ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko1327 先生とれいむ
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ankoss
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『先生とれいむ』
学会誌に投稿する論文の一節を書き上げて、ファイルを保存する。出張中の教
授からのメールをチェック。今日は講義も学生とのミーティングもない曜日で、
終日自室でデスクワークの予定。窓のブラインドに手を伸ばして隙間から外を見
ると、日射しは午後から夕方へと変わりつつある。
私は首と肩を回すと、仕事机の下段の抽斗を開けて、いくつか備蓄してあるお
菓子のなかから、少し考えてから袋詰めのクッキーを取り出した。封を開け、中
から一掴み取り出して、そのまま口に入れて貪りたくなったが、それをすると食
べすぎるので、小皿を出してきてそこにあける。小指の先ほどの大きさのクッキ
ーは、プレーンな焼き色のものと、ココア入りの黒っぽいものの2種類が、おお
むね半分ずつ入っている。
1個つまんで口に入れ、コーヒーも淹れるかと思ったときに、部屋の入口の方
から
「ゆゆっ、せんせー、くっきーさんたべてるね」と声がした。
声のする方、部屋の入口近くには来客用の簡易な応接セットがあり、そのテー
ブル上には密閉型のヘッドフォンが1台置いてある。ヘッドフォンはTVセットに
接続されているから、TVの音声が鳴ったように見えるが、そうではない。
「またかんしょくさんして、めたぼさんになるんだね。れいむもかんしょくさん
して、めたぼさんになるよ」
また妙な言葉を憶えたなぁと思いながら、椅子から立って応接セットの方に行
くと、密閉型ヘッドフォンの、半球形をした左右のハウジング部の間から、そこ
に挟まっていたリンゴぐらいの大きさの子ゆっくりが平べったく変形しながら出
てきて、また丸くなった。黒い髪に赤いリボンをつけた、れいむ種の子ゆっくり。
れいむは舌でリモコンを操作して(普通のリモコンのボタンは押せないので、特
製のタッチパネルを私が作った)、TVセットの電源を落とした。私はれいむをつ
まみ上げて手のひらに乗せる。ぷよぷよというか、もちもちした触感。れいむは
「ゆゆっ、おそらをとんでるみたい!」とお定まりの台詞を言う。
授からのメールをチェック。今日は講義も学生とのミーティングもない曜日で、
終日自室でデスクワークの予定。窓のブラインドに手を伸ばして隙間から外を見
ると、日射しは午後から夕方へと変わりつつある。
私は首と肩を回すと、仕事机の下段の抽斗を開けて、いくつか備蓄してあるお
菓子のなかから、少し考えてから袋詰めのクッキーを取り出した。封を開け、中
から一掴み取り出して、そのまま口に入れて貪りたくなったが、それをすると食
べすぎるので、小皿を出してきてそこにあける。小指の先ほどの大きさのクッキ
ーは、プレーンな焼き色のものと、ココア入りの黒っぽいものの2種類が、おお
むね半分ずつ入っている。
1個つまんで口に入れ、コーヒーも淹れるかと思ったときに、部屋の入口の方
から
「ゆゆっ、せんせー、くっきーさんたべてるね」と声がした。
声のする方、部屋の入口近くには来客用の簡易な応接セットがあり、そのテー
ブル上には密閉型のヘッドフォンが1台置いてある。ヘッドフォンはTVセットに
接続されているから、TVの音声が鳴ったように見えるが、そうではない。
「またかんしょくさんして、めたぼさんになるんだね。れいむもかんしょくさん
して、めたぼさんになるよ」
また妙な言葉を憶えたなぁと思いながら、椅子から立って応接セットの方に行
くと、密閉型ヘッドフォンの、半球形をした左右のハウジング部の間から、そこ
に挟まっていたリンゴぐらいの大きさの子ゆっくりが平べったく変形しながら出
てきて、また丸くなった。黒い髪に赤いリボンをつけた、れいむ種の子ゆっくり。
れいむは舌でリモコンを操作して(普通のリモコンのボタンは押せないので、特
製のタッチパネルを私が作った)、TVセットの電源を落とした。私はれいむをつ
まみ上げて手のひらに乗せる。ぷよぷよというか、もちもちした触感。れいむは
「ゆゆっ、おそらをとんでるみたい!」とお定まりの台詞を言う。
成り行きで飼い始めた頃は、親指の先ぐらいの大きさの実ゆっくりだった。赤
ゆっくりの頃はしょっちゅう餌を食べさせなければならなかったし、ある程度大
きくなった今も、留守宅にゆっくりを置いておいても番犬の代わりにもならない
ので、毎朝れいむを連れて出勤している。研究室に置いておくと教授の秘書さん
や学生たちがかまってしょうがないので、私の個室に置いて、さすがに本は読ま
ない(読めない)ので、CATVの番組を観ていることが多い。
ゆっくりはおしゃべりなものが多いそうだが、このれいむはあまりしゃべらず、
たまに妙な動き(踊り?)をしているぐらいで、あとはぼんやりしていることが
多い。ただし食べることに関してだけは別で、朝昼晩の三食の時間になるとうる
さくなるし、それ以外でも私が何か口にすると自分も食べたがって騒ぐ。
ゆっくりの頃はしょっちゅう餌を食べさせなければならなかったし、ある程度大
きくなった今も、留守宅にゆっくりを置いておいても番犬の代わりにもならない
ので、毎朝れいむを連れて出勤している。研究室に置いておくと教授の秘書さん
や学生たちがかまってしょうがないので、私の個室に置いて、さすがに本は読ま
ない(読めない)ので、CATVの番組を観ていることが多い。
ゆっくりはおしゃべりなものが多いそうだが、このれいむはあまりしゃべらず、
たまに妙な動き(踊り?)をしているぐらいで、あとはぼんやりしていることが
多い。ただし食べることに関してだけは別で、朝昼晩の三食の時間になるとうる
さくなるし、それ以外でも私が何か口にすると自分も食べたがって騒ぐ。
仕事机に戻って、積んである書類とは反対側にれいむを置く。
「書類に触るなよ。崩れるから」と私が言うと、れいむは
「わかったよ。しょるいさんには、さわらないよ」とわかったような事を言うが、
あまりあてにはならない。キーボードをどけてティッシュペーパーを敷き、その
上に3個クッキーを載せてやる。プレーンが2個と、ココアが1個。
「待て」と私が言うと、れいむは私の顔を見て待っている。飼いゆっくりの基本
的な躾だそうだ。
「食べてよし」
「れいむはくっきーさんをゆっくりたべるよ!」
れいむはいそいそとティッシュペーパーの上に乗って、舌を伸ばしてクッキー
を1個巻き取り、口に入れてぽりぽりと噛み砕き、むにゃむにゃと噛んでから飲
み込む。
「しあわせーっ!」
ぱぁっ、という擬音が出そうな大袈裟な表情が可笑しい。私が席を立ってコー
ヒーサーバに行っている間に、ぽりぽり「しあわせーっ!」、ぽりぽり「しあわ
せーっ!」と2回。
席に戻ってコーヒーを一口飲むと、れいむは物足りなさそうな表情をしている。
「れいむはくっきーさん、もっといっぱいたべたいよ」
「でも、もういっぱい食べただろ?」
ゆっくりは数を2までしか数えられないのだそうだ。1個、2個の次は「いっ
ぱい」になってしまう。このれいむもそうだ。だから、3個食べさせれば「いっ
ぱい」食べたことになる、はずなのだが。
「いっぱいじゃないよ。ちゃいろいくっきーさんがにこと、くろいくっきーさん
がいっこだよ」
へぇ、と思った。ゆっくりは時に意外なことを言うことがある。
「2個と1個だと、いっぱいとは違うのか?」
「にこといっこは、いっぱいとはちがうよ」
「じゃあ、2個と1個を足すと、何個になる?」
「たす? たすさん?」
れいむは首(?)をかしげる。そうか、足し算はわからないか。私は興味を惹
かれて、袋からプレーンのクッキーを3個取り出し、れいむの前に、2個と1個
に分けて並べた。
「こっちは何個?」
「にこだよ」
「こっちは?」
「いっこだよ」
「じゃあ」クッキーをひとつに寄せて「これは何個?」
「……いっぱい」
ふむん。もう一度2個と1個に分けて、
「こっちは2個で、こっちは1個だろ」
「うん」
再びひとつに寄せて、
「2個と1個を合わせたものを、3個というんだ。わかるかな」
「さんこ?」
「そう、3個。言い換えると、2個を取ったら残りが1個になるなら、元は3個
ということ」
「さんこ……」
わかったようなわからないような表情をしているれいむ。私はクッキーのうち
2個をつまみ取って、れいむの左右のもみあげに1個ずつ持たせてやる。れいむ
種のゆっくりには赤い飾りのついたもみあげが顔(胴体?)の左右に1本ずつあ
り、その先端がわずかに動いて、軽いものなら掴むことができる。ただしたいし
たことができるわけではなく、舌の先のほうがまだ器用な程度だが。
「れいむのもみあげは、2個あるだろ?」
「うん」
「れいむのもみあげが持っているクッキーは、れいむのもみあげと同じ数だから、
2個だろ」
「うん」
「で、れいむの前にクッキーが1個あるだろ」
「うん」
「こういう時、クッキーは3個ある、というんだ」
「さんこ……」
何かわかったような表情。では演習問題にいってみよう。れいむからプレーン
のクッキーを返してもらい、袋から新しくココアのクッキーを3個出して、れい
むの前に並べる。
「クッキーは何個ある? さっきと同じようにしてごらん」
「……」
れいむは神妙な表情で、まず右のもみあげでクッキーを1個つまみ、続いて左
のもみあげでクッキーを1個つまんだ。そして、右のクッキーを見て、左のクッ
キーを見て、前に残ったクッキーを見て、それから私の顔を見て、言った。
「いっぱい」
「……うーん。まぁ、そんなとこかぁ」 思わず苦笑。れいむもにぱーっと屈託
なく笑う。
「食べてよし」
「ゆわーい」 れいむは舌ともみあげで3個同時に口の中に放り込み、ぱくり、
ぽりぽり、むちゃむちゃ、ごくり。「しあわせーっ!」
「書類に触るなよ。崩れるから」と私が言うと、れいむは
「わかったよ。しょるいさんには、さわらないよ」とわかったような事を言うが、
あまりあてにはならない。キーボードをどけてティッシュペーパーを敷き、その
上に3個クッキーを載せてやる。プレーンが2個と、ココアが1個。
「待て」と私が言うと、れいむは私の顔を見て待っている。飼いゆっくりの基本
的な躾だそうだ。
「食べてよし」
「れいむはくっきーさんをゆっくりたべるよ!」
れいむはいそいそとティッシュペーパーの上に乗って、舌を伸ばしてクッキー
を1個巻き取り、口に入れてぽりぽりと噛み砕き、むにゃむにゃと噛んでから飲
み込む。
「しあわせーっ!」
ぱぁっ、という擬音が出そうな大袈裟な表情が可笑しい。私が席を立ってコー
ヒーサーバに行っている間に、ぽりぽり「しあわせーっ!」、ぽりぽり「しあわ
せーっ!」と2回。
席に戻ってコーヒーを一口飲むと、れいむは物足りなさそうな表情をしている。
「れいむはくっきーさん、もっといっぱいたべたいよ」
「でも、もういっぱい食べただろ?」
ゆっくりは数を2までしか数えられないのだそうだ。1個、2個の次は「いっ
ぱい」になってしまう。このれいむもそうだ。だから、3個食べさせれば「いっ
ぱい」食べたことになる、はずなのだが。
「いっぱいじゃないよ。ちゃいろいくっきーさんがにこと、くろいくっきーさん
がいっこだよ」
へぇ、と思った。ゆっくりは時に意外なことを言うことがある。
「2個と1個だと、いっぱいとは違うのか?」
「にこといっこは、いっぱいとはちがうよ」
「じゃあ、2個と1個を足すと、何個になる?」
「たす? たすさん?」
れいむは首(?)をかしげる。そうか、足し算はわからないか。私は興味を惹
かれて、袋からプレーンのクッキーを3個取り出し、れいむの前に、2個と1個
に分けて並べた。
「こっちは何個?」
「にこだよ」
「こっちは?」
「いっこだよ」
「じゃあ」クッキーをひとつに寄せて「これは何個?」
「……いっぱい」
ふむん。もう一度2個と1個に分けて、
「こっちは2個で、こっちは1個だろ」
「うん」
再びひとつに寄せて、
「2個と1個を合わせたものを、3個というんだ。わかるかな」
「さんこ?」
「そう、3個。言い換えると、2個を取ったら残りが1個になるなら、元は3個
ということ」
「さんこ……」
わかったようなわからないような表情をしているれいむ。私はクッキーのうち
2個をつまみ取って、れいむの左右のもみあげに1個ずつ持たせてやる。れいむ
種のゆっくりには赤い飾りのついたもみあげが顔(胴体?)の左右に1本ずつあ
り、その先端がわずかに動いて、軽いものなら掴むことができる。ただしたいし
たことができるわけではなく、舌の先のほうがまだ器用な程度だが。
「れいむのもみあげは、2個あるだろ?」
「うん」
「れいむのもみあげが持っているクッキーは、れいむのもみあげと同じ数だから、
2個だろ」
「うん」
「で、れいむの前にクッキーが1個あるだろ」
「うん」
「こういう時、クッキーは3個ある、というんだ」
「さんこ……」
何かわかったような表情。では演習問題にいってみよう。れいむからプレーン
のクッキーを返してもらい、袋から新しくココアのクッキーを3個出して、れい
むの前に並べる。
「クッキーは何個ある? さっきと同じようにしてごらん」
「……」
れいむは神妙な表情で、まず右のもみあげでクッキーを1個つまみ、続いて左
のもみあげでクッキーを1個つまんだ。そして、右のクッキーを見て、左のクッ
キーを見て、前に残ったクッキーを見て、それから私の顔を見て、言った。
「いっぱい」
「……うーん。まぁ、そんなとこかぁ」 思わず苦笑。れいむもにぱーっと屈託
なく笑う。
「食べてよし」
「ゆわーい」 れいむは舌ともみあげで3個同時に口の中に放り込み、ぱくり、
ぽりぽり、むちゃむちゃ、ごくり。「しあわせーっ!」
人間が自然数を数えることができるのは、まず1があり、1の次として2があ
り、2の次として3があり、3の次として……、一般にnの次として(n+1)
があるという数学的帰納法の構造が自然数自体に含まれており、そしてその数学
的帰納法を処理する機能が、脳のハードウェアに先天的に備わっているからなの
だそうだ。
手の指と脳は神経によって密接に関連しているそうなので、あるいは指を折っ
て数を数えるという行動が、人間の脳に「数える」という機能をもたらしたのか
もしれない。
考えてみれば、ゆっくりの身体には人間の手足と指のような末端に向かって分
岐していく構造がなく、目は2個、口は1個、もみあげやおさげは1本か2本し
かないから、ゆっくりが2までしか数えられないのは、そういう身体的特徴によ
るものなのかもしれないなぁと、まぁこれは素人考えである。
り、2の次として3があり、3の次として……、一般にnの次として(n+1)
があるという数学的帰納法の構造が自然数自体に含まれており、そしてその数学
的帰納法を処理する機能が、脳のハードウェアに先天的に備わっているからなの
だそうだ。
手の指と脳は神経によって密接に関連しているそうなので、あるいは指を折っ
て数を数えるという行動が、人間の脳に「数える」という機能をもたらしたのか
もしれない。
考えてみれば、ゆっくりの身体には人間の手足と指のような末端に向かって分
岐していく構造がなく、目は2個、口は1個、もみあげやおさげは1本か2本し
かないから、ゆっくりが2までしか数えられないのは、そういう身体的特徴によ
るものなのかもしれないなぁと、まぁこれは素人考えである。
(おわり)
注:現代では自然数にはゼロを含めることも含めないこともあります。集合論や
論理学、計算機科学などでは含めることが多く、数論などでは含めないことが多
いそうです。歴史的には含めない立場のほうが先に現れたものと考えられます。
論理学、計算機科学などでは含めることが多く、数論などでは含めないことが多
いそうです。歴史的には含めない立場のほうが先に現れたものと考えられます。
作:クレイモあき
挿絵:儚いあき