涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki内検索 / 「『エアコン』 あとがき」で検索した結果

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  • 涼宮ハルヒの悲鳴
     真夏のある日のこと。  SOS団の活動もない休日の午後、エアコンの不調により、うだるような暑さに耐えかねた涼宮ハルヒは、涼を求めて酷暑日の街を彷徨っていた。 「涼み処の定番、図書館はやっぱり人でいっぱいだったか……」  街中で配られていた、どこかのマンションの広告が入った団扇で扇ぎながら、街中を歩く。 「そもそもSOS団団長たるあたしが、人と同じ発想で涼を求めててどうすんのよ……」  さすがのハルヒも、この暑さに思考が常人並みに変化していた。 「あぢぃ……」  コンビニエンスストアでは、ごく短時間しか留まれない。北口駅前のショッピングセンターでは、時間は潰せるが座る場所がない。 「あ゛~……もうこうなったら、環状線にでも乗りに行くか!?」  その路線は最寄りの駅からさほど遠くはないにしても、別に鉄ちゃんではないハルヒにとって、ただ列車に乗っているだけという行為は、到底耐えられる代物ではな...
  • 番外章「誰も知らない2日間」
    目次 やぁ。 自己満と言う名の作品補足用SSへようこそ。 とりあえずこのSSを読もうという気があるなら上の目次から戻って本編を先に見ることを強くオススメする。 まぁこのアップルジュースはハルヒが俺に買わせたものなので気にせずに飲んで落ち着いてほしい。 「…ちょっとキョン」 「冗談だ」 とりあえず病人は大人しく寝てろ。 「わかったわよ…」 と、渋々ベッドに横たわるハルヒ。 …まぁここまでの文章では何が何だかわからないだろうからこうなったまでの経緯でも話そうか。 時は遡って8月28日の解散直後。 …まぁついさっきのことなんだが。 詳しい流れは本編の第四章を読んでもらえるとありがたい。 「…なぁハルヒ?」 「ん?どーしたの?」 いや…そんなに笑顔で訪ねられても困るんだが… 「いつまでついてくるつもりなんだ?お前の家は反対側だろう?」 「いや...
  • 長門有希の憂鬱Ⅰおまけ
    長門有希の憂鬱Ⅰ おまけテキスト集 谷川流の憂鬱: 「二人とも行ってしまったなぁ……」 グランドに広がる炎の絵文字をぼんやりと眺めながら僕は、ここ数日の出来事を思い返していた。 思えば、あのときはびっくりしたよなぁ。 コスプレどころじゃない、キョン成りきりなんてとんでもないアニヲタだと思ったが 実は本人だったなんてなあ。 これからはもっとまともな話の展開を考えてやろう。いや、それじゃ面白くないか。 そうだな……煮て食うも焼いて食うも僕次第か。僕はニヤリと笑った。 もう実際に会うことはないんだろうな。もっと向こうの世界の話を聞いておけばよかった。 それにしても長門有希があんなに美人だったとは。 やっぱり僕の思い入れが他のキャラクタとは違うからかもしれない。 もしハルヒが来たら、やおら胸ぐらを掴んで「ちょっと谷川!もっとあたしを活躍さ...
  • 夏を涼しく、気持ちよく
    『夏を涼しく、気持ちよく』 暑い。 マジで暑い。 本格的な夏到来はまだ少し先だというのにこの暑さはなんだ。しかも湿気も高いときたもんだから、普通に廊下を歩いているだけで、額や首筋に汗が湧き出てくる。 この学校は山の上にあるわけで、下界よりは多少は気温も低いはずだし、山おろしの涼風も時折窓から吹き込んでくるが、この暑さでは焼け石に水だな。 放課後の時間帯は、一日のうちでも一番蒸し暑いんじゃないかと思う。そんな中をクーラーも扇風機すらないSOS団部室に向かって旧館の階段を三階まで上り詰めた。 いつものようにノックした後ドアを開けて室内に入る。ノックに返事が無かったので、室内にいるのはおそらく長門だけだな、という俺の予想は当然のように正解する。 「よお、暑いなぁ」 俺の挨拶に対して、長門は読書中の視線をわずかに上げて、これまたわずかに右に首を傾けて、同意とも疑問ともとれるような反応を示...
  • 普通短編2
    ~~~もしハルヒがアスカだったら~~~ ハルヒ「これこそが世界で初の、本物の、SOS団なのよっ!」 ハルヒ「キョンがオフェンス! 優等生がバックアップ! いいわねっ!」 ハルヒ「これを失敗したら多分、団長から降ろされる…行くわよ、ハルヒっ!」 ハルヒ「うるさいっ! 古泉君の人形のクセに! あんた古泉君が死ねって言ったら死ぬんでしょ!!」 ハルヒ「汚された…! 汚されちゃったよ………キョン……」 ハルヒ「死ぬのはイヤ…死ぬのはイヤ…死ぬのはイヤ…死ぬのは、イヤァァァァァッッッッ!!!」 ハルヒ「みくるちゃん! そこに居たのね、みくるちゃんっ! 分かったわ、閉鎖空間の意味! 私を守ってくれてるっ!」 ハルヒ「殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる」 ハルヒ「・・・むー」 キョン「どうしたんだ?浮かない顔して」 ハルヒ「どうしたもこうしたも!SSの投下がないのよ!...
  • 橘京子の――(前編)
     橘京子。  それは、ありとあらゆる定義法則因律を笑顔で無視し、イッツマイペース・ゴーマイウェイで覇道を突き進む、唯一無二の存在。  彼女の前に秩序はなく、彼女の後にも秩序はない。あるのは、「混沌」の二文字のみ。  全てを無に帰す彼女の言動は、一般的庶民はおろか神とすら崇められる存在からも畏怖の念を以って恐れられていた。  即ち、『空気が読めない子』と。  ……ここで本人がいたら『そんなことありませんっ!』と必死になって否定するのだろうが、逆にあまりにも必死に言い訳するから余計キャラが目立ち、ただの『痛い子』として業界からも認識されるようになるのである。 (俺的注:どこの業界だそれは、ってツッコミはなしだぜ。世の中知らないことが良いことも多分にあるからな)  自業自得とは言え、若干可哀想な気がしないでもない……のだが、俺自身もこれまでに散々苦い汁やら辛い酸やらを舐めさせられっぱなしだった...
  • アイスクリーム・スクリーム
    9月もそろそろ中旬だというのにこの異常な暑さはなんだろうか。 天候を司る神様が今目の前にいて、しかも触れずすり抜けるようというような防御能力を持っていないとしたなら、間違いなくぶん殴っているところだな。 なんてファンタジーで幼稚な事を考えていたのはハルヒも同じのようで、同時にハルヒの考えと同じものを俺の脳もせっせと構築していたのだと考えると余計に幼稚に思えてきて気が滅入る。 今回は、そんな秋らしさの欠片も感じられないこのイライラする時期に起こったあるお話。   暑い。極一般的人類と分類されるはずの俺でもこれほどイライラするほどの暑さなんだからもう、実はそこら中に閉鎖空間が沸いているんじゃないか、と思うほどに暑い。とにかく暑い。 古泉に暑さと閉鎖空間の関係性について聞いたとしても欠片ほどの気も紛れないので聞きはしない。聞いているうちに体感温度が5度は上がることは目に見えているので、 ...
  • ユキは好き?
    その日は今年一番の寒波が到来しているとかで、学校創立以来の古さを誇る旧館、つま りSOS団が間借りしている文芸部の部室は、電気ストーブの弱々しい熱風では太刀打ち できないほどの寒さに覆われていた。 朝比奈さんが淹れてくれたお茶も、すぐに冷めてしうほどの寒さ。窓の外を見れば、雪 こそ降っていないものの、分厚い雲に覆われている。 そんな日に限って、今日は特にやることがない。平和と言えば平和な、暇を持て余 して行くところもない学生が、部室でぼんやりしている風景が広がっていた。   「どうかしましたか?」 窓の外に目を向けていたキョンに、チェスの対戦相手をしていた古泉一樹が声をかけた。 「いんや、そろそろ降ってきそうだなと思ってな」   チェス盤に視線を戻し、ルークをE-5に移動。今度は古泉が長考に入り、それを見計ら ってお茶に手を伸ばす。部室に入ってきたときに朝比奈みくるに煎れてもらったが、すっ...
  • 長門有希の憂鬱IV プロローグ
    プロローグ  Illustration どこここ    ハルヒと古泉、そして俺の三人は北口駅の南側にあるバスターミナルでじっと並んで待っていた。ハルヒはガラにもなくフリルのついた白い日傘なんぞ差しおって、後姿だけ見たらなんとなくいいところのお嬢さんみたいじゃないか。着てる服までがお嬢様のそれっぽくなったのは、古泉と付き合いだしてからなのは気のせいではあるまい。    傘の柄を肩に当ててチラリと後ろを振り返ってシナを作ってみせるのは誰かに見せ付けてんのか。ホワイトフォーカスでもかかってるようなお嬢様はニコっと笑うどころか歯をむき出しにして俺に言った。 「なによジロジロ見て。なんか文句あんの?」 「いや別になにも。その日傘、高かったろう」 値段なんか知ったこっちゃないんだが、ハルヒが少し淑女らしくなったなぁなんてセリフを口にした日にゃ炎天下で頭がどうかしちまったんじゃないかと疑われ...
  • 超絶探偵、谷口
    背中に鈍く熱っぽい痛みを感じ、目覚めるともう23時だった。 ベッドに潜り込んだのが、確か14時前だった記憶がある。ということは、俺は9時間も寝ていたことになるのか。 ベッドに潜り込んだと思ったが、よく見るとここはカーペットの上だった。こんなところで9時間も寝ていれば、そりゃ背中も痛くなるってもんだ。 くそ。電気もつけっぱなしだ。そういえば帰ってきた時は昼間だったから電気をつけたりしてないはずだ。ってことは、昨夜からずっとつけたままだったってことか。 乾燥したゴムみたいに縮んでいた体を起こして背伸びすると、眠気もなにもかもが一斉に飛んでしまった。 俺は夜型の人間というわけでもないが、さすがに今から歯を磨いて風呂にはいって、また朝までぐっすり眠る気はしない。 倦怠感をひきづりながら洗面所まで移動し、顔を洗い冷蔵庫の中にあったパンを食べて外へ出た。 心許ない街灯の明かりをたよりに歩いているうち...
  • 幻惑小説 第七頁
       外に出てから気付いたが、夕闇に暮れていた空の色は段々と濃さを増していき、街頭が街を照らす時間帯になってきていた。 「どうも。」 「神人狩りお疲れさん。」 「まだ閉鎖空間の発生は絶えませんよ。同士たちが総動員で狩りに出ています。ああ、そこの二人は除いてね。」 「長くなりそうな話があるんだろ? 車内に入ろうぜ。立ち話はちと寒い。」 「あの……わたしも車に乗っていていいんでしょうか?」  というの喜緑さんの声で、古泉が爽やかに答えた。 「できればあなたにも聞いておいて欲しいのです。どうかそのままで。」  いや、きっとそういう問題じゃなくて、いくら五人乗りの車だとはいえ後ろ座席に男二人と乗るのはどうかという話じゃないのかね。 「まず僕の仮定の結論から話しましょう。僕の想定を総合するに……長門さんは自分だけの空間で世界改変を行ったのですよ。」  また世界改変を……だと? お前、前の一件を知って...
  • I don't choose, but decide. chapter03
    「キョンくんあさだよ!」 「おきなさいっ!遅刻しちゃうよっ!」 「はやくぅ~」 むぅ…妹よ、大学生は必ずしも土日が休みというわけではないんだ。カリキュラムによっては平日を休みにすることもできる。 そして俺の定休日は火曜と日曜だって言ったじゃないか。ハルヒの時間割に合わせたからな…ん?ハルヒ…! 「うぉわっ!」 「わぁあっ!」 まずい、まずいぞ大変まずい。 いくら外見上はそう変わっていないとはいえ思春期真っ盛りの妹にハルヒと添い寝している所など見せたくない。 教育上完全にアウトだ。さぁどう言い訳しようか。 とりあえず起きろハルヒ、おい… 「何やってんのあんた」 ベッドのハルヒがいた辺りをバンバン叩いていた俺を正気に戻したのは、母親のエプロンを着けたハルヒだった。 …寝ぼけてたんだよ。悪いか。 「いくら寝ぼけてたとは言っても、自分の妹を突き飛ばすような男はダメね。さっさと起きて顔...
  • 朝比奈みくるの未来・第8章
    第8章・時のパズルの完成  朝と同じ待ち合わせ場所、今度は朝比奈さんの方が先に待っていた。 憂いを帯びた潤んだ瞳で、どこを見るでもなくぼんやりと広場の壁にもたれかかっている。 周囲の男共がちらちらと盗み見てやがる。心配しなくていいぞ、彼女が待っているのは俺だからな。 俺は朝比奈さんに正対して近づいていったが、一向に気づく気配がない。 いろいろと考えていることがあるのだろうか、本当にどこも見ていない胡乱な目をして。ただ瞼が開いているだけ。ボウっとした鈍い光を放つ魚眼石のような目で。 5mくらいの距離まで近づいて、やっと気がついてくれた。 「あっ、キョンくん…」 吐息に消されてしまいそうなか細い声だった。 古泉の指摘通り、やはり一人にしたのは良くなかった。一緒でなくともいい、同じ空間にいるようにすべきだった。 その間の彼女の気持ちを考えると申し訳ない気持ちが俺の心の枡から溢れ出る。枡の大きさ...
  • SOS団プレゼンツ 第一回 涼宮ハルヒ争奪戦 ―最終試練(後編)―
    「最終試験官のハードルはものすごっっく高かったみたいだよ!なんと副団長の古泉君ですら敵わなかったからね!残すところ、挑戦者はあとひとーり!最終試練を、試験官を見事乗り越え、ハルにゃんを見事手に入れることができるのか!最大の見せ場だよ!月9で例えたら、好きだった幼馴染みに対してアプローチをする先生を阻止し、自分がプロポーズすべく大勝負をかける場面に匹敵するよ!」 どんだけ~!…いや失敬! 鶴屋さんは最後の勝負ということで、色々と盛り上げる内容を語っていた。そう。残り一人。これでようやく終わる。 こいつを倒せばハルヒを狙う輩を殲滅できる。俺の仕事が全うできるんだ。 ――残りの一人の人物は、俺の知った顔だった。名前は知らないがな。 最初は教室の外で、二度目は部室の前で、ハルヒを自分の彼女にすべく、俺に戦線布告をしてきたあの北高生だった。 「――やはりあなたと戦うことになりましたね。僕には...
  • 長門有希に花束を
    4月第1週 今日から高校生。 本が好きだから文芸部に入る。 でも部員はわたし一人。 暇だから部室にあったパソコンで小説でも書く。 恋愛小説。登場人物はわたしと一目ぼれした5組の男子。   「長門好きだ。」 「私も好き。」   あとが続かない。才能のなさに絶望する。   4月第3週 わたしの好きな人のあだ名はキョンというらしい。 本名はわからないけど、それでいいかなと思う。 小説もわかりやすく名前を入れてみる。   キョン「長門、好きだ。」 わたし「わたしも好き。」   ちょっと心が温かくなった気がする。   5月第2週 恋愛小説なのに感情が無い。 ためしに顔文字を入れてみる。   キョン「長門、好きだ!( ゜д ゜) わたし「私も好き(///)」   ちょっとは感情が入ったかな?   6月第2週 いろんな本を読んで私なりに小説の勉強をしてみた。 その場の説明や雰囲気なんかをセリフの合間に入...
  • 長門有希の報告 あとがき
    あとがき この作品は、『涼宮ハルヒの憂鬱』の舞台が兵庫県西宮市であることを知った時に着想を得ました。 舞台が西宮ということで、キャラクターの台詞をいわゆる「関西弁」にしたSSはないかと思い、色々とSSを読んでいましたが、単発の雑談ネタで原作の一場面を「関西弁」に訳した例があるくらい。二次創作で「関西弁」を使ったものはありませんでした。 「ないんだったら作ればいいのよ!」とは原作のハルヒの弁ですが、ちょうど担当者は大阪府出身で、兵庫県下にある西宮の近くの街に住んでいた時期もあるし、北口駅のモデルとなった阪急西宮北口駅も行ったことはある。加えて、身近には西宮市出身の友人もいる。条件は揃っていました。 もっとも、後に「関西弁」を使ったSSが皆無な理由を痛感することになりますが。 また、当時職場で大量の文書を校正する必要に迫られていて、校正の練習にもなって趣味と実益を兼ねられるかもと、軽い気...
  • 涼宮ハルヒの大ぼうけん
    ■シーン1「虹がまいおりて」 暑くもなくさむくもない季節の、うららかな陽気の午後のひととき。ひなたぼっこをするにはうってつけの日よりです。 ですが、SOS団の団長である涼宮ハルヒは、ひまそうに部室でパソコンとにらめっこしています。 「なんてたいくつなの。せっかく授業が早くおわったっていうのに、なんにも楽しいことがないなんて」 ほおづえをついて、きげん悪そうにしていると、コトリと湯のみが置かれる音がしました。SOS団のマスコットである、みんなと一つ学年が上の朝比奈みくるが、いつものようにおいしいお茶をくんできてくれたのです。 「涼宮さん、そういう時はお茶でもゆっくりのんで、おちついてください。たまにはこういうのもいいと思いますよ」 「ありがと、みくるちゃん」 そう言われてハルヒは、ほどよくあついお茶をずずいと飲みながら、部室をぐるりと見わたしました。 お茶をもってきたみくるちゃん...
  • ランキング by.キョン
      ※佐々木視点ですが、佐々木ものではないと思います。allです。ある意味痛い(?)でしょうか。ある意味ね。 作者は『団活、事件、図書館にて』と同一ですが、証拠はありません。話の構成上関連性及び接合性は2mgもありません。どうぞ気楽に。     『ランキング by.キョン』      正直に言えば、軽い気持ちで出掛けて行っただけだった。  定期試験を終えてその総復習や総括の期間も終え、気分転換に散歩に出かけようとおもったのがきっかけで、歩くうちに気付けば彼の学区に近いところまでに来ていて、ついでだからとその駅前の喫茶店に寄ったのだった。  いや、そうは言うが心のどこかでは彼に会えないものだろうかと言う期待もあり、むしろそれが本望でこちらの方まで足を運んでしまったのだろう。そういう推論を立てられるくらいには、自己分析の精度などは増しているはずだ。  話は逸れたが、要するに元々は軽い気持ち...
  • 普通短編18
    キョン「コンビニでアイス買ってくるけど長門、何がいい?」   長門「……爽。」         「そろそろお別れだな…」 「…」 「手を重ねてくれるか」 「ガラスが邪魔」 「だよな。ははっ」 「情報連結を解除する」 「こらこら、やめとけよ。無闇に壊すもんじゃないぜ」 「でも、あなたに触れられない」 「いいじゃないか。ガラス越しってのもロマンチックで」 「ガラス越しでも、暖かい…」     「……なあ、キスしようぜ」 「……………うん」     ガチャ。     キョン「おっす。お、まだ長門1人か。声が聞こえたみたいだがなにしてたんだ?」     長門「……………窓掃除」         「ちょっとキョン!しっかりしてよ!?」 「むやみに動かしてはダメ。彼はいま心肺機能が停止している」 「死んでるの!?」 「すぐに蘇生措置が必要」 「蘇生措置って…人工呼吸?そんな、あたしできな…」 「わ...
  • 古泉一樹の計画2
    校長「おめでとう、岡部くん。キミに昇級通知がきているよ」 岡部「ありがとうございます! ついに俺も、給与の号級が上がったか。長く苦しい道のりだった……」 校長「何かおいしい物でも食べて、英気を養いたまえ」 岡部「ええ。実はもうすぐ、結婚記念日なんですよ。だから、いっちょ妻と一緒にパーっとやろうかと思ってるんです」   岡部「あっはっはっは」   古泉「それは良いことを聞きました」 長門「………そう」 古泉「盛り上がり中、失礼いたしますよ」 岡部「なんだ、古泉と長門じゃないか。どうかしたのか?」 古泉「申し遅れました。僕には今、こういう肩書きがありまして」 岡部「お前名刺なんて持ってるのか。ん? 総合プランナー?」 古泉「はい。ただいま古泉一樹、長門有希は総合プランナーとして、様々な祝い事をトータルプロデュースさせていただいおります」 岡部「そうなのか。最近は、こういう遊びが流行ってい...
  • 長門有希の憂鬱II 一章
    一 章      Illustration どこここ    そろそろ梅でも咲こうかというのに、いっこうに気温が上がらない。上がらないどころか意表をついたように雪を降らせる気まぐれの低気圧も、シャミセン並みに寒がりの俺をいじめたくてしょうがないようだ。朝目覚ましが鳴ると、いっそのこと学校を休んでしまおうかと考えるのが日課になっている。俺は窒息しそうなくらいにマフラーをぐるぐる巻きにして家を出た。    結果はともあれ本命も滑り止めも無事に受験が終わって、学校では三年生をほとんど見かけなくなった。生徒の三分の一がいなくなり、校舎の一部がガランとして静まり返っている。一年生も二年生も残すところ、憂鬱な期末試験だけだ。三年生でも朝比奈さんだけは、SOS団のためにまじめに通ってきているようだが。    その日の朝、教室に入ると俺の席の後ろで机につっぷしているやつがいた。ハルヒが珍しくふさぎこん...
  • 『Hirundo rustica』
    1 去年の今頃…それは忘れたくても忘れられず、忘れるためには脳内の記憶をつかさどる分 野…どこだっけな?海馬か脳下垂体か、まぁそのあたりを外科手術によって取り除いてもら わなければならないだろうが、当然、そんなことをするわけでもなく、俺の記憶に三つ又ジャベ リンのように突き刺さっているのは、SOS団結成とそれにまつわる、「あの」日々だ。  今年はと言えば…同じように新学期早々に忘れたくても忘れられない事件が起こっている のだが、なんだ、俺の体質は毎年春にトラウマのように事件が起こり、それを記憶の深い 領域へと保存され上書き不可となるようになってしまったのか?ということを誰に嘆くわけでも なく、あぁこれも全部自分の行いのせいなのか?懺悔の一つでもしてきたほうがいいのか? 教会ってどこにあるんだっけ、町や村に一つずつあるんじゃないのか?なんて考えている のも、すべてはここSOS団のせいなのか?...
  • 「雪合戦」「ヤンデレ」
      1「雪合戦」  「……ねえ、雪合戦したくない?」 みんなで歩く映画館からの帰り道、セミのエンドレスコーラスが鳴り止まない夕方の街を歩いている最中にハルヒの口からそんな世迷言が飛び出した。 最初に思ったのは聞き間違いって線だ。 いくらこいつが本物のアホだとしても、今が夏で俺達が半袖姿で汗をかきながら歩いているという現実が見えてないとは思えない、というか思いたくない。 今、何て言った。 半ば呆れ気味に聞き返した俺に、「だーかーら、雪合戦よ!」 夕暮れ時の赤い光を顔に受け、目を輝かせて断言するハルヒを見た時――俺はただ、溜息をつくしかなった。 ……そうか、今年の夏は特に暑いもんな。 気の毒そうな目で見る俺の視線を受けて、「ナイスアイデアでしょ? こーんなに暑いんだもの、そろそろ涼しい遊びもしないと体に毒じゃない」 何故かハルヒはご機嫌だ。 おい古泉、いつもより少し多めにハルヒがご乱心だ。何か...
  • 家族旅行 第三話
    飛行機に乗り込んで、シートに腰を落ち着けた。足も伸ばす余裕あるし、座り心地もいい。 狭苦しいシートを想像してたけど、これなら快適ね。 あたしは窓際の席で、親父は通路側。母さんは親父とあたしの間に座った。 親父はまた文庫本を読み始めている。母さんは機内誌に目を通しはじめた。あたしも本でも読もうかな。 有希ほどじゃないけど、あたしも本は結構読むほうだし。 おなじみの救命設備のアナウンスが流れて、スチュワーデスが実演やったりしているのを横目で見ながら、読書タイムの始まり。 なんか滑走路が混んでるとかで、しばらく離陸見合わせって、なんとかならないのかしらね。滑走路増設すればいいじゃない? そういう問題じゃないのかしら。 いよいよ順番が来たみたいで、飛行機が走り始めた。途中でシートに押し付けられるまで加速して、ふわりと空に浮いた。 窓際から外を眺めると、どんどん飛行場が小さくなっていく。そして航空写...
  • 白有希姫 前篇
      「もちろん、去年学校祭で行った映画撮影は覚えてるわよね?その時の主役女優と男優を答えなさい、キョン!」 「朝比奈さんと古泉だろ。」 「そう!有希も大事な役だったけど、ちょっと刺激が足りないのよ!だから、今回は脇役だった者に大チャンスを与えようと思ってるわ!」   今回は、って…やはりまた何かするつもりなんだろうな、コイツは。   「で、何をする気なんだよ。」 「演劇よ!学校祭で演劇をするの!」   反論はしなかったさ。無意味な抗議ってことはもう分かりきってるからな。ハルヒはホワイトボードに何かをいきなり書き始め、演劇の題名を高らかに宣言した。   「その名も…『白有希姫』!!!」 「…やれやれ。」   白有希姫。童話『白雪姫』の事だろう。   「今時白雪姫の話なんか平々凡々に演じてどうする。何の楽しみもなさそうだ。」 「普通にやるわけないじゃない!アレンジよ、ア・レ・ン・ジ!!」   ...
  • ひぐらしのなくハルヒ
    今日までの出来事が全て、夢だったらいいのになって何度も思った。 だから、書いてみた。書いて夢になると信じて。   ほら、よく漫画の中の夢にあるじゃない? 私の目の前に食べきれないほどのお菓子が積み上げてあって、 それに手を伸ばし、まさに食らいつこうというところで、 無粋に起こされて目を覚ますの。   それはとてつもなく長い長い夢で、 私は1年以上も眠っていたことになっている。   そう。 私は、退屈の野球試合のあと、有頂天に駆け出して、 赤信号の横断歩道に踊り出して、バイクにはねられてしまった。 それでずっとずっと1年以上も意識が戻らなくて、 ようやく、目が覚めるの。   まぶたを開けた時、そこには病院の天井が飛び込んでくる。 それから、ずっと看病しててくれたキョンが覗き込んでくれて…。 あははは。さすがにこれは出来すぎか。   でも、いいよね? こういうことにしてもいいよね?   生...
  • 長門有希の笑顔
    「出かけるわよ、有希!」   高校2年生になった年の夏休み、玄関のところで叫ぶ少女がいた。玄関のドアは鍵を閉めておいたはずなのだがなぜいるのだろう、涼宮ハルヒは。 声を聞くのと同時に「また」私の心臓の鼓動が早くなる。   長門「まったく、面白い人」   私は布団からもぞもぞと腰を上げて時計を見た。まだ9時である。     この現象はあの時最初に起きた。 彼女に最初に会った日。昼休みに文芸部室で椅子に座って本を読んでいた時、いきなりドアが開いた。   ハルヒ「あっ文芸部員の人ね!ここ当分あたしに貸して!」   思わず顔を上げてトビラを見た。そこには観察対象が笑いながら立っていた。 彼女がここに来ることなど情報統合思念体から聞いてない。私は情報統合思念体とテレパシー(光速でやりとりする)で議論した結果、彼女に部室を明け渡すことになった。   長門「どうぞ」 ハルヒ「ありがと!」   読書に戻...
  • 夏の少女
      夏休みが始まり数日経ったある日のこと。 午前八時半。 僕はSOS団お馴染みの待ち合わせ場所にいた。蒼穹に浮かぶ真夏の太陽は、まだ朝だと言うのに灼熱の光を惜しみなく地上に降り注いでいる。 今日は言わずと知れた恒例の不思議探索の日。いつもと違うのは虫取り網と虫かごを持っていることだ。 本日は涼宮さんの思いつきで、近所の公園でカブト狩をすることになったのだ。 なんでも、レアな大物を見つけてオークションで売りさばき、SOS団の今後のイベント資金にするつもりらしい。 こんなところにレアな大物がいるとは思えないが、涼宮さんのことだからそれはきっと上辺だけで、単に皆で虫取りを楽しみたいだけだろう。 それにしても、七月は色んなことがあったな。SOS団としての活動でという意味ではなく、個人的な意味で。 長門さんをかき氷屋に誘ってから、彼女とは随分話す機会が増えた。喜ばしいことだ。 二度目に誘った時なんか...
  • メイドさんごっこ保守
    「……キョン、おきなさいキョン……、じゃなかった。御主人様、お目覚めの時間ですよ、御主人様」 ハルヒせっかくの休日なんだからもっとゆっくり寝かせてくれって……今なんていった? 「御主人様、起きて下さい。もう朝ですよ」 声の主はハルヒ@メイド服だった。なんでこんなことに……そうだたしかゆうべは……  「みてキョン、懐かしいわね、こんなの出てきたわよ」  ……あぁ朝比奈さんが来てたメイド服ね、というかさっきから荷物の整理がさっぱり進んでない気がするんだが。俺達はお前の実家から送ってきた荷物を整理してた筈なんだがな。  「細かいこと気にしないの、どう? 似合うかしら……」  気が付いたら俺のマンションにハルヒが転がり込んできて、そのままずるずると一緒に暮らしている俺達な訳だが……。  ……あーにあうにあう、ホントのメイドさんみたいだ(棒読み)  「ちょっと何よそれ、ちゃんと褒めなさい、北高の...
  • 消えない雪
    土曜日の早朝、いつもの集合場所へと向かう。薄く汗を滲ませながらたどり着くと、貴重な私服姿の長門がすでに到着していた。 しかもダッフルコートに白いニット帽のおまけつきだ。 うむ、小柄な長門にはぴったりな服装だな。そんなことを考えつつ近づいていく。 ちなみに他の団員はいない。 「すまん、待ったか?」 「平気。」 平気ってことは待ったってことだよな。長門の小さな手を取るとやはり冷えきっていた。こりゃ宇宙人とはいえまずいな。 「とりあえず暖かい場所に行くか?いつもの喫茶店にでも。」 「いい。それよりも早く駅へ。」 そういうと長門はさっさと歩き始めた。待ちきれないみたいだな。苦笑しながら俺はあとに続いた。さて状況を説明するとだな… 「消えない雪」 ~回想~ 「今日も汗が滲んできたか。」上り坂の中ほどで俺はそうぼやいた。 今年はまれに見る暖冬で、冬の寒さに凍えながらシャミセンとコタツで丸くなるよ...
  • 長門とちぇんじ
     さて、では現在の私の状況を説明する。 特筆すべき事態は皆無の状況を維持していたのはこの放課後までだった。即ち、この放課後に特筆すべき事態が発生したということにほかならない。 珍しく沈黙を守っていた涼宮ハルヒが突然再起動し、この文芸部室にまで引きずられた。 容姿・生体的基礎能力、そして性格が他を非常に大きく逸脱したこの女子生徒は私の高校生活最初の日から私の後ろの席に居座っていたのだが、彼女は他を拒絶 してるようであったし、私も興味はなかったので、これまでと同じように時々友人(補足すると中学から異性としての要素を考慮にいれない付き合いをしていた国木田君や高校から話すようになった数人の女子生徒だ)と話をしながらも大半では黙々と読書にふける学校生活を送っていた。 どうやらそれがいけなかったらしい。 私は客観的に見れば、正にという無口文学少女だろう。しかし私は一人の人間であり、全...
  • 喜緑さんinハワイ
    会長「時に喜緑くん」 喜緑「なんでしょう会長」 会長「宝くじが当たったらどうする?」 喜緑「換金します」 会長「そうじゃなくて、当選金を何に使うかと訊いてるんだ」 喜緑「そうですね、一番金利のいいところに貯金します」 会長「堅実だな」 喜緑「じゃあ会長は何に使うんですか?」 会長「そうだな、どうしようか」 喜緑「わたしに訊かれても」 会長「今一番何がしたい?」 喜緑「なんですか急に」 会長「いいから」 喜緑「そうですね、ハワイ旅行なんてどうでしょうか」 会長「どうしてまた?」 喜緑「夏休みにハワイなんていかにも人間らしくていいじゃないですか」 会長「理由がよくわからんな」 喜緑「人間ごときには無理です。で、当選金は何に使うんですか?」 会長「ハワイ旅行にでも行こうか」 喜緑「え?」 会長「もし当たったらハワイ旅行に行こうと言ったんだ」 喜緑「二人でですか?」 会長「あの二人を連れて行っても...
  • 眼鏡と微笑
    『眼鏡と微笑』     「じゃあ、俺、行くわ」 「うん、あたしは今日は遅れて行くから、ちゃんと活動しておきなさいよ」 「はいよ」  つまんない用事なのにー、あのバカ教師め、とか言ってブツブツ文句を言っていたハルヒに向かって、俺は軽く右手上げて、夏休みを直前に控えて少し浮き足立っている教室を後にした。期末試験も終わり、少しばかりの補習授業を消化したらあとは夏休みだ。その前に試験結果と通知表が返ってくるわけだが、今は忘れよう、それでいい。    旧館に向かう渡り廊下を歩きながら、俺はさっきのハルヒの言葉を思い出していた。活動といったって、いったい何をすればいいのか、俺は未だによくわからない。  結局することといえば、朝比奈さんの美味しいお茶をいただきながら、古泉相手に各種ボードゲームの勝利を重ねつつ、パタンと本を閉じる長門の終了の合図で帰宅する、というのがSOS団結成以来、延々と続いてきた放課...
  • 宇宙人じゃない長門
    『午後七時。光陽園駅前公園にて待つ』 栞に導かれて、今、長門のマンションの一室にいる。 学校では話せないことがあるらしいのだが……長門はなかなか話を切り出そうとしない。 部屋に通され最初の茶に手をつけてから、長門はずっと俺を見ている。なんだか観察されている気分だ…。 興味深そうに向けられる長門の視線に耐えきれず、俺から「学校では話せない話」とやらを引き出すことにした。 「お茶はいいから、俺をここまで連れてきた理由を教えてくれないか」 ………答えない。 「学校ではできないような話って何だ?」 水を向ける。ようやく長門は薄い唇を開いた。 「あなたのこと」 俺? 「あなたの正体」 俺の…正体…?何が言いたいんだ? 「あなたは普通の人間じゃない」 …いきなり失礼だな。 「そういう意味じゃない。性格に普遍的な性質を持っていないという意味ではなく、文字通り純粋な意味で、あなたはわたしのような大多数の人...
  • 30分で会いにきて
    土曜日は市内パトロールまたはデートで、日曜日はなんの予定もない。 ハルヒが日曜日何をしているかは正確には知らない。ま、いろいろ忙しいようで、いろいろ説明したあげく『だから、あんたと遊んでる時間はない』らしい。 その割には、折りにふれて携帯でメール送る程度の暇はあるらしい。しかし、返事不要と書いておきながら、返事しないとむくれるのはどうにかならんのか。 俺はといえば、シャミセンをシャンプーで洗ってドライヤーで乾かしつつブラシを掛けてやり、爪が伸びていれば切る日である。 試供えさを試してみるがシャミセンが一口も食わずに、生ゴミを増やす結果になる日でもある。 結局いつものえさを与えることになるのだが、よく飽きないものだ。飼育書なんかには、たまにエサを変えるようアドバイスがあるんだがな。 部屋でごろごろとベッドに横たわり、長門から借りた古典SF大作なんぞを読み、途中うたた寝して、気が付けばまだ昼過...
  • 「涼宮ハルヒのビックリ」第六章
    第六章  虹色に輝くオーパーツ。その光がやみ終える。  「変な気分だ」  「ええ、無理も無いでしょう」  部室を出て、二人は長門の住むマンションにと向かった。ここ数日分のの記憶が二つ存在している。むこうの世界の俺がそう判断したんだからしょうがない。こうなることが分かっていたら、俺はどうしていただろう。くだらないことしか思いつかない。同時刻にチェスと将棋で古泉を打ち負かしてやるってのはどうだ。  こっちの世界・・・正規の世界では俺は無様にも何もすることが出来なかった。長門が倒れている中で古泉や喜緑さんに頼りっぱなしだった。しかし向こうの世界では少しは貢献できただろう。しかも今回は長門と古泉が毎度のように奔走する中、あの朝比奈さんが許可なしでは禁止されている時間移動をしてみんなを助けに来た。そしてSOS団に対する俺の気持ちが分かったような気がする。そう考えると同じ記憶を持...
  • 朝倉涼子の再誕 エピローグ
    エピローグ  後で聞いた話になる。・・・前にも使ったな、このフレーズ。 「あの時、涼子は確かに周防九曜とともに情報連結を凍結された」  いつもならばこの手の役割は古泉が喜んで請け負うのだが、今回の解説役は長門だ。  餅は餅屋、というやつである。 「しかし、わたしはあなたと別れた後教室に戻り、涼子を周防九曜とともに情報統合思念体のもとへ転送した」  そういえば、あの時長門は氷像と化した朝倉をどうにもしなかったな。  最低限どこかに運ばなければ翌朝にでも大変な騒ぎになるというのに、あの時はそんなことにも気付かなかった。 「その後、統合思念体は凍結状態のまま涼子たちを引き剥がし、周防九曜のみを情報連結解除した」  そんなこともできるなんて、長門の親玉は相変わらず凄すぎるな。  しかし、どうせナントカ解除をするんだったら、どうしてあの場でそれをしなかったんだ? 「涼子が巻き添えを食らって消滅...
  • アナル鬼ごっこ
      『…ウ~~!!…』    ここは…どこだ。  毎朝の目覚ましよりキツいハルヒの怒鳴り声のようなサイレンに耳を痛めながら、俺は地面から体を起こした。 ここで注目すべき点は、なぜ俺が地面に横たわっていたか、だ。 俺は、夢遊病と診断された覚えはない。なんて冗談はなしにして、俺が置かれている環境から考えれば答えは一つ。   「…ハル…」    ハルヒ…と言うつもりだった俺は、口をあんぐりと開けたまま現状を理解した。そして、自分でも気付かぬ間に走り出していた。       「キョンたーん!!!」       とりあえず逃げよう、と。   あれは何だ!一体何なんだ!    例の物体から とりあえず 逃げ切れた俺は、一、二度深呼吸をして心を鎮めた。 しかし、あんなものを見た直後に落ち着けと言う方が無理な話だ。何せ… 仮面のみを体に装着した古泉に追いかけられたんだからな。   「あんなもの…起きてすぐ...
  • 幻惑小説 エピローグ
      ◆◆◆◆◆    長門がこの空間の消去を承諾してくれ、俺たちは光に包まれながら元の世界へ戻った。 「……! キョンくん!」 「長門さんも……!」 「皆さん……待っていてくれたんですか。」 「もちろんです。」 「キョンくん、長門さん……戻ってきてくれてありがとう。」 「長門さん……無事で、本当に良かった……」 「……喜緑江美里……」  喜緑さんが無言で長門を抱きしめる。涙腺の崩壊を誘いそうなツーショットだ。 「やはりあなたなら、大丈夫だと思っていましたよ。」 「なんとか……だったがな。」 「我々は一度ならず二度までもあなたにこの世界を助けてもらいました。本当に感謝しています。」  俺はこのまま閉鎖空間が増え続けると世界は全て閉鎖空間に侵されてしまうことを説明された。またそんな大層なことをやってのけちまったのか。 「……さあ、涼宮さんがお目覚めになる前にわたしたちは帰りましょう、新川。」 ...
  • 長門有希の憂鬱III 恋するウィルス
    恋するウィルス      わたしがコンピュータ研究会に入部したときの、数日間のログ。公開する。   0600時: 宇宙歴40068.26.11。起床。ログ記録開始。顔を洗う。朝食の準備。味噌汁を調理。昆布のダシ。豆腐の賞味期限が六時間前に経過。情報統合思念体に挨拶。返事は数バイト。わたしの上司は愛想が悪い。主流派はこれだから。   0645時: 顔面、頭部の手入れ。最近枝毛が目立つ。毛髪洗剤の変更を検討。あの人の好きなコロンを0.5cc噴霧。   0700時: 自宅を出る。隣の住人に挨拶するが、伝わらなかった模様。   0730時: 学校に到着。部室へ。無人。ハインラインの夏への扉を開く。175ページ。   0800時: 教室へ行く。途中で古泉一樹に会った。顔の角度を九度下げる。   0820時: 担任現る。顔色が優れない。配偶者とまた揉めたようだ。   (中略)   1205時: 文芸...
  • 人生最悪の四日間 プロローグ
      人生なんてものは意外と不幸が続くものだ。だが限度ってモンがあるだろう。 大抵の場合は物の見方を変えれば不幸も幸福へと変わるが、神はどうやらそれを許さないらしい。今じゃ神は俺なんだがな。 どんなに前向きに考えようとしても目の前に広がっている光景は明らかに俺にとっていいことではなかったし、 これならいっそのことコンバットマグナムでこめかみを撃ちぬいたほうがマシだと思った。 人生、大変なことがあっても「勘」と「運」で乗り越えることができると思っていたが、それは間違いだ。 この四日間で知った真実は、なんだかもう俺にはわからないことだらけだった。 ただ、一つだけ言えることがある。 上には上がいるものだ。     始まりは「起承転結」の「起」だ。このあとに日常や平穏を表す「承」があるので、あまりにも理不尽すぎる始まりは読者に嫌われる。 というか、俺が嫌いだ。 だが残念なことに、この物語は「起承転結...
  • 女古泉'ちゃん'の憂鬱 第四話「Missing 神隠しの弾語り(改訂版)」
    「おはようございます~・・・あれ? 森さんと新川さんと、多丸さんと・・・ってみんな居ないですね」 朝起きて機関メンバーの溜まり場、通称「ニャッピー・イン・ザ・ワールド」に来たら誰も居ません。 「おいおい、俺は無視かい」 「・・・誰?」 「ラムゼイ機関のリヒャルド・ゾルゲだ」 「その機関じゃないです、ここはー!!」 だいたい1944年に処刑されてるし、戦後埋葬されてるじゃないですか。 つまりは、死人じゃないですか。 「俺はー墓場から蘇ってー」 「はわ、はわわわわぁ! あ、悪霊退散悪霊退散! ドーマンセーマン!!」 「はっはっはっ。まず少女よ、落ち着―――」   ドスドスッ。グチャ。バキバキバキバキバキ。 ・・・・グキッ。ドサッ。     第四話「Missing 神隠しの弾語り(改訂版) 」     多摩基地あたりに再び埋葬し合唱した後、僕は機関に戻った。 それにしてもどこに行ったんでしょうか...
  • Different World's Inhabitants YUKI~カヨウビ(その二)~
        目が覚める。 辺りを見回す。 何もない部屋を。   現在、午前7時。 普段なら、布団から抜け出して、学校へ行くための準備をするのだが、何故だか気が進まない。   頭が痛い、様な気がする。 風邪を引いている、みたいだ。 いや、体調自体は悪くないのだろう。至って健康だ。 これは1種の、気の病のようなものだ。   じゃあ、何故? 何が私の気を病ませているの?   答えは簡単だった。 でも、答えたくなかった。   昨日の、彼と涼宮ハルヒの姿を思い浮かべる。 怒っていても、溜息をつきつつも、心の奥底の楽しさを隠しきれていないあの2人。   それは、今まで私が読んだ、恋愛小説の中の『恋人同士』の関係に近かった。 いや、本人達には自覚はないのかもしれない。 しかし、周りから見るとそれは紛れもなく『恋人』の関係だった。   この時、私が感じた思い。 悲しくて、苦しくて、心を貫きそうな感情。  ...
  • 古泉一樹の災難
    「なぁ古泉」 「はい、なんでしょうか?」 「放課後に4階の空き教室きてくんないかな?」 ある日僕に2、3人のクラスメートが話しかけてきた。 放課後、4階の空き教室にこい、それだけ言うと彼らは去っていった。 普段から不祥事ばかり起こしている問題児に呼び出されたため、僕は無視もできないまま放課後に彼らに呼ばれて空き教室にきた。 もちろんキョンくんに「涼宮さんに部活を休むかもしれないと伝えておいてください」と頼んでおいた。 空き教室の扉の前で僕は少しだけ迷った。本当にきても大丈夫だったのだろうか。 機関で肉弾戦のときの場合にそなえて訓練をしてはいるけれども、僕の存在はあまり表にでてほしくないのでなるべく穏便にすませたかった。 面倒なことにならないといいんだけど、と思いつつ教室のドアを開けた。 彼らが窓際あたりで座っているのが見えたと同時に、僕のお腹に鈍痛が走った。 「ぐっ…!!」 ひざをつ...
  • 涼宮ハルヒのダメ、ゼッタイ五章
    五章 俺は今日も早朝のハイキングコースをいつものように歩いている。ただいつもと違う事が二つ。 一つ目は今日が終業式ということ。だがこれは大した問題ではない。それよりも二つ目のことだ。 俺の体が絶え間なく『奴』を要求してくること。途中誘惑に負けて何度もカバンの中に手を伸しそうになった。 そう、今俺の鞄には注射器が眠っているのだ。っといっても、もちろんまたそれに手を汚すことはしない。 にしても、もううんざりだ。静まれ俺の体。あいつに会いたい。あの笑顔を…… 「キョン!!朗報よ!!」 教室につくと何故か俺の席に座っていた ハルヒは、俺の望みと寸分違わぬ100WATの笑顔で俺に、唾を吐き出しながらそう叫んできた。 こいつの言う朗報とやらが、俺にとって良い方向に作用することは、とても稀なケースなのだが… 今回はその稀なケースに事が進んで行くようだ。 それが朗報の内容を聞かなくても、無条件で確信...
  • 涼宮ハルヒの驚愕γ(ガンマ) 2
    ※注意書き※  涼宮ハルヒの驚愕γ(ガンマ)  のγ-7の続きとなります。 思いっきり驚愕のネタバレを含むので注意。   γ-8 翌日、火曜日。 レアなことに、意味もなく定時より早く醒めた目のおかげで、俺は学校前の心臓破り坂をのんびりと歩いていた。日々変わらない登校風景にさほど目新しさはないが、一年生らしき生徒どもが生真面目に坂を上っているのを見ると去年の自分の影がよぎる。 そうやってのびのび登校できんのも今のうちだぜ。来月にでもなりゃウンザリし始めることこの上なしだからな。 ふわあ、とアクビしながら、俺はやはり無意味に立ち止まった。 突然にSOS団に加入してきた佐々木、その佐々木を神のごとく信仰する橘京子、そして、何をしでかしてくれるか予測すらつかない周防九曜。 さて、これから何がどうなるのかね? 「ふむ」 俺は生徒会長の口調を真似てみた。考えていても前進せんな。まずは教室まで...
  • エレベータ
    『エレベータ』 SOS団の雑用係に勝手に任命されている俺は、多くの買い物荷物袋を持ちながら、昼下がりの街並みを抜けて、やっと長門のマンションのエントランス到着 した。 そんな俺の隣を、セーラー服にダッフルというこの季節の定番の衣装を身に着けた長門が、小さな袋をぶら下げてながら静かに歩いていた。 スーパーアンドロイドとはいえ、見た目は小柄で華奢な女子高生である長門に、でっかい荷物を持たせるわけには行かないので、スーパーで買い込んだ物が 入った袋の大半は俺がぶら下げている。 「ちょっとしたものなら一緒に買って来てやるのに」 「涼宮ハルヒの依頼による買い物であなたはいっぱい。わたしの個人的な買い物までお願いするのは忍びない」 俺一人で買い物に行くようにとハルヒに仰せ付けられたのだが、長門も買い物があるから一緒に、と言ってついてきてくれた。 「すまんな、長門、いつもいつも」 「いい」    す...
  • 長門有希の憂鬱III Someday over the rainbow
    Someday over the rainbow     「長門、頼むからSOS団に戻ってくれ」 「……イヤ。わたしは間違ったことは言っていない。涼宮ハルヒが謝るべき」 「そりゃ分かってるさ。だがなぁ……」 長門はけして首を縦に振らなかった。こんな強情なやつだとは思わなかった。一難去ってまた一難か。    長門はあれからコンピ研に身を寄せていた。まあSOS団とは目と鼻の先、同じ軒を連ねる文化部部室棟の二軒隣の部屋なんだが。前部長氏の推薦で、今は部長の肩書きらしい。  文化祭でコンピ研の展示物がやたら派手になったのは、長門テクノロジーの恩恵かもしれない。学生ソフトウェアコンクールなるイベントにもいくつか応募して賞を獲得したようだ。  部室にはいろんな機材が増えていた。生徒会から支給される予算も増額されたらしい。長門が入部したことで、一年のときハルヒに強奪された機材はモトが取れたようだ...
  • 普通短編29
    長門「・・・変態・・・・・・あなたのその特殊な性癖には、死んでも同意できない・・・」   長門「まだそこにいたの?誰もあなたなどと同じ空気を吸いたいとは思わない、早く消えて・・・」     長門「気持ち悪い・・・臭い、私から離れて・・・」     長門「あなたはこの世界の誰よりも劣っている、それにすら気づかずのうのうと生きる・・・真性のクズ」     長門「どのような角度から考えても、あなたの存在意義が見つからない。さっさと死んで」     キョン「ハァハァ・・・フヒヒ・・・・ハァハァ」         キョン「ハッ!ドリームか・・・」             これはヤバイ。俺は今ハルヒの奴に包丁を突きつけられている。 「ちょっとまてハルヒ!なんで俺が殺されなきゃならんのだ!」 「…」 やっぱり返事はない。かわりに、ハルヒの斜め後ろに立っている古泉が喋りはじめた。 「もう無駄ですよ。涼宮...
  • 内なるハルヒの応援
    こんにちは、涼宮ハルヒです!  ……って言うよりは、涼宮ハルヒの中にある、4年前になくなった、現実的で、乙女チックな心があたしなの。  あたしはご主人様が幸せになったら消えちゃうんだけど、それがあたしの喜びだからいいわ。  だからね、あたしの役目は一つ! いつも素直になれないご主人様の背中を押してあげること!  いっつも、いっつもご主人様の心はキョンくんでいっぱいなんだけどね、それが態度に出ないみたいなの。  むしろ、気が無いみたいな態度を取っちゃってる。  それをあたしが応援して、ご主人様を幸せにしてあげるの!  ……あ、言ってるそばからキョンくんが登校してきたみたい。 「よう、ハルヒ。今日はなんだか機嫌が良さそうだな。顔がニヤついてるぞ」  ふふふ、いつもと違うご主人様を演出することで、キョンくんに興味をひかせちゃった。  あたしは《涼宮ハルヒ》の一部だから、体や表情や言葉も思い通りな...
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