SS暫定まとめwiki~みんなでSSを作ろうぜ~バキスレ内検索 / 「(今のところ無題)46スレ441氏」で検索した結果
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(今のところ無題)46スレ441氏
4月20日 長身の男が、窮屈そうに、身体を少しだけ折り曲げ、電車『あねはづる』の窓の外に広がる海を見る。 海面で反射した日光に、薄い緑色の瞳を、少しだけ眩しそうに細めて、視線を横に滑らせる。 その先に、海に浮かぶ、人が作り上げた島があった。 その人の手により、人の為に作られた島の名前は『辰巳ポートアイランド』といった。 駅が近づいてきたのか、あねはづるがだんだんと速度を落としていく。 程なくして、あねはづるは完全にその動きを止めた。 男は、乗客が全員降り切ってから、ゆっくりとモノレールを降りた。 最後まで待った理由は、至極簡単なもので、騒がしいのも、鬱陶しいのも嫌いだからである。 駅から出ると、春の温かい日差しが、男を照らした。 (天気がいいな) 最早身体の一部ともいえる帽子のツバを、親指と人差し指て摘み、クイッと目... -
スレ保管ページ
スレの保管ページです。 [[よくわからないけど、これでいい ごめんなさい、私も初めてだったのですがdatのままだと読めないようです。orz html化しなきゃいけないようです。 変な形ですが、しばらくこれでお願いします、後で直すので。 45スレ 46スレ (2007-03-14 10 29 13) 47スレ (2007-04-03 14 05 57) 48スレ (2007-05-04 17 07 49) 49スレ (2007-06-12 01 07 47) 50スレ (2007-08-05 23 42 18) 51スレ (2007-10-18 21 49 55) 52スレ (2007-12-19 08 10 38) 53スレ (2008-01-30 15 18 00) 54スレ (2008-03-10 07 48 36) 55スレ (2008... -
コメントスパムテストページ/コメントログ
toilet -- (aaa) 2007-01-30 13 29 33 オッパイオッパイ -- (オパーイ) 2007-02-14 14 40 41 お疲れさまです。バレさんの掲示板の -- (46スレ) 2007-03-21 12 05 28 お疲れ様です。バレさんの掲示板の閉鎖報告本当かなぁ。 -- (46スレ) 2007-03-21 12 06 18 いたずらだったみたいだ、まったく -- (名無しさん) 2007-04-03 02 25 07 ロゴが可愛い……良センス也、ゴートさん。 -- (ふら~り) 2007-04-30 23 15 27 色々とご迷惑をおかけして申し訳ございません。今日スレを閲覧して貴サイトを確認いたしました。本当にありがとうございます。 -- (バレ) 2007-05-06 15 21 34 >ふらーり... -
修羅と鬼女の刻(ふらーりさま)46-2
楠木正成率いる河内悪党が、赤坂城にて幕府軍を苦しめていた頃。 彼らほど派手ではないが、護良親王もまた激戦を繰り広げていた。比叡山の僧兵たちを 取りまとめ、自身も積極的に最前線に出て、遠征してきた幕府軍をズタズタに切り崩し、 さんざんに翻弄していたのだ。 幕府軍はそのせいで赤坂城への増援もままならず、ますます苦境に立たされていく。 比叡山延暦寺。平安時代、最澄が天台宗を開いたことで有名な寺だが、いまやここは 護良親王軍の総本部となっていた。 月が雲に隠れ、星も僅かしか見当たらず、墨を流したような闇夜。だが延暦寺周辺は 一晩中篝火が灯され、伝説の猛者・弁慶もかくやと思われる武装した僧兵たちが、 あちらこちらで油断なく警備している。 そんな彼らに守られた寺の最深部、広い寝室にて護良親王は静かに目を開けた。そして、 「……む」 腕の中にいたはずの女がいないことに気付く。彼が目を覚ましたのは、 そ... -
修羅と鬼女の刻(ふらーりさま)46-6
昼は武士たちの苦情処理、夜は街の巡回。激務ではあるが、間違いなくそれが人々を 救っているということが実感できる。大和は今まで、強者と戦って己の武技を磨くこと しか考えていなかったが、こういう生き方もあるのかと新鮮な感動を覚えていた。 たまに戦地の正成から手紙が届いたり、尊氏や師直とささやかな宴会をしたり。街も 少しずつだが平和を取り戻しているし、大和は充実した日々を送っていた。 そんなある夜。いつものように大和は街の巡回をしていたが、 「! な、何だ!?」 異様な気配を感じ、足を止めた。 どこかで感じたことのある底知れぬ妖気。まるで人ならぬ者、鬼か魔物のよう。そんな 奴が、誰かと戦っている。そいつも並の腕ではなさそうだが、正直言って勝ち目は…… 『ん? この感じ……あ、足利さんだっ!』 大和は顔色を変えて駆け出した。 『ふふふふっ。ほんのつまみ食いのつもりでし... -
無題 43スレ201さま
満天の星が降るようなニュージーランドの夜。屋上の屋根に昇った私はあることを考えていた。 「おい、お茶だぞー」 のんきそうに見えて実は危ない橋を幾度も渡っているらしいエノラさんが紅茶が乗ったトレイを持って顔をみせる。 「あ、いただきます」 丁度喉が渇いていたところだ。この差し入れはありがたい。私はトレイを受け取ると、出窓の平らな部分にそれを置いた。 「久しぶりに晴れたな」 何の気まぐれか、エノラさんが屋根に上がってくる。もしかしたらコヨミちゃんの機嫌が悪いのかもしれない。 いや、実際悪いのだろう。今回の仕事は私の単純なミスによるものだったからだ。 ダイブ・アーム通称DAのバラスト調整不良。ありきたりな見落としだった。 「あー、その、なんだ」 エノラさんがタバコを取り出し、火をつけながら言ってくる。 「大将、気ィ抜くなとよ」 今の私にはずしりと思い一言だった。何も言えな... -
修羅と鬼女の刻(ふらーりさま)46-5
平安京の一角に、足利軍の駐屯所がある。尊氏と、家臣や兵たちはそこで暮らしている。 毎夜、兵たちと手分けして街の巡回をしている尊氏だが、では日中はどうしているのかと いうと、ここで大賑わい大混雑の窓口業務に勤しんでいる。 なにしろ倒幕直後のこと。江戸幕府が倒れた後の、明治政府の立ち上がりと同様、 戦うことよりもその後の政治的あれやこれやの方が大変なのだ。まして後醍醐天皇は 自身が陣頭に立って政務を執り、それがまた貴族中心・武士そっちのけな姿勢丸出し だったものだから、この平安京に集まっている武士たちの不満が日々高まっている (それがまた治安悪化の一因になっている)。 なので尊氏は、そういった武士たちの相談所を設置。窮状を聞き、訴状を集め、 それらを整理しては新政府にかけあい、苦しむ武士たちのために働いているのである。 そんな駐屯所の中にある尊氏の屋敷にて。尊氏の右腕といわ... -
モノノ怪~ヤコとカマイタチ~ 54-1
3 その惨状の中、行動できたのは薬売りだけだった。 ご主人の倒れるか倒れないかのうちに白い札のようなものを襖に投げつける。 札の一枚が襖に張り付き、そのまま無数の札の列が円を描くようにぐるりと部屋を一周した。 白かった札に何かの文字が一瞬浮かび、それがぞろりと溶けて目玉を描く。 ご主人が僅かに開けた襖は、薬売りが札を指差して横にスライドするだけでぴっちりと閉じる。 ……宿の主人が倒れてから、桂木弥子が三回瞬きをする間のことだった。 主人に駆け寄るものは居なかった。皆非現実的な光景に自失状態なのかもしれない。 女将ですからへたり込んだまま呆然と夫を眺めている。 ヤコは再び主人に目をやった。 倒れた主人は全く動かない。ばっくりと裂けた喉からは一滴も血が出ていないのが異様だった。 傷口はただ赤く、覗いた肉がてらてらと光っている。 ... -
修羅と鬼女の刻(ふらーりさま)46-3
長い長い戦いの末、赤坂城は落ちた。城は見事に焼け崩れ、楠木正成の焼死体も 確認され、一件落着と相成った。 わざわざ濃霧の日に城の中から勝手に火の手が上がった、のは別に不自然ではない。 そういえば戦いの最中、河内悪党の連中が時々幕府軍の死骸を回収してたのは 何の為なのだろうか、というのも考えないことにする。あと楠木正成の死骸、 確かに鎧は正成のものだが少し体格が違うような……も無視する。 心身ともにズタボロにされた幕府の遠征軍は、とりあえず城を落としたということで 帰途に着いた。時を同じくして護良親王軍も散り散りとなり、後醍醐天皇も捕らえて 隠岐に島流しにして、戦は一応決着。幕府はホッと胸を撫で下ろした。 だが今回の戦で、さんざん醜態を晒し威信を落としたのは事実。また、かつての元寇と 同じで戦に勝ったとはいえ敵の領土を奪ったというわけではない。なので出陣を命じた 各地の御家人たちに、褒美を与... -
修羅と鬼女の刻(ふらーりさま)46-4
楠木正成と護良親王の奮闘、後醍醐天皇の隠岐脱出。崖っぷちの幕府は、出陣を 渋っていた足利家を半ば脅迫するようにして京都に向かわせた。が、その足利家が 反旗を翻して京都の六波羅探題(幕府の西の拠点)を攻撃。これが決め手となって、 一気に全国の武士たちが立ち上がった。機は熟した、今こそ幕府を打ち倒せ! と。 その勢いの中、足利家と並ぶ名門中の名門、新田家が幕府の本拠地・鎌倉に向けて 進軍を開始。もはや西の反乱軍鎮圧どころではなくなって、幕府遠征軍は大混乱、で 崩壊、撤退、壊走、消滅。跡形なく消え失せた。 楠木正成と護良親王は、天下の鎌倉幕府を向こうに回して見事戦い抜いたのである。 「……で。あのさ、お兄さん。この戦、オレたちの大勝利と言っていいと思うんだ」 正成が最初に戦いの旗を掲げた、赤坂の地。小高い丘陵に大和と正成がいた。 二人の前には、戦死者慰霊の為に正成が立てた大きな墓が二つ並んでいる... -
シュガーハート&ヴァニラソウル 人物紹介②
ラウンダバウト(人間名 奈良崎克巳) 登場作品 「ビートのディシプリン」 統和機構の合成人間でありエージェントでもあったが、監視対象である人身売買組織を義憤に駆られて壊滅させ、裏切り者として処分されそうになるところを、 統和機構の幹部でありながらこれっぽちも服従していない少女「レイン・オン・フライディ」こと九連内朱巳に内密に拾われる。 レインに心酔というかむしろ崇拝しており、自分の人間名も彼女にあやかっている。 女の癖に男みたいな格好をしたり、もって回ったような口調を好んだりと、一見やや複雑な性格であるが、 統和機構を抜けた件からでも分かるように本質は直情径行の激情家。それがコンプレックスのようで、わざと『迂回』を名乗っている。 原作ではレインの命令で『カーメン』の謎を追う者に制裁を加えるべく、合成人間「ピート・ビート」を襲撃する。が、その後彼の味方... -
関連年表
陸奥大和と半魔の勇、そして太平記の英雄たち・その時代 一三三〇 陸奥大和、赤坂の地にて楠木正成と出会って戦い、興味をもつ。 半魔の勇、足利庄にて足利尊氏と出会って戦い、目をつける。 一三三一 正成、赤坂城にて挙兵。大和の「沸騰糞尿作戦」で幕府軍大打撃。 同年、護良親王も挙兵。勇も参戦。大暴れの後、両軍とも姿を消す。 後醍醐天皇、幕府に囚われて隠岐へ島流しとなる。 一三三二 正成は千早城、親王は吉野にて再び挙兵。日本中が混乱の渦に。 一三三三 尊氏と新田義貞、幕府に反旗を翻す。大和と勇、隠岐にて出会う。 後醍醐天皇、隠岐脱出。幕府は倒れ、建武の新政による新政府設立。 尊氏、武士たちの苦情相談所を設置。大和、高師直と共に事務仕事の日々。 一三三四 親王、勇に尊氏... -
DBIF50-2
「神聖樹の成長速度が遅くなっている?」 「ああ。どういう理由かは知らんが、スパッツの計算上、今回の神聖樹が育ち切るまでにはまだ一週間の余裕があるらしい」 ピッコロのその言葉に、トランクスは脱力したように膝をついた。 『精神と時の部屋』の入り口である。スパッツの予測を聞いたピッコロは、トランクスを安心させるべく即座にここへ来ていた。 「ハハ・・・良かった」 「とも言ってられん。時間が出来たとはいえ、あのベジータを苦もなく倒したターブルというサイヤ人を倒せなければ、結局は 同じことだ。修行の方はどうなっている?」 「それは・・・」 ピッコロの言葉に、トランクスは口ごもった。実際のところ、気ばかりが焦って思ったように力をつけることができない状態 だったのである。 「悟飯、お前はどうだ?」 「僕も、今のところ特別に強くなった感じは・・・」 そう言いな... -
天体観測 (前編)
なぜか馬があうのか、祭壇座アルターのニコルと神聖闘士アンドロメダ瞬は公私の行動を共にすることが多い。 戦闘力と実績がものを言う聖闘士の中では異例の官僚肌の聖闘士・ニコルは、 同僚の白銀聖闘士や下位の青銅聖闘士から何かと疎まれる傾向にある。 聖域内乱の首謀者、双子座ジェミニのサガに見出されたせいか、 主に功績面からのサガ擁護を標榜していたことも無関係ではないだろう。 曰く、文弱の徒。 曰く、長袖者。 曰く、木端役人。 曰く、サガの尻尾 教皇代行としての優秀さとは反比例し、ニコルを誹る声は小さくない。 そんな彼だからこそ、アンドロメダ瞬と接触をもっている事に関してはいい顔をされない。 報われない男なのだ。 自身の政治的立場の危険性を十二分に認識しているニコルだけに、瞬との付き合いに打算がないわけではないが、 アンドロメダ瞬は他の四人の神聖闘士... -
修羅と鬼女の刻(ふらーりさま)46-1
大盛り上がりの内に宴は終わり、大和と正成が期待した通り、皆少し元気になった。 そして翌朝。見張りの兵の大声で正成は目を覚まし、呼ばれるままに城壁に上がった。 朝もやの中、城の外に出てたった一人で幕府の大軍と対峙しているのは…… 大和だ。昨夜のまま、ほっかむりと化粧と、四本の鍬を手に持って。 「な。何を考えてるんだあいつは!? あんなことをしたら……」 「かかれええええぇぇっ!」 案の定、侮辱されたと思った幕府軍の武士たちが騎馬で突撃してきた。手に手に 槍や薙刀を構え、憤怒の形相で大和に向かっていく。 対する大和は、鍬四本の内二本を、頭上に高く投げ上げて踊りながら跳躍し、 「♪犬が西向きゃ尾は東~♪」 向かってきた騎馬武者二人の首を、両手の鍬で雑草のように斬り飛ばした。 え? と武者たちが動きを止める。大和は一度着地したかと思うと、またすぐ跳躍して、 「♪オイラが笑うと星が散るっ♪ と!」 ... -
メニュー2
更新履歴 10/15/08 保管した本スレが表示されない不具合復旧 とはいえ、原因は不明、なんでしょうね? 10/10/08 トップページのみ。 ごめんなさい忙しくて、全然更新できないです。 不景気いくない。 スターダストさん、ふらーりさん、ありがとうございます。 スレ保管のトラブルの方は現在問い合わせ中。 もう少しお待ちください。 07/11/08 57-172まで。 NBさんの今回の更新が、このWikiの通産666ページ目でした。 さすが不吉を呼ぶブラックキャット 0619/08 トップ頁の現行スレのとこだけ更新。 とりあえず帰ってきました。 スレに書き込めなかったのでこちらで。 スパムフィルタで書き込めないとのことだったので調べてみたら、新たにスパムフィルタが導入されたようです。 とりあえず認証だけに設定して様子見です。 ... -
DBIF49-7
ドラゴンボールの回収が終わり、ピッコロもまた『精神と時の部屋』を確認して戻って来た。 幸いなことに異常は見られず、いざとなれば使用することが出来るというピッコロの言葉に悟飯達は軽い安堵を覚えた。 もちろん、いざとなれば過去に戻ってさらに修行するという手がないこともないが、その修行中に万が一何らかの異変が あれば、トランクスの世界の危機に専念するわけにも行かなくなる。 『精神と時の部屋』はそんな問題点を解消するための、かなり重要な存在なのだ。 「で、あいつの宇宙船から詳しい情報はわかったのか?」 今や一応の本拠地となっているブルマの家の、作業スペースの一つを客間に改造した部屋の中央に置かれたテーブルに ついたクリリンが訊ねた。 「残念ですが、それ程重要な情報は得られませんでした」 「そうか。連中の詳しい情報があれば、少しは他の対処も考えられると思ったんだが... -
「無題46-1」(銀杏丸さま)
ふと気が付くと、そこは別の世界だった。 よく物語なんかじゃある話だが、自分がこういう目にあうとは全く持って予想の外だ。 「な…。 なんなんだ、いったい!?!?」 星矢はそう叫んだ。 右手にはシルクハット、左手には白いマスク。 自分の身を包むのは歴戦の相棒・天馬星座の聖衣ではなく、 なんとタキシードにマントという妙な格好。 これが学ランに木刀ならまだ分かるのだが…。 「星矢!事は緊急を要するのです」 しばらく似合わぬ黙考などしていた星矢の目の前に、 ぬぅっという擬音付きで我らがアテナ・城戸沙織が現れた。 「真面目な事を言っても、その格好じゃ説得力ないよ、沙織さん…」 みれば黒猫を模しているのだろうか? アテナこと城戸沙織はからだのラインがぴっちりと出るボディスーツに、 猫耳・猫尻尾までつけた格好で星矢の目の前に現れた。 何故か額... -
シルバーソウルって英訳するとちょっと格好いい 一真さま 44-3
第二十九話「僕らはきっと総理大臣の孫だって殴り飛ばせる」 「お、お前は……ッ!」 予想外の乱入者に、銀時は思わず息を呑んだ。 忍者装束を身に纏った、闇に溶け込む出で立ち。間違いない。あの男だ。 かつて、ジャンプを争い拳を合わせ、講談屋の一件では色々と騒動も起こしてしまったあの男……。 そう、あの男だ。いけ好かない男で影の薄い男でたしか痔持ちの男でたしかたしかたしか。 「えーと…………誰だっけおたく?」 「ええええええェェェェェェ!!? ちょ、この雰囲気でそりゃあねぇだろ!?」 「バッカ、俺だって空気は読めるよ? ただあれだ、ちょっとばかし名前をド忘れしちまっただけだよ。ごめんな鈴木くん」 「鈴木くんちげェー! 全蔵! 服部全蔵だバカヤロォォォ!!」 銀時は、決してボケているわけではない。 誰にだって、親しい友人の名前をド忘れしてしまうことはある。 それが本人の人生にとって比較的どうで... -
シュガーハート&ヴァニラソウル 48-4
『復活のビート Part3 ④』 器質的に言うなら、ユージンは人間ではなかった。 彼は、ある巨大な『システム』によって作り出された合成人間である。 そのシステムに名前はない。ただ、便宜上『統和機構』と呼ばれることがある。 世界を裏から支配する統和機構のエージェントとして、純粋な戦闘用合成人間として生まれたユージンは、 『天色優』という人間名を与えられて様々な任務に従事していた。 ユージンは優秀なエージェントして、多くの任務をこなし、多くの人間、或いは合成人間を殺してきた。 だが、ある一つの任務をきっかけに、ユージンはその任務自体を放棄して行方知れずになる。 そのシステムにとって合成人間とは文字通り歯車の一部であり、あらゆる側面から合成人間を絶対的に従属させていた。 そのなかで任務放棄は明確な反逆であり抹殺対象となるべきもので、ユー... -
フルメタル・ウルヴズ!(名無しさま)46-1
第19話 漢気 美樹原邸ーーー 一昔前の和風の屋敷があった。 屋敷は広い。 正門から屋敷の扉まで5分かかる。 今その屋敷の応接間に播磨拳児は座っていた。 ガラリと障子が開らかれた。 男が現れた。 「呼んでおいて待たせてすまないね。播磨君だったか。・・・・娘と何かあったと聞いたが。」 男が言った。 「ええ・・・さっきバイクで走っていたら驚かせてしまって。しかし別に大した事は無かったんです。自分が彼女を 驚かせてしまったのは詫びます。」 播磨は一通り説明するとペコリと頭を下げた。 「播磨君。君ももう高校生だから唯謝ればいいというものでは無いんだよ。本当に悪いと思っているのなら誠意を見せて貰うよ。」 男の口調が硬くなった。 播磨は不安だった。 この見るからに“組”の長らしい男が言う誠意を見せる行動とはどのようなものなのか。 まさか組に入れというのか。 断ったら... -
『L'alba della Coesistenza』 最終話 黎明
地上を狙う黒い巨竜の全身に傷が刻まれ、鱗が剥がれ、あちこちから血が流れていた。 いくら魔界の実力者といえど、昇格兵士ヒムや陸戦騎ラーハルト、ポップやアバンといった面々を一度に相手にしては瞬時に仕留めることは難しい。 それでも戦意はまったく衰えていない。帰還した勇者を捉え、目が細められる。 火炎を吐かれたダイは空を翔けてかわした。 息吹がおさまって竜の眼前に飛び出したのは若い魔族だ。傷はある程度回復したものの完全に癒えたわけではない。衣が破れ、血に染まった状態で呼びかける。 「戦いを止めよ! ヴェルザー!」 「何?」 よりによって大魔王の血を引く者が地上の住人への攻撃を止めようとするのは予想外だ。 力を振り絞った叫びに耳を傾けるはずもなく、闘気を高めていく。 「腑抜けが。やはり父には遠く及ばんな」 地上の者達の味方をするならばまとめて倒... -
しけい荘大戦 第十五話「オリバの予感」
もし一匹のカマキリと殺し合いになったとしたら、人間はどう対処するだろうか。 足で踏み潰すだろうか、それとも手で叩き潰すだろうか、あるいは残酷にも体をバラバ ラにしてみせるだろうか。手段はどうあれ、人間の圧勝という結果は揺るがないだろう。 だが、カマキリのサイズが少し変わるだけで、結果は大きく揺らぐ──。 「テロリストト戦ウッテノハ聞イテタガヨ……相手ガカマキリダトハ聞イテナカッタゼ」 巨大カマキリを前に、さすがのスペックも動揺していた。 幻覚などでは、断じてない。 嫌でも目につく巨大な二丁鎌の前脚、細長く硬そうな胸部、重そうに大きく膨れた腹部、 表情を持たない逆三角形の頭部──いずれも緑色を基調として染色されている。 カマキリの後ろには、さっきまで勇敢に戦っていた警官とテロリストが無数に散らかっ ている。ケントが危惧した通り、敵味方の区... -
しけい荘大戦 第十三話「駆け引き」
郭春成が嗤(わら)う。 これから味わえる殺しという美酒を予感するだけで、彼の唇周辺を構成する筋肉が快楽 に歪む。 身体中の全細胞が「殺させろ」と叫んでいる。 狂える獣が、その異名に恥じぬ速度と狂気を帯びて、駆け出す。 ドリアンは百戦錬磨である。が、それゆえに、数十年間で初めて体感する猛烈な殺気に、 体を一瞬硬直させてしまった。反応が遅れる。 ダッシュの勢いをそのままに、まともに鳩尾に突き刺さる崩拳。 しけい荘においてスペックに次ぐ巨躯が、拳の一撃で吹き飛ぶ。 ──が、春成はすかさずドリアンの足の甲を足刀で潰した。これでドリアンの体は吹き 飛ぶことなく、停止した。 「ぶん殴るたびに間合いが開いてちゃあ、面倒だからなァ」 正中線──喉、鳩尾、ヘソを貫き手が抉る。 さらに折れやすい鎖骨めがけ、放物線を描く変則ハイキック。ぶ厚... -
DBIF49-1
セルゲームでセルを撃破してから半年。 一時期恐慌に包まれた世界は平和を取り戻し、悟飯もまた平和な日々を過ごしていた。 そんなある日、悟飯の見覚えのあるタイムマシンが空から降りてきた。未来から遊びに来たのかと 悟飯が駆け寄るが、タイムマシンは扉を開こうとしなかった。 「トランクスさん?どうしたんですか?」 ぼんやりとした呼びかけに応えるようにようやく扉が開くと、セルゲームの時よりかなり成長した 姿のトランクスが姿を現した。 しかしその身体には所々に包帯が巻かれ、今にも倒れそうな程重症なのが見て取れた。 「ど、どうしたのその怪我は?!」 「お久しぶりです、悟飯さん。申し訳ありませんが、もう一度助けてもらいたくて、来ました」 それだけ言うとトランクスは意識を失った。 翌日、仙豆によって回復したトランクスは、すぐにブルマを含めた皆を集めると、衝撃的... -
女か虎か(電車魚さま) 4:FIGHT FIRE WITH FIRE
早坂久宜のもとに一通のメールが届いたのは、今から二十九時間前のことである。 ≪件名:虎の件 差出人:??? 内容: 有限会社笑顔 代表取締役 早坂久宜様 先日より新聞紙上で報道されている連続大量虐殺について、お話したいことがございます。 ○月×日AM2:00、△△埠頭十一番倉庫にてお待ちしております。≫ 奇妙なメールだった。差出人名は文字化けしていて読めず、表題には虎の件とありながら、肝心の 文面には虎のトの字も出て来ない。アポイントを取ろうとするでもなく一方的に要求をつきつけ、 勝手に話を終わらせてしまっている。 通常なら迷惑メール、もしくは愉快犯的な悪戯メールとして即削除していただろう。 それを実行しなかったのは―― 『ユキ』 組んだ手の上に顎を乗せながら、早坂は弟の愛称を呼んだ。... -
シュガーハート&ヴァニラソウル 47-2
『夏のはじまり、花盗人の残り香』 「ちょっと、あなた」 駅前のスーパーを出ようとしたところで呼び止められ、遠野十和子は怪訝そうに振り返った。 「……なんスか?」 こういうときは、決まってロクなことにならない。 特に、さっきレジで会ったばかりの店員が鼻息荒く自分の肩を鷲掴みにしているときなどは。 「まだ、会計が済んでいない商品がありますよね」 「はあ?」 意味が分からなかった。 会計が済んでいない商品、それはつまり棚に陳列されている商品のことで、 そんな物の有無を問われても「あります」としか言いようがないではないか。 「……じゃなくて、えーと、ああ。要するにあたしが店のなにかをパクったってこと?」 「いいから事務所まで来てもらえますか」 四十代半ばくらいの、自分の母親と同世代であろう店員に腕を握られ、 「ちょっと、や... -
ヴィクティム・レッド 55-3
ニューヨークの地下に張り巡らされた地下トンネル――その中でも、地図には示されていない区間の一画。 かつて大規模な地下鉄路線として建設されながら、『構造上の問題』によって開通直前に廃棄され、 今となっては関係者の大半が存在すら忘れつつある――だが実際はエグリゴリ専用の秘密経路として管理下に置かれた、内緒の穴ぐら。 複雑怪奇な模様を描いて広がる地下空間を、なにかに追われるようにひた走る二人の少年少女。 少年――キース・レッド。 脚と肩に重傷を負った満身創痍の体で、出血をものともせず走り続けている。 少女――キース・セピア。 覚束ない手足のせいでときおり大幅に遅れるも、必死になって速度を維持。 いつまで逃げればいいのか、どこまで逃げればいいのか――そもそも、どこへ向かって走っているのか―― そうした『先行き』をまるで感じさせない、ただ圧迫と閉... -
遊☆戯☆王 ~超古代決闘神話~ 第二十話「魔法少女?とマスコット」
アルカディア北部の平原地帯。 北方より侵攻を始めた女傑部隊(アマゾン)は、アルカディア軍と激しい戦闘を繰り広げていた。 戦況は均衡し、長期戦の様相を呈していた――― 「アマゾンめ…流石にしつこいな」 自ら兵を率いて、戦場を縦横無尽に駆け抜けるレオンティウスは、彼らしからぬ苛立った様子だった。 「母上以外の女は苦手だ…粘着気質の女となれば、私にとってはもはや憎しみの対象ですらある…」 「そんなことを言っている場合ではありませんぞ、陛下」 彼の隣に陣取るカストルが、口を尖らせる。 「分かっているさ。この状況―――何か一つ欲しいな。味方にとっても敵にとっても予想外の事態。できれば我らに 有利に働くような…いや、そんなことを言っても始まらないな。それより、女王は…アレクサンドラは、まだ戦場に 出ていないのか?」 「はっ。今のところ、誰も彼女の姿を見... -
HAPPINESS IS A WARM GUN 55-2
――翌日、斗貴子はロッテリやにいた。 彼女の座る窓側の禁煙席エリアはちょうど下校時間の為か、同年代の高校生達で賑わっており、 銀成学園生徒のみならず他校の生徒達の姿も見受けられる。 そして、やや仏頂面の斗貴子の向かい側には、例の久我阿頼耶。 ここが奇しくも二人が初めて出会った因縁の場所というのは、今更書き記すまでもないと思われるが。 斗貴子にいざなわれてこの店に入ってからは阿頼耶は一言も発さず、目の前のコーラにも 手を付けていない。 しかし、それはホットコーヒーを前にした斗貴子も同様だった。 無言の時は五分程も続いただろうか。 何やらモジモジとした様子で無言のままの阿頼耶を見かね、斗貴子は渋々口火を切った。 会談の場所を自らが指定した手前もある。 「あー、昨日の話だが……――」 「ごめんなさいッ!」 突如とした阿頼耶の声に周りの客達... -
Der Freischuts~狩人達の宴~(ハシさま)44-1
「か、はぁ」 絞りだしたような息をつき、シグバールは床に腰を下ろした。――やばかった。たった今の攻防。少しで も気を抜けばこちらがやられていた。生き残ったのは奇跡に等しい。シグバールは苦笑する。つくづく自分 は悪運が強いらしい。今も、そしてあの日も。 ――彼がノーバディとなった日。死ぬはずだった自分を、運命の女神さまは大分気に入っているようだ。 「はん、迷惑極まりないな」 そう言って、立ち上がる。疲労が体中から沸き上がったが、無視。今、自分がしなければならないことを 優先させねば。それは、逃亡。一刻も早くここから離れ、反撃の準備を整える。 穴だらけになったドアに向かい、そのドアノブを捻ろうとする。が、既に限界がきていたのか、そのドア はシグバールの指が触れたとたん、崩れ落ちた。構わず部屋の外に出る。かつん、と足に何かが当たった。 先程まで警備にあたっていた兵士のヘルメットだった。ガ... -
Der Freischuts~狩人達の宴~(ハシさま)45-1
非常階段内。人の住む空間から隔絶されたそこは、不思議な静謐さを纏う場所 だ。本来の用途に使われるまで、そこは独特の冷気と雰囲気を保ち続ける。 唐突に――そして静かに、沈黙が破られた。階下から木霊する音。それは遠く から徐々に、徐々に迫ってきた。 人が駆け上がる足音だった。一定のリズムで刻まれるそれは、防音が完璧な壁 から外に漏れることはなかったが、階段内に響き渡り、静寂を払拭していった。 そして――見える姿。がむしゃらに振られる腕/額から吹き出る汗/ぜはーぜは ーという呼吸/黒いコート――シグバール。軽やかには見えなかった。疲労困憊、 その言葉が適切だろう。部屋から飛び出し、今の今まで、非常階段を上ってきた のだろう。全力で。 走る。走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る。 頂上へ向かって。 このビルの最上階を目指して。 いったいどこまで続いてるんだ、このクソッたれ... -
鋼の錬金術師 ~「後夜祭」~ 前編
イーストシティ、東方司令部。 客人の到着を告げられた彼女が応接室に入ると、ソファから黒髪長身の青年が立ち上がった。 その後ろには小柄な仮面の人物が直立し控えている。 脳裏にある情報と二人の容貌を照合し、招いた相手にまちがいないと判断して口を開く。 「シンの皇子、リン・ヤオとその護衛だな」 「貴女がオリヴィエ・ミラ・アームストロング大将カ」 相手がその名にうなずくのを確認し、リンは床に両膝をつき胸の前で手を合わせ頭を垂れた。 「我が部下、フーの遺体をわざわざ荼毘に附してくださったと聞いタ。感謝すル」 その後ろでリンとともに深々と頭を下げる仮面の護衛、ランファンは懐に祖父の遺髪と 「そこに魂が残る」と言い伝えられている喉の遺骨を持っている。 「おかげで魂損なわれることなく、共に祖国に帰れル」 アメストリスの風習は基本的に土葬であり、 基本的には遺体の損傷が激しいなど特別... -
殺人鬼たち
二週間前、都内の名門高校で男子生徒が殺害された。 強酸性の消化液で顔をドロドロに溶かされた死体は、引き合わされた家族が泣き崩れるほど惨い 有り様だった。そしてそれから一週間ののち、もう一人の男子生徒が、まったく同じ手口で惨殺さ れて発見された。 捜査線上に浮上したのは、被害者のグループでいじめられていた少年。 名前を大菅依という。 「殺された奴らのことを、恨んでいなかったと言えば嘘になります」 黒く丸い両目を伏せて、大菅少年はそう答えた。 「トイレの個室に押し込まれて便器の水に顔を突っ込まれたり、足を雨どいに針金でくくりつけら れてよってたかって殴られたり。校舎の周りを裸で一周して来いと言われて、実際やらされたこ ともありました」 「裸で……」 対して目をしばたかせたのは、向かいに座った竹田刑事である。 「悪ふざけで済ませ... -
ドラえもん のび太の新説桃太郎伝46-3
序章・3 予兆 鬼ヶ島。 かつては人間にとって恐怖の象徴であった鬼族の巣窟―――そこもすっかりと様変わりしていた。 険しい山々に毒の沼と、いかにもおどろおどろしかった大地は生まれ変わり、草木や花が咲き乱れる美しい場所になって いる。ふと歩けば自然と鼻歌でも飛び出てきそうな平和な眺めだ。 そんな鬼ヶ島の一角。海が見渡せるなだらかな丘の上に、一つの墓標がある。派手ではないがしっかりした石造りの墓は、 そこに眠っている者が高貴な血筋に連なる者であることを示している。 墓前には、一人の男がいた。長身痩躯の身体に纏った白装束。どことなく憂いを帯びた中性的な美貌。女性でさえ羨む ような、長く伸ばした艶やかな黒髪。頭から二本の角を生やした異形の姿でありながら、彼は例えようもなく美しかった。 そんな外見からは、彼の内面の強さと熱さを窺い知ることはそうそうできないだろう。 彼の名は... -
最強伝説の戦士 黒沢 51-5
夜も更けて。 事件の元凶というか発端の地は、多分あの日の朝にニュースでやってた遺跡だろう。 が、黒沢にとって全ての始まりはここ。1号に襲われた、山奥の工事現場だ。 もちろん誰もいない、真っ暗なこの場所に黒沢はやってきた。電車とバスとタクシーを 乗り継いで。こんな時間にこんな場所なので少し運転手に不審がられたが、もうそんな ことは気にならない。 『今、世間を騒がせている未確認生命体第2号だと知ったら、ぶっ倒れるだろうな……』 そんなことを考えながらタクシーを降りて少し歩き、崖の上の現場に着いた。 耳が痛いくらいの静けさと、月明かりだけが頼りの暗さと、不気味なほどの広さと。 『初めてあの子に会ったのは、ここで弁当を食ってた時だったなぁ』 もう二度と会うことはないけど、と呟いて事務所兼宿舎のプレハブへ。ここは1号事件の 翌日、浅井が報道陣に囲まれてインタビューを受けていた場... -
修羅と鬼女の刻(ふらーりさま)45-3
時の帝・後醍醐天皇は倒幕を企て、兵を率いて幕府に反旗を翻した。幕府は直ちに 軍を差し向けてこれを討伐せんとする。天皇は京都の南端に位置する笠置山中、 笠置寺に陣を張った。天皇の実子にして、かねてより僧兵として修行を積んでいた 護良親王(もりよししんのう)も比叡山の僧兵たちを率いて、背後から天皇を援護。 そして楠木正成も赤坂城に手勢を集結させ、幕府軍を迎え撃った。総勢五百人の 河内悪党が籠もる赤坂城を取り囲む幕府軍は、一万なのか二万なのかそれ以上か。 圧倒的多数、どころか絶望的多数の敵軍だが、正成は奇策の数々で健闘、むしろ 優勢に戦いを進めていた。 赤坂城は正成が急ごしらえで造った城、というか砦なので、小さなものである。鉤縄を 投げて城壁に引っ掛けて、簡単に登っていける。そのはずなのだ。普通は。が、 「……ん?」 縄を掴み、城壁を登っていこうとした幕府軍の武士たちが、ふと手を止めた。城内か... -
ダイの大冒険AFTER(ガモンさま) 第五話 神殿の牢獄
ダイはついに神殿へと辿り着いた。 その神殿の外見は意外にも小さく、地獄の帝王が住んでいるとは到底思えない場所だった。 「ここに、凄い力を感じる。本当にここに帝王がいるんだ。」 改めてダイは気を引き締め、神殿に入り込んだ。 中は外と違い、神聖な雰囲気のある女性の象が中央にありどこかカビ臭さを感じさせる、 典型的な神殿のイメージがあった。 「まるで、初めて父さんと闘った時に来た龍の騎士の神殿みたいだ。」 神殿の奥に進むほどダイが感じる邪悪な力が近付いてきた。 不意にダイの後ろから二人の魔物がダイに攻撃してきた。 「ここでこいつを倒せば出世は間違いねえ。」 「おい、あくまでもこの男はヴェルザー様が殺すんだ。我々はこの男を生け捕りにすることだ。」 ダイの目線の先にデーモンレスラーとフロッグキングがいた。 二人共魔界ではそれなりに強い分類に入るがダイの... -
大長編イカ娘 栄子と山の侵略者 10
イカ娘は一人、川でサンダルの足を冷やしていた。 「このサンダルもこの間、早苗にもらったものだったでゲソね……。 わたしはこれからどうなるのでゲソか?」 今のイカ娘は一人言が多い。 一人だからだ。 「来たときは騒がしかったのに、静かでゲソね」 イカ娘はサンダルの足でバタバタと水をかいた。 と、それに混じって、石を踏んだようなジャリっという音がした。 「誰でゲソ!」 弾かれたように振りかえったイカ娘の前に、見覚えのある黒い影があった。 「磯崎……」 磯崎辰雄は水着姿で、その肩には狼娘のもう一方の牙が刺さっている。 「何故でゲソ!」 イカ娘が叫び、触手を構えた。 同時に磯崎がイカ娘に襲いかかる。 「何故わたしを攻撃する? わたしは敵じゃないでゲソ!」 磯崎がワンピースの襟をつかむ。 悟郎ほどではないが、鍛えられた肉体は、イカ娘の体を簡単に... -
ドラえもん のび太の超機神大戦 93話
第九十三話「ラグナロク・前編」 そこは宇宙。数多の星々が煌く漆黒の世界。 だが、それは贋物の輝きだ。自然に生まれたものではなく、人為的に造られたもの。 それを造り出した男が、その人工宇宙の中心で佇んでいた。 彼は待っている。己の敵が、ここまでやってくるのを。 ―――宇宙に乱れが生まれた。乱れの中からやってくる。彼の敵が。彼を打ち滅ぼさんとする者たちが。 「・・・待っていましたよ、皆さん」 ならば自分はそれに応えよう。その全身全霊を持ってして、全てに終止符を打とう。 「・・・で、どうしよう、ドラえもん」 いざ決戦の地へ、と意気込んでやってきたものの、以前経験したグランゾン・Fの戦闘力を思い出すと、とてもじゃ ないが勝てるものではないと思ってしまうのび太であった。 そして、ドラえもんの回答は――― 「あいつは、合体することであれほどの力を手に入れたんだ。なら... -
マブダチ サナダムシさま
久しぶりに、ドラえもんは自立したのび太に会いに行った。 再会したのび太はめでたく静香と結ばれ、長男ノビスケをもうけていた。劣等生だった 頃の面影はどこにもない。 そして静香とノビスケは気を利かせ、彼らを二人きりにしてくれた。 並んで座り、昔話や近況報告に花を咲かす親友同士。 「……へぇ、あのジャイアンがねぇ。人間変わるもんだなぁ」 「まぁね。でも、根っこのところはちっとも変わってないよ。今でもたまにみんなで飲む んだけど、酒が入ると子どもっぽい部分がけっこう出てくるよ」 「君はいい友だちを持ったねぇ」 「うん。あ、そうだ……ドラえもんも今度来ない? みんな喜ぶよ」 「いいのかい? じゃあ、ちょっとお呼ばれしようかな」 やがて、二時間近くが経過した。 「……ちょっと疲れたね」 「大丈夫かい? じゃあせっかくだし、未来のストレッチ法を教えてあげるよ」 「頼むよ。会社でも疲れた時やってみ... -
WHEN THE MAN COMES ARROUND 44-1
《EPISODE4:There s a man going around taking names》 ――イングランド南部 ウィルトシャー州 ソールズベリーの北西13km地点 「着きましたよ。ここが我が錬金戦団大英帝国支部です」 ジュリアンがにこやかに指し示す光景を前に、三人は驚きのあまり呆然と立ち尽くしている。 「ここがって……。おい、こりゃあ……アレじゃねえか……。何て言ったっけ」 なかなかその名称が出て来ない火渡に代わって、千歳がそれを引き受けるように呟く。 「ストーンヘンジ……」 眼前に展開された荘厳かつ奇妙な風景に、三人は圧倒されたままでいた。 円を描くように配置された4、5m程の立石の群れ。 その中心に築かれた巨大な門を思わせる五つの組石。 そして、それ以外には何も無く、只々草原が広がるばかりだ。 “ストーンヘンジ” 紀元前3000年から2500年辺りに造られたとい... -
女か虎か(電車魚さま) 10:HELLION
10 HELLION 水をテーマにしたレジャー施設として一九八〇年代に開園したその遊園地は、今年の夏の終わりとともに、 少子化と大型テーマパークの隆盛に押されて閉園となった。オーナーは夜逃げ同然に姿を消し、担保に 入っていた土地も他人の所有となったが、新しい地主がアトラクションの撤去費用を惜しんでいるがために 、数ヶ月が経過した今もそのまま放置されている。 「『ウォーターゲートパーク』ね」 血で汚れた応接間から離れた別室。新しく供されたマドレーヌを口に咥え、サイは短く唸った。 あの兄弟の姿はない。 「一応は東京都内ではありますが、ほぼ名ばかりと言ってよい寂れた場所です。面積は三十五ヘクタール、 周囲は柵や植木などで仕切られて内部を覗き見ることは難しくなっています。潜伏場所としては絶好の条件かと」 プール、ウォータースライダー、スパ、その... -
『絶対、大丈夫』(白書さま)44-1
第一話 <必然のデアイ> 爆発。そして轟音が、学園の一角を包んだ。 その爆炎の中から、きていた黒いマントをぼろぼろにした金髪の少女と、ところど ころを損傷した、ロボット少女が飛び出る。 ロボット少女……茶々丸が、事務的な声で、金髪の少女……エヴァンジェ リンに言う。 「すいません、マスター。駆動系をやられました。どうやら、戦闘行動をとる事は 難しいようです。」 エヴァが、思わず叫んだ。 「くそっ、一体なんだというのだ!」 突如現れた、謎の敵。紅い髪の毛、そして紅い瞳の、一切感情を感じることが できない、青年。 そして、その力に、先ほどから翻弄され続けている。 ふと、壁のように立ち込める爆炎に、トンネルのような穴が開いた。そして、そこ から長身のほっそりとした、紅い髪と瞳の青年が現れる。 彼は、エヴァと茶々丸のすぐ前まで歩いてくると、かなり無愛想な声で言った。 「……悪いが、一緒にきて... -
シュガーハート&ヴァニラソウル 52-3
『液状と透明 ④』 あの不気味な道化師、ブギーポップとの接触に心を残しつつも、静の後を追って階段を降りたユージンを待っていたのは、 黒いジャージを着た大男と、高そうなワイシャツの上から白衣を着込んだ優男の二人だった。 「黒鋼、ファイ。彼女はどうした?」 にこやかに手を振る白衣──ファイを軽く無視して問いかけると、黒ジャージの黒鋼が無言で手にした布切れを掲げて見せた。 それは紺色をした、学校指定のセーラー服の上着。ユージンはそれを無表情に見つめ、しばしの沈黙。 ややあって、ユージンは極めて不可解そうに、だが無神経なまでの冷静さと生真面目さで念押し。 「……つまり、お前はこう言いたいのか、黒鋼。貴様はその戦闘能力を遺憾なく発揮して彼女の上着を剥ぎ取ることに成功し、 ゆえに静・ジョースターは今現在、上半身は下着だけである、と。……だが僕はそんなこと... -
ワン・ハンドレッド・ミリオン
ドラゴンボールの伝説は真実だった。 天は暗黒に染まり、巨大な龍が七つの球から生み出された。 「さぁ、願いをいえ。どんな願いでもひとつだけ叶えてやろう」 じわじわと心に染み込むような、渋い声が発せられる。 緊張がピークに達し、私は粘っこい唾液を体内にごくりと押し込んだ。 ドラゴンボール探しを本格的に始めた頃から、何を願うかは決めていた。 答えはずばりマネー、お金だ。私が生まれる数百年も前に確立された資本主義という世 の中では、金がなければ何もできない。逆にいえば、金さえあれば何でもできるというこ とだ。 多かれ少なかれ、物には値段がついている。地位や名誉、愛でさえ思いのままだ。 私は結論として、一億ゼニーもあれば残り数十年の人生を不自由なく暮らしていけるだ ろうと踏んでいた。 ならば今すぐ頼んでしまえばいいのだが、このとき私の中である考えが浮かぶ。 ... -
シュガーハート&ヴァニラソウル 50-2
『迂回と焼菓 ④』 「しっかし、夕暮れの校舎ってばなんか気味が悪いわね」 「そうかい。僕はそう思わないね。静かでいいじゃないか」 ──ラウンダバウト、あなたは小狼に『油断』の暗示を掛けた。ただそれだけなら、なんということもなかったでしょう。 自分の能力のことは自分がよく知っているのだから、匙加減を間違えることなど有り得なかった── 「……そういやあんた、なんで男装なんかしてんの?」 「どうして君にそんなことを教えなければならないんだ?」 「か、可愛くないわね、あんた」 「お褒めに与り光栄だよ」 「うっわー、マジで可愛くないわ。そんなんじゃ彼氏できないわよ。ねえ南方くん、あんたはどう思う?」 ──ただ、あなたは或る一つの可能性について見落としがあった。それは、『別の誰かが小狼を攻撃する』ということよ。 それも、ほんの僅... -
しけい荘戦記 第十五話「敵地へ」
三つ子の警察官“マウス”に連れ去られたいじめっ子たちを救うべく、シコルスキーと ルミナはひた走る。 シコルスキーはオリバがよこした忠告を思い返していた。 「二人ともよく聞いておけ。マウスのコンビネーションは一種の“化学反応”に例えられ るほどに強力らしい。へヴィ級ボクサーの上位ランカーをたやすく仕留めたという逸話も あるほどだ」 どうやらマウスは想像以上の強敵のようだ。生唾を飲み込むシコルスキー。 「や、やっぱり相手が三人じゃあ、いくら俺でも不利かもな。なぁ大家さんも一緒に来て くれないか……?」 オリバは満面の笑みを浮かべた。ただし前腕と上腕が膨張し、拳は異常な硬度を以って 固められている。失禁寸前に陥るシコルスキー。これ以上弱音を吐けば、マウスと戦う前 に火葬場に送られてしまう。 「嘘、嘘だよ、大家さん! ロシアンジョークに決まっ... -
狂った世界で 序章 46-1
緩やかに降り注ぐ雨の音色だけが、耳朶に吸い込まれては消えていく。 先ほどから体の震えが止まらないのは、単純に、雨で冷えたせいだけではないだろう。 私はおそらく、不安なのだ。でも、その不安を、例え心の中だとしても、言葉にはしたくなかった。 不安の正体を言語化した瞬間、言葉が力持つ言霊となって、現実に干渉してしまう……そんな、根拠のない妄想に苛まれる。 私は顔を上げて、首を振った。まるで雨上がりの犬みたいに、髪の毛に付いた水滴を、四方八方へと飛び散らせる。 父様も、母様も、とびっきり強くて優秀な忍びだ。 私は、二人を間近で見ていて、それを誰よりも実感している。 今までだって、何人もの追っ手を返り討ちにしてきた。 だから……すぐに戻ってくる。 父様は、大丈夫だ、と言って、頭を撫でてくれた。 母様は、すぐ戻るから、と言って、抱き締めてくれ... -
永遠の扉 第080話
剣道場に横たわる青年がいた。 仰向けのまま床に背を預ける彼はまんじりとも動く気配がない。かすかな呼吸と共に胸を起 伏させていなければ死体と見まごうほどである。 剣道場は明るくもなく、また暗くもない。天井に照明の類はなく、どこからか差し込む光が屈 折の限りを尽くして青く変色して部屋を照らしている。光源にいかなる都合があるか不明だが とにもかくにも蒼然たる光波は所在なげに揺れ動き、横たわる青年の影を黒い炎(ほむら)の ごとくチロチロとあぶっている。 部屋にある明確な動きは先ほどからこれだけである。 あとはただ静寂に包まれ、あたかも純粋透明な氷柱に部屋を封じたように冷気ばかりが占 めている。 やがて──… それまで倒れ伏していた青年の口から痙攣を声にしただけの小さな呻きが漏れた。彼が瞑 目をむずがらせながら開眼するまでさほどの時間は要... - @wiki全体から「(今のところ無題)46スレ441氏」で調べる