げんしけんSSスレまとめサイト内検索 / 「夢であるように」で検索した結果

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  • 夢であるように
    夢であるように 【投稿日 2006/01/05】 カテゴリー-笹荻 それはどこかにありそうな、でも決して手の届かない心地よい夢の物語。 荻上さんがげんしけんに入ったその日から―― 中島「ほら、荻上ぇ。おめも何か言ってやれ。」 荻上「え?んと、そんのぉ…」 荻上「何でこんなにホモさ好きなんですかね?」 大野「ホモが嫌いな女子なんかいません!」 春日部「…それは私も入ってるの?」 「「「「当然です!!」」」」 荻上たちは中学からずっと一緒の仲良し5人組。 大学受験も、みんな一丸となってやりとげました。 中島が皆をまとめ、成績のいい中島と荻上が教え役となって、 なんとか皆一緒に、同じ大学に受かる事ができました。 荻上さんはもっと上の大学も目指せると先生に言われましたが、 人生でもっとも大切なものはすでに持っていたので、そ...
  • カテゴリー:笹荻
    ... 君に読む物語 夢であるように リライト ある朝の風景 ある朝の風景-おまけ- 五月雨 If I ever hear you knocking on my door 8823 パンを焼く 影踏み ランプ ランプ-続き- テーブルの距離 テーブルの距離─おまけ─ とりかえばや物語 嬉し涙 いつか見た夢の続きを 事後 事後・side荻上 甘い話 指 不機嫌 なごり雪 手をつなごう お家にかえろう バレンタインデー あなたに会いたくて アルバムを覗けば 普通の日 笹荻BADEND ヨモギ らびゅーらびゅー 短編集 夕立 不快指数 スケッチブック ザクロ promise かなしいライオン 罪と罰 あつい話 『マル。』 『はじめてのおつかい』 スレスレ? 二つの幸せ やわらかい月 月を見上げて 逃げ...
  • 事後・side荻上
    事後・side荻上 【投稿日 2006/03/06】 カテゴリー-笹荻 薄暗闇の中、ふと目が覚める。 隣に人の気配。それは間違いなく現実のもの。確かな形と熱を持ってそこにいる。 「笹原さん…」 囁きかける。答えは無い。穏やかな寝息だけが聞こえる。 体を少し起こす。素肌に夜気が冷たい。顔を覗き込む。穏やかな寝顔。 自分がそうであるように、かれも生まれたままの姿で、同じシーツに包まっている。 それが嬉しい。 昨夜の事を思い出す。 互いの名を呼び合い、ひたすら求め合った。彼にしがみつき、ねだった。 「笹原さん、もっと、もっとしてください」 夢現の中、そう言ったことを思い出し、赤面する。頬が火照る。 思い切って半身を起こし、夜気にさらす。寒さが心地よい。 もう悪夢は見ない。夢のなかの笹原さんはいつも強気で、悪夢と、弱くてずるい私を倒して、私...
  • ある朝の風景
    ある朝の風景 【投稿日 2006/01/11】 カテゴリー-笹荻 笹荻成立後の話。 夜、二人は荻上の部屋のベッドで共に眠りについていた。 初めて肌を合わせたのは少し前のことで、それから何度かそういう行為を重ねはしたが、 今日になって突然荻上の方から笹原へ「もし良かったら泊まっていきませんか」と切り出されたのだ。 普段は自分を極力抑える荻上の言葉に、笹原は内心驚きながらも嬉しく思い、 当然断ることなどあるはずもなく、その申し出を二つ返事で了承した。 ただその時の荻上の、他に何かもっと言いたい事がありそうで、 それを飲み込んだような表情が少し気になったと言えば言えた。 そして時刻は2時。ふと何かに気付いて笹原が目を覚ますと、 目の前で眠る荻上の顔が苦しそうに歪んでいた。 呼吸は荒く、顔色は青ざめ、うっすらと汗をかいてうなされている。...
  • 現聴研・第三話
    現聴研・第三話 【投稿日 2006/04/09】 現聴研 「ラブソングが嫌いな荻上です」 「どーしてそんなに盛ってるんですか」 入会の際に荻上さんが発した第一声はこれだった。 春日部さんがフォローに入る。 「おいおい、それだとマイナーかメジャーに関わらず邦楽聴けんでしょ。  キミも聴くんでしょ?」 「私は硬派ですから、人生や友情や他にもテーマあるじゃないですか」 笹原は半笑いで場を取り繕うとする。 「まあ、そんなスタイルもありじゃないの(苦笑)」 しかし大野は勢いよく立ち上がり 「ラブソングが嫌いな女子なんて居ません!」 と叫ぶのだった。 そんなことが有って、笹やんの前でのギター披露があった次の週。 一人で部室で、荻上はギターを抱えていた。 今日はワインレッドのセミアコースティックギターの弦の張替え中だ。 外した弦は、飲...
  • ある朝の風景-おまけ-
    ある朝の風景-おまけ- 【投稿日 2006/01/11】 カテゴリー-笹荻 朝食が用意されたテーブルの前に二人座る。 目の前に並んだ皿からは、湯気と共に食欲を誘う香りが漂う。思わず唾を飲み込む笹原。 「あ…、荻上さん、料理上手だね」 「まあ一応。これでも一人暮らししてますんで」 照れているためか、やや赤面した様子で荻上は素っ気なく答える。 何だかまるで新婚家庭のようだ、という思いが脳裏をよぎったのは果たしてどちらだったのか。 落ち着くために視線を逸らしお互いに小さく息をついた後、 二人、いただきますと手を合わせ、笹原はゆっくりと箸をのばした。 (…まさかここで実は見た目はちゃんとしてるけど、本当はそりゃあもうすごい味でしたー、 なんてどこぞのゲームみたいなオチはないよな) 頭の中をそんな妄想が駆けめぐる。そんな笹原の様子を緊張した面持ちで見...
  • koyukiⅡ
    koyukiⅡ 【投稿日 2007/02/13】 カテゴリー-斑目せつねえ 高坂家と春日部の結婚披露宴が行われた2011年2月4日は金曜日だった。 土日に式を挙げなかったのは、咲が2月4日の「立春」を強く意識したからだという。 立春は旧暦の正月。春の始まり。この日は物事の『はじまり』を示唆する。事業を始めるようになって、咲も縁起かつぐようになったのであろうか。 斑目晴信にとっても、忘れることのできない、新しい始まりの日となった。 スージーことスザンナ・ホプキンスとの一夜を経て、自分の気持ちに一つの区切りをつけた今、斑目は心身に充実感を得ていた。 その日からというもの、彼は仕事に臨む姿勢にもメリハリがついてきた。 単純に週末が楽しみなので、『休めるように働こう』というモチベーションができた訳だが、職場の上司も彼の頑張りに気づき始めていた。 「斑目君は最近、ちょっ...
  • まだメモ-大野
    大野 攻略 【投稿日 2007/01/13】 まだらめメモリアル攻略日記 アメリカから帰国したわたしが入学した椎応大学には、わたしを受け入れてくれる場所がありました。その名は現視研。  同学年でも半年遅れとなるわたしが、向こうでも特殊な趣味だと微妙な距離を持たれていたわたしが現視研に溶け込むことができたのは、同期のみんなや田中さん、そしてあの人が、この場所にいてくれたからだったのです。 まらだめメモリアル リプレイ 『幸せであるように』  コスプレ写真の横流しが失敗した夜、わたしは斑目さんを居酒屋に呼び出しました。  あのときの失態を謝罪したかったのと……わたしはどうしても、彼が何を望んでいるのかを聞き出したかったのです。  咲さんはもうあと数日で卒業してしまいます。斑目さんと違い、都心で自分の店を持つという職業を選んだ彼女は今後、...
  • 夏風萌の店
    夏風萌の店 【投稿日 2007/06/25】 カテゴリー-現視研の日常 咲のマンション 咲と恵子が二人で飲んでいる。 恵子はここ暫く咲の店でバイトしていた。 明日休みということもあり、仕事が終わった後、一緒に咲のマンションで酒を飲むことにしたのである。 「だからさーそろそろこーさかさんあきらめなよー。姉さんー。」 「ばーか。ぜってーあきらめねー。それよりお前、早く金返せ。」 お互いに遠慮なく喋りあえる関係だけに本音ぶちまけトークはストレス発散にもってこいだ。 あーだこーだ言い合っているうちにいつしか夜も更け、二人ともぐっすりと寝てしまった。 「ん・・・。」 軽い二日酔いで咲が目を覚ますと既に昼過ぎである。窓から日光が降り注いでいる。 「ん?」 別の部屋からPCをカチャカチャやっている音が聞える。 咲のマンションに自由に出入りできるよう合...
  • 2月号予想・その三
    その三 欲望ロック【投稿日 2005/11/30】 カテゴリー-2月号予想 =====回想=====  笹原 「どうですか先生! 売れましたけど!」  荻上 「い いやあ~~何といいますか…」 初めて自分の同人誌が売れた瞬間。 感想を求められて、ろくに纏まりもしない感情を伝える。  荻上 「これは…予想以上に…」  笹原 「うん!」  荻上 「………」 …どうしてこの人は、こんなにも嬉しそうな顔をしてくれるのだろう。  笹原 「ん?」 ふと、笑顔の先にある視線に気付き、荻上は振り返った。  中島 「荻上!?」  荻上 「…………!」  中島 「アーやっぱ荻上だー! こげんトコで会うなんてねー」 五年振りに再会した旧友は、笑顔で荻上の同人誌に手を伸ばした。  中島 「スゴー!...
  • 名前で呼ぶ日
    名前で呼ぶ日 【投稿日 2007/03/18】 カテゴリー-現視研の日常 『明日会える?』 昨日の夜受け取ったメールを大野は電車の中で見返していた。 田中は卒業制作に追われているにもかかわらず、大野のイベントにも付き合っていた。 さすがに期限前となり、ここ暫く、大野から距離を置き、メールのやり取りだけでお互いのモチベーションを保っていた。 そんな中、l久しぶりに田中に会える喜びで携帯を見る彼女の目はどこか嬉しそうであった。 田中のアパートの前に立ち、ベルを鳴らす、ガチャっと開いた扉から以前より髭が伸び、少し疲れた様子の田中の顔が覗いた。 大野は促されるまま部屋に入り、リビングのいつも座っている場所へ腰を下ろす。 部屋の中は几帳面な田中らしくなく、物で溢れかえっていた。 忙しくて、掃除できなかったのであろうと大野は考えた。 掃除を手伝って欲しくて...
  • 26人いる!その2
    26人いる!その2 【投稿日 2006/11/12】 ・・・いる!シリーズ 有吉「僕が編集でいいかな?」 豪田「自分がメインで描きたくないの?」 有吉「何と言っても時間が無いから効率最優先にすべきだと思うし、サークル参加なんだからみんなの総力で本作りたいんだ」 豪田「まあ確かに、同人誌って本来そういうもんだし」 有吉「それに女性向けで18禁なら、やっぱり妄想力こそが作品を作る原動力だよ。僕が理屈で話書いてもいいんだけど、それじゃ妄想力半減でしょ?」 豪田「そうねえ…みんなもそれでいい?」 一同「さんせーい」 有吉「まずプロットは台場さん。みんなの中で、1番ヤオイ関係の知識と経験と情報量は豊富みたいだからね」 台場「問題は組み合わせだけね。キョンが攻めか古泉が攻めかの二者択一かあ…」 「リバ可や!」 突如大声の関西弁が轟く。 漫研会員であり、サ...
  • アフターストーリー『リツコ・レポート』【宇宙編】
    アフターストーリー『リツコ・レポート』【宇宙編】 【投稿日 2007/01/13】 第801小隊シリーズ この記録は、かの連盟の星「リツコ・キューベル・ケッテンクラート」が ある『仲間』の半生ということで秘蔵していたものである。 内容はその『仲間』の戦後記録となっており、 戦後起こった軍離れについて克明に記録された私的文書として、 研究の大きな対象となっている。 「もう二年か・・・。」 窓から見える無限の宇宙を見つめながら、マダラメは薄ら笑い浮かべる。 「早いもんだな。」 戦争終結から丸二年。小規模な衝突はまだあるものの、 世界は落ち着きを取り戻しつつあった。 「早いと感じるのは、無為に過ごしたせいじゃなくて?」 メガネをかけた明朗そうな女性── キタガワが奥の机に向かいながらマダラメのほうを見ずに話しかける。 「もっとあなたに...
  • アルエ・第四話
    アルエ・第四話 【投稿日 2006/07/01】 アルエ 朝 7 35 「ええ、さっき駅に着いて、今、一般行列の横、通ってます。ハルコさん達この中ですか?」 「そー。今、立ってるけど、そっちから見えないかな?」 「……いやあ、見えないですね。ハルコさん達は先に買い物するんですよね?」 「ぅ、うーん…。だからそっちのサークルスペース行くのは昼頃」 そこで大野がハルコの手から携帯を引っ手繰った。 「いいえ! ハルコさん、田中さん、私は着替えたら”スグ”行きますので。買い物は荻上さん”だけ”です」 言うだけ言って、大野は喜色満面でハルコに携帯を差し出した。荻上にふふんと鼻を鳴らして。 荻上はムッツリしてキャップを深く被り直す。 苦い顔でハルコは携帯を受け取った。 「……じゃ、そっちヨロシク…」 「……はい、じゃ、後ほど」 笹原はハルコの心中を慮...
  • 目眩く夢酔い
    目眩く夢酔い 【投稿日 2007/02/20】 カテゴリー-荻ちゅ関連 ―荻上!! 彼女の表情が微笑みに変わったとき、私はフェンスから手を離した。 落ち際に見えたのは、微笑んでる自分の姿だった。 ハァッ、ハッ、ハァ・・・ 体中、嫌な汗でベットリしてる。 荻上は笹原と付き合い始めてから、あの悪夢で目覚めたのは初めてのことだった。 それは彼女に再会したのが理由だろうか。 ―荻上!? 笹原とのデート中。 懐かしい声に、荻上は振り返った。 荻上「中島っ・・・!?」 中島「やっぱり荻上だぁ、コミフェス以来じゃん」 あの悪夢以前の関係のように、中島は馴れ馴れしく接してきた。 中島は荻上に、就職活動の最中であると話した。 中島は立派な社会人の女性のように、凛々しい出で立ちをしていた。 中島「ふ...
  • 第十四話・テンプルナイツ
    第十四話・テンプルナイツ 【投稿日 2006/05/10】 第801小隊シリーズ ゴウン・・・。ゴウン・・・。 宇宙ドッグ『ビッグサイト』の艦船港にて盛大な起動音が鳴り響く。 今まさに、一機の艦船が星の海への航海に乗り出そうとしていた。 「旧式とはいえ、こんなたいそうな代物よく使わせてもらえるよな。」 艦長席の前、言ってみれば副官席のような場所にマダラメは座っていた。 彼の呟きはもっともであった。 宇宙専用とはいえ、MSを6機まで収容可能という連盟でもかなり貴重な艦船だ。 通常、小隊に支給される艦船で3機なのだから、規模の違いを伺えるだろう。 「でもさー、それだけ期待が掛かってるって事じゃん?」 何も考えていないような声を出し、ケーコがそう返す。 彼女は通信席に座り、操作をおさらいしているようである。 「でもな、妹さんよ、我々の任務は上層部か...
  • 26人いる! その4
    26人いる!その4 【投稿日 2006/12/03】 ・・・いる!シリーズ 現視研の売り場を出る直前、神田が思い出したように言った。 神田「あっ、それからこれ、会長からのアドバイスなんだけど、売り子2人の内の1人はなるべく浅田君か有吉君にしてって」 浅田「そりゃまた何で?」 神田「何でもサブリミナル効果があるんだって。売り上げを伸ばす」 男子一同「???」 有吉「でも、どのみち僕は今から着替えに行くし、浅田君は神田さんの同人誌運ぶし…」 伊藤「なるべく早く帰って来てニャー」 有吉「それしかなさそうだな。じゃあ後頼むね」 神田「じゃあ私たちも行こうか」 岸野「そんじゃあ行って来るから、店番頼むね」 こうして売り場には、猫耳伊藤と長身の日垣という珍コンビが残った。 日垣「ところで伊藤君、何で会長は有吉君か浅田君が売り場に残るように言ったんだろ?」...
  • 第十六話・蘇る悪夢
    第十六話・蘇る悪夢 【投稿日 2006/05/31】 第801小隊シリーズ 「やめろ!」 俺は叫ぶ。・・・いつもの悪夢だ。 「・・・ククク・・・。止めるなら、その引き金を引けばいいじゃないか。」 「う・・・うう・・・。」 銃口が震える。照準が定まらない。 妙な起動装置の前で、その爺さんは・・・何かをいじくっている。 また止められないのか。俺は何度この悪夢を繰り返せばいい? 「う・・・うわああああああ!!」 俺がようやく打つ決意を固め、銃をしっかりと構えなおした時。 「遅いわ!!」 光が迸る。何かが・・・動いた。 「外を見ろ!!綺麗だろう!!これが私の生み出した光の槍だ!!」 「う・・・うあ・・・。」 まさに、光の槍が連盟、皇国が戦う空間へと突き出していく。 小さな爆発が多数生じ・・・。宇宙には静寂がおとずれた。 「あははははは...
  • 第零話・Before meeting you
    第零話・Before meeting you 【投稿日 2006/05/01】 第801小隊シリーズ アキバコロニー。 宇宙に出来た三番目のコロニーであり、宇宙交通の要所である。 様々な人、文化が行き交うその巨大なコロニーでは、内部で様々な集落を生んだ。 皇国の独立宣言に伴い、地球圏への足がかりとなるこのコロニーにもその影響は及んだ。 コロニーの自治政府内部でもどちらに与するかで意見が割れ、内部抗争の発端となった。 チカ=オギウエはそんな不穏な空気の中、日々を過ごしていた。 「うあー、寝坊しちったー。」 いいながらオギウエはハイスクールへの道を駆ける。 あせりながらパンをくわえているその姿はお世辞にもおしとやかとはいえない。 時期は卒業。迎える彼女は、今後に対するそこはかとない不安を抱えてはいた。 しかし、学校での日々と仲間たちはその不安を拭って...
  • 妄想会長Vオギウエ
    妄想会長Vオギウエ 【投稿日 2006/06/17】 カテゴリー-現視研の日常 【2006年3月/現視研部室】 「さあ ほら」 「みなさん一度帰って着替えるんでしょう」 「ボーッとしてないで動く!」 現代視覚文化研究会5代目会長・荻上千佳の指示が飛ぶ。 賑やかに談笑しながら行動に移る仲間達。 この日、笹原完士、高坂真琴、春日部咲の3名が卒業式を迎えていた。 追い出しコンパに備えて、笹原の部屋で着替える予定だった荻上だが、皆と一緒にサークル棟を出たところで、ハッと自分の手元を見回した。 ハンドバックを部室に忘れていたのだ。 普通、そんなものを忘れるなんてありえないのだが、新会長就任で気持ちが舞い上がっていたのかと、荻上は自分を恥じた。 オロオロする彼女に、傍らの笹原が、「どうしたの?」と声を掛ける。 「ちょっと待っていて下さい。すぐ...
  • 2月号予想・その六
    その六 夢を見た【投稿日 2005/12/04】 カテゴリー-2月号予想 皆が寝てしまった深夜のロッジだが、荻上は一人起きていた。 過去を語って泣いてしまったあと、他の者には気丈に振る舞い、 男性メンバーも交えて談笑したあと就寝となったのだが、やはり眠れないのだ。 ノートを取り出し、過去の友人や今の仲間の絵を描いている。 といっても泥酔近いのでぐちゃぐちゃだ。それを直して…という事を繰り返している。 荻上「私が駄目だったんだァ…。でももう引き返せね…。」 独り言まで出ているが、ワインをかなりのスピードで飲み トイレに行ってはリバース。なんという飲み方だろう。 今時の体育会系でもそんな技を実践している所は少ない。 小柄な割りにリセットを多用したこともあり、また肝臓が強いのだろう、 明け方に咲がトイレに起きた時、まだ荻上は飲んでいた。 ...
  • サマー・エンド1
    サマー・エンド1 【投稿日 2006/03/19】 サマー・エンド 梅雨の気配も近づく春の終わり。 建物に挟まれた狭い線路の上を電車が滑っていく。 日が沈んだ街の間を、宝石を飲み込んだ青虫みたいに窓に灯りを蓄えた車体が陸橋を走り去る。 実際、その電車の車内には女友達のグループや歳の近い親子、それと恋人同士が 思い思いの紙袋を提げて乗っているのだ。それぞれの袋に自分、もしくは相手の見立てに 合った服や靴や帽子や雑貨が詰まっているはずである。 夜空には月が出ていた。 『CLOSE』のボードがガラス越しに揺れるショップに咲の姿があった。 ガラス張りの店構えに白いアクリルの床。覚めるような涼感の照明が凛とした雰囲気を醸している。 並べられた商品の数も品揃えから比べて少なめであり、ある種の高級感さえ感じられた。 目当ての顧客年齢層は10代よりも20代中心と...
  • 第八話・ペンダント
    第八話・ペンダント 【投稿日 2006/02/20】 第801小隊シリーズ 「・・・君には人殺しはしてほしくないんだ・・・。」 誰だろう?私はこの人を知っているはずなのに、思い出すことが出来ない。 とても、悲しそうな顔をしている。 とても、つらそうな顔をしている。 場面が変わる。何か大きな機体の前に私とその人は立っている。 「・・・君が適格者だったとはね・・・。」 諦めのような、自嘲のような笑みを浮かべるその人。 その人のことを、大切に思っていたはずなのに。 私はどうしてこの人を思い出せないのだろう。 頭が痛い。割れるような痛みが走る。 大切な何かを、忘れている。 また場面が変わる。研究室のようなところ。 「・・・この機体は破棄するよ。これ以上戦争を大きくしたくない・・・。  あいつも、納得してくれたしね。」 にっこり笑うその人。...
  • 東北の反逆児
    東北の反逆児 【投稿日 2005/10/27】 カテゴリー-他漫画・アニメパロ 荻上は夏コミ以来、積極的にイベント参加をするようになった。最近は売り手としての参加にも慣れ、 その名も少しは知られるようになり、ある種の覚悟が固まりつつあった。 だが…知られるとともに同人の「別の要素」がみられるようになる。 そう、彼に象徴される「自称知り合い」のたぐいのような… 「大野さん声優してみな~い?知り合いが探してるんだよ~エロゲだけどねww」 「いえ…やめておきます」 大野加奈子は顔を引きつらせつつ、無難に原口の誘いを受け流した。 (何でこの人ここにいるんだろう…) 何か手伝いをするでもなく、当日ふらりとあらわれて当然のようにスペースに居座る。 することといえば自己満足の「批評」か誰それに会ったとかいう「自慢」だけ。 「あ、荻上さんだっけ?見たよ同人~」 ...
  • koyukiⅡその3
    koyukiⅡその3 【投稿日 2007/02/18】 カテゴリー-斑目せつねえ 卒業式の日の夜。新宿駅東口。 田中総市郎、加奈子夫妻は、この日無事卒業式を終えたスージーを連れて、新宿まで繰り出していた。 スージーの追い出しコンパを開催するためである。 残りの参加者は、スーの知っている現視研の現役会員やOB・OGであり、現在会長を務める朽木が駅前で掌握し、随時合流する予定であった。 「あとはお任せくださいッ!」 全力で敬礼する朽木にちょっと不安を感じつつ、総一郎と加奈子の夫婦は、真ん中にスージーを置いて目的地へと歩き始めた。 「それにしても賑わってるな」 「スー、離れちゃいけませんよ!」 3人は、駅前の雑踏をかき分けるようにして目的の居酒屋に辿り着いた。 店内もまた、歓声や拍手、叫び声のような店員の挨拶など、戦場のような賑わいを見せている...
  • 3月号予想・その六
    その六 ある冬の日【投稿日 2005/12/28】 カテゴリー-3月号予想 東京、有明。  今日は冬コミの二日目である。その会場の中のブースの一つに荻上と笹原の姿 があった。  笹原が言う 「連続で二回も当選するなんて、結構運がいいんじゃない?」 それに荻上が答える 「そうですね。おかげで新刊を出すこともできましたし」  コミフェスの競争率は高いが、荻上は夏コミに続き、今回も当選していた。以 前に作った同人誌だけでは物足りないと言うことで、新たに本を作り、それらを ブースに並べた。 「内容は今回もくじアンなんだよね?」 「そうっす、麦男×千尋ものの続編と言うことで」 二人の会話には合宿前のようなぎこちなさはない。でも、この二人が晴れて恋人 同士になった、と言うわけではない。確かに、笹原は荻上に「好きだ」と告白し た。しかし、荻上の...
  • 斑目&スーのステディライフ【2】
    斑目&スーのステディライフ【2】 【投稿日 2007/01/29】 斑目&スーのステディライフ 「koyuki」おまけ/斑目&スーのステディライフ(その2) 土曜日の夕方。 道端に雪の残る街並みを歩く斑目。 スージーは、斑目の少し前をヒョコヒョコとはねるように歩いている。 表情には絶対に表れないが、どうやら楽しそうだ。午後から近くの公園で、日が陰るまで雪遊びをしていたのだ。 だがもうすぐ日が暮れる。斑目は時計を気にした。 「どうする。田中ん家に電話してアパートの住所確認する?」 「………」 スージーは振り向かず、黙って斑目の前を歩いている。 「あ、そうだ」と、斑目は携帯電話を取り出した。 「昨日乗ったタクシーの中で、スーが忘れ物をして俺が預かってるってシナリオで笹原ん家に電話して……」 「………」 スージーがステップを止めて振...
  • らびゅーらびゅー
    らびゅーらびゅー 【投稿日 2006/05/04】 カテゴリー-笹荻 秋も深くなり、徐々に寒さも厳しくなってくる10月。 大分厚着の人も目立ちだし、寒さが目に見えて分かってくる季節である。 しかし、ここは全くそれも関係ないほど暖かい。午後の光のせいだけではない気がする。 場所は小さめのカフェ。ミントティーの香りが漂うオシャレな場所だ。 「面白かったですね・・・。」 そういいながら映画のパンフをうっとりするように眺める頭を後ろに縛った女の子。 荻上千佳さんである。 「だね。でもやっぱり端折り過ぎかな・・・。もっと色々描いて欲しかったけど・・・。」 今日は二人で映画を見に来て、その帰りに、カフェに寄ったのだ。 「ですね。フォウは・・・あれでよかったんですかね?  私としては結構好きなキャラだからもっとスポットを当てて欲しかったような・・・。」 「...
  • せんこくげんしけん3
    せんこくげんしけん3 【投稿日 2006/03/02】 せんこくげんしけん 長い廊下を歩く荻上。 戻れるのかどうか分からない不安感や、この時代に生きていた当時の自分のことを思い出さないように、笹原のことだけを想った。 (今、笹原さんは私より年下でねが……キャー!)視線を明後日の方向に泳がせて、思わず想い人の名前が口にでそうになる。(まあいいよね。ここは2002年だし)と自分を納得させた上で、甘えた声を出してみた。 「笹原サン(はあと)」 「はい?」 「!!」 ありえない返事に我に帰る荻上。気が付いた時には、正面に見なれた顔があった。2002年当時の笹原は、ちょうど通り過ぎざまに、見ず知らずの女子に呼び止められた格好になった。 斑目05は、ぶらぶらと廊下の手前まで来ていたが、前方を歩いている後ろ姿を見て、笹原であると気付いた。廊下の角に隠れ、...
  • 真っ赤な誓い
    真っ赤な誓い 【投稿日 2007/01/18~03/08】 カテゴリー-斑目せつねえ その日の斑目はいつもと様子が違っていた。 いつも通り仕事をそつなくこなしていたが どこかソワソワした感じを漂わせており、落ち着かない様子であった。 「斑目くん」そんな彼の様子を見た上司が声をかけたのが 昼食も終わり、午後の業務に入る前であった・・・。 「今日ぐらいは、休みをとっても構わなかったのに・・・」 「大丈夫ですよ、明日は休日だし、  仕事していないと落ち着かなくて・・・  ここに連絡入れてもらえるように頼んでますから・・・ 今日はまだ大丈夫なんじゃないですか・・・・」 斑目は引きつった笑顔で答えた。 「気持ちはわかるがなあ・・・ いざというときそばらにいなかったらあとあと恨み言をネチネチ言われるぞ・・・・ 俺がそうだったから・・・。」 上...
  • 4月号予想・その三
    その三 扉【投稿日 2006/01/29】 カテゴリー-4月号予想 まだ夜明けといった早朝、外ではスズメだろうか、鳥の声が聞こえる。 笹原は目を覚まして起き上がっていたが、泣いていた。 笹原『……もう駄目だ、もう――――………あれ??』 涙を拭うと、大きく一つ息を吐いた。 笹原「はぁ~~~、夢、か………よかった~~~」 笹原はさっきまで見ていた夢を思い出していた。 荻上が現視研から去った砂を噛むような日々、そして―――― 病院の霊安室で触った、冷たい荻上の遺体。 その冷たくなった荻上に触れた指に残るひやりとした感触。 自分を囲む世界が全て歪んで、肌の内と外が入れ替わるような感触。 それがいまだに笹原の感触としてリアルに残っている。 笹原『よりによって今日、なんでこんな夢をみちゃったんだ………』     『昨夜は予習の為に女性向け同人サイト...
  • 斑目、歩く
    斑目、歩く 【投稿日 2007/12/14】 カテゴリー-斑目せつねえ  ● もし俺が「フツー」の奴だったら。  斑目晴信はふと考えた。足を止めて目を空に泳がせる。手を顎に当てようとしてやめた。わざとらしいポーズに思えたのだ。  冬は終わり、春も近い。 異常なほどに冷え込んだ空気も今は若干の暖かさと湿気を含んでいる。乾いて軽かった冬の空気を斑目は懐しんだ。空気が肌の表面を舐めているように彼は感じた。  汗がこめかみから頬を伝って首へと落ちた。肌着の中に入り込んだそれに気づいて彼は顔をしかめる。手で軽くつかんで服を二三度揺さぶった。しかしそうして送り込まれた空気もやはり重たく肌に吸い付いてくる。眉間に皺寄せて彼は天を仰いだ。  太陽の光は圧倒的だった。  降り注いでくる光線はアスファルトの上で弾けて四方に跳ねている。  頭上から降り注ぐ光の雨。粉々に...
  • サマー・エンド2
    サマー・エンド2 【投稿日 2006/03/26】 サマー・エンド 激しい風が緩やかな坂をかけ上がっていって、中学生やそこらの仲良しグループがきゃああとはしゃぐ。 バサバサになった髪を顔を見合わせて笑うと、お人形さんの髪を梳かすように相手の頭を治してあげる。 ジト目で咲がじっと見ていた。 (きゃわいいのう…。けっ!) 店内に人はない…。スローな女性ボーカルの洋楽が流れる店内。 風のぶおうぶおうと音が時たまそれをかき消した。 煌々と照る照明。咲は電気代が勿体無いので消そうかとすら思った。 (くそう! せっかくの日曜になんで暴風が吹き荒れるんじゃい!!) 言わずもがな、土日祝日は書き入れ時であるわけで、特に赤字削減を命題に励む咲にとっては真剣勝負の大事な一日である。 それなのに強風…。ドア開けるのもしんどい…。しかも夜から雨の予報も出ているとか。 「...
  • 筆をギュっとね!
    筆をギュっとね! 【投稿日 2006/09/14】 カテゴリー-他漫画・アニメパロ ここは関東の地方にある多摩県。夏休み終盤の頃、県の総合体育館に 体格の良い高校生がぞろぞろと集まってきていた。 地域の高校の柔道部が、合同練習を始めようとしている。 会場の観客席の一陣を確保して、柔道着に着替えている一団が居た。 背中のゼッケンによると、現士高校の柔道部のようだ。 部員数は6人、体格のいいのは二人だけであとは細身であり、部員も かなり少数で5人の団体戦もギリギリのようだ。 一人だけ柔道着に着替えずに、カッターシャツに腕を吊っている者が居る。 その中でキャプテンは意外なことに細身の斑目、3年生だ。 他に3年生には超重量級で昔ながらの柔道体型である久我山と、 がっしりした中量級の田中が居るので、知らない者が華奢な斑目を キャプテンと思う事は無いだろ...
  • キミハイキノコルコトガデキルカ
    キミハイキノコルコトガデキルカ 【投稿日 2005/12/02】 カテゴリー-現視研の日常 「こ、これで終わり?」 土曜日のマッタリとした夕方、 テレビ画面に向かって唖然とした表情を向けたのは荻上。 「え、え。もうちょっとフォローとかないの? シンにしろルナマリアにしろまだほら・・・。」 そうはいってもTV画面の映像はエンディングが映っていた。 テレビ欄にも、しっかりと終、のマークがついていた。 「な、な、納得いがねーーー!!」 「やっぱり種死、ひどかったすねー。」 「まあ、トミノ以外のガンガル自体駄目なんだよ。」 斑目と笹原は相変わらずのんびり会話している。 「そういえば。おまえ、就活大丈夫なのか?」 「先輩には言われたくないっすねー。」 就職しても来る斑目。就活中の笹原。 「む・・・。まあ、頑張れや。」 「はは、...
  • 現聴研・第九話
    現聴研・第九話 【投稿日 2006/06/01】 現聴研 舞台の脇で司会のお姉さんがマイクを手に、明るく紹介する。 司会「次は、マイナー曲を広める使命を帯びたバンドだそうです。     それでは『げんちょうけん』の皆さん、どうぞー!!」 夏祭りの野外ステージに照明が灯り、現聴研のバンドメンバーが 白い光に照らし出された。 ステージの真ん中にはタンバリン片手の斑目が立っている。 暑いが細身のスーツっぽい、装飾の派手な衣装を着ている。 男性メンバーは全員、似たような感じで統一されている。 斑目の左側では、セミアコースティックギターを抱え、髪を下ろして 赤いノースリーブの、ロングのチャイナドレスに身を包んだ荻上が 緊張してモジモジとしている。 右側には笑顔で汗一つかいていない高坂が見える。その後ろにはキーボードが有り、 真っ青なサリー(インドの...
  • 荻上さん、入院する
    荻上さん、入院する 【投稿日 2005/10/14】 カテゴリー-笹荻 笹原「ちわーす。あれ、誰もいないの?不用心だなー」 部室の中は、一見誰もいないように見えた。 だが次の瞬間、彼は小さな呻き声に気付いた。 声のする方を見ると、床に倒れている人影。 しかもその頭には見慣れた筆毛が・・・ 慌てて駆け寄る笹原。 笹原「荻上さん?どうしたの?」 荻上さんは返事することすら出来ず、脂汗を流しつつ腹を押さえて苦悶していた。 笹原「大変だ、救急車呼ばなきゃ!」 荻上「ここ、どこ?わたす、何してるの?」 荻上さんは目覚めると、ベッドの中に居た。 その枕元には、笹原が座ってた。 荻上「笹原先輩?」 笹原「気が付いたようだね。安心して、ここ病院だから」 荻上「病院?」 笹原「荻上さん、部室で倒れてたんだよ。それでこの病院に運んだら盲腸だ...
  • Zせんこくげんしけん2
    Zせんこくげんしけん2 【投稿日 2006/03/13】 せんこくげんしけん 【2005年8月9日/12 50】 話は遡るが……。 大野はこの日、スージーとアンジェラを再び大学内に連れてきていた。 咲から、「キケン、大学にクルナ」と短いメールが入り、続いて簡潔に状況が知らされた時、すでに大野達は大学に来ていた。 「もう遅いんですけど……」 引き帰そうにも、正門には、野球のユニフォームを着て緑色のマスクをかぶった怪しい人物がこちらを見ている。 マスク男が近付いて来た。 旧現視研メンバーと思われる不審者を捕まえようというのだが、マスク男自身が不審者そのものである。 逃げることもできず、「あうあうあ……」と、うろたえるばかりの大野。 アンジェラは隣で、「What is it festival today? I want also to wear th...
  • 第十話・オギウエ出撃
    第十話・オギウエ出撃 【投稿日 2006/03/06】 第801小隊シリーズ 「何・・・?」 怪訝そうな顔で、ナカジマは向かい合う初老の男性を睨む。 ここは例の兵器を回収した部隊の基地。 「宇宙へ出ろ・・・、と?」 「はい、お嬢・・・いえ、ナカジマ大佐。  上層部から、兵器を持ち本体に合流せよとの命令が下っております。」 「・・・しかし、まだパイロットがいない。これでは動かせまい。」 ナカジマはくるりと体を反対に向け、ディスプレイを見る。 「・・・私も操作出来ない訳じゃございませんが・・・。」 「オギウエでなくてはいけないのだ!」 思わず激昂し、語彙が荒くなるナカジマ。 「・・・・・・大佐、少しあのパイロットにこだわりすぎでは・・・。」 「・・・なんだ、私が私情を挟んでいるというのか?」 睨みをさらに利かせるナカジマに、男はたじろぎも...
  • アルエ・第二話
    アルエ・第二話 【投稿日 2006/06/17】 アルエ 「おう、荻上。こんちわ」 大学の構内。 特徴的な筆頭に春日部は声をかけた。呼ばれた筆頭が振り返って小さく傾く。 横にいる真琴と笹原にも会釈を投げた。 「荻上さんも部室いくとこ?」 「そうです」 笹原にそう言うと、荻上はくるっと前を向いてそのまま歩き出そうとする。 笹原は慌てて言葉をつないだ。 「折角だから一緒にいこうか」 荻上は立ち止まった。もどかしそうに視線を下向けていた。 「はあ、いいですけど」 だいぶ現視研に馴染んだと思うけど、まだこういうところがあるなあと笹原は思った。 ちょっと集団行動に慣れていないというか、一人になりたがるようなところが。 「あー、痛い痛い」 春日部は呆れて笑う。荻上はギンと目尻を尖らせた。 「何がですか」 「いーや別に」 「まあまあ...
  • 必殺御宅人1
    必殺御宅人1 【投稿日 2006/05/25】 必殺御宅人 カネに生きるは下品にすぎる 恋に生きるは切なすぎ 出世に生きるはくたびれる すべて浮世は視覚之文化 萌えにギリギリ生活かける 仕事はよろず引き受けましょう 人呼んで御宅人 ただしこの稼業 江戸職業づくしには載っていない   ※       ※ 錦絵(浮世絵)や華々しい見世物など、庶民を中心に視覚文化が大きく花開いた江戸時代。見る文化が発展すれば、おのずとさまざまな嗜好も生まれてくるもの……。 ところは江戸浅草の外れにある椎応長屋。 夕刻、この長屋に住む浪人・斑目晴信は、傘貼りの内職を終えると、同じ長屋の奥まった一角へと足を運び、ある部屋の前に立った。 そこの扉には、美人錦絵が貼られて飾られている。 しかしその絵は、菱川師宣に始まり喜多川歌麿、東洲斎写楽が人気を博す...
  • スザンナの消失その4
    スザンナの消失その4【投稿日 2007/04/07】 カテゴリー-その他 第七幕 救出 スージーと斑目そしてアレック、千佳子 スージー一行は斑目の運転するバンで「潜伏地」に向っていた。 「そんな分かってるんだったら早く助けるなり、さらわれないようにすればよかったのに!」 斑目はスージーに対してぼやいた。 「二人に危害は及びません。準備が整わない内は動くに動けなかったのです。」 「もう準備は万端という事?」 「ええ、携帯でテレビ中継を見て御覧なさい。」 斑目は千佳子に携帯を開いてもらって、車のフォルダーに固定してテレビを観てみた。 テレビは異様な光景を実況中継していた。GX-ガノタックスで使用された国産初号機・・・機動○士ガ○ダムそっくりな機械が街中で暴れまわっていた。もちろん器物を破損するだけの示威行動であったが、マスコミ、ネットで騒然...
  • 第二話・最前線
    第二話・最前線 【投稿日 2006/02/05】 第801小隊シリーズ 「なに?墜落だと?」 ここは第801小隊の防衛拠点に一番近い皇国軍の基地である。 「ええ・・・。パイロットの生存も確認できません。」 「くそ!よりにもよって連盟軍のエリアに墜落するとは・・・。」 場所を確認するための大型ディスプレイを見ながら苦い表情をする女指令。 「ナカジマ大佐・・・。どうしましょうか・・・。」 「どうするもこうするもない!回収せねばならないだろう!」 「しかし、それでは連盟との衝突は免れませんが・・・。」 その提言に対してナカジマはにらみながら怒鳴る。 「そんなことはわかっている!しかし、アレを回収されるわけにはいかん!」 「ようやくきやがったか・・・。」 マダラメがそう呟くと、空には一機の輸送船。 「ようやくですな。」 クチキも苦い表...
  • 逃げ道
    逃げ道 【投稿日 2006/11/27】 カテゴリー-笹荻  今更怖じ気づいたってもう遅い。  これは私にこんな気持ちを植え付けたあなたへの罰なのだ。  荻上は今幸せのまっただ中にあった。彼女にはとても大切な人がいて、 相手も自分のことを大切に思ってくれている。この大切な人とは当然笹 原のことである。それまで、自分の趣味をひた隠しにし、そんな自分が 大嫌いであった彼女を受け入れてくれた、とても愛しい人。一緒にいる だけで幸せな気分になれる、今や自分にとっては無くてはならない存在。 荻上にとって、笹原が近くにいるということの意味は大きい。  が、懸念が一つある。最近、笹原の態度が何となくそっけないのだ。 会話をしていてもどこかぼんやりとしているし、荻上が新しい服を着て みてもその反応は薄い。デートに出かける回数も少なくなっている気が する...
  • 11人いる!
    11人いる! 【投稿日 2006/02/19】 ・・・いる!シリーズ 西暦2006年4月。 結論から先に言うと、荻上新会長率いる現視研新体制下の新人勧誘は、男子5人女子6人の計11人という例年にない大漁で終わった。 後でサークル自治会の役員の人に聞いた話によれば、これは現視研創立以来最高記録であり、今年の新人勧誘では体育会系も含めて全サークル中トップだそうだ。 今年の新人勧誘が大成功した理由は、大きく分けて三つあった。 一つ目は、例のアキバ系小説原作のドラマと映画の大ヒットでオタクがちょっとしたブームになり、全国レベルでニワカオタや新人オタが増えたことだ。 椎応大学にもそんな新米オタが何人か入学していた。 普通こういった人が目指すのは、漫研かアニ研だ。 だがこの両会は、初心者オタには敷居が高過ぎた。 高校ならともかく、大学にもなって絵心のない人には...
  • 斑恵物語-終-
    斑恵物語-終- 【投稿日 2006/03/09】 斑恵物語 ルルルルッ、とベルが鳴る。 キーボードを打つ音とパソコンのファンが響くオフィスの静寂を電話のベルが破った。鼻にかかったような電子音が妙に耳に付く。 ワンコールが終わる寸前に、斑目は受話器を取った。電話を取るのも事務の仕事の一つだ。 「はい、桜管工事工業です。」 淀みなくそう応える。片手はシャープペンを握って、頭を数回ノックする。 コンビニで一本ずつビニール袋に包装されていた、105円の洒落っ気も何も無いシャープペンであるが、オフィスには相応しい。 「はい…、いつもお世話になっております。はい…、少々お待ちください。」 斑目は『保留』ボタンを押して、内線番号表を確認すると別部署に電話を回した。 電話の応対も、だいぶ板についていた。 入社したころは慣れない言葉遣いにシドロモドロ。セールスの電話に...
  • 笹荻BADEND2
    笹荻BADEND2 【投稿日 2006/04/16】 笹荻BADEND 笹原がことに異常さを感じ始めたのは3日を過ぎた頃からだった。 平時から小まめに連絡を取ってくる荻上が3日間何の連絡もよこさない。 その直前、何か怒らせるようなこともしたからかと思い、 比較的荻上と会う斑目や、彼女が信頼を置く春日部や大野に聞いてみたが それらしい様子は見られなかったと言う。 1週間。 意を決して荻上の携帯電話から、彼女の実家の電話番号を調べ学校の関係者を 装って電話をかけた笹原は殴られたようなショックを受ける。 実家には戻っていない。 電話で話す限り特に急を要する何かが起こっているような気配も感じれられない。 なんとか動揺を隠し通したまま電話を切った笹原は荻上が残したメモ書きを見つめる。 何かのトラブルに巻き込まれたことに...
  • 第九話・戦禍の村の伝説
    第九話・戦禍の村の伝説 【投稿日 2006/03/01】 第801小隊シリーズ 誰にだって触れられたくない物がある。 クチキ一等兵にとっての趣味は美しいものを撮影することだ。 戦場の殺伐とした中でも、自然は美しい。 沈みかける太陽、満天の星空、さざ波が寄せてくる砂浜。 さまざまな美しいものを集め、コレクトする。 その趣味は、時に許されない行動を伴うこともある。 しかし、それでも彼はそれを入手することを躊躇うことは無い。 なぜなら、それが美しい以上、残すことが使命だと感じている。 ・・・あの人にあってから。 「にょ~~・・・。」 勢いで飛び出してきたものの、すでに心細くなっているクチキ。 今彼は密林の中を一人歩いていた。 とりあえずおなかが減っていたので、何かしら食べるものを求めていた。 「勢い込みすぎたにょ~。すぐに謝るでありま...
  • 30人いる!
    30人いる! 【投稿日 2007/07/16】 ・・・いる!シリーズ 西暦2006年、一時は存亡の危機に立たされた荻上新会長政権下の椎応大学現代視覚文化研究会は、11人もの新入会員を迎え見事に復活した。 会員激増に伴なう部室の移転、親睦を図る為の海水浴、そして夏コミでの同人誌販売に3日間日替わりのコスプレと、数々のイベントを消化しつつ進み続ける新生現視研。 現在の次なる攻撃目標は学祭だ。 スーがクルルのコスを希望したことから始まって、話はケロロ小隊コス、そして夏コミで使ったベムとアルの着ぐるみコスも交えた「ウルトラファイト」風映画制作へと発展。 果たして現視研の映画制作は成功するのか? どうなる現視研! どうする荻上会長! 現視研の明後日はどっちだ! 主なオリジナル設定 荻上会長政権下での新1年生は11人で、さらに秋からはスーとアンジェラも加わ...
  • 僕ハココニイル
    僕ハココニイル 【投稿日 2006/05/20】 カテゴリー-現視研の日常 「会長、お願いします!!」 大野さんは大きな声でそう言った。 朽木君は自分の耳を疑った。 「………え!?ボクチンですか!!!???」 それは新学期の始まる数日前。 大野さん、荻上さん、朽木君は新入生歓迎会の打ち合わせのため部室に来ていた。 大「…今日は大事な話があります。」 大野さんは妙に真剣な面持ちで言った。 荻上さんは黙っている。朽木君はにょ~としている。 朽(次期会長のことなんダローなーーー。去年は盗塁のフリしてみたけど、今年は何のフリしてミヨーカナーーー?) 誰も朽木君のリアクションなど見ていなかったのだが、朽木君はそんなことおかまいなしだった。 荻上さんに会長をゆずるところを見て、『俺じゃねーのかよ!』とコケる気マンマンでいた。 ...
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