戦国BASARA/エロパロ保管庫

酒は憂いの玉箒

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そんな策士カップルに萌えている中、
そろそろ節分も近いので、鬼つながりで姫親とかにょ島津とか。
ふと妄想した短文を投下。
元就×元親(♀)前提。


※※※

「おぉ、これは独特の風味があって美味しいな」
くん、と鼻で匂いを確かめてから、元親は手にした杯を軽く一口で空けた。
「よかよか、おまはんの飲みっぷりが気に入った!」
膳に置く間もなく、島津は彼女の杯へと酒を注ぎ足す。
さらりと喉越し良く、それでいて鼻腔を抜ける濃厚で芳醇な香り。
飲みなれた酒に比べてこの薩摩の酒はいくらか強い。
いつもであれば、まだ顔にも出ていない量だが、今宵は既に色白な肌がほんのりと桜色に染まっている。
着流し風に寛げた襟元からちらりと覗く胸元まで赤いのだから、相当酔いが回っているのだろう。
とろんとした瑠璃紺の眼差しは見る者までも蕩かすような艶を含んでいた。
「すまねえ、急に押しかけちまって」
「なぁに、こうして一緒に誰かと酒を飲みたいと思っていたところよ」
そうして豪快に笑いながら元親の肩を叩き、もっと飲めと杯をすすめる。
またもやくいっと空けた元親は、ふぅ、と軽く息をつくと、箸を取って小鉢の中身をちょいとつつく。
「それで今日は何の用かね」
手酌で酒を注ぎ足しながら、島津は急に黙り込んだ彼女の方へと声を掛けた。
つ、と箸を止め、それほどのもんじゃねえ、と苦笑交じりに顔を上げると、ほんの一瞬だけ顔を顰める。
「いや、別にアンタの顔が見たくなって土佐に帰る道すがら寄っただけさ」
柄にもなく感傷的になっちまったなぁ、と言いながらも、口調の割には表情が硬い。
ちょっと立ち寄るには随分と遠回りになるのだが、島津もあえてそこには触れない。
「おまはんは迷っとるのか」
まるで凪いだ海面のように穏やかな声で語りかけられ、元親は視線を僅かにそらした。
「……ああ、本当はこわいんだ、これで良かったのかって」
ぽつりと話し始めた声は震えている。
先日、めでたく縁組が決まったというが、それにしては暗い表情だ。
「鬼の名が泣くぞ」
「ああ、そうだな、全く……でもあいつの心がわからねえ」
瑠璃紺の隻眼が悲しげに細められる。
「こっちが命がけで告白したっていうのに、顔色一つ変えやがらねえんだ」
申し出を断られたのかと落胆した所に、あっさりと了承の旨を伝えられ、情けなくもその場にへたりこんだという。
「今のあいつにとっちゃ、俺も駒の一つに過ぎねえ」
経緯だけを聞けば、小さい頃から想い続けたものが実ったという幸せな話だが、元親の声にはそのような感情など感じられない。
それでも、あの時の笑顔が忘れられないのだと自嘲気味に唇を歪ませて嗤い、やや塩味の混じった酒を呷ると杯を置いた。
「こいつはどうも少し話し合いが必要じゃなかとね」
腕を組み、短く唸ると、島津はちらりと元親の顔を覗き込む。
「そうは思わんか、毛利の」
そして島津は襖の向こうへと呼びかけるように振り返った。
すぱん、と襖を開けて立つ相手の顔を、元親はおそるおそる見上げる。
「だって、そんな」
安芸に居る筈だと、口の中で呟く。
「間抜けな顔を晒すでない」
すっと目の前に腰を下ろすと、毛利は彼女の白い頬へと手を添えた。
これは夢だ、俺は酒に酔っているんだ、と思いながらも、元親はまっすぐに見下ろす琥珀の瞳に射竦められたように動けない。
「どれ、ワシは席を外すか」
さすがに馬に蹴られて昇天する気はないのだと言うと、暢気に鼻歌を歌いながら島津は去っていった。

(……続く?)
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