涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki内検索 / 「ひとりぼっち」で検索した結果

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  • ひとりぼっち
    週末になるたび、私はあの場所へ行っていた。 桶に入った水と花。これを持ってあの場所に向かうのもどれだけ続けたことだろうか。 「あら、長門ちゃん。精が出るね」 すれ違うお婆さんに会釈を返す。 彼女は痴呆が進んでいるため気づいていない。私が何十年この行動を繰り返しているのかを。   先週変えたばかりの花をまた変え、桶の水で墓石を洗う。 このあたりでは一番清掃が行き届いていると自負している。 この行動を、何十年となく繰り返してきたから。 横にある墓碑に刻まれた名前。 『涼宮ハルヒ 20××年×月×日』 『涼宮○○  20□□年□月□日』 涼宮ハルヒと、そしてキョンと呼ばれていた彼が入っている墓。 少し離れた位置には古泉一樹のものもあった。 何度となく私は墓参りを繰り返す。 「久しぶり……元気にしていた?」 すでに生きていないものに元気かと問う私は滑稽。 有機生命体は死んでしまえば、その体に何の情...
  • 長編・長門有希
    ...t my love ひとりぼっち 有希見酒 幸せの大きさ おめかし 『有希の横顔』 お姉ちゃん 有希の降霊術 長門の真実 二月の雪 異界からの刺客 ある秋の日のこと 長門有希の悪夢 一途な愛情 有希カレー 【The Blank of 3Days】 もし長門がバカだったら お姉ちゃんと一緒 長門有希の小説 有希と湯たんぽ 長門有希とお酒 長門有希の羨望 長門ふたり ながとぅーみー はるかぜふくまえに 空からの花嫁 長門有希の要求 7人の長門 あなたたちと夕食 有希、無音、教室にて。 長門いじめ? 消えない雪 BlackLily ユキキス はじめての風邪 嫉み 
  • はじめての風邪
    ...時間が流れ出す。  ひとりぼっち。不意にそんな言葉が頭に浮かんでくる。図書館で読んだ絵本に載っていた言葉。  とっても寂しいこと。……つまりわたしは今、寂しいという感情を抱いている。  このようなことは滅多にない。今までにあったこともない。だけど、今はとても寂しいと感じている。  病気で機能が低下しているからだろうか? 今のわたしの思考は何かが違う。 『寂しくて、切ない』  みんながいなくなったから。ひとりぼっちになったから。本当は誰かに側に居て欲しいから……。 「有希、起きてる?」  暗闇の中から聞こえてくる一つの音。その音に反応してわたしは目を開けた。  涼宮ハルヒ。わたしの観察対象がそこにいる。 「起きてるみたいね。あたし、今日はずっとここにいるから」 「どうして?」  特に泊まる必要も無いはず。それに彼女は制服のままだし、親も心配する。 「あんたが心配だからよ。それにほら、...
  • 涼宮ハルヒの大ぼうけん
    ...した。 ■シーン4「ひとりぼっちにしないで」 それからハルヒは、何度も何度もみんなをめざめさせようとしました。 みんなが好きそうな世界を用意したりもしましたし、見ただけでとろけてしまいそうなくらいおいしそうな料理を、うでによりをかけて用意したりもしました。 ほかにも時間をまきもどしてみたりもしましたし、とにかく思いつく全てのことをためして、ハルヒはみんなを起こそうとがんばりました。 でも、どんなことをしても、どれだけハルヒががんばってみても、みんなが目をさますことはありませんでした。 それでもハルヒはあきらめずに、みんなを起こそうとがんばりつづけたのでした。 ハルヒはほおにつめたい光を感じて、まぶたをあけました。まわりは墨でぬりつぶしたようにまっ暗です。 小高い丘の上、ひゅうひゅうとおだやかな風の音がきこえてきます。 ここがどこであるか、一瞬、ハルヒにもわかりま...
  • 機械知性体たちの即興曲 第五日目/夕
    ...両親がいて、こっちにひとりぼっちで」 古泉           「(……?)さぁ、それは、もちろん寂しくない、ということもないとは思いますが」 みくる         「…………」 ハルヒ        「今さらな話なんだけど……わたし、みんなの家族のことなんて考えたこともないのよね」 みくる         「え……?」       ハルヒ        「たとえば、古泉くんは? ご両親は壮健?」 古泉           「……はい。その……まぁ」 ハルヒ        「みくるちゃんは?」 みくる         「は、はい。その……元気でいる……はずです……?」 ハルヒ        「あたしは両親がいる。一緒に住んでもいる、けど」 古泉           「……(? 急になにを?)」 ハルヒ        「……キョンも、有希もそう。あたし、知っている人の誰の親とも会...
  • 永遠を誓うまで(本編)
    今日はあたしの高校の卒業式だ。 どこまでも青く晴れ渡る空の下、あたしはいつもと同じように高校へと向かって歩いている。 高校生活も今日で終わりかと思うと、少し寂しい気もするが、かといって高校での学生生活が充実していたかというとそうでもない。 毎週毎週が同じことの繰り返し、単調で退屈な日々を苦痛に思ったことは何度もあった。よく言えば無難な学生生活だったが、何の刺激もない毎日にいいかげんうんざりしていたのを、昨日のことのように思い出す。 せめて大学生活ぐらいは、充実した日々を送りたい。そう切に願いつつも、大学生活といえども、それほどたいした事があるわけではないだろうと、冷めた目で見ている自分がいるのも事実だ。 まあ、大学生になったからといって、そうそう刺激的なことが毎日あるわけはないだろう。 あたしはいつからこんなに自分の人生を達観して見つめるようになったのだろうか。小さい頃、あたしが中学生...
  • 下衆谷口の聖夜2
    ...人は?」   橘「ひとりぼっちで人恋しい夜に! なんとなく誰かとお話しした~い! そんな時に! ピッポッパ!っと電話一本ですぐさま駆けつけあなたの恋人に早変わりする宅配屋!」   橘「それがこの私。橘京子なのです!」 谷口「ははあ。それはなんとも素晴らしいご職業でございまするな」   橘「ハイこれ。営業用の名刺。私用でかけちゃノンノンだめだめダメダメよ。ノーセンキューよ」 谷口「ぱいぱい」     橘「それで、今日の私の彼氏はどこのどなた?」 長門「………あそこで朝比奈みくるの肩をつかんで神妙な顔をしている人」 橘「ふふん。なんだか修羅場ってるみたいだけどぉ、ちょっとワケありって感じ?」 長門「………そう。実は、かくかくしかじかという訳」 橘「あっら~。それは大変ね。ま、クリスマスのイヴにはよくあることですよ。んじゃ、ちゃっちゃと行ってちょちょいと片づけてくるからねん♪」     ...
  • 水晶の夜⑤
    ...つが俺に出会うまではひとりぼっちだったと思わせておいた方が都合がよかったんです。」 「そこまで突き放すことなんかできないくせに…。どうせここまで甘やかしたんだったら、残りの十二年間も取り戻してあげたら?」 「…………。」 「まあ、いくら君でもそこまではできないか。」 「できますよ。」 古泉はハルヒからいきなりいらん力を与えられた。 長門も朝比奈さんも命令によってハルヒに接触した。 おれは違う。 「おれは自分からあいつに声をかけました。おれは自分の意思であいつに近づきました。 ここまで関わってしまった以上、ほったらかしにするわけにはいきません。」 俺は振り返って電話のマイクにしゃべった。 「なぁ、古泉。」 「なんです?」 「おまえは、完全におれに下駄を預けてしまえばいいと今でも思っているか?」 「もちろん。」 「本来こんなことはおれたちの仕事じゃないと思わないか?」 「何を言いたいの...
  • 長門の日々 第13話『"長門"有希の憂鬱Ⅰ』
    第13話『 長門 有希の憂鬱Ⅰ』   彼がいなくなる。 こんな暗い公園に一人ぼっち。   わたしは情報改変を施し、憂鬱な毎日を過ごす。 彼がいない毎日は、わたしにとって憂鬱そのものでしかなかった。 ……会いたい。   それからわたしは毎晩この公園に通っていた。 寒々しい夜の公園はわたしの身を……心も……冷たい風で冷やす。   静けさに抱かれながら今日もまた待っている。   「……今日こそ彼が帰ってくる……?」   誰がいるわけでもないのに口に出してしまう。 早く。早く帰ってきて。 わたしは彼を渇望している。 理由は、彼が好きだから。   「……キョン……」   彼が居ない事をいいことに彼をあだ名で呼んでみる。 わたしはそれがなんだかとても恥ずかしいことに思えてくる。 なんで?……わたしと彼は一般から見ても恋人同士。 なのに、あだ名で呼べないのはなぜ?   ……次、会った時から彼を「キョン」...
  • ウソがホントになる世界で
    ...言った。「この世界でひとりぼっち?」 『君には感謝してるよ。だから、君が望むことはなんでも叶えてあげる。とりあえず、あの世界にある、あらゆる魂の複製を用意してきた。 いろいろ妨害もされて時間がかかったんだけど、全部集めた。 だから、ひとりぼっちにはならないよ』 「あたしの言うこと聞いてくれるのね?」まるで能面のような顔でハルヒが言った。 『ああ、君は、それだけのことをしてくれた』 「じゃあ、このキョンをあたしにちょうだい!!!」 ハルヒは肩を震わせ、大声で怒鳴った。ハルヒの目には涙がたまり、いまにもあふれそうだ。 『彼は元の世界に返してあげないと。今なら魂の完全な複製を作ることができるから、それで』 「あんたは黙ってて!!!」 『………』素直な神様だな、俺はそう思った。 「ねえ、キョン。あたしと一緒にこの世界で暮らさない?」 「ハルヒ………」 「あたしね、あんたと一緒にずっと生きて行...
  • 水晶の夜④
    ...まえ……、ほんとうにひとりぼっちだったのか?」 静寂が店の中を包み込む。 さっきまでの針のむしろのような沈黙とはちがい、本当にやさしい静けさだった。 しばらくしてからハルヒが声を出した。 「キョン…。」 「なんだ。」 「あんた本当に有希に変なことしてないでしょうね!」 おまえのしんみりは三十秒続かないんだな。 「してねえよ。さっき言ったろ。」 「変なことをしているのは、あなた達。」 長門、その台詞は部室で聞いたからもういいだろ。 いい加減その手の話題は勘弁してもらいたいんだが。 「あの、孤島に行った時、あなたはピンクのキャミソールに、直立していなければ中が見えそうなミニスカートをはいていた。」 「あれはキャミソールじゃないわよ! ただのノースリーブよ! そうよね、キョン!」 「正直言ってよくわからん。」 「彼はあの時、あなたの服装など見ていない。彼が見ていたのはあなたの肩と腕と脚...
  • 涼宮ハルヒの鬱憤
    ...いつだってこんな所にひとりぼっちにされたら 寂しいし、怖いだろう。 喧嘩して怒ったのと同じ分だけ悲しかっただろう。 俺の為に色んな事考えて色んな事してくれた分だけ 突き放された時はショックだったろう。 俺はハルヒをありったけの力を込めて抱き締めた。 俺は本当に大馬鹿者だ…。 もうこいつを離しちゃ駄目だ。 ごめんな、ハルヒ…。 そして…ありがとう、ハルヒ……。   その時、耳元で雷鳴のような大きな音が響いた。 「……プッ……クックッ……ハッ…ハッハッ!!」 そうだ、俺達は昼休みに学校を抜け出してから何も食べてなかった。 「ハッハッ!!ハルヒ、お前、腹の音!」 「あんたもでしょうが!キョン!」 お互い、赤面しながら笑い合った。 「腹減ってんのか?」 笑い過ぎて涙が出てきた。 「飴食うか?」   2人で飴を舐めながら俺は次の問題を考えていた。 閉鎖空間から抜け出さないといけない、 ハルヒに...
  • SOS団の無職5
    ...大な世界の中で、私はひとりぼっちなの?と。  親の友達も、学校の先生でさえも、私に関わる人間たちはことごとく上辺だけの存在だった。誰も、どんな人も、私の心の琴線にふれてはくれない。  当たり前だ。私は勉強だけを信奉する、勉学人間なのだ。勉学とは己の内のみで解決し、解消し、消化し、昇華していくものなのだ。それはたぶん……絶対的な意味での、孤独。    それが、ちょっと悲しかった。勉強さえしていれば何の感情もわいてこなかったけれど、孤独であることは、寂しいことだなと思った。  けど、違った。私の存在を、勉強以外の面で私という人間を理解してくれる、たった一人の人がいた。  それが、兄だった。    兄はズボラな人だった。毎日朝は寝坊三昧で、休みの日ともなると私が起こしてあげないとそのまま夜まで寝ているような人だった。  私が勉強に目覚めるずっと前からつきあっていた家族だから、彼との関係にだ...
  • 水晶の夜⑨
    ...れまでずっとあいつがひとりぼっちに耐えていたなんて、おれは信じません。」   店長ほかが急に戸惑ったような顔をした。 どうでもいい。 知るか。   「だからあいつはあの時、『わたしはここから動かない。誰が来てもここから動かない。さびしくなんかないから。』と全宇宙に宣言したんです。 おれはそう信じています。」   なんだか気まずい沈黙になっている。 何も知らないで他人の秘密に踏み込んでいくからそういうことになるんだ。 もういい。 さっき脅かしておいたから、他にもらすことはないだろうし。 徹底的に言ってやる。 「あの時、あいつにおれが声をかける前、なんだか寂しそうに見えたのは……、きっと見間違いです。」 そうだ見間違いだ。 「おれがあいつと一緒に……、あのメッセージを書き上げてやった後は、あいつは満足そうにトコトコ帰っていきました。これは絶対に見間違いじゃありません。」 ほとんどあ...
  • 初恋の人
    ※この作品は失って気づく幸せの続編に当たる作品です。     気がつくと、僕は光陽園駅前の喫茶店にひとりで座っていた。 ここが現実の世界ではなく、異世界であることは容易に想像がついた。なぜなら、喫茶店には誰一人として人がいなかったからだ。 どうして僕はこんなところにいるのだろうか。考えてみても答えは出なかった。ただ、いまの僕には、そんなことはどうでもいいことのように思えた。 なぜなら、僕は生きる意味を見失っていたからだ。人ひとりいないこの世界が、むしろ僕には相応しいのではないかとさえ思えるほど、僕は絶望に打ちひしがれていた。 しばらくそのまま席に座っていたが、何もすることがなかったので、僕は席を立つと、現実世界でするのと同じように、自動ドアをくぐりぬけ、喫茶店の外に出た。 見上げると、空には雲ひとつ無く、全体が淡い光を放っている。 ボンヤリとした光に満ちたこの世界は、一見暖かく、穏やかな...
  • 涼宮ハルヒの未練
    「やれやれ」     あの言葉が愛しい   もういちど聞きたい   でももうあいつはいない     ―――――――     北高を卒業、自然とSOS団は解散した。 あたりまえのことでしょうね。だって部活だもん あたしはあたしのレベルにあった大学へ進学した。 ホントはキョンといっしょの大学に行きたかったけど あいつは卒業とほぼ同時に田舎へ引っ越した。 おばあちゃんが亡くなったらしいわ。それでおじいちゃんひとりで可愛そうだからってキョン一家は田舎に帰った。 他の三人とは音信不通。あたしにまわりで変化したことってのは4人がいなくなった。それだけ。 それだけなんだけど、あたしにとってはそれだけなんてことばじゃ済ませられない。だってあたしはみんなの事がホントに・・・。   もうひとつ変わったような気がするのは、なんか最近おもいどおりに事が進まなくなったの。北高にいる時はなんだか自分が望む事が何気に...
  • God knows…(朝比奈みくるの場合)
    (わたし=朝比奈さん(小)、あなた=朝比奈さん(大)です)     何も知らされぬままわたしは時を駆け抜ける 「ごめんなさい…禁則事項です……」   未来のあなたは何でも一人で解決しようとする いまのわたしには何も教えてくれない   未来に支障を残すわけにはいかないから この時代の人たちとは親しくしては…いけない わたしは一人ぼっち   それでもわたしはあなたに従う これから起こるどんな辛いことも あなたは乗り越えてきたんでしょう? あなたの殻はわたしが壊す   絶対諦めない いつかわたしがあなたになるその日を笑って迎えられるように  
  • くたばっちまえ
    どこまでも澄み渡る青空、心地よい風が吹き、空には雲ひとつない六月のある日。 いつもは梅雨のため、じめじめとして鬱陶しい季節であるが、この日はからっとした晴天に恵まれ、日差しのわりに暑くもなく過ごし易い一日だった。 いま、僕は教会にいる。そして、目の前では僕が中学生だったあの日から夢にまで見た幸せな光景が広がっている。 教会の窓から差し込む陽光は穏やかで、まるでふたりの幸せを祝福しているように見えた。 どこからともなくオルガンの音が聞こえてきて、その音色は僕の心の奥へと溶け込んでくるようであった。 僕の足元から続くバージンロードの向こうには白いタキシードに身を包んだキョンの姿がある。 いつのころからだっただろうか、僕がキョンに淡い恋心を抱いたのは。いつだったかははっきりと思い出せないが、確かにそれは中学生だった僕の心の中に存在していた。       中学生だった頃、僕は学習塾が終わると、キ...
  • 普通短編63
    ...って……げっ、本当にひとりぼっちなんだな……)」   キョン「よ、よう長門。ちょっと悪いんだけど教科書貸してくれないか?」 長門「……なに?」 キョン「世界史の教科書、あと資料集も」 長門「ロッカー」 キョン「わかった、ありがとな」   キョン「え~っと……長門有希、長門有希……あっ、あった」    ――ガチャ パサ   キョン「ん……? なんか落ちて……げえっ!」 長門「待って……! 開けない……あ」   キョン「……」 長門「……」 キョン「……」 長門「……」   キョン「……BLか……?」 長門「うっ……」ビクッ 長門(ジーーー) みくる「な、なんですかぁ?」ボインボイーン 長門「……ペタペタ」 長門「……背は私の方が勝っている」 みくる「ひゃい?」 俺は今SOS団にいる。団員は全員いる。 「じゃあ今日は解散!」というハルヒの一声によって本日の業務は終...
  • ピロートーク~お莫迦若夫婦編
    その1 体を揺さぶるハルヒのせいで俺はいきなり目が覚めた。 どうしたハルヒ? 今日はそんな気分じゃないんじゃなかったのか。 「馬鹿っ……、そうじゃなくって……またキョンが黙っていなくなっちゃう夢で目が覚めて……そしたらあのときの事を……」 あぁ……もうそんな季節か、あれから10年近く経つんだが……あの時はごめんなハルヒ。 約束したろハルヒ、俺はずっとお前のそばにいるってさ、それに俺達には未希だっているしな。 「そうよ……約束やぶったら死刑なんだから!」 おいおい死刑は困るな、可愛い奥さんと愛する娘を残して死にたくはないぞ。 「ねぇ……手を握って」 手?……これでいいか? おいハルヒそんなに強く握らなくても……俺はどこにもいかないぞ。 安心しろハルヒ、さぁもう寝ような、お前が寝るまで見てるから、んっどうした? 「未希が昼間言ってたんだけど……妹か弟が欲しいんですって……だからキョン……」 お...
  • 規定事項の子守唄 第八話
     お茶を買いなおす気にはならなかったので、そのまま歩くことにしました。  橘さんたちの姿は、もう見かけませんでした。ひとにぶつかったせいで、鬼ごっこに興ざめしてしまったのかもしれません。  歩いているうちに、バスケットボールのコートが近づいてきました。  小学生ぐらいの男の子たちが、三対三のバスケットボールをしています。まわりには、応援をしている子供たちや、彼らの保護者とおぼしき数人のおとなたちの姿もありました。 「朝比奈さん」  そっと、古泉くんがわたしの耳もとに顔をよせてきました。 「いまから、ちょっと僕にあわせてもらえませんか? こんどは、突き飛ばしたりしないでくださいね」 「ふぇ? 」  言葉の意味を理解するまえに、古泉くんが、わたしの手をにぎってきました。  指が、からまってきました。  あ、あの?  これ、恋人同士がする手の握りかたのような……。  あわてるこちらを尻目に、古...
  • 機械知性体たちの即興曲 第四日目/夕
     機械知性体たちの即興曲 メニュー http //www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5972.html   □第四日目/夕 文芸部室 キョン         「じゃあ、今日はこれで帰るぞ」 ハルヒ        「…………」 キョン         (……ハルヒの視線が痛い。やっぱりシーランド公国のせいなのか? 適当に思いついたのを言っただけなんだが……どんな国だったんだ) キョン         「じゃあ、また明日な」 ハルヒ        「ええ……(有希のご両親か……ご両親ねぇ)」 文芸部室前 みくる         「……あ、キョンくん。ちょっと」(後ろから駆け寄ってくる) キョン         「はい? な、なんですか?」 みくる         「うん。なんか今朝から、キョンくんの様子が少しおかしいから」 キョン         (……...
  • 長門有希の憂鬱II 一章
    一 章      Illustration どこここ    そろそろ梅でも咲こうかというのに、いっこうに気温が上がらない。上がらないどころか意表をついたように雪を降らせる気まぐれの低気圧も、シャミセン並みに寒がりの俺をいじめたくてしょうがないようだ。朝目覚ましが鳴ると、いっそのこと学校を休んでしまおうかと考えるのが日課になっている。俺は窒息しそうなくらいにマフラーをぐるぐる巻きにして家を出た。    結果はともあれ本命も滑り止めも無事に受験が終わって、学校では三年生をほとんど見かけなくなった。生徒の三分の一がいなくなり、校舎の一部がガランとして静まり返っている。一年生も二年生も残すところ、憂鬱な期末試験だけだ。三年生でも朝比奈さんだけは、SOS団のためにまじめに通ってきているようだが。    その日の朝、教室に入ると俺の席の後ろで机につっぷしているやつがいた。ハルヒが珍しくふさぎこん...
  • いじめ短編置場
    ここには各キャラのいじめSSを置いてください 涼宮ハルヒ キョン 長門有希 朝比奈みくる 古泉一樹 その他 クリスマス ひとり とんでも生徒ムテキョング あさひなの泣く頃に
  • 規定事項の子守唄 第四話
    「しっかし、あいつがあんなことをいいだすとはね」  すこしむずがゆそうな表情で、涼宮さんがいいました。  いつもの、文芸部室でした。涼宮さんは団長席にこしかけて、頬杖をついているところでした。 「なんていうか……。あたし、ちょっとあいつを見誤ってたかも。陰険で、うざったいやつだとばかり思ってたんだけどな」 「ま、だれしも隠している気持ちのひとつやふたつはあるってことだろ。漫画やゲームじゃあるまいし、属性やらなにやらで単純に割りきれるもんじゃないのさ」  キョンくんが、苦笑めいた表情をうかべつつ、合いの手をいれています。古泉くんはそんなふたりを目をほそめて見守り、長門さんは我かんせずとばかり本を読んでいました。  ちなみに、涼宮さんがいっている『あいつ』とは、元生徒会長の彼のことです。  さきほどのサプライズ・ライブがおわったあと、卒業式は平常のプログラムにもどりました。つまり、彼による卒...
  • 長門有希の憂鬱IV プロローグ
    プロローグ  Illustration どこここ    ハルヒと古泉、そして俺の三人は北口駅の南側にあるバスターミナルでじっと並んで待っていた。ハルヒはガラにもなくフリルのついた白い日傘なんぞ差しおって、後姿だけ見たらなんとなくいいところのお嬢さんみたいじゃないか。着てる服までがお嬢様のそれっぽくなったのは、古泉と付き合いだしてからなのは気のせいではあるまい。    傘の柄を肩に当ててチラリと後ろを振り返ってシナを作ってみせるのは誰かに見せ付けてんのか。ホワイトフォーカスでもかかってるようなお嬢様はニコっと笑うどころか歯をむき出しにして俺に言った。 「なによジロジロ見て。なんか文句あんの?」 「いや別になにも。その日傘、高かったろう」 値段なんか知ったこっちゃないんだが、ハルヒが少し淑女らしくなったなぁなんてセリフを口にした日にゃ炎天下で頭がどうかしちまったんじゃないかと疑われ...
  • 長門いじめ?
    「ねぇ、気にならないの?」 昼休み、弁当をつまみながら久々のホームページ更新をしていた俺に、ハルヒは話しかけた。 後ろから覗くのはいいが、俺の卵焼きを奪い取ろうとするのはやめてくれ。 「気になるって、何を」 「有希、あの子友達も居なさそうじゃない? もしかしたらいじめられてたりとか」 まさか、確かにぱっと見は無口でおとなしい文学少女だが、 あの宇宙人製有機ヒューマノイドインターフェイスがいじめられるなんてことはまずありえないだろう。 「だってあの子、喋るの苦手でしょ? 私が来るまでずっと文芸部室で本を読んでいたような子だから、  私たちの他に友達がいるかどうか……」 そのとき、一瞬頭の中にフラッシュバックする光景。 12月のときももう一つの世界。 長門のマンションにおでんを持って現れる朝倉。 長門にとって唯一の身内ともいえる朝倉は、もうこの世にいない。 喜緑さんと長門がどのような関係かは...
  • キョンになっちゃった
    朝起きると――キョンになっていた。 いやホントに。夢かと思ったけど、頬をつねっても一向に覚めないし。   最初に違和感を感じたのは髪の毛だったわ。あたしってこんなに短かったっけ?ってまず思った。 そして本格的にオカシイと感じたのは――下半身。   なんか・・・『あらぬモノ』が付いている気がするのよね・・・。 あたしは何気なくその違和感の元を手で触ってみた。 『ムニュ』 え?何よ、ムニュって、おかしいわね・・・。 思わず寝転がりながらパジャマの中を覗いてみる。 あれ?あたし、こんなヘンなパンツだったっけ?と寝ぼけアタマで考えつつ、その奥に目を凝らすと・・・   ――しなびたキノコがあったとさ・・・。   「って・・・えええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」 あたしは思わず叫んでしまった。ここでやっと気付いた。 髪が短い理由も、叫んだ声が随分と低かったのも、全部合点が...
  • ゾクゾクする谷口
    谷口「今日、諸君らに集まってもらったのは他でもない。実はさっき、一考に値する噂を小耳にはさんだのだ」 中河「ほほう。それは大変に興味深い。して、その話とは?」   谷口「今、SS界では空前のゾクゾクブームらしいですぞ」 藤原「ゾクゾクとな? ゾクゾクというからには、ゾクゾクするSSがはやっているということなのか?」 谷口「そうだ。ゾクゾクだ。空前のゾクゾクフェスタ2008なのだ」   谷口「しこうして! 流行に超敏感なイケメソであるところの我々が、この一時的ブームに便乗せずしていかんとする!?」 藤原「なるほど。そういう事情だったのか。それは確かに、便乗せざるをえない事態であるな」   谷口「そういうワケで。今日は3人で流行に乗るべくゾクゾク祭を開催したいと思う次第である!」 藤原「うおー!!」 中河「ばんざーい!!」   ~~~~~   谷口「まず一番手は俺が行こう。俺のゾクゾク道を...
  • キョンに扇子を貰った日
    『キョンに扇子を貰った日』(『扇子』のハルヒ視点です) 今日は暑い。暑くて思考が鈍るわ。 朝、教室に着いてすぐに自分の下敷きで扇いでみたけど、なんかしっくりこないのよね。やっぱりキョンの下敷きの方がいいみたい。 だから時々、キョンの下敷き借りようと思って声をかけるんだけど、ぶつぶつ文句言ってなかなか渡さないのよね。 じゃーあたしのと交換しましょ、って言ったらキョンは「そんな女の子チックなのは俺には似合わん。断る」って言うし。 じゃー扇いでよ、って言ったらそれも断られちゃう。もー、この団長様がここまで譲歩してあげてるんだからそれくらい良いじゃない。キョンのケチ。ケチキョン。 そりゃあ、あたしの使ってる下敷きは子猫の写真をプリントしてある可愛い物だけどさ。でも、キョンなら別に変じゃないと思うんだけどなぁ。 あたしは考えてみた。 例えば―― もし、古泉君が猫下敷きを使ってたら、何となくキャラに...
  • 星色パノラマ 前編
    目次 「キョン…キョン!起きなさい!」 「ん…あぁ」   ベッドの上で寝返りを打つ。 時間は…まだ少し眠れるじゃねぇか。   「寝ぼけてないで早く起きなさい!学校遅刻するわよ!」   おい妹よ。起こしにくるのは良いんだがもう少し言葉使いを考えたらどうなんだ?   「…いい加減にしないと母さん怒るわよ?」   …お袋?   ガバッ!   飛び上がって声のする方を見ると確かにお袋がいた。 …なんでお袋が俺のことを起こしにくるんだ?   「早く下に来てご飯食べなさい」   …何か変だ。   「…どうしたの?ぼーっとして」 「…いや…何でもないよ」   そう言うとお袋は下に降りていった。   …俺はどっかの誰かさんの奇行の数々のお陰様である程度のどっきりには慣れている。   お袋の前では落ち着いて見せたが…何でも無いわけがなかった。   「…やれやれ」   なんかこの声を聞くのも久しぶりだな…...
  • 長門有希の消失 第四章
    第四章    学校を休もうと思っていた。  あの文章を読んで、わたしが独立した存在ではないと悟ってしまったとき、本当に立ち上がれなかった。茫然自失としていた。どんなことを思い、考えたのかも記憶にない。ただ気がつくと窓の外の空が明るくなっていて、わたしの部屋もかすかながら太陽に照らされていたのだった。パソコンはカーソルを物語の最後の文字で点滅させたまま、何十分も前と同じ状態の画面を表示していた。  涙は止まっていた。枯れてしまったのかもしれない。頬を伝った部分には少しだけ違和感があった。  でも確かに、涙に浄化作用はあったらしい。カタルシス。わたしは黙って泣いているうちに、いったい何が哀しいのか解らなくなってしまったのだ。一人暮らししていることなのか、あの物語が『わたし』のものだったことなのか、わたしは存在的に独立した人間ではなかったということなのか、あるいはその全部か。  悲しさも涙...
  • 機械知性体たちの即興曲 第三日目/昼
      機械知性体たちの即興曲 メニュー http //www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5972.html   □第三日目/昼 にゃがと    「…………」 あちゃくら  「…………」 ちみどり    「うぇーんうぇーん」 にゃがと    「ここまで彼女の精神面が脆いというのは意外といえる」 あちゃくら  「いやぁ。体の構造と一緒に、内面にも相当の変化が出てるんじゃないですか?」 にゃがと    「と、いうと」 あちゃくら  「ほら。わたしなんて言葉遣いまで変わってしまってるんですよ。もう違和感ないですけど」 にゃがと    「言われてみれば」 ちみどり    「うう……ぐすぐす」 にゃがと    「こうしていても仕方ない。ほかに食べられるものがないか、もう一度室内をくまなく探索することを提案する」 あちゃくら  「ですね……今、十二時ですか。キョンくん...
  • 第二章 彼、登場。
    長門ふたり   第二章 彼、登場。   翌朝。僕は憂鬱な気持ちで学校へと続く坂道を上がっていた。 昨夜は機関上層部に連絡をとり、対応を打診したが、とりえあず、 様子を見るように、という以上の指示は無かった。平たく言うと 「良きに計らえ」ってことだろう。僕の本来の任務は涼宮さんの力の 監視であって、宇宙人がらみの三角関係(いや、厳密には 登場人物は彼と長門さんの二人だから、これは二角関係だろうか?)の 清算ではない。とんでもないことに巻き込まれてしまった。 全ての原因は彼にあるのだから、彼が全てを解決すればいいのだ。 とここまで考えて、彼はいつも同じ立場に置かれていると言うことに気づいた。 全ての原因は涼宮さんにある。僕と長門さんと朝比奈さんには任務がある。 だが、彼は?たまたま、涼宮さんに選ばれたという以上の理由は無い。 「何で俺なんだ」と自問しない日はきっと無いだろう。他人の 立場とい...
  • キョンの絶望
    「今日は2月14日!バレンタインデーよっ!!!SOS団員は男、女を問わず、  誰かに告白し、後日、わたしに成否を報告すること!!以上!!」  わたしはこういう日は嫌いだから帰るわね」 まったく自分勝手な団長だ。 バレンタイン、か…。チョコを最後にもらったのはいつだっかな? ハルヒは今までいくつあげたことがあるんだろう? いや、それより俺は15,6年生きてきて、もらったことがあったか?…まあいい。 誰かに告白、ね…チラッ 「……」 この部室には、現在SOS団全員が揃っている。ハルヒは出て行ってしまったが。 「あなたは告白する心当たりはあるんですか?」 「…別に」 対面する古泉は不敵に笑う。 「僕はまったくありません。…ただ、涼宮さんを怒らせて閉鎖空間を生み出すような  ことがあってはいけません。適当な人にでも告白するつもりです。」 なんだなんだ…?古泉がまともな告白なんて出来るのか?...
  • 機械知性体たちの即興曲 第五日目/朝
    機械知性体たちの即興曲 メニュー http //www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5972.html   □五日目/朝 寝室。ベッドの上。 キョン        「(ベッドで横になったまま)……空が明るくなってきた」 キョン        「結局一晩徹夜しちまった……」 キョン        (あれからは何も起きなかったが……なんだったんだ。昨日の夜のあれは) キョン        (……周防九曜。もう間違いない。狙われてるんだ、こいつら) キョン        「(ちらりと胸の上を見る)」 にゃがと    「……すー……(ギュウ)」 キョン        「……一晩中、俺の胸の上で、服にしがみついたまま離れなかったな。こいつ」 キョン        「よっぽど怖かったんだな……」 ――にゃがと「おとうさあぁぁんっ! うわあああっ!」(ジタバタッ...
  • SOS団の無職16
    前回のあらすじ  キョンたちSOS団団員たちは、無事過去の世界から帰還することができました。明確な理由はサッパリなままですが。  しかし涼宮ハルヒが時間を巻き戻した理由は判明しました。キョンも、自分が佐々木と一緒に買い物をしていて、その現場を涼宮ハルヒに見られたからだ、と時間遡行の原因を納得できないまでも理解はしました。  キョンは佐々木と一緒に、涼宮ハルヒの誕生日プレゼントを買いに出かけていたのですが、残念ながら彼女の誕生日はまだまだ先です。  もうすぐ誕生日おめでとう!になるのは、古泉一樹だったのです。なんという悲しい勘違い。     ~~~~~      新車特有の接着剤を思わせるにおいをぷんぷん漂わせる車内で、なんで買いたての車ってこんなにくさいんだろう、と疑問に思いながら助手席に座る私はシートを倒して寝そべった。  隣でハンドルを握るお手伝いさんに訊いてみたら、この...
  • 規定事項の子守唄 第二話
     そのご、わたしと鶴屋さんは、すこし気持ちを落ちつかせてから、寝室を出ました。  客間のひとつで、使用人のかたに絞りたてのグレープフルーツ・ジュースを一杯ふるまっていただいたあと、武道場にむかいました。武術の鍛錬のためです。  というのも、この一週間は毎朝、鶴屋さんにつきあって武術を習っていたのです。彼女とのつながりにしたかったので、ひとつでも技を教えてもらおうと思って、こちらからお願いしたことでした。  ずいぶんと飲みこみの悪い弟子になってしまいましたが、鶴屋さんはいやな顔ひとつせずに教えてくれました。 「おおっ、今日はどうしたんだい? 動きが昨日までとちがうよ! 」 「そ、そうですかぁ? 」  おそらく、思考規制がゆるまっている効果でしょう。わたしの運動能力も、たぶん以前とくらべて三割ぐらいよくなっている気がします。  とはいえ、もとがたいしたことないので、そこまでいうほどかわりませ...
  • 機械知性体たちの即興曲 第一日目/夜
      機械知性体たちの即興曲 メニュー http //www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5972.html   □第一日目/夜   朝倉    「さて……また長門さんの様子でも見に行こうかな。どうせ晩御飯食べてないだろうし、今晩もなにか作ってあげるか」               ピンポーン 朝倉    「長門さん? いないの?」                ピンポーン 朝倉    「……変ね。長門さんの個体識別反応は部屋の中にあるのに」 朝倉    「……これは中で何かが起こってると判断するべきか。緊急コード。端末支援システムを経由して、七〇八号室への強制アクセスを実施」       ガチャリ   朝倉    「長門さん!? いったいどうし――」 ??    「だぁだぁ」 朝倉    「……は?」 ??    「ぶーぶー」 朝倉    「……パソコンの前に...
  • SOS団の無職15
    前回のあらすじ  涼宮ハルヒの自宅へお見舞いに出かけたキョンたちSOS団団員たち。朝比奈みくるに怒られた古泉一樹はちょっとしょんぼりしています。長門有希はあくまで普段通りの様子です。  涼宮ハルヒは思ったよりも元気そうでした。そう振舞っているだけということは、誰の目にも明らかだったのですが。  団員のメンバーたちと話す中で、涼宮ハルヒは今朝見た夢の内容を思い出してしまいます。とても悲しい夢です。まあ、そっちも現実なわけですが。     ~~~~~      最近やたらと妙な夢を見るようになった。俺も生活に疲れてきた証拠なのだろうか。  末期的な症状なのか、今朝見た夢などは自分が高校時代にタイムスリップしてハルヒたちと一緒に将来の夢のためにラーメンを作るというわけの分からない内容だった。おかしな内容ではあるけれど、何故か現実感がある夢だったんだよな。  俺は、しがないただのフリー...
  • 機械知性体たちの即興曲 第五日目/夜・前編
    機械知性体たちの即興曲 メニュー http //www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5972.html   □第五日目/夜・前編 マンション1F。エレベータホール ――ちーん にゃがと    「カサすげー」 にゃがと    「……たしかにあちゃくらりょうこが、そう評価するのも理解できる」 にゃがと    「こうまであっさり外に出られるとは」 にゃがと    「(キョロキョロ)」 にゃがと    「管理人もいない」 にゃがと    「……白い悪魔(訳注:例の白いネコ)もいない模様」 にゃがと    「……仲間を求めて、れっつご」(ボテ) にゃがと    「…………」(キョロキョロ) にゃがと    「転んだところは、誰にも見られていない。問題ない」(ムクリ……トテトテ)     本屋 みくる         「(料理本を立ち読み中)……うーん」...
  • ある夏の水色
    試行八千七百六十九回目―。   エラーデータの蓄積。解放までの試行残り三百回。 …。   八千七百六十九回目途中経過報告。 訪問先。 市民プール。昆虫採集。アルバイト-風船配り、ビラ配り。 ―。 …。   未来に帰れない…。お家に帰った私はしゃがみこんでしまう。 もう一度通信をしてみる。…だめ、反応なし。   長門さんの話ではこれで8769回目…。 それまでの私も同じようだったの?   帰れない…。ずっとここに閉じこめられるの? もう泣き疲れたのにまだ涙が出てくるよう…。 うっ。うぇっ。うえぇぇぇぇん。うぅぅぅぅぅ~。   涼宮さんのやり残したこと… 私にはわからない。キョンくん…。   ひっく。   頭がぐちゃぐちゃで眠れない…。 がんばらなきゃいけないのに。 でも誰も指示をくれる人はいない。 私ひとり…。   うぇっ、あっ、うわぁぁぁん、うぅぅぅぅ。   泣いてばっかり…。   うぅぅ...
  • はるかぜふくまえに・第四章
    ○第四章   その姿はいつぞやの雪山での光景を思い出させた。 俺のいたベンチは突如騒然となった。俺は誰が何を言っているのかも聞かずに席を飛び出した。 ハルヒや喜緑さんが駆け寄っている。守備についていた他のメンバーも二塁に集まり、気付くのが遅れた谷口が傍らで怪訝そうにしている。 俺は五秒で長門のいるベースに駆け寄ると、輪をくぐって中に入った。 長門は力なく倒れており、古泉が抱える形で呼びかけていた。 「長門さん! 長門さん!」 かがんでいた俺はちらと上を見る。喜緑さんが蒼白な表情で口元に手を当てている。……何てことだ。 「新川、すぐに車の準備を!」 「かしこまりました」 新川さんと森さんの声が聞こえたが何を言っているのか頭が回らない。 「長門、長門っ!」 「有希! どうしたの! 有希っ!」 俺とハルヒの声。さっきまでベンチにいた会長チームの面々が走ってきた音が聞こえる。 「……! すごい熱だ...
  • 朝比奈みくるの挑戦 その2
      さっと報告書に目を通した後、まずお茶を一口含んでからわたしは質問に答えた。 「最初の週は予想の範囲内です。ただ、涼宮さんと古泉くんサイドはちょっとずれすぎているかもしれません」 「機関より最初に提示された計画と、実際の計画の差異は内部にスパイが居たためと考えられる」 「情報統合思念体は、それを誤差の範囲と判断しこのまま計画を続行する」 「わかりました。わたし達もそれでかまいません」  報告書は計画の最初の週の観察結果。    公舎に戻ってから、報告書を詳しく読むことにしました。  まるで三流作家の恋愛小説に登場する主人公二人の交際を見ていると、口元が緩んできます。  当時のわたしの立場であれば、キョンくんと交際するということは禁則事項でした。しかも涼宮さんとキョンくんの絆は、彼女にとっては羨ましくもあり理想でもあります。  わたし自身がヒロインになれる話、うまくその役割を演じて王子様...
  • 機械知性体たちの即興曲 第四日目/昼
     機械知性体たちの即興曲 メニュー http //www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5972.html   □弟四日目/昼 教室 キョン         「…………」 ハルヒ        「窓の外ぼーっと眺めて……どうしたのよ。今日ずっとそんな調子じゃない」 キョン         「……ああ」 ハルヒ        「……まさか、有希のことでも考えてたの?」 キョン         「あ? ああ。そうと言えんこともないな……」 ハルヒ        「え?」(ドキ) キョン         (どうしたもんか……) キョン         (あと何日っていったっけ。三日? 四日?) キョン         (それまで、誰にも知られず、俺ひとりだけで、ほんとうにあいつらの面倒をみてやれるのか?)  ハルヒ        「……キョン?」 キョン  ...
  • 規定事項の子守唄 エピローグ
    「いい、以上で、ほ、報告をおわりますぅ」  そういって、目のまえにいる小柄な中年女性に一礼をしました。  四十代後半ぐらいに見えるこの女性は、ただのおばさまではありません。時空管理局環太平洋地域統括兼第三支局長そのひとであらせられます。ものすごい肩書きがしめすとおり、それはもうとてもえらいひとです。  ちなみに、名前は……とくに重要ではなさそうなので、かりに局長さんとしておきましょうか。たぶんコードネームで、本名ではなさそうですし。  ついでにつけくわえると、わたしたちがいまいる部屋は、時空管理局環太平洋地域第三支局本館局長室付応接室という名前がついています。ながったらしいですね。 「おつかれさま、朝比奈みくる。でも、ずいぶんと、めんどうな約束をしちゃったものよね」  約束というのは、長門さんに子守歌をおしえたときに、情報統合思念体に秘密にしてもらったことです。いまごろになって――といっ...
  • 恋は盲目 第三章
    第三章 ふと、我に返るとあたしは保健室のベッドの上にいた。一瞬、自分の置かれている状況が理解できなかった。 しばらくすると、混乱した頭から断片的に記憶がよみがえってくる。 閉鎖空間から戻った後、屋上で泣き叫んでいたあたしを見回りに来た教師が見つけ、保健室まで連れて来たのだ。 授業中にもかかわらず、屋上にいたあたしを咎めもせずに保健室に連れてきたことから、 そのときのあたしの様子が、とても尋常ではなかっただろうことは、容易に想像できた。 時計を確認すると、もう授業はすべて終了しており、普段であれば部室で過ごしている時間だった。 あたしはベッドから起き上がるとよろよろとした足取りで部室に向かった。 「もう大丈夫なの、涼宮さん。もう少し休んでいったほうがいいんじゃない」 あたしの様子を見て心配したのか保険の先生が声をかけてくれた。あたしはその呼びかけに返事をせずに保健室を後にした。 部室に行く...
  • 長門有希の憂鬱IV 三章
      三 章 Illustration どこここ    翌朝、俺はわざと遅れて自転車で会社に行った。昨日長門に謝ろうとずっと電話していたのだが電源を切っているか電波が届かないが延々続いて結局そのままになってしまった。    ハルヒは俺が出社しないうちに二人を連れて中河に会いに行った。俺は知っていてわざと遅刻したのだが、今度は先方の取締役会と親会社の役員に会うらしい。さっさと進めてしまいたい気持ちは分かるんだがな、交渉ごとを急いでやると損するぞ。   ── というわけなので、以下は聞いた話である。    中河テクノロジーの親会社、つまり筆頭株主だが、揃いもそろってでっぷり太ったお偉いさんばかりだった。バブル崩壊を潜り抜けて来たつわもの共で、きっとあくどい事をして稼いできたに違いないと思わせるような連中だった。こういう連中は市場の注目を浴びそうな目新しい技術がお好みらしく、人工知...
  • 規定事項の子守唄 第十一話
     お化粧をととのえながら、わたしは自分の泣き虫さかげんに苦笑してしまっていました。  なにしろ、長門さんの歌を聞いたあと、涙がとまらなくなってしまったのです。ものすごく心の琴線にふれてしまったというか、ほとんど泣くためのスイッチを押されてしまったような感じになり、しまいには彼女にすがりついたまま、鼻水までたらしてしまっていました。  さすがの長門さんも、これには困ってしまったようで、わたしの頭をなでて、慰めようとしてくれました。 「泣かないで、朝比奈みくる。わたしがこの世界から消える日まで、今日おそわった歌は、このインターフェースの固有記憶領域からけっして削除しないから」  ハンカチで、わたしの顔をぬぐいながら、そう約束もしてくれました。  うわ、いけません。思い出したら、また泣きそうになってしまいました。ほんとうにわたし、どうしちゃったんだろう。  とにかく、つぎはキョンくんの番です。...
  • 長門有希の憂鬱III The melancholy of Cupid
      The melancholy of Cupid  新入生もそろそろ初々しさを失い、彼らもまあ人生こんなもんかという高校生的悟りを開いた頃、俺も高校生最後の一年間に足を踏み入れてそろそろ一ヶ月が経とうとしている。クラス編成はたぶん説明するまでもないだろうな。俺とハルヒはなぜかそのまま繰り上げ文系、古泉と長門は理系クラスへ進級した。単なる偶然かあるいは誰かの意図か四人とも同じ国立を志望していて、俺は模試が来るたびにハルヒの課外講習を受けているありさまだ。ハルヒに付き合ってまで進学校を選ぶなんて、俺も自主性がないのか人がよすぎるのか、どっちでも同じだが。最後には神頼み的ハルヒの力でなんとか試験合格させてもらえないかなどと、甘いことを考えている自分を恥じていたりもする。    SOS団はなんの変わり映えもしない、はっきり言えばマンネリ化だな。昔に流行ったタイトルをリメイク、リキャストし...
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