ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko1760 クレイモア・ユン後篇
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ankoss
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・銃火器による駆除有り
・人間イジメ多少あり
・高性能ゆっくり多数出演
・独自設定並びにパロ複数あり
・祟り神前後篇に触れる部分あり。
以上の事を踏まえて、ゆっくりしていってね!!
外にいたゆっくり達が無残に殲滅されたころ、交流センター内に残ったゆっくり達は、玄関先にて、外にいるゆっくり達が戻ってくるのを今か今かと待ち望んでいた。
先ほど、ぱちゅりー達が外にいるにんげんさん達を追い返す為に、きんバッチをつけたゆん質たちを連れて出て行ったが、もうそろそろ…
とその時、玄関のドアが勝手に開いた―――ぱちゅりー達が帰ってきたんだと、いっぴきのれいむが出迎えの為に、ドアの前に飛び出した。
そして、れいむは、笑顔で出迎えのあいさつをした。
「ぱちゅりー、おかえり!!ゆっくし、ちゃばちゃ!!」
「出迎え御苦労、劣等種ども。そして、さようならだ」
返ってきたのは、踏み下ろされた靴底と侮蔑をこめた冷たい言葉だった。
頭を踏みつぶされ、ブルブルとお尻を振り続け、痙攣するれいむを踏みにじりながら、れいむをえいえんにゆっくりさせた人間―――大尉は、呆然とするゆっくり達に向かって、処刑宣告をした。
「抵抗確認、排除―――!!」
「「「「排除!!」」」」
踏みつぶされたれいむによって靴が汚れた―――れいむの抵抗を確認した大尉の合図とともに、隊員達は一斉になだれ込んだ。
クレイモアユン:後篇
=資料室=
「こっちだみょん!!みんな、はいるみょん!!」
「いそぐんだぜ!!みんな!!」
「ゆうう…だぐざん、みんな、しんじゃたよぉおおお!!」
「どぼぢで、ごんなごどに…」
群れの仲間達の死に、嘆き声をあげるゆっくり達であったが…
「みんな、なきたいきもちはわかるみょん。でも、いまは、ここをまもらないといけないみょん!!」
「ゆっ、そうだね!!もうすぐ、うまれてくるおちびちゃんのためにも!!」
「にんげんさんのすきかってにはさせないんだぜ!!」
この資料室―――今や、資料である紙で作られた巣が棚にずらりと並び、植物型出産のにんっしんをしたゆっくり達の出産部屋となった部屋―――では、むれの幹部であるようむが、生き残った仲間達とともに、にんっしんゆっくりを守るため、立てこもっていた。
そして、そのにんっしんゆっくりの中には、ようむの奥さんであるぱちゅりーも心配そうにようむを見ていた。
「むきゅ…ごめんなさい、ぱちゅりーたちがうごけないせいで」
「だいじょうぶだみょん!!ちゃんとぶきさんはよういしてあるみょん!!」
そう応える幹部ようむを筆頭に、出産部屋に立て籠もったゆっくり達には、調理場で手に入れたフォークやナイフ、包丁などが咥えられていた。
これだけ万全なら、大丈夫と幹部ようむが、安堵していると、突然、部屋の扉がゆっくりと開きだした。
ドアノブのついた扉をゆっくりが開けられるわけはないので…
「ゆぅうううう!!とびらさんがひらいているよ!!にんげんさんが、きたんだよ!!」
「まかせるんだぜ!!ここはまりささまが、くそにんげんをせいっさいしてやるんだ…ゼ?」
果敢にも一匹のまりさが、フォークを口に咥えて、扉に向かって、跳びかかろうとするが、まりさの目の前に現れたものに、思わず、フォークを口から落とし、あんよを止めた。
金属製の放出口、そこから噴き出る液体、さらには、ボンベを背負い防火服に身を包んだ人間らしきもの―――何が起こるか火を見るより明らかだった。
「抵抗確認、排除」
「ゆ、ぎゅげぇああああああ!!あづいいいいいい!!ばりざのすでぎなおぼうじざんが、ざらざらがみざんがあああああ!!めらめらざん、やべでぇええ!!いぢゃあづ、おべべ、おべべがみえないよおおお!!」
武器による抵抗を確認した隊員は、手にした火炎放射器から燃える液体燃料を噴射させると、扉の前にいた、まりさを飲み込んだ。
火達磨となったまりさは、燃えやすい黒帽子の飾りや金髪はあっという間に焼け落ち、白玉で出来た眼も弾け飛んだ。
ゴロゴロと転がり、焼かれながら、自分を燃やす炎に命乞いをしつつ、泣き叫ぶまりさだったが、そんな事で火が消える事はないし、呼吸をしないゆっくりは、窒息死することはないので、中枢餡が燃え尽きるまで、簡単には死ねない。
立て籠もったゆっくり達にとって不幸だったのは、ここは資料室だったこと―――燃えやすい紙には事欠かない。
「あぢゅういいいいいいいぃいいい!!だずげでぇえええええええ!!」
「ゆうううう!!ばりざあああ、ゆっくりし、<そっちにいるんだね、れいむううう!!>ゆ!!ゆっぐりこないでね!!こっちにこないでね!!<どぼでいで、ぞんなごどいうのおおお!!>ごっぢにぐるなぁあああああ!!ゆぎゃあああああああ!!」」
メラメラと燃えるまりさを、心配そうに呼びかける棚にいる一匹の植物出産型れいむだったが、それがいけなかった。
れいむの声に反応した火達磨まりさが、れいむのいる方へ転がりながら迫ってきた。
身の危険を感じたれいむが、まりさに近づくなと声を上げるが、時すでに遅く、火達磨まりさは、そのままれいむのいる棚に突っ込んだ。
当然、火達磨まりさの炎は、巻き込まれたれいむはもちろん、ばら撒かれた紙に引火し、一斉に棚全体に広がり始めた。
「なんで、めらめらさんが、ごっぢにぎでるのおおお!!ぎゅぎいいいいいいい!!」
「ゆううううう!!どがいばなありずば、にげ、あがぢゃんがいるんじゃうごけないいいいい!!」
「やべでぇよおおお!!うごげないんだよおおお!!わがらないよおおおお!!らんじゃま、だず、ぼえるううよおおおお!!」
「ばぢゅは、ぼりのげんじゃ、ねぎいいいいいいい!!ぼえちゃう!!ぜんぶ、ぼえぢゃうううう!!」
「ゆ、ゆっきゅりうまれりゅよ!!ゆっきゅりしちぇ、あぢゅ!!」
さらに不幸だったのは、棚にいるゆっくりの大半が、赤ゆっくりが生れるまで、動きの鈍い植物妊娠型のゆっくりだったことだった。
必死にもみあげを振り上げて、火を遠ざけようとするれいむ、逃げようとするものの、額にある実ゆっくりと生る蔦があることを思い出し、動けないありす、いもしないらんに助けを求めながら、焼かれるちぇん、炎に飲み込まれ、断末魔の叫びを上げながら燃え尽きるぱちゅりー、生れてはいいが、すぐさま燃え盛る紙束の中に落ち、燃え尽きる赤ゆっくり…炎は平等に、棚にいるゆっくり達を飲み込んだ。
新しい命が生れはずだった部屋は、生きながら焼かれるゆっくり達の、阿鼻叫喚の地獄絵図へと化していた。
「もういやじゃああああ!!おうぢ、がえるううううう!!」
「ま、まりさは、にげるんだぜ!!」
「ゆぐぅ!!でいぶをゆっくりさせないあかちゃんなんで、いらないよ!!でいぶは、にげるよ!!」
ここはもうゆっくりできない―――そう判断した多くのゆっくりは、すぐさま逃げだそうとした。
だが…
「抵抗確認、排除」
「がえ、ゆがええええええええぇえええ!!」
「抵抗確認、排除」
「のろまなありずば、ごごでじ、ぢんじゃううううううう!!」
「抵抗確認、排除」
「さっさと、ごごをどうぜええええ!!でいぶは、でい、ゆばあぁつ!!」
扉の前にいた隊員の持つ火炎放射器によって、逃げだそうとしたゆっくりも、全て焼きつくされた。
逃げる事さえ、もはや抵抗とみなされていた。
やがて、炎に飲み込まれた全てのゆっくりが、断末魔の絶叫と命乞いの悲鳴を上げて、炭でできたデスマスクとなり、永遠にゆっくりした。
「ぢん…ぼ、ぉ…」
「む・・・ぎゅ…」
そして、指揮をしていた幹部ようむも、妻のぱちゅりーを助けようとして、そのまま、炎に飲み込まれ、そのままぱちゅりーと共に炭饅頭として永遠にゆっくりした。
=調理室=
資料室にいたゆっくり達が炎に焼かれていたころ、ここ調理室では、群れの保育係であるゆっくりや親ゆっくりによって、避難してきた群れの子ゆっくりや赤ゆっくりが、集められていた。
「ゆえーん!!ごわいよおおおお!!」
「ゆっくちできにゃいよ!!」
「にゃんで、れいみゅたちは、わるいこちょしちぇないのに…」
ここに来た時は、ずっとゆっくりできると思っていた子ゆっくりと赤ゆっくり達は、突然やってきたゆっくりできない人間によって、ゆっくりできないでいた。
ゆっくりできない状況は、ある程度成長したゆっくりならば、影響は少ないが、子ゆっくりや赤ゆっくりなどの体の弱いゆっくりは、ゆっくりできない状況が続くと、非ゆっくり症になり、最悪、餡子を吐き出して、永遠にゆっくりしてしまう。
「ゆう、おちびちゃんたち、ぜんぜん、ゆっくりできてないよ…」
「このままだと、まずいわね…」
何とか子ゆっくりや赤ゆっくり達を宥めようと、群れの保育係のリーダーである幹部れいむと幹部ありす二匹は、親ゆっくりや保育係らと一緒に、すりすりやおうたで、ゆっくりさせようとするが、所詮その場しのぎにすぎなかった。
「なんとか、おちびちゃんたちをゆっくりさせないと…」
「だいじょうよ、れいむ!!ドスがきっとなんとかしてくれるわ!!」
落ち込む幹部れいむを、慰める幹部ありす。
このおちびちゃんたちは、次の世代を担であろう、群れの希望なのだ。
群れは、成長したおちびちゃん達によっても、もっとゆっくりした群れにしてくれるはずだ。
「そうだね、ありす!!はやく、おちびちゃんたちをゆっくりさせてあげないとね!!」
「ええ、そうね!!」
再び、やる気を取り戻した幹部れいむとともに、おちびちゃん達をゆっくりさせようとする幹部ありすだったが、今から5分後には、調理室にいる全てのゆっくりが、ゆっくりすることとなる。
もっとも――――
「おちびちゃんたち、みんな、ゆっく―――カラン―――ゆっ?」
「なに、あれ?」
「「「「「ゆ?」」」」」
―――永遠という言葉が、ゆっくりの前に付くのだが。
突然、鳴り響いた聞きなれない音に、一斉に振り返るゆっくり達が見つけたのは、握りこぶしぐらいはありそうな筒状の金属物だった。
あんなものあったかと、首をかしげるゆっくり達だったが、次の瞬間、その筒から一斉に白い煙が噴き出してきた。
「ゆっ!!なんなの!!」
「みゃみゃ、きょわいよー!!」
「ゆぅ!!やめちぇねぇ!!もくもくさんは、ゆっきゅりできないよ!!」
勢い良く噴き出す煙に、ゆっくり達は、口々に騒ぐが、筒から一向に煙が消える事はなく、さらに勢いよく噴き出し始めた。
「ゆうううう!!ゆっきゅりできないもくもくさんは、まりしゃがせいっさいしゅるよ!!」
「ゆっ!!おちびちゃん、あぶないよ!!」
やがて、一匹の子まりさが、親れいむが止めるのも聞かず、煙を噴き出す筒に向かって体当たりをしようと、勢いよく向かっていき―――
「ゆっきゅりできないもくもくさんは、ゆっきゅ、ゆ、ゆ、ゆげええええええええええ!!!」
「でいぶのおぢびじゃんがぁあああああ!!あんござん、はいじゃだ、ぎゅげえええええ!!」
―――噴き出す煙に入った瞬間、子まりさは、口から勢いよく餡子を吐き出し、あっけなく死んだ。
子まりさの死に嘆きながら、子まりさの亡骸に近づこうとした親れいむだったが、叫びながらであったために、煙を大量に吸った瞬間、すぐさま、大量の餡子を吐き出し、子まりさの後を追った。
ゆっくり親子の命を奪ったのは、筒状の金属物―――手投げ式催涙弾から噴出された煙に含まれる唐辛子成分であった。
本来は、抵抗する犯人を無傷で捕らえる為の非殺傷武器なのだが、辛みに対し、致命的に弱いゆっくり達に、特に赤ゆっくりや子ゆっくりに対し、充分な殺傷能力を持っていた。
「むぎゅうううう、みゃみゃたずげ、えれえれえれえれえれ…」
「がらいいいいい!!まりしゃのぎれいなおべべがいだいいいい!!ゆぐぅえええええ!!」
「みゃ、みゃ、みゃ…みゃ…だ、ぢゅ、げぇえええええええ!!」
「おぢびぢゃんんんん!!ゆっぐりじでね、ぺーろ、ぺ、ゆぐばげぇがぁ!!」
次々に催涙弾の煙に巻かれ、ゆっくりにとって猛毒の煙を吸い込むのは、もちろん、刺激物による目の痛みに耐えかねて、子ゆっくりや赤ゆっくり達は、餡子やクリームを勢いよく吐き出してし、親ゆっくりに助けを求めながら、苦悶に満ちたゆっくりとは程遠い表情で次々に死んでいった。
そして、親ゆっくり達も、瀕死の我が子を助けようと、ぺーろぺーろと舌でなめるが、子ゆっくりの皮膚に付着した辛み成分により、餡子を吐き出し、我が子の後を追う事になった。
「ゆ。ゆぐううう!!みんな、おちびぢゃんたちをはやぐ、おぐぢのながにいれるんだよおおおお!!」
「ゆぇーん、ぎょわいよおおおおお!!」
「おぐぢのながなら、もぐもぐざんははいってごないわ!!」
「もぐもぐざんは、ゆっぐりでぎないよおおおお!!」
そんな毒ガス処分室さながらの光景が繰り広げられている中、幹部れいむと幹部ありすは、生き残った親ゆっくりや保育ゆっくり達に、未だ生き残っている子ゆっくりと赤ゆっくりを口の中に入れるよう指示を出した。
確かに、これならば、子ゆっくりや赤ゆっくりは煙に巻かれて死ぬ事はないし、目や皮が痛いものの、ある程度耐性のある成体ゆっくりならば、長時間煙の中にいないかぎりは、大丈夫だ。
ただし…
「…」
((((どぼぢで、にんげんざんがごごにいるのぉおおおおお!!))))
いつの間にか、調理室に置かれてあった段ボールから、隠れていた隊員が出てきた時点で詰んでいるのだが。
突如、現れた人間に恐れおののくゆっくり達ではあったが、隊員は動けないでいるゆっくり達には目もくれず、棚に置かれてある小麦粉や砂糖などを、部屋のいたるところにまんべんなくばら撒き始めた。
(あまあまさんでつろうなんて、あまいよ!!れいむたちはおくちをぜったいあけないよ!!)
(おちびちゃんたちは、ありすがぜったいまもってあげるからね!!)
あまあまさんで油断させて、口を開けたところで、毒の煙を吸わせるつもりだと思った幹部れいむ達は、口を固く閉じた。
野生のゆっくりではあるが、この群れのゆっくりは、中々知恵は働くようだ。
「ゆ、甘アマザ…ゆぐばぁちゃ!!」
「「「ゆgきゅり、おそちゃおばぶぇ!!」」」
((どぼじで、おぐぢをあげぢゃうのおおおおおおおお!!))
一部を除いてだが。
「…」
そうこうしているうちに、小麦粉と砂糖をばら撒いていた隊員が、調理室全体に、砂糖や小麦粉が空中を漂っている状態になったのを確認すると、ポケットから取り出した手投げ式燃焼弾のピンを抜くと、すぐさま、調理台の下にある金属製の戸棚に潜り込んだ。
(ゆっ?どうしたのかな?)
(きっと、ありすたちにおどろいて、かくれたのよ!!とんだいなかものね!!)
自分達に攻撃を仕掛けない隊員に対し、戸惑う幹部れいむと安堵する幹部ありすだったが、その答えは数十秒後、燃焼弾が着火した瞬間、すぐさま現れた。
現在、調理室は、小麦粉や砂糖などの可燃性の細かい粒子が空気と混合している状態にある。
この時、何らかの火種を発生し、空気と可燃性粒子が連鎖的に燃え広がって爆発する現象の事を―――
(いまのうちよ、さっさとここから、にげ、ぶぎゅらぇ!!)
(あ、ありず、ゆばがぁ!!)
(なんなんだぜぇ、ぶらぁ!!)
―――粉塵爆発と呼ぶ。
「い、いぢゃ、い、だ、だぢゅげで、おがあ、ざ…」
「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ…」
「ぼっど、ゆ、ぐ、り…」
爆発の威力は凄まじく、幾つかの机はひっくり返り、全ての窓ガラスは粉砕され、きれいに整えられた調理室は見る影もなくなった。
爆心地の近くにいたゆっくり達は、爆風により飛び散った餡子と皮のシミとなり、遠くにいたゆっくりも、爆風に吹き飛ばされ、壁に叩きつけらたり、ひっくり返った机に押し潰されたり、割れた窓ガラスが全身に突き刺さったりなどして、程なく永遠にゆっくりすることになった。
「あ、ありず…ゆっぐり、ゆっぐりぃいいい…」
爆発の際に飛び散った何本もの箸を突き刺さった状態で事切れた幹部ありすの亡骸を前に、幹部れいむはなすすべもなかった。
幹部れいむは即死こそ、免れたものの、爆風の衝撃で壁に叩きつけられた際、おくちの中に入れたおちびちゃんとともに、相当数の餡子を吐き出してしまい、ぐずぐずに崩れた子 ゆっくりの遺体と自分の餡子に埋もれたまま、余命いくばくもない状態だった。
仲間の死体しかなくなった調理室…結局、自分達は群れのおちびちゃん達を守れなかったと、幹部れいむが絶望する中、奇跡は起こった。
「ゆっきゅりでりゅよ!!」
「ゆああああ…おちびちゃん…」
幹部れいむの前に現れたのは、どうにか戸棚に隠れて、唯一生き残った一匹の赤ゆっくりれいむだった。
駄目な、れいむだったけど、このおちびちゃんはゆっくりさせてあげられたよ…とむせび泣く幹部れいむは、ゆん生最後の言葉を、おちびちゃんに発した。
「お、おちびちゃん…ゆっくりして、い、て、ね…」
「ゆっ、ゆっきゅりしちぇ<抵抗確認、排除>びゅげぃ!!」
「ゆ?お、おちびちゃんがあああ、ゆんやぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
幹部れいむの最期の言葉は、赤ゆっくりれいむと同じく戸棚に隠れていた隊員によって、赤ゆっくりれいむが踏みつぶされた事に対する、絶望の絶叫だった。
=会議室=
交流センター内で次々に駆除されていった群れのゆっくり達の中で、もはや生き残っているのは、会議室に立て籠もった3匹のゆっくりを残すのみとなった。
「ゆううう…皆、大丈夫かな…」
「ドス、おちこまないで!!みんな、きっとだいじょうぶよ!!」
「ゆっ!!そうだよ!!れいむがいれば、だいじょうぶだよ!!にんげんさんは、ばっちさんをつけてれば、なにもしないよ!!」
群れの仲間を心配する、群れのリーダーである体長5mはある大型ドスまりさを、副リーダーのぱちゅりーは、優しく慰め、近くの森で放し飼いにされた際に、群れに住むゆっくり達の数が増えた為に、食糧難にあっていた大型ドスの群れに対し、この交流センターに群れを連れてくることを提案した飼いゆっくりであるれいむ―――金バッチ付でいぶも、自信満々で答えた。
本来なら、金バッチ付ゆっくりとして、躾けられているはずなのだが、このれいむは、相当飼い主に甘やかされていたのか、ほとんど野良でいぶと変わらないありさまだった。
「むきゅ、それより、これから、どうするか<ふんっ!!>、まちょぴっ!!」
「ば、ばちゅりいいいいいいい!!」
「ここにいたか、さぁ、排除させてもらうぞ」
が次の瞬間、会議室のドアが蹴り破られ、倒れたドアがぱちゅりーの真上に圧し掛かり、ぱちゅりーはそのまま押し潰された。
副リーダーであるぱちゅりーの死に、大型ドスは叫び声をあげると、ドアを蹴り破って入ってきた人間さん達―――大尉と中尉、それと駆除を終えた隊員数人が大型ドスの前に立った。
「どぼぢで、ごん、ぎゅべぁああああああああ!!」
「喋るな、死ね」
群れの仲間をゆっくりさせなくした人間に、大型ドスは、疑問の声を上げようとするが、ドスの鳴き声を聞くつもりもない、大尉はとりあうことなく、バックから取り出した得物―――ゆっくりのみに分かる強烈な死臭がこびり付いた、人の背丈と同じくらいの長さとずっしりとした重量感のある大型レンチで、大型ドスの顔を叩きつけ、そのまま、窓ガラスを突き破って、外の広場へとふっ飛ばした。
「逃がすかぁ!!」
「いや、あれ、逃げたんじゃないと思う。逃げるってのは―――そろーり、そろーり―――こういうのを言う」
「ゆべぇ!!」
窓の外に出た大型ドスを追いかける大尉に、一応つっこみを入れつつ、中尉は、逃げだそうとする金バッチ付でいぶを踏みつけた。
=交流センター広場=
「ゆうううう!!もう許さ、ゆべぇい!!」
「黙れ、劣等種の苗床が」
「ゆ、いぢゃいいいいいい!!どずのおべべがぁああああ!!」
「まだだ、まだ、足りんわ!!左目の次は歯だ!!髪だ!!その下膨れの皮もだGEHYAAAAAAAAAAAA!!」
「やべぇでぇええええ!!ひぎぇいいいい!!いぢゃいいいい!!」
外に投げ出された大型ドスは地面に叩きつけられた体を起こそうとするが、追いかけてきた大尉にまたもや、大型レンチで叩きつけられ、起き上がりを阻止された。
そして、大型レンチを地面に突き刺した大尉は、倒れた大型ドスの上に馬乗りになると、容赦なく大型ドスの左眼に手を突き刺すと、そのまま抉るようにドスの左目をアマギった。
さらに、そのまま、笑い声を上げる大尉は、ドスの右目、前歯、髪などを素手で引きちぎり、大型ドスの絶叫をBGMにドスの解体を続けた。
「ゆぐううううう!!どぼぢでぇ、ごんなごどずるの、おにいざぁん!!びんな、ゆっぐりじだいだげなんだよ!!ごはんざんないがら、しょうがなが、ゆびぃ!!」
「知るか、劣等の温床。間引く事も規制する事も出来ない劣等饅頭が。塵芥にも劣るわ」
「ゆぐぐぐぐぐ…ごうなっだら、ドズスパークを使、ゆっ?」
既に満身創痍である大型ドスであったが、切り札であるドススパークを使う為に、魔法キノコを口の中に入れる―――
「反撃なんぞ、何時許可した…この糞袋がぁあああああ!!」
「おぞらぁあああああ、<ZUN!!>ゆぎぃ!!<ZUN!!!>ゆぐべぇ!!<ZUN!!!!>ゆごぉ!!?」
直前、地面に突き刺した大型レンチを手にした大尉は、巨大なハサミへと変形した大型レンチを使い、大型ドスの巨体を挟み込み、そのまま、頭上へと持ち上げた。
もち上げられた大型ドスは、ゆっくりの本能なのか<おそらとんでいるっみたい~>などとほざこうとするも、大型レンチに取り付けられたパイルバンカーの杭が大型ドスの体を突き刺し、穴だらけにした。
「いぢゃい、もう、やべで…ゆ、ドスの体が、餡子さんを押さえつけないでぇえええ!!ゆっぐりでぎないよおおおおおお!!」
「冥土の土産だ―――私はれっきとした、女だぁあああああああ!!」」
「もっど、ゆぐ、ぎゅ、ゆぎゃあああああああああああああああああああああああああああ!!」
そしてついに、群れのリーダーとしての立場を忘れ、泣き叫ぶ大型ドスを、大尉は一切耳を傾けることなく、自身の性別を吠えながら、大型ドスの体を、切れ味の悪いハサミのように挟みちぎり、餡子の雨をまき散らした。
「あ~お疲れ様」
「ふぅ…こっちは終わったぞ。そっちはどうだ?」
「ん~一応、重要参考ゆっくりになりそうなんで、金ゲスでいぶ確保っと。あと、バッチ付ゆっくりを一応保護。まあ、2,3匹巻き込まれたけど、群れのゆっくりは全滅したから、問題ないでしょ」
「ばなぜぇえええ!!!ぐぞじじい、でいぶのびごびござんに、ざわるなぁああ!!」
「うわぁ、うぜぇ<おい、お前ら!!俺のれいむになにしてんだ!!>ん?」
餡子まみれとなった大尉に、中尉が会議室にて捕まえた金バッチ付れいむのもみあげを掴みながら、交流センター内での駆除完了の報告をした。
後は、任務終了の指示を出すだけとなったところで、野次馬の中から、一人の青年―――金バッチ付れいむの飼い主が駆けよってきて、中尉のもつ金バッチ付れいむを奪い取ると、大尉と中尉に怒鳴りつけてきた。
「ちっ…大丈夫だったか、れいむ?」
「ゆん!!おにいざん、ごわかったよ―――!!」
「まったく…おい、お前ら、俺のれいむが傷ついたら、どうするつもりだったんだ!!」
「…知るか、ぼけ。そもそも、交流センターの占拠されたのも、放し飼いされたこのれいむが連れ込んだと聞いているが?」
「はぁ?何言ってんだ、お前?馬鹿か?死ぬか?うちのれいむが、そんなことするわけねぇだろ?そもそも、放し飼いしちゃいけないって、法律でもあるのかよ?」
「……ゆっくりを飼う上でも配慮すべきことだと思うがな。」
「あ~それと君ね。今、確認取ったら、希少種保護区域でも同じようなことしてるね。一回目だから厳罰注意で済んでるけど、今回は2回目。しかも、ここまで、大きな事件になるとさすがに…」
「はぁああああああ!?何、差別してんだよ!!希少種優遇してんじゃねぇよ、ぼけぇ!!」
「――――――あ?差別と区別の違いも分からん屑が何か言ったか?」
あ―――そろそろやばいかも…と、よほどれいむを溺愛しているのか、こちらを一方的に敵視し、飼い主の義務を果たさず、文句ばかりを口にする餡子脳青年に、マジでキレちゃう五秒前な大尉を見比べて、中尉はやれやれと肩を落とした。
実際に、何度かこういったモンスター飼い主を称される連中とは、現場でしょっちゅう衝突していた。
どうしたものかと考えていると、中尉は、ふとある事に気付いた。
そして、隊員達に、最近、配備されたある装備の設置を手信号で指示を出すと、大尉に喰ってかかる青年を宥めるように抑えた。
「まぁまぁ、落ち着いて、落ち着いて…」
「邪魔してんじゃねぇよ、爺!!それとも、何か、てめぇが謝るってか?」
「ゆっ!!そうだよ!!れいむとおにいさんにゆっくりしないであやまってね!!」
「ん、あ、はいはい…」
興奮冷めあらぬ青年と罵声を浴びせる金バッチ付れいむに対し、ひとまず中尉は、地面に正座し、手を前に添えて、頭を擦りつけるように地面へと降ろし、青年の前で土下座した。
「はっ!!なんだ、そりゃ?あんたにゃ、プレイドってもんがねぇのか?惨めだなぁ~」
「おお、あわれあわれ」
「そりゃ、そうでしょう…なんせ、頭伏せてないと危ないし。後、後ろ注意」
「「へ(ゆ)?」」
土下座する中尉を嘲るように笑う青年と金バッチ付れいむであったが、中尉の言葉にふと後ろを振り返った瞬間―――
「ドズの群れをめぢゃぐぢゃにじだにんげんざんは、じねぇええええええ!!」
「ゆうううう!!どずううううう!!」
「ひっ!?なんで…!?」
中枢餡が無事だったのか、それとも気力で復活したのか、千切れた体を無理やり動かし、大型ドスまりさが、魔法キノコを咥え、ドススパークを放たんとしているところだった。
慌てて逃げようとする青年だったが、前を向いた瞬間、すぐさま凍りついた。
いつの間にか待機していた隊員達が、大型ドスに向けて銃を構え、さらに大尉は最近配備された装備―――人類史上最速の連射速度を誇る化け物銃―――正式名称:メタルストーム重機関銃の発射態勢に入っていた。
怒り狂うドスに狙いをつけて、その射線上にいるであろう青年と金バッチ付れいむ無視するかのように。
「お、おい、待てよ!!俺は人間だぞ!!今、撃ったら、俺まで巻き込まれるじゃねぇか!!」
「え、何言ってんの、おたく?そういうの覚悟して、危ない作戦区域にずかずかはいりこんだんだろ。まあ、その愛護精神には感心してやるから、尊い犠牲になりなよ」
「どぼぢで、ぞんなごどをいうのおおおお!!」
「ふ、ざけるなぁあああ!!俺は人間だぞ!!大体、そんなこと許されるわけが…!!」
「ああ、それね。問題ないんだよ。そういうのが許可されてるから」
「…え?」
中尉の言葉に耳を疑い、訳が分からず戸惑う青年であったが、事実であった。
クレイモア・ユンに与えられたもう一つの権限とは、<作戦区域に指定された場所に、作戦終了前に、一般人が現場の隊員の指示を無視して、入り込んだ場合、ゆっくり駆除において、この一般人がいかなる被害をこうむろうとも、一切の責任を問わず、法律の外に置く>―――すなわち、作戦区域に無断で入り込んだ人間は、何をされようが文句は言えないということだ。
それこそ、ドススパークを放とうとするドスまりさの目の前に、民間人が立っていたとしても。
一応、隊員達の使用する銃に使われるのは、そういったことを配慮したゴム弾なのだが。
「え、ちょ、ちょっと待て…俺は一般人だぞ、守るべき国民だぞ、撃っていいわけないだおおおおおおおお!!」
「うん、まあ、気の毒だとは思うんだけどさ…権利ばかり主張して、背負うべき義務も、権利に対する責任を持たないようなゆっくり並の人間なんぞ、どうなろうが知ったこっちゃねぇんだよ」
「ひっ、ま、待て…」
「だが、断る。なぜなら―――――大尉を、俺達の隊長を、俺の妹を侮辱した馬鹿なんぞ助けたくない」
悲鳴じみた声出す青年の懇願を、表情には出さないものの、自身の妹である大尉を罵る男なんぞ死ねといわんばかりに、ばっさりと切り捨てた中尉は、そのまま地面に低く伏せた。
それを見ていた青年も慌てて、地面に伏せようとするが、もはや手遅れだった。
「抵抗確認…」
「ま、待て…俺は俺は、人間だぞ!!」
「い、いやじゃああああ!!ごべんなざい、だずげでぐだざいいいいい!!」
「じねぇえええええ、ドズ―――」
大型ドスのドススパーク発射態勢を確認し、こちらも発射態勢に入る大尉と隊員達、先ほどまでの威勢はどこに行ったのか、泣きながら、必死に発砲を呼びとめる青年と金バッチ付れいむ、そして、ドススパークを発射せんとする大型ドス―――
「排除ぉ!!」
「俺―――――」
「ゆんやああああああ――――」
「ズバ―――――」
大尉の合図とともに発射された無数の銃声が、青年と金バッチ付れいむの悲鳴、そして、大型ドスの声をかき消した。
青年は悲鳴や叫び声を上げる間もなく、ただ一方的にゴム弾の集中砲火を浴び続けた。
金バッチ付れいむは、青年の腕の中で、ぐしゃぐしゃにつぶれ、饅頭の皮と餡子の塊となった。
そして、群れのリーダーであった大型ドスは、青年の体が盾となった部分を残して、全て弾け飛んだ。
「…流れ弾だな」
「流れ弾っすね」
身勝手な民間人が、隊員の指示を無視した結果、ドスまりさの排除に巻き込まれただけ―――それがこの光景を見ていた公餡課の二人の感想だった。
その後、あの金バッチ付れいむの飼い主である青年は、病院へ搬送され、死ぬよりましと死んだ方がましの中間を彷徨っていたが、なんとか一命は取り留めたものの、あの事件以来二度とゆっくりを飼う事はなかった。
また、この事件以降、ゲス化を恐れた飼い主による飼いゆっくりの殺処分が多発、結果として、野良ゆっくりの増加をふせぐこととなった。
なお、この手の事件に過敏に反応するであろうゆっくりピースならびに、ユーシェパードなどのゆっくり愛護団体からの批判は消極的なものを除き、ほぼ皆無であった。
なぜなのか…その答えは、クレイモア・ユンの隊員達にあった。
=クレイモア・ユン専用車両=
「あ~今回も派手な駆除だったよなぁ…帰って、飯喰いたい」
「そうだな。報告書をまとめてからの話だが」
「…性格悪いぞ、お前」
「ふん。兄上殿よりかは、しっかりしているがな」
任務終了と言う事もあり、普段通り、互いに軽口をたたき合う大尉と中尉―――ヘルメットを脱ぎ、長い黒髪をポニーテールのように纏めた、麗しい女性―――右目の眼球のある部分が、空洞になっていることを除けばだが―――と、顔立ちが細く、ともすればチンピラと間違われそうな人相の悪い男。
「っと、お前らも、そろそろいいぞ。さすがに、そろそろきつくなってきただろ」
とここで、隊員達の忙しない様子に気付いた中尉が気を利かせて、隊員達にヘルメットを取るように促した。
そして、隊員達が、中尉の許可を得るや、はしゃぎながら、フェイスガード付きのヘルメットを脱ぐと…
「じゃお、じゃお」
「げらげらげらげら」
「まったく、今日もいっぱいやりたいもんだねえ、中尉殿」
「こいしは、おふろがいいなぁ」
「もこたん、おふろにいんしたお!!」
「ゆっ、やっぱり、むれるんだぜ、へるめっとさんは」
「むきゅ。おつかれさま、まいむ」
「どすを2とうやっつけたんだよーすごいよー!!」
汗だくになった顔をタオルで拭くめーりんが、げらげらと笑いながら、自分の得物を片づけるうどんげが、ジャックハンマーを肩にかけ、中尉に帰ったら一杯やろうと勧めるゆうぎが、小麦粉と砂糖まみれになった防護服を払うこいしと、防火服を脱ぎ、こいしの言葉に賛成するもこうが、ヘルメットを脱ぎ、餡子で汚れたドスノッカーを拭うれいむ種とまりさ種の混合種:まいむが、そのまいむに激励の言葉をかけるぱちゅりーとちぇんが―――大尉と中尉を除くすべての隊員―――胴付きゆっくり隊員達の任務終了を喜び合う笑顔があった。
これが、愛護団体がクレイモア・ユンを批判できない一番の理由であった。
確かに、隊員達が、人間である場合、過剰攻撃ともいえる銃火器でもって、ゆっくりを駆除したなら、虐待或いは虐殺などの批判が出よう。
だが、胴付きとはいえ、ゆっくりが隊員である場合は、その駆除は、にんげんをゆっくりさせなくしたゆっくりに対する正当なせいっさいとなり、銃火器の使用も、せいっさいの際に使う棒きれの延長上だとすることもできる。
なにより、愛護団体の多くは、ゆっくりの社会進出を目指すものもあり、駆除活動も立派な仕事である以上安易な批判はできないのだ。
「しかし、まぁ、成せばなるもんだねぇ」
「発足した当時は耳を疑ったがな」
思い思いに話す隊員達をみて、大尉と中尉は、クレイモア・ユン発足当時の事を思い出した。
クレイモア・ユンの設立が検討された当初、やはりというべきか、ゆっくりんピースやユーシェパードなどの愛護団体系列でつながった議員達から非難が集中した。
曰く、人間が、自然の一部であるゆっくり達を殺すなどもってのほかだ!!
曰く、これは駆除の名を借りた虐待ではないか!!
このほか、様々な誹謗中傷があったが、あらかじめ予想していたのか、それとも狙っていたのか、クレイモア・ユン設立の支持者である総理の発言が、愛護派議員達を黙らせた。
「なら、同族であるゆっくり達にせいっさいしてもらおうじゃないか。自分達の罪を清めるという意味でもね」
この発言には、愛護派議員はおろか、愛護団体の人間達は呆れを通り越して、大笑いしながら、どうぞお好きにと答えた。
ゆっくりにとって、同族殺しは御法度―――ゆっくりに於ける定説を愛護派の面々は、ゲスやレイパーなどには目をつむる形で、ゆっくり性善説というべきものを、完全に信じ切っていた。
クレイモア・ユン設立までは。
彼らは知らなかった―――総理がどれほど、本気かという事を。
彼らは知らなかった―――かつて、総理の故郷が、複数のドスに率いられた普通種の群れによって、壊滅的な被害を受けた事に。
彼らは知らなかった―――それが、ゆっくりに関する知識もなく、ただ愛でるだけの愛護派と称する団体によるゆっくりの繁殖力を無視した、無計画な保護活動が原因ということに!!
まず、クレイモア・ユン設立の為に、総理などの関係者は、あらゆる人脈―――財力の世界、権力の世界、そして、非合法の極みと言える暴力の世界の住人など―――を使い、人材集めに奔走した。
そして、集められた研究チームにより、実験と実戦を繰り返し、何十、何千、何万の失敗と、ゆっくりの死骸を積み重ねながら、只管研究に日々を費やしていった。
やがて、軍用レーションを中身として入れ替える性格矯正手術や激しい戦闘にも耐えられるゆっくり専用義体―――通称:ゆ体の開発成功により、対ゆっくりせいっさい部隊であるYWAT―――後にクレイモア・ユンと呼ばれる部隊が設立した。
「しかし、ま、今後は愛護団体過激派の動きが、気になるところだがね」
「構わん。ゆっくり並の餡子脳なんぞ、劣等種ともども、排除するのが、世の為だ」
クレイモア・ユンの活動にもっとも抵抗するであろう愛護団体との衝突を懸念する中尉と、それをも覚悟して徹底抗戦するつもりの大尉。
ちなみに、隊員選考やクレイモア・ユンの担当した任務には、数々のドラマが生れたのだが、それは後ほど語らせてもらおう。
なぜなら…
――――数年後
「おにいさーん!!おきるんだぜ!!ふもとのドスがたずねてきたんだぜ!!」
懐かしい夢を見ていた。
かつて、ここに来る前、所属していた部隊の思い出を。
自分を、懐かしい夢から現実に引き摺りだしたのは、引退の際に引き取った黒帽子を被った黒髪の胴付きゆっくり―――れいむ種とまりさ種の混餡ゆっくり:まいむの声だった。
どうやら、ふもとのどすが訪ねてきたらしいが、何かあったのだろうか?
私は、やれやれと服を身にまとい、まいむとともに、玄関先で待っている片目の潰れたドスまりさと久しぶりに対面した。
「ゆっ!!久しぶりだね―――」
そして、私と対面したドスまりさが、あいさつとともに、今の私の持つ肩書き―――中尉という肩書きを捨てた後で得た名―――を呼んだ。
「牧場主さん!!」
虐待ものを書くも、中々うまくいかないので、もういっその事、制裁や駆除系SSを極めて見ようかと思っている職あきです。
久しぶりのゆ虐SSなのですが、如何でしたでしょうか?
前篇にて、ゆっくりできたよボタンを押してくださったとしあきさんたちへ満足していただけたなら、幸いです。
・人間イジメ多少あり
・高性能ゆっくり多数出演
・独自設定並びにパロ複数あり
・祟り神前後篇に触れる部分あり。
以上の事を踏まえて、ゆっくりしていってね!!
外にいたゆっくり達が無残に殲滅されたころ、交流センター内に残ったゆっくり達は、玄関先にて、外にいるゆっくり達が戻ってくるのを今か今かと待ち望んでいた。
先ほど、ぱちゅりー達が外にいるにんげんさん達を追い返す為に、きんバッチをつけたゆん質たちを連れて出て行ったが、もうそろそろ…
とその時、玄関のドアが勝手に開いた―――ぱちゅりー達が帰ってきたんだと、いっぴきのれいむが出迎えの為に、ドアの前に飛び出した。
そして、れいむは、笑顔で出迎えのあいさつをした。
「ぱちゅりー、おかえり!!ゆっくし、ちゃばちゃ!!」
「出迎え御苦労、劣等種ども。そして、さようならだ」
返ってきたのは、踏み下ろされた靴底と侮蔑をこめた冷たい言葉だった。
頭を踏みつぶされ、ブルブルとお尻を振り続け、痙攣するれいむを踏みにじりながら、れいむをえいえんにゆっくりさせた人間―――大尉は、呆然とするゆっくり達に向かって、処刑宣告をした。
「抵抗確認、排除―――!!」
「「「「排除!!」」」」
踏みつぶされたれいむによって靴が汚れた―――れいむの抵抗を確認した大尉の合図とともに、隊員達は一斉になだれ込んだ。
クレイモアユン:後篇
=資料室=
「こっちだみょん!!みんな、はいるみょん!!」
「いそぐんだぜ!!みんな!!」
「ゆうう…だぐざん、みんな、しんじゃたよぉおおお!!」
「どぼぢで、ごんなごどに…」
群れの仲間達の死に、嘆き声をあげるゆっくり達であったが…
「みんな、なきたいきもちはわかるみょん。でも、いまは、ここをまもらないといけないみょん!!」
「ゆっ、そうだね!!もうすぐ、うまれてくるおちびちゃんのためにも!!」
「にんげんさんのすきかってにはさせないんだぜ!!」
この資料室―――今や、資料である紙で作られた巣が棚にずらりと並び、植物型出産のにんっしんをしたゆっくり達の出産部屋となった部屋―――では、むれの幹部であるようむが、生き残った仲間達とともに、にんっしんゆっくりを守るため、立てこもっていた。
そして、そのにんっしんゆっくりの中には、ようむの奥さんであるぱちゅりーも心配そうにようむを見ていた。
「むきゅ…ごめんなさい、ぱちゅりーたちがうごけないせいで」
「だいじょうぶだみょん!!ちゃんとぶきさんはよういしてあるみょん!!」
そう応える幹部ようむを筆頭に、出産部屋に立て籠もったゆっくり達には、調理場で手に入れたフォークやナイフ、包丁などが咥えられていた。
これだけ万全なら、大丈夫と幹部ようむが、安堵していると、突然、部屋の扉がゆっくりと開きだした。
ドアノブのついた扉をゆっくりが開けられるわけはないので…
「ゆぅうううう!!とびらさんがひらいているよ!!にんげんさんが、きたんだよ!!」
「まかせるんだぜ!!ここはまりささまが、くそにんげんをせいっさいしてやるんだ…ゼ?」
果敢にも一匹のまりさが、フォークを口に咥えて、扉に向かって、跳びかかろうとするが、まりさの目の前に現れたものに、思わず、フォークを口から落とし、あんよを止めた。
金属製の放出口、そこから噴き出る液体、さらには、ボンベを背負い防火服に身を包んだ人間らしきもの―――何が起こるか火を見るより明らかだった。
「抵抗確認、排除」
「ゆ、ぎゅげぇああああああ!!あづいいいいいい!!ばりざのすでぎなおぼうじざんが、ざらざらがみざんがあああああ!!めらめらざん、やべでぇええ!!いぢゃあづ、おべべ、おべべがみえないよおおお!!」
武器による抵抗を確認した隊員は、手にした火炎放射器から燃える液体燃料を噴射させると、扉の前にいた、まりさを飲み込んだ。
火達磨となったまりさは、燃えやすい黒帽子の飾りや金髪はあっという間に焼け落ち、白玉で出来た眼も弾け飛んだ。
ゴロゴロと転がり、焼かれながら、自分を燃やす炎に命乞いをしつつ、泣き叫ぶまりさだったが、そんな事で火が消える事はないし、呼吸をしないゆっくりは、窒息死することはないので、中枢餡が燃え尽きるまで、簡単には死ねない。
立て籠もったゆっくり達にとって不幸だったのは、ここは資料室だったこと―――燃えやすい紙には事欠かない。
「あぢゅういいいいいいいぃいいい!!だずげでぇえええええええ!!」
「ゆうううう!!ばりざあああ、ゆっくりし、<そっちにいるんだね、れいむううう!!>ゆ!!ゆっぐりこないでね!!こっちにこないでね!!<どぼでいで、ぞんなごどいうのおおお!!>ごっぢにぐるなぁあああああ!!ゆぎゃあああああああ!!」」
メラメラと燃えるまりさを、心配そうに呼びかける棚にいる一匹の植物出産型れいむだったが、それがいけなかった。
れいむの声に反応した火達磨まりさが、れいむのいる方へ転がりながら迫ってきた。
身の危険を感じたれいむが、まりさに近づくなと声を上げるが、時すでに遅く、火達磨まりさは、そのままれいむのいる棚に突っ込んだ。
当然、火達磨まりさの炎は、巻き込まれたれいむはもちろん、ばら撒かれた紙に引火し、一斉に棚全体に広がり始めた。
「なんで、めらめらさんが、ごっぢにぎでるのおおお!!ぎゅぎいいいいいいい!!」
「ゆううううう!!どがいばなありずば、にげ、あがぢゃんがいるんじゃうごけないいいいい!!」
「やべでぇよおおお!!うごげないんだよおおお!!わがらないよおおおお!!らんじゃま、だず、ぼえるううよおおおお!!」
「ばぢゅは、ぼりのげんじゃ、ねぎいいいいいいい!!ぼえちゃう!!ぜんぶ、ぼえぢゃうううう!!」
「ゆ、ゆっきゅりうまれりゅよ!!ゆっきゅりしちぇ、あぢゅ!!」
さらに不幸だったのは、棚にいるゆっくりの大半が、赤ゆっくりが生れるまで、動きの鈍い植物妊娠型のゆっくりだったことだった。
必死にもみあげを振り上げて、火を遠ざけようとするれいむ、逃げようとするものの、額にある実ゆっくりと生る蔦があることを思い出し、動けないありす、いもしないらんに助けを求めながら、焼かれるちぇん、炎に飲み込まれ、断末魔の叫びを上げながら燃え尽きるぱちゅりー、生れてはいいが、すぐさま燃え盛る紙束の中に落ち、燃え尽きる赤ゆっくり…炎は平等に、棚にいるゆっくり達を飲み込んだ。
新しい命が生れはずだった部屋は、生きながら焼かれるゆっくり達の、阿鼻叫喚の地獄絵図へと化していた。
「もういやじゃああああ!!おうぢ、がえるううううう!!」
「ま、まりさは、にげるんだぜ!!」
「ゆぐぅ!!でいぶをゆっくりさせないあかちゃんなんで、いらないよ!!でいぶは、にげるよ!!」
ここはもうゆっくりできない―――そう判断した多くのゆっくりは、すぐさま逃げだそうとした。
だが…
「抵抗確認、排除」
「がえ、ゆがええええええええぇえええ!!」
「抵抗確認、排除」
「のろまなありずば、ごごでじ、ぢんじゃううううううう!!」
「抵抗確認、排除」
「さっさと、ごごをどうぜええええ!!でいぶは、でい、ゆばあぁつ!!」
扉の前にいた隊員の持つ火炎放射器によって、逃げだそうとしたゆっくりも、全て焼きつくされた。
逃げる事さえ、もはや抵抗とみなされていた。
やがて、炎に飲み込まれた全てのゆっくりが、断末魔の絶叫と命乞いの悲鳴を上げて、炭でできたデスマスクとなり、永遠にゆっくりした。
「ぢん…ぼ、ぉ…」
「む・・・ぎゅ…」
そして、指揮をしていた幹部ようむも、妻のぱちゅりーを助けようとして、そのまま、炎に飲み込まれ、そのままぱちゅりーと共に炭饅頭として永遠にゆっくりした。
=調理室=
資料室にいたゆっくり達が炎に焼かれていたころ、ここ調理室では、群れの保育係であるゆっくりや親ゆっくりによって、避難してきた群れの子ゆっくりや赤ゆっくりが、集められていた。
「ゆえーん!!ごわいよおおおお!!」
「ゆっくちできにゃいよ!!」
「にゃんで、れいみゅたちは、わるいこちょしちぇないのに…」
ここに来た時は、ずっとゆっくりできると思っていた子ゆっくりと赤ゆっくり達は、突然やってきたゆっくりできない人間によって、ゆっくりできないでいた。
ゆっくりできない状況は、ある程度成長したゆっくりならば、影響は少ないが、子ゆっくりや赤ゆっくりなどの体の弱いゆっくりは、ゆっくりできない状況が続くと、非ゆっくり症になり、最悪、餡子を吐き出して、永遠にゆっくりしてしまう。
「ゆう、おちびちゃんたち、ぜんぜん、ゆっくりできてないよ…」
「このままだと、まずいわね…」
何とか子ゆっくりや赤ゆっくり達を宥めようと、群れの保育係のリーダーである幹部れいむと幹部ありす二匹は、親ゆっくりや保育係らと一緒に、すりすりやおうたで、ゆっくりさせようとするが、所詮その場しのぎにすぎなかった。
「なんとか、おちびちゃんたちをゆっくりさせないと…」
「だいじょうよ、れいむ!!ドスがきっとなんとかしてくれるわ!!」
落ち込む幹部れいむを、慰める幹部ありす。
このおちびちゃんたちは、次の世代を担であろう、群れの希望なのだ。
群れは、成長したおちびちゃん達によっても、もっとゆっくりした群れにしてくれるはずだ。
「そうだね、ありす!!はやく、おちびちゃんたちをゆっくりさせてあげないとね!!」
「ええ、そうね!!」
再び、やる気を取り戻した幹部れいむとともに、おちびちゃん達をゆっくりさせようとする幹部ありすだったが、今から5分後には、調理室にいる全てのゆっくりが、ゆっくりすることとなる。
もっとも――――
「おちびちゃんたち、みんな、ゆっく―――カラン―――ゆっ?」
「なに、あれ?」
「「「「「ゆ?」」」」」
―――永遠という言葉が、ゆっくりの前に付くのだが。
突然、鳴り響いた聞きなれない音に、一斉に振り返るゆっくり達が見つけたのは、握りこぶしぐらいはありそうな筒状の金属物だった。
あんなものあったかと、首をかしげるゆっくり達だったが、次の瞬間、その筒から一斉に白い煙が噴き出してきた。
「ゆっ!!なんなの!!」
「みゃみゃ、きょわいよー!!」
「ゆぅ!!やめちぇねぇ!!もくもくさんは、ゆっきゅりできないよ!!」
勢い良く噴き出す煙に、ゆっくり達は、口々に騒ぐが、筒から一向に煙が消える事はなく、さらに勢いよく噴き出し始めた。
「ゆうううう!!ゆっきゅりできないもくもくさんは、まりしゃがせいっさいしゅるよ!!」
「ゆっ!!おちびちゃん、あぶないよ!!」
やがて、一匹の子まりさが、親れいむが止めるのも聞かず、煙を噴き出す筒に向かって体当たりをしようと、勢いよく向かっていき―――
「ゆっきゅりできないもくもくさんは、ゆっきゅ、ゆ、ゆ、ゆげええええええええええ!!!」
「でいぶのおぢびじゃんがぁあああああ!!あんござん、はいじゃだ、ぎゅげえええええ!!」
―――噴き出す煙に入った瞬間、子まりさは、口から勢いよく餡子を吐き出し、あっけなく死んだ。
子まりさの死に嘆きながら、子まりさの亡骸に近づこうとした親れいむだったが、叫びながらであったために、煙を大量に吸った瞬間、すぐさま、大量の餡子を吐き出し、子まりさの後を追った。
ゆっくり親子の命を奪ったのは、筒状の金属物―――手投げ式催涙弾から噴出された煙に含まれる唐辛子成分であった。
本来は、抵抗する犯人を無傷で捕らえる為の非殺傷武器なのだが、辛みに対し、致命的に弱いゆっくり達に、特に赤ゆっくりや子ゆっくりに対し、充分な殺傷能力を持っていた。
「むぎゅうううう、みゃみゃたずげ、えれえれえれえれえれ…」
「がらいいいいい!!まりしゃのぎれいなおべべがいだいいいい!!ゆぐぅえええええ!!」
「みゃ、みゃ、みゃ…みゃ…だ、ぢゅ、げぇえええええええ!!」
「おぢびぢゃんんんん!!ゆっぐりじでね、ぺーろ、ぺ、ゆぐばげぇがぁ!!」
次々に催涙弾の煙に巻かれ、ゆっくりにとって猛毒の煙を吸い込むのは、もちろん、刺激物による目の痛みに耐えかねて、子ゆっくりや赤ゆっくり達は、餡子やクリームを勢いよく吐き出してし、親ゆっくりに助けを求めながら、苦悶に満ちたゆっくりとは程遠い表情で次々に死んでいった。
そして、親ゆっくり達も、瀕死の我が子を助けようと、ぺーろぺーろと舌でなめるが、子ゆっくりの皮膚に付着した辛み成分により、餡子を吐き出し、我が子の後を追う事になった。
「ゆ。ゆぐううう!!みんな、おちびぢゃんたちをはやぐ、おぐぢのながにいれるんだよおおおお!!」
「ゆぇーん、ぎょわいよおおおおお!!」
「おぐぢのながなら、もぐもぐざんははいってごないわ!!」
「もぐもぐざんは、ゆっぐりでぎないよおおおお!!」
そんな毒ガス処分室さながらの光景が繰り広げられている中、幹部れいむと幹部ありすは、生き残った親ゆっくりや保育ゆっくり達に、未だ生き残っている子ゆっくりと赤ゆっくりを口の中に入れるよう指示を出した。
確かに、これならば、子ゆっくりや赤ゆっくりは煙に巻かれて死ぬ事はないし、目や皮が痛いものの、ある程度耐性のある成体ゆっくりならば、長時間煙の中にいないかぎりは、大丈夫だ。
ただし…
「…」
((((どぼぢで、にんげんざんがごごにいるのぉおおおおお!!))))
いつの間にか、調理室に置かれてあった段ボールから、隠れていた隊員が出てきた時点で詰んでいるのだが。
突如、現れた人間に恐れおののくゆっくり達ではあったが、隊員は動けないでいるゆっくり達には目もくれず、棚に置かれてある小麦粉や砂糖などを、部屋のいたるところにまんべんなくばら撒き始めた。
(あまあまさんでつろうなんて、あまいよ!!れいむたちはおくちをぜったいあけないよ!!)
(おちびちゃんたちは、ありすがぜったいまもってあげるからね!!)
あまあまさんで油断させて、口を開けたところで、毒の煙を吸わせるつもりだと思った幹部れいむ達は、口を固く閉じた。
野生のゆっくりではあるが、この群れのゆっくりは、中々知恵は働くようだ。
「ゆ、甘アマザ…ゆぐばぁちゃ!!」
「「「ゆgきゅり、おそちゃおばぶぇ!!」」」
((どぼじで、おぐぢをあげぢゃうのおおおおおおおお!!))
一部を除いてだが。
「…」
そうこうしているうちに、小麦粉と砂糖をばら撒いていた隊員が、調理室全体に、砂糖や小麦粉が空中を漂っている状態になったのを確認すると、ポケットから取り出した手投げ式燃焼弾のピンを抜くと、すぐさま、調理台の下にある金属製の戸棚に潜り込んだ。
(ゆっ?どうしたのかな?)
(きっと、ありすたちにおどろいて、かくれたのよ!!とんだいなかものね!!)
自分達に攻撃を仕掛けない隊員に対し、戸惑う幹部れいむと安堵する幹部ありすだったが、その答えは数十秒後、燃焼弾が着火した瞬間、すぐさま現れた。
現在、調理室は、小麦粉や砂糖などの可燃性の細かい粒子が空気と混合している状態にある。
この時、何らかの火種を発生し、空気と可燃性粒子が連鎖的に燃え広がって爆発する現象の事を―――
(いまのうちよ、さっさとここから、にげ、ぶぎゅらぇ!!)
(あ、ありず、ゆばがぁ!!)
(なんなんだぜぇ、ぶらぁ!!)
―――粉塵爆発と呼ぶ。
「い、いぢゃ、い、だ、だぢゅげで、おがあ、ざ…」
「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ…」
「ぼっど、ゆ、ぐ、り…」
爆発の威力は凄まじく、幾つかの机はひっくり返り、全ての窓ガラスは粉砕され、きれいに整えられた調理室は見る影もなくなった。
爆心地の近くにいたゆっくり達は、爆風により飛び散った餡子と皮のシミとなり、遠くにいたゆっくりも、爆風に吹き飛ばされ、壁に叩きつけらたり、ひっくり返った机に押し潰されたり、割れた窓ガラスが全身に突き刺さったりなどして、程なく永遠にゆっくりすることになった。
「あ、ありず…ゆっぐり、ゆっぐりぃいいい…」
爆発の際に飛び散った何本もの箸を突き刺さった状態で事切れた幹部ありすの亡骸を前に、幹部れいむはなすすべもなかった。
幹部れいむは即死こそ、免れたものの、爆風の衝撃で壁に叩きつけられた際、おくちの中に入れたおちびちゃんとともに、相当数の餡子を吐き出してしまい、ぐずぐずに崩れた子 ゆっくりの遺体と自分の餡子に埋もれたまま、余命いくばくもない状態だった。
仲間の死体しかなくなった調理室…結局、自分達は群れのおちびちゃん達を守れなかったと、幹部れいむが絶望する中、奇跡は起こった。
「ゆっきゅりでりゅよ!!」
「ゆああああ…おちびちゃん…」
幹部れいむの前に現れたのは、どうにか戸棚に隠れて、唯一生き残った一匹の赤ゆっくりれいむだった。
駄目な、れいむだったけど、このおちびちゃんはゆっくりさせてあげられたよ…とむせび泣く幹部れいむは、ゆん生最後の言葉を、おちびちゃんに発した。
「お、おちびちゃん…ゆっくりして、い、て、ね…」
「ゆっ、ゆっきゅりしちぇ<抵抗確認、排除>びゅげぃ!!」
「ゆ?お、おちびちゃんがあああ、ゆんやぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
幹部れいむの最期の言葉は、赤ゆっくりれいむと同じく戸棚に隠れていた隊員によって、赤ゆっくりれいむが踏みつぶされた事に対する、絶望の絶叫だった。
=会議室=
交流センター内で次々に駆除されていった群れのゆっくり達の中で、もはや生き残っているのは、会議室に立て籠もった3匹のゆっくりを残すのみとなった。
「ゆううう…皆、大丈夫かな…」
「ドス、おちこまないで!!みんな、きっとだいじょうぶよ!!」
「ゆっ!!そうだよ!!れいむがいれば、だいじょうぶだよ!!にんげんさんは、ばっちさんをつけてれば、なにもしないよ!!」
群れの仲間を心配する、群れのリーダーである体長5mはある大型ドスまりさを、副リーダーのぱちゅりーは、優しく慰め、近くの森で放し飼いにされた際に、群れに住むゆっくり達の数が増えた為に、食糧難にあっていた大型ドスの群れに対し、この交流センターに群れを連れてくることを提案した飼いゆっくりであるれいむ―――金バッチ付でいぶも、自信満々で答えた。
本来なら、金バッチ付ゆっくりとして、躾けられているはずなのだが、このれいむは、相当飼い主に甘やかされていたのか、ほとんど野良でいぶと変わらないありさまだった。
「むきゅ、それより、これから、どうするか<ふんっ!!>、まちょぴっ!!」
「ば、ばちゅりいいいいいいい!!」
「ここにいたか、さぁ、排除させてもらうぞ」
が次の瞬間、会議室のドアが蹴り破られ、倒れたドアがぱちゅりーの真上に圧し掛かり、ぱちゅりーはそのまま押し潰された。
副リーダーであるぱちゅりーの死に、大型ドスは叫び声をあげると、ドアを蹴り破って入ってきた人間さん達―――大尉と中尉、それと駆除を終えた隊員数人が大型ドスの前に立った。
「どぼぢで、ごん、ぎゅべぁああああああああ!!」
「喋るな、死ね」
群れの仲間をゆっくりさせなくした人間に、大型ドスは、疑問の声を上げようとするが、ドスの鳴き声を聞くつもりもない、大尉はとりあうことなく、バックから取り出した得物―――ゆっくりのみに分かる強烈な死臭がこびり付いた、人の背丈と同じくらいの長さとずっしりとした重量感のある大型レンチで、大型ドスの顔を叩きつけ、そのまま、窓ガラスを突き破って、外の広場へとふっ飛ばした。
「逃がすかぁ!!」
「いや、あれ、逃げたんじゃないと思う。逃げるってのは―――そろーり、そろーり―――こういうのを言う」
「ゆべぇ!!」
窓の外に出た大型ドスを追いかける大尉に、一応つっこみを入れつつ、中尉は、逃げだそうとする金バッチ付でいぶを踏みつけた。
=交流センター広場=
「ゆうううう!!もう許さ、ゆべぇい!!」
「黙れ、劣等種の苗床が」
「ゆ、いぢゃいいいいいい!!どずのおべべがぁああああ!!」
「まだだ、まだ、足りんわ!!左目の次は歯だ!!髪だ!!その下膨れの皮もだGEHYAAAAAAAAAAAA!!」
「やべぇでぇええええ!!ひぎぇいいいい!!いぢゃいいいい!!」
外に投げ出された大型ドスは地面に叩きつけられた体を起こそうとするが、追いかけてきた大尉にまたもや、大型レンチで叩きつけられ、起き上がりを阻止された。
そして、大型レンチを地面に突き刺した大尉は、倒れた大型ドスの上に馬乗りになると、容赦なく大型ドスの左眼に手を突き刺すと、そのまま抉るようにドスの左目をアマギった。
さらに、そのまま、笑い声を上げる大尉は、ドスの右目、前歯、髪などを素手で引きちぎり、大型ドスの絶叫をBGMにドスの解体を続けた。
「ゆぐううううう!!どぼぢでぇ、ごんなごどずるの、おにいざぁん!!びんな、ゆっぐりじだいだげなんだよ!!ごはんざんないがら、しょうがなが、ゆびぃ!!」
「知るか、劣等の温床。間引く事も規制する事も出来ない劣等饅頭が。塵芥にも劣るわ」
「ゆぐぐぐぐぐ…ごうなっだら、ドズスパークを使、ゆっ?」
既に満身創痍である大型ドスであったが、切り札であるドススパークを使う為に、魔法キノコを口の中に入れる―――
「反撃なんぞ、何時許可した…この糞袋がぁあああああ!!」
「おぞらぁあああああ、<ZUN!!>ゆぎぃ!!<ZUN!!!>ゆぐべぇ!!<ZUN!!!!>ゆごぉ!!?」
直前、地面に突き刺した大型レンチを手にした大尉は、巨大なハサミへと変形した大型レンチを使い、大型ドスの巨体を挟み込み、そのまま、頭上へと持ち上げた。
もち上げられた大型ドスは、ゆっくりの本能なのか<おそらとんでいるっみたい~>などとほざこうとするも、大型レンチに取り付けられたパイルバンカーの杭が大型ドスの体を突き刺し、穴だらけにした。
「いぢゃい、もう、やべで…ゆ、ドスの体が、餡子さんを押さえつけないでぇえええ!!ゆっぐりでぎないよおおおおおお!!」
「冥土の土産だ―――私はれっきとした、女だぁあああああああ!!」」
「もっど、ゆぐ、ぎゅ、ゆぎゃあああああああああああああああああああああああああああ!!」
そしてついに、群れのリーダーとしての立場を忘れ、泣き叫ぶ大型ドスを、大尉は一切耳を傾けることなく、自身の性別を吠えながら、大型ドスの体を、切れ味の悪いハサミのように挟みちぎり、餡子の雨をまき散らした。
「あ~お疲れ様」
「ふぅ…こっちは終わったぞ。そっちはどうだ?」
「ん~一応、重要参考ゆっくりになりそうなんで、金ゲスでいぶ確保っと。あと、バッチ付ゆっくりを一応保護。まあ、2,3匹巻き込まれたけど、群れのゆっくりは全滅したから、問題ないでしょ」
「ばなぜぇえええ!!!ぐぞじじい、でいぶのびごびござんに、ざわるなぁああ!!」
「うわぁ、うぜぇ<おい、お前ら!!俺のれいむになにしてんだ!!>ん?」
餡子まみれとなった大尉に、中尉が会議室にて捕まえた金バッチ付れいむのもみあげを掴みながら、交流センター内での駆除完了の報告をした。
後は、任務終了の指示を出すだけとなったところで、野次馬の中から、一人の青年―――金バッチ付れいむの飼い主が駆けよってきて、中尉のもつ金バッチ付れいむを奪い取ると、大尉と中尉に怒鳴りつけてきた。
「ちっ…大丈夫だったか、れいむ?」
「ゆん!!おにいざん、ごわかったよ―――!!」
「まったく…おい、お前ら、俺のれいむが傷ついたら、どうするつもりだったんだ!!」
「…知るか、ぼけ。そもそも、交流センターの占拠されたのも、放し飼いされたこのれいむが連れ込んだと聞いているが?」
「はぁ?何言ってんだ、お前?馬鹿か?死ぬか?うちのれいむが、そんなことするわけねぇだろ?そもそも、放し飼いしちゃいけないって、法律でもあるのかよ?」
「……ゆっくりを飼う上でも配慮すべきことだと思うがな。」
「あ~それと君ね。今、確認取ったら、希少種保護区域でも同じようなことしてるね。一回目だから厳罰注意で済んでるけど、今回は2回目。しかも、ここまで、大きな事件になるとさすがに…」
「はぁああああああ!?何、差別してんだよ!!希少種優遇してんじゃねぇよ、ぼけぇ!!」
「――――――あ?差別と区別の違いも分からん屑が何か言ったか?」
あ―――そろそろやばいかも…と、よほどれいむを溺愛しているのか、こちらを一方的に敵視し、飼い主の義務を果たさず、文句ばかりを口にする餡子脳青年に、マジでキレちゃう五秒前な大尉を見比べて、中尉はやれやれと肩を落とした。
実際に、何度かこういったモンスター飼い主を称される連中とは、現場でしょっちゅう衝突していた。
どうしたものかと考えていると、中尉は、ふとある事に気付いた。
そして、隊員達に、最近、配備されたある装備の設置を手信号で指示を出すと、大尉に喰ってかかる青年を宥めるように抑えた。
「まぁまぁ、落ち着いて、落ち着いて…」
「邪魔してんじゃねぇよ、爺!!それとも、何か、てめぇが謝るってか?」
「ゆっ!!そうだよ!!れいむとおにいさんにゆっくりしないであやまってね!!」
「ん、あ、はいはい…」
興奮冷めあらぬ青年と罵声を浴びせる金バッチ付れいむに対し、ひとまず中尉は、地面に正座し、手を前に添えて、頭を擦りつけるように地面へと降ろし、青年の前で土下座した。
「はっ!!なんだ、そりゃ?あんたにゃ、プレイドってもんがねぇのか?惨めだなぁ~」
「おお、あわれあわれ」
「そりゃ、そうでしょう…なんせ、頭伏せてないと危ないし。後、後ろ注意」
「「へ(ゆ)?」」
土下座する中尉を嘲るように笑う青年と金バッチ付れいむであったが、中尉の言葉にふと後ろを振り返った瞬間―――
「ドズの群れをめぢゃぐぢゃにじだにんげんざんは、じねぇええええええ!!」
「ゆうううう!!どずううううう!!」
「ひっ!?なんで…!?」
中枢餡が無事だったのか、それとも気力で復活したのか、千切れた体を無理やり動かし、大型ドスまりさが、魔法キノコを咥え、ドススパークを放たんとしているところだった。
慌てて逃げようとする青年だったが、前を向いた瞬間、すぐさま凍りついた。
いつの間にか待機していた隊員達が、大型ドスに向けて銃を構え、さらに大尉は最近配備された装備―――人類史上最速の連射速度を誇る化け物銃―――正式名称:メタルストーム重機関銃の発射態勢に入っていた。
怒り狂うドスに狙いをつけて、その射線上にいるであろう青年と金バッチ付れいむ無視するかのように。
「お、おい、待てよ!!俺は人間だぞ!!今、撃ったら、俺まで巻き込まれるじゃねぇか!!」
「え、何言ってんの、おたく?そういうの覚悟して、危ない作戦区域にずかずかはいりこんだんだろ。まあ、その愛護精神には感心してやるから、尊い犠牲になりなよ」
「どぼぢで、ぞんなごどをいうのおおおお!!」
「ふ、ざけるなぁあああ!!俺は人間だぞ!!大体、そんなこと許されるわけが…!!」
「ああ、それね。問題ないんだよ。そういうのが許可されてるから」
「…え?」
中尉の言葉に耳を疑い、訳が分からず戸惑う青年であったが、事実であった。
クレイモア・ユンに与えられたもう一つの権限とは、<作戦区域に指定された場所に、作戦終了前に、一般人が現場の隊員の指示を無視して、入り込んだ場合、ゆっくり駆除において、この一般人がいかなる被害をこうむろうとも、一切の責任を問わず、法律の外に置く>―――すなわち、作戦区域に無断で入り込んだ人間は、何をされようが文句は言えないということだ。
それこそ、ドススパークを放とうとするドスまりさの目の前に、民間人が立っていたとしても。
一応、隊員達の使用する銃に使われるのは、そういったことを配慮したゴム弾なのだが。
「え、ちょ、ちょっと待て…俺は一般人だぞ、守るべき国民だぞ、撃っていいわけないだおおおおおおおお!!」
「うん、まあ、気の毒だとは思うんだけどさ…権利ばかり主張して、背負うべき義務も、権利に対する責任を持たないようなゆっくり並の人間なんぞ、どうなろうが知ったこっちゃねぇんだよ」
「ひっ、ま、待て…」
「だが、断る。なぜなら―――――大尉を、俺達の隊長を、俺の妹を侮辱した馬鹿なんぞ助けたくない」
悲鳴じみた声出す青年の懇願を、表情には出さないものの、自身の妹である大尉を罵る男なんぞ死ねといわんばかりに、ばっさりと切り捨てた中尉は、そのまま地面に低く伏せた。
それを見ていた青年も慌てて、地面に伏せようとするが、もはや手遅れだった。
「抵抗確認…」
「ま、待て…俺は俺は、人間だぞ!!」
「い、いやじゃああああ!!ごべんなざい、だずげでぐだざいいいいい!!」
「じねぇえええええ、ドズ―――」
大型ドスのドススパーク発射態勢を確認し、こちらも発射態勢に入る大尉と隊員達、先ほどまでの威勢はどこに行ったのか、泣きながら、必死に発砲を呼びとめる青年と金バッチ付れいむ、そして、ドススパークを発射せんとする大型ドス―――
「排除ぉ!!」
「俺―――――」
「ゆんやああああああ――――」
「ズバ―――――」
大尉の合図とともに発射された無数の銃声が、青年と金バッチ付れいむの悲鳴、そして、大型ドスの声をかき消した。
青年は悲鳴や叫び声を上げる間もなく、ただ一方的にゴム弾の集中砲火を浴び続けた。
金バッチ付れいむは、青年の腕の中で、ぐしゃぐしゃにつぶれ、饅頭の皮と餡子の塊となった。
そして、群れのリーダーであった大型ドスは、青年の体が盾となった部分を残して、全て弾け飛んだ。
「…流れ弾だな」
「流れ弾っすね」
身勝手な民間人が、隊員の指示を無視した結果、ドスまりさの排除に巻き込まれただけ―――それがこの光景を見ていた公餡課の二人の感想だった。
その後、あの金バッチ付れいむの飼い主である青年は、病院へ搬送され、死ぬよりましと死んだ方がましの中間を彷徨っていたが、なんとか一命は取り留めたものの、あの事件以来二度とゆっくりを飼う事はなかった。
また、この事件以降、ゲス化を恐れた飼い主による飼いゆっくりの殺処分が多発、結果として、野良ゆっくりの増加をふせぐこととなった。
なお、この手の事件に過敏に反応するであろうゆっくりピースならびに、ユーシェパードなどのゆっくり愛護団体からの批判は消極的なものを除き、ほぼ皆無であった。
なぜなのか…その答えは、クレイモア・ユンの隊員達にあった。
=クレイモア・ユン専用車両=
「あ~今回も派手な駆除だったよなぁ…帰って、飯喰いたい」
「そうだな。報告書をまとめてからの話だが」
「…性格悪いぞ、お前」
「ふん。兄上殿よりかは、しっかりしているがな」
任務終了と言う事もあり、普段通り、互いに軽口をたたき合う大尉と中尉―――ヘルメットを脱ぎ、長い黒髪をポニーテールのように纏めた、麗しい女性―――右目の眼球のある部分が、空洞になっていることを除けばだが―――と、顔立ちが細く、ともすればチンピラと間違われそうな人相の悪い男。
「っと、お前らも、そろそろいいぞ。さすがに、そろそろきつくなってきただろ」
とここで、隊員達の忙しない様子に気付いた中尉が気を利かせて、隊員達にヘルメットを取るように促した。
そして、隊員達が、中尉の許可を得るや、はしゃぎながら、フェイスガード付きのヘルメットを脱ぐと…
「じゃお、じゃお」
「げらげらげらげら」
「まったく、今日もいっぱいやりたいもんだねえ、中尉殿」
「こいしは、おふろがいいなぁ」
「もこたん、おふろにいんしたお!!」
「ゆっ、やっぱり、むれるんだぜ、へるめっとさんは」
「むきゅ。おつかれさま、まいむ」
「どすを2とうやっつけたんだよーすごいよー!!」
汗だくになった顔をタオルで拭くめーりんが、げらげらと笑いながら、自分の得物を片づけるうどんげが、ジャックハンマーを肩にかけ、中尉に帰ったら一杯やろうと勧めるゆうぎが、小麦粉と砂糖まみれになった防護服を払うこいしと、防火服を脱ぎ、こいしの言葉に賛成するもこうが、ヘルメットを脱ぎ、餡子で汚れたドスノッカーを拭うれいむ種とまりさ種の混合種:まいむが、そのまいむに激励の言葉をかけるぱちゅりーとちぇんが―――大尉と中尉を除くすべての隊員―――胴付きゆっくり隊員達の任務終了を喜び合う笑顔があった。
これが、愛護団体がクレイモア・ユンを批判できない一番の理由であった。
確かに、隊員達が、人間である場合、過剰攻撃ともいえる銃火器でもって、ゆっくりを駆除したなら、虐待或いは虐殺などの批判が出よう。
だが、胴付きとはいえ、ゆっくりが隊員である場合は、その駆除は、にんげんをゆっくりさせなくしたゆっくりに対する正当なせいっさいとなり、銃火器の使用も、せいっさいの際に使う棒きれの延長上だとすることもできる。
なにより、愛護団体の多くは、ゆっくりの社会進出を目指すものもあり、駆除活動も立派な仕事である以上安易な批判はできないのだ。
「しかし、まぁ、成せばなるもんだねぇ」
「発足した当時は耳を疑ったがな」
思い思いに話す隊員達をみて、大尉と中尉は、クレイモア・ユン発足当時の事を思い出した。
クレイモア・ユンの設立が検討された当初、やはりというべきか、ゆっくりんピースやユーシェパードなどの愛護団体系列でつながった議員達から非難が集中した。
曰く、人間が、自然の一部であるゆっくり達を殺すなどもってのほかだ!!
曰く、これは駆除の名を借りた虐待ではないか!!
このほか、様々な誹謗中傷があったが、あらかじめ予想していたのか、それとも狙っていたのか、クレイモア・ユン設立の支持者である総理の発言が、愛護派議員達を黙らせた。
「なら、同族であるゆっくり達にせいっさいしてもらおうじゃないか。自分達の罪を清めるという意味でもね」
この発言には、愛護派議員はおろか、愛護団体の人間達は呆れを通り越して、大笑いしながら、どうぞお好きにと答えた。
ゆっくりにとって、同族殺しは御法度―――ゆっくりに於ける定説を愛護派の面々は、ゲスやレイパーなどには目をつむる形で、ゆっくり性善説というべきものを、完全に信じ切っていた。
クレイモア・ユン設立までは。
彼らは知らなかった―――総理がどれほど、本気かという事を。
彼らは知らなかった―――かつて、総理の故郷が、複数のドスに率いられた普通種の群れによって、壊滅的な被害を受けた事に。
彼らは知らなかった―――それが、ゆっくりに関する知識もなく、ただ愛でるだけの愛護派と称する団体によるゆっくりの繁殖力を無視した、無計画な保護活動が原因ということに!!
まず、クレイモア・ユン設立の為に、総理などの関係者は、あらゆる人脈―――財力の世界、権力の世界、そして、非合法の極みと言える暴力の世界の住人など―――を使い、人材集めに奔走した。
そして、集められた研究チームにより、実験と実戦を繰り返し、何十、何千、何万の失敗と、ゆっくりの死骸を積み重ねながら、只管研究に日々を費やしていった。
やがて、軍用レーションを中身として入れ替える性格矯正手術や激しい戦闘にも耐えられるゆっくり専用義体―――通称:ゆ体の開発成功により、対ゆっくりせいっさい部隊であるYWAT―――後にクレイモア・ユンと呼ばれる部隊が設立した。
「しかし、ま、今後は愛護団体過激派の動きが、気になるところだがね」
「構わん。ゆっくり並の餡子脳なんぞ、劣等種ともども、排除するのが、世の為だ」
クレイモア・ユンの活動にもっとも抵抗するであろう愛護団体との衝突を懸念する中尉と、それをも覚悟して徹底抗戦するつもりの大尉。
ちなみに、隊員選考やクレイモア・ユンの担当した任務には、数々のドラマが生れたのだが、それは後ほど語らせてもらおう。
なぜなら…
――――数年後
「おにいさーん!!おきるんだぜ!!ふもとのドスがたずねてきたんだぜ!!」
懐かしい夢を見ていた。
かつて、ここに来る前、所属していた部隊の思い出を。
自分を、懐かしい夢から現実に引き摺りだしたのは、引退の際に引き取った黒帽子を被った黒髪の胴付きゆっくり―――れいむ種とまりさ種の混餡ゆっくり:まいむの声だった。
どうやら、ふもとのどすが訪ねてきたらしいが、何かあったのだろうか?
私は、やれやれと服を身にまとい、まいむとともに、玄関先で待っている片目の潰れたドスまりさと久しぶりに対面した。
「ゆっ!!久しぶりだね―――」
そして、私と対面したドスまりさが、あいさつとともに、今の私の持つ肩書き―――中尉という肩書きを捨てた後で得た名―――を呼んだ。
「牧場主さん!!」
虐待ものを書くも、中々うまくいかないので、もういっその事、制裁や駆除系SSを極めて見ようかと思っている職あきです。
久しぶりのゆ虐SSなのですが、如何でしたでしょうか?
前篇にて、ゆっくりできたよボタンを押してくださったとしあきさんたちへ満足していただけたなら、幸いです。