくるまりさ。
痩せて頬も細くなっているが、元気そうな個体だ。人気の多い場所を避けて巣を作った
が、食べられるものがなく、人間相手に通行量を請求する事を思いついたのだろう。その
結果は目に見えている。
痩せて頬も細くなっているが、元気そうな個体だ。人気の多い場所を避けて巣を作った
が、食べられるものがなく、人間相手に通行量を請求する事を思いついたのだろう。その
結果は目に見えている。
「こいつらでいいかな?」
男はその場に腰を屈め、二匹の頭に手を置いた。
そのまま振動を加える。
そのまま振動を加える。
「おっほおおおおおおおお!」
「はあああああああああああん!」
「はあああああああああああん!」
あっという間に発情した。しかも、普通の発情ではなく、過剰な発情状態。まるで媚薬
やら催淫剤でも投与したような様子である。男が理想の振動を与えた結果だった。
その場ですりすり式の交尾を始める。
やら催淫剤でも投与したような様子である。男が理想の振動を与えた結果だった。
その場ですりすり式の交尾を始める。
「すっきりー」
「すっきりー」
「すっきりー!」
「すっきりー!」
「すっきりー」
「すっきりー!」
「すっきりー!」
瞬く間に二匹の額から茎が生えた。
父役、母役は関係なく、両方の額から二本づつ。
父役、母役は関係なく、両方の額から二本づつ。
「あ、ありす。まりさ、おかあさんになっちゃった」
「ありすもおちびちゃんできちゃった……」
「ありすもおちびちゃんできちゃった……」
額から生えた茎を見上げ、二匹はとってもゆっくりした顔を見せていた。急な妊娠のた
め、身体はさらに痩せたが、幸せそうである。おちびちゃんはゆっくりできる。よくゆっ
くりが口にする言葉の通り、子供ができるのは嬉しいものだろう。
め、身体はさらに痩せたが、幸せそうである。おちびちゃんはゆっくりできる。よくゆっ
くりが口にする言葉の通り、子供ができるのは嬉しいものだろう。
「んじゃ、収穫」
男は二匹の額から茎を毟り取った。
「まりざのあがぢゃんがああああ!」
「ありずのおぢびじゃんがえぜえええ!」
「ありずのおぢびじゃんがえぜえええ!」
泣き叫ぶまりすとありさを蹴り転がし、毟った茎を口に入れる。しゃきと軽い歯応えと
ともに、千切れる茎。口の中に広がるほのかな甘味と酸味に、男は小さく笑った。
野良ゆの中身は時折消化途中のものが混じっていて不衛生だが、できたての茎と実ゆは
ほぼ無菌状態である。食べても問題ない。それどころか良質の栄養源である。加工所では
栄養剤代わりとして、ゆっくりの茎を売っていたりする。
ともに、千切れる茎。口の中に広がるほのかな甘味と酸味に、男は小さく笑った。
野良ゆの中身は時折消化途中のものが混じっていて不衛生だが、できたての茎と実ゆは
ほぼ無菌状態である。食べても問題ない。それどころか良質の栄養源である。加工所では
栄養剤代わりとして、ゆっくりの茎を売っていたりする。
「ガキの頃よく食ったっけな」
しゃりしゃりぷちぷちとと茎と実ゆの食感を楽しみながら、男はあっという間に四本と
も平らげてしまった。ゆっくりの茎を毟って食べる。花を摘んで蜜を吸うような感覚だ。
大人にはやめるように言われていたが、子供はそれでもやってしまうものである。
も平らげてしまった。ゆっくりの茎を毟って食べる。花を摘んで蜜を吸うような感覚だ。
大人にはやめるように言われていたが、子供はそれでもやってしまうものである。
「おぢびぢゃん、ばりざのおぢびぢゃん……!」
「ゆっぐりじねぇぇ! おぢびぢゃんのがだぎぃぃ……!」
「ゆっぐりじねぇぇ! おぢびぢゃんのがだぎぃぃ……!」
顔をぐしゃぐしゃにしながら突っ込んでくるまりさとありす。
子供ができたと思ったらすぐさま奪われ食べられてしまったのだ。生まれた母性の衝動
に従い、まりさとありすは男にありったけの憎しみを向けている。
ひょいとその体当たりを避け、男は二匹を見下ろした。
子供ができたと思ったらすぐさま奪われ食べられてしまったのだ。生まれた母性の衝動
に従い、まりさとありすは男にありったけの憎しみを向けている。
ひょいとその体当たりを避け、男は二匹を見下ろした。
「ゆっくりは勝手に生えてくるとか言うけど、勝手に消えてはくれねえんだよな」
「あきちのまりさをたすけてほしいみょん」
公園のベンチに座り、男はみょんの話を黙って聞いていた。
黒いリボンには緑と白の地域ゆっくりバッジが付けられている。星はふたつ。この公園
の地域ゆっくりのリーダーだった。
横には紙袋がひとつ置いてある。
辛そうな表情でみょんは続ける。
黒いリボンには緑と白の地域ゆっくりバッジが付けられている。星はふたつ。この公園
の地域ゆっくりのリーダーだった。
横には紙袋がひとつ置いてある。
辛そうな表情でみょんは続ける。
「あのまりさはみょんのおささななじみみょん。それにすごくゆうしゅうなゆっくりだみ
ょん。このこうえんのちいきゆっくりにすいせんしたいみょん。でも、まりさにはでいぶ
がきせいしてるみょん」
ょん。このこうえんのちいきゆっくりにすいせんしたいみょん。でも、まりさにはでいぶ
がきせいしてるみょん」
たちの悪い妻れいむに奴隷扱いされる夫まりさ。よく聞く話ではああった。その最後は
夫まりさが衰弱しするか、ぶち切れてでいぶを殺すか。碌でもない最後が待っている。
みょんは幼馴染をその破滅から救いたいようだった。
夫まりさが衰弱しするか、ぶち切れてでいぶを殺すか。碌でもない最後が待っている。
みょんは幼馴染をその破滅から救いたいようだった。
「でいぶをなんとかしないと、まりさしんじゃうみょん。だから、あのまりさをたすけて
ほしいみょん」
ほしいみょん」
と、男を見上げる。
今日の散歩はこのみょんに会うのが目的だった。なんとなく親交を持ってしまった地域
ゆっくり。思い詰めた表情で大事な話があると言われ、やってきたのだ。市の管理課の人
間に頼まず、この男に頼んでいるのはみょんなりに考えがあるのだろう。
みょんを見下ろし、男はそう考えていた。
今日の散歩はこのみょんに会うのが目的だった。なんとなく親交を持ってしまった地域
ゆっくり。思い詰めた表情で大事な話があると言われ、やってきたのだ。市の管理課の人
間に頼まず、この男に頼んでいるのはみょんなりに考えがあるのだろう。
みょんを見下ろし、男はそう考えていた。
「ほうしゅうは、だすみょん」
みょんは横に置いていた紙袋を、前に差し出した。
男は身体を前に屈め、紙袋を手に取った。中身は黒い枝に七色のガラス細工のようなも
のが付いた羽がふたつと、鋭い牙だった。
男は身体を前に屈め、紙袋を手に取った。中身は黒い枝に七色のガラス細工のようなも
のが付いた羽がふたつと、鋭い牙だった。
「フランの牙と羽か」
ゆっくり用特殊道具の材料となる貴重品だ。
珍しいものは人間との交渉に使えるため、そういうものを集める地域ゆっくりはいる。
地域ゆっくりが管理課以外と交渉することはまずないのだが、今のように地域ゆ以前の一
ゆっくりとして人間と交渉することは稀にある。
珍しいものは人間との交渉に使えるため、そういうものを集める地域ゆっくりはいる。
地域ゆっくりが管理課以外と交渉することはまずないのだが、今のように地域ゆ以前の一
ゆっくりとして人間と交渉することは稀にある。
「どこで手に入れたかは知らんが、ま……いいだろう」
男は紙袋を手提げ鞄に入れ、そう答えた。
「おい、にんげん、あまあまよこしてね! いっぱいでいいよ」
「おい、くしょどりぇい! れいみゅにおいしいおかしをもっちぇこい!」
「おい、くしょどりぇい! れいみゅにおいしいおかしをもっちぇこい!」
件の空き地に着いた男が目にしたのは、れいむだった。でっぷりと肥え太った下半分、
冗談のようななすび体型。見事なでいぶだ。ここからの矯正は難しいだろう。
そして、すでにでいぶ化が始まっている子れいむ。
冗談のようななすび体型。見事なでいぶだ。ここからの矯正は難しいだろう。
そして、すでにでいぶ化が始まっている子れいむ。
「に、にんげんさん。ごめんなさいごめんなさい!」
痩せたまりさが、その場で土下座していた。
ため息をついてから、男はみょんのいる公園のある方向を指差した。
ため息をついてから、男はみょんのいる公園のある方向を指差した。
「向こうの公園のみょんから、依頼を受けてやって来た。病気のゆっくりがいるから、治
療してほしいってな。俺は医者だ。患者を出せ」
「おいしゃさんなんだね。わかったよ。でいぶはびょうきなんだよ。あまあまたべるとな
おるから、はやくあまあまちょうだいね!」
療してほしいってな。俺は医者だ。患者を出せ」
「おいしゃさんなんだね。わかったよ。でいぶはびょうきなんだよ。あまあまたべるとな
おるから、はやくあまあまちょうだいね!」
寝言を言ってるれいむは無視して。
男はまりさの前まで移動した。
男はまりさの前まで移動した。
「病ゆはいるか、まりさ?」
そう問いかける、
不気味な眼光を灯した右目が、まりさに向けられていた。まだ日の高い時間なのに、男
の周囲には薄い闇がまとわりついている。まりさにはそう見えた。
湧き上がる恐怖を呑み込みながら、まりさは答える。
不気味な眼光を灯した右目が、まりさに向けられていた。まだ日の高い時間なのに、男
の周囲には薄い闇がまとわりついている。まりさにはそう見えた。
湧き上がる恐怖を呑み込みながら、まりさは答える。
「ゆん、こっちだよ」
「なるほどね」
まりさたちは空き地の奥に横倒しになっている木箱を住処にしていた。
葉っぱの皿やら木板のテーブルなどが置かれている。
汚れたタオルの上で、二匹の子ゆっくりが寝込んでいた。子まりさと子れいむ。一匹づ
つ。酷く窶れていて、生気を感じられない。
葉っぱの皿やら木板のテーブルなどが置かれている。
汚れたタオルの上で、二匹の子ゆっくりが寝込んでいた。子まりさと子れいむ。一匹づ
つ。酷く窶れていて、生気を感じられない。
「もううごくのもつらいみたいなんだよ……」
「明後日には死ぬな」
「明後日には死ぬな」
男は率直に告げた。
優秀なため、れいむの分まで働けるまりさ。そのおかげで、れいむはでいぶ化したのだ
ろう。元々素質もあったのだろうが。でいぶ化したれいむは、れいむ種の子供は可愛がる
が、つがいに似た子供は粗末に扱う。子まりさが衰弱しているのはそのためだ。
子れいむが一緒に衰弱しているのは、おそらくかなり善良な個体だからだろう。父まり
さと子まりさの肩を持ち、母れいむには懐かない。そのため、でいぶに粗末に扱われるよ
うになった。
母似の子れいむは順調にでいぶ化している。
よくある話と言えば、よくある話だった。
優秀なため、れいむの分まで働けるまりさ。そのおかげで、れいむはでいぶ化したのだ
ろう。元々素質もあったのだろうが。でいぶ化したれいむは、れいむ種の子供は可愛がる
が、つがいに似た子供は粗末に扱う。子まりさが衰弱しているのはそのためだ。
子れいむが一緒に衰弱しているのは、おそらくかなり善良な個体だからだろう。父まり
さと子まりさの肩を持ち、母れいむには懐かない。そのため、でいぶに粗末に扱われるよ
うになった。
母似の子れいむは順調にでいぶ化している。
よくある話と言えば、よくある話だった。
「にんげんざん、おちびじゃんをだずげでぐださい!」
うつ伏せになって土下座しながら、まりさが必死な声を上げる。
男は頷いた。
男は頷いた。
「ああ。助けよう。お前がどうなっても構わないと約束するならな」
「やぐぞぐじばず! ばりざはどうなってもがばいばぜん! だがら、おちびぢゃんをた
ずけでぐだざい、おねがいじばずッ!」
「やぐぞぐじばず! ばりざはどうなってもがばいばぜん! だがら、おちびぢゃんをた
ずけでぐだざい、おねがいじばずッ!」
再び土下座。子ゆっくりが助かるためなら、死ぬ事も厭わないだろう。このまりさには
それほどの気迫が感じられた。その気迫ででいぶを何とかすればいいだろうとも思うが、
中途半端な優しさがそれを邪魔しているのだろう。
男は我関せずといった様子のれいむに声をかけた。横には子れいむがいる。
それほどの気迫が感じられた。その気迫ででいぶを何とかすればいいだろうとも思うが、
中途半端な優しさがそれを邪魔しているのだろう。
男は我関せずといった様子のれいむに声をかけた。横には子れいむがいる。
「れいむはどうなんだ?」
「ゆ? でいぶがなんで――」
「ゆ? でいぶがなんで――」
瞬きして、男を見つめる。
元々れいむは今衰弱している子ゆっくりにはあまり興味がない。もう自分の子と認識し
ていないのだ。たとえ死んでも悲しむことはないだろう。その子ゆっくりはまりさと男が
治すと決めた。そこにれいむが関わる理由はない。
男は芝居がかった動きでまりさに目をやった。
元々れいむは今衰弱している子ゆっくりにはあまり興味がない。もう自分の子と認識し
ていないのだ。たとえ死んでも悲しむことはないだろう。その子ゆっくりはまりさと男が
治すと決めた。そこにれいむが関わる理由はない。
男は芝居がかった動きでまりさに目をやった。
「まりさは自分の全てを賭けたんだ。立派な父親じゃねーか。翻ってれいむ。お前はどう
するんだ? 可愛いおちびちゃんのために身体も張れない、駄目親なのかな?」
するんだ? 可愛いおちびちゃんのために身体も張れない、駄目親なのかな?」
小馬鹿にするような口調で、挑発する。
れいむの顔に怒りが浮かんだ。奴隷のようにこき使っているまりさを立派な父親と言い、
美しく母性溢れるれいむを駄目親を貶す。れいむはそれが許せなかった。
「でいぶはどうなってもかまわないよ! だから、おちびちゃんなおしてね! あと、お
わったらあまあまちょうだいね。たくさんでいいよ」
れいむの顔に怒りが浮かんだ。奴隷のようにこき使っているまりさを立派な父親と言い、
美しく母性溢れるれいむを駄目親を貶す。れいむはそれが許せなかった。
「でいぶはどうなってもかまわないよ! だから、おちびちゃんなおしてね! あと、お
わったらあまあまちょうだいね。たくさんでいいよ」
にやり、と。
男は笑った。
男は笑った。
「これを食え」
ポケットから取り出した麻酔用ラムネをまりさの前に差し出す。ラムネはゆっくりに対
して睡眠薬の効果をもたらす。この麻酔用ラムネは、いくつかの薬品を追加して、その効
果を高めたものだった。
して睡眠薬の効果をもたらす。この麻酔用ラムネは、いくつかの薬品を追加して、その効
果を高めたものだった。
「わかったよ」
迷わずそれを食べるまりさ。途端、意識を失い、倒れる。
男はおうちの中で寝ている子ゆっくりの口に、麻酔用ラムネを放り込んだ。
男はおうちの中で寝ている子ゆっくりの口に、麻酔用ラムネを放り込んだ。
「ゆん?」
「あみゃ……い……」
「あみゃ……い……」
あっという間に二匹は深い眠りについた。
男はれいむと子れいむを睨み、
男はれいむと子れいむを睨み、
「お前らは後回しだ。そこらで大人しくしてろ」
「ゆっくりいそいでね!」
「いしょいでにぇ!」
「ゆっくりいそいでね!」
「いしょいでにぇ!」
まりさと子ゆっくりの治療。
内容はシンプルだった。衰弱した子ゆっくりの身体に、まりさの餡子を補充する。まり
さの減った餡子の代わりに籾殻を適量詰め込み、傷口を閉じる。カビや寄生虫にやられて
いるわけではないので、治療は楽だった。
治療の終わったまりさたちをタオルに寝かせ、男はれいむを見た。
内容はシンプルだった。衰弱した子ゆっくりの身体に、まりさの餡子を補充する。まり
さの減った餡子の代わりに籾殻を適量詰め込み、傷口を閉じる。カビや寄生虫にやられて
いるわけではないので、治療は楽だった。
治療の終わったまりさたちをタオルに寝かせ、男はれいむを見た。
「さて、お前らの番だ」
「ゆぅ……。でいぶたちはゆっくりげんきだよ。ちりょうはいらないよ! はものさんは
ゆっくりできないよ! だから、やめてね」
「おきゃーしゃん、こわいよー」
「ゆぅ……。でいぶたちはゆっくりげんきだよ。ちりょうはいらないよ! はものさんは
ゆっくりできないよ! だから、やめてね」
「おきゃーしゃん、こわいよー」
二匹とも震えている。
まりさと子ゆっくりの治療。鋭利なメスで身体を切られ、中身を取り出されたり移され
たりする手術を間近で見ていたのだ。次は自分たちがそんな手術をされると、れいむと子
れいむは恐怖していた。
しかし、男は全く別の事を口にした。
まりさと子ゆっくりの治療。鋭利なメスで身体を切られ、中身を取り出されたり移され
たりする手術を間近で見ていたのだ。次は自分たちがそんな手術をされると、れいむと子
れいむは恐怖していた。
しかし、男は全く別の事を口にした。
「こいつらは、これから公園の地域ゆっくりに加わるらしい」
まりさと子ゆっくりを示して、れいむに告げる。
野良ゆっくりが地域ゆっくりになるには、地域ゆっくりの推薦が必要となる。推薦はみ
ょんが行う。まりさはそのまま地域ゆっくりとなり、子ゆっくりはそれなりの教育を受け
てから地域ゆっくりになるだろう。
ある意味、今後のゆん生は保証されたようなものだ。
野良ゆっくりが地域ゆっくりになるには、地域ゆっくりの推薦が必要となる。推薦はみ
ょんが行う。まりさはそのまま地域ゆっくりとなり、子ゆっくりはそれなりの教育を受け
てから地域ゆっくりになるだろう。
ある意味、今後のゆん生は保証されたようなものだ。
「ゆ? ちいきゆっくりなんて、にんげんのどれいだよ!」
れいむは言い返す。
人間に媚びへつらい、人間の命令を聞き、人間の言う通りに動く奴隷。ゲス化したゆっ
くりには、地域ゆっくりはそう映るものだ。
男はにやにやと笑いながら、続ける。
人間に媚びへつらい、人間の命令を聞き、人間の言う通りに動く奴隷。ゲス化したゆっ
くりには、地域ゆっくりはそう映るものだ。
男はにやにやと笑いながら、続ける。
「丈夫なお家貰って、人間に言われたお仕事して、それなりーなご飯を食べて、時々あま
あま食ったり。かなり幸せなゆん生送れるんじゃないか?」
あま食ったり。かなり幸せなゆん生送れるんじゃないか?」
お家は雨風を防ぐ頑丈なもので、食事は主にゆっくりフードそれなり味、人間に危害を
加えられる可能性はほぼ消え、怪我をしたり病気になったりしても治して貰える。普通の
野良に比べると、死亡率もかなり低い。
ゆっくりとしては、かなり幸せな環境だろう。
加えられる可能性はほぼ消え、怪我をしたり病気になったりしても治して貰える。普通の
野良に比べると、死亡率もかなり低い。
ゆっくりとしては、かなり幸せな環境だろう。
「そして、でいぶ。お前のゆっくりはここで終わりだ」
男はれいむの眼前に人差し指を突きつけた。
「はああああ!? なにいってるの、くそにんげん! でいぶはまりさをどれいにして、
ずっとここでゆうがにくらすんだよ!」
「でいびゅたちはおひめさまにゃんだよ!」
ずっとここでゆうがにくらすんだよ!」
「でいびゅたちはおひめさまにゃんだよ!」
思い切り見下した眼差しと発言。この空き地でまりさを奴隷として、好き勝手くらすの
が、れいむと子れいむの理想なんだろう。腐っているとしか表現できない思考だが、それ
をどうこう言うつもりはなかった。
が、れいむと子れいむの理想なんだろう。腐っているとしか表現できない思考だが、それ
をどうこう言うつもりはなかった。
「ま、論より証拠ってね」
男は鞄からメスを取り出した。
人間用ではなく、ゆっくり用の外科手術メス。ゆっくりに対しては、冗談のような切れ
味を発揮する。
右手でメスを持ち、左手で子れいむを掴み上げる。
人間用ではなく、ゆっくり用の外科手術メス。ゆっくりに対しては、冗談のような切れ
味を発揮する。
右手でメスを持ち、左手で子れいむを掴み上げる。
「おしょらをとんでるみちゃ――」
そして、メスが躍った。無上の切れ味を持つ刃が、リボンをあっさり切り裂き、髪の毛
をきれいに剃り落としていく。子れいむは無力にいごいご動くだけしかできない。
をきれいに剃り落としていく。子れいむは無力にいごいご動くだけしかできない。
「でいびゅのきゃわいいおりぼんがあああ! きりぇいにゃかみのけぎゃあああ!」
子れいむは禿饅頭となった。
男はメスを起き、
男はメスを起き、
「ほい。こねこねこーねこーねーこーね」
両手で子れいむをこね始めた。
ゆっくりはそれなりの伸縮性を持っている。だが、それは限度がある。スライムのよう
な半ば不定形なゆかりを除けば、柔らかい饅頭程度でしかない。
だが、男はゆっくりの性質を熟知していた。
手の動きだけで餡子を皮を変質さえ、子ゆっくりの全身を粘土のように組み替えていた。
口を塞ぎ、しーしー穴を塞ぎ、あにゃるも塞ぐ。
さらにその身体を平たく板状に伸ばしていった。
成体ゆっくり一匹が乗れる程度の四角形に、きれいに組み替えられた子れいむ。口やあ
にゃるはもうどこにもない。二つの目だけが、板の側面に残っていた。
ゆっくりはそれなりの伸縮性を持っている。だが、それは限度がある。スライムのよう
な半ば不定形なゆかりを除けば、柔らかい饅頭程度でしかない。
だが、男はゆっくりの性質を熟知していた。
手の動きだけで餡子を皮を変質さえ、子ゆっくりの全身を粘土のように組み替えていた。
口を塞ぎ、しーしー穴を塞ぎ、あにゃるも塞ぐ。
さらにその身体を平たく板状に伸ばしていった。
成体ゆっくり一匹が乗れる程度の四角形に、きれいに組み替えられた子れいむ。口やあ
にゃるはもうどこにもない。二つの目だけが、板の側面に残っていた。
「でいぶ……のおちびちゃん……」
可愛いおちびちゃんだったものを見つめ、れいむは震えていた。
だが、まだ終わりではない。
男はガスバーナーを取り出し、火を付けた。青白い炎が筆のように伸びる。
平たくなった子れいむを掴み上げ、その表面に炎を走らせた。
だが、まだ終わりではない。
男はガスバーナーを取り出し、火を付けた。青白い炎が筆のように伸びる。
平たくなった子れいむを掴み上げ、その表面に炎を走らせた。
「………!」
身体を焼く高熱に、ぎょろぎょろと目だけが動く。
男はバーナーを器用に動かし、子れいむ板を焦がしていく。表面の皮を硬く焼き片目、
焦げ目で木目を作った。芸術的なまでのバーナーの扱いである。
火が消える。
男の手に握られていたのは、もはや木の板だった。元は子れいむと言われても、誰も信
じないだろう。木目まで付いている薄茶色の木板。唯一残っていた目だけが必死に動いて
涙を流している。
男は小さな針を取り出し、子れいむの目の真横に突き刺した。途端目の動きが止まり、
涙も止まる。目を動かす部分を壊したのだ。
男はバーナーを器用に動かし、子れいむ板を焦がしていく。表面の皮を硬く焼き片目、
焦げ目で木目を作った。芸術的なまでのバーナーの扱いである。
火が消える。
男の手に握られていたのは、もはや木の板だった。元は子れいむと言われても、誰も信
じないだろう。木目まで付いている薄茶色の木板。唯一残っていた目だけが必死に動いて
涙を流している。
男は小さな針を取り出し、子れいむの目の真横に突き刺した。途端目の動きが止まり、
涙も止まる。目を動かす部分を壊したのだ。
「なあ、でいぶ。すぃーって知ってるか?」
唐突にそんな事を言い、れいむを見る。
「………」
れいむは震えたまま動けない。
「勝手に生えて来るとか、れみりゃの亜種だとか、人間が作ったミニ台車が変化したもの
とか色々言われてるけどな、こういう作り方もあるんだぞ?」
とか色々言われてるけどな、こういう作り方もあるんだぞ?」
子れいむ板の側面に、車輪を四つ突き刺した。
完成したものを地面に下ろす。それを子れいむと言っても、誰も信じないだろう。子れ
いむを思わせる部分が何ひとつ残っていない。それは、木製のすぃーだった。
男は周囲を見回し、
完成したものを地面に下ろす。それを子れいむと言っても、誰も信じないだろう。子れ
いむを思わせる部分が何ひとつ残っていない。それは、木製のすぃーだった。
男は周囲を見回し、
「おーい、そこのまりしゃ。ちょっと来なさい」
「ゆん、なんなのじぇ」
「ゆん、なんなのじぇ」
一匹の子まりさがぴょぴょんと跳ねてくる。
どこから来たのかは分からない。近くに親はいないようだった。しかし、子まりさは謀
ったようにここに現われている。ゆっくりは勝手に生えてくるものだ。
男はすぃーを子まりさの前に置いた。
どこから来たのかは分からない。近くに親はいないようだった。しかし、子まりさは謀
ったようにここに現われている。ゆっくりは勝手に生えてくるものだ。
男はすぃーを子まりさの前に置いた。
「このすぃーの試乗を頼む」
「すぃーのしぇてくれるのじぇ! おりがとうなのじぇ!」
「すぃーのしぇてくれるのじぇ! おりがとうなのじぇ!」
感動の涙を流してから、子まりさはすぃーに飛び乗った。
「すぃー!」
走り出すすぃー。
動力も何もないのに、ゆっくりが乗ると自在にそれを動かせる、不思議な乗り物。滅多
に見られるものではなく、ほぼ全てのゆっくりにとっての憧れの対象である。
動力も何もないのに、ゆっくりが乗ると自在にそれを動かせる、不思議な乗り物。滅多
に見られるものではなく、ほぼ全てのゆっくりにとっての憧れの対象である。
「すごいのじぇー! まりしゃはかぜになっちぇるのじぇえええ!」
満面の笑顔ですぃーの速度を楽しむ子まりさ。
空き地を一周してから、男の前に戻ってきた。
空き地を一周してから、男の前に戻ってきた。
「ありがとうなのじぇ! すっごく、すっごくゆっくりできたのじぇ!」
すぃーから降り、目をきらきらさせながら礼を言う。
それからぴょんぴょんと跳ねてどこかに行ってしまった。勝手に生えてくることは多い
が、勝手にいなくなることもあるらしい。
それからぴょんぴょんと跳ねてどこかに行ってしまった。勝手に生えてくることは多い
が、勝手にいなくなることもあるらしい。
「お前の子れいむは、これからスィーとして生きていく事となった。今まで散々わがまま
言いまくったんだ。これからは人の役に立ってもらおうな?」
「ふざけるなあああ! でいぶのおちびちゃんを、もとにもどぜえええ!」
言いまくったんだ。これからは人の役に立ってもらおうな?」
「ふざけるなあああ! でいぶのおちびちゃんを、もとにもどぜえええ!」
喚きながら跳ねてくるれいむを、男は片手で止めた。
「で、おまえだが」
冷たい眼差しををれいむに向ける。
そこに至って、れいむもようやく理解した。目の前にいる男が恐ろしく危険な存在であ
ることを。涙を流しながら、必死に叫ぶ。
そこに至って、れいむもようやく理解した。目の前にいる男が恐ろしく危険な存在であ
ることを。涙を流しながら、必死に叫ぶ。
「どぼじでごんなごどずるのおお!? でいぶだっていぎでるんだよ! おじざん、おい
じゃざんなんでじょおお! いのちをだいじにするのは、とおぜんでじょお!?」
じゃざんなんでじょおお! いのちをだいじにするのは、とおぜんでじょお!?」
しかし、男は皮肉げに笑った。
「それを医者に言うかねぇ? 薬ひとつ作るのにどんだけ実験動物が殺されてるか、技術
が作られるのに何人失敗者が出てるのか。まあ知らんだろうけどな」
「よくわがらないよぉぉ……」
が作られるのに何人失敗者が出てるのか。まあ知らんだろうけどな」
「よくわがらないよぉぉ……」
泣きながられいむが答える。
医者の業を語ってみても、ゆっくりには意味が分からない。治療を行うえーりんなら通
じるかもしれないが、野良ゆのでいぶには無茶な話だった。
笑みを消して男はいくらか考えてから、
医者の業を語ってみても、ゆっくりには意味が分からない。治療を行うえーりんなら通
じるかもしれないが、野良ゆのでいぶには無茶な話だった。
笑みを消して男はいくらか考えてから、
「なら、こういえば分かるか? というか、こっちが本音なんだがね」
再び笑った。
「オレはゲスを苦しめて生かし続けるのが大好きな、虐待雄示惨だ!」
「ゆんやああ―――がっ」
「ゆんやああ―――がっ」
鋭い痛みを感じ、れいむは動けなくなった。
男は手を放している。身体を押えられているわけではない。何が起こったのか、理解で
きなかった。自分の身体が自分のものでないように、全く動かすことができない。なのに
意識だけははっきりとしている。
男は手を放している。身体を押えられているわけではない。何が起こったのか、理解で
きなかった。自分の身体が自分のものでないように、全く動かすことができない。なのに
意識だけははっきりとしている。
「騒がれると面倒臭いから。ちっとツボを押した。一時間は全身麻痺が続くかな?」
男はあっさりと告げた。
ゆっくりの身体に存在する秘孔。男はそのひとつ、停止孔を突いていた。この場所を突
かれたゆっくりは、全身麻痺に陥る。五感も意識も普通に働いているのに、身体は全く動
かないという状況だ。
ゆっくりの身体に存在する秘孔。男はそのひとつ、停止孔を突いていた。この場所を突
かれたゆっくりは、全身麻痺に陥る。五感も意識も普通に働いているのに、身体は全く動
かないという状況だ。
「お前はまりさたちのご飯になってもらう。なに、殺しはしない」
男は眠っているまりさと子ゆっくりを眺める。
どちらもぐっすり眠っていて起こる様子もない。
どちらもぐっすり眠っていて起こる様子もない。
「ところで、ゆっくりの死亡条件って知ってるか?」
れいむに目を戻す。
空いた左手で顎を撫でながら、
空いた左手で顎を撫でながら、
「餡子を半分失ったら死ぬとか、中枢餡にダメージ受けると死ぬとか言うけど、要するに
中枢餡が壊れると死ぬ。中枢餡も無やつもいるけどねぇ」
中枢餡が壊れると死ぬ。中枢餡も無やつもいるけどねぇ」
中身の大量喪失と中枢餡への損傷。これがゆっくりの大きな死因だ。本当に死ぬのは中
枢餡の破損であり、中身の喪失はあくまで中枢餡の破損に繋がるからである。
逆を言うと、中枢餡さえ無事ならば、死なないのだ。
男の顔に昂揚の感情が映る。左手で顔を押え、肩を震わせる。
枢餡の破損であり、中身の喪失はあくまで中枢餡の破損に繋がるからである。
逆を言うと、中枢餡さえ無事ならば、死なないのだ。
男の顔に昂揚の感情が映る。左手で顔を押え、肩を震わせる。
「お前らは単純だよ。生死の隙間を見切って解剖してやればやれば、生きたまま中枢餡だ
け取り出して、さらにその中枢餡をいくつにも分割して、分割された破片のまま死なない
ってのも可能なんだぜ? 常人じゃ無理だがな」
け取り出して、さらにその中枢餡をいくつにも分割して、分割された破片のまま死なない
ってのも可能なんだぜ? 常人じゃ無理だがな」
例えるなら、人間の脳髄を取り出し、培養液の中で生かし続け、さらに脳を分解して、
それを生かし続けるような諸行。理論上は可能かもしれないが、実際人間をそこまで分解
して生かし続けるのは不可能だ。複雑すぎるのである。
だが、ゆっくりは生物として見ると、恐ろしく単純だ。
だからといって誰でも実行できるものではない。
それを生かし続けるような諸行。理論上は可能かもしれないが、実際人間をそこまで分解
して生かし続けるのは不可能だ。複雑すぎるのである。
だが、ゆっくりは生物として見ると、恐ろしく単純だ。
だからといって誰でも実行できるものではない。
「だが、天才には可能だ」
男はメスを持ち上げた。
今説明したことをれいむで実行する。身体をばらばらにして中枢餡もばらばらにする。
その状態でも死なない。死ねない。
今説明したことをれいむで実行する。身体をばらばらにして中枢餡もばらばらにする。
その状態でも死なない。死ねない。
「……!」
れいむは恐怖に目を見開いた。
だが、全て手遅れだった。
白刃が閃き、れいむの身体が切裂かれる。高級刃物用ゆ鋼のメス。ゆっくりの組織をそ
れこそ豆腐でも切るように容易く切断し、さらに痛みすら与えない。
れいむの頭の右半分を切り裂かれ、中枢餡が露出する。周囲の餡子とは微妙に色の違う
部分。ピンポン球くらいの大きさだろう。
だが、全て手遅れだった。
白刃が閃き、れいむの身体が切裂かれる。高級刃物用ゆ鋼のメス。ゆっくりの組織をそ
れこそ豆腐でも切るように容易く切断し、さらに痛みすら与えない。
れいむの頭の右半分を切り裂かれ、中枢餡が露出する。周囲の餡子とは微妙に色の違う
部分。ピンポン球くらいの大きさだろう。
「こいつが、お前の核か」
メスの先端で中枢餡を突きながら、男は頷いた。
(やべろおお! でいぶのだいじなあんござんにざわるなあああ)
れいむの必死の抵抗は、誰も気付かない。
中枢餡を潰せばれいむは死ぬ。れいむは本能的にそれを理解していた。だが、男はれい
むを殺す気は微塵も無い。むしろ生かし続ける気だった。
中枢餡を潰せばれいむは死ぬ。れいむは本能的にそれを理解していた。だが、男はれい
むを殺す気は微塵も無い。むしろ生かし続ける気だった。
「さてと。料理といくかね」
男は切り取った餡子を丸めていく。
さらにメスを閃かせて、れいむの中枢餡を静かに切り取っていた。普通なら中枢餡に刃
物を入れられた時点で死ぬ。だが、男は生死の境界を完全に見切っていた。
切り取った中枢餡の欠片を餡子球に入れ、伸ばした皮で包み、手で四角く形を整える。
地面に置かれたそれは、ただの四角い小さな饅頭だった。
さらにメスを閃かせて、れいむの中枢餡を静かに切り取っていた。普通なら中枢餡に刃
物を入れられた時点で死ぬ。だが、男は生死の境界を完全に見切っていた。
切り取った中枢餡の欠片を餡子球に入れ、伸ばした皮で包み、手で四角く形を整える。
地面に置かれたそれは、ただの四角い小さな饅頭だった。
(やべろやべろやべろおおおお!)
れいむの言葉は届かない。目元から滝のように涙が溢れる。
男は作業を止めない。
れいむの皮と餡子を取り出し、中枢餡の一部を切り取り、皮、餡子、中枢餡で四角い饅
頭を作っている。四角い皮と餡子、その中心に埋め込まれた中枢餡。それは一種のゆっく
りだった。目も口もしーしー穴もあにゃるもなく、中枢餡の欠片によって生き続ける、文
字通り生きた饅頭だ。
死んでいないので鮮度が落ちることもない。保存食としても優秀だろう。
男はれいむの身体を解体しながら、生き饅頭を作っていく。
既に身体は半分になり、中枢餡も半分削られていた。普通なら死んでいる。なのに、れ
いむは死んでいない。それどころか痛みすらない。
むしろ意識ははっきりしていた。
男は作業を止めない。
れいむの皮と餡子を取り出し、中枢餡の一部を切り取り、皮、餡子、中枢餡で四角い饅
頭を作っている。四角い皮と餡子、その中心に埋め込まれた中枢餡。それは一種のゆっく
りだった。目も口もしーしー穴もあにゃるもなく、中枢餡の欠片によって生き続ける、文
字通り生きた饅頭だ。
死んでいないので鮮度が落ちることもない。保存食としても優秀だろう。
男はれいむの身体を解体しながら、生き饅頭を作っていく。
既に身体は半分になり、中枢餡も半分削られていた。普通なら死んでいる。なのに、れ
いむは死んでいない。それどころか痛みすらない。
むしろ意識ははっきりしていた。
(でいぶが、でいぶじゃなくなるうううう!)
れいむが恐怖したのは、自分は消えていく事だった。身体を削られ、中枢餡をも削り取
られる。記憶や思考も削り取られていたのだ。
どこで生まれたのか思い出せない。
子ゆっくりだった時の記憶は失われた。
両親の記憶も削られた。
られる。記憶や思考も削り取られていたのだ。
どこで生まれたのか思い出せない。
子ゆっくりだった時の記憶は失われた。
両親の記憶も削られた。
(やべでやべでぇぇぇ! でいぶをもっでがないでええええ!)
心の悲鳴も届かない。
自分が削られていく。身体が減るよりも心が減っていく方が痛かった。まだはっきりと
何が削られているかは分からない。だが、自分が自分でなくなっていく恐怖は、想像を絶
するものだった。
自分が削られていく。身体が減るよりも心が減っていく方が痛かった。まだはっきりと
何が削られているかは分からない。だが、自分が自分でなくなっていく恐怖は、想像を絶
するものだった。
(ころじでぇぇええ! でいぶをごろじでええ!)
男を見つめ、心の中で叫ぶ。
解体の手を休め、男はれいむを見下ろした。
解体の手を休め、男はれいむを見下ろした。
「死にたいって目してるな」
そう言ってから、冷たく笑う。
「俺は治すの専門だ。安楽死はやってねぇ」
(ごろじでええええええ! だずげでええええ!)
(ごろじでええええええ! だずげでええええ!)
れいむはただ嘆いた。もう身体は四分の一程度まで削られていた。身体は右上しか残っ
ていない。口は完全に消えていた。中枢餡も相応に小さくなっている。
そして、重要な部分が削られ始める。
まりさ……なにそれ?
おちびちゃん……れいむはどくしんだよ?
あまあま……たべられるの?
記憶が、過去が消えていく。
ていない。口は完全に消えていた。中枢餡も相応に小さくなっている。
そして、重要な部分が削られ始める。
まりさ……なにそれ?
おちびちゃん……れいむはどくしんだよ?
あまあま……たべられるの?
記憶が、過去が消えていく。
(ゆうううっ! でいぶは、でい……れいむは、どうなるの……?)
不意にそんな疑問が浮かぶ。
思い出や記憶を次々と削り取られ、自分が消えていく。手元に残っている記憶はほとん
ど無かった。次々に自分である事を削られていく。その最後には何が待つのか。
思い出や記憶を次々と削り取られ、自分が消えていく。手元に残っている記憶はほとん
ど無かった。次々に自分である事を削られていく。その最後には何が待つのか。
(なにも、のこらない……?)
不意に浮かんが答えに、れいむは固まった。
いやだあああああ! だれか、れいむを――れいむ――
れいむ、れいむ……?
れいむってなんだろう?
……あああああああッ
だれか、たすけてえええええ!
いやだああああ!
いやだあああああ! だれか、れいむを――れいむ――
れいむ、れいむ……?
れいむってなんだろう?
……あああああああッ
だれか、たすけてえええええ!
いやだああああ!
「どぼじで、こんなこと……」
眼が覚めたまりさは、つがいと娘のなれの果てを見た。
紙皿に盛られた四角い饅頭が二十個ほど。木の板のすぃー。
男は眼が覚めたまりさに、おおむねの自称を告げた。幼馴染のみょんに言われてまりさ
を助けた事。自分がれいむと子れいむをこの姿に変えた事。
それえを聞いたまりさの最初の呟きだった。
紙皿に盛られた四角い饅頭が二十個ほど。木の板のすぃー。
男は眼が覚めたまりさに、おおむねの自称を告げた。幼馴染のみょんに言われてまりさ
を助けた事。自分がれいむと子れいむをこの姿に変えた事。
それえを聞いたまりさの最初の呟きだった。
「お前を助けるように頼まれて報酬まで貰ったからな」
治療道具を片付けながら、男は立ち上がった。
「あのままだったら、おちびちゃん三匹は死んで、れいむに栄養吸い尽くされてお前も死
んで、一匹じゃ狩りすらできないれいむ二匹が餓死するだけだ。それが望みって言うなら、
この場でおたべなさいでもして死ね。結果は同じだ。俺は食わないけどな」
んで、一匹じゃ狩りすらできないれいむ二匹が餓死するだけだ。それが望みって言うなら、
この場でおたべなさいでもして死ね。結果は同じだ。俺は食わないけどな」
「ゆん……」
まりさは泣いていた。
あのままだったら、れいむも含めまりさ一家は全滅していた。それはまりさも理解して
いる。みょんが男に治療を頼んだからまりさは生きられる。それについて文句を言っても
意味がない。結局自分の甘さが全部原因なのだ。
あのままだったら、れいむも含めまりさ一家は全滅していた。それはまりさも理解して
いる。みょんが男に治療を頼んだからまりさは生きられる。それについて文句を言っても
意味がない。結局自分の甘さが全部原因なのだ。
「すぃーと饅頭はお前が好きにしろ。捨てるなり土産に持ってくなり適当に使え」
男はまりさに背を向け、歩き出す。
空き地を出る前に振り返り、まりさに告げる。
空き地を出る前に振り返り、まりさに告げる。
「お前は助けた。あとは自分で決めろ。治ってからは管轄外だ」
そう言い残して、男はどこかへ消えた。
「ゆぅぅぅ」
まりさはひとしきり泣いてから。
「むーしゃむーしゃ」
置かれた饅頭を食べ始めた。とりあえずは体力回復である。助けられた自分とおちび、
幼馴染みょんの思いを無駄にしないために。
幼馴染みょんの思いを無駄にしないために。
ちなみに。
まりさはつがいとおちびちゃんが死んだと思っているが。
れいむと子れいむは元気に生き続けています。
れいむと子れいむは元気に生き続けています。
過去作
anko4038 ゆっくり・ボール・ラン
anko4008 ゆか PIECE
anko4005 燃える、お兄さん
anko4003 続・愛の超伝道師
anko3994 愛の超伝道師
anko3894 続・えどてんせいっ!
anko3878 えどてんせいっ!
anko3874 禁断の口付け
anko3862 人工ドススパーク
anko4008 ゆか PIECE
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