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電池の劣化防止 - (2010/08/02 (月) 18:15:11) の編集履歴(バックアップ)



電池の劣化防止

リチウムイオン電池の取扱い注意

満充電状態での劣化進行

●リチウム電池は
満充電に近い状態や
高温状態の時間が長くなる程
電池劣化が早く進むので注意!

■電池残量と劣化し易さのイメージ図
0-10%
劣化:大
10-40%
劣化:小
40--60%
劣化:最小
60-70%
劣化:小
70-80%
劣化:中
80--100%
劣化:大
  • ベイサンHPの『リチウムイオン電池の基礎』より抜粋すると、「リチウムイオン電池は保存状態により劣化の程度が変化します。満充電に近く、保存温度が高いほど容量劣化が大きくなります。たとえば充電量が30%以下で、保存温度が15℃以下であれば、1年間の保存でも数%の容量劣化で収まります。一方、満充電で45℃で保存すると、6ヶ月でも場合によっては60%程度の容量レベルにまで劣化することもあります。」とある。
  • また満充電とは逆で、バッテリー残量を完全にゼロにする様な【完全放電】も、バッテリーを傷めるのでNG。電動アシスト自転車の場合は制御装置が安全マージンを取り、完全放電前にアシストは止まるので完全放電を起こす可能性は少ない(残量が少ない状態で充電せず長期間放置した場合は危険だが)。

  • イメージとしては「満充電状態のリチウム電池は内部に高密度のエネルギーを蓄積していて、充電量が多いほど電池が自分自身の内部エネルギーでダメージを受け易い」と捉えておくと良い。残量を少なくして保管している間は、内部に溜まっているエネルギー量が少ないので、電池自身が受ける自傷ダメージも少なくて済む。
  • リチウム電池を長持ちさせるには、できるだけ「満充電に近い状態の時間」を短く取る事にある。たとえ満充電にしてもすぐ使用すれば問題ない。しかし、満充電の状態をずっと維持するほど電池にダメージが溜まっていく。


良くない使い方

■NGな使用例
満充電状態からちょっと使ってすぐまた満充電にする
  • 一番良くありがちで、尚且つリチウム電池にとって良くない間違いは、満充電状態から20%ほど使って帰宅したらすぐ充電器に突っ込み、満充電状態で保存する事。これだと常時「残量が100%~80%」の間をずっと維持してしまうので、最も電池に良くない使い方となる。
  • 特に「電池が減ったら不安になってすぐ満充電にしてしまう」という間違いを起こす人が多いので要注意。「残量が50%~100%」の間で使うのと、「残量が50%~0%」の間で使うのでは、満充電状態に近付く前者の方が電池の劣化は激しくなる。

夏に直射日光の当たる場所において高温状態にしてしまう
  • 夏は電池が高温になり易く、劣化が進行しやすい状況にある。なるべく直射日光の当たる場所への長時間駐輪は避ける。やむを得ず日陰の無い炎天下に駐輪する場合は、バッテリーにタオルをかける等して少しでも高温になる状態を軽減する。

冬に極端な低温化で使う
  • 冬は高温による劣化の心配は無くなるが、低温になると電圧が下がるので、実質的な電池の性能は1~2割ほど落ちる。気温が上がれば性能が元に戻るので、寒い朝に使う場合は使用直前に暖かい部屋で常温まで暖めておくと良い(もちろん暖房の真下など高温はNG)。
  • 0度を下回る程の低温だと、まともなパワーが発揮できなくなったり、充電できなくなる事がある。バッテリー製品全般に共通の特徴だが、冬に常時10度以下になる様な寒冷地での使用には不向き。春まで稼動休止状態になってしまう。また充電器も極端な低温の場所への設置は避ける。


電池寿命の定義

  • リチウムイオン電池は、新品時が最も性能が高く、その後経年劣化で電池容量(稼働時間)が毎年10%~20%ずつ低下していく。電池劣化の進行速度は使用環境により異なってくる(後述)。
■電池劣化のイメージ図(減少度合いは環境により変化)
新品時100%>>>>>>> 1年目85%>>>>>> 2年目70%>>>>> 3年目55%>>>> 4年目40%>>>
・仮に新品時に20km走行可能な電動アシスト自転車を買った場合、時が経つに連れて徐々に経年劣化が進行し、2年後には約14km4年後には8km、…等と、航続距離が低下していく。

  • メーカーの「電池の寿命」の定義は、「電池の容量が約半分(50%~60%位)に減少した時」を指す。つまり、「寿命」とは「使用不可能」になる訳では無い。容量が減るだけで使用は問題無くできる。
  • 電動アシスト自転車ユーザーにとっての「電池の寿命」の定義は、「自分が普段使う航続距離を下回った時」となる。例え電池劣化が40%まで進行しても、自分の使いたい距離を走れていれば、まだそれは自分にとっての「寿命」とは言えない。

  • ただし、リチウムイオン電池の中には「制御回路」が搭載されていて、あまりに古くなった電池が充電中に発火するのを防ぐ為に、「使用期限タイマー」(言わば時限爆弾)の様な物が設置されている。
  • 例えば3.0Ahや4.0Ah等のSサイズのバッテリーは約5年、6.0Ah等のMサイズのバッテリーは約6.5年、8.0Ah等のLサイズのバッテリーは約8年で、電池内回路の安全装置が働いて強制的に使用不能(エラーが出て充電できなくなる)になる。
  • よって、取扱いを極度に気にしすぎても時限タイマーでいずれは使えなくなってしまうので、消耗品と割り切り、思い切り良くガンガン使う心構えも大切。


劣化を防ぐ使い方

  • よく電池の寿命を表す方法として用いられる表現の仕方は「充電サイクル400回で寿命(容量が半減)」等という表記の仕方。しかし、これは「満充電→大深度放電(空っぽまで使い切る)」と言う1サイクルの使い方でのカウントの仕方であり、リチウム電池への知識が無い一般の人が劣化の激しくなる使い方をした場合での測定方法となる。
  • もしリチウム電池の劣化が少ない残量70%~30%の間で使い、長時間保管する時はなるべく残量を50%~30%位の間に近くしておくと、電池の劣化を少なくできて理想的。
  • 大事なのは、「いかに満充電状態の時間を少なくできるか」にあり、充電回数をカウントする考え方では無い。劣化の少ない領域で使えば、トータルの充放電量が500回分を越えていても、満充電→完全放電の500回よりは劣化を抑えられる。
×劣化の激しい「満充電→空っぽ」で500回充放電
○劣化の少ない「30%~80%」の領域で1000回以上充放電
×室内保管時に満充電状態で保管
○室内保管時は50%以下で保管
  • 例えば自動車のハイブリッドカーは40%~80%の領域を行き来させて、劣化の激しい満充電状態を避け、10年、10万km、数千回数万回の充放電回数という長い“寿命”を持つ。充電回数だけをカウントしていては寿命は把握できない。
  • 電動アシスト自転車の場合はハイブリッド自動車とは機構も電池の種類も異なるが、バッテリーの取扱いの基本は同じである。充電回数よりも、満充電(完全放電)状態の時間をいかに少なくするかが大事。


やり過ぎに注意

  • ただし、あまりに神経質になりすぎると、利便性を損なうので逆効果となる。例えば劣化の少ない30%~80%内の領域だけで使おうとすれば、実質的に使用可能な電池容量は50%分しかなく、見かけ容量が半減したと同じ事になる。これでは劣化は少なくても実質半分しか使えないのと同じで本末転倒という見方もできる。
  • 更に、リチウム電池には内蔵タイマー寿命が設定されてるので、どんなに劣化を減らせたとしても、どうせ5年~8年後には必ず使えなくなる。劣化など全く気にせず好きな様にガンガン使って、4~5年経ったら使い捨て、位に考えて開き直っておく位の方が、道具に振り回されず正しく道具を使いこなせるのかも知れない。
  • また、電池にとってはダメージの少ない残量20%~50%の領域でも、電動アシスト自転車の場合、バッテリー残量ランプが点滅する程に残量が減ると電圧も低下してアシストパワーが低くなる事がある。電池を気にして充電するのを躊躇い、アシストがフルパワー出せない様ではこれまた本末転倒である。


長期保存の方法

  • 「子供乗せ電動アシスト自転車だが、下の子が生まれるまで暫く使わない」など、長期的に使わない期間が出る場合も、やはり満充電状態は避けた方が無難。最も劣化の少ない、残量50%の状態で冷暗所に保管する。リチウム電池は自然放電が少ない方ではあるが、半年以上放置する場合等は時々チェックしておき、残量が減っていたら補充電を。


バッテリーの診断モード

リチウム電池は制御回路を内蔵しているので、バッテリーの劣化具合や総充電回数等を表示する診断モードがある場合が多い。
  • パナソニック製バッテリー診断方法の例
「満充電」の状態にして、バッテリーのボタンを5秒間押し続ける。
  • ヤマハ(ブリジストン)製バッテリー診断方法の例
残量ボタン20秒間押し続けると、今までの充電回数表示。
更に押し続けたままだと、今度はバッテリーの実容量が表示。
※上記はあくまで一例であり、診断方法は各メーカーや車種によって違うので、各社の取説等で確認。

【例】ヤマハ製リチウムイオンバッテリーの診断方法の例
http://www.katocy.com/file/41/pzjoko.pdf

■例①バッテリーの今まで充電した回数を調べる。
【1】バッテリーの残量表示ボタンを、“20秒間”押し続ける。
【2】4つのバッテリーランプの点灯の仕方で、今迄の総充電回数が分かる。
残量ランプ表示 総充電回数
ランプ1つ遅い点滅 0回~50回
ランプ1つ点灯 51回~100回
ランプ2つ遅い点滅 101回~150回
ランプ2つ点灯 151回~200回
ランプ3つ遅い点滅 201回~250回
ランプ3つ点灯 251回~300回
ランプ4つ遅い点滅 301回~350回
ランプ4つ点灯 351回以上

■例②バッテリーの劣化具合を調べる。
【1】バッテリーの残量表示ボタンを、“30秒間”押し続ける。
【2】4つのバッテリーランプの点灯の仕方でバッテリーの実力容量が分かる。
残量ランプ表示 バッテリー実容量
ランプ4つ点灯 実容量100%~75%
ランプ3つ点灯 実容量74%~50%
ランプ2つ点灯 実容量49%~25%
ランプ1つ点灯 実容量24%~0%


※参考サイト
■ベイサン・Li-ion電池の話
http://www.baysun.net/lithium/lithium.html
リチウムイオン電池の寿命と劣化。そして保存法
http://ameblo.jp/inu-o/entry-10353616943.html
アップル・リチウム電池の充電
http://www.apple.com/jp/batteries/




ニッケル水素電池の取扱い注意

ニッケル水素電池搭載車種

現在は殆どのメーカーの車種がニッケル水素からリチウム電池に移行し、今ではごく一部の低価格モデルやマイナーなメーカーが使っているのみとなっている。
■ニッケル水素電池搭載モデル
  • エネループバイクSPF(サンヨー)
  • エネループバイクSPH(サンヨー)
  • エネループバイクSPJ(サンヨー)
  • アルフィットビビ(パナソニック)
  • SE(ユニバーサルトライク)


過剰放電に注意

  • ニッケル水素電池の特徴と言えば、継ぎ足し充電等で『メモリ効果』が起こる点が挙げられるが、その点は定期的なリフレッシュ充電等でカバーできる。それ以上に危険なのは過剰放電を起こす事。
  • 過剰放電とは、文字通りバッテリーを完全に空っぽにしてしまう事。こうなるとバッテリーが致命的なダメージを受けて大きく性能が低下する。充電してもすぐに充電完了ランプが出て殆ど充電できなくなってしまう。
  • しかも一度過剰放電を起こしたバッテリーは治癒する方法が無く、実質再起不能に近くなる事も多い。ニッケル水素電池に取っては不治の病に近い、何としても避けねばならない状況と言える。

  • 店頭で前年度モデルの売れ残り電動アシスト自転車のニッケル水素バッテリー等は、1年以上ストックされている間に過剰放電を起こして電池が死んでいる場合がある。「型落ち品が安かったから買ってきたけど、充電器に挿しても5分で充電が終わって、すぐ電池が切れる」と言った場合、ニッケル水素電池が過剰放電で死んでいる可能性がある。
  • 自転車専門店など、ニッケル水素電池について知識がある店員が管理に気をつけていれば、1年以上前のモデル等は時々補充電して過剰放電を防いでいてくれる可能性もある。しかしホームセンターや量販店の場合は特にそういった配慮無しに売られる。ニッケル水素電池搭載の型落ち品等を購入する場合は、購入前に「バッテリーがもし死んでいた場合に保証修理の対象や期間内になっているか」等をチェックを。


残量管理時の優先順位

  • ニッケル水素電池の場合は、満タンにするとメモリー効果が起こり、空っぽにすると過剰放電で再起不能になると言う、板挟みの状態にある。結局、取扱いの注意点はリチウム電池と似た様な感じで、極端な放電や充電を避け、丁度良い領域を使う為に残量をこまめにチェックするのがコツとなる。

  • メモリー効果の方は見かけ容量が下がるだけで、リフレッシュ充電で改善も可能なので、どちらかと言えば過剰放電の方が重篤な事態を引き起こすのでなるべく避けたい所。特にニッケル水素電池は自然放電の量がリチウム電池よりも多いので、しばらく使わずにいた時には残量が減り易い。
  • ユーザーが過剰にメモリ効果を気にし過ぎる等で、残量が低い状態でも充電を行わないで居ると、その後しばらく自転車を使わない期間が続いた時に、うっかり充電を忘れたまま長期間放置して、完全放電させてしまい、バッテリーを駄目にしてしまうケースが稀に見られる。


メモリー効果

  • ニッケル水素電池の場合は、「メモリー効果」が発生する。バッテリーを残り僅かな状態まで使いきってから充電しなかった場合、見かけ上の容量が低下する現象。
①容量100%の状態
★★★★★ ★★★★★

②50%だけ使いきる
★★★★★ ☆☆☆☆☆

③50%分だけ継ぎ足し充電
★★★★★ ★★★★★

④50%の所で「残量0」と認識され50%分しか使えない
★★★★★ ☆☆☆☆☆
↑まだ50%残っているのに、②の状態を「残量ゼロ」と記憶(メモリー)してしまっている。
  • 上図の様に、継ぎ足し充電した時点の残量をゼロと認識してしまい、本当な内部に十分な容量の電力が溜まっているのに、継ぎ足し充電した時の残量になると「電池切れ」と認識されて使えなくなってしまう事。あくまで見かけ上の問題なので、物理的な劣化では無い

  • このメモリー効果を解消するには、リフレッシュ充電機能を利用して安全に解消するのが良い。もし手動で放電させようとして、強制的にランプ点灯させっ放しなどをした場合、万一手加減調整をミスして過剰放電させてしまうと取り返しが付かなくなる。
  • リチウム電池と同じく、過剰放電に近くなる程電池のダメージは大きくなるので、リフレッシュ機能を多用し過ぎると、電池の劣化は早くなる。
  • 使える容量がどんどん短くなる現象に目を瞑れる状況なら、リフレッシュ充電を敢えて行わずに残量40%~80%の間の領域をなるべく使うようにして劣化を抑える事もできる。ただし、電動アシスト自転車の場合はニッケル水素電池が3.0Ahしか無いので、40%~80%の領域で使おうとすると僅か数kmしか走行できなくなるので現実的ではない。

  • このメモリー効果が起こる為に、ニッケル水素電池は残量の管理が難しい。
電池劣化を抑える為に40%~80%の間で使いたい
しかし、メモリー効果が起こるので見かけ容量が少なくて使いにくい
逆に継ぎ足し充電しないで毎回使い切ってると劣化が進む
メモリー効果起きても我慢して使うか、リフレッシュ充電(寿命縮む)か悩む
この辺りの管理の面倒さ(精神的な不便を感じる度合い)が、ニッケル水素電池が敬遠され、メモリ効果と過剰放電のバランスを気にする気苦労が無くて管理の楽なリチウム電池に移行して行った理由の1つでもある。
(リチウム電池も全く問題が無い訳でなく、高温と満充電に弱いという弱点はある)


長期保存の方法

ニッケル水素は自己放電量がリチウムより多いので、しばらく使わない時は残量を時々チェック。
くれぐれも過剰放電に注意。