注意:本稿では、オリジナルのAC版『Fate/unlimited codes』と、同PS2・PSP移植版について記します。双方ともに「バランスが不安定」判定です。



Fate/unlimited codes

【ふぇいと あんりみてっどこーど】

ジャンル 対戦型格闘ゲーム
対応機種 アーケード(SYSTEM246)
販売元 カプコン
開発元 カプコン
キャビア
エイティング
稼働開始日 2008年6月11日
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント 「世紀末聖杯戦争」
タイトルに違わずunlimitedに続いていくコンボ
『一度のミスも許されないゲーム』(byアルカディア)
キャラゲーとしては申し分ない原作愛
注意 本記事は『Fate』本編の若干のネタバレを含みます
Fateシリーズ

概要

今やPCゲーム界でその名を知らないものはいないほどの、TYPE-MOONの「伝奇活劇ビジュアルノベル」こと『Fate/stay night』。
一時期コミケなどを筆頭とする同人界をFate一色で埋め尽くすほどの勢いを見せていた本作には、ファンディスクやスピンオフをはじめとする多数の外伝が存在する。
そのひとつである本作、簡潔に言えば「『Fate』のキャラを用いた2.5D格闘ゲーム」である。なお、この記事では以降本タイトルを『uc』と略す。

  • TYPE-MOON作品を原作とする格闘ゲームの大先輩としては『月姫』スピンオフである『MELTY BLOOD(通称「メルブラ」)』があるが、同人ゲームからの商業進出を果たした同作とは違い、新規開発。
  • 開発担当は同じ『Fate/stay night』のスピンオフ『フェイト/タイガーころしあむ』で実績のあるキャビア、パブリッシュは格闘ゲームの大御所カプコン。又、後に同社の『タツノコ VS. CAPCOM』を手がけたエイティングも参加した。

システムと特徴

  • 本作のグラフィックはほぼ3Dで描画されているが、全体的な操作感覚は2D格ゲーに近い。
    • 3D空間のステージにおいて「回り込み」という共通操作によって軸移動が可能だったり、軸がずれて画面端専用コンボが繋がらなくなったりなど影響はある。
  • 弱、中、強、そして「リフレクトガード」の4ボタン制。弱>中>強の順でタイミングよく入力することで攻撃を繋げられるシステム「スラッシュレイブ」(所謂「チェーンコンボ」系のシステム)が搭載されている。
  • 本作の体力ゲージは2本分の表示になっている(RB餓狼シリーズに近い形式のライフバー)。
  • 「魔力ゲージ」と「魔力開放」
    • 格闘ゲームによくあるパワーゲージの類で、様々な動作に使用する。100%で一区切り、最大300%まで蓄積できる。
      • 本作は強リフレクトカウンターやコマンド623強の必殺技・一部の超必殺技など、ヒットさせることで相手の魔力ゲージを減らせるゲージ消費技が全キャラ共通で1つ以上存在する。つまり、自分だけでなく相手のゲージにも影響を及ぼせるため、自身のゲージマネジメントは非常に重要となる。
    • 本作の特徴的な動作として「魔力開放」がある。同世界観先輩作『MELTY BLOOD』の「強制解放」に酷似したシステムであり、ゲージ100%以上の時に使用可能。発動中は常時体力が回復するほか、発動時の攻撃判定で相手を吹っ飛ばす、通常技に削りダメージが追加といった恩恵が得られる。
      • また、全てのキャラクターには「魔力開放中のみ発揮される特殊能力」が備わっている。士郎の「聖剣の加護」(MAX開放中における体力回復量が通常より大きくなる)、アサシンの「宗和の心得」(MAX開放中に繰り出した技がリフレクトガードできなくなる)など。ただしこの特殊能力の多くは、魔力ゲージ300%MAXの状態で魔力開放(『BLOOD HEAT』にあたる)しないと効果を発揮しない。
    • 魔力開放はコンボ中や被ダメージ中にも発動可能。前者は硬直をキャンセルして出せるためさらにコンボを繋げられるが、代わりにふっ飛ばしと体力回復ができない。後者は吹き飛ばし効果による緊急脱出技に変化するが、この場合魔力ゲージを200%も消費するためおいそれとは使えない。
  • 「リフレクトガード」と「リフレクトキャンセル」
    • このゲームの特徴的なシステムのひとつ。相手の打撃攻撃を弾き返し、相手に多大な隙を発生させる。いわゆる「弾き」「ガードインパクト」や『MELTY BLOOD』でいうシールドにあたる。
      この際続けて攻撃ボタンを入力することで、ボタンに対応した攻撃「リフレクトカウンター」を出すことができる。
    • リフレクトガードはこちらの出した攻撃の硬直をキャンセルして出すことが可能。これは「リフレクトキャンセル」と呼ばれ、発動時に魔力ゲージを60%消費する。
      「誘い」を絡めた技の読みあいに深みが増したり、『GUILTY GEAR X』シリーズの「ロマンキャンセル」などのように使用できるなど、攻防において欠かせないシステムとなっている。
  • 「聖杯ゲージ」
    • 両プレイヤーで共有しているゲージ。格ゲー全般を見渡しても類似する概念の採用例は後続の『UNDER NIGHT IN-BIRTH』など指折り数えるしかない程珍しいシステム。
      お互いのダメージに応じて一本のゲージが溜まって行き、最後に聖杯ゲージをMAXにしきった側のプレイヤーは一定時間内にMAX魔力解放を行うことで「聖杯開放」が発生し、さらなる効果を得られる。
    • 聖杯開放時にのみ使用できる最強の超必殺「聖杯必殺技」は一部のダメージ補正を受けないなどの特殊な性質を持つ、『MELTY BLOOD』のラストアークなどに近い位置づけ。

他にもガードキャンセル、アドバンシングガード等、MARVEL VS CAPCOMシリーズに近くオーソドックスで癖の無いシステムが搭載されている。

キャラクター

キャラクターは原作からほとんどが網羅され、全13人が存在する。

デフォルトキャラ

+ キャラクターを選ぶがいい。
  • セイバー
    • 「剣の騎士」のサーヴァント。stay nightのメインヒロインの一人。飛び道具こそ魔力開放中の超必殺技に限られるが、それを補って余りある攻め手の優秀さと使い勝手の良い剣技が揃っている。開放中は、防御面もガード不能技や遠距離攻撃ですら取れるカウンター超必殺技のおかげで堅牢に。
    • 突進技「ファーストエア」は魔術系の飛び道具に対して無敵状態であり*1、魔術師キャラ相手に押せ押せの戦いができる。
    • 超必殺技「風王鉄槌(ストライク・エア)」を絡めたループコンボ・通称「ストライクループ」や、画面端専用の「エルフィンループ」によるゲージ回収能力と火力は、ucセイバーの代名詞にして本作の特徴を端的に示す大きな魅力。
  • 衛宮士郎
    • 『Fate/stay night』主人公であり、セイバーのマスター。技のリーチに乏しい代わりに全般的に技に癖が無く、所謂「格ゲー三種の神器(飛び道具・対空技・突進技)」をきちんと備え、コンボも覚えやすいため初心者でも扱いやすい。
    • やはり強キャラ相手には苦戦しがちだが、移動技「ダッシュ・フェイント」とそこから出せる派生技を利用した択の強さや、一人だけ魔力開放時の体力回復量が多いなど優遇されている点もあり、一方的な勝負にはなりにくい。
  • ランサー
    • 「槍の騎士」のサーヴァント。リーチの長さと攻撃の出の速さを両立しているハイスペックなキャラ。通常・必殺技共に充実しており、癖も無い部類で扱いやすい。
    • 原作『stay night』では「第五次聖杯戦争最速のサーヴァント」とされ公式では総合的な戦闘能力もトップクラスだと評されているが、ある理由によりその全力をふるう機会はたった1戦だけでそこもやや尻切れトンボ的に終わる。その後も活躍に恵まれない不遇ネタが板についてしまったが、本作ではその鬱憤を晴らすかのような大暴れを見せる。
  • ライダー
    • 「騎兵」のサーヴァント。近~中距離に対応可能だが、全体的に挙動がトリッキーで扱いこなすにはコツがいる中~上級者向けのスピードキャラ。
      鎖で絡め取った敵を地面に叩きつけ強制的にダウンを奪う「(強)レスティブシュート」からのセットプレイ(起き攻め)と、画面端におけるループコンボ(通称「足コキ」)による強烈なゲージ奪取力が長所で、立ち回り面のバランスが非常に良いキャラだが、コンボの火力は低め。
    • あるゲージ技の使用後はMAX魔力開放で「魔眼キュベレイ」が発動し、相手の動作を鈍化させることができる。*2
  • バーサーカー
    • 図体が他のキャラに比べて大きい「狂戦士」のサーヴァント。外見通りのヘヴィーキャラだが力技一辺倒ではなく、飛び道具・対空・コマ投げ・突進・そしてスーパーアーマーと小技も充実している。見た目通りリーチも長めなので威圧感は凄まじい。
      • MAX魔力開放中は「十二の試練」が効果を発揮し、11hit分のスーパーアーマー効果を得る(ただし単体でヒット数の多い技も多数存在するので過信は禁物。原作と異なり防御力も特に上がらない)。
    • やはり火力は本ゲーム一二を争う壊れっぷりで、組み込む技の特性により魔力開放による脱出すら許さない。しかし大型キャラの宿命か機動力の低さが足を引っ張る。
      特に飛び道具持ちには致命的に弱く、中でもギルガメッシュには圧倒的に不利となっている。彼は原作でもギルガメッシュとの相性が悪すぎたために大敗を喫すのだが、それはこのゲームでも見事に再現されてしまった。
      • ちなみに原作では敏捷パラメーターでさえセイバーやランサーと同じAランクであり、それほど鈍重な扱いはされていなかった。
  • ギルガメッシュ
    • 「弓兵」のサーヴァントだが、後述するアーチャーとは別人である「人類最古の英雄王」であり、本来は存在しない筈の8人目のサーヴァント。二種のモードを切り替えながら戦うキャラの例に漏れず、多くのスキルをプレイヤーに要求する作中随一のテクニカルキャラ。
    • 乖離剣エアを振るう小回りが利き守りに秀でた「エアモード」と、王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)による優秀な飛び道具とリーチの長い通常技を擁した「バビロンモード」を使い分けるが、全体的に出の早い技が少ない。
      無敵技の切り返しだけでなくモード切替にもゲージが30%必要(=ゲージ管理が殊更重要)であり、機動力の低さとあいまって格ゲー界のモード切替キャラの中でもとりわけ難易度が高い。
    • 聖杯必殺技が順押し(デッドリーレイブ)型、飛び道具「天の鎖(エルキドゥ)」がボタン溜めで発射タイミングを自由にずらせるなど、単純に扱いを難しくするような技の仕様も多いが、
      その分、潜在能力もキャラ間の相性面でも抜群に恵まれている。
  • アサシン
    • 名目上「暗殺者」のサーヴァント。*3長刀を使ったリーチが特徴だがランサーに勝る点が少なく、光る部分を活かして戦って行かないと厳しいキャラ。
    • 超必殺技の「燕返し」は原作の特性が再現されており、至近距離だと「回避も防御も不能」の必中技となる。
  • キャスター
    • 「魔術師」のサーヴァント。主に設置技や飛び道具を駆使して戦況を展開していくキャラだが、立ち回りも火力も切り返しすらも極端にゲージ依存度が高い。
    • 正面切っての戦いが苦手だった原作と同様、格ゲーとしてもダントツの弱キャラでほとんど勝負が出来ないレベルとまで言われていたこともあったが、
      本作で頼れる最大の武器として、全キャラ中どころか格ゲー界でも屈指のおぞましさとまで言われる起き攻めが光る。
      • しかもどこからでも相手を強制ダウンさせる対空追撃技のおかげで、遠距離攻撃からでも安定して起き攻めに持ち込めることに加えて、移動性能は悪くないのでとても嫌らしい戦い方が可能。
  • 遠坂凛
    • メインヒロインの一人で、アーチャーのマスター。本作では八極拳を用いて戦う機動力に秀でたキャラで、当たり判定の小ささやレスポンスの軽快さもあって扱いやすい。ゲージ非消費版は弾数有限ではあるものの飛び道具も持つ。
      • 攻撃のリーチこそ短いものの、飛び道具は有限なだけあって強力な物が揃っており搦め手も効く。
    • 後述する「補正切り」のおかげで火力はゲーム上位クラス。一度画面端まで追い詰めればあとは彼女の独壇場になる。
  • アーチャー
    • 第五次聖杯戦争における「弓兵」のサーヴァント。同じ兵種のギルガメッシュと同様にモードチェンジを持っており、弓と剣を使い分けて戦うがやはりどちらのモードも一癖ある中~上級者向けキャラ。
    • 難度こそゲーム中屈指のものだがコンボ性能が高く、モードチェンジと本作中で(ゆとりと評されるほど)容易な「補正切り」を利用した高火力が持ち味。
    • またゲージを消費して原作における切り札「無限の剣製」の一小節を一回ずつ詠唱することができ、「6回の詠唱を終えた後にMAX魔力開放を行う」ことで「無限の剣製」を発動させることが出来る。
      • この「無限の剣製」中限定の超必殺技「無限の剣舞」は聖杯必殺技に匹敵する破壊力を誇り、「魅せキャラ」としての人気も高い。
        ただし6ゲージ消費した上に3ゲージを溜めきるのは尋常ではなく難しいため、2R制で見かけることはまずない。

タイムリリースによる隠しキャラ

+ キャラクターを選ぶがいい。
  • 言峰綺礼
    • 凛の格闘技の師であり、聖杯戦争の監督者。凛と同じく八極拳を使って戦う。
    • 連携技からの択やコマンド投げを利用した崩しと、画面端限定の高火力コンボによる爆発力が強みのキャラクターでコンボも比較的簡単なので扱いやすい。攻守の起点になりコンボにも必須な飛び道具「黒鍵投擲」の弾数制限や、リーチの短さは弟子以上にネックとなる。
  • 間桐桜
    • メインヒロインの一人で、遠坂凛の実妹。リーチが長く中距離での制圧力に秀でる、いわゆるダルシムタイプの特性。加えてキャスターばりの強力な起き攻めは「熟練者の起き攻めは人間には見切れない」と言わしめた。
    • ただし、低火力・低機動力・紙装甲という致命的な三重苦を背負っているのでキャラランクは最下位。
  • ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト
    • 遠坂凛のライバル。原作では出番がほぼ全く無いキャラだが、移植やメディアミックスで描写された「プロレス技を用いる魔術師」というユニークな一面でワンシーンのうちに強いインパクトを残し、サプライズ枠として参戦を果たした。
    • 「投げ技でループコンボを行う」という格ゲー界でも珍しいことをやるキャラクター。ループコンボに入るまでの難度と立ち回りの弱さからダイヤグラム的には弱キャラとされるが、一度ペースを掴めればたとえ強キャラであろうとそのまま殺しきれる凄まじい火力のお陰で、実戦値は高い。

家庭用版追加キャラ

+ キャラクターを選ぶがいい。
  • バゼット・フラガ・マクレミッツ
    • Fate/hollow ataraxia』より参戦。聖杯戦争のために魔術協会から派遣された男装の麗人。素手で戦うためリーチにこそ劣るが、自身を強化する技と他のキャラと一線を画すラッシュ能力、そして機動力を武器とする。
    • 「後より出て先に断つもの(アンサラー)」と呼ばれる設置技を持ち、これを組み込んだコンボの火力や、崩しからのラッシュは屈指のものを秘めているが…。
  • セイバー・オルタ
    • 聖杯の泥に汚染されたセイバー。機動力こそ失われたが通常必殺技としての飛び道具を獲得し、さらにオリジナルに勝るとも劣らない強力なコンボを有する。
      体力の多さも相まって、一度このキャラに奪われたリードを取り返すのは難しい。
  • リーゼリット
    • イリヤスフィール(バーサーカーのマスター)に仕えるメイド。鈍重ではあるがかなりのリーチとスーパーアーマー付きの技を有し、「マイルドなバーサーカー」とでもいうべき性能を持つ。
    • バーサーカーと違い、MAX魔力開放中のスーパーアーマー能力「アイゼン・レーム」にはhit数の限界がない。
      代わりに体力は桜と同等・ゲーム中底辺クラスで、アーマー技ないしアイゼン・レームに頼ったゴリ押しは相当リスクが高い。
  • ゼロ・ランサー
    • 時系列上では過去作となる『Fate/Zero』からゲスト参戦してきた「槍の騎士」のサーヴァント。そのためランサーとは真名・能力ともまったくの別人。
    • 二つの槍を二刀流で構え、槍ならではのリーチの長さとラッシュ能力を兼ね備える。体力上限値を強制的に減らす技も存在する。

しかし、このゲームが後に違う意味で人々の注目を引こうとは、誰が予想できたであろうか…。

賛否両論点

度が過ぎたコンボゲー

ゲーマー達は「このゲームはキャンセル手段が多いからコンボゲーになるだろう」という予想を稼働当初から行っていた。
そしてその予想は見事に的中…するどころか、研究が進むにつれ「コンボゲーの中でも頭一つ抜けた凄まじいコンボゲー」という本質が姿を現し始め、結果プレイヤーたちの予想をはるかに超えたコンボゲーになってしまった。

  • まず、このゲームのほとんどのキャラクターはループまたはそれに近いコンボが使える。「被ダメージに応じて相手の攻撃による浮き方に補正がかかる」という仕様があるため一応限界はあるのだが、それでも大半のキャラが10秒以上、コンボの長いキャラでは20~30秒以上のループコンボを所有する。
    そしてこのようなループコンボが「牽制技・崩し・カウンターヒットなど多くの状況から可能」。つまりちょっとした小技を喰らっただけで20秒近く体力が減るのを眺める羽目になる可能性が大きく、行う側も長いコンボレシピを覚えてすかさず切り込まねばならない。
    • たちの悪いことにライダーや言峰など、一部のキャラは「相手の魔力ゲージを減らす技をコンボに何度も組み込んで、魔力開放による脱出をさせないコンボ」を実行できてしまう。問題の技は自身のゲージも消費する欠点はあるものの、最小消費30%はコンボ中に容易く回収できるほど安い。
    • 永久コンボを持つキャラも数名存在する。脱出手段はあるとはいえ、このコンボは実質的に魔力ゲージ200%を一気に奪う必殺技としても機能する。
    • ほとんどのキャラで後述する「ジャンプキャンセルキャンセル(JCC)」や各種ディレイが基礎コンボに求められるため、元祖世紀末ゲーの某スポーツアクションや、同社世紀末ゲーの先輩・戦国陸上に匹敵するコンボレシピの長さと完走難易度を誇る。トップレベルのプレイヤーでさえコンボミスは珍しくない。
+ 実際に見てみたい方はこちらへ。
言峰サッカーvsストライクループ
他のキャラクターもだいたいこんな感じである
投げループ、ゲージ状況によっては死ぬまで続けられる
全て実戦での出来事である
+ なぜこんなことになってしまったのかというと…
  • 「ジャンプキャンセルキャンセル必殺技(以下JCC)」
    • 「ジャンプキャンセル(以下JC)可能な技→ジャンプ→その予備動作中に必殺技」でコンボをつなぐ少々特殊なテクニック。
      これ自体は他の格ゲーにもちらほらと存在するのだが、このゲームにはこういった「JC可能な必殺技」が比較的多めに存在する上にコマンドの仕込み入力も出来るため、始動技こそ限定されるものの「必殺技キャンセル必殺技」という芸当を特に制限やコストを必要とせず1コンボ中に何回でも行うことができる。
      当然ながら、JCCが発見された後はコンボの自由度は一気に跳ね上がり、さらなる発展を見せたのは言うまでもない。
  • リフレクトキャンセル・技キャンセル開放
    • システムの項でも説明したが、リフレクトキャンセルのゲージ消費は60%。リフレクトキャンセルは「1コンボ中に一回しか発動できない」という制約はあるが、コンボによって消費したゲージ分を容易に取り返せるため、必然的にコンボの自由度は想定以上に跳ね上がった。
      • その上一度リフレクトキャンセルを使っても、ゲージが100%残っていればキャンセル魔力開放を行ってさらにコンボを伸ばせる。
  • ゲージの増減
    • 減少する/させられる機会が大きい魔力ゲージだが、その分増えやすい部類でもあるので意外と粘りが効く。
      だが豊富なゲージ減少技をコンボにガンガン組み込むことも可能なせいで、上手くはまった時はやはり世紀末ばりの一方的な展開にいたることも多い。
  • 「ジャンプ中に落下速度の制御が可能」
    • これに加えて着地隙が少ない仕様により、多くのキャラで「何かしらのコンボをして相手を空中に打ち上げる>空中で攻撃を当てて浮かせる>急降下して先に着地し、地上で相手を拾う>空中で相手を浮かせて着地>拾い~」のループが成立しやすくなっている。
  • 「相手を拾いやすい」
    • このように本作は他の格闘ゲームにも増してコンボを継続する手段が多く、いわゆる「コンボパーツ」になりうる技・テクニックが非常に多い。
      そのうえ「多くの技がカウンターヒットすると硬直が増えたり、ダウンまでの時間が長くなる」「空中でカウンターヒットになると相手が地面でバウンドして追撃可能状態になる」など、全体的にコンボが伸ばしやすい調整がされている。
      • 例を挙げれば「一部キャラの超必殺技は出し切った後orヒット中、別の技で拾ってコンボ継続可能」「空中にいる敵を対空技でカウンターするとバウンド中の敵を追撃してコンボへ」「壁際限定のダウン拾いコンボ」など、些細なミスが命取りになる世紀末仕様。
      • ただし、この仕様のおかげで格ゲーの常識にとらわれないコンボ構築が可能となり、結果さらなるコンボの発展、研究意欲が沸いたというメリットもある。
  • 「『uc』の補正切り」
    • 通常「補正切り」とは「本来なら繋がるコンボをわざと中断→相手が動揺、または油断したところでコンボ始動技を入れ直す→そこからコンボを繋ぎなおす」とすることで、初手のコンボをきっちり入れ切った時よりも大ダメージを狙う、という心理と仕様の隙をついたテクニックの事を指す。
    • しかしこのゲームにおける「補正切り」とは「超必殺技のコンボダメージ補正を、他の技を重ねて消し去る」ことを意味している。
      コンボに超必殺技を組み込んだ場合、通常ならダメージが50%低下する補正がかかるのだが、「超必殺技発動後~ヒットまでの間に、予め出しておいたそれ以外の攻撃がヒットする」と、そのスーパーキャンセル補正が無くなるというバグが存在するため、これを利用すれば超必殺技を高威力のままコンボに組み込める。
      使用できるキャラは限られるがその該当キャラの平均火力はもれなく上昇。本作の世紀末コンボゲーっぷりにさらに拍車がかかることになった。
  • 「起き上がりに背後から中段技を当てることでガー不起き攻めになる」
    • かなりの高難度だがガー不起き攻め出来るキャラを増加させた要因。本作のコンボ火力やゲージ削りコンボの存在を考慮すると、地味ながらも凶悪な仕様である。

この「すさまじいまでのコンボゲー」状態から、本作は「世紀末聖杯戦争」という渾名がついてしまった。
重ね重ね、北斗の拳 (AC)の惨状になぞらえたものであることは言うまでもない。

その他の賛否両論点

  • ステージによって広さが大きく異なる
    • この仕様により、画面端コンボが強力無比なセイバー・凛・言峰使いなどは狭いステージを選びたがり、その相手や遠距離戦が得意なキャラは広いステージを選ぶというのが対策の一環として周知徹底されている。
      ステージ選択権を得るかどうかから既に戦いは始まっているのだ。

問題点

試合展開が地味

熟練者の試合はジリジリ地上で距離を窺いつつ牽制合戦→技が刺さったらループコンボという、見た目には並の差し合いゲー以上に地味で面白味の欠けた試合展開になりがちである。
が、これは仕方が無い。「何か技がかすればそこから長いコンボで大ダメージ」「リフレクトキャンセルの存在があるため、相手の硬直、技の空振りに技を差し込みづらい」「空中ガードが無いためうかつなジャンプは自殺行為」などの要因があるため、そうせざるを得ないためである。
ただし、キャラによっては案外飛び込みも多い。
ゲーム専門誌『アルカディア』において「一度のミスも許されないゲーム」と評されたのもむべなるかな。

  • 魔力開放・リフレクトガード(リフレクトキャンセル)・アドバンシングガード・ガードキャンセル等全キャラ共通の行動だけでも魔力ゲージが絡むものが多い上、多くのキャラが魔力ゲージを消費するアクションを頻繁に使うことになるため、熟練プレイヤーからは「ucはゲージ管理ゲー」とも評される。

キャラランクのバランスの悪さ

ゲームバランス自体の練り込みの甘さも多々指摘される。これは「二強」だけでなく「三弱」の存在が如実に示している。

+ 三弱(キャスター、アサシン、桜)の場合
  • キャスター
    • 近距離戦を不得手とし、飛び道具と設置技で戦うキャラ。しかしノーゲージ技は飛び道具の性能が頼りない(=いわゆる「シューティング」状態に持ち込むことが困難)うえに尽く低火力で、とにかくゲージがないと攻撃面での立ち回りに事欠くばかりである。
      逃げ性能は悪くないので、必然的にキャスターの戦術は「便利な移動技で逃げながら、飛び道具やリーチの長い攻撃で相手を動かし、事故を待つ」いわゆるチキンプレイになりがちだが、そうでもしなければ勝ち目がない。
    • だが一旦転ばせれば、キャラ紹介でも述べた通り「おぞましい」起き攻めが幕を開ける。相手が喰らい状態で空中に浮いてさえいれば、拘束して強制的にダウンを奪う追撃専用技「病風(アエロー)」により様々なコンボ・設置技から起き攻めに持ち込めるため、ハマれば強キャラであろうとそのまま一方的に踏み潰せる。上述した高難易度のガー不起き攻め連携も持っている。
    • 状況は選ぶがゲージを吐けば上位クラスの高火力を叩き出す事もでき、画面端限定だが簡単なレシピかつ相手のゲージを増やしにくい永久コンボも持つなど伸びしろは大きい。起き攻めの苛烈さもあって「キャスターの格付けは難しい」と語るプレイヤーも存在する。事実、闘劇'09の本戦にもキャスター使いが出場していた。
    • しかし、起き攻めも難しいとはいえ抜ける手段は存在する。一度起き攻めのループから抜けられてしまうと、ゲージを取り戻して再びチャンスを掴むまで生き延びられるかどうか怪しい…と言う点から、高く見積もっても中堅以下にとどまるのは確か。
      原作のキャスターはサーヴァント同士の直接戦闘を不得手とし*4、知恵と謀略を張り巡らせて相手を追い詰めるタイプのキャラクターとして設定されている。
      このことから設置技などを主軸とし、嫌らしい立ち回りから起き攻めに特化したスタイルになったのも、設定を考慮すればよく出来ていると言える。起き攻め拒否ができるためセイバーとの相性まで原作通りだが…。
  • アサシン
    • 長い刀によるリーチの長さと、安定して追撃が決まる投げと必殺技の多くが優秀ではあるが、総合的にランサーの下位互換的な性能でしかない。
      全体的にコンボを入れづらく、攻めの選択肢が少ないので固めや起き攻めも弱く、後述する「鬼風ループ」を絡めないと火力も低いという三重苦。
      そして技の出の遅さや硬直の長さなどから距離を詰められると厳しい戦いを強いられる。空中攻撃も頼りない。
      • 長所のリーチも体術がメインなど機能する相手には有効なのだが、このゲームは体格・踏み込み・武器などの都合でリーチの長いキャラが多く、特別リーチが長いわけではない。よって実際に目立つ長所は投げから追撃が入る程度になっている。
      • 最大の問題点として、全体的にコンボ難度の高い本作の中でも、先に述べた通りアサシンのコンボ(通称『鬼風ループ』)は「このコンボでレバー(パッド)が壊れた」という声が上がるほどの高難度。「6469A>JCC>4217C」というJCCが絡む困難なコマンドを繰り返してループせねばならず、さらに相手キャラクターの重量とヒット数による重力増加を考慮して適度にディレイを加える必要もある。あまつさえ、 この困難なループコンボをマスターして初めて『uc』におけるコンボの平均的な火力が出るというリターンの釣り合わなさ がアサシンの弱さに拍車をかけている。
    • 元々総合的にはあまり強力なサーヴァントとは言えないのだが、原作設定では「純粋な剣の腕では作中最強」という公式設定で接近戦のスペシャリストだったのにどうしてこうなった。
    • 必殺技は当てて良しガードさせても相手との距離を離せる「颪(おろし)三連」、強は発生は遅いものの全キャラ中最長の無敵時間を持ちコンボにも組み込める切り返し技「雀刺し」、ほぼノーモーションでボタンに対応した方向を一閃する「石花/春雷/痺れ鯰」など見所のあるものが多い。
      • 要するにゲーム内容に対して真っ当なキャラ過ぎてミスマッチな性能になってしまった。このザマは同じ乱世を生き、「原作では人気キャラ」「刀の使い手」「元農民」という点も共通する某主役を彷彿とさせる。
    • 個々の技性能こそ優秀な部類に入るものが多いが、キャラクターの項で述べたパラメーターの三重苦が厳しい。特に火力格差は恐らく作中ワーストクラスであり、体力の低さと相まってすぐにリードを奪い返される。「苦労してフルコンボを決めたが、一瞬のミスで即座に体力差を逆転された」という場面はザラにある。
    • 一応前述の補正切りを利用した高火力コンボはあるが、ゲージをかなり吐いてしまうためほぼトドメ専用。他のキャラクターのように手軽に火力をたたき出すことはできない。
    • ワープ技はあるがそれなりに隙があり機動力も低いので、飛び道具を持つキャラに対しては近づくことさえ一苦労である。逃げに入ったアーチャーや、要塞と化したギルガメッシュなどには絶望するしかない。他に士郎、ライダー、バーサーカー辺りにも苦戦を強いられる。
    • 強みである起き攻めはキャスターに比肩するバリエーションの豊富さとえげつなさを誇り、飛び道具を絡めた起き攻めは開放抜けすら許さない。そのためペースを握り続けられれば起き攻めでハメ潰せるが、どんなに抜け難くても起き攻めは所詮起き攻め、確実ではない
+ 二強(ランサー、ギルガメッシュ)の場合
  • ランサー
    • 個々の技が優秀な上に、機動力やゲージ回収、崩しなど、隙がほとんどない盤石の強さを持つ強キャラ筆頭。
      弱点があるとすれば平均クラスに甘んじた火力と、超必殺技「刺し穿つ死棘の槍」がゲージ200%消費であることから来るゲージ管理の難度くらいのもの。
    • このキャラが最強の座に君臨している理由は「基本要素の全てがハイスペック」だからである。列記すると…
      • 最大クラスのリーチの長さ×セイバーなどに比肩する出の速さを誇る通常技。この長大なリーチの牽制技がかすりでもすれば即コンボへ招待。
        リーチの長さと素早さ故に、相手がアドバンシングガードなどで距離を離してもすぐに追い付いて自分の間合いに直行する。
      • 空中から繰り出される突進技「レッド・ブランチ・ウルズ(B版)」を用いた、人間にはほぼ見切れない高速の中段技。これもヒット時の状況次第でコンボへ移行可能。
      • 投げから安定して追撃が可能。投げのダメージ補正は若干重いためコンボダメージは落ちるが、それでも崩しから相手ゲージ減少を含めた一定のリターンを見込めるのは強力。
      • 低姿勢で相手に向けて突進する移動技「レッド・ブランチ・エワズ」。これ単体でも一部の飛び道具をくぐって相手に接近できる(=飛び道具持ちキャラを咎められる)。
        しかもそこから派生行動「レッド・ブランチ・イス」で急停止して隙を消して崩し・固めに持ち込んだり、相手を打ち上げる「レッド・ブランチ・カノ」「レッド・ブランチ・ティール」を使えば画面端から遠くてもJCCを利用しループコンボが可能。
      • 頭上で槍を振り回す対空技「レッド・ブランチ・エイワズ」。その中でもゲージ30%消費のC版が強力で、「発生・判定に優れ無敵も長め」「単発火力も高くその上RCや開放キャンセルで追撃可能」「多段ヒットするためゲージ回収率も良好」「魔力開放中は出し切りから超必殺技『刺し穿つ死棘の槍』に繋がる」「命中すると相手の魔力ゲージを減らすC昇龍技」と破格すぎる性能を持つ。
      • 空中超必殺技「突き穿つ死翔の槍」。低空で当てることで「大ダメージを与えつつ、自分は先に着地してコンボを継続できる」コンボパーツに化ける。
      • 超必殺技「刺し穿つ死棘の槍」はゲージ200%消費で使いづらいことは前述したものの、研究が進み「魔力開放中の間はゲージ使用技の全てが、ゲージ不足でも1回だけ(=開放終了する代わりに)発動できる」という仕様が発覚したことでその弱点さえ完全ではないがカバーできるようになってしまった。
    • また、万能キャラながら操作やコンボも比較的簡単な部類で初心者にも非常に動かしやすい。
    • 余談だがジョークに定評のある原作者も、後に本作のランサーの壊れっぷりをネタにすることは忘れなかった。
  • ギルガメッシュ
    • モードチェンジを利用した高火力のコンボに補正切りと、火力のポテンシャルは最高級。強力な飛び道具・設置技が使えるバビロンモードを主軸に立ち回りつつ、要所でエアモードを使うことでスキのない立ち回りが可能。
    • その強さを支える名助演が設置型飛び道具「天の鎖」である。コマンド入力時のボタンホールドでギルガメッシュの周囲に待機し、ボタンを離すとほぼノーモーションで飛んでいくため基本の隙は0。
      飛び込んでくるキャラへの牽制やコンボパーツなどほぼ万能の活躍を見せ、まさに劇中通り「英雄王最大の友」と言える、ギルガメッシュを象徴する宝具・技となっている。
      • 主に両モードに対応した214+弱or中の「天の鎖」(弱版が横に払って軸移動を潰し、中版は縦に薙いで上下動を潰す)、そしてバビロンモード専用の高性能飛び道具「冥府の門(エイルラガル)」を組み合わせてのシューティング状態は強力無比。ギルが本気でシューティングに徹すると、桜とバーサーカーはほぼ詰む。
      • 「冥府の門」は弾速も速い他、斜め上・水平・斜め下と撃ち分け可能、さらに「武器(宝具)を束にして打ち出す」ためかなんと「10Hitの攻撃判定の塊」となっているため、他の飛び道具を一方的にかき消して進んでいく。その分ヒット数とダメージは減るが、飛び道具で撃ち負けることがないというメリットの前には些細。
    • 弾幕と鎖をくぐり抜けられたとしても、エアモードに換装すれば一方的にやられることはまずない。モード切替共々魔力ゲージを消費するが、高性能な切り返し技「乖離剣・天(アンシャル)」も有しており、更に状況は限られるがその乖離剣・天からコンボ始動することもできるので、ゲージを残せれば切り返しからターンを取り返すのも容易。
    • その上、他キャラとは一線を画す強みとして「ループコンボを超えた本当の永久コンボ」を搭載している。一応魔力開放で脱出はできるが、「相手に魔力開放による大量ゲージ消費を強いる」という非常に強い意義があるので、開放抜けをしてもギル側の思う壺。開放されなければC天の鎖でコンボを締めて結局体力とゲージを奪ったり、さもなくば補正を切った超必殺技で殺し切ったり…とコンボの選択肢も豊富。
    • 極めつきに「『乖離剣・天』の2段目を特定の状況でヒットさせると、相手の魔力ゲージを通常より多く減らせる」というバグ技まで持ち合わせており、これもコンボ難易度こそ高いが実戦レベルで使用することが可能。
    • 一応の弱点として、ノーゲージでの切り返しがなく機動力でやや劣り、エアモードに戻れなければ切り返しはガードキャンセルに頼るしかない。さらに「ゲージマネージメントの難度や永久コンボを続けるためのコンボ精度、鎖をホールドしたまま立ち回れる指さばき」と様々なことをプレイヤーに要求するため「強いが、真の強さを引き出すためにはプレイヤースキルが必須」のキャラクターとなっている。
      • 原作でもギルはサーヴァントの中でも最強クラスである破格の存在とされているが、その極めて傲慢かつ尊大な性格故にマスター/魔術師にとって扱いにくい英霊でもあった。そういった意味でも原作再現度を高めていると言える。
+ 二強次点(セイバー、凛)の場合
  • 二強の超高性能の影に隠れて目立たないが、次点の2人も常識的な格ゲーを基準に考えれば十分すぎるハイスペックの持ち主である。
  • セイバー
    • 二強のようなハッキリとした壊れ技は持っていないものの、原作で「最優のクラス」と評された安定的な強さが今作でも表現されている。中でも前述した「ストライクループ」「エルフィンループ」など強力なコンボによるゲージ回収能力が強み。
    • リーチこそ並程度で飛び道具も持たないが突進技・対空(切り返し)と技は一通り揃っており、中段択もあるため接近戦での強さはお墨付き。また、突進技「ファーストエア」は原作でセイバーが持つスキル「対魔力」を反映して*5「突進中は魔術系の飛び道具をかき消す」という特殊効果を持っているため、飛び道具による安易な「待ち」の戦術は通用しない。
      • 飛び道具が魔術系しか無いキャスターは、原作通りセイバーに苦戦を強いられる。設置技は流石に通じるが、後述の「全て遠き理想郷」も合わせて、キャスター側としては安易な待ちをさせてくれない天敵の一人である。
    • そしてセイバー、ひいては本作を象徴する最大の武器がループコンボ「ストライクループ」。超必殺技「風王鉄槌(ストライク・エア)」自体は竜巻を纏った切り上げという単純な攻撃技…に見えて「コンボ補正によって累積していた重力の増加・技によるバウンド効果の制限を必ずリセットする」という地味に凶悪な特性を持つ。
      …つまり、ゲージさえあれば「適当なコンボルートで壁際まで運ぶ→風王鉄槌で重力リセット→コンボ継続…」というループが成立する。ゲージ量によっては二回目、三回目の風王鉄槌を繰り出して長時間のループコンボを行うことも可能。
    • ストライクループはダメージが高いほか、拘束時間が長いため判定勝ちを狙いやすい。「やっとの思いでセイバーからターンを取り返したが、残り時間が足りず体力差を逆転できずに判定負け」という光景も珍しくなかった。
    • さらに研究が進むと、ストライクループからの派生ループコンボとして、コマンド入力で後退しそこから攻撃ボタンで派生技を繰り出す「エルフィンダンス」を利用した「エルフィンループ」が開発された。エルフィンループは既存のコンボよりダメージもゲージ回収率も高く、これによって「ストライクループに移行→エルフィンループで使ったゲージを回収→コンボを完走して読み合いからもう一度ストライクループ…」というサイクルが成立する。
    • 3種の超必殺技にも死に技がない。先述の風王鉄槌はもちろん、極太のビームを剣から放つ彼女の代名詞「約束された勝利の剣」も「発生が遅く無敵もないが、画面端まで一瞬で届く」「相手が空中にいれば自動的に空中へと射出方向を修正」「魔力開放中に放った場合一度だけゲージ消費ゼロで発動可能」という高性能を誇る。
    • 残る一つの超必殺技「全て遠き理想郷」はカウンター技(いわゆる当て身系超必殺)なのだが、これも「飛び道具もカウンター可能」「地上同士なら必ず相手に接近して反撃、そこからコンボ始動可能」「相手が空中なら『約束された勝利の剣』で大ダメージ(その代わりコンボ始動は不可能)」という凄まじい性能。
      このため1ゲージ以上を持っているだけで飛び道具に対する強い牽制となり、前述のファーストエアとの合わせ技で、相手の安易な飛び道具による牽制行動を咎められる。
    • 欠点は並程度のリーチ故に自分より長いリーチの相手には技の振り合いで若干不利がつくことと、ストライクループは自分のゲージも増加させるが相手にもダメージ相応のゲージを献上してしまうこと。また、ストライクループは壁際でないと成立しないため、広さのあるステージや、外周が円形になっているためコンボ中に軸がずれると相手が壁際から外れてコンボがやりにくくなる「アインツベルンの森」などのステージでは若干立ち回りが制限される。
    • 強みのエルフィンループも「二種の技をJCCを使って連続で当て続ける」という単純なコンボではあるが、JCCを含めたコマンドを短時間で連続入力しなければ相手を落としてしまう上、ヒット数増加に伴う重力増加を考慮して入力タイミングを調整しなければいけないため難易度は高い。
    • また超必殺技は総じて高性能ではあるが、セイバー側としてはダメージソースであるストライクループにどうしてもゲージを使いたいので「高性能ではあるが、気軽には使えない」というジレンマがある。
  • 遠坂凛
    • リーチこそ短いものの機動力が高く、飛び道具も有する万能キャラ。
    • 宝石を使う飛び道具には20発の弾数制限があるが、制限の代償に性能は高め。シューティングに弱いキャラにとっては宝石をまいて牽制されるだけでも割と鬱陶しく、相手を凍結させる中版「宝石魔術」や「アイスグレネード」、相手をダウン状態で打ち上げる「エアグレネード」などヒットからのリターンも大きい。ヒット時の距離が近ければここからコンボを始動することも可能。
    • 元々の体格が小柄な上、しゃがみ・ダッシュでかなり姿勢が低くなり、しゃがみ中・強など攻撃でも低姿勢になるので相手の飛び道具の下をくぐって進んでいけるという独自のメリットも。シューティングが基本戦術となるギルガメッシュの「冥府の門」「天の鎖(623中版)」もくぐれるため、ギルガメッシュの「バビロンモード中は切り返しが弱すぎる」という弱点を突きやすい。
    • そして凛の代名詞が、前述の補正切りを活かした圧倒的な爆発力。ゲージ消費こそ荒いが、様々なコンボから補正斬り超必殺技に繋いで大ダメージを奪うことが可能で、条件次第では「コンボで壁際まで運ぶ→補正切り超必殺技『カッティング・セブンカラーズ』→そのセブンカラーズから更に追撃してコンボを伸ばす」という凄まじいコンボも可能。半分魅せの領域になるが1コンボに超必殺技を2度組み込むという大盤振る舞いまで可能。
    • 師匠の言峰同様、コンボにC版「連環腿」を組み込めばダメージを与えると同時にゲージも削れるため、ダメージも含めてワンコンボのリターンが大きい。更にランサー同様投げからコンボ始動できるため、接近戦でのプレッシャーは大きい。
    • 欠点はやはり徒手空拳ゆえのリーチの短さと、中段択を持たないこと。また、宝石を使う技は立ち回り・コンボ・補正切りと様々な用途で用いられるため、宝石が切れるとかなり弱体化してしまう。
      • ただし本作の試合ペースではよほど無駄撃ちしたりグダらなければ、1ラウンド20発は早々使い切らないだろう。
  • 二強・二強次点を除いては、ループコンボによるゲージ削りと読みにくい起き攻め連携を併せ持つライダー、崩し能力と画面端での爆発力を持つ言峰などを中堅上位あたりに推すプレイヤーが多い。
    • なお、ダイヤ最下位の三弱と上位二強~二強次点以外はプレイヤーの間でも今なお意見が割れるので、ここでは詳しい解説は割愛する。
    • 家庭用ではゼロランサーも抜きん出た性能を持つため三強になっているが、アーケードでは使えないために研究が進んでいないので詳細はやはり割愛。

登場キャラクター選別について

どのキャラも人気が高く、また容量的にも『stay night』のサーヴァント全員を網羅できる余地はあったためだが、「なぜこのキャラを登場させなかった!」という声はどうしても挙がってしまう。
これは高い人気を誇る原作の対戦ゲームが抱える宿命のようなもので、誰もが納得出来るキャラ選定は非常に難しい。

  • とりわけ「真アサシン」の未登場には疑問の声がたびたび上がる。彼が未登場だったのは原作の隠しキャラ的な位置づけ*6以上に「特性および能力(気配遮断、主に使うナイフ投げは牽制で、主力は罠と敵を呪殺する宝具。正面対決ではsnのサーヴァント中最弱)的に格闘ゲームには出し辛い」という理由もあろうが、それでもなお出演を望むファンも多い。
    Fate/stay night本編に登場したサーヴァントの中では唯一の格ゲー未登場となった。
    • 一部のファンは原作での彼の能力をネタに「真アサシンは気配遮断して登場の機会を窺っている最後の解禁キャラ」「気配遮断のしすぎでスタッフに気づいてもらえなかった」などと笑いの種にしたものの、真摯なファンには笑い事では済まされないブラックジョークであった。とはいえネタにしたファンたちも、心の底では彼の登場を願っていたことだろう。
  • その他、原作では戦闘シーンもあった葛木宗一郎(キャスターのマスター)も操作キャラクターとしては登場していない。
    • 同じ「格闘技メインで戦うキャラ」というポジションには凛・言峰・ルヴィア・バゼットなどライバルが多すぎ、さらに彼女らには投げ技やカウンター技といった格ゲーで映える個性まで持っている。
      それに対して宗一郎は「特徴的な技を持っていない」「人間離れしてはいるが、魔術師ではない一般人である」と、差別化も原作再現も難しかったためオミットされてしまったのかもしれない。原作だけで言うならルヴィアよりもかなり印象的なキャラだったが…。
  • 通常版の間桐桜を出して欲しかったという意見もあった。

評価点

平等な勝負に耐えうる対戦ツールとしては、本作は決して「良いゲーム」とは言い難い。
しかしこのゲームはただのコンボゲーではなく、ファンから評価される部分も多々存在する。

原作愛

『AC北斗』がそうであったように、とにもかくにも原作再現要素が盛りだくさん。キャラの掛け合い・演出や性能など原作を反映したものが多く、ファンを大いに喜ばせた。
一部を列挙すると…

  • 各キャラの超必殺技のモーションやカメラアングルは、本作のオリジナル技を除いては原作のCGを意識したものになっているものが殆ど。原作のあるシーンの再現技になっているセイバーの「全て遠き理想郷(地上版反撃)」や、2006年のアニメ版初出の「干将・莫耶オーバーエッジ」が決め技になっているアーチャーの「鶴翼三連」、技の代名詞である「槍の軌道が『曲がる』ワンカット」が挿入されるランサーの「刺し穿つ死棘の槍」など。
  • 原作の技の性質通り、近距離で発動するとガードや無敵を貫通し必ずヒットするアサシンの「燕返し」
  • 「相手を何度も追尾する剣」という性質により、回避・ガードされても画面外から往復してくるアーチャーの「赤原猟犬(フルンディング)」
    • 「無限の剣製」を発動させることで、専用の背景/BGMに切り替わると言ったロマン要素もある。
  • 「宝具『全て遠き理想郷(アヴァロン)』*7を埋め込まれている」という設定から、MAX魔力解放時の体力回復量が多い士郎
    • 必殺技面でも、原作を再現してバーサーカーの「十二の試練」によるアーマーを7回分消費させる「勝利すべき黄金の剣」や、対言峰限定で聖杯必殺技の演出が変化するなど作り込みが細かい。
  • ギルガメッシュの「天地乖離す開闢の星(エヌマエリシュ)」はセイバーの「約束された勝利の剣」を一方的に相殺し打ち勝つ。他にも対セイバーのみ投げモーションが劇中の一シーンを再現した専用のものになり、セイバー側が投げ抜けに成功したときまで専用のモーションが用意されている。
    • 連続技(デッドリーレイヴ)形式の聖杯必殺技「天地波涛す終局の刻」は、一部の相手(「神性」スキルのランクが一定以上=神にある程度近い存在)だとフィニッシュの演出内容が変化する。
  • 一方、細かい部分を見ると違和感の残る部分がなくもない。三つの斬撃を同時に放つアサシンの「燕返し」の演出が同時ではなく三連続の軌道になっていたり、男性キャラの身長がほぼ同じだったり*8、また「ギルガメッシュが「乖離剣エア」を使うのは余程の強敵のみ」「エアは便宜上『剣』と呼ばれているが厳密には剣ではない」という設定*9にもかかわらず、ラウンド開始時のギルはどのキャラが相手でもエアモードになっており(これはギル優位が加速しかねないのでゲームバランス上仕方ない)、エアを剣士のように振るって戦うなど、やはり格ゲーに落とし込むにあたって細かい齟齬はどうしても存在する。

ちなみに、TYPE-MOON側が担当したデザインは、ゲーム外のポスター、パッケージ等のメインビジュアルとキャラクター選択画面の全身イラスト、会話用フェイスイラストのみ。
その他EDイラストなどはカプコン側の製作だがかなりそっくりに仕上がっており、原作ファンをして「スタッフは投影魔術を使ったのではないか」*10とまで言わしめた程。
こうした本作のキャラ演出は、後発のFateシリーズにも確実に影響を及ぼしている。

主人公勢以外のifルートの完成度の高さ

この手の格闘ゲームの常として、ストーリーや脚本などはあまり重視されない傾向にあるのだが、この作品ではファンも納得の本編のifを見事に描いている。

  • 中でもランサーとキャスターのルートは、演出および声優の熱演とも相まって原作ファンも納得の出来である。
  • 王道展開はもちろん、キャラによっては原作の殺伐とした雰囲気はどこへやらのネタルートも存在している。

世紀末らしさ

これも『AC北斗』や『戦国BASARA X』などがそうであったように、逆に開き直ったまでのゲームバランスに惚れ込んでしまった人間は少数派ながら存在する。
実際各地の大会でもランサーやギルガメッシュが席巻していたわけではなく、全盛期には多くのキャラ、そして使い手が各地の大会でトップに立っていた。

  • 「ギルガメッシュ対バーサーカーor桜」などほぼ詰みに近い対戦カードやほぼランサーの劣化的な立ち位置のアサシンなど、ゲームバランス的に擁護できない部分はあるものの各々が様々な"飛び抜けた強み"を持っているため、強キャラであっても油断はできない。
    他の世紀末ゲーム同様「ワンチャンから逆転できる要素を各々が異なる形で持っている」と考えれば、バランスは取れている…と言えなくもない。
  • そしてコンボ開発も盛んで、実戦向けのコンボ以外にもいわゆる「魅せコン」の研究も盛んに行われた。コンボムービーなども数多く投稿されており、超シビアな繋ぎやバグを利用したコンボは見ているだけで楽しめる。
    • ニコニコ動画では、これら神業クラスのコンボムービーには原作の用語からとって「封印指定」のタグが付けられていることも多い*11

BGM

BGMはベイシスケイプが手掛けており、既存曲のアレンジ、新曲ともに評価は上々。

総評

原作再現など光る部分も多々あったが、コンボゲーの道を行き過ぎたが故に格ゲー初心者からは敬遠され、格ゲー経験者の大半からもバランス崩壊っぷりに愛想を尽かされ見限られてしまった惜しい作品。
現在でも少数のゲーセンやガチ勢によるやりこみこそ続いてはいるが、稼働開始直後はインカムがまったく振るわず、ゲーセンからは早々に姿が消えてしまったというのが実情である。2008年当時はすでに出来のいい格闘ゲームがゴロゴロ登場し、そしてリバイバル稼働も見られ始めていた頃だったので、それらを超えた人気を獲得するには至らなかったのだ。

しかし、続編を期待する声もある。バランス、システム面の調整は勿論のこと、真アサシンや別ルートの士郎*12の参戦の他、ランサー以外の『Zero』キャラなどを加えた作品の要望もあった。それゆえ本作が尖った作品となり、結果格ゲーとしての続編制作の可能性が低くなってしまったことが一層悔やまれる。


Fate/unlimited codes (PS2版)

【ふぇいと あんりみてっどこーど】

対応機種 プレイステーション2
発売日 2008年12月18日
価格 通常版:7,340円 / 限定版:10,490円
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
廉価版 Best Price!:2009年12月3日/2,990円
判定 ゲームバランスが不安定

Fate/unlimited codes PORTABLE

【ふぇいと あんりみてっどこーど ぽーたぶる】

対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売日 2009年6月18日
価格 通常版:5,240円
限定版:6,240円(eカプコン専売) / 9,240円(Amazon専売) / 8,980円(ソフマップ専売)
廉価版 Best Price!:2010年2月18日/2,990円
判定 ゲームバランスが不安定

※データは相違点のみ表記

概要(移植版)

長く遊べるミッションモードやミニゲームの追加、新規キャラとそれに伴うBGMやステージ、各キャラのエクストラカラーなど多数の追加要素があるため、実に気合の入った移植と言える。もちろん原作再現要素はAC版同様抜かりない。

  • 発表と同時に新デザインされたセイバーのEXカラー『セイバー・リリィ』はほぼ別キャラのような格好になっており、限定版にはfigmaが同梱された。

問題点(移植版)

ゲームバランス

しかし、スタッフは家庭用に際して調整を行わなかったばかりか、追加キャラによって世紀末聖杯戦争の勢いを加速させてしまった。
調整に関しては「移植」なので仕方ないかもしれないが、「バランス調整を放棄した」と思われても仕方ない追加キャラ勢の強さには批判の声もある。

+ さあ(世紀末)聖杯戦争を続けよう
  • ゼロ・ランサー
    • リーチ・火力・本体の性能・各種通常技・必殺技と隙がなく、家庭用追加キャラゆえあまり研究は進まなかったものの、プレイヤーからは「二強に匹敵する強さ」と評価される。
    • コンボ中のスーパーキャンセル補正を受けず、相手のゲージを大幅に削る超必殺技「破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)」や、ゲーム最高の性能を誇る突進技など、とにかく各種技がハイスペック。
    • 突進技の強力さから「画面の半分以上がゼロ・ランサーの間合い」と言っても過言ではない。しかも命中すればコンボに移行可能で、相手の体力・魔力ゲージをガリガリ削っていく。
    • 一部のモーションはランサーから流用されている。強キャラに近い動きをする以上、強いのもある意味当然と言えるかもしれない。
  • セイバー・オルタ
    • ルヴィア、ギルガメッシュに比肩する壊れた火力と、本家セイバーに勝るとも劣らぬラッシュ能力を持っている。突進技や飛び道具を利用した見切り困難な起き攻め二択や、確定ダウンを奪え(=起き攻めに持ち込める)、かつコンボに利用出来る投げ技、魔力開放による脱出をさせない高威力のコンボなど、機動力以外は圧倒的な高性能を持つようになった。隠しボスキャラ扱いでも違和感がない。
  • バゼット・フラガ・マクレミッツ
    • 確かにラッシュ能力は驚異的でコンボ性能も高いのだが、「リーチが短くアドバンシングガードに弱い」「唯一の飛び道具が専用技『アンサラー』で設置する手間がかかる上弾数制限あり、しかも設置と発動がゲージ必須&その『斬り抉る戦神の小剣』はコンボにも使うためおいそれと使えない」「同じ徒手空拳タイプのキャラである凛や言峰と違い、投げから追撃できない」「中段がなく崩しに難儀する」と、長所よりも短所が大きく目立ってしまう。
    • 『斬り抉る戦神の小剣』を絡めたコンボは強力なのだが、そこに到達するまではかなり困難。リーチの長い相手やシューティング系のキャラと当たった日には悲しみを背負うハメになる。こちらも家庭用追加キャラゆえあまり研究は進まなかったが、プレイヤーからは「3弱と同格、3弱以下もありえる」と評される。
      • 一応、「壁際限定で半永久的に連続ガードになる連携がある」という小ネタは持っているものの、そもそも近づけないと実行できない上アドバンシングガード一発で無力化する。
  • リーゼリットも「固めと崩しに難儀する技性能」「機動力に劣り各種技の出が遅い」ことから弱キャラとみなされることが多い。
  • 例外として、セイバーの「魔力開放中、『約束された勝利の剣』を一回だけゲージ消費ゼロで撃てる」という部分だけは修正され、ゲージを消費するようになった。このことから「AC版の『約束された勝利の剣』の仕様は設定ミスだったのでは」と言う説がある。
  • PSP版はさらに「超必殺技のキャンセル補正の撤廃」「聖杯必殺技のダメージ増加」というもっと開き直った調整のためにAC版・CS版を超える世紀末ゲーになっている。
    • 一部のキャラは調整されて既存のコンボがある程度使用不能になっており、一応バランスを取る努力はしていたようだ。しかし調整もむなしく短期間で代替コンボが発見されてしまい、その努力は水の泡となってしまっている。
  • また、今回もやはり追加キャラの選定基準に疑問の声が上がった。格闘戦を主体とし外伝の顔でもあったバゼットや、原作最後のルートにおいて強敵として立ちふさがったセイバー・オルタはともかく、「なぜリーゼリットとゼロ・ランサーなのか」という疑問を持ったファンは多かった。
    • 「当時盛り上がっていた『Fate/Zero』からもっとキャラを出して欲しい」という声もあったし*13、それこそ「真アサシンまだ?」というファンの悲鳴もあった。やはりキャラ選定は難しいものである。

システム面

  • 「ミッションモード」という指定された内容をクリアしていくモードは多種多様な題目が有り、その中にも「コンボを成功させろ!」といった最近の格ゲーでおなじみの内容の題目がある。 また、簡易的だが今作のテクニックを紹介する「チュートリアルモード」も存在しているが、この両者でJCCについて触れられている。
    • ミッションモードの全クリア難易度はかなり高いものとなっており、やりこみプレイヤー以外にはコンボレシピから条件までひと目でドン引きするようなものも存在する。
    • とは言えミッション制覇による重要な解禁要素はほとんどない。もしこのミッションモードに重要な隠し要素の解禁条件が絡んでいたら、それこそブーイングの雨嵐だったに違いない。

評価点(家庭版)

  • 移植にあたり採用された、タイナカサチの歌う主題歌「code」は好評。
  • EXミッションが各キャラ専用のミニゲームとなっている。内容は敵を倒してスコアを稼ぐオーソドックスな3Dアクションから本格的なSTGなど多種に渡るが、原作の関連シーンをネタにしたカオスなものも(ビンタ合戦とか激辛麻婆豆腐の早食いとか)。小ネタ満載の清涼剤であり、ファンならニヤリとすること請け合いである。

総評(PSP版)

PSP版はPS2版から更なるアレンジやバランス調整などが加わった「Ver1.5」といった趣。
コンボコマンドの簡略化が行われるなど格ゲー初心者にも嬉しい調整がされた(依然としてハードルが高い位置にある感は否めないが、AC&PS2版よりは遥かに簡単)。
ただ、慣れ親しんだコマンドではなくなったこと(コンフィグで戻すこともできない)を批判する従来からのプレイヤーも多い。


余談

  • ソーシャルゲーム『Fate/Grand Order』では不定期的に、本作にも登場しているサーヴァントは本作の技/モーションに準拠したアニメパターンを逆輸入するアップデートを数度に分けて行っていた。
  • 2018年7月26日に新たにFateシリーズのアーケードゲーム『Fate/Grand Order Arcade』が稼動された。
    • 本作とは別の企業が手がけジャンルもTCAGとなっている。
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最終更新:2023年10月14日 03:14

*1 原作設定では何もせずとも魔術に対しての耐性が非常に強い設定だが、それでは格闘ゲームの体裁がなりたたなくなる。

*2 「魔眼キュベレイ」中にあの「バスケ」を連想させるネタコンボができたりするが、あくまで見た目がそれっぽいだけにすぎず、異常なバウンドなどのバギーな挙動ではない。

*3 『stay night』ではもう一人アサシンのサーヴァントがいるのだが、本編の設定が深く関わるネタバレ事項なため解説は省く。

*4 原作設定としてもクラスそのものが聖杯戦争と相性が悪く、第五次サーヴァント内に縛っても直接戦闘を最も苦手とする一人と評されている。

*5 魔力に由来する攻撃にどれだけの耐性を持つかということを表すスキル。セイバーは対魔力スキルを「A」ランクとして持ち、現代の魔術師の使う魔術では傷一つ負わせることは出来ないと明言されている。

*6 なお、タイムリリースの間桐桜と家庭用限定のセイバー・オルタ、そして本作未登場の真アサシンは原作では最後に出現するルートでのみ物語に関わることになる。

*7 「エクスカリバーの鞘」のFateシリーズでの名称。所持者に強力な治癒能力をもたらす効果がある。

*8 巨体のバーサーカー(253㎝)と背が低い士郎(167cm)、極端な前傾姿勢を取るランサー(185㎝)はともかく、アサシン(175㎝)、ギルガメッシュ(182㎝)、アーチャー(187㎝)、言峰(193㎝)の高さがあまり変わらない。画面上であまり不自然に見えないのが救いだが、せめてアサシンの身長を再現していれば「小柄で攻撃を受けにくい」という強みになっていただろう。

*9 後の派生作品では割と簡単に使うシーンも見られるが、原作では基本的に出し惜しみする切り札中の切り札。

*10 投影魔術とは衛宮士郎とアーチャーが得意とする「物を模造する魔術」。要はこれは外注側に送られた「最高級の賛辞」なのである。

*11 原作において、一品モノの希少な能力を持った魔術師に対して与えられる名誉兼警戒態勢。あくまで本作ユーザー間においてだが、これも「最高級の褒め言葉」のひとつとして扱われている。

*12 ネタバレは避けるが、原作において士郎はルートによって使用する技が大きく変わることになるため、この技を使いたかった・これも入れてほしいという声もある。

*13 とは言っても『Zero』のサーヴァントは格ゲーに明らかに不向きな一癖も二癖もありすぎる者が多いうえ、時期的にネタバレによって興が削がれることも予想できた。その中から序盤で真名と宝具が明かされるランサーを選出したのは妥当な判断とする声もある。