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行為:評価:消費:強制使用 白兵:15:4:○ 中距離:5:1:○ 陣地作成:-:0: 装甲:9:0:○ 対白兵装甲:13:2:○
【陣形】
【攻撃時装備】
(瑠璃@になし藩国)
(イタ@になし藩国)
ダンボール、というのも洒落た名前である。
確かに無骨だ。優美さとは到底縁はない。特技は硬いこと、それから穴を掘ること。うん、確かに華はない。というか、やられ役でよく見る低コスト量産期の匂いがぷんぷんしている時点で、それはまあ、他の機体と比べる方がどうかしている。
そして、そんなことは知ったことかというのがこれを作った者たちの粋なところだと思って、コックピットに座る若月宋一郎は笑った。
ニューワールドの命運を賭けた最後の戦い。越前国より送られた魂の燃料10万トンを注ぎ込まれたのは、他のどんな高性能な機体でもなく、このダンボールだった。理由はひとつ。ただ、動くというその一点のみ。になし国の最後の意地と、誇りに答えてくれたのは、この無骨で硬い頼れる相棒だったのだ。
「さて、下Tさん。芒さん。行きましょうか」
迫り来る敵の軍勢を前に、若月が笑みをそのままに言った。
「了解です。戦闘距離はどうしましょう?」
「愚問だ芒さん……。騎士の武器はひとつ」
「あ、いやでも下Tさん、ダンボールが使ってるのは剣じゃなくてスコップ――」
「関係ない」
下T言い切った。目がマジである。
「あー、ええと。心情はともかく、せっかくコパイロットのお二方が黒騎士なんですから、そのサポートを使わない手はないですよ。モーション補正、よろしくお願いします」
「まかせてください」
「無論」
ダンボールが100mm砲を捨てた。取り回しのよいスコップを構え、もう片方の腕には巨大な盾。
「トモエリバーの突撃力もよかったですが、これはこれで」
若月の操作でダンボールは突撃を開始。ゆっくりと、だが確実に加速し敵の軍勢に迫っていく。張られる弾幕をものともせず、盾を押し出すように前へ、前へ。
「我らぽちの騎士。世界にあるすべての不幸の敵」
「悪ども。いざ、参る」
若月と下Tがそれぞれ名乗りをあげ――ただ一人だけ芒だけが困った顔をしていた。
二人、気付く。
「……すまん」
「……ごめんなさい。芒さんは吏族として、ぽちのため立派に戦われています」
「いえ、逆にそのフォローが痛いです」
芒、泣く。男泣きであった。泣きながら叫ぶ。
「うう、ああくそ、わたしだってぷりぽち大好きじゃー。くらえ正義の剣!」
「スコップだ」
「知るかー!」
芒のサポートが入ったダンボールの斬撃モーションが、見事なまでに敵を切り払う。相手は勢いのままにぶっ飛んで、他の敵をなぎ倒した。
「まずは一体! さあ次こい」
「いい気迫だ」
下Tがうなずく。若月も声を張り上げて、
「よーし、この調子でいきますよ!」
ダンボールのエンジンが唸りをあげる。魂の10万トン、その一滴が燃え尽きるその瞬間まで、この無骨な機体は敵を打ち倒すはずである。
になし藩国の、最後の意地と、誇りであった。
(玲音@になし藩国)
(イタ@になし藩国)
【編集者】(2007/8/4/17:48 芒)