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ヒラメキパズル マックスウェルの不思議なノート - (2013/05/03 (金) 19:27:51) の編集履歴(バックアップ)


ヒラメキパズル マックスウェルの不思議なノート

【ひらめきぱずる まっくすうぇるのふしぎなのーと】

ジャンル ヒラメキパズル
対応機種 ニンテンドーDS
発売元 コナミデジタルエンタテインメント
開発元 5th Cell
発売日 2011年1月27日
価格 3,980円(税込)
レーティング CERO:A(全年齢対象)

概要

Warner Bros. Interactive Entertainmentの発売したアクションパズル『Scribblenauts(スクリブルノーツ)』のローカライズ版。
オリジナル版はミリオンヒットを記録し、シリーズ化されている。
日本ゲーム大賞2011におけるゲームデザイナーズ大賞受賞作でもある。

特徴

「書かれた単語に応じた物体が実際に現れる」という不思議なノートを持つ主人公マックスウェルを操作し、出現したアイテムを用いて人助けをしたり、困難をクリアするパズルアクションゲーム。
下画面のノートに単語を記入してアイテムを召喚し、それを駆使してマックスウェルがマップ中のスターを取ればマップクリア。

  • 単語入力方法は、タッチペンで文字を書いて入力する手書き認識と、ひらがな/カタカナ/アルファベットに対応したタッチペンによるキーボード入力がある。
  • 出現したアイテムはそのまま使う事もできる。2つ以上のアイテムを組み合わせて使う事も可能。
  • マップには大きく「~をしろ」等のクリア条件が設定されていて、それを満たせばスターが出現する「パズルモード」と、最初からスターが設置してあり、アイテムを駆使してスターを手に入れる「アクションモード」がある。
    • クリアの際には如何にマップごとに設定された規定より少ないアイテムで、どれほどスタイリッシュな方法で、余分な時間をかけずクリアできたかに応じて評価され、ゲーム内の通貨である「オラー」を入手。これを消費して新たなマップを解放することができる。
    • 一度クリアしたマップでは、以前クリアした際に使用していない単語のみを使用して、3回連続クリアする必要がある「アドバンスモード」にチャレンジできる。
    • エディットモードもある。作成したマップは通信で他のプレイヤーに遊んでもらうこともできる。

評価点

対応する単語の多彩さ

  • 収録された単語は一般的なポケット辞書に匹敵する2万語以上。単語がほぼ名詞に限定されているという点も考えると、恐ろしく充実していると言える。思いつく限り入力しても高確率でヒットし、呼び出すことができるであろう。
    • 登録単語は一般的な物から専門的な物、動植物の細かい品種、マニアックな物、SFやファンタジーに出てくる架空の存在、現象、人、職業など幅広く、それに応じて形を問わず様々なアイテムを出すことができる。

自由度の高いクリア条件

  • シナリオクリアのために決まった答えは存在せず、最終的にスターを取る、又は出現させればクリア扱いになる。
    • 例えば「ヒマワリの芽を成長させる」ことがスター出現条件となっているマップでは、「じょうろ」で水を与える、「たいよう」で光合成を促す、「ひりょう」を与える等々様々な方法が正解扱いとなる。
      単純にクリアを目指すだけではなく、最小限のアイテムでのクリアを目指したり、あえて回りくどい方法を取ったりと、工夫次第で色々な解決方法を導き出せる楽しさがある。マップにもよるが、文字通り無限の解法が存在する。

      と、ここまでならば収録単語数と自由度が高い程度の単なる「ゲームをしながら単語を覚える」子供向けの教育ソフトでしかないという印象を受けるだろうが、このゲームの真の魅力は「教育ゲームの皮を被った確信犯的なバカゲー」という点にある。以降にその点を例示する。

多彩「過ぎる」対応単語

  • 生み出せるアイテムには「公序良俗に反するものはダメ」「実在するものでないとダメ」という制限はあるが、抜け道が多数存在する。例えば…
    • 「ゲロ」はダメだが「吐しゃ物」はok。
    • 「酒」はダメだが「酒場」はok。
    • 「エクスカリバー」「グングニル」といった「伝説の武器」もok。実…在…?
    • 「クトゥルフ」「サキュバス」といった一部の怪物もok。彼らは実在していたんだよ!
      • なお、一部のファンの間では「クトゥルフを如何に有効に使うか」が命題となっていたりする。
    • しかも、ローカライズ担当のコナミの悪ノリで、「ソリッドスネーク(※小島プロダクション監修済)」「アルカード」「ゴエモン」「ビックバイパー」「パワプロクン」「ふじさきしおり」「たかねまなか」等数々のコナミキャラが召喚可能。
      空を自由に飛べてミサイルが撃てるビックバイパーはともかく、バンパイアにあっさり返り討ちに遭うアルカードや、小動物にすら簡単に殺されるしおりやまなか等、役に立つかは微妙なのが多いが。
    • 「LHC(ラージハドロンコライダー)*1」や「かくばくだん」など出したが最後ゲームオーバーとなる物もある。

自由度が「高すぎる」クリア条件

例えば「屋根から降りてこない子猫を下で待つ飼い主の所に戻す」がクリア条件となっているマップでは、
1.「はしご」を用いて助けに行く。
2.「つばさ」を付けてマックスウェルが空を飛び、屋根の猫を回収する。
3.「キャットフード」で猫を釣る。
4.「しょうぼうし」等助けてくれそうな職業の人を出す。
5.「たきび」「かえんほうしゃき」などで家を焼き払って引きずり落とす。
6.「クトゥルフ」を呼んで子猫を驚かせて無理矢理降ろす。
など、とにかく「子猫が生きて飼い主と再会できればOK」となる。
圧倒的な自由度を誇るため、ただクリアするのではなく、「いかに奇抜な方法でクリアするか?」に血道を上げて取り組むプレイヤーも多い。

  • 例として挙げたマップはごく序盤の簡単な物であるため、ここまでするのは単なるネタでしかないが、ゲームが進んで難易度の上がったマップで、更に条件が限られるアドバンスモードをプレイする際には、もう手段など選んでいられない。必然的にシュールかつ無慈悲なクリア方法を強いられることになる。
  • なお、クリア条件に「~を傷つけてはならない」といった条件が無い限り、無辜の一般市民や動物などをいくら殺そうがクリアとなる。文字通り目的の為に手段を選ぶ必要のないゲームである。
  • 余談だが、本作はレーティングの関係か「子供キャラは何をされても死なない」という特性がある。そのため猛獣や怪物に差し出して囮にしたり、溶岩の中に叩き込んで足場代わりにする等の無茶ができる。
  • また、システム的な穴として、同じ意味の単語でも名称が異なれば別のアイテムと見做される。前述のアドバンスモードでも、例えば以前に体に取り付けて空を飛べるようになる「つばさ」を出していた場合でも、「はね(てんし)」「ウイング」「WING」がそれぞれ外見・性能は同じでも別個のアイテム扱いとなるので、使用制限されず普通に使える。

難点・賛否両論点

強力すぎる単語が存在する

本来は子供向けのゲームであり、ある程度抜け道を作らないと詰まる可能性があるためであろうが、それにしても万能に近い単語が色々存在する。
最終的なゲームの難易度はかなりの手ごたえとなるが、これらの単語を駆使すれば一転ヌルゲーと化す。

  • 例えば「む(無)」と入力すればブラックホール状の物体が発生。吸い込まれると敵のほぼ全てが死に、障害物の大半が破壊される。スターが破壊されることもあるが、平仮名1文字という手軽な入力で強力無比な効果が得られるという点から、プレイヤーの間では反則に近い扱いを受けている。
    他にも炎以外では倒せない「スライム」や非常に強い上マックスウェルに攻撃してこない「かみさま」等強すぎる単語は多い。

日本人には分かり辛い問題が存在する

基本的にアメリカで発売されたソフトをそのままローカライズしているため、余程向こうの文化に詳しいか、向こうで暮らした経験が長いプレイヤーでもなければピンとこない場合もある。

  • 例えば「誕生日の男の子がピニャータ*2を割るのを手伝え」という設問に「男の子に「バット」等の鈍器を渡す」、「レプラコーン*3との競走に勝て」に「目の前に「きんかい」等の金目のものを置いて気をそらす」といった正解をパッと出せる日本人プレイヤーはそうそう存在しないだろう。

総評

「ヒラメキパズル」の看板に偽り無し、の珠玉の逸品。
普通にクリアするもよし、多彩すぎる攻略方法を駆使してバカゲーチックに楽しむもよしで2度おいしい作品となっている。
バカゲー好きの親御さんならば、「子供に『言葉の勉強のために買い与える』という名目で購入し、自分も無茶苦茶な単語を入れてシュールな光景を楽しむ」「家族のプレイを見てニヤニヤする」というといった遊び方ができる。残酷描写は全くないので安心してお買い求めいただけます。

余談

  • 前述の通り本作のオリジナルである『Scribblenauts』はシリーズ化されており、その内第2作目の『Super Scribblenauts』は『スーパースクリブルノーツ』の名で本作同様日本語ローカライズされている。
    ただし本作と違い原題をそのままカタカナで邦題にしているため、続編であることに気付かなかったプレイヤーもいたらしい。
    • 『スーパー~』では単語の前に修飾語を付けることが可能になっており、単語に様々な特性を持たせることができるようになっている。もちろんコナミネタも健在。
    • 一方で本作とは違いCEROはB(12歳以上)となっている。教育ソフト…?
  • ローカライズの指揮を担当したのは、『悪魔城ドラキュラ』シリーズの名物プロデューサーIGA氏である。気心の知れたスタッフ数人で移植を担当したため、「オリジナル版のスタッフロールが凝っていたし、『名作の移植に携われた、という事実さえあればいいや~』という感じだったので日本語版のスタッフロールは入れませんでした」と省いてしまった。