涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki内検索 / 「『ヒマワリ』」で検索した結果

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  • サムナンビュリズム前編1
    事の始まりはもう少し前からだったかもしれない。今思えば、ハルヒの異変はあのときから始まっていたのかもな。   話は先週金曜日放課後へと遡る……   やっとこさ退屈以外の何物でもない授業が終わり、俺はいつものように文芸部部室とは名ばかりのSOS団根城へ向かおうとしていた。 さっさと教室を出ようとしたまさにその時、今週の掃除当番であったハルヒに呼び止められた。 今週といっても今日で終わるんだがな。 「キョン! ちょっといい? あんた今日ちゃんと部室に来るでしょうね?」 と、聞くまでもないようなことを聞かれた気がするのは俺の気のせいだろうか? 「もちろんそのつもりだが、何だいきなり? 来て欲しくないのか?」 「そんなんじゃないわよ。いいからちゃんと来なさいよ! 分かった!?」 へいへいわかってますよ、と俺は適当に相づちを打ち、結局いつものように部室へと向かった。   部室までの道のりでは特に何...
  • 遠距離恋愛 第八章 キョンの引っ越し
    第八章 キョンの引っ越し   さて、引っ越しの日の朝がやってきた。   チャイムの音と共にに引っ越し便が到着。 既に待機していたSOS団全員+鶴屋さん+谷口&国木田の総勢7人は、引っ越し便のあんちゃんの指示で、タンスや机など嵩張るものから運び出していた。まあ色々細かいドタバタもあったのだが、流石に十数人もいれば運び出し&積み込みのペースは速い。 昼過ぎには、全ての荷物はトラックに乗せられ、引っ越し先へと運ばれていった。   がらんとした自分の部屋を見回す。こんなに広かったっけ?いつも狭い狭いと思っていたんだがな。 きちんとワックスが掛けられ、ゴミ一つ落ちていない俺の……いや、元・俺の部屋。 ここに今度はどんな人が住むんだろう? 俺の17年あまりの人生を一緒に過ごしてきた部屋だからな。 感慨がないと言えば嘘になる。 このままここにいたら泣き出しそうになるのを無理矢理押さえ込み、思い出を断ち...
  • ノスタルジー
    ぼくは、川を作るのが得意。 スコップでぐ~っと川を掘って、バケツでどしゃ~って水を流すの。 ちゃんと傾きをつけないとちゃんと流れないから難しい。 バケツで水を汲んできて、じゃ~。 そうやって一人で遊んでいると、砂場に影がかかった。 砂場から顔を上げると、黄色いリボンをつけた女の子がぼくを覗き込んでいた。 「あんた、そんなみみっちいことやってて楽しいの?」 大きなお世話だ、ぼくは川を作るのが好きなんだ。 女の子はぼくの隣に座り込み、ぼくの掘った土で山を作り始めた。 「あんた、もっと泥をよこしなさい」 「いやだよ、ぼくは川を作ってるんだから」 「つべこべ言わないの、さっさとよこしなさい」 女の子が怖いので、泥を渡すことにする。 黄色いリボンの女の子は満足したように頷いて、砂の山に泥を塗り始めた。 「二人だけじゃあんまり進まないわね。ちょっと待ってなさい」 黄色いリボンの女の子はびゅ~っと駆け出...
  • a unique solution 4
    「断ったわよ」    時は放課後、場所は文芸部室。  ハルヒは前置きもなく俺にこう告げた。  今部室には俺とハルヒしかいない。  ハルヒ曰く、 「有希は今日用事があって来れないって。みくるちゃんも。古泉君はバイトらしいわ」  俺が部室に入ってきて早々聞いてもないのに教えてくれた。  長門のフォローか。どんな魔法で俺のその場凌ぎの嘘に気付いたかは知らんが感謝するぜ。今度何か奢ってやる。    さて話を戻す。  俺は定位置のパイプ椅子で団長様の先程の一言を拝聴した。  一応耳には入り脳にも届いて意味も理解したが、念のため聞きなおす。 「それは『告白』をか?」 「そうよ」  俺は「そうか」とだけ答え、大きく息を吐いてパイプ椅子に身を沈めた。天井を仰ぐ。  さっきの男の雰囲気や言葉で、なんとなく答えは見えていたが、やはりハルヒ自身から答えを聞くまで落ち着かなかった。  今の一言を聞いてようやく落ち...
  • 夜行性の超能力者とインターフェイスのブギー
    ※このSSは「I don t choose, but decide.」の後日談的SSです※ 「……ではここに、おや?」 「わたしの勝ち」 「参りましたね、ダブルリーチでしたか」 「……そう。ダブルリーチだった」 何をしているかと言うと、えぇとこれは何て言うんだろう?立体五目ならべのようなゲームだ。どこでかと言うと、長門さんのマンション。 カレーパーティーのあとすることがないので僕が持参したこれをやっていたのだけど、長門さんが強すぎる。 ……あの一件で僕達はお互いの間に残っていた壁-薄皮と言ってもいいかもしれない-を破り、彼いわく『本当の仲間』になった。 思ったよりすんなり涼宮さんが僕達の告白を信じ、受け入れてくれたのには少し驚いた。数々の証拠と過去の例があったから当然と言えば当然かもしれないけれど。 そう考えると彼の方こそよく信じてくれたなぁ。あんなに唐突だったのに……。北高の木製の...
  • 遠距離恋愛 第四章 想い
    第四章 想い   『もう少しましな伝え様は無かったのですか?』 心底疲れたといった声で、携帯の向こうの古泉が呟く。   『今日の1時限目の授業中に、突然閉鎖空間が複数発生しました。一つ一つの規模や速度はそれほど大きくないのですが、一つを崩壊させるとまたすぐに別の空間が発生するというイタチごっこでして……現在、機関総出で対応していますが、この発生ペースだといずれはまずいことになりそうです』 そうか、本当にすまんな……しかし、あいつの不思議パワーは減少しているんじゃなかったのか?   『確かに、我々の調査結果を見る限り、最近では最盛期の半分程度まで落ちていました。閉鎖空間発生も希な状態になってきていましたしね。しかし、今回のこの閉鎖空間の数は過去最大です。涼宮さんには、まだこれほどの力が残っていたんですね、驚きです』 あいつの力が復活したと言うことなのか?   『それは分かりませんが、今は...
  • 普通短編40
    「もう冬だな、長門。」 「・・・冬」 「寒いな・・・」 「・・・寒い」 「けど、それがいい。」 「・・・いい」 「・・・・・・」 「・・・・・・」 古泉「オチはありません。ですがそれがいいのです」   長門「……」カチャカチャ キョン「……なあ長門」 長門「なに」モグモグ キョン「うまいか?」 長門「カレーは私の大好物。おいしくないはずがない」モフモフ キョン「そうか……」 長門「そう」カチャカチャ キョン「なあ長門」 長門「なに」モクモク キョン「それ、ハヤシライスだ」     キョン「なあ長門」 長門「なに」カチャカチャ キョン「おまえってカレー食ってるときは本当に幸せそうだな」 長門「……そう」モフモフ キョン「なあ長門」 長門「なに」モグモグ キョン「そのカレーの感想、聞かせてくれないか?」 長門「……」ピタッ キョン「あ、いや、無理しなくていい...
  • カンケリ
    「なあ、ハルヒ?」 ふと思い出したように男はパソコンに向かう女に話しかける。 「なによ?あたし忙しいのよ?」 ハルヒ、と呼ばれた女はマウスを動かす手を止め、男の目を見る。 「いやな、ふと思いついたんだけどさあ、」 冬の日の放課後の部室のこと。珍しく今はキョンとハルヒ、二人しかいない。 「…お前、『カンケリ』って知ってるよな?」 「はあ?突然なによ?知らないわけないじゃないそんなの!あたしをからかってるんなら後にしてよね!」 ハルヒはつっけんどんに答えつつも、幼年時代にした『カンケリ』なる遊びの記憶をたどっていた。 鬼の支配する限られた時間制限の中、見付かり難い場所、しかしゲームをリセットするための必要な距離にある場所を探し、息を潜める。 スタートのタイミング、鬼と自分との距離、そして目的地への距離。全て計算し、一点だけを見つめて、走る。 そして、勝ち取るのは青空に響くスチールの軽...
  • 人生最悪の四日間 エピローグ
        三毛猫の色は茶、白、黒の三色だ。 猫の毛色を決定している遺伝子のうち、白と黒を決定する遺伝子は常染色体(性染色体以外の染色体)にあるが、茶色だけは違う。 茶色を決定する遺伝子はX染色体にあるのだ。 二つのX染色体のうちどちらか一方が、受精卵から成体になるまでの過程で不活性化することによって、毛色が茶色の部分と他の色になる部分が分かれる。 だから三毛猫は普通はX染色体を二つ持っているメスなのだが、染色体異常(クラインフェルター症候群)のオスもX染色体が二つあるので、毛色が茶色になる。 オスの三毛猫の出生率は3万分の1とされていて、ペットショップでは100万円前後はする。 希少価値が高いためか、福を呼ぶともされていて、船に乗せれば沈まないという言い伝えがある。   うちのシャミセンも福を呼んでくれた。     五日目 午前六時十二分。自分の部屋のベッドの上にて。   土曜日なのに...
  • できること。できないこと。
    人間には知的探求心というものがある。テレビでも、知らなくてもいいような話をネタ にした番組がそこそこ視聴率を稼いでいるように、知的探求心というものは本能に近い代 物のようで、誰にでもあるものだ。特にヒマに退屈をデコレーションしたような日々を重 ねていると、本当にどうでもいいことにさえ、興味がわいてくる。   ここ最近、ハルヒは大人しい。何かを企んでいるのかもしれないが、それを決行するの はまだまだ先のことだろう。一言だけ付け加えておくが、ヒマだからと傍若無人な団長さ まが巻き起こす悪巧みを切望しているほど、オレはダメ人間になっちゃいないぞ。   それはともかくとして。   世間一般の人種が「ヒマ」と感じる状況であることは間違いない。そんな暇人たるオレ が、この安穏とした日常と決別するに適した非日常とはなんだろう、と考えていた矢先の こと。目の前に、SOS団の万能選手にして寡黙な読書大好きっ...
  • ピロートーク~お莫迦若夫婦編
    その1 体を揺さぶるハルヒのせいで俺はいきなり目が覚めた。 どうしたハルヒ? 今日はそんな気分じゃないんじゃなかったのか。 「馬鹿っ……、そうじゃなくって……またキョンが黙っていなくなっちゃう夢で目が覚めて……そしたらあのときの事を……」 あぁ……もうそんな季節か、あれから10年近く経つんだが……あの時はごめんなハルヒ。 約束したろハルヒ、俺はずっとお前のそばにいるってさ、それに俺達には未希だっているしな。 「そうよ……約束やぶったら死刑なんだから!」 おいおい死刑は困るな、可愛い奥さんと愛する娘を残して死にたくはないぞ。 「ねぇ……手を握って」 手?……これでいいか? おいハルヒそんなに強く握らなくても……俺はどこにもいかないぞ。 安心しろハルヒ、さぁもう寝ような、お前が寝るまで見てるから、んっどうした? 「未希が昼間言ってたんだけど……妹か弟が欲しいんですって……だからキョン……」 お...
  • ピロートーク~コスプレ馬鹿夫婦編
    その1 ハ「只今、未希はもう寝た?」 キ「おかえりハルヒ、さっきまで起きて待ってるって騒いでたけどもう疲れて寝たぞ」 ハ「そう、はいお土産よ明日食べましょ」 キ「でどうだった古泉達は? 元気にしてたか?」 ハ「それが聞いてキョン、あのふたりすごいのよ、有希ったらまだ制服着てるの、ドアを開けたら制服着ててびっくりしたわ」 キ「制服って北高のか? 俺達が卒業したのは10年近く前だよな? まぁアイツは昔から普段着が制服だったからな、あの格好が一番落ち着くんじゃないか?」 ハ「それがね古泉君も同じの着てるみたいなのよ」 キ「同じのって古泉がセーラー服をか? 確かに元は水兵の衣装だから男も着てたが……」 ハ「馬鹿ねぇそっちじゃなくて男子の制服よ、古泉君があわてて隠してたけどあれは北高の男子制服だったわ」 キ「えっ?じゃぁ二人で高校の制服を……」 ハ「いわゆるコスプレってやつね」 キ「……」 ハ「ねぇ...
  • セカンド・キス エピローグ
    エピローグ 一ヶ月たった。 その後のことをお話しよう。 閉鎖空間の発生は収まり、ハルヒによって世界が創り変えられる可能性は消えた。 といのは古泉と長門の話だ。 「あなたのプロポーズがよっぽど嬉しかったんでしょうねえ。」 と、一ヶ月たった今でも古泉は俺のことをからかう。 長門に報告すると、まるで始めから全てを知っていたかのように 「そう。」 と一言呟いただけだった。 朝比奈さんに関しては、まだ本当のことを話してはいない。いつか話そうと思う。  冬休みはなんてこともないいつも通りの冬休みだった。 去年と同じくSOS団で遊びほうけてたのみである。  鶴屋さん家のスキー場に足を運んだり、今年は初詣にも行ったな。おみくじも引いた。 俺は中吉と無難なところだったのだが、あろうことが他の4名がそろいもそろって大吉であり、 俺はビリということでハルヒから奢りを命じられた。新年早々ついてい...
  • 朝比奈みくるの総当り戦!
    『キョン×みくる』   放課後、いつも通りの団活は長門さんの本を閉じる音で終わりました。 私はいつものように、メイド服から制服に着替えるためにみんなに先に帰ってもらいました。 そして着替えて外に出ようとドアを開けたら…… そこにはキョン君が居たのです。   「キョンくん、どうしたんですか?何か忘れ物?」 「いえ、お話したいことがありまして……」 「なんですか?」 「俺、朝比奈さんのことが好きです。愛しています。」 「そんな……ダメです!この時代ではキョン君は涼宮さんと一緒になるのが既定事項で……」 「そんなの関係ない!俺はもう……この気持ちを抑えることは無理なんです。」   そしてキョン君は私に口付けをしました。   「んっ……!」 「すいません、もう、我慢の限界なんです。」   そしてキョン君はそのまま私を押し倒し、そして……       ガバッ 「ハッ!ドリームかっ!!」   ――――...
  • 白有希姫 演劇篇
      第一章 プロローグ   「昔、白雪姫というとても美しい王女と、深い谷に住む魔女が居た。魔女は、自分が世界で一番美しいと信じており、彼女の持つ魔法の鏡もそれに同意したため、満足な日々を送っていた。」   このナレーションの語りは国木田。そして文章はウィキペ○ィアから参照したものである。   「『鏡よ鏡よ鏡っ!世界でいっちばーん美しいのは誰かしら?』」   体育館、ステージから見て右側の大きなスクリーンに谷口の顔が映し出される。いいなあ、こいつは出番が少なくてよ。   「『それはもちろん涼み…魔女様に決まってるでしょー。』」   こいつ、ちゃんと練習してきたのか?   「白雪姫が16歳になったある日、魔女は魔法の鏡にもう一度問いかけた。」 「『ちょっと!かがみ!世界で一番美しいのは誰かしら?』」 「『それは白有希姫でございますー。』」 「『なんですって!?聞き捨てならないわ、今すぐ白有希...
  • 朝倉涼子と長門有希の日常
    暮れてゆく年 去年よりものの増えた部屋 窓から見える変わらぬ景色 空から降り行く無数の粉雪 あの人から、あの人たちからもらったたくさんの大切なもの 言葉にはできないけど、とても大切なもの 私は私の部屋でゆっくりと感じていた - ピンポーン - 突如鳴り響く来訪者のベル 私はゆっくり席を立ち、来訪者を迎え入れた 「おでんできたから一緒に食べましょ?晩御飯はまだだよね?」 「まだ」 前のような偽りではない笑顔 紺色の長い髪 朝倉涼子を、部屋に招きいれる             If Story - 朝倉涼子と長門有希の日常 - ……… …… … 「相変わらず、殺風景な部屋ね」 「そう」 朝倉涼子は部屋を見渡し、呆れる様に語る 「ま、キョン君が来てから多少物は増えたかな」 クスクスと笑ってコタツの上におでんの入った鍋を置いた 私は台所から二人分の食器を運んでく...
  • 『lakeside love story』 1日目
    『lakeside love story』   《1日目》   腕がパンパンだ。 昨日の終業式の直後、買い出しに行ったのはいいが荷物を持ったのは俺と古泉だけだ。 「こんなにか弱い女の子に荷物を持たせようっていうの!?」 か弱いのは朝比奈さんだけだろう? とんでもない能力を持つ2人は手伝えよ……。 とは言えないまま、俺と古泉は荷物持ちになった。   ただ、集合は駅前になったため荷物は近くの長門の家に置いていたわけだが……それが首を絞めた。 まず、駅前に行き荷物を車で送ってくれるという新川さんに預けて古泉と一緒に長門の家に向かった。   問題発生。 【エレベーター点検中】 の張り紙を見て、俺と古泉は溜め息をついた。 7階だぞ……。 しかし時間をかけると長門に悪いので階段を一気に駆け上がった。 息切れ、こける、痛い。 などの小ネタを挟みつつ708号室に着き、荷物を受け取った。 長門の私服は久々に...
  • 鶴屋さんの憂鬱
    「ねぇねぇ。キョン君はハルにゃんの事どう思っているんだい?」 「へ?」 初めて昼食を誘われて何を言われるかと思っていたら予想外の質問。 「どうって・・・・・まぁ、厄介なことを飽きもせず持ち込んでくるトラブルメーカーですかね」 興味津々に俺の顔をジッと見つめてくるから弁当に手が付けられない。しかも珍しく真剣な顔だから余計に困ってしまう。 「なるほどなるほど。じゃあみくるとかは?」 とか?とかってことは長門も入っているのだろうか。 「朝比奈さんは素晴らしい先輩ですよ。長門は・・・・・・どうなんですかね。よくわかりません」 「ほほう。と言うことはみくるが有力候補にょろね」 なににですか。 「キョン君の彼女にさっ」 ごふっと緊張を抑えようと飲んだ烏龍茶を危うく噴出しかけた。 「な、なんてこと言うんですか!」 いつもの笑顔になっているってことは冗談だったのか?悪気は無いともとれるな。とりあえず笑顔...
  • 三者面談2
    ピンポーン。   時刻は午前11時。インターホンが鳴った。 誰が来たのかはわかっている。ハルヒ親子だ。   1階から家中に 「はぁ~~い!」 と言う妹の声が響く。下手したらお隣さんにまで聞こえちまうくらいに。続いて、 「あー!ハルにゃんだっ!」 わかってたくせにそんなに喜ぶのはなぜなんだ、演技なのか?だとしたらちょっと才能があるかもしれない。   すでに着替えていた俺も、下に降りた。 ハルヒは玄関で妹にしがみつかれていた。そんな妹にちょっと苦笑い気味な顔を向けている。 今日のハルヒは白のロングコートの下に薄いカーキ色のワンピース、茶色のブーツといった いかにもTeen sな格好である。はっきり言おう、とてもよく似合っていた。 そのまま笑顔でポーズを撮れば、雑誌にだって載れそうだなどと考えていると…。   なぜかまた、心の中が少しモヤモヤしたような、よくわからない気分になった。 なんなんだろ...
  • セカンド・キス 3
    ※この章の最後にちょろんとオリキャラ登場します。オリキャラ嫌いな方は注意にょろ。   3   次の日、 昨日の一件が心をかすめ胸中おだやかでない中、 俺は早朝ハイキングコースをノタノタと重い足取りで歩いていた。 天気は昨晩に引き続き、雨だ。水溜りでスボンの裾が濡れて、鬱陶しいことこの上ない。 ハルヒとの電話を思い返す。 「はぁ・・・」 俺は思わず陰鬱なため息をついた。 ハルヒからの謝罪表明・・・それはあいつを泣かせてしまった俺の罪悪感を増長させた。 昨日のハルヒの言葉が、俺の脳内にコダマする。 「デートのことはあんたの好きにしていいから」 それと同時に、俺の心に罪悪感とは別の感情が湧き上がった。なんだろう、この気持ち。 この違和感。モヤモヤと形を成さないその感情は、俺の心にとどまり続けた。 「好きにしていい・・・か」 なんだよハルヒ。俺がクリスマスイブのパーティに参加できなくて...
  • 機械知性体たちの即興曲 第五日目/夕
    機械知性体たちの即興曲 メニュー http //www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5972.html   □第五日目/夕 文芸部室 ハルヒ        「…………」(カチカチ) みくる         「涼宮さん、お茶のおかわりです。どうぞ」 ハルヒ        「ありがと。そこ置いといてくれる?(カチカチ)」 みくる         「……ずっとインターネットで、なに見てるんですか?」 ハルヒ        「ヒマ潰しよ。ヒマ潰し。とくになにもすることないし(カチカチ)」 みくる         「はぁ」 古泉           「…………」(ペラ) みくる         「古泉くんも、はい。お茶のおかわりです」 古泉           「ああ、どうも。ありがとうございます」 みくる         「……古泉くんは古泉くんで、なにしてる...
  • 眠れない夜とイタズラ電話
    「あ~あ、退屈で眠れないわ……」 なぜ退屈で眠れないと言うセリフが出るのかがわからない人もいるはず。 ここ3日、あたしは何も起きない日常にストレスを感じ、深く眠れなかった。 ストレスを感じるのはそれだけが理由じゃない。 どっかのキョンっていう鈍感バカがあたしの気持ちに全然気付いてくれないことも、ストレスが溜まる。 ストレスさえどうにかなれば眠れそうなんだけど……。 あたしは視界の端に、携帯電話を見つけた。現在時刻は夜中の1時半。 みんなに電話かけたら違ったみんなが見られるんじゃないかしら……。 あたしは携帯を手に取り、アドレス帳を開いた。その中からSOS団のみんなの名前を見て、考えた。 「誰からかけようかしら……」 まず、キョンは最後。最後の方が邪魔になるから。 あたしが一番気になるのは……。 あたしはその番号を押した。1コール……2コール…………6コール…ピッ。 「………なに」 うっわ...
  • ピロートーク~爛れたバカップル編
    ……、なんだもう朝か…、相変わらずの爛れた関係の俺とハルヒだ。 始めのうちは昼ごろに来て夕方には帰っていったハルヒだが、いつの間にか週末に一泊していくようになり、一泊が二泊…二泊が三泊…三泊が四泊……と気が付いたら俺の部屋にほぼ常駐状態となっていた。 一度心配したハルヒの両親が様子を見に来たが、『キョン君となら安心』とかいってそのまま帰ってしまった。つかキョン君って……。 そういえば昨日『たまには一緒に遊びに来い』って親からメールが来たとハルヒがいってたが……。 一緒に向こうの両親の所へ行くのは……『責任取ってくれるんだよね? 勿論卒業してからでいいけど』という無言のプレッシャーを毎回感じるので正直あまり行きたくはないのだが……。 別に責任取るのがいやとかそういう訳じゃないけど、なんというかわかるだろ? などと考えながら、いつもどおりの朝、満ち足りた笑顔を見せるハルヒの隣で俺は暫しまど...
  • Lost my love
    家に帰り着く頃には、すっかり暗くなっていた。 空を見上げても、星は見当たらない。 舞い降りてくるのは、私と同じ名を持つもの、ユキ。   『星空見上げ 私だけのヒカリ教えて あなたはいまどこで 誰といるのでしょう? 』   彼と涼宮ハルヒが付き合うことになったのは昨日。 最近では涼宮ハルヒの能力も衰え、世界も安定してきた。 彼と一緒に居られる時間も、あと少しなのだろうか? エラー、私の任務も、終わりが近づいてきているのだろうか。   『楽しくしてるコト思うと さみしくなって 一緒に観たシネマひとりきりで流す』   いつもならSOS団の活動があるはずだった今日、 活動の中止を伝える涼宮ハルヒの電話の声は、どこか弾んでいた。 きっと、彼とデートするのだろう。 エラー 気がつくと私は、街に出て一人映画を見ていた。 彼と一緒に見た映画。 エラー、エラー 前に小説で読んでいたものが映画化されたというこ...
  • 三者面談10 last
    俺の風邪が治って3日が経った。 つまり今日は── ハルヒとの約束の日。   俺は30分前に待ち合わせ場所に来ていたのだが、 ハルヒはそれよりもっと早く来ていたようで。     「遅いっ!」 へいへい、すかさず罰金!だろ?さぁこいよ。 ほら、ばっき……あれ? ハルヒはそれ以上何も言わず、ついてこいといわんばかりに歩き出した。     まず向かったのが、デパートだった。 荷物になるから後にしようぜという俺の意見など聞く耳持たず、 Men’sの服屋に入ると、早速品定めを始めた。     ……またここの店員もタチが悪かった。 ジャケット以外も売りつけようと、俺に色々試着を勧めてきた。 結果俺は何度も試着室に入ることになり、なかなかこれだけでも疲れを感じた。 めんどくさいったらありゃしない。 着替えの最中、外で待っているハルヒに店員が     「彼氏さんですか?いいですね、今日はデートですか?」  ...
  • 性格入れ替え茸
    ハルヒ「あーヒマ」 長門「……」 みくる「あはは……ヒマですねぇ」 ハルヒ「古泉くんもキョンも進路相談なんてさ。そんなのSOS団大学支部でいいじゃん。バッカみたい」 みくる「あ、あはは……あ、そうだ。このお茶どうです?」 ハルヒ「んー? まあまあ美味しいんじゃない?」 みくる「これ、御茶屋のおじさんに勧められて初めて買ったんです」 ハルヒ「ふーん。なんて茶葉?」 みくる「えーっと、性格入れ替え茸……キノコ?」 ハルヒ「驚くところはそこじゃなくて、性格入れ替えってty」 長門「なにワケわかんないもの飲ませんのよ、みくるちゃん!」 みくる「ええっ!? な、長門さん???」 長門「どう考えたってロクな効果ないじゃない! もうっ……まあいいわ。それにしてもどんな変な効果なのかしらこのお茶」 みくる「……こういう効果」 ハルヒ「ふぇぇ、ごめんなさい、ごめんなさい、あたしがいっつも退屈だなんて言ってる...
  • 涼宮ハルヒの記憶
    「あんた・・・誰?」   俺に向かってそう言ったのは涼宮ハルヒだ。 あんた?誰?ふざけてるのか?嘘をつくならもっとわかりやすい嘘をついてくれよ!   だがハルヒのこの言葉は嘘でも冗談でもなかった。 この状況を説明するには昨日の夕刻まで遡らなければならない。   その日も俺はいつものように部室で古泉とチェスで遊んでいた。 朝比奈さんはメイド服姿で部屋の掃除をし、長門はいつものように椅子に座って膝の上で分厚いハードカバーを広げている。 ハルヒは団長机のパソコンとにらめっこしている。 いつものSOS団の日常だった。 「チェックメイト。俺の勝ちだな古泉!」 俺はいつものように勝利する。 「また負けてしまいましたか。・・・相変わらずお強いですね。」 微笑みながらこっちをみる古泉。 俺が強い?言っておくが俺は特別強くなんかないぞ!おまえが弱すぎるんだよ古泉! まぁこの微笑野郎が本気でやっているかどうか...
  • 白有希姫 中篇
      ――あの日から3日程経った。今に至るわけである。   ハルヒがどこからともなく新調した真っ白のまさに雪のようなドレス。それを着ている長門は朝比奈さんさえ凌駕する程の破壊力を持っていた。   「似合う?」   長門が上目遣いで訊いてくる。この状況があと10秒も続けば俺は失神していたかもしれないな。   「ああ、すげぇ似合ってるぞ。」 「そう」   トテトテと戻っていく長門。ドレスを着慣れていない歩き方はまた愛らしい。   「またボーっとして!ちゃんと台詞覚えたの!?」 「ああ、意外と真面目にやってたんだぞ、一応な。」 「言ってみなさい!」 「えーと…『おお、これはなんとも美しい…目を覚ましてくれたまえ、美女よ。』」 「…はっきり言うわ、気持ち悪い」 「お前がやらせてんだろうが!」 「もっと王子様っぽく言いなさいよ。それじゃあただの変態よ!」 「そう言うお前はどうなんだよ。」 「あたしはち...
  • 寝ぐせ
      「行ってくるわーっ!」  まいったわねーホントにもうっ! 久々だわ、こんな酷い寝ぐせ。 おかげで直すのに時間掛かっちゃって、いつもより10分も遅れちゃったじゃない! それでも直んなくてカチューシャでなんとかごまかしてるけど、今日は大人しくしてるしかないわね。 ずれたら大変なことになっちゃうわ。 あんな頭見られたら、団長としての威厳がガタガタよ。  とくにキョンッ! あいつにだけはゼッタイ見られちゃいけないわっ! ただでさえ普段から団長のこのあたしに盾突いてくんのに、更に何言われるか… …て、なにこの気持ち? あたしはただ、”団長”としてみっともない姿を見せたくないだけよ。 そうよっ!あくまで団長としてよ団長としてっ! 決して”あたし”としてじゃ…ないんだから…。 あーもうっ!なんでこんな事考えちゃうのよっ!落ち着きなさいハルヒ。 みんな寝ぐせが悪いのよ寝ぐせがっ!  それにしても、も...
  • サムデイ イン ザ ハリケーン
    傘というものは元来、雨をふせぐためにあるはずだ。 だとしたら今日コイツは、傘としての役割をまったく果たしていないことになるな。   まあ風速20m超える突風と、前方から90度で直角に向かってくる豪雨が相手じゃ仕方ないか。   「あーあ濡れた濡れた。ひっどいなこりゃ。あ……傘、壊れてやがる。」   そう、今日は台風様がご上陸なされているのだ。 こんな雨の中を傘壊して登校する俺。なんという真面目な学生だろうか。 しかし……この閑散とした雰囲気、イヤな予感がする。   「おや、来られたのですね。おはようございます。」   下駄箱に現れた古泉!そしてこいつの今のセリフで、イヤな予感が当たっていることを確信した。   「今日は台風により学校はお休みですよ。」 「やっぱりか!!ちっくしょーー!!」   イヤな予感ってのは当たるもんだと痛感した! 思えばハルヒ関係で、イヤな予感というのはことごとく当たっ...
  • 浴衣とお祭り
    夏休み。 今日は団活も休みでやることがなくヒマだ。……やっぱり俺はSOS団の連中といないとダメらしい。 というよりハルヒに会いたい。どうやら俺はハルヒに惚れていたというのに気付いたのは、6月だった。 ハルヒが雨に濡れたのか、風邪をこじらせた時に会えなくてとても寂しかった……って思った時には好きになっていた。 まぁ、そのときに見舞いに行ったことでハルヒの家を知ることになったわけだが、上がったことは無い。 俺の部屋には上げたのに、これじゃ不平等じゃないか? 「……そうだ、ハルヒの家に行ってみるか」 俺は呟いた。たまにはいきなり行って俺が驚かす側に回ってもいいだろう? そう思い、すぐに着替えて俺は自転車に飛び乗った。 ハルヒの家までは20分で着いた。俺は自転車を止めて、鍵をかけた。 そしてドアに近付いて、インターホンを鳴らした。 「はいはい!……あ~もう!歩きにくいわ!!」 ドアの向こうから...
  • 「異変」
    ……なんだこれは? パタン 一度開いたドアを閉めた、ここはSOS団の部室ってのは間違いない。 今日は担任の呼び出しで遅れた俺、間違いない。 ノックすると朝比奈さんの声が聞こえてくる。 うむ、今日も癒される良い声だ。 ドアを開けると……やはりおかしい。 窓際でハードカバーを読み続ける長門、一人でニヤケ顔をしながら詰将棋を解く古泉、お茶を用意してくれている朝比奈さん……… ハルヒはどこだ?   古「おや、涼宮さんはご一緒でないのですか?」 それは俺のセリフだこのニヤケ顔。 あいつは今日も俺の背中をペンで突っ突き何か思いついた顔でニヤニヤしながら机(窓)に向かっていたんだぞ。 朝「でも部室には来てないですよ?」 そんなことはないですよ。 何せ走って向かって行ったのを見ましたから。 長門は見なかったか? 長「見ていない」 あ~そうか、俺の心配より本が気になるか。   「ちょっと俺、ハルヒを探してき...
  • 下衆谷口がなくころに ~踏潰し編~
      前回までのあらすじ   閻魔大王を中心とする黄泉政府により厳しくファッショに統治される死者の国、地獄。起床就寝時間は元より朝昼晩の食事の献立まで政府からの命令に従わなければならないという、売れっ子アイドルなみに厳しい管理を強いられる亡者たちの世界に、3人の男たちが舞い降りた。 時は地獄歴、照和58年6月。男たちは、政府の統括に屈し平淡な生活を余儀なくされた死者たちを救うため、テロリストとして立ち上がった。 くしゃみの後のシャックリのごとく突如として現れた3人の男たちは、市民プールの女子更衣室、銭湯の女湯、道の駅の女性用お手洗い所など、次々と攻略不能といわれた要所を破竹の勢いで陥落させていった。   ~~~~~   谷口「という夢を見たんだ」 キョン「夢だそれは」 谷口「イッツアドリーム」   谷口「1500シンプルシリーズ 『THE・下衆』」       ハルヒ「鶴屋さ...
  • (きれいな)朝倉さんと(かわいそうな)古泉君
    「秋といえばおでんが美味しい季節だと思わない?」 「あなたは口を開けばそればかり。年中同じことばかり言っている。 おでんのせいで脳が侵されている可能性が非常に高い。しばらく実家に帰省して療養すべき。十年は戻らなくてかまわない」 こちらを見ることもせずにそれだけ言うと、長門さんは再び読書に没頭し始めた。読んでいるのは非常に本格的な黒魔術の本。 ここ最近の、私と長門さんとのやりとりはいつもこんな感じだ。 涼宮さんと彼が付き合い始めてから、彼女はすっかりやさぐれてしまった。 どうにか元気を出してもらおうと、こうして毎日彼女を訪ねているが、まるで取り付く島も無い。 せっかく私が用意した食事(おでん)もとらずに、いつも引きこもってジャンクフードと読書に溺れている。 ちなみに、今日のドリンクはドクターペッパーのようだ。薬臭い。 とにかく、このままでは長門さんはダメヒューマノイド・インターフェイス一直線...
  • ふたり ~4 ふたり~
    ~4 ふたり~  あたし達は久しぶりに電車に乗っていた。あたしの家とキョンの家からの帰り道。  なんでそんな所に行っていたのかって? それはね……バレちゃったのよ。  あたしとキョンの同居が。どんなルートで伝わったかは分かんないわ。でもバレちゃった。  だから、事情の説明と挨拶に行ったってわけよ。 「本当に悪かった。だけど、ハルヒと住むって言ったら絶対に許さなかっただろ?」  あたしはキョンの横でただ俯くしか出来なかった。ここはキョンの家。  目の前にはキョンの両親が座っている。そしてキョンが必死に説得している真っ最中。 「とにかく、俺は何を言われてもこの生活をやめる気はないぞ。大学だって学費を払ってくれないならやめるだけだ。……行くぞ、ハルヒ」  こうなっちゃうと思ってたわ。キョンの性格からして、きちんと許可を取る気はないってわかってた。  だからあたしは決めてたのよ。代わりにあ...
  • 素直になれたら
      あの二人がついに結婚か・・・ タクシーで移動中、俺はふと横に目をやる。 肩にもたれかかるようにして長門が寝息を立てている。 俺と長門は今幸せだ。 長門は思念体からハルヒ観察の功績を称えられ、人間と変わらない体にしてもらった。 そして、俺らは結婚した。 今日はあの日々を共に過ごした男―古泉の結婚式の日だ。 相手は対立していた機関の橘。こいつらが和解したのは最後の閉鎖空間が消滅した後の事 俺たちが、高校を卒業する間際。ハルヒが大規模な閉鎖空間を発生させた。 原因は俺だった。またくだらないことで口論となり、つい手が出てしまった。 ハルヒはその時泣きながら部室を出て行った。 急いで朝比奈さんと長門がなだめに行ったが遅かった。 口論理由はコーヒーは豆から挽くか、インスタントか。 ミルクを入れるか牛乳を入れるか・・・こんな話だった気がする   古泉「閉鎖空間が発生しました。すでに機関の仲間が数...
  • あま~い短編5
    ハルヒがキョンに何かを渡すようです   ハルヒ「キ、キョン!コレ読みなさい!いいわねっ////!!」 キョン「なんだコレは?」 ハルヒ「い、いいから黙って読みなさい、じゃあね」 ダダダダーッ!!     キョン「何だあいつ?まあいい読むか」       『キョンへ       あんたが、私と一緒にSOS団を始めてからどれくらい経ったかしらね。私が言う無茶 なことをあんたはいつも嫌そうな顔をしながらもやってたわよね。本当にキモイわ。何考えて たのかしら。どうせ、スケベな事でも考えてたんでしょ。みくるちゃんをエロイ目であんた が見てたことはお見通しよ!なんであんたなんかがいるのかしらね。教室でもいつも私の すぐ前の席にいるし、なんかやったんじゃないでしょうね?臭くてたまらないわ。いい? キョンあんたは本当にキモイけどね。SOS団の一員としてしょうがなく生かしてあげてんのよ !分かったら...
  • あらしのよるに
    暴風のせいでがたがたと不規則に鳴るサッシに目を向ける。カーテンを閉める前に確認した限り、帰宅した夕方にくらべてずいぶん風も雨も強くなっていた。 台風が近づいているせいで天気が不安定になっているらしい。 こういう日には、閉鎖空間には発生して欲しくないと特別強く思ってしまう。 暴風雨の吹き荒れる夜と、あの空間の中の色はとてもよく似ているから尚更。 ああ、でも最近はずいぶん閉鎖空間の発生頻度も規模もおさまってきている。 良い傾向だ。 軽く頭を振って思考を切り替え、数学の予習をしようと教科書とノートをひらいた時、時計がわりに手元においてあった携帯電話が着信を伝えた。 短いメロディが五秒間だけ流れて止まる。メールだ。 閉鎖空間の発生は感知されていないし、そもそも機関からの連絡は電話で来るのが常だったし確実なはず。 涼宮さんがまたなにか思いつきでもしたのだろうか。それとも、彼がなにか悩み事でも相談しよ...
  • 熱すぎる季節
     東から昇ってくる太陽がこれほどまでに忌々しい季節は無い。夏である。   中庸が一番なんだよ、気温に関しても。今日はいくらなんでも暑過ぎる。なんでそんな日に限って探索という名のぶらり旅があって且つハルヒとペアになってしまったのだろうか。  学校一じゃないかという程に傍若無人な行動も辞さないハルヒに振り回され、俺はもうへろへろである。  出発した時には既に汗が吹き出していたので、シャツがべっとりとまとわりついている。  身体が「水をくれ」と悲鳴を上げている。これはヤバい、屋台の鉄板の如く熱せられたアスファルトに倒れてしまいそうてある。  涼しい場所に行きたい。それだけの理由で入ったファミレスで、ハルヒがフルーツパフェを物凄い勢いで食べている。俺は水で十分である。そこ、ひもじいとか言うな。  宮廷料理だろうとジャンクフードだろうと、こいつのがっつくスタイルの食べ方は変わらないんだろうな。 ...
  • 眠気と休日~キョンと鶴屋さん編~
    久しぶりの探索のない土曜日。俺は妹とミヨキチを連れて河原に来ている。 なんでも、理科の実験の為の石がどうとか、自然の粘土がどうとか言っていた。 んで「危ないからキョンくんもついて来て~!」だそうだ。 まぁ、確かにヒマ人だが。 そして、河原で何があったかというと…何もねぇ。 俺は、川に足をつけながら何やら石だの泥だのを取っている妹とミヨキチを見ながら、斜面に寝転がっていた。 今日は、見事に眠気を誘うポカポカ陽気。 俺はその陽気に身を委ね、そのまま目をつぶった。   しばらくたつと、不意に目が覚める。俺の側に立つ、二人の人間、逆光でよく見えねぇ。 「おやまっ!やっぱりキョンくんだねっ!!」 この声……鶴屋さん? 「近くから見ると、よく分かりますねぇ……遠くからだと、別人みたいです。」 こっちは朝比奈さんか? 雲で太陽が隠れて、二人の姿が見えた。 ロングスカートの似合う笑顔の眩しい女性と、中くら...
  • 古畑任三郎 VS SOS団 事件編(後編)
    SIDE 長門   以前撮影した映画の衣装を着て、朝比奈みくる、古泉一樹と共に寸劇をしていると、 舞台袖に涼宮ハルヒ、そして彼が戻ってきた 彼の方を向くと彼と目が合った。 すると彼は頷いた。……成功したようだ。 生徒会長を殺害したのならば、もうこのイベントを続けることに意味はない。 涼宮ハルヒもそう考えたのか、早々に結果発表へと移った。 結果は、寸劇で見事に演じたということで私が優勝。……何故? 参加者は文句を言っていたが、朝比奈みくるが私の頬に接吻をするのを見ると、何故か満足そうに引き上げていった。 イベントも終了し、後片付けをすましたら、ここからは私の役目となる。   ハルヒ「じゃあ、一旦解散ね。そして夜の9時、またここに来ましょう。」 キョン「長門、一人で大丈夫か?」 長門「……大丈夫。」 古泉「警備員などに見つからないようにしてくださいね?    まあ長門さんならばそんな心配はい...
  • 赤い絲 後篇
    『赤い絲 後篇』  夜空に歪な形の白い月が浮かんでいる。月だけぽつんと。不思議なことに星が見えない。  晧晧とした明りの中、あたしは一人頭上の月をただぼんやりと眺めた。  一体あたしは何でここにいるんだろう。こんな暗闇の中たった一人で。  周りには何もない。あったとしても闇に紛れてしまって見えないのかもしれない。  気付いたらあたしは制服姿でこの暗闇に立ち尽くしていた。  そういえばいつ着替えたっけ。いつの間にかパジャマではなく制服を着ている。  自分の身なりをぐるりと一通り点検して──気がついた。  右の小指に糸が絡み付いている。  でもそれは『白い糸』だった。  その白い糸は自分の小指から見る見る伸びていき、闇の方に消えていく。  あたしはその白い糸を誘われるかのようにふらふらと追いかけた。  月明りに照らされた白い糸は真っ直ぐ真っ直ぐ延びていく。  あたしはただそれに従うように...
  • 涼宮セルヒの憂鬱
    新ジャンル「セルヒ」     「ぶるぁぁぁぁああああ!! ただの人間にぃ、興味はなぁぁああい!!」 「サイヤ人、トランクス、ピッコロ、餃子がいたら私の所にくるがいい、いじよう!」 長くて真っ直ぐな緑の皮膚に斑点つけて、クラス全員の視線を傲然と受けとめる顔はこの上なくカラフルな色合い、意志の強そうな大きくて黒い羽を異常に大きい尻尾が縁取り、薄金色のオーラを出した少女。 セルヒの白い喉がやけにまばゆかったのを覚えている。 えらい緑がそこにいた。           「やあごめんごめん! 遅れてしまったぁ! 産むのに手間取ってしまったわ」 片手を頭の上でかざしてセルヒが登場した。 後ろに回されたもう一方の手が別の生物の粘液塗れの腕をつかんでいて、どう見ても無理矢理産まれてこられたと思しきその生物共々、セルヒはズカズカ部屋に入ってなぜかドアに錠を施した。 ガチャリ、というその音に、不安げに震...
  • 恋人以上……?
     友達以上。恋人未満の続きです    キョンの告白を受けてから二か月。あたし達はあれ以来キスすら出来ないでいる。  そう。恥ずかしいの。二人ともなにかと恥ずかしがって手を繋ぐくらいまでしか出来ないのよ。 「ハルヒ。明日の予定どうする?」  あたし達が付き合いだしてからSOS団の活動は日曜になったから毎週土曜日がデート。  とくに行きたい場所もないからほとんどがどっちかの家なんだけどね。 「次はあんたの家かしら。それともどっか出よっか?」  それでもあたし達は仲良くやれている。ケンカもしないし、お互いを気遣ってるから。  それでもあたしはちょっと物足りないのよね。たまにはキョンにグイグイ引っ張ってもらいたいわ。  ほら。ちょっと強引にキスして欲しい……とかさ。  でもそれはして欲しいけど実際されたら確実に殴るわね。だってあたしの方がキョンより上じゃないといやだもん。  矛盾してるけどキョンは...
  • 遠距離恋愛 第十三章 家庭教師
    第十三章 家庭教師   ハルヒ達からの贈り物を目の前に「一年間頑張る」と決意を新たにした俺は、翌週行われた全校全教科試験という第一の難関に挑んだ。が……俺は試験中に絶望していた。   問題の意味が、どういった回答をすれば良いのか解らないのだ。   俺ってこんなレベルだっけ?とあらぬ方向へ行ってしまおうとする頭を無理矢理試験に集中させ、何とか全教科試験の日程をクリアした帰り道。がっくりと落ち込んだ俺を引き連れながら、佐々木と朝倉は「今日の試験簡単だったわね」「1年2年の総括問題だしね」などと和やかな会話をしていた。くそ、忌々しい。 こいつらの頭のレベルは半端じゃない事は十分解っている。聞けば朝倉は昨年一年間学年トップの座を譲り渡すことはなかった(と言うことになっている)そうだし、佐々木は言わずもがなだ。二人とも俺とはレベルが違いすぎる。これほど自分が無力に感じたことはなかったね。 これ...
  • 恋文 プロローグ
            プロローグ 『突然このようなお手紙を差し上げること、心からお詫び申し上げます。この手紙が貴方にとって甚だ迷惑なことは重々承知しておりますが、私はどうしてもこの気持ちを伝えたいと思い、したためる決意をしました。 私は、貴方のことが好きです。 貴方は私のことを覚えておられないかもしれません。それも仕方のないことだと思います。けれど私は、貴方とともに歩いたあの日のことを忘れられず、ただ私が勝手に恋慕の情を抱いているにすぎません。自分でも恥ずかしく、貴方にとっては気味の悪い思いを抱かれていることでしょう。 それでももう一度、一度だけでいいのです。貴方の横を歩き、一言声を交わすことを許していただきたいと思います。 もし私の願いを叶えてくださるのなら、次の土曜日に駅前の公園に来ていただけないでしょうか。私は白い帽子をかぶって、貴方が来ていただけるそのときまで、ただただお待ち申し...
  • Am I father ? 第四章前半
      4-1   「ふう・・・」 図書館のドアを開けると、その隙間からふわぁと涼しい空気が流れてきて、火照った身体に心地よい清涼感を与えてくれる。 こんな真夏の一番暑い時間に図書館に人なんぞいるのだろうか、と思っていたのだが、意外も意外、結構人はいるようだ。 このヒマ人め、と以前の俺なら思ってしまいそうだが、悔しいかな、ここの快適さ・・・とはいっても俺の場合、本を読む、というよりは、その快適な温度の中での、敗北と決まっている心地よい睡魔との闘いの一時を指すのだが、それをここにくる度に味わっている身としてはそんなことは言えんのだ。むしろ、俺のほうがヒマ人みたいだしな。 俺がぼけーっとそんなことを考えているうちに、朝倉(小)は、あちこちきょろきょろしながらすたたたたっと走っていこうとする。 こらこら、図書館では走っちゃいけません。それにお前が読むような本はそっちじゃないぞ。 朝倉(小)を呼び止め...
  • 大回転勘違い
    「これで詰み、だな」 「おやおや…参りました。今日のあなたはことの外、お強いですね」 「いや、いつも通りだろ」  そう、この日も涼宮ハルヒ団長閣下を始め、SOS団の面々は文芸部室でいつも通りの放課後を過ごしていた。ハルヒには悪いが、平穏無事で何よりだね。 「しかし、将棋も飽きたな。次は何か他のにしないか」 「そうですね。では久々にダイヤモンドゲームでも」  そうして古泉が駒を片付けている間、手持ち無沙汰だった俺は何気なく部室を見回して――偶然“それ”に気付いちまったのさ。ああ、あれは単なる偶然だった。と、そう思いたいんだがなあ。 「おい、ハルヒ。ちょっとパソコンに近付き過ぎじゃないのか」 「え、そう?」  正確には、ハルヒが顔を近付けていたのはディスプレイであってパソコンじゃないんだが、それは瑣末な相違だろう。  俺の指摘に、朝比奈さんと古泉もハルヒの方へ顔を向ける。長門だけ...
  • 束の間の休息(×ローゼンメイデン)
    「……! あんた、誰!?」 「私? 私は水銀燈。ローゼンメイデンの第一ドール」  それが彼女との出会いだった。まったくの突然。  夏のひと時、あたしに舞い降りた……  ――束の間の休息―― 「魔女?」 「ま、魔女ですって!? あなた、それを誰に向かって言っているの!」 「ていうかあんた人形? どうして自力で動けるわけ? すごいわね!!」  綺麗な人形だった。凛としていて気品がある。 「ちょっと、気安く触らないでちょうだい!」 「あんた、何でここにいるの?」  水銀燈と名乗るその人形は、あたしの問いに一瞬だけうつむくようにすると、 「ちょっと飛べなくなったから、休んでたのよ。この部屋、私の好みには合わないけど、悪くないわね」 「あんた」 「なぁに?」 「瞳が綺麗ね……」  あたしは水銀燈の瞳に見入っていた。何でできているんだろう。  あたしが見つめていると水銀燈は急に気がついたように首を...
  • 普通短編65
    キョン「ハルヒ、よく聞け…」 ハルヒ「なによ?」 キョン「俺がジョン・スミスなんだ」 ハルヒ「誰それ?」 「長門さん、あなたに一つだけに言っておくことがあります」 「……なに?」 「僕達の組織は涼宮さんと、キョンくんを恋中にし涼宮さんの力を安定させようとしています」 「…何が言いたいの…?」 「率直に言います、キョン君に恋愛感情を抱いているあなたには、消えていただく必要があります。 ですので僕があなたを排除します」 「涼宮ハルヒの閉鎖空間外ではただの人間である、あなたには無理。諦めた方が得策。 今なら見逃す。」 「ではこれならどうです?」 一樹が指を鳴らす。 私達を残し全ての世界が灰色に変質して行く。 長門「なんて物を書いてみた」 キョン「妄想乙」 長門「おでんがおいしいきせつになりました」 キョン「汚田て…」 「長門? 何やってるんだ、パソコンいじったりして」 「...
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