戦国BASARA/エロパロ保管庫

雪解けを待つ日

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nozomi

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間に合わなかったけれどバレンタイン・デー話でございまする。
古き友垣でほのぼのした話を一つ。

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「秀吉、これは僕からの気持ちだよ」
膝をにじり寄せ、逞しい秀吉の腕にそっと手を添える。
半兵衛は大事に抱えていた包みを秀吉の大きな手に押し付けた。
色鮮やかな花が描かれた上質な和紙で包まれたそれは仄かに甘く香る。
「これは一体何だ、半兵衛」
自分の誕生日にはまだ早い、と秀吉は巨体に似合わぬちんまりした動作で首を傾げる。
「今日はね…」
半兵衛が艶やかな唇を開きかけた時、ばたばたと走ってくる足音が聞こえた。
「ちょっと待ったぁーっ!」
ばぁん、と勢い良く開けられた襖の向こうから現れたのは慶次である。
彼女もまた小脇に抱えた包みを秀吉へと渡すと、半兵衛の白い顔をじろりと見下ろす。
「相変わらず想像しいね、君は」
ふん、と鼻を鳴らして半兵衛は視線を逸らした。
「秀吉、こいつはアンタの好きな味だと思うぜ」
「…ああ、だが慶次……」
何か言いかけた秀吉を遮るように、半兵衛が意地悪く笑みを浮かべる。
「残念だね、君は少し遅かったんだよ」
秀吉の腕に抱えられた包みへと視線を向け、慶次の憮然とした顔を見上げる。
「そんなの関係あるか、こういうのは想いがきっちり篭っていれば良いんだよ!」
「全く…恋だの愛だの語りながら、そういう細やかさに欠けているのが難点だね」
ばちばちと火花を散らし始めた二人の友人を交互に見遣りながら、秀吉は軽く咳払いをした。
「やめんか、二人とも」
手にした包みを脇へと寄せて置くと、双方の肩へと手を置いた。
「だって秀吉…」
「こいつは俺を…」
不服そうに唇を尖らせる彼女達ではあったが、困ったような秀吉の顔に気付くとすぐに口を噤む。
「お前達の気持ちはとても嬉しい、だからと言ってここで言い争いをして嫌な雰囲気にはしないで欲しい」
半兵衛は慶次の方を横目で見て、再び視線を逸らす。
慶次も向けられた視線に引き攣った笑顔を浮かべるが、すぐに逸らされた視線に不機嫌になる。
「…そうだな、茶でも飲んで寛いでいけ」
美味しい茶葉を手に入れたのだと、暢気に言う秀吉の声に、二人とも顔を見合わせる。
「秀吉の願いとあらば仕方ない、君とは一時休戦だ」
つん、とした態度は変わらないが、半兵衛は淡い色合いの髪をかき上げて紫紺の瞳を細めた。
「まあ、しゃあないな」
秀吉には敵わないや、と慶次は無造作に頭を掻いて膝を崩した。

まったりとしたある小春日和の出来事である。



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