ゼロの奇妙な使い魔 まとめ内検索 / 「味も見ておく使い魔」で検索した結果

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  • 味も見ておく使い魔-2
    味も見ておく使い魔-2 「おい、起きろ」 ベロ変態のほうの使い魔に起こされる。 「うぅん…もうちょっと寝かせて…」 「隣の部屋からきた赤い髪のメイジはもう食堂に言ったぞ」 その言葉に意識が突然ハッキリし、ガバッと身を起こす。 「キュルケにあったの?何話したのよ!答えなさい!」 「いや、ただの雑談だ。それと『平民を召喚した君』をからかいにこの部屋に来たようだから、丁重にお引取りいただいた」 「あら、そう」 「ところで、部屋にできた穴は一応ふさいでおいたが、あくまで応急処置だからな。 すぐに誰かに頼んで本格的に修理してもらったほうがいいだろう」 辺りを見回す。壁に穴が開いていないし、バラバラにしたはずの家具もある程度元通りになっている。 床もきれいに掃き清められているようだ。 案外根はいい人なのかもしれない。 「ところで、ロハンはどこにいるの?」 「夜が明ける...
  • 味も見ておく使い魔-幕間
    味も見ておく使い魔-幕間 本来、天井があるべきところに満点の星空が輝いている。 こんなことをしでかした張本人は泣きつかれたのか、 すでに自分のベッドの中で寝息を立てている。 ブチャラティはルイズに布団をかけてやりながら、一緒に召喚された男をみた。 月明かりの元、何かを一心に描いている。 「何をしているんだ?」 「僕は漫画家なんでね。今原稿を描いている」 「元の世界に返れないかもしれないのに?」 そういえばナランチャがジャポーネ・マンガを集めていたな。 たしか、『ピンクダークの少年』だったか? 「僕は人に自分のマンガを読んで楽しんでもらうことが僕の生きがいであり、 人生の目標でもある。 だから、ここでも、あちらでも読んでくれるひとがいる限りまったく問題ない。 むしろ絶好の取材のネタをつかんだことがうれしいね」 「そうか…」 「オレはブローノ・ブチャラティ。...
  • 味も見ておく使い魔-3
    味も見ておく使い魔-3 ルイズは顔のデッサンを狂わせた露伴を連れて大学の講義室のような部屋に向かった。 次の魔法の授業はそこで行われるのだ。 ルイズと露伴が中にはいって行くと、先に教室にいた生徒たちが一斉に振り向いた。 そして露伴の顔を見て唖然とする。 その中にブチャラティもいた。周りを女子が取り囲んでいる。キュルケもいた。 皆、目から『恋する乙女ビーム』をブチャラティに発射している。 (さすがブチャラティ!普通の平民にできないことを平然とやってのける!) (そこにシビれる!あこがれるゥ!) 「む、すまないがみんな。ルイズがきた。オレは彼女のところに行かなくちゃあならない」 「あ、あんたなに…」 ルイズの発言は別の男子生徒の絶叫で打ち切られた。 「たかが平民のくせして!僕のモンモランシーに手を出すな!」 「ギーシュ、おまえモンモランシーと付き合っていたのか?」...
  • 味も見ておく使い魔-1
    味も見ておく使い魔-1 「今度失敗したら明日にしましょう。あなたならいつかきっとできますよ。」 黒いローブをまとった男性が、ため息をしながら同情を寄せるように話しかけてくる。 「いえ、コルベール先生、今度こそ成功させて見せます。」 そういいながら、私は泣きそうになるのをやっとの思いでこらえていた。 穴ぼこだらけの地面にひとり立ち、爆発を恐れて遠巻きに見守るメイジたちをたっぷりとにらみつけてから、 今日何度やったかわからない『サモン・サーヴァント』の魔法を唱え始める。 「来なさい! というか来てください私の使い魔!」 ひときわ大きい爆発が学園の敷地を揺らした。 20メルテにも達したであろう土ぼこりの中に、人影が二つ、見える。 一人は頭にギザギザのバンダナみたいなものを巻いている男で、こっちを見ている。 もう一人のおかっぱ頭は寝ている。気絶しているのだろうか? そ...
  • 味も見ておく使い魔-10
    ... 第1章 『味も見ておく使い魔』    FINE...
  • 味も見ておく使い魔-4
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  • 味も見ておく使い魔-26
    ...る。 味も見ておく使い魔 第二章『戦争潮流』fine...
  • 味も見ておく使い魔-7
    翌朝、トリステイン魔法学院は騒然としていた。 学院長室に、『破壊の杖領収いたしました』と書かれたメモ書きが発見されたのだ。 オスマン氏は急いで『宝物庫』を開けると、『破壊の杖』はものの見事に消えうせていた。 「ミセス・シュヴルーズ!当直はあなたなのではないですか!」 「そうは言ったって!あなた達だってまともにしてないでしょう!?」 責任のなすりあいをしている教師達を尻目に、オスマン氏は考えていた。 (フーケはどういった方法で侵入したんじゃろうか?) そのとき、ミス・ロングビルが現れた。 「ミス・ロングビル!どこに行っていたんですか!大事件ですよ!」 ミセス・シュヴルーズが食って掛かる。明らかに責任転嫁する気マンマンである。 「申し訳ありません。そのことで調査してまいりました」 「なんですと!」 ミスタ・ギトーが応じる。 しかし、ミス・...
  • 味も見ておく使い魔-9
    「まさかミス・ロングビルが犯人じゃったとはのう」 集まった人全員の『死ねば?つーかくたばれ』光線を浴びながらも、オールドオスマンは鷹揚に笑っていた。 聞けば、酒場で尻を触っても起こらなかったから雇ったという。 「まあ、何はともあれ、皆ご苦労じゃった」 「ミス・ヴァリエールの使い魔の罪は今後問わんことにしよう」 「ありがとうございます。オールドオスマン」 ブチャラティのみお礼を言う。大先生?鼻歌を歌ってるね… 「それに、ミス・ヴァリエールとミス・ツェルプストーの二人については『シュバリエ』の爵位申請を宮廷に出しておいた。 ミス・タバサはすでに『シュバリエ』の爵位を持っているから、精霊勲章の授与を申請しておいた。」 ルイズとキュルケの顔が喜んだり驚いたりで忙しい。 「ありがとうございます!」 「タバサ!アンタ本当なの?」 「今日は『フリッグ...
  • 味も見ておく使い魔-6
    「さすがに『アン・ロック』程度の魔法では開かないわね」 メガネをはずした、ミス・ロングビルは嘆息した。 実は彼女、巷では「『土くれ』のフーケ」と呼ばれている、メイジの盗賊であった。 この学院に保管されている、あるマジックアイテムを手に入れる為、 ミス・ロングビルという偽名を使ってこの学院に潜入していたのである。 そして、その『目標の物』は、ここ、宝物庫に保管されている。 「ッ!」 真夜中にもかかわらず足音がする。近づいてくるようだ。 フーケは、とりあえず20メイル先の胸像の影に身を潜めた。 コッコッコッコッコッコッコッコッコッコッコッコッ… 通路中に響く足音とともに現れたのは… 「……」 岸辺露伴であった。 「どうだ?『デルフリンガー』の具合は?」 屋外では巨大な二つの月が天を彩っている頃、 ブチャラティは、すでに待ち合わせ場所にいた露伴に...
  • 味も見ておく使い魔-5
    本日、学院の講義は無い。休日である。 タバサは自分の部屋にいた。 虚無の曜日に、『サイレント』の魔法をかけた自室で読書にふける。 一人で自分の世界に浸るのが彼女の最大の楽しみであった。 だが、本日のそれは突然の侵入者によって破られることになった。 先程からキュルケがタバサの目の前で何かを話しかけている。 大げさな身振り手振りも交えている。 『サイレント』の魔法により、何も聞こえることは無いが、 よほど何か重大なことを伝えたいのだろう。 3分ほど彼女の奇妙なダンスを満喫した後、『サイレント』の魔法を解除する。 とたんに騒がしくなった。 「だからね!私のダーリンがルイズと一緒にどこかに行っちゃったの!」 「虚無の曜日」 そう答えて、迷惑だといういことを表現する。 「私ダーリンに恋しちゃったの!それなのにあのヴァリエールなんかと一緒に馬に乗って行っち...
  • 味も見ておく使い魔-15
    「散々、とはいかないまでも、あまり良い出来ではなかったね」 ため息をつきながら、桃色の少女がけだるげに二人の男に話しかけていた。 ここはトリステイン学院の女子寮。ルイズの部屋である。 時刻はすでに夜半を過ぎている。このとき、ルイズとその使い魔たちは先ほど行われた『使い魔の品評会』の反省会をしていた。 結果から言おう。ルイズの品評会はあまり好評を得られなかった。 結局、ルイズたちの演目は、ブチャラティが舞台会場に出て、挨拶をするという、至極単純なものであった。 そのときブチャラティはトランプを使った簡単な手品を披露したが、はっきり言って地味であった。 しかも、その次に出演した使い魔がタバサの巨大な風竜であった から、会場の雰囲気は完全にタバサとられてしまった。ちなみに、今回の品評会の優勝はタバサとその使い魔、シルフィードであった。 「でもいろいろな幻獣が見れた僕...
  • 味も見ておく使い魔 第五章
    トリスタニアの街から離れた、ある森の一角に王立魔法研究所の第二研究塔はあった。 敷地は高い塀で囲まれていて、外からはおり中を見ることはできないようになっており、草原になっている広場の広さは、魔法球技『クィディッチ』ができるほどある。 その敷地内にて、ルイズの姉であるエレオノールはとある実験を行っていた。 研究員らしい白衣を着た、ややぽっちゃりとした体形の女性が、同じ格好のエレオノールに間延びした声を投げかける。 「エレオノール様ぁ。準備できましたよぉ~」 「いいわ、でも『そろそろ』ね。作業員に安全確保を徹底なさい」 エレオノールは考え事をしながら、彼女の近くにすえつけられている大砲を見ていた。 「はぁ~い。ではぁ、ごじゅうさんぱつめ、いきますぅ~」 あの助手有能なんだけども、やや間が抜けてるのよね。 あのピンクの髪が、どことなくカトレアを連想させるし。 そう思っているエ...
  • 味も見ておく使い魔-8
    小屋の外から叫び声がする。ルイズたちの声だ。 小屋の窓越しに全長30メイルにも達しようとするゴーレムの姿が見えた。 「何だとッ?!」 「僕はミス・ロングビルが『杖を振る』のを確認してないぞ?」 「フーケはロングビルじゃなかったのか?」 「と、とにかく『破壊の杖』はこれです! 早く脱出しましょう!」 ミス・ロングビルはそういいながら『M72ロケットランチャー』を手に取り、外に出て行ってしまった。 「あ、ああ!」 「そうしよう!」 出て来たとたん、土のゴーレムは三人を執拗に攻撃しだす。 「ロハン!皆を連れて学院に逃げろ! こいつは俺が足止めする!」 「分かった!行くぞ!ロングビル! この状況じゃどこにフーケがいるか分からん!」 「は、はい!」 (さっき『薪に似せた杖』を投げるフリをして振った… まだ、『私がフーケである事実』はまだ...
  • 味も見ておく使い魔 第七章
     後年に『アルビオン戦役』と呼ばれることになる戦争は、こうして突如として終了した。トリステイン側の勝利である。神聖アルビオン帝国は滅亡する運びとなった。  だが、トリステインにとってこの勝利はとても苦いものとなっていた。実質ガリアの突然の介入がなければ、自分が敗北していたかもしれないのだ。  そのような流れから、旧アルビオン領の支配権をめぐる国際会議に、トリステインとゲルマニアに加え、本来同盟国ではないガリアが列席したのは当然といえた。  ハルケギニアの歴史上、この会議は難航する、と思われた。かつて第一回聖帝会議の折、サー・グレシュフルコに『会議は踊る』と酷評されたように、この三国が集う会議は決まって、内容が傍論にそれるのが通例となっていたからだ。  だが、予想外なことに、ガリアが折れた。  みな欲深い要求をしてくると予想していたが、当の『無能王』ジョゼフは、 「会議よりも今日...
  • 味も見ておく使い魔-14
    トリステイン魔法学院へと続く道を、ユニコーンが牽引する壮麗な馬車が通り抜けていた。 その馬車には、黄金とプラチナによって王家の紋章が麗々しく飾り付けられている。 トリステイン王女、アンリエッタの乗る馬車である。 馬車には薄手のレースのカーテンがかけられているため、中の様子は全く垣間見ることはできなかったが、街道に詰め掛けた平民の野次馬には、そのようなことは関係ない様子で、熱狂的に王女の名を呼びかけていた。 「アンリエッタ王女万歳! トリステインに栄光あれ!」 街道の端に並んだ群衆から馬車を引き離すかの様に、漆黒のマントを羽織ったメイジたちが周囲を警護していた。 名門貴族の子弟にのみ入隊を許された王室直属の近衛、魔法衛士隊の隊員であった。 彼らこそ、トリステイン王国屈指の花形、トリステインの魔法の正当な歴史を受け継ぐメイジ達であった。 アンリエッタは馬車の中で深いた...
  • 味も見ておく使い魔-20
    キュルケに部屋の交換を断られたワルドとルイズ、彼女の使い魔は番頭の親父に、四人部屋に案内された。 「かなり広いな。このの感じだと、日本の東京ならスウィートクラスといっても通るな」 そう発言したのは露伴である。彼の言うとおり、案内された部屋はかなり広い。 また、壁紙はベージュの地に、茶色の縦線が趣味のよい間隔で描かれていたものだ。 なるほど、四人部屋といっても、貴族のために作られたホテルであるらしい。 部屋の中央に、ルイズの部屋にあるものよりふた周りほど大きい、四角い机がおかれている。 「いや、この広さならイタリアのホテルでもそんなにないと思うぞ」 「もっと狭いかと思ったけど。この程度ならあまり不満はないわね。ちょっとは安心したわ」 部屋の入り口から入って右側に、シングルベッドが四つまとめて配置されていた。 二つずつ縦に、互いに頭が向き合うように配置されている。 ま...
  • 味も見ておく使い魔-17
    「ところで、いつ出発する?」 ブチャラティが気絶したアンリエッタをルイズの寝床に運びながら一同に質問した。 彼は王女の背面から腕を回して胴を掴むと同時に、膝の下に差し入れた腕で足を支えている。 俗に言うお姫様抱っこだね。 「本当なら今すぐにでも出発したいところだけど、姫様をこのままにしておくわけにもいかないし……」 ルイズはしばらく考えた後、二人に答えた。 「あなた達にも何かと準備があるでしょう? 出発は明日早朝にしましょう。姫様がおきるまで私が気をつけておくわ。あなたたちは自分たちの用意をしておいて。  朝、日の出の時間に正門前に集合ね」 「わかった」 「ルイズ、君も今日は早めに休むんだぞ」 「ええ、あなたたちもね」 ルイズの部屋を出た直後、露伴が口を開いた。 「ブチャラティ、今日はここで分かれよう。...
  • 味も見ておく使い魔-13
    トリステイン魔法学院。 中央塔の大講堂にて… 「ブチャラティさんは、ここの授業が面白いんですか?」 ギーシュが眠そうに、座っている男に向かって立ち話をしていた。 午後一番の授業のため、頭より腹に血が回っているのだろう。 「いや、なんと言うか、興味深い。俺自身は、あちらでは小学校までしか行ってないからな」 「ブチャラティは小卒だったのか。なんだか意外だな」 ブチャラティと岸辺露伴が教室の最後尾にある椅子に座っている。 彼らのために用意された椅子の前には、他の学生たちと同じように、机があった。 「それで、今日は何の講義なんだ?」 一段前に座っていたルイズが振り返り、その質問に応じた。 「今回はミスタ・ギトーの『魔法の系統基礎』よ」 「そういえば、ルイズ。君はゼロ(虚無)の系統だったな」 「はいはい……」 ルイズがうわべは気にもしない様子で応じる。私もこのロハンの応対...
  • 味も見ておく使い魔-16
    ようやくアンリエッタの抱擁から解放されたルイズは、ふとアンリエッタの口からため息が漏れたのを聞き漏らさなかった。 「わたくしはあなたがうらやましいわ、ルイズ。とっても自由そうで」 「そんな! 私は魔法も使いこなせないおちこぼれですわ! ……それに使い魔は平民ですし」 「それなら、わたくしの使い魔も似たようなものですわ。わたくしの使い魔は亜人ですもの」 「亜人は立派な使い魔ではございませんか!」 そう反論したルイズは、アンリエッタの表情に、かすかな影が差しているのを感じ取っていた。 「姫様? 何か悩み事があるのですか? 私でよければ相談に乗ることぐらいできますわ」 「実は、わたくし。ゲルマニアの皇帝に嫁ぐことになりましたの……」 「そんな、あのような野蛮人共の国に!」 「ですが、アルビオン国の情勢を考えると、この結婚はトリステインの御国のためになるのですわ。  こ...
  • 味も見ておく使い魔-22
    時間的には少しばかりさかのぼることになるが…… トリステインの領土に、太陽の恩恵が下されるまであと寸刻の猶予がある時。 ラ・ロシェールを走る街道に三人の歩く人影があった。 「いったいどこまで私達を連れて行くつもり? それに埠頭は逆よ?」 キュルケがうんざりした様子で、前を歩くルイズに話しかけた。 タバサも同意する。 三人はラ・ロシェールの町を離れ、山道を下っていた。 ラ・ロシェールの埠頭からは遠く離れている。 「信用しなさいよ~。私、あなた達は『仲間』だと思っているのよ?」 「今から任務の『秘密』を喋ろうとしている私を疑おうなんて、可笑しいんじゃないの?」 微笑みながら返事をし、それでも歩きをやめないルイズを見ながら、『それもそうか』とキュルケは思った。 おそらく今回、ルイズは、アンリエッタ王女の頼みで行動しているのだろう。 ならばこの旅は国家的な規模の陰謀に...
  • 味も見ておく使い魔-12
    「そんなわけで制服はシエスタというメイドが受けとりに行ってくれている」 ブチャラティがルイズの部屋で、主人に報告をしていた。 彼女は不満そうだ。リスがどんぐりをほうばるように、両頬に空気を溜め込んでいる。 「あんたたちっていつもそう。勝手に自分たちで決めちゃって。私のことなんか全然考えていないんだわ」 部屋を移す時だってそう。いつもいつも事後報告。  ブチャラティはあせって弁明を始めていた。 さすがにあの店に一人ではいるのは抵抗があるんだよ。と。 そういえば、ブチャラティは服を注文するとき、店長の人に『パンティーあげちゃうッ!』 と、妙なナンパをされていたっけ。  ルイズは笑いをこらえながら彼を許そうと思ったが、次の言葉がそれを取り消した。 「それに君が幼いとはいえ、男女が一緒の部屋に寝泊りするのはまずい」 「幼いって失礼ね!私は十六歳よ!」 ブチャラティは驚愕した...
  • 味も見ておく使い魔-11
    「ロハンの奴、遅いな……」 フリッグの舞踏会の翌日。ブチャラティはルイズの部屋も前で、岸辺露伴を待ち合わせしていた。 昨日の夜から二人はルイズの部屋では寝ていない。 ルイズが寝た後、二人は部屋の前で解散し、それぞれの部屋に向かう。 そして翌日、ルイズが起きる前に部屋の前に集合し、ルイズを起こすことになっていた。 現在、ブチャラティは男子寮の、ギーシュ隣の部屋に住んでいる。 ほとんど寝泊りするだけなのだが、現代人が安眠できるような寝室の設備を整えられていた。 すべて、グラモン家の者により手配されたものだ。 「遅くなったな。おはよう、ブチャラティ」 露伴がけだるげに歩きながら話しかけてきた。 一方露伴は、コルベールの部屋に隣接する、教員用の部屋を与えられていた。 そこの部屋を仕事場として使用している。デルフリンガーはこの部屋に置きっぱなしだ。 「おはようロハン。だがこの...
  • 味も見ておく使い魔-21
    次の日、ルイズとその一行は、日の出三十分前に宿屋のカウンターでチェックアウトをしていた。 この間も、ブチャラティは外の様子を油断なく観察している。 日の出よりも前なので、あたりはあまり明るくないが、宿屋の外を走る街道には人っ子一人いない事くらいはブチャラティの肉眼でも確認できた。 また朝も早いこともあり、宿屋の受付付近にはルイズたちと番頭しかいない。 「そういえば、キュルケたちはどこにいるのかしら? てっきり私達に付きまとうと思ったのに」 宿の手続きをしているルイズが、番頭にキュルケたちのことを聞いてみた。 番頭が言うには、昨晩一番良い部屋に泊まった二人組は、ルイズたちよりも早くに宿をでていったらしい。 「で、その二人はどこに行ったの?」 「さ、さあ。そこまでは……私どもにはわかりかねます」 番頭は恐縮した様子で頭を下げた。この男は、どうやらメイジという...
  • 味も見ておく使い魔-25
    ルイズたちがニューカッスル城に到着した日の、太陽が落ちた後…… 生き残った、王党派の主要な面々は、全員城の謁見の間に集合していた。 戦時にもかかわらず、その大きな部屋には、テーブルの上に豪華な肉料理が並べられている。 野菜料理はどこにも見当たらなかったが、それにしてもテーブルからはみ出るほどの肉の量だ。 どう見てもこの間にいる人数で食べきれる量ではない。 「まさに、在庫一斉処分。食物の総出撃でありますな!」 壮年の男性が、豪快にルイズに話しかけていた。 このような状況でも、みな清潔に折り目をつけた軍服を着ていた。 どうやらこのような事態のために、特別に保管していた服であるらしかった。 彼らにとっても、この宴は意味のあるものなのだ。もしかしたら、これが最後の楽しみになるかもしれないのだから…… そう考えたルイズは悲しくなった。 だから、話しかけられた貴族に対しては適当に...
  • 味も見ておく使い魔-24
     そのとき、埠頭を眺めていたルイズは、この場では信じられない声を耳にした。 「あら、遅かったわね。あら? っていうか、あなたたちいつの間にウェールズ公にあったの?」 埠頭には、何故かキュルケとタバサがいた。 「あ、あんたたち! なんでこんなとこに! っていうか、いつの間に!」 「私たちはラ・ロシェールからまっすぐ直行したせいか、貴族派の方々には何度か捕まったけど、『私達はゲルマニアの特使で、王党派に国交断絶を伝えに行く』と騙ったら、ご丁寧にも『レキシントン』とか言う船でここまで送ってくれたわよ。なぜかしつこく持ち物を検査されたけど」 驚くルイズを横に、見るからに年老いたメイジが、着岸したばかりの『イーグル』号に乗り付けてきた。 「お帰りなさいませ陛下。今回は大漁のようですな」 そのような出迎えを、ウェールズは不可解そうな表情で受けた。 「パリー、僕は『殿下』だ...
  • 味も見ておく使い魔-18
    「まったく、死ぬかと思ったよ。僕のルイズ」 ルイズの魔法で盛大に吹っ飛ばされた男は、ルイズの懸命の治療の甲斐もあってか、しばらくすると意識を取り戻し、自分のことをワルドと名乗った。 それにしてもこの男、爆発する前はずいぶんと男前だったのだろう。今は無残だが。 彼の周りを包む空気が、自分の容姿や実力に自信を持っている人間特有の得意げな気を発している。 彼は現在の自分の状態をあまり気にせず、というかわざと無視して、ルイズに親しげに話しかけた。 「ああ、僕のルイズ。今日も元気そうだね。それにとても美しいよ」 ルイズは彼の声を聞いて驚いた。彼女の幼いころの記憶が甦る。 ルイズの実家によく遊びに来ていた、隣の家の青年。ルイズの懐かしい記憶。 庭のあずまやで、母親にしかられて一人泣いていたルイズをやさしく慰めてくれた。 あの頃、ルイズのことを『ゼロ』といわなかったのは彼だけだっ...
  • 味も見ておく使い魔-19
    夜も遅くの時刻。 ラ・ロシェールについたルイズ達は、早速、船の発着する埠頭に向かっていった。 「おい、露伴。どー見ても山岳地帯なんだが。  本当にこんなところに港があるのか?」 ブチャラティが不審そうに口を開いた。それはそうだろう。彼の世界では、船といえば水面を走るもの、と決まっているのだ。 「大丈夫だブチャラティ。僕達が乗るのは、船は船でも『飛行船』さ」 露伴が隣で即座に返事をした。彼は楽しそうな表情をしている。 「ロハンよぉ。なんだかうれしそうじゃぁねーか」 「ああ、今まで飛行船に関しては学院の文献出しか見ることができなかったからな。  実際にどんな速度で走るのか、どんな質感でできているのか、どんな乗りごごちがするのか! 今から興奮しているさ!」 ラ・ロシェールの、一本の山道の左右に沿って作られた建物を尻目にルイズはどんどん道を登っていく。 そして、ひとつの...
  • 味も見ておく使い魔 第三章-06
    タルブ村の中央に位置する、丸い広場。 その石段でできた広場に設置された噴水。 流水が涼しげに波紋を作っている。 その光景を最もよく見えるように、大きくテラスを張りだたせた建物。 その建物は、入り口が南側。壁は、白い漆喰。 「ここみたいね」 キュルケが、午後の太陽の光を背中に浴びながらいった。 彼女たちの目的地は、ここ、『魅惑の妖精亭・本店』である。 タルブ村は平凡な田舎村でありながら、実は、特異な郷土料理で有名な村であった。 その郷土料理の名声は、遠くゲルマニアの地にまで聞き及ぶ。 物好きな豪商や貴族たちは、この魅惑のリストランテまで足を運んで、己の舌に鼓 を打つのだった。 このリストランテは、貴族や豪商にも利用できるように清潔に整備されている。 店内には、席が百席ほど用意されているだろうか? ルイズはそう見て取った。 「ついたわよ、ダーリン」 ...
  • 味も見ておく使い魔 第四章 後編
    次の日の午後、アンリエッタは久しぶりに、自室でくつろいでいた。 アンリエッタは疲れきっていた。 日々の政務が日増しに多くなっている。 その多くが、アルビオンとの戦争関係のものだ。 「ウェールズ様……」 その独り言が自然と出る。 アンリエッタのそばにいた女官が、察するかのように外へと出て行った。 そのとき、、ふいに、 「僕のことを呼んだかな?」と、外の窓の所から、声がしたのだった。 アンリエッタは外を見て驚愕し、会心の笑顔を見せた。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 次の日の昼、ルイズたち三人は、トリスタニアの食堂『魅惑の妖精』亭で食事をとっていた。 零戦を受領したアカデミーの人間が、鉄の羽衣について、シエスタに聞きたいことがあるらしくシエスタを引き止めていたのだ。 さらに、マザリーニとアンリエッタ...
  • 味も見ておく使い魔 第三章-11
    「いくぞっ! シエスタッ!! 覚悟を決めろッ!!!」 「はいっ!!!」 二人の目前に、戦列艦の竜骨が鎌首をもたげていた。 ゼロ戦はそこに正面から突っ込んだ。 シエスタの作戦は至極単純であった。 アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ!!! 零戦は、戦列艦の喫水線をなぞるように飛んでいる。 以前変わりなく。 シエスタの作戦とは、つまるところ、これであった。 ブチャラティが戦艦の装甲を『切開』する。 彼女は、破片や肉片が飛び交う中、非常なる集中力で、機体を最高速度で飛ばしながら座位を安定させていた。 (ひいおじいちゃん、おじいちゃん、ロハンさん) (ブチャラティさん。私に力を!) (見えた!!!機関部!!!!!) シエスタは、零戦に残された機銃弾をすべて叩き込む。 ボラボ...
  • 味も見ておく使い魔 第四章 前編
    トリステイン王国とガリア王国にはさまれたラグドリアン高地。その高地に、国境 をはさむように、ハルケギニア随一の名称地『ラグドリアン湖』はあった。 国境線上に存在するこの湖は、交通の要衝でもあり、ガリアとトリステインを行き 来する商人たちは、ほとんどがこの近くを通過する。 ただ、ガリアとトリステインの、長年の確執にもかかわらず、この地域が戦のにお いを放った歴史はない。 なぜか? それは、この地が人間の土地ではないからだ。 人ならざる、水の精霊の土地。精霊の住まう場所。 それが、ラグドリアン湖畔であった。 水の精霊の時は長い。 人の時間にとって、水の精霊が出現する頻度はあまりにも長く、時間は短い。 だから、実質的に、水の精霊と会うことができるのは、トリステイン王国との盟約 の更新を行う以外、人間に出会うことはないといってよかった。 そして、その希少価値...
  • 味も見ておく使い魔 第三章-09
    トリステインの外交の間に、あわてた青年の声がむなしく響く。 「よ、よって、わが国は、かっ開戦いたします。その、トリステイン王国に……」 蒼白な顔で、開戦通告書なる文書を読みあげるその青年に対し、マザリーニは比較 的開戦の事実を冷静に受け止めることができた。 『メルカトール』からの伝書鳩による定期通信がない事。 それと、この非公式の大使の狼狽振り。 何かトラブルがあったことは容易に想像できる。 しかし、とマザリーニは考える。 まさか、開戦とは。 くそっ。 彼は聖職にあるまじき暴言を内心毒づいた。 このタイミングでの開戦では、トリステインの防衛は危うい。 考えられることは二つ。 ひとつは、アルビオンのやつらが確信的に戦争を仕掛けてきている事。 もうひとつは、あのラ・ラメーが、本当に『レキシントン』に向かって実弾をぶっ 放したことだ。 幸いなが...
  • 味も見ておく使い魔 第八章-02
    「大丈夫? タバサ」ルイズが改めてタバサに問いかけた。タバサの周りには、かつてイザベラであった塵が舞っている。  いまさっきまで敵対していたとはいえ、実の従兄弟が死んだのだ。普通の精神ならば、いくらか精神に変調をきたしてもおかしくないはずだった。  だが、タバサは、 「大事無い。それよりもあなたたちの傷の治療をしなければ」  そういいきり、淡々と杖を振った。が、ルイズにかけられた治療の速度がいつもと段違いに遅い。それは、 「タバサ。それはイザベラの杖よ」  タバサが振った杖はイザベラの杖であった。あわてた風に取り替えるタバサ。  ようやくルイズの治癒が終わるころ、気絶したはずのキュルケから苦痛の吐息が発せられた。どうやら彼女の意識が回復したようであった。 「大丈夫、キュルケ?」  立てる? と問いかけたルイズだったが、キュルケは目を開き、気丈に微笑んで見せる。 「ええ、...
  • 味も見ておく使い魔-23
    太陽がもっとも高い位置に鎮座まします時刻。 ルイズたち一行を乗せた『マリー・ガラント』号は、雲海の上をすべるように疾走していた。 現在は海の上を飛行しているらしいが、雲が切れ目なく続いているので、海上を見下ろすことはできない。 水夫たちが機敏に帆を操作している。今は、追風。船は順調に航行していた。 「見えたぞ! アルビオンだ!」 見張りの鐘楼に立った男が叫んで、前方を指差した。 そこにはひときわ高く、巨大な入道雲があった。 その雲の切れ目から、水分ではない物質の白色が垣間見えている。 「どう、驚いた?」 「ああ、こいつはすごい…」 ルイズとブチャラティがそのような会話を交わしているときも、船は積乱雲の塊の方に行き先を進めていた。 だが、よく見るとその直立した雲の固まりは積乱雲ではなかった。 とてつもなく濃い『霧』だ。 さらにその霧の視界の先には、この...
  • 味も見ておく使い魔 第八章-01
     夜半、ロマリアの大聖堂では大きな異変が静かに起こっていた。  聖エイジス三十二世の体がぐらりと揺れる。その体にできた傷の痛みというよりも、彼の身に起こった事実に対する衝撃が大きい。そもそも教皇自身に傷など無かった。  教皇の着る法衣の胸に、正面から男の腕が触れられているだけである。だが、それでも教皇の心臓はまさにいまその働きを止めようとしていた。 「あなたがまさか、この私を裏切るなんてね……」 「裏切るだと? 私は、最初から本心でお前につかえたつもりはない」  教皇の瞳孔が弛緩したまま、ピクリとも動かなくなっていった。  彼を殺した張本人、かつて自身をジュリオ・チェザーレと名乗った男はいう。 「この波紋、もはや人に大して使うまいと思っていたが……私が絶頂時の力を維持できるのであれば話は別だ」 「なぜそこまで……」 「お前の知ったことではない」  教皇の瞳孔から光が完全...
  • 味も見ておく使い魔 第六章-02
    女子学生寮において、倒れている露伴に近づく者がいた。ドッピオである。しかし、彼の足元はふらついている。足元がぎこちない。右手には蛙をつかみしゃがんでいた。 「とぅるるるる……」ドッピオはつかんだ蛙に向かって話しかける。 「ボス。露伴とブチャラティのスタンド能力を完全に把握しました。ブチャラティはスタンド能力を失ってはいないようです。さらに、おおよそですが、トリステインの虚無の使い手の魔法能力を推測することができます。こちらはあまり系統に対する進歩が見られません」 『よくやった。私のドッピオ……』 「露伴のDISCをGetしますか?なかなか強力のようですから」 『やめておけ、ブチャラティたちに対しては、こちらの手はできるだけ未知のままにしておくのだ』 わかりました、ボス」 『後は、だ。ブチャラティたちに我々の能力の正体をできるだけ知られずに、我々独自の目的を達成するのだ。今回ジ...
  • 味も見ておく使い魔 第六章-03
    学院の襲撃劇から一週間後。 「お入りなさい、ルイズ」 アンリエッタの声が、トリステインの王宮に響き渡る。 「失礼します、姫……女王様」 「いやね、私とあなたの仲じゃない、今までどおり姫様でいいわ」 フフ、と笑みを漏らすアンリエッタに、ルイズはぎこちない笑顔を返した。 それを見たアンリエッタは、ふとわれに返ったように話し出した。 「ルイズ。学院では災難だったようね。教員には死者も出てしまったとか」 「はい。姫様、やはりアルビオンの手勢の仕業ですか?」 「おそらくそうでしょうね。いまの段階では詳しいことまではわかっていないけど」 ルイズは唇をぎゅっとかみ締める。 「やはり、これが戦争なのですね……私はいままで戦争のことを甘く見ていたのかもしれません」 「どういうことかしら?」 「私はあの襲撃があるまで、敵を、アルビオンを憎らしく思うばかりでした。ただアルビオンをやっつ...
  • 味も見ておく使い魔 第六章-04
     アルビオン沖での『決戦』から一ヵ月後。 「しっかりと戦場になっちゃったわね」  ルイズは自分にあてがわれた女官専用の天幕の内側でため息をついていた。  ルイズが今着ているマントは学生のそれではなく、トリステイン王家の百合紋章がしっかりと描かれている。ここは戦地。アルビオンの人間と見間違われては困るのだ。 「ここはすでにアルビオンだからな」  ブチャラティが応じる。彼の言うとおり、ルイズたちは港町ロサイスに駐屯しているトリステインの軍隊と行動をともにしているのだった。 「だが、アルビオンにきたのはいいとして、ここ一週間、君にまったくお呼びがかからないじゃないか。別にどうだっていいが、僕たちは実は用済みなんじゃないのか?」 「そうね、でもそれはよいことだわ、露伴。トリステイン軍が、虚無という特異な力を必要としていない程度には優勢、ということだから」  露伴はほほう、とうなずい...
  • 味も見ておく使い魔 第三章-02
    露伴とコルベール、シエスタがタルブの村に旅立ってから二日後の昼のこと。 ルイズとブチャラティは、学院の中庭に置かれたテラス形式の丸机を囲むようにすわり、久しぶりに気楽なお茶の時間を楽しんでいた。 二人と一緒に、なぜかキュルケとタバサもいる。 というのも、ルイズが今飲んでいるお茶は、キュルケが実家から送られてきたものである。 キュルケは自分のカップを空にすると、ルイズに勢いよく話しかけた。 「どう、ルイズ? 今度私の実家が新発売する銘柄『アウグストゥス』は?」 「まあ、香りがよくておいしいけど……なんで私が試飲しなくちゃいけないの?」 「今度この銘柄をトリステインとガリアに輸出したいらしくて。うちの実家としては、外国の貴族の好みを知っておきたいんだそうよ。タバサに飲ませても『うん』としか言わないし」 タバサがキュルケになでられながらうなずく。 「うん。飲め...
  • 味も見ておく使い魔 第三章-07
    その後、ルイズたちはシエスタの実家に招待されることとなった。 昼食を食べ損ねた彼女たちの腹の音の合唱に、シエスタが同情したからである。 ルイズたちが、シエスタの家の中に入り、鳴り響いたお腹をなでている間。 シエスタは自分の父親を懇々と説得をしていた。 彼女の家は、広場から見て『魅惑の妖精』の奥に、隣接するように建てられていた。 シエスタの父親は、 「そうはいってもね、シエスタ。家の母屋は店とは違って、貴族様をお泊めするよ  うなつくりじゃないことはお前も知っているだろう。何か粗相があったら、私達  は責任をとらなくちゃいけない」 「それは大丈夫ですわ。シエスタの父君」 キュルケが、彼女の赤い髪を父親の型に触れさせながらいう。 おそらく、父親には彼女がつけている香水の香りに惑わされていることであろう。 キュルケはさらに、シエスタの父親にしなだれかかって見せた。 ...
  • 味も見ておく使い魔 第三章-10
    零戦がその空域にたどり着いたとき、すでにトリステイン軍とアルビオン軍が戦っ ていた。 状況はトリステイン軍の劣勢。 上空にはアルビオン側の竜と船しかない。 「ブチャラティさん! 私の町がっ!」 全部座席に座ったシエスタが絶句する。 この序の見下ろすその先。 タルブ村があるはずの場所に。 いくつもの黒煙が見えた。 アルビオンの竜使いたちは、タルブの村を放火したのだ! 許せない。 シエスタの心に暗い炎が滾っていく。 「落ち着くんだ、シエスタ。気持ちはわかるが。まずは、あの竜からやろう。  一騎ずつ、確実にだ」 「っはい! ブチャラティさん」 復座式零戦がその機動の本領を発揮する。 シエスタはタルブ村の上空を旋回するのをやめ、タルブ村郊外の、アルビオン艦隊が 浮遊している草原へと進路を変えた。 九八式照準器越しに、一人のアルビオン竜騎...
  • 味も見ておく使い魔 第三章-00
    土くれのフーケは、ワルドに紹介された中年の子男を疑い深げに見た。 「よろしくね、クロムウェル司教。あたしは、『土くれ』さ」 ワルドの傍らにいるその男は、着ている僧服をわざとらしくゆすって微笑んだ。 そこらじゅうを傭兵が、正確には、傭兵だった物達がうろついている。 「フーケ君か。早くしないと、平民のやつらに君の獲物が取られてしまうぞ?」 「ふん、あたしはね。生意気な貴族のメイジ専門なのさ。あんな塵攫い共と一緒にしてほしくはないね」 フーケは顔を背け、ぺっと唾を地面に吐きかけた。 アルビオンの内戦は終わった。 最後の戦場。ここ、ニューカッスル後では、貴族派に解雇された元傭兵達が、死んだ兵士から金品を剥ぎ取っていた。 彼らの心には、もはや自分に対する羞恥心や嫌悪感はない。 と、いうよりも、一般に傭兵という職業は、そのようにしてでも資金を調達しなければやっていられ...
  • 味も見ておく使い魔 第六章-05
    「そう、状況は最悪に近い、ということなのね」  サウスゴータを偵察していた竜の偵察兵はロサイスにおいてアンリエッタに報告を行なっていた。件の発言は、報告を受けたアンリエッタがため息と同時に出した台詞である。 「女王様、畏れながら、最悪に近い、のではございませぬ。最悪なのでございます」  側近のマザリーニが進言する。  彼の言うとおり、事態は最悪、の一言で表された。  全戦全勝を重ねてきたトリステイン・ゲルマニア合同軍は、アルビオン首都ロサイスの攻略の橋頭堡として、シティオブサウスゴータの攻略を行い、成功した。これがアンリエッタたちトリステイン首脳の、二日前までの認識であった。しかし、昨日急にサウスゴータに駐留していた主力の軍隊との連絡が途絶えた。不審に思った総司令部側が竜騎士を偵察に向かわせると……帰って来た報告は、兵のうち半数は霧散、残りは無言でロサイスに向かって進軍中、という...
  • 味も見ておく使い魔 第六章-01
    アンリエッタの元に跪いた恰幅のよい男が、ぴくりと身を振るわせる。 「私は、今でもこの戦役は無益だと思っております。女王閣下。今からでも遅くはありませぬ。ぜひ出征をお考え直しくださいませ」 「それはなりませぬ。レコン・キスタと我々は、両雄あい成り立たぬ仲。どちらかが倒れぬ限り、どちらかの平穏はないのですよ」 この時期のトリステイン政府は、すでにレコン・キスタの征伐を国是江として掲げている。 「ヴァリエール公爵。いまさらあなた個人の兵役拒否をどうこう言うつもりはありません。ただ、確認したかっただけです」アンリエッタは続けて、 「その代わり、あなたの娘のルイズ。  あの娘を私に下さい」そう、一息に言い切った。 刹那の沈黙の後。 「なぜでございますか!」ヴァリエール公爵の怒号が王宮に響き渡った。 「あなたがたは、実の娘のことを本当に思っているのですね」アンリエッタは、ヴァリエール...
  • 味も見ておく使い魔 第五・一章
    トリステインに午後の日光が差し込む頃。 学院付きのメイド、シエスタはルイズとタバサ、キュルケと敷地内にてばったりと出会っていた。 「タバサさん、ルイズさん。お二人とも、キュルケ姉さまに胸成分が吸い取られています!」 キュルケの時が止まった。 「……は?」 「な?」 「なんですって!!!」 ふたりのちっこい背の子供が声を揃える。例の蒼とピンクの髪の子のことである。 「解説します!  キュルケ・フォン・アウグスタ・ツェルプストーは、親しくなった間柄の、他人の  胸囲と身長成分を、自分と同じかそれより下の水準にまで吸い取る能力を持つので  すッ!」 「なに言ってるのか全然わからないわ!」そういうキュルケとは裏腹に。 「それで、どうなるの? 教えてシエスタ!」 そう叫んだルイズと、タバサはシエスタの視線に釘付けになっていた。 シエスタはコホンと咳払いをした。 ...
  • 味も見ておく使い魔 第三章-01
    トリステイン王宮と同じ月の光がトリステイン魔法学院を照らしているころ。 学院の図書室では、露伴がマンガを製作していた。 図書室は吹き抜けのある二階建ての本棚がある巨大な部屋で、まさにトリステインの未来の頭脳を養うにふさわしい威容を示している。 本の収蔵量は、トリスタニアにある王立アカデミー図書館に次いで国内第二の収蔵量を誇る。 その奥の一角、個人勉強部屋。 本来なら貴族しか入室が許されないのだが、岸辺露伴にとって、そのような規則を守る必要性などまったく感じ合わせてはいない。 そうしてすっかり個室の常連となった岸辺露伴とタバサが、同じ机で顔を突き合わせて、なにか真剣な会話を交わしていた。 その机には、白地に黒い線が縦横に丹精に描かれている紙が置かれている。 露伴の生原稿だ。 よく見ると、軍服を着た男性が四コマ枠ぶち抜きで、大げさに帽子をかぶりなおしている姿...
  • 味も見ておく使い魔 第三章-03
    「で、私達は、今タバサの風竜にのってタルブの村に行く途中なんだけど……」 「そのとおりだね、キュルケ。でもなんで、そんなに説明口調なんだい?」 「なんであなたまで一緒に乗っているの? ギーシュ?」 「この竜は僕くらい簡単に乗せられるだろう? なんで僕が責められるのさ?  逆に、ヴェルダンデを泣く泣く学院に残していった僕に同情してくれてもいいくらいさ!」 「きゅ、きゅい~」(そ、それは私でもキツイのね~) 「そのような問題ではない」 ルイズはたまらずに口を挟む。 「あのね、タバサやキュルケが言いたいのは、『なんであなたまでついてくるのか』ってことよ。  今度の旅は、ブチャラティのためにピッツァを食べに行くだけなんだからね!」 「いいじゃないか、ちょっとくらい!   僕だってたまにはおいしいものが食べたいんだ!   君達には、モンモン特製の魔法文カード巻きは...
  • 味も見ておく使い魔 第三章-05
    タルブ村のはずれに立てられた僧廟。 背後に平原が広がる地点でその廟は建てられていた。 露伴には、廟というよりは何かの格納庫のように見えた。 夕日にぽつんと建てられたそれが、背後に長い影を作り出している。 「お年寄りの中には、ここにお参りをする人もいるんです」 そういったシエスタは、その前で手を合わせ、小さくお辞儀をした。 その後で、シエスタは露伴とコルベールはその建物の中に導いていった。 その中は暗く、広い一体型の部屋だった。 ようやく目が暗闇に慣れてきた露伴に、シエスタの声がかけられた。 「見てください。これが『竜の羽衣』です」 露伴は竜の羽衣を一目見て、圧倒された。 それは、かつて露伴がわざわざ米国のアリゾナまで取材に行った取材対象だった。 露伴は思わず口をぽかんと開けてしまった。 自分という例があるにもかかわらず。このようなモノがこの...
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