wiki クライムウェイヴ(Sysop読書録 活字をめぐる冒険) 内検索 / 「夜明けのフロスト クリスマス・ストーリー」で検索した結果

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  • 夜明けのフロスト クリスマス・ストーリー
    夜明けのフロスト クリスマス・ストーリー 『ジャーロ』傑作短編アンソロジー3 題名:夜明けのフロスト クリスマス・ストーリー    『ジャーロ』傑作短編アンソロジー3 編者:木村仁良 作者:R・D・ウィングフィールド、他 訳者:芹澤 恵、他 発行:光文社文庫 2005.12.20 初版 価格:\571  『クリスマスのフロスト』とは別のクリスマスを過ごす、あの警部フロストの新しい中篇ストーリーを収録したアンソロジー。クリスマスのたった一日にいきなり沢山の事件が押し寄せて、窒息しそうになりながらも、次々と解決に導いてゆくフロストの八面六臂の活躍ぶりが、とても懐かしいし、こうした物語を、別のすべてのクリスマス作品集と一緒に読めるアンソロジーなんて、とても気のきいた本であると思う。  短編の名手エドワード・D・ホックの引退刑事レオポルドのシリーズ『ク...
  • R・D・ウィングフィールド
    ...アンソロジー収録 夜明けのフロスト クリスマス・ストーリー 『ジャーロ』傑作短編アンソロジー3
  • アンソロジー
    ...短編アンソロジー3 夜明けのフロスト ─クリスマス・ストーリー─ 共著 死者は眠らず 2011 北村あかね訳 ジェフリー・ディーヴァー他26人の作家 YOUMING TRIBUTE STORIES 2022 小池真理子・桐野夏生・江國香織・綿矢りさ・柚木麻子・川上弘美
  • クリスマスのフロスト
    クリスマスのフロスト 題名:クリスマスのフロスト 原題:FROST AT CHRISTMAS (1984) 作者:R.D.WINGFIELD 訳者:芹澤恵 発行:創元推理文庫 1994.9.30 初版 1995.2.10 7版 価格:\850(本体\825)  ひさびさに爆笑小説を読んでしまった。主人公の会話文だけで笑いを漏らしちゃうっていう作家だと、他にはロス・ローマスくらいしか思いつかない。ましてやイギリスの警察小説にそんなものが見つかるなんて、よもや思いもしなかった。  そういう意味での強烈さを持っているけど、登場人物も事件のそれぞれもいたって平凡である。こちらが心配になるくらい普通の警察の普通の事件で、こういう主軸を黒い笑いと皮肉が回転させてゆく。いくつもの事件が起こっては終わってゆくモジュラー形式の4日間。  それは新米刑事にとっ...
  • 冬のフロスト
    冬のフロスト 題名:冬のフロスト 原題:Winter Frost (1999) 作者:R.D.ウィングフィールド R.D.Wingfield 訳者:芹澤 恵 発行:創元推理文庫 2013.6.13 初版 価格:各\1,300  フロストを読むのは実に久しぶり。何を隠そう17年ぶりにこのシリーズの中二作をすっ飛ばして最新翻訳作品に卑しくも手を伸ばしてしまったのだ。そしてこのシリーズの凄みに、まるで今初めて出会ったばかりのように、ぼくは改めて驚愕するのだ。そしてこのシリーズへの評価を新たにする。そしてその手応えの確かさに酔い痴れる。  このシリーズ、いちいち分厚い翻訳小説である。この厚みと丁寧な翻訳の手仕事こそが、フロストシリーズの翻訳を難航させているのだろうなあ。何しろ、この作品だって、イギリスで刊行されて14年目にして日本にその翻訳の成果が披露さ...
  • その雪と血を
    その雪と血を 題名:その雪と血を 原題:Blood On Snow (2014) 作者:ジョー・ネスボ Jo Nesbø 訳者:鈴木恵 発行:ハヤカワ・ミステリ 2016.10.15 初版 価格:\1,400-  翻訳ミステリの多国籍化がすっかり歓迎ムードになっている昨今。英米の小説よりももしかしたら売れ行きがいいのではないか、とさえ思わせる北欧ミステリの世界的な台頭はやはり目立つ。  その中でも異色の作家ジョー・ネスボ。主人公の個性を大切にする傾向が強い北欧作家の中でも、強烈なオリジナリティを持たせるジョー・ネスボ。本作はネスボらしからぬ薄い一冊で、中編と呼んでも過言ではないほどの<ポケミス>ぶりだ。  そして数多くのパルプノワールが傑作を生み出してきたように、作品の長さではなく、詩のように語られ、詩のように生き、詩のように死んでゆく薄手...
  • フロスト日和
    フロスト日和 題名:フロスト日和 原題:A Touch Of Frost (1987) 作者:R. D. Wingfield 訳者:芹澤恵 発行:創元推理文庫 1997.10.17 初版 価格:\1,080  文庫本とは思えぬような定価だが、ポケミス(特に愛読する87分署シリーズ)が1,000円の大台に載った時ほどの驚きは今さら、ない。まあそのくらい分厚い本。了見のよくない版元なら間違いなく何冊かに分冊するであろう質量のある本なので、フロストに関してはまあ高くは感じない。むしろもっと高くてももっと厚くてもこういう本なら、ぼくは敢えて笑って許してしまおうかとも思う。  俗に言うモジュラー型小説、人気ドラマ「ER」のように、できごとの連続で埋められる濃密な時間を、フロストとウェブスターの問題刑事コンビが放浪する。デントンというイギリスの架空の街。どうや...
  • アマンダの影
    アマンダの影 (『二つの影』改題) アマンダの影 (創元推理文庫) 二つの影―NY市警キャシー・マロリー・シリーズ〈第2弾〉 (竹書房文庫) 題名:アマンダの影 (『二つの影』改題) 原題:The Man Who Lied To Women (1995) 作者:キャロル・オコンネル Carol O Connell 訳者:務台夏子 発行:創元推理文庫 2001.06.29 初刷 価格:\920  前作に続いて、本書も竹書房版を新訳で東京創元社が復刻させたもの。タイトルも『マロリーの神託』を『氷の天使』に、『二つの影』(1998年)を本書『アマンダの影』に改めた。前作で翻訳の読み難さゆえに、せっかくの個性豊かな本シリーズが読者に抵抗を感じさせていたのだが、務台夏子訳でこれらの作品は、すっかり人気シリーズとして定着し、読者を確実に魅了し続けていると聞く。 ...
  • ダウンタウン
    ダウンタウン ダウンタウン (ハヤカワ・ミステリ文庫) ダウンタウン (Hayakawa novels) 題名:ダウンタウン 原題:DOWNTOWN 著者:エド・マクベイン Ed McBain 訳者:羽田詩津子 発行:早川書房 1990年10月 初版 価格:2000  クリスマスにぜひ読んで欲しいマクベインの取っておきの冒険譚。数年前に村上春樹が『ノルウェイの森』を出して以来、なんとなくクリスマスに装丁の奇麗な本をプレゼントするなんて気のきいた風習が流行り始めたみたいだけれども、この本もそれらしき狙いを窺わせる、和田誠の手によるメルヘンチックなカバーを身に纏っている。ぼくはこういう策略には手もなく乗ってしまってかまわないと思っている。ストーリーは、クリスマス・イブの夜に始まる三十数時間の物語。舞台はもちろんニューヨーク。物語中に溢れる赤と緑の色彩。これはま...
  • スキッピング・クリスマス
    スキッピング・クリスマス 題名:スキッピング・クリスマス 原題:Skipping Cristmas (2001) 作者:ジョン・グリシャム John Grisham 訳者:白石 朗 発行:小学館文庫 2005.12.1 初刷 2002/12 初版 価格:\571  そういえば、最近見ない。ジョン・グリシャムという作家の名前を。毎年のようにリーガル・サスペンスの逸品を世に送り出し、映画化作品もまた常に話題になってきたのに。  日本では「超訳」とされる作品も二、三見られたけれど、そういうものには、なんだか活字文化を馬鹿にされているようで、どうも腰が引けてしまう。なのでぼくは『ペインテッド・ハウス』(ノン・ミステリーの素晴らしい作品だった)を最後にグリシャム作品にしばらくお会いしていない。  本書はそうしたグリシャム・リストの山の中、思わぬ...
  • トゥルー・クライム・ストーリー
    トゥルー・クライム・ストーリー 題名:トゥルー・クライム・ストーリー 原題:True Crime Story (2021) 著者:ジョセフ・ノックス Josepf Knox 訳者:池田真紀子 発行:新潮文庫 2023.9.1 初版 価格:¥1,150  驚愕の結末でシリーズ三部作を終えたJ・ノックスの次なる弾(たま)が楽しみだったが、その要求にしっかり応えてくれたようなノックスらしい一作。何と、驚愕の結末の次は、驚愕の構成と来たのである。何しろすべてがインタビューとメール往還のみで成り立ったアンチ小説とでも言いたくなるくらいの奇妙な体験を、読者は体感することになる。ノックス弾、またやってくれたな、という苦笑と共に、少し慣れない読書時間がのろのろと始まる。  最初に本書を手に取った読者はその分厚さに気圧されるかもしれないが、じつは口語体で多くの人物に事...
  • クリスマス・プレゼント
    クリスマス・プレゼント クリスマス・プレゼント (文春文庫) 題名:クリスマス・プレゼント 原題:Twisted (2003) 作者:ジェフリー・ディーヴァー Jeffrry Deaver 訳者:池田真紀子、他 発行:文春文庫 2005.12.10 初版 価格:\905  タイトルから類推するとクリスマスに合わせた出版かと思われがちだが、特にクリスマス本というわけではない。超・売れっ子作家ディーヴァーの初短編集である。むしろその方がシンプルにディーバー・ファンの興味を惹きつけるような気がする。クリスマス・シーズンの邦訳出版なのはかえって勘違いを喚起するだけで、あまり得なことであるとは思えない。  ディーヴァーは、これまでいくつかの顔を見せてくれていると思う。もちろんリンカーン・ライムのシリーズはアメリカで流行の科学捜査という点に絞ったミステリのヒット...
  • フォックスストーン
    フォックス・ストーン フォックス・ストーン (文春文庫) 題名:フォックス・ストーン 作者:笹本稜平 発行:文藝春秋 2003.05.15 初版 価格:\1,905  年間一作というペースがいい。雑なところがまったく見られない、練りに練られた文章だけで構成された小説作りがもののみごとに結果として反映されている。実力を見せつけるがごとき文章力によって鎧われたプロットがこれまた凝りに凝っている。一ページあたりの密度がそこらの小説に見習って欲しいほどで、どこもかしこも濃厚である。  主人公が日本人でありながらフランス外人部隊上がりの元傭兵、現セキュリティ・コンサルタントが、傭兵時代のパートナーの不審な死の謎を追って、アフリカ小国の虐殺の落とし物を拾って歩く物語。傭兵と聞いただけで、柘植久義あたりを思い出してぼくはうんざりする口なのだが、作品ごとに毛色を変えてくる...
  • 孤独な鳥がうたうとき
    孤独な鳥がうたうとき 題名:孤独な鳥がうたうとき 原題:Peril (2004) 作者:トマス・H・クック Thomas H. Cook 訳者:村松 潔 発行:文藝春秋 2004.11.10 初版 価格:\2,300  何だか似たような雰囲気の小説を読んだことがあると思った。はっきりとストーリーは思い出せないのだが、クリスマスの夜のある一日だけを描いてとてもお洒落だったミステリー、エド・マクベインの『ダウンタウン』である。包装紙は要らないから、そのまま直接カバーにリボンをつけてクリスマス・プレゼントにしたいような本であり、それもクリスマス直前に(イブだったかどうかは記憶にない)、出版されたものだったと思う。  エド・マクベインならこのような本はお手のものだと思う。そんなお洒落で軽妙なミステリーを、それでいて人生の艱難辛苦を舐めた人でなくては決して...
  • 償いの報酬
    償いの報酬 作品:償いの報酬 作者:ローレンス・ブロック 訳者:田口俊樹 発行:二見文庫 2012.10.20 初版 価格:\933  ハードボイルドの系譜が多岐に渡るなか、しっかりと野太い直列のラインで引かれた直系のシリーズが、このマシュー(マット)・スカダーのシリーズであろう。免許を持たないホテル住まいであっても、元刑事で今は探偵というアメリカン・スタンダードをしっかりと抑えつつ、卑しき街をゆく誇り高き男、という構図を崩さない。しかしながら、このシリーズは跳弾による少女の死と刺し違える格好で警察を辞め、離婚し、アル中に陥る探偵という贖罪の重さを一方で売りにしている。  名作『八百万の死にざま』は、禁酒の前後を切り分ける重要な作品となったが、マットが事件と向かい合いながらも己と闘ってゆく凄まじい姿は、今も深く読書体験の記憶に残って消えないものである。  本...
  • クリスマスに少女は還る
    クリスマスに少女は還る 題名:クリスマスに少女は還る 原題:Judas Child (1998) 作者:キャロル・オコンネル Carol O Connell 訳者:務台夏子 発行:創元推理文庫 1999.9.24 初版 2002.1.18 7刷 価格:\1,000  噂には聞いていたが、当時あれだけ多くの場所で話題に上った作品であることが、読了したばかりの身にはしみじみとよくわかる。  風変わりな視点の積み重ねによる奇抜な表現力。じわじわと丹念に物語の綾を編み上げてゆく独特のテンポ。確固とした地盤を既に築きあげたキャロル・オコンネル、新人時代の作品とはいえ、この時点で既に唯一独自の作風を切り拓いてみせていたことの証明が、このシリーズ外の一作だろう。  全作取り揃えておきながら、なかなか本格的にシリーズに取り組めなかったぼくにとって(一作目...
  • ジェフリー・ディーヴァー
    ジェフリー・ディーヴァー Jeffery Deaver リンカーン・ライム・シリーズ ボーン・コレクター 1997 池田真紀子訳 コフィン・ダンサー 1998 池田真紀子訳 エンプティー・チェア 2000 池田真紀子訳 石の猿 2002 池田真紀子訳 魔術師(イリュージョニスト) 2003 池田真紀子訳 12番目のカード 2005 池田真紀子訳 ウォッチメーカー 2007 池田真紀子訳 ソウル・コレクター 2008 池田真紀子訳 バーニング・ワイヤー 2010 池田真紀子訳 ゴースト・スナイパー 2013 池田真紀子訳 スキン・コレクター 2014 池田真紀子訳 スティール・キス 2016 池田真紀子訳 ブラック・スクリーム 2017 池田真紀子訳 カッティング・エッジ 2018 池田真紀子訳 真夜中の密室 2022 池田真紀子訳 キャサリン・ダンス・シリーズ スリーピング・ドール...
  • シャドウ・ストーカー
    シャドウ・ストーカー 題名:シャドウ・ストーカー 上/下 原題:XO (2012) 著者:ジェフリー・ディーヴァー Jeffery Deaver 訳者:池田真紀子 発行:文春文庫 2016.11.10 初刷 2013/10 初版 価格:各¥760  リンカーン・ライム・シリーズはニューヨーク。一方、このキャサリン・ダンス・シリーズはカリフォルニア。遠く離れた2つのシリーズなのに、それぞれのシリーズにそれぞれのシリーズ主人公がゲスト出演してくれる。このサービス精神がディーヴァーという作家の真骨頂だろう。本作でも、おそらく作家持ち前のサービス精神は、様々な意味で発揮されている。  今回は、若き女性カントリー・シンガーとそのファンのEメールのやり取りで幕を開ける。ファンと言っても度を超えればストーカーとなる。そのラインはおそらく場合により様々だが、無...
  • 歓喜の島
    歓喜の島 題名: 歓喜の島 原題: Isle of Joy (1997) 作者: Don Winslow 訳者: 後藤由季子 発行: 角川文庫 1999.9.25 初版 価格: \952  クリスマスは過ぎ去ってしまったけれども、クリスマスに読みたい本というのが確かにある。たとえばこの作品。クリスマスを軸にストーリーが展開する話でありながら、クリスマス前後の描写がひたすら美しいこと。それがぼくのクリスマス小説の条件。こういうのを満たすのは、ぼくは今まではエド・マクベインの『ダウンタウン』だったのだけれどこれを機会に、宗旨替えをしようと思ったくらいだ。 (ちなみに装丁にごまかされて村上春樹の『ノルウェイの森』を読んではいけない、あれは暗い小説なのだ)、  でも、『87分署』でバート・クリングがクレアとデートしたシーンのように、街中でウォルター...
  • 紳士の黙約
    夜紳士の黙約 [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) 題名:紳士の黙約 原題:The Gentlemen s Hour (2009) 作者:ドン・ウィンズロウ Don Winslow 訳者:中山宥 発行:角川文庫 2012.09.25 初版 価格:\952  サーフィンとミステリは同居でき...
  • 殺す警官
    殺す警官 題名:殺す警官 原題:The Business Of Daying (2002) 作者:サイモン・カーニック Simon Kernick 訳者:佐藤耕士 発行:新潮文庫 2003.9.1 初版 価格:\781   こういう作品を読むと、英国のミステリが非常に多様化してきたことを痛感させられる。英国ミステリと言えば、シャーロック・ホームズからアガサ・クリスティと、古典的で謎解きを謳歌した手法から始まったが、一方では多の冒険小説の書き手を生み、ジャンルはとりわけはっきりしていたイメージがある。その中で謎解きをしながらも冒険小説的エッセンスを持つディック・フランシスというロングラン向けの人気作家もこつこつと作品を世に送り出してきた。あるいは諜報部員の屈折と勝利のための戦いを書き込んできたC・トーマスや、フリーマントルのチャーリー・マフィンシリーズ。 ...
  • 五百万ドルの迷宮
    五百万ドルの迷宮 五百万ドルの迷宮 (MYSTERIOUS PRESS BOOKS) 五百万ドルの迷宮 (ミステリアス・プレス文庫) 題名:五百万ドルの迷宮 原題:Out On The Rim (1987) 作者:Ross Thomas 訳者:菊池光 発行:早川書房 1988.9.15 初版 価格:\1,500  ぼくの最愛の作家のひとりであるロス・トーマス。その新作を読む前に全く同一の5人の主人公の活躍した、もう八年も前の作品『五百万ドルの迷宮』を読みなおしたかった。ぼくがロス・トーマスにはまったのはこの作品なのに、そのストーリーも8年の歳月の向こうに霞んでしまっていたからだ。  中国皇帝の王位継承者を名乗るアーティー・ウーと、背中に幾本もの傷を刻まれた凄腕のクインシー・デュラントのコンビに、希代の詐欺師アザガイ・オバビイが絡むのはさらに前の作品『...
  • 風の王国
    風の王国 風の王国 第一巻 翔ぶ女 風の王国 第二巻 幻の族 風の王国 第三巻 浪の魂 題名:風の王国 第一巻 翔ぶ女 第二巻 幻の族 第三巻 浪の魂 作者:五木寛之 発行:アメーバブックス 2006.12.20 初刷 価格:各\1,000  クリスマス・プレゼントなどに似合いそうな赤・青・緑というスタイリッシュな装丁の3巻セットだ。横組での製本は「若い世代にも読みやすい」ためだそうだ。若い世代ではない私には、教科書を読んでいるようで、正直、かえって読みにくいくらいだった。しかし、作品の内容はとりわけクリスマス・プレゼント向きでもなければ、特別若い世代向きというわけでもない。  テーマは、むしろ大きく、重い。一言で言うなら、サンカ、あるいは山窩と呼ばれる漂泊の民にフォーカスした物語である。映画では萩原健一・藤田弓子主演の『瀬降り物語』で取り上げられ...
  • 大統領特赦
    大統領特赦 題名:大統領特赦 上/下 原題:The Broker (2006) 作者:ジョン・グリシャム John Grisham 訳者:白石 朗 発行:新潮文庫 2007.03.01 初版 価格:各\667  ジョン・グリシャムの長編作品をちゃんと読むのは何年ぶりだろう。かつては一年一作ペースで出るハードカバー作品を、次々と楽しんだものだ。リーガル・サスペンスという枠の中に納まりきらない、はち切れんばかりのエネルギーを詰め込んだスリラーを、ストーリー・テリングの巧さとヒューマンな内容とで、とにかく「読ませる」作家であった。  日本ではシドニー・シェルダンで当てた無名な出版社が、超訳という訳者不詳、原作文章を変質させても日本人向けに強引に訳してしまうという乱暴な所業で、グリシャム作品の何作かを持って行ってしまい、それらは当然ぼくの読書タスク・リ...
  • 壊れた世界の者たちよ
    壊れた世界の者たちよ 題名:壊れた世界の者たちよ 原題:Broken (2020) 作者:ドン・ウィンズロウ Don Winslow 訳者:田口俊樹 発行:ハーパーBOOKS 2020.07.20 初版 価格:¥1,291  分厚い熱気の塊のような長編小説を書き続ける日々の合間に、作家の中から零れ落ちそうになった別の物語たちを、この機会にきちんとした形で作品化させ、出版させるということになり、本書は登場したという。どこかで零れ落ちそうになっていたこれらの物語を今、6つの中編小説というかたちで読める幸せをぼくは感じる。  それとともに本書はウィンズロウのこれまでの作品の総括であり集大成ででもあるように見受けられる。かつてのシリーズや単発作品の懐かしくも印象深い人物たちがそこかしこで、しかも今の年齢なりに成長したり歳を重ねたりして登場してくれるからだ。読者...
  • ガットショット・ストレート
    ガットショット・ストレート 題名:ガットショット・ストレート 原題:Gutshot Straight (2010) 著者:ルー・バーニー Lou Berney 訳者:細見遙子訳 発行:イースト・プレス 2014.08.30 初版 価格:¥1,900  『11月に去りし者』で久々に手ごたえのある筆力を持った作家と出会えたことが嬉し過ぎて、たった一冊のルー・バーニーの古い翻訳書を手に入れ、ようやくこの作家の世界と再会することができた。なるほど、前半はほぼロード・ノベル。こういう作風を得意とする作家である。  しかも善玉悪玉ともに人間味があり、捨て難い印象を残すため、文字通り、善悪入り乱れてのもつれにもつれ合う、ひっきりなしの逆転ストーリーであっても、読者の側に、さほどの混乱は起きない。だからこそ、この作者の筆力に、ぼくはまたも着目してしまう。  ...
  • ロスト・アイデンティティ
    ロスト・アイデンティティ 題名:ロスト・アイデンティティ 原題:East Of Hounslow (2017) 著者:クラム・ラーマン Khurrum Rahman 訳者:能田優 発行:ハーパーBOOKS 2022.3.20 価格:¥1,300  イギリス在住の作者クラム・ラーマンはパキスタンはカラチ生まれ。一歳で英国移住、ロンドン育ちの現在はIT企業会社役員、という珍しい肩書の新人作家だ。本書は、作者お馴染みの、ロンドン西部の移民率が高い自治区にあるハウンズロウに育ったムスリムの青年たちの日常からスタートする。  主人公のジェイ・カシームは麻薬の売人だが、友人の一人は警察官、もう一人はテロリストキャンプにまで参加する民族主義者。再婚相手ができたばかりの母は冒頭からカタールに引っ越ししてしまい、父なし子のジェイは、初めての独り立ちを迎える。 ...
  • ストーン・シティ
    ストーン・シティ 題名:ストーン・シティ (上・下) 原題:Stone City (1989) 作者:ミッチェル・スミス Mitchell Smith 訳者:東江一紀 発行:新潮文庫 1993.8.25 初版 価格:上/\560(本体\544) 下/\600(本体\583)  全編、巨大な重警備刑務所を舞台にしている、っていうだけで何となく飛びつきたくなる本だった。何とまあ、こんなところに大学教授が抛り込まれていて、彼が刑務所内の連続殺人を捜査する羽目になる、というまあ途方もないエンターテインメントなのである。  アメリカの刑務所というのが、現在どんなものなのかは知らない。サンフランシスコ・ベイに浮かぶアルカトラズやサンクエンティンはそれぞれ『アルカトラズの脱出』『大脱獄』などで囓ったことはあるけれど、悪名高い『パピヨン』のフランス領悪魔島と同...
  • 東野圭吾
    東野圭吾 加賀恭一郎シリーズ 卒業 雪月花殺人ゲーム 1986 眠りの森 1989 どちらかが彼女を殺した 1996 悪意 1996 私が彼を殺した 1999 嘘をもうひとつだけ(連作短編集)  2000 赤い指 2006 新参者 2009 麒麟の翼 2011 祈りの幕が下りる時 2013 探偵ガリレオ・シリーズ 探偵ガリレオ(連作短編集) 1998 予知夢(連作短編集) 2000 容疑者Xの献身 2005 ガリレオの苦悩(連作短編集) 2009 聖女の救済 2009 真夏の方程式 2011 虚像の道化師 ガリレオ7(連作短編集) 2012.08 禁断の魔術 ガリレオ8(連作短編集) 2012.10 沈黙のパレード 2018 透明な螺旋 2021 長編小説 放課後 1985 白馬山荘殺人事件 1986 学生街の殺人 1987 11文字の殺人 1987 魔球 1988 香子の夢 ...
  • ロスト・エコー
    ロスト・エコー 題名:ロスト・エコー 原題:Lost Echo (2007) 作者:ジョー・R・ランズデール Joe R. Lansdale 訳者:北野寿美枝 発行:ハヤカワ文庫HM 2008.5.15 初刷 価格:\840  ランズデールの新作なんて、何年ぶりだろうか? 『サンセットヒート』以来、何と4年ぶりの日本お目見えである。角川文庫のハップとレナードのシリーズ以来、ハヤカワが『ボトムズ』で大当たりして、その後、多くの海外作家同様に、底冷えを味わってきた感がある。しかしランズデールの小説がどうにかなってしまったという気配は微塵もなく、固定ファンをたっぷりと蓄えた形で、まるで勿体をつけるように日本の書店から徐々に姿を消し、そうして忘れられようとしているのだ。  その矢先、ハヤカワとしても時間を置きすぎたのだろう、今度は文庫版という理想的な形で、...
  • 儀式
    儀式 題名:儀式 原題:Dust (2013) 作者:パトリシア・コーンウェル Patricia Cornwell 訳者:池田真紀子 発行:講談社文庫 2014/12/25 初版 価格:各\1,210  ぐっと力を貯め込んで一気に放出するようなプロットというのも、このシリーズの特徴と言える。貯め込んでいるうちは奇怪過ぎる現象、厄介な状況が次々とケイ・スカーペッタという気難しいヒロインを襲ってくるので、これ以上の負荷はもう要らないと思えるようになる。巻末で唐突に呆気ないほどに解消する謎の数々も、もう少し時間をかけていいと思うのに、いつも手っ取り早く引きあげてしまう芝居小屋の大道具係みたいに手際が良すぎて、余韻というものが残りにくい。  本書は、なんと丸々一日だけの物語である。夜明け前の4時台に始まり、夜更けに終わる。それほど時計の針の進み具合が遅い...
  • 殺意のコイン
    殺意のコイン 題名:殺意のコイン 原題:Spare Charge (2007) 作者:ロバート・B・パーカー Robert B. Parker 訳者:奥村章子 発行:ハヤカワミステリ文庫 2008.04.15 初版 価格:\820  ジェッシー・ストーン・シリーズとのクロス・ストーリーは、彼らの別離によって終わりを告げたのだが、彼らのその後に関する作品がどちらも今年邦訳された。別離というにはさほど重たくもなかった、とは思う。それぞれに分かれたパートナーへの未練が断ち難く(奇妙なことにそれぞれのお相手も同様である)、互いの別居&プラトニック・ラヴの孤独生活が始まるわけである。  もちろん本書が出版された2008年春の時点では、ジェッシーの方の物語は未知である。シリーズだというのに読む順序がある。コアな読者へのサービスとしては気が利いた展開であったが、ど...
  • 夜明けの光の中に
    夜明けの光の中に ローレンス・ブロック傑作選 3 ローレンス・ブロック傑作集〈3〉夜明けの光の中に (ハヤカワ・ミステリ文庫) 題名:夜明けの光の中に ローレンス・ブロック傑作選 3 原題:SOME DAYS YOU GET THE BEAR(1963,1966-67,1982,1984-86,1989-93) 作者:LAWRENCE BLOCK 訳者:田口俊樹、宮脇孝雄、嵯峨静江、芹澤恵、佐藤耕士、高見浩 発行:ハヤカワ文庫HM 1994.1.31 初版 価格:\720(本体\699)  スカダー・ファン必読の短編集。というのはスカダーの短編が三篇も収められているからだ。いずれもいろいろな時代のスカダーといったところで、『聖なる酒場の挽歌』を想起させる表題作から、酒をやめた後のスカダーまで短編なりにまとまっているものの興味深いところ。短編でもマットはやはり...
  • クラシックな殺し屋たち
    クラシックな殺し屋たち 題名:クラシックな殺し屋たち 原題:THE BACKUP MEN (1971) 作者:ROSS THOMAS 訳者:筒井正明 発行:立風ミステリー 1976.2.5 初版 価格:\800  デビュー作『冷戦交換ゲーム』と最新邦訳『黄昏にマックの店で』の間の20年間におよぶマックの店の、これはまだ初期の頃の波乱万丈ストーリー。現在立風の扱うロス・トーマス作品はすべて絶版になっているから、こうして誰かから借りたり古本屋で運よくめぐり合えない限り、本書を手にすることはできない。ロス・トーマスのファンにすれば、そんな不合理な話がこの世に存在するのかと思いたくもなるのだが、こればかりはどうしようもない。とにかくこれを読むことができたのはまことにありがたい話。五条君、いつもながらに感謝してます。  さてマックの店シリーズと言うと同作家の作品の中でも...
  • 悪い弁護士は死んだ
    悪い弁護士は死んだ 題名:悪い弁護士は死んだ 上/下 原題:Den Sanna Historien Om Pinocchios Näsa (2013) 著者:レイフ・GW・ペーション Leif GW Persson 訳者:久山葉子 発行:創元推理文庫 2022.3.11 初版 価格:各¥1,100  この作家を読み始めたきっかけは『許されざる者』だったが、その作品はヨハンソンという警察長官のシリーズ主人公であり、しかもシリーズ最終作だった。物凄くシリアスで読み応えのある感動作だったのでかなり気になる作家となって記憶に刻まれた。  同じ作家の別シリーズである本書ベックストレーム警部シリーズが今や、次々と翻訳されているので、期待して読んでいるのだが、このシリーズは、実はユーモア・ミステリー。誰が見てもアンチヒーローな助平ジジイイなベックストレーム警...
  • ラスト・ドリーム
    ラスト・ドリーム ラストドリーム 題名:ラスト・ドリーム 作者:志水辰夫 発行:毎日新聞社 2004.09.30 初版 価格:\1,700  志水辰夫は自分に制限をかけなくなったな、と本書を読んでつくづく思った。その分だけ書きたいという方向性が主体的にになった。読者におもねるのではなく、自分が小説を書くことで創り出しつつ、思念を紡いでゆく方向。面白い小説を書く作家から、最近では花村萬月に近いわがままさが出てきた。これを歓迎すべきか否かは、読者次第だということだろう。  本書からは、新聞小説ならではのゆったり感もあるだろうがそればかりではなく、作者の側でのリズム、つまり思念の空気のようなものを嗅ぎ取ることができる。無理に形に収めようというのではなく、ある程度自由な時間の流れを人の通常の思念のように行き来し、全体像は終わったときに見えてくるという形である...
  • コフィン・ダンサー
    コフィン・ダンサー コフィン・ダンサー コフィン・ダンサー 上 (文春文庫) コフィン・ダンサー 下 (文春文庫) 題名:コフィン・ダンサー 原題:The Coffin Dancer (1998) 作者:Jeffrey Deaver 訳者:池田真紀子 発行:文藝春秋 2000.10.10 初版 価格:\1,857  今やジェットコースター・ストーリーの名書き手となったディーヴァー。だが、さすがに『ボーン・コレクター』に初めてお目にかかった当時と同じ興奮というのは、ぼくの側が少しだけ覚めてしまっているために、味わい切ることができない。あのときの感覚を蘇らせることはやはり同じようにはできない。  それでも、腐ってもリンカーン・ライム。犯人との知略を尽くす対決シーンとぎりぎりの救出劇などは毎度毎度のスリル&サスペンスである。一作目から比べても、ぼく...
  • ローレンス・ブロック
    ローレンス・ブロック Lawrence Block マット・スカダー・シリーズ 過去からの弔鐘 1976 田口俊樹 冬を怖れた女 1976 田口俊樹 一ドル銀貨の遺言 1977 田口俊樹 暗闇にひと突き 1981 田口俊樹 八百万の死にざま 1982 田口俊樹 聖なる酒場の挽歌 1986 田口俊樹 慈悲深い死 1989 田口俊樹 墓場への切符 1990 田口俊樹 倒錯の舞踏 1991 田口俊樹 獣たちの墓 1992 田口俊樹 死者との誓い 1993 田口俊樹 死者の長い列 1994 田口俊樹 処刑宣告 1996 田口俊樹 皆殺し 1998 田口俊樹 死への祈り 2001 田口俊樹 すべては死にゆく 2006 田口俊樹 償いの報酬 2011 田口俊樹 石を放つとき 2018 田口俊樹 泥棒バーニー・シリーズ 泥棒は選べない 1977 田口俊樹 泥棒はクロゼットの中 1978...
  • 祖国よ友よ
    祖国よ友よ 祖国よ友よ (角川文庫) (↑アマゾンで購入) 題名:祖国よ友よ 作者:船戸与一 発行:徳間文庫 1986.5.25 初版 価格:\500  中短編集。例によってすべてが過激な作品群。短編集では『銃撃の宴』が北アメリカ、『カルナヴァル戦記』が南米と舞台を纏めるている作品集が目立ったが、本書はヨーロッパ各地が舞台になっている。中編が2作あるが船戸作品は中編と言えども一気に読ませるものばかりなので、短編のようにしか感じなかったことを付け加えておこう。  中編『祖国よ友よ(レジオ・パトリア・ノストラ)』は興味深い作品。主人公が何と名こそ明かされていないが『蛮賊ども』の傭兵の一人、佐伯夏彦なのである。『蛮賊ども』の中で語られる彼のエピソードをそのまま中編化した作品である。(どちらが早く書かれたのか、ちょっとわからないが)本書ではこれがやはり一...
  • ノー・セカンドチャンス
    唇を閉ざせ 題名:唇を閉ざせ 原題:Tell No One (2001) 著者:ハーラン・コーベン Harlan Coben 訳者:佐藤耕士 発行:講談社文庫 2002.10.15 初版 価格:上下各¥990 コーベンのノン・シリーズ翻訳作品第一作は、軽ハードボイルド・タッチのマイロン・ボライター・シリーズとは趣きを変えた、重厚なノンストップ・バイオレンス・スリラー。  山と湖の自然とギャングの横行するストリートのどちらもが舞台となる、ニューヨークの隣町ニュージャージーは、作者の生まれ育った土地らしく、生き生きと活写されている。人も街も生命感たっぷりで、お洒落だったり猥雑だったりの変化に富んでいる辺りは物語を豊かにしているように思われる。  本書は8年前の殺人事件で犠牲なっていたはずの愛妻が、主人公である小児科医師の周辺に現れるという奇妙...
  • テロリストの誓約
    テロリストの誓約 テロリストの誓約〈上〉 (Hayakawa Novels) テロリストの誓約〈下〉 (Hayakawa Novels) 題名:テロリストの誓約 (上・下) 原題:THE COVENANT OF THE FLAME (1991) 作者:DAVID MORRELL 訳者:山本光伸 発行:早川書房 1993.5.31 初版 価格:各\1,600 (本体各\1,553)  宗教的秘密結社とでもいうのだろうか? カトリックの弾圧を受けて世界の影の部分に潜んでしまった謎に満ちたそういう秘密結社が、環境破壊に絡んだ人物を次々に世界各地で暗殺し始め、 主人公は環境保護運動 + 結社の一員との偶然の出会いによって運命的に取り込まれて行くという、まあ一見荒唐無稽の波乱万丈ストーリーである。なんだかラドラムみたいじゃねえか、とお思いの方には、まあそういう種類の...
  • キス
    キス [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type...
  • 唇を閉ざせ
    唇を閉ざせ 題名:唇を閉ざせ 上/下 原題:Tell No One (2001) 著者:ハーラン・コーベン Harlan Coben 訳者:加藤耕士 発行:講談社文庫 2002.10.15 初版 価格:各¥990  コーベンのノン・シリーズ翻訳作品第一作は、軽ハードボイルド・タッチのマイロン・ボライター・シリーズとは趣きを変えた、重厚なノンストップ・バイオレンス・スリラー。  山と湖の自然とギャングの横行するストリートのどちらもが舞台となる、ニューヨークの隣町ニュージャージーは、作者の生まれ育った土地らしく、生き生きと活写されている。人も街も生命感たっぷりで、お洒落だったり猥雑だったりの変化に富んでいる辺りは物語を豊かにしているように思われる。  本書は8年前の殺人事件で犠牲なっていたはずの愛妻が、主人公である小児科医師の周辺に現れるとい...
  • さまよえる脳髄
    さまよえる脳髄 さまよえる脳髄 (集英社文庫) 題名:さまよえる脳髄 著者:逢坂 剛 発行:新潮社 1988.10 初版  あまりの面白さに300ページを一気に一晩で読んでしまった本である。読み始めたら止まらなくなる本というのはあるけれど、これがそのひとつであることは間違いない。  逢坂心理サスペンスの極地でもある。精神心理学的見地から、また脳外科分野からサスペンス・ストーリーを構築するする腕では、国内では文句なしに最高峰の作家であろう。『百舌』シリーズでは記憶喪失やロボトミーなどが駆使されたが、本書では二重人格がモチーフとなっている。それも並大抵の二重人格ではない。  「右脳と左脳の連絡橋の役割を果たしている脳稜断裂」による右半身左半身の分裂やら、幼児的トラウマから虹や色彩に反応して起こる殺人。フェティシズムから発展する殺人。さまざまな狂気が...
  • サ行作家
    サ行作家 マイケル・サイモン トーマス・サヴェージ コートニー・サマーズ ジェイムズ・サリス ベン・サンダース ジョン・サンドフォード フェルディナント・フォン・シーラッハ グラント・ジャーキンス ホリー・ジャクソン ハロルド・ジャフィ レイ・シャノン セバスチアン・ジャプリゾ マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー ベルンハルト・シュリンク マイケル・シェイボン ジョゼ・ジョバンニ マウリツィオ・デ・ジョバンニ ジェイソン・スター リチャード・スターク ドメニック・スタンズベリー マリア・V・スナイダー ウィルバー・スミス シェイマス・スミス スコット・スミス ミッチェル・スミス トム・ロブ・スミス メアリ=アン・T・スミス カリン・スローター セーアン・スヴァイストロプ ボー・スヴェーンストレム ピーター・スワンソン アレクサンデル・セーデルベリ レイ・セレスティン
  • ブラッククロス
    ブラッククロス 題名:ブラッククロス 原題:Black Cross (1995) 作者:Greg Iles 訳者:中津悠 発行:講談社文庫 1998.1.15 初版 価格:各\838  『神の狩人』に魅惑され、ぼくは当然『このミス』投票でも1位をさしあげたアイルズであるが、この作品は本格冒険小説と聞いて当初面食らっていたのである。確かにトマス・ハリスは『羊たちの沈黙』を書くより遥か前に『ブラック・サンデー』を書いている。でも多くの作家にそんなことはできない。ほとんどの作家にトマス・ハリスの真似ごとなどできはしない。だからトマス・ハリスは10年(もっとだけど)に3作でも許されるのだ。そう思っていた。しかしアイルズは7年で4作目が刊行される。しかもこれまでの3作はすべてがハイグレードなのである。やはりこの作家は天才。  『ブラッククロス』みたいに面白...
  • まだ見ぬ敵はそこにいる
    まだ見ぬ敵はそこにいる 題名:まだ見ぬ敵はそこにいる 原題:Hidden In Plain Sight (2020) 著者:ジェフリー・アーチャー Jeffrey Archer 訳者:戸田裕之 発行:ハーパーBOOKS 2021.12.17 初版 価格:¥1,060  発売前、構成前のプルーフ本を、例によって先読みさせて頂いた。  ぼくはジェフリー・アーチャーの模範的な読者ではないし、シリーズ作品をいきなりこの第二作から読み始めたことによる当惑を感じないではなかったが、キャラクター描写にとても時間をかけている作者なので、それぞれの個性は第二作からでも十二分に味わえる。否、むしろ第一作も、さらに第三作、第四作と続く本シリーズをすべて読みたいという誘惑の方が激しいかもしれない。  さて、本作のメイン・ストーリーは、主人公ウィリアム・ウォーウィック...
  • カ行作家
    カ行作家 フィリップ・カー フィリップ・カーター サイモン・カーニック ドナート・カッリージ モンス・カッレントフト シーナ・カマル エリック・ガルシア デイ・キーン ヴィクター・ギシュラー バリー・ギフォード カート・キャノン ローリー・R・キング A・J・クィネル ケイト・クイン デイヴィッド・グーディス ダニヤ・クカフカ クリストファー・クック トマス・H・クック ジュリー・クラーク マイクル・クライトン ブレイク・クラウチ ジェイムズ・クラムリー ベン・クリード ジャン=クリストフ・グランジェ キミ・カニンガム・グラント ジョン・グリシャム アゴタ・クリストフ ウィリアム・ケント・クルーガー デイヴィッド・クレイ ロバート・クレイス マシュー・クワーク アリソン・ゲイリン ポール・ケイン ジャック・ケッチャム ダグラス・ケネディ ラーシュ・ケプレル ジョー・ゴアズ マイクル・コナ...
  • 悪の猿
    悪の猿 題名:悪の猿 原題:The Fourth Monkey (2017) 著者:J・D・バーカー J.D.Barker 訳者:冨永和子 発行:ハーパーBOOKS 2018.08.20 初版 価格:¥1,046  そもそもが幽霊のルポなどもやっていた文字通りの「ゴースト・ライター」だった。魔女の小説を書いてブラム・ストーカー賞候補になったことでデビューした新進作家の作品である。デビュー二作目にして、怪談話ではなく、サイコ&バイオレンスな警察小説を描いた本書は、圧倒的な物語構築力がアメリカン・スリラー界の注目を集めたということである。  帯にはジェフリー・ディーヴァー、ジェイムズ・パタースン、ジャック・ケッチャムなどのスリラー系作家による賛辞が並ぶ。いわゆる鳴り物入りの作品ということである。  当時からの興奮覚めやらぬ読者の期待を一身に背負っ...
  • バースデイ
    バースデイ 題名 バースデイ 著者 鈴木光司 発行 角川書店 1999.2.5 初版 1999.2.20 4刷 価格 \1,400  『リング』三部作のエピソードでまとめられた中短編集。もちろんサイド・ストーリーに近い話だけなので、味わいは、本編に比べるとずっと薄い。中編の『レモンハート』は映画化されたばかりだけど、『リング』人気にあやかっているとは言え、恐怖の 濃度はずっと薄味だろう。  だけど『リング』三部作の読者にとっては、これらの物語はどれも興味深いものばかりだ。貞子の劇団時代の恋愛や、高野舞の屋上での体験の真相、そして杉浦礼子の後日談。どれを取っても『リング』読者には垂涎もの。  なぜこんなエピソードにまで惹かれるかと言うと、それは『リング』が世界を構築するのに成功している小説だからだと思う。その世界への興味が...
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