あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ内検索 / 「虚無のメイジと、吸血鬼」で検索した結果
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虚無のメイジと、吸血鬼
...トラッド。 虚無のメイジと、吸血鬼-01 虚無のメイジと、吸血鬼-02 虚無のメイジと、吸血鬼-03 -
虚無のメイジと、吸血鬼-01
前ページ次ページ虚無のメイジと、吸血鬼 燦々と日が照る日中は、吸血鬼にとっては至極暮らしにくい時間である。 しかし、今この場に存在する吸血鬼――名をフィオナ・アイスハイムと言う――にとっては、 苦痛を呼び起こす物では、ありえなかった。『尊き三種』の一つであるラインゴルト氏族の直系、 アイスハイムを束ねる”蒼姫”は対吸血鬼属性の殆どを克服していたのだから。 彼女にとっての日の光は、人間たちにとっての夜と同じ様に、眠気を誘う物でしかない。 紅色の瞳に、空色の長い髪。縁のない眼鏡のレンズの奥には、面白いものを見つけた時のような、 光が宿っている。しかし、その視線の先には、何もない。 その様子は、日の光に照らされたまま、虚空を見詰めている――と、凡百の人間には見えるだろう。 しかし、常人ならざる感覚を持つ者にとっては、虚空に開いた穴を眺めている、と見える。... -
虚無のメイジと、吸血鬼-02
前ページ次ページ虚無のメイジと、吸血鬼 口付けは、長くて短かった。ルイズが感じたのは柔らかく、暖かい感触。 ――吸血鬼だって言うから、もっと冷たいと思っていたのに。 意外なくらい温もりに溢れていて、瑞々しかった。少し、羨ましくなる。 実を言えばルイズ自身も負けてはいないのだが、そこは隣の芝生は青く見えるという物。 どちらともなく唇が離れていく時に、不覚にも、もう少し――などと思ってしまったほどだ。 契約の口付けが、終わる。 周囲はまた、沈黙に包まれていた。 吸血鬼と言う危険な存在が、こうも簡単に人間との契約を結んだ事への驚きに。 何か裏があるのではないか、と思っている者も少なからず居る。 それだから、フィオナが左手を掲げた時に一瞬空気が硬化したのも無理はないだろう。 心配性な何人かは、振り下ろされた左手がルイズを叩き... -
虚無のメイジと、吸血鬼-03
前ページ虚無のメイジと、吸血鬼 「フィオナ……一つ聞きたいんだけど」 ルイズは、訝しげな表情を微笑を浮かべる己の使い魔に向け、言った。 「それじゃああなた、何が出来るの?」 虚無のメイジと、吸血鬼 ルイズの部屋に辿り着き、中へ通されてから待つこと暫し。 教室に戻り、何がしかの用事――知る必要はないと考えたため、フィオナは聞かなかった――を済ませてきたのであろう。 主が戻ってきた事に音で気付くと、主の寝台に腰を落ち着けていたフィオナは、音を立てずに立ち上がった。 歩を進め、部屋の中心で立ち止まると、扉へと向き直り、主が戸を空けるのを待つ。 「お早いお帰りでしたね」 扉が開くと同時に、フィオナは主へ向けて声を掛けた。表情を見た所、機嫌は悪くはなさそうだ。 まあ、機嫌が悪かろうと主に媚び諂うつもりはないの... -
虚無のメイジと双子の術士
クロス元はサガ・フロンティア、 召喚キャラはブルーおよびルージュを召喚 虚無のメイジと双子の術士-01 虚無のメイジと双子の術士-02 虚無のメイジと双子の術士-03 虚無のメイジと双子の術士-04 -
狼と虚無のメイジ-02
前ページ次ページ狼と虚無のメイジ 「娘、酒などないかや」 毛皮をめくれば下半身すらも露なその娘だが、異常なこの状況に動じている様子は全くない。 よく見れば脱穀前の小麦にまみれ、場違いなことこの上無かった。 「なんじゃ、酒はないのかや。なら食べ物は……」 「ちょちょちょちょっと待ちなさいよっ!何無視してるのよ!あんた誰よ!」 「わっち?」 「あんた以外に誰がいるのよ」 娘はあたりを見回して一言。 「色々と、たくさんおるのう」 「~~~!」 まさしく、辺りを見回せばクラスメイトが大量にいる。 失笑が漏れる中、ルイズは自らの杖を、娘につきつけた。 「あんたは、誰よ!」 杖をつきつけられて、流石に娘の顔から笑みが消えた。赤い……よく見れば琥珀色に強い赤みのかかった瞳をすっと細める。 「礼儀の知らぬ娘じゃの」 ... -
虚無のメイジと双子の術士-03
前ページ次ページ虚無のメイジと双子の術士 「本当に別の場所のようだな」 窓から見える、双つの月を眺めて彼はそう言う。 信用性も疑えるような古い文献でなら月は二つある、と見たこともあったかも知れないが、 彼自身はそれを見たこともないし、信じても居なかった。 世界は広い。一度閉塞的な環境から世界を回った身としては、それは当然の実感としてある。 混沌は無限に広がり、既知の領域などまさしく大海の塵芥に過ぎない、等という説も知識としてある。 そこまで極端な考えはなくとも、未知の世界に対する驚愕や困惑はあまり浮かばなかった。 興味もないわけではないが、それほど多くはない。 「別の場所?何言ってるのよ?」 「独り言だ」 「独り言だろうと構わないわ。どういう意味よ?」 「召喚された、と言うことだ」 ルイズはベッドに腰掛け、彼は窓を空けて縁に寄りかかっ... -
狼と虚無のメイジ-06
前ページ次ページ狼と虚無のメイジ 狼と虚無のメイジ 第六幕 「うふふふふふふふふ……ツェルプストーの顔ったら無かったわ!」 喜色満面。派手なリアクションも交えて悦に浸るルイズの後にホロが続く。 「そんなに……はむ……嬉しい……もぐもぐ……ものかのう……朝から……何度目じゃ……むぐ」 「あたりまえよ!何しろあいつは我がヴァリエール家200年来の仇敵だもの!言うなれば仇を獲ったと言うところね!」 「随分と可愛らしい仇討ちじゃの……はむっ」 そこまで言ってようやくルイズは、ホロの言葉に一々挟まる咀嚼音に気がついた。 「……さっきから何食べてるのよ」 「うん?ああ、マルトー、と言ったかや?料理長だそうじゃが気の利く雄じゃ。賄いを豪勢に分けてもらったんじゃ……むぐむぐ」 片手で持てる程度のバスケット。 こんがりと狐色に焼けたパンの... -
虚無のメイジと双子の術士-04
前ページ虚無のメイジと双子の術士 朝の光と小鳥のさえずりで目が覚めた。 その程度のことで目が覚めたのは、非常に寝にくい環境だったからか。 起き上がって、どうするべきか考える。 ――自分自身には、特にすることはない。 が、ルイズにはあるかも知れない。 此処は学校だと、コルベールという教師も言っていた。ならば、授業もあるだろう。 起こしても咎められることはあるまい――休日なら話は別だが。 ルイズが寝ているベッドまで歩いていくと、 肩に触れて、体を揺らす。 「朝だぞ、起きなくて良いのか」 「うーん……あと五分……」 何というか、非常に典型的な「そのまま寝入ってしまう人」のセリフを聞かされて、 彼は一応聞いておくことにした。 「今日は休日ですか?」 「ん……え?んー……違う……けど、まだ早いし……寝るわ……」 「休日じゃないんだな... -
狼と虚無のメイジ-01
前ページ次ページ狼と虚無のメイジ その村では見事に実った麦穂が風に揺られることを狼が走るという。 風に揺られる様子が、麦畑の中を狼が走っているように見えるからだ。 風が強すぎて麦穂が揺れることを狼に踏まれるとい、不作の時は狼に食われたという。 上手い表現だが、迷惑なものもあるのが玉に瑕だな、と荷馬車の上で「彼女」は思った。 今では少し気取った言いまわしなだけで、昔のように親しみと畏れこめて言うものは少ない。 揺れる麦穂を見下ろす秋空はもう見慣れたものになったと言うのに、その下の様子は実に様変わりしていた。 初めて来た時の村人などとっくにいない。人間は長生きしてもせいぜい70年。100年生きる者も稀だ。 いや、人からすれば何百年も変わらない方がおかしいのだろう。 だからもう、昔の約束を律儀に守ることもないだろうと「彼女」は思った。 村人は、迫... -
狼と虚無のメイジ-05
前ページ次ページ狼と虚無のメイジ 狼と虚無のメイジ 第五幕 チチチチ……と小鳥達の唱和の中、先に目を覚ましたのはホロ。 目をしぱしぱとさせながらゆっくりと上体を起こした。 朝の空気をたっぷりと吸い込み、はてここは何処かと頭を動かす前に、ふと尻尾に違和感を覚えた。 長い尻尾に、自分のものではない四肢が絡みついている。 言うまでもなくルイズだ。触り心地のよさに無意識のうちに掴んだのだろうか、抱き枕よろしく幸せそうな寝顔だ。 「む。これ。離さぬか」 華奢な外見とは裏腹に、強力にがっちりと掴み込んでおり、ホロはルイズをひっぺがすの苦労した。 ようやく剥がした頃には、尻尾の毛並みはくしゃくしゃだ。 自慢の尻尾の惨状に、さすがに眉をひそめたが、尾に潜んでいた小さな「跳ねる何か」に気づくと、にまーっと笑ってベットを降りた。 剥がす際にあれこれ動か... -
虚無のメイジと双子の術士-02
前ページ次ページ虚無のメイジと双子の術士 彼は、目を覚ました。 まだ少し微睡んだ意識で、周囲を確認する。 ふわふわした物の上に寝かされて、ふわふわした物が掛けられている。 ベッドの上に居るのだと判断した。布団かも知れないが。 これがふわふわした雲の上にでも居たのなら、天国か『地獄』と判断したかも知れないが、 少なくとも毛布を掛けてくれるような人がそこに居るとは思えない。 「生きてるのか……」 呟くと、視界の端で何かが動くのが見えた。 人影のようだった。彼の方に歩いてくる。 「起きたようですね――えーと……失礼でなければ、お名前は?」 視線が、人影をはっきりと捉える。 禿げた頭の男だった。 名前を聞かれて、彼は戸惑う。どちらと呼ばれても気にはならないだろうが、 名乗るとするならどちらが相応しいのだろう? どちらか本気で悩んだが... -
狼と虚無のメイジ-04
前ページ次ページ狼と虚無のメイジ ホロは麦に宿る神として、数百年の間パスロエの村で麦畑を豊かなものにしてきた。 他の村に比べても比較にならない良質な小麦であり、村はよく栄えた。 しかし、土地の実りをよくする為には代償が必要であり、何年かに一度実りを悪くしなければならない。 ところが、村の人間はそれをホロの気まぐれだと言いはじめた。 それがひどくなったここ数年で、ホロは村を出ることを決心したということらしい。 「ちょっと……待った。麦に宿ってた!?それってエルフの先住魔法みたいなものじゃなくて?」 「エルフとか先住云々とかはわからんがの、とにかくわっちは麦に宿って実りを良くすることができる。 じゃが村の者は自分等で実りの良くする方法を見つけて実行しておる。あの村にはもうわっちはいらん」 ホロはぷいとそっぽを向いた。どうやら拗ねているようだ。 実際そ... -
虚無のメイジと双子の術士-01
前ページ次ページ虚無のメイジと双子の術士 光が弾ける。 この不自然なまでに明るい場ではさして目立たなかったが、それは明らかに周囲の物と違っていた。 解りやすく言えば、威力がある。 それが弾けた場所は爆撃でも受けたかのように吹き飛んでいる。 見ればその焦げ跡はその場所のそこら中にあった。 焦げ跡に限定しないのならば、もっと破壊の痕跡はあった。 柱は鋭く斬り倒され、固形化した雲とでもいうのか――白い床は所々消し飛んでおり、 階段は何かに食われたかのように削り取られ、粉々になった瓦礫が空中で静止している。 それらはこの場所に致命的な変化をもたらしていた。 別に、悪いと言うことではない。 もとより、『彼ら』はそのためにここに来たのだから。 破壊の跡は、ある一点に向かうほど、その密度を増している。 その一点で―――この場所の一番奥深くで、ふたつの存在... -
狼と虚無のメイジ-03
前ページ次ページ狼と虚無のメイジ そのトリステイン魔法学院学生寮。 一室から「くしゅん」と可愛らしいくしゃみが聞こえた。 「うう、この姿は嫌いではないが、いかんせん寒い。毛が少なすぎる」 「マント羽織っただけじゃ当たり前じゃないの!あ~、しょうがないわね!」 頭を抱えながら、ルイズはクローゼットを漁る。下着の他、プラウスやスカートを手に取ると、ホロに向かって押し付けた。 よくよく見ればルイズのものと同じ、魔法学院の制服だ。おそらく予備のものだろう。 「とりあえず、これ着てて。勘違いしないでよね。心配してる訳じゃなくて、使い魔に風邪なんか引かれたら主人の沽券に関わるのよ」 「ふふ。そういうことにしておくかの」 「んなっ!?」 顔をまた赤くするルイズを横目に、ホロはぱぱっと着替えを終えた。 「うむ、さすが貴族と言う程のことはある。... -
狼と虚無のメイジ-07a
前ページ次ページ狼と虚無のメイジ 狼と虚無のメイジ 第七幕 前編 アルヴィーズの食堂。 教室の掃除で疲弊したルイズは、出された食事をまるで残さず、綺麗に平らげていた。 しかしそれでも足りないのか、ぷぅんと鼻腔をくすぐる香りにやや不満顔だ。 そんな彼女の前に、ひょいと小皿が差し出される。 「あるじ様、今朝食べていた例の品でありんす。くれぐれも他の方々には内密に……」 「ああ良い匂い……って、いや、その前に。なんであんたメイドの格好してる訳?」 差し出された不出のはずの賄い料理に目を輝かせたものの、目の前にもっと注目すべき物があるのだから黙っていられない。 食堂内で忙しなく働くメイドに混じり、堂に入った手つきで配膳を手伝うホロ。 動きだけ見れば違和感が無いが、その耳はやはり目立つ。 「んう?ああ、シエスタに借りた服を汚して... -
狼と虚無のメイジ-08a
前ページ次ページ狼と虚無のメイジ 狼と虚無のメイジ八幕 前編 「失礼します」 全校生徒には遥かに満たない人数の前とは言え、食堂であれだけ派手にやった訳であるから当事者の五人が説明の為に学院長室に呼ばれるのは必然だった。 実際に傷ついたのはギーシュ一人だが、周りから見れば彼女達が被害者である。 ところが、入ってきたのは悲痛な面持ちなど欠片も無い、むしろ意気揚々とした五人の顔だった。 気丈に振舞っているのかとも思ったが、どうにも違う様である。学院長であるオールド・オスマン氏は大いに困惑した。 「芝居……とな?」 ルイズの話を聞けば、使い魔が世話になったメイドを助ける為、咄嗟に小芝居を打ったとのことだ。 遠見の魔法で一部始終を見ていたオスマンであるが、仔細までは解らなかったのも無理は無い。 まあ、グラモン家の三男の所業を見てい... -
ゼロのメイジと赤の女王
『十二国記』より中嶋 陽子 ゼロのメイジと赤の女王‐01 ゼロのメイジと赤の女王‐02 ゼロのメイジと赤の女王‐03 ゼロのメイジと赤の女王‐04 ゼロのメイジと赤の女王‐05 ゼロのメイジと赤の女王‐06 -
狼と虚無のメイジ-08b
前ページ次ページ狼と虚無のメイジ 狼と虚無のメイジ八幕 中編 思い思いに生徒が集うヴェストリ広場。 その片隅に存在する、昨日までは無かった木組みのそれは、恐らく寮の部屋程度の面積だろうか。 割と小奇麗な布で囲われており、その中身は見えない。所謂簡易のテントで、組み立ても解体も簡単そうだ。 上から見ると正方形の作りで、便宜上の底辺の左右に出入り口がある。 そこには片手で数えられる程の生徒が椅子に座って並んでおり、右側から入って左側から出ていく構造になっている。 出てきた生徒は何処か嬉しそうに、しかし思案しながら、その横に設置された台で何かを記入していた。 「うぅむ。これは一体?」 「実験と言うのは解るのですが……」 物見の鏡からでは結局何をしているのか解らない。 ロングビルの「実際行って見るのが一番解り易いかと」と言う言葉に促され、オスマ... -
狼と虚無のメイジ-07b
前ページ次ページ狼と虚無のメイジ 狼と虚無のメイジ 第七幕 後編 「待ちなさいな」 蟲惑的な声色でギーシュの行く手を阻んだのは、褐色の肌の魅力も艶やかなキュルケだった。 再びのどよめき。 群がる男を虜にし、微熱の浮名を馳せているゲルマニアからの留学生。 彼女が一体ギーシュに何用だと言うのか。 「や、やあキュルケ君。相変わらず美し」 バシィ! 「ぶがっ!?」 言葉も言い終わらぬ内に、有無を言わせぬキュルケの平手打ちが炸裂した。 「まさかとは思ったけど、まだ続いてたのね……」 「へ?」 「忘れたって言うの!?」 即座に反対側の頬にも平手打ち。ビシとばかりに一度目よりも大きな音が轟く。 「二つ前のスヴェルの月の夜……あの屈辱を私は決して忘れない……!」 瞳に燃える炎を揺らめかせ、ギーシュを真... -
狼と虚無のメイジ-08c
前ページ狼と虚無のメイジ 狼と虚無のメイジ八幕 後編 「聞いてないわよ……」 キュルケは頭を抱えていた。 その目の前にふよふよと浮かぶ巨大な目玉。 紛う事なきバグベアーである。 変な予感はしていたのだ。 現在付き合っている男性陣にも声をかけ、三日目までは滞りなく進んでいた実験。布陣は完璧の筈であった。 ところが四日目になって目の前に現れたのは、以前振った事のある男子生徒だった。 過去の柵がここになって響いてこようとは。常であれば、未練がましいと追い返すところであるが、この場は決闘の場。取り繕ってでもポイントを稼がねばならない。 男女関係には定評があると自負する以上、ここで引いては女が廃る。 口八丁でどうにか丸め込めたとは思うが、終始ボーっとしていたのは何だったのだろうか。いや、自分の手合いに陶酔していたのだろう。改めて罪な女だと思... -
伝説のメイジと伝説の使い魔
ドラゴンボール劇場版からブロリーを召喚 伝説のメイジと伝説の使い魔-01第一話 伝説の出会い 伝説のメイジと伝説の使い魔-02第二話 記憶喪失 伝説のメイジと伝説の使い魔-03第三話 使い魔の朝 -
虚無の闇-11
前ページ次ページ虚無の闇 ガリアの首都から500リーグもの距離があるサビエラ村だが、村としての規模は大きいほうに入る。 山間にあり商人なども頻繁には訪れない寒村だが、山を行く猟師や行商人などにとっては重要だ。住人の数が二桁という村も多数ある中、300を超す人口は町といってもよかった。 遅きことナメクジの如く働かざる事無能王のごとし、と囁かれるお役所仕事が、たった二ヶ月の間に二人ものメイジを送った事からも重要性が解る。 既に9人もの被害者を出しているだけあって、村人の顔は誰も彼も不安と恐怖で埋められてた。貴族である騎士に面と向かって口に出す者は居なかったが、家や木の陰に皆で集まっては、思い思いの感想を飛ばす。 「今度派遣されてきた騎士様は大丈夫かしら」 「よくわからんが、従者っぽい姉ちゃんは見るからに能天気っぽいな……」 「なんと、三人とも女の子とは……。全員... -
虚無の闇-12
前ページ次ページ虚無の闇 「ああ! もう! どこへ行ったのよ! 私の杖は! さっさと見つけなさいよ!」 「うるさいのね! さっきから探してるの! そんなに言うなら、自分で探せばいいの!」 「いちいち口答えしない! 私は貴族なのよ?! さっさと探すの!」 屋敷の裏庭にルイズのヒステリックな声が響き、わざとらしくあちこちを探しているシルフィードにぶつぶつと小言を繰り返す。 恐怖を誤魔化すために少々ワインを飲みすぎたルイズは、昨夜の見回り中にうっかりして杖を落としてしまった、という設定だ。文句を返すシルフィードの態度と相成って、ありがちなダメ貴族と言う感じを十分に出していた。 シルフィードの背中の上で編んだ作戦だった。吸血鬼が恐れるのはメイジで、メイジは杖が無くては魔法を使えない。だから杖をなくしたルイズは格好の的である。 一刻も早く騎士を片付けたい吸... -
虚無の闇-15
前ページ次ページ虚無の闇 エルザは恐怖していた。 心臓が今にも破裂しそうなほど高鳴り、極めて早いビートを刻み続けている。 本当にばれていないのだろうか? 実はマスターが、私を嘲るために遊んでいるのではないだろうか。 背後でコルベールの感極まった声が聞こえ、更に恐怖が煽られる。 現在エルザは、オスマンと胸を押し付けあう形で抱えられていた。 ルイズやタバサ、コルベールらには背を向けている。顔を見せる事はないが、見えないからこそ余計に想像してしまうのだ。 何度も酸っぱい物を飲み下す。あの短時間ではこの老人をグールに作り変える事が出来ず、エルザはオスマンの首筋に牙を埋め、ボロが出ないように必死に操作していた。 もし今エルザが牙を抜けば、作りかけのグールはたちまち死体に戻る。首に開いた二つの穴は、絶対的な証拠として残ってしまう。 「やはり、ヴィンダールヴのル... -
虚無の闇-13
前ページ次ページ虚無の闇 「助けてー!」 夕暮れの村に響いたのは甲高いエルザの悲鳴だった。牙をむき出しにしたアレクサンドルが森から飛び出し、村を歩いていたエルザをさらったのだ。 それにやや遅れて桃色髪の少女が猛追をかける。杖を振りながら地上ギリギリをフライで駆け、隙を見ては氷の矢を飛ばした。だが地面に無数の穴が開くばかりだ。 エルザを盾にするグールに積極的な攻撃は仕掛けられず、逃げ回る彼を追いかける事しかできない。何人もの村人が悲鳴をあげ、慌てて彼らの進路上から逃げ出した。 「見つけた!」 そこに颯爽と現れたのは、村で待機していた雪風のタバサ。先回りしてグールの行く手を遮り、逃げ回る足元へ掃射する。一発が右足を抉り、逃げ場を失った大男はついに足を止めた。 この連携によって必然的に挟み打ちの形となり、アレクサンドルはエルザを突き付けながらも必死に周... -
ゼロのメイジと赤の女王‐03
前ページ次ページゼロのメイジと赤の女王 ふたりが城に到着したのは、とうに日も暮れてのことだった。 ルイズは迷いのない足取りで城の中の一室に入ると、物も云わずにベッドへ飛び込んだ。 あれじゃ制服が皺になるんじゃないかなと陽子は思ったが、声をかけられるような雰囲気でもない。 何の気なしに窓へと視線をやって、驚愕に目を見張った。 「・・・月が、ふたつ・・・?!」 月影の国にも様々な非常識が溢れていたが、流石に月と太陽はひとつずつしかなかった。 ああこれはもう異世界確定だな。陽子は軽く頭を抱える。 どうしよう、不可抗力だと思うんだけど、やっぱり怒られてしまうだろうか。こんなに遠くまで来る気はなかったのだけれど。 仏頂面をさらに渋くした景麒と、穏やかなままで威圧する浩瀚を想像してしまい冷や汗を流す。 これはどうしたものかなと悩んだ末... -
ゼロのメイジと赤の女王‐02
前ページ次ページゼロのメイジと赤の女王 「・・・・・・非常識は大分見てきたと思ったけれど、人間が騎獣にも乗らず空を飛んでいるのを見たのは、流石に初めてだな・・・」 陽子はほとんど呆れたようにひとりごちた。数十の人間が身ひとつで宙を駆る姿は、なかなかどうして大したものだった。 あれからコルベールとふたりがかりで必死にルイズをなだめにかかったが、こんな細い少女のどこにこれほどの力があるのだろうと不思議に思うほど、彼女は怒り狂っていた。 やっと落ち着かせてみれば授業時間が過ぎているどころか、日が傾き始めていた。 コルベールが疲れたように解散を云い渡し、待ちくたびれた少年少女はルイズを口々に罵り、あるいは嘲笑って遠くに見える石造りの城のほうへ飛び去っていった。 「・・・私たちも行くわよ」 ルイズは頭上をゆく彼らを力いっぱい睨みつけながらさっさと... -
長編(五十音順)-06
... 06 (Sun) 虚無のメイジと、吸血鬼 閉鎖師シリーズ フィオナ・イストラッド 2008-02-06 12 40 15 (Wed) 虚無と最後の希望 HALOシリーズ マスターチーフ 2011-09-16 19 04 45 (Fri) 虚無なりし者 BETTERMAN ベターマン・ラミア 2010-08-26 00 55 42 (Thu) タバサの大尉 HELLSING 大尉 2009-06-28 03 38 02 (Sun) フーケの憂鬱 HELLSING アーカード少女形態、アンデルセン、大尉 2009-06-28 03 41 30 (Sun) 神父様のコートは四次元コート HELLSING アンデルセン 2009-06-28 03 41 58 (Sun) ギーシュの吸血 HELLSING ギーシュ(吸血鬼) 2009-06-28 03 42 53 (Sun) アーカードはそ... -
虚無の闇-14
前ページ次ページ虚無の闇 トリスティン魔法学院の一室。キュルケは豊満な肉体を薄い寝間着に包んだまま、苛立たしげに腕を組んでいた。 せっかくルイズは魔法を使えるようになったのに、今度は授業をサボりっぱなし。一時は見返されバツの悪そうに黙っていた生徒たちも、また元気づいてあれこれと文句を言い始めている。 努力を止めたら足元をすくわれると窘めてやろううにも、最近はめっきり顔を合わせられない。決闘の後、恐ろしい速度で飛んで行ってしまってからは、食事時しか姿を見ていなかった。避けられているのだとは思いたくないが、そう考えても仕方が無いほどすれ違っていた。 そして始まる直前にやって来たかと思えば、すぐにどこかへ行ってしまうのだ。アンロックで部屋に押し入っても留守ばかりで、ことごとく声をかけるタイミングを逸してしまっている。 「まさか、ルイズに限って……ね」 キュルケ... -
狼と虚無のメイジ
狼と香辛料 のホロを召喚 第一幕 第二幕 第三幕 第四幕 第五幕 第六幕 第七幕 前編/後編 第八幕 前編/中編/後編 作品…狼と香辛料 行商人ロレンスと、賢狼を名乗る少女ホロが織り成す物語。 舞台設定としては17~18世紀。 産業革命にはまだ間のある欧州の様な世界観。 こちらのキリスト教に近い「教会」がかなりの権力を有する世界だが、こちら程浸透してはおらず、ある区間より外は管轄外で、土着の信仰が数多く残る。 教会の勢力内においても古い神々への信仰は祭りや風習と言った形で残っている。 RPGの様な世界観ではあるが、戦闘描写は少ない。 むしろ商売における駆け引きや、ホロとロレンスの小気味の良い会話の妙に主軸が置かれている。 特に商戦の描写は半端なバトルよりも楽しめる、緊迫感に溢れた内容となっている。 召喚人物... -
雷撃のタバサ-3
>>back >>next 村長の家にベッドを運び終えた村人とシルフィードのところに、タバサが合流した。 タバサの姿をしたとらから、アレキサンドルが屍人鬼であったと聞いた村人たちは、マゼンダ婆さんこそが吸血鬼であると口々に主張して譲らなかった。 「静かに! それはこれから調べるのね。ひとまず、お婆さんはこの北花壇騎士シルフィードが責任持って監視しておくの! あなたたちはそれぞれ家に戻って、しっかり戸締りをなさい。まだ吸血鬼がマゼンダお婆さんだと決まったわけではないのよ」 シルフィードの熱をこめた主張に、殺気立っていた村人たちはしぶしぶと家に帰っていく。シルフィードは村長を振り返った。 「村長さん、悪いけど一階の部屋を借りて、お婆さんを監視させてもらいます。危険だから娘さんも部屋から出さないように、きゅい!」 「は、はい。分かりました、... -
ゼロのメイジと赤の女王‐01
前ページ次ページゼロのメイジと赤の女王 眼を開けて視界に飛び込んできたのは、蒼い蒼い空と、広い広い草原だった。 陽子は尻餅をついた格好で、ぽかんとその光景を見詰めた。 抜けるような蒼空と豊かな草原、遠目には西洋風の石造りの城がそびえている。 一体全体これは何事だろう。つい先程まで街中にいたはずの自分がこんなところにいる理由がまるで思いつかず、陽子は困惑する。 「あんた誰?」 呆けた陽子の目前に仁王立ちしているのは少し信じられぬほど美しい少女である。 意志の強そうな鳶色の瞳は白磁のようにすべらかな膚と愛らしい顔立ちを飾り、それを縁取る桃色の髪は光を受けた部分がちらちらと金色に輝く。 身に纏っているのは漆黒のマント。その下にブラウスとプリーツスカート、オーバーニーソックス。間違っても慶の国ではまず見ないいでたちである。 月影を... -
ゼロのメイジと赤の女王‐04
前ページ次ページゼロのメイジと赤の女王 翌朝、早々に目覚めた陽子はとりあえずいいつけを済ませようと、そっとルイズの部屋を抜け出した。 広い廊下を歩きながら周囲を見て回るが、無駄に大きな城は何がどこにあるのかさっぱりわからない。 「・・・さて、水場はどこにあるんだろう」 少し困ったようにひとりごちた陽子に、冗祐が助言する。 「使用人をつかまえて訊いたほうが早いのでは?」 「そうだな、これだけ広いのなら働いている人も大勢いるか・・・」 「ならば丑の方角に、人が」 「わかった、ありがとう」 教えられた方向へ向かえば、遠くから人影が向かってくるのが見えた。彼女――――どうやら女性だ――――は陽子に気づくと軽く目を見張って、にこりと笑んだ。 切りそろえられた黒髪と白い肌に散ったそばかすの愛らしい、陽子とそう歳の変わりなさそうな少女だ。 ... -
虚無と狂信者-22
前ページ次ページ虚無と狂信者 ジュリオは昨晩の屋敷の庭に竜を降り立たせた。 キュルケはヒラリと飛び降り、屋敷に向かう。 ジュリオはやれやれと首を振り、後を追おうとする。 「ここで待ってて。すぐに退避できるように準備していて」 キュルケは一人で行くことに逡巡しないでもなかったが、竜に乗っていない竜騎士を 連れていくよりは一人の方が効率的と考え、代わりに退路を確保することを優先させた。 「わかった。気をつけるんだよ」 ジュリオもそれに反論することなく、彼女を見送った。 キュルケは慎重に屋敷を探索する。 そこでふと違和感に気づく。 「埃が積もっているわね」 生活感がまるでみられない。ならばあの男はこの屋敷の住人という訳ではなさそうだ。 聞き込みをしておけば、この屋敷を使っていた人間はとうにいないことを知っただろう。 ... -
Ruina 虚無の物語-02
前ページ次ページRuina 虚無の物語 契約の後、左手に焼けつくような痛みが走る。 「すぐに収まるはずよ、使い魔のルーンが刻まれてるだけだから。」 言葉の通り、痛みはすぐに収まった。 左手を見ると、知識にない文字が刻まれている 「おお、これは珍しいルーンのようですな。スケッチしてもいいでしょうか?」 確認のためにルイズの方を向くと、許可が出たので頷いた。 コルベールが左手のルーンをスケッチしている途中で、聞きなれた声がした。 振り向くとネル、キレハ、エンダの3人が起きていたので手短に事情を説明する。 「ようするに、この子の使いっぱしりになったわけ?」 「使いっぱしりじゃなくて使い魔よ、あと私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ!この子なんて言い方はやめなさい!」 「る、ルイズさん、落ち着いてください!」 「つまりフィーはドレ... -
長編(話数順)-01
... 08 (Thu) 虚無のメイジと、吸血鬼 閉鎖師シリーズ フィオナ・イストラッド 2008-02-06 12 40 15 (Wed) タバサの大尉 HELLSING 大尉 2009-06-28 03 38 02 (Sun) フーケの憂鬱 HELLSING アーカード少女形態、アンデルセン、大尉 2009-06-28 03 41 30 (Sun) 神父様のコートは四次元コート HELLSING アンデルセン 2009-06-28 03 41 58 (Sun) ギーシュの吸血 HELLSING ギーシュ(吸血鬼) 2009-06-28 03 42 53 (Sun) タバ→大尉 HELLSING 大尉 2009-06-28 03 47 19 (Sun) PZero ペルソナ ~トリニティ・ソウル~ / PERSONA - trinity soul 神郷慎 2008-03-11 23 59... -
伝説のメイジと伝説の使い魔-01
前ページ次ページ伝説のメイジと伝説の使い魔 第一話 伝説の出会い 「――――」 世界のどこか、どこでもない淡い光の中で、男は誰かの名を叫んだ。その名が何者か、男自身もすでに忘れた。 記憶がなくとも、男は、本能から、本能でしか表せようのない誰かを求めた。 男の根源に眠るのは、流れる血だからこその欲望。自身の強大な力ゆえの狂気。それを上回れた故の、かつて、隣であった故の、劣等感を味わった故の憎しみ。 「――――」 男は叫ぶ。光の彼方に向かって。 男はその意味を喪失し始めていた。男の頭が霞のような霧に覆われ、何もかもが忘却されてゆく。 不意に男は額を押さえる。何かに支配される不快感を感じたからだ。 男は額を掻き毟る。そうでなくては頭が割れる。記憶の彼方に感じた、痛く、僅かに暖かみのある拘束。 男のすべてが光に包まれる。男はもう何も考えら... -
ゼロのメイジと赤の女王‐05
前ページ次ページゼロのメイジと赤の女王 身支度を済ませて部屋を出ると、丁度隣の部屋から出てきた少女とかちあった。途端、ぴりりとルイズの周囲の空気が張り詰める。苦い表情は朝っぱらから嫌なやつに会ってしまったと云わんばかりだ。 その反応にか少女は陽子とは少しばかり色合いの違う赤い髪を掻きあげてにっこりする。身長はルイズより大分高く、女らしい曲線を描く身体はまるで大人と子供だ。褐色の肌が朝日にぴかりと光っていた。 おはよう、ルイズ。おはよう、キュルケ。対照的な少女たちは対照的な表情で挨拶を交わした。ところで、キュルケと呼ばれた赤毛の少女はにやにやと笑いながらルイズの後ろに控えている陽子を指す。 「あなたの使い魔って、それ?」 「・・・そうよ」 苦虫を噛み潰したような顔で肯定するルイズに、キュルケはあからさまに馬鹿にした表情で笑い出した。 「あっはっは... -
虚無の唄-1
>>next 今朝もルイズは憂鬱だった。 目の前に並ぶ『豪奢』な食事に対して何の食欲を覚えない。 しかしそれにも拘らず空腹は訪れる、そんな状況にいい加減嫌気が差してきたのだ。 いくら嫌だからといって、食べなければ栄養失調で倒れてしまう。 公爵家の三女としてそんな無様を晒すわけにはいかない。 わざわざ部屋まで届けさせたという事もある。 そう自分に言い聞かせ、まずは『腐肉のスープ』にスプーンを入れ、極力臭いを嗅がぬ様に、啜る。 今、ルイズは地獄に居た。 ── 事の起こりは一年生最後の授業の後。 学年末試験も終わり、二年への進級を待つばかりだったルイズだが、 二年になったら、必ず魔法を成功させたい! そう意気込み、普段より練習に気合を入れていたのだ。 それがいけなかったのか、はたまた何か別の要因が働いたのだろうか。 いつもの様に爆発した... -
Ruina 虚無の物語-06
前ページ次ページRuina 虚無の物語 ルイズに矢の呪文を披露してから数日が過ぎた。 あれから魔法は使っていない。 理由として、自分の扱える魔法の中に日常生活で使えるようなものがほとんど無いという事も挙げられる。 せいぜい灯りを作り出す魔法ぐらいである。 他の魔法も威力を落とせば使えるかもしれないが、そこまでする必要性も感じられなかったという事も原因の一つである。 また先日教師達に事情を説明した結果、自分達は「東方から召喚された平民のメイジとその友人達」として認識される事となった。 校長と名乗る老人が「よかった、これで貴族だったら国際問題になっとったわい」と安堵していていたのが印象深い。 なお、事情を知らない生徒は広場にある岩の痕の原因がルイズの失敗魔法であると勘違いしているらしく「ゼロのルイズ」呼ばわりする者は日に日に減って行った。 今更ながらあの爆発の危険... -
虚無の闇
「ドラゴンクエスト3」のゾーマ様を召喚 虚無の闇-01 虚無の闇-02 虚無の闇-03 虚無の闇-04 虚無の闇-05 虚無の闇-06 虚無の闇-07 虚無の闇-08 虚無の闇-09 虚無の闇-10 虚無の闇-11 虚無の闇-12 少々悲惨な描写がありますので閲覧注意してください 虚無の闇-13 虚無の闇-14 虚無の闇-15 虚無の闇-16 虚無の闇-17 -
虚無の王
「エア・ギア」より前“風の王” 武内空 を召喚。 第一部 虚無の王-01 虚無の王-02 虚無の王-03 虚無の王-04 虚無の王-05 虚無の王-06 虚無の王-07 虚無の王-08 虚無の王-09 虚無の王-10 虚無の王-11 虚無の王-12-1/2 虚無の王-13-1/2 虚無の王-14 虚無の王-15 虚無の王-16 虚無の王-17-1/2 虚無の王-18-1/2 虚無の王-19-1/2 虚無の王-20-1/2 虚無の王-21-1/2 虚無の王-22-1/2 虚無の王-23 虚無の王-24 虚無の王-25-1/2 第二部 虚無の王-26 虚無の王-27 虚無の王-28 虚無の王-29 虚無の王-30 -
Ruina 虚無の物語-04
前ページ次ページRuina 虚無の物語 着替えを終え部屋から出ると、隣の部屋の扉が同時に開いた。 中から出てきたのは、まるで炎のような赤毛と褐色の肌が印象的な女性だ。 「あら、おはようルイズ。」 「…おはよう、キュルケ」 「へぇ、本当に人間なのね。全員が貴女の使い魔?」 「使い魔はそこの白いのだけ、あとの3人はその従者よ。」 「へぇ、従者付きでメイジの使い魔だなんて“ゼロ”のルイズにしては気が利いてるじゃない。」 「うるさいわね。」 「誰かさんと違ってあたしは1発で成功したけどね。ところであなたはどのくらい魔法が使えるのかしら?」 キュルケと呼ばれた女性がこちらに問いかけてきた。 フライやレビテーションは使えないが攻撃魔法は多少心得ていると返す。 「へぇ、変わってるわね。ところであなた達の名前は?」 自分達の名前をそれぞれ紹介する。 キュルケはそんな... -
虚無と狂信者-27
前ページ虚無と狂信者 シエスタは衛士に連れられ廊下を歩いていた。自然と溜息が漏れる。 その右手に視線を移す。少女のものとは思えないほど、無骨で、傷だらけの手だ。 こんな風にするまで、どれ程の鍛練をしてきただろう。どれ程の時間を費やしただろう。 そして、それほど賭けて積み上げた技術も、何の意味も為さない。 ここから逃げることも拒否することも、愛する人の元に向かうことも。 何もできはしないのだ。 「護身……か……」 己の身を護ることが武の本質とするならば、この結果は間違いなくそれに近いだろう。 金は得られ、大切な人は守られる。 けれど、どうしても悲しかった。 ふと、曽祖父の言葉が思い出される。 「シエスタ、おぬし程の才があればわかるだろう。武を極めたものにとって実際に戦うなど下の下、 もし、武の真髄に近づくならば、危うきには近寄れぬ... -
虚無の闇-10
前ページ次ページ虚無の闇 トリスティン魔法学院の一室で、緑色の髪をした女性がひたすらに文句を並べ立てていた。 部屋には彼女以外の人影は無いが、決して頭がおかしいとか、行き遅れで狂ったとか、精神がかわいそうだとかではない。 彼女の話し相手は壁際に立てかけられているインテリジェンスソード、デルフリンガーだった。彼はかれこれ2時間は愚痴につき合わされている。 普段は取り繕われている有能な秘書としての仮面は完全に脱げ去り、思いつくありとあらゆる言葉を駆使して学院長の罵詈雑言を並べ立てていた。サイレントの魔法がなければ学院中に声が響き渡っているだろう。 「あの色ボケときたら! 何が白より黒が似合う、だい! 下着に気を使わないから男が出来ない、なんて言いやがって!」 「そんな事を言われても、俺は剣だから……」 「あたしゃあ、ま! だ! 23歳だよ! あ~~!... -
虚無の闇-08
前ページ次ページ虚無の闇 ルイズは馬の背に揺られながらぼんやりと空を見上げ、ノミの如く湧き出る暇を少しでも潰そうと、流れる雲の形で連想ゲームをしていた。 上手い具合にまん丸な雲を発見し、王都の店でクックベリーパイを食べようと心に決める。ついでに欠伸も噛み潰し、ようやく見えてきた王都の影に悪態をついた。 身体能力が上がったお陰なのか、乗馬が急激に上手くなっていた事は嬉しい。しかし意図せずともこちらの意識を汲んで動いてくれるため、安定しすぎて逆に暇になった。 途中でとても面白いイベントはあったにしろ、それ以降は全く何も無かったし、風景も相変わらずで面白みが無い。 曲がりなりにも空を飛べるルイズが何故馬などに頼っているかといえば、まだ空を飛ぶのが猛烈に下手糞だからだ。簡単なはずの宙に留まることさえ難しく、落ちないように魔力を放出し続ければとんでもない方向へ行ってしまう... -
ゼロのメイジと赤の女王‐06
前ページゼロのメイジと赤の女王 「よいしょ、っと…」 軽く声を掛けて、陽子は黒焦げになった机を持ち上げた。 爆発から二時間後、ようやく目を覚ましたシュヴールズは、ルイズに教室の後片付けを命じた。その際に魔法の不使用を言い渡されたが、彼女の場合、それにあまり意味はないようだ。 しかし「失敗を恐れずに」とか云っときながら罰を与えるとは。教職に向いているとはとても思えない女性の言動にやや呆れながら、陽子は壊れた机や窓ガラスを片付け、雑巾をかける。 ルイズは徹頭徹尾仏頂面で、申し訳程度に煤のこびりついた机を拭っていた。 眉間にしわを寄せ、だんまりを決め込んでいるルイズに触るのは得策ではないだろうと、陽子も何も言わずに黙々と掃除を続ける。 重苦しい沈黙の中、聞こえるのはただ作業する物音だけだった。 「…なんか、言いたいこと、あるんじゃない... -
虚無の闇-07
前ページ次ページ虚無の闇 ルイズは満足だった。もう自分はゼロのルイズではない、それどころかお前らごときがゼロ、取るに足らない矮小な存在なのだと。 笑顔の仮面の裏で特上の侮蔑を撒き散らし、魔封じをかけてやったギーシュをチラリと見返す。自らの降りかかった呪いも知らず、暢気に薔薇を振っていた。 世界でも指折りの魔法使いとて、油断していれば容易くマホトーンを受ける事がある。あの瞬間のギーシュは確実に呪文に飲み込まれただろう。心の中に絶望と恐怖の芽を育ててやったから、どんな末路を辿るのか見ものだった。 どれほど貴族らしく在ろうとしても排斥するような愚民の中で、何も持たない者がどれほどの苦しみを味わうのか知ればよい。 彼の絶望が私の力になってくれるだろう。私は更に強くなるのだ。私を否定したこの世界を、今度は私が否定してやるために。 広場を離れながら策略をめぐらせる。より大... -
虚無の王-02
前ページ次ページ虚無の王 「空?」 「そ。雲さんぎょーさん居る、でっかい空や」 「格好つけた名前ね。まあ、見た目通り、フワフワ軽薄そうな所はいかにも――――」 ルイズは言葉を切った。ニコニコと笑みを浮かべていた空の顔から、急に表情が抜け落ちたからだ。 「なんや、あれ」 空の指さす先では、生徒達が飛行魔法を使い、一足先に教室を目指していた。 「ルイズ!お前は歩いて来いよ!」 「あいつ、フライはおろか、レビテーションさえまともに使えないんだぜ」 口々に悪態をつきながら、去って行く生徒達。 「飛んでるわ」 どこか、憮然とした口調だった。 「そりゃあ、メイジだもの」 「気に入らんわあ」 「何が?」 「あいつら飛んでる癖に、ちっとも気持ち良さそうやあらへん」 「飛べるのなんて、当たり前だからでしょ」 ... - @wiki全体から「虚無のメイジと、吸血鬼」で調べる