涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki内検索 / 「キミがキミで居られるように」で検索した結果

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  • 長編・古泉一樹
    ...機一髪 閉鎖空間記 キミがキミで居られるように 世界の反対側 選択肢の無い世界で スノウマーチ 月光 一樹ちゃん☆スマイル 女古泉 ちゃん の憂鬱 四月の雪 キャッチボールwith古泉球 一樹くんに女神の祝福を! 温泉と札幌 前髪に揺れる四ツ葉ふたつ 雪解けの想い もりのこいずみくん 戦士達の休日 【K.B.F.】 秘密の音色 若葉の頃 新米保父さん一樹は大童 古泉一樹の私情 小さな、親切 Kiss&Kiss 魔法少女フェアリーユキ 刹那主義 赤ク染マル こいずみくん一斉大売り尽くし そらをとぶこいずみくん 『僕』の覚醒 届かぬ想い 古泉一樹の災難 桃色空間奮闘日記 僕は誰だろう 僕と森さんと時々2ch 夏の少女 教科書文通 うそつきの本音 闇に降る雨 笑顔は癖のような感じですよ 一夏の恋 あらしのよるに 恋愛相談 遊園地と花火 それぞれの愛のかたち 古泉一樹の消失 ゲ泉記 スノーホ...
  • 遠距離恋愛 第十八章 佐々木
    第十八章 佐々木   卒業式も終わった3月中旬。大学の合格発表が行われた。 佐々木はもちろん合格した。流石だね。伊達に3年間勉強に身を費やしていた訳じゃない。 朝倉は予定通り、高校卒業後に海外の両親の元へと行くと言うことで俺たちの前から姿を消した。   俺はと言えば……簡潔に言うと、落ちた。いや、落ちたというのは正確じゃないな。 補欠合格という曖昧な立場だ。合格したものの、他の私立大学等に行くために入学を辞退する人間が毎年多少居るので、次点の不合格者を補欠と言う形で「仮合格」させる。しかし、国内でも有数の超一流大学だから、毎年補欠で入学できるのは1人か2人なのだという。だからこの場合「落ちた」と同義な訳だ。   「キョン、残念だよ。キミとまた一緒に学舎に通いたかったのだが」 「……そうだな。約束を守れなくて、すまない」   いよいよ向こうに出発する佐々木を見送りに来ていた俺は、搭乗待合室...
  • 間違いだらけの文化祭 Scene2
     受験の年に厄介な事を押し付けられちまったな。  ただでさえ英単語や年表で圧迫されている記憶容量に無理矢理詰め込んでるから、フライパンにかけたポップコーンのように頭が破裂しそうだ。  塾のない日は、放課後遅くまで演劇練習で居残りだ。  帰る時間が遅くなる理由を聞いたお袋は色々文句を言っていたが、ロミオとジュリエットの主役を俺と佐々木がやると白状したら(させられた)態度が一転した。 「それなら仕方ないわね、がんばりなさい」で片付いたのだ。  なんだろうね、この変わり身の早さは。  一応ありがたく思っておくか。しつこく説教されるよりはいい。  だが妹と一緒にニヤニヤして俺を見るのは止めろ。  学校でもクラスのやつらがニヤニヤするんで不快指数は鰻上りだ。    そして俺は気づいていなかった。  このとんでもなく疲れる事態に、まだ追加される要素があることを。     「おはようジュリエット」とから...
  • シフォンの幸福論(藤原・橘)
    「佐々木さん、遅いね」  シフォンを食べ終わった後の、白くて丸い小皿に視線を落としてあたしが呟くと、 「それは独り言なのか、それとも僕に何かを求めているのか分からないな。思考が口をついて出る癖があるのなら直した方がいい。意味がない上に若干迷惑だ。ふん」 「…………もう」  あたしは今、市内の喫茶店で甘いものを頂いてます。それも……未来の使者さんと二人っきりで。  どうしてこんな憂鬱な状況になったのか。  考えるまでもなく、佐々木さんとくーちゃんが遅刻しているから。  ちなみにくーちゃんは周防さんのことで、あの人は何においても素っ気なさすぎだから、せめてもの愛嬌としてあたしがそんなあだ名で呼んでみたりしてるだけです。あたしらしくもないと思うけど、この集団に決起を促すためにはまだまだ献身しなければなりません。 「それにしても……」 「なんだ?」 「あ、いえ、その……なんでもないです」 ……...
  • 分裂、或いはSのモノドラマ
     ◆ 0 ◆      目が覚めると、そこは見知らぬ場所だった。  ただ、ここがどんな場所かということは未だ半覚醒状態の脳であっても、なんとか判断することが出来た。  なぜならば、俺が突っ伏していたのはどこにでもある一人用机であり、座っていたのは、それに付随するスチールと木で出来た椅子だ。加えて足下は木製のタイル。  そして周囲には同じような机と椅子のセットが並び――顔を上げた先には、俺の日常生活において、平日の1/4以上の時間、視界を占拠するもの――つまり黒板があったからだ。  つまり、ここはどこかの教室ということだ。  どこか、というのは風景に全く見覚えがなかったからだ。小・中・高、どの教室の記憶にも該当しない風景。一体全体なんで俺はこんな所にいるんだろうか。    自分の四肢身体を確認すれば、どうやら俺は制服を着ているらしい。だが、その制服も見覚えのないものだった。  頭...
  • くたばっちまえ
    どこまでも澄み渡る青空、心地よい風が吹き、空には雲ひとつない六月のある日。 いつもは梅雨のため、じめじめとして鬱陶しい季節であるが、この日はからっとした晴天に恵まれ、日差しのわりに暑くもなく過ごし易い一日だった。 いま、僕は教会にいる。そして、目の前では僕が中学生だったあの日から夢にまで見た幸せな光景が広がっている。 教会の窓から差し込む陽光は穏やかで、まるでふたりの幸せを祝福しているように見えた。 どこからともなくオルガンの音が聞こえてきて、その音色は僕の心の奥へと溶け込んでくるようであった。 僕の足元から続くバージンロードの向こうには白いタキシードに身を包んだキョンの姿がある。 いつのころからだっただろうか、僕がキョンに淡い恋心を抱いたのは。いつだったかははっきりと思い出せないが、確かにそれは中学生だった僕の心の中に存在していた。       中学生だった頃、僕は学習塾が終わると、キ...
  • 涼宮ハルヒの団結 第二章
         そんな感慨を抱きつつ、放課後、文芸部室。  今週の頭に生徒会から突如として課せられた、というかハルヒが課したポエム創作に紛糾していたSOS団員であったが、本日その内の二人の悲鳴は安堵の溜息となって開放された。   一人はもちろんであろう古泉だ。  そして残す一人は長門……ではなく、朝比奈さんである。  それぞれの詩を端的に紹介すると、古泉のはこいつが超能力者になる以前、自分の胸に秘めていた世界に対する本音を夢見がちな視点から書き綴ったもので、つまり少年の頃に密かに抱いていた願望をポエムにしたものだった。  朝比奈さんのはテーマが未来予想なものであるにも関わらずほとんど創世記のような内容で、後半に少しだけ未来の世界像が抽象的に書かれているという感じであった。俺の読解によるところでは、本来人間は諸々の管理や調整を行うために生まれており、未来では自然と人間の調和が実現するといった隠...
  • 佐々木「憂鬱だ」キョン「佐々木でも憂鬱になることがあるんだな」 
    「――中学出身、佐々木です。不束者ですが、どうかよろしくお願いします」    振り返ると、そこに佐々木がいた。    中学からの付き合いだから別に振り返ってまで自己紹介を聞かなければいけないほど俺と佐々木の仲は浅いものではなかったのだが、  なんとなくここで振り返っておいたほうがいいような感じがした。    佐々木はゆっくりと、柔らかい皮肉に包まれた微笑を浮かべたままでクラスを見回し、最後に目の前の席に座る俺に視線を合わせた。   「どうかしたのかい、キョン? 不思議そうな顔で僕を見て。ここに僕がいることに何か不都合でも?」   「いや、そんなものはない」    佐々木はくくくと笑った。俺はなんだか恥ずかしくなって前を向いた。    ちなみに、佐々木のこの一言によって直前の俺の自己紹介でクラス全員の脳内メモリに新規作成されたはずの俺の本名は完全に『キョン』で上書きされてしまったらしいことを...
  • 遠距離恋愛 第十一章 親友
    第十一章 親友   新しい学校への登校初日。 昨日中等部に入学したばかりの妹は、早速気の合う友人を見つけたらしい。昨日の夕食時に、溢れんばかりの笑顔で報告してくれた。まあ、この調子でうまく学校に馴染んで欲しいものだ。   「おはようございます」 「おう!おはよう!」 一昨日来た高等部の職員室で、担任に挨拶した。朝のSHR前と言うことで、職員室の中はかなり慌ただしかったが、真新しい制服を着た俺を担任は明るく出迎えてくれた。朝っぱらから進路指導でもしていたのか、担任の前には女子生徒が座っていた。 「今日からだな。一年間頑張って、良い大学に行ってくれよ」 「はあ……頑張ります」 「何だ何だ、覇気が無いな。そんなので大丈夫なのか?」 担任の呆れたような声を聞き流そうとしたとき、彼の前に座っていた女子生徒がすっと立ち上がった。   「先生、彼はやるときはやる男です。心配要りません」 あれ?どこか...
  • 感情と距離は反比例する?
     春は出会いの季節とは誰かが言ったかも知れないし、実際に学校生活に置いても社会人生活に置いても、 初々しい新入生や新入社員とかやってくるから、それは歯の浮いたテンプレート的な挨拶ではなく、事実として捉えるべきだろう。 さらに、このぽかぽか陽気で寒すぎず暑すぎないという一年の中に置いても最高の陽気に恵まれているタイミングが、 それを好意的な意味合いとして捉えることを促進している。  もっとも俺が春の訪れに出会ったのは、初顔ではなく懐かしい姿だったわけだが。出会いではなく再会だな。  だが、出会いがいろいろな波紋を呼び起こしてしまうのもまた事実だ。まあSOS団がらみでいろいろ、というのもあるが、 一番うっとうしいのは同じクラスの男女間の清い清くないを含めた上で、非常に興味津々の青春真っ盛りにある男どもである。  特に、入学式以来いそいそと新入生の品定めにいそしみ、目星のついた女子生徒片っ端から...
  • そしてイブはリンゴを齧る
    「申し訳ありませんが。今は特定のどなたかとお付き合いする事は考えにくいものですので」 「あ…そう、ですか…」    放課後の、人気の無い校舎裏。まだ何か言いたそうにしている新入生の子に「では、失礼します」と一礼して、わたしは足早にこの場を去りました。  少し、素っ気なさ過ぎたでしょうか? でも変に期待を持たせるような言動をして、執着されても困りますし。情報統合思念体の指示で学生生活というものを始めてから何度かこういう場面がありましたが、わたしには人間の恋愛感情というものがいまいち理解できていないので、こういう時の線引きには迷います。  いっその事――いえ、これはエラーに類する考えですね。長門さんの監査役を務めるようになってからでしょうか、どうもこういう非論理的な思考の発生確率が増えてきたような気がします。統合思念体に判断を仰ぐべきでしょうか。でも余計な申告をして、処分を検討されたりして...
  • おあいこ(佐々木×キョン)
    (この作品には原作には名前しか出ていないキャラクター及び、キョンの母親が登場します。そのため、そのキャラクター性は想像です。ほとんどオリジナルキャラクターです。よってあらかじめ了承できない方はご遠慮ください)        夏休みは明けたが残暑という名の余韻に体を焦がし、季節は秋。校庭からは華々しいほどに煌びやかに着飾ったチアリーディング部の女生徒達、廊下にはトランペットやサックス等の演奏の間違いを減らしているブラスバンド部員、その他来週に控えた体育祭の中で披露するレクリエーションの関係者達が、校内のさまざまな場所に散らばって練習を行っていた。  僕達はその光景を視界の片隅に置いておく程度に眺めながら校門を通り過ぎた。 「やれやれ、たかだか中学校の一イベントだって言うのに熱心だな」  彼はチアリーディング部の華やかな音楽が鳴っている方角を見ながら呟いた。 「キョン、今すぐ鏡を見てみるか...
  • 間違いだらけの文化祭 Scene6
     佐々木の吐息が俺の思考を酷くかき乱す。  ほんの少し近づくだけで唇が触れ合うだろう。  それを望む自分と、止めようとする自分が繰り返して争いを続ける。  本当は争うまでもないんだ。一時の感情で佐々木との関係を壊したくない。  だが彼女を欲しいと思った気持ちが止まらない。  葛藤で熱暴走を起こした頭に佐々木の姿が浮かんでは消えた。 『キョン』  目を閉じていたって鮮明に思い出せる。声だって、リアルに響く。  この半年に限って言えば一番時間を共有した相手だ。 『なあ、キョン。知ってるかい』  得意げに笑うあいつが、 『キミが遅刻した分だけ僕の時間は無為に過ぎてしまったのだが』  不機嫌に説教を始めるあいつが、 『呆れるほど鈍感だなキミは』  どこか困ったように俺を見上げるあいつが、次々に俺の脳内を侵食する。  この顔が強張ってしまったら俺は――    ダンッと鳴った音が俺の思考を中断させた。...
  • ハルヒがキョンを夢の中で殺しているようです。
    鬱グロ注意   [朝比奈みくる編]      最近キョン君の様子がおかしいです。何か変です。もうかれこれ1ヶ月も休んでます。どうしたのでしょう?    もう一つ変な点があります。それは涼宮さんです。何故かキョン君が休んでいるにも関わらず特に心配している様 子もなくお見舞いにも行きません。これはおかしいです。絶対に何かあります。そう思ってわたしは長門さんと古泉く んに相談してみました。 「実はここ一ヶ月の間、彼はずっと自宅から出ていません。窓にはカーテンがかけられていて中の様子を確認できま せんでした。家族の方々にも伺ったのですが、ずっと閉じこもったままでいるんだそうです。そしてこれが最も気に なることなのですが、どうやら一ヶ月前の閉じこもる前日から毎晩うなるような悲鳴が聞こえてくるんだそうです。 恐らくこれは大変危険な状況でしょう。何とか手を打たねばもしかすると彼の命が……」 「そんな……...
  • 魔法の言葉~would you marry me?~
    「僕がこの時間平面で行ったことは無駄に終わったが、一つだけ言えることがある。……キミと過ごした時間は、無意味じゃない」 「限られた条件下でなくとも、キミには私の傍にいてもらいたい―――そう思っているのは、こちらだけだろうか? ああ、人はそれを確かめるために……自分の気持ちを伝えようとするのだな」 「もしこれが叶わぬ想いだとしても、僕にはそれを捨てることなど出来ないのですよ。願いは届かないかもしれない――そう思ってしまえば、人は星に願うことを止めてしまいますから」 ―――藤原くん。会長。……古泉くん。 「わたしは、人を好きになるという感情を知りませんでした。でもそれは人も同じで、みんな誰かから愛情を教えて貰うのですね。あなたは……わたしにそれを教えてくれました」 「人間はさあ、よく『愛とは求めるものでなく、惜しみなく与えるものだ』って言うけど、わたしには無理。だってあなたにあ...
  • 二人きりと匂うは紅茶 「夏のアイスのように」
    「不思議探索スペシャル、夏の不思議大操作は終了よ!」 「ふぁ~・・・暑いから物凄い疲れたぜ」 「谷口はナンパしかしてないよ」 「あ~めがっさ面白かったにょろ~」 「そう・・・」 「さて、では帰りましょうかね」 「そうですね」 「ルソー、おいでなのね」 「由良達は帰り道解るか?」 「うん」 「ここら辺はよく来てたから」 「今日は楽しかったよ。皆さん、またね~」     二人きりと匂うは紅茶  第二話「夏のアイスのように」     「キョンくん、家に寄りませんか?」 夏休み中。 いつものメンバーに谷口やら阪中やらを加えて大人数となったSOS団の夏の不思議大捜査の終わった後。 夕暮れの帰り道で俺は朝比奈さんに誘われた。 「え?」 珍しい。いつもは俺の家でお茶などをするのに。 そんなわけで驚いて声を上げてしまった。   「あ、ハーゲンダッツのバニラを大量に鶴屋さんに頂いたんですよ。それを一緒に食べ...
  • 誰もいない国
     キョソの旅Ⅱ ――the Anal World――      夢がある限り、人は輝き続ける。アナルがそうであるように。  ―Anal goes tomorrow.―      第十二話 「誰もいない国」   ―No Anal lives there―  キョソとこいずみくんがその場所に着く頃、まるで見計らったかのように日がかげりはじめた。 「観光地とか言ってたわりには誰もいねぇな」 「僕もおとこの気配をまったく感じないですもふ」  キョソのつぶやきにこいずみくんが返事をした。  森を迂回する道は、進めば進むほど人の気配が希薄になっていた。キョソは少し気味の悪さを感じながら、 「引き返しちまおうか」  そう言いながら、キョソはこの場所に何としても立ち寄らねばならない予感がしていた。 「キョソたん。ここ、僕はずっとずっと前に来たことがあるような気がしますよ」  こいずみくんは無人の国の入り...
  • 間違いだらけの文化祭 Scene1
    「おお、ロミオ。どうしてあなたはロミオなの?」 「君がロミオという名が気に入らないなら、もう僕はロミオではない」    体育館のステージに、やる気のない声と凛とした声が響く。  名前が連呼されたのですぐわかったと思う――ロミオとジュリエットを演じている最中だ。  日本でも知れ渡っている有名な恋愛劇。  イギリスの劇作家ウィリアム・シェイクスピアが作った戯曲だ。  詳しい内容は知らなくても、大体の人がロミオの名前をどこかで聞いたことがあるだろう。    俺のクラスは文化祭の出し物でこれを演じる。  俺が体調を崩して学校を休んだ日に決まっていた。  やれやれだ。適当に歌でも歌うほうが手間がかからないんじゃないか?  せめて舞台裏なら良かったんだけどな。  俺も舞台で演じる一人だ。なお悪いことにセリフがとても多い。  配役まで知らぬ間に決まってたんだ。知ってたら無理にでも学校に来たぞ。  クラス...
  • 間違いだらけの文化祭 Scene3
     演劇ロミオとジュリエットの準備は全体的に見れば順調に進んだ。  一番セリフが多いやつはさっさと覚えたし、全員の衣装は出来上がり、宣伝のポスターも校内中に貼られた。  ポスターは画用紙に開催時刻とクラス名を書いた適当なものだ。  わざわざポスターなんて貼らなくても強制的に体育館に集められることになっている。  サボることもできるが点呼時にいないと欠席扱いになってしまう。  だいたいは大人しく体育館で出し物を見るか、居眠りをするのが通例だ。  そんなわけで、クラスの準備は整って来ていた。一部を除いて。    体育館で衣装を着ての練習が始まった15分後、いきなり中断が入った。 「キョンくん、まだセリフ覚えてないの!?」  眼鏡をかけた女子が金切り声で非難を口にした。  文化祭実行委員の彼女は自分のことのように眉を吊り上げている。  受験生だってのに余裕のあることだ。そういや学年10位以内だった...
  • Automation
      ※欝モノ・古長風味注意       限界だった。 深夜に悲鳴を上げて跳ね起きた。何度目かはもう記憶にない。 眠るのを諦めた。心臓の音と××の音ばかりが五月蝿くて堪らず、いっそ刃を突き立てればこの耳を侵す煩わしいものを止めることが出来るだろうかと精神病患者の如く考えたりもした。実際に思い立って、果物ナイフの切っ先を睨みながらいつこれを胸に突き刺そうか耳に突き刺そうかとタイミングを見計らいながら過ごした晩もあった。七日前だか十日前だか曖昧だけれども、そのときは姿見に映った己の血走った眼に我に帰ったのだった。だけれど昨日は――昨日は危なかった。何せ食い込ませてしまった。 血は少量だった、まだ。寸でのところで袋小路の思考を、「暁」が呼び戻してくれた。神経を徐々に狂わせていく僕の破滅思考が晴れ間を見せるのは、「暁」を見越したときだ。余りの美しさに眩暈がし、これだけは失いたくないと泣きじゃくりな...
  • 下衆谷口のなくころに ~尻隠し編~
    谷口「頭の中には夢いっぱい。おならのにおいが部屋いっぱい」   谷口「どうも。”何周しても花嫁はフローラ”谷口です」   谷口「本日は近所のレンタルビデオ店からお届けしております」 国木田「お届けするのはいいけど、堂々と山積みでAVを持ってこないでよ」 谷口「おやおや、レンタルビデオ店アルバイターの国木田くん。お客さんに向かってそんな言い方はないんじゃないかな? かな?」 国木田「宜しくない行為をするお客さんをたしなめるのも、店員の仕事だよ」 谷口「たは! これは手厳しい! 申し訳ない。実に申し訳ない。反省いたしました」 国木田「分かってくれればいいから。土下座はやめてよ。ものすごい当てつけがましいよ」 谷口「いやはやどうも」   谷口「それじゃあ、和やかな空気になったところで。手早く商品を袋につつんでくれたまえ」 国木田「ぜんぜん反省してないよね、キミ」 谷口「バカになっちゃうわよ!?...
  • My little Yandere Sister 第2話「桜花咲きそめにけり」
    <キョンサイド> 四時間目の授業もチャイムの音が終わらせる。 そして、いつもの弁当の時間になった。 国木田と谷口との下らない談笑がよりご飯の味を美味くしていく。 俺はこのただ飯を食うそれだけの時間を楽しいと思っている。 いや……。   正しくはそう思っていた。   その日常はあっという間に、たったの一日で崩れ去ってしまったんだ。 あれだけ長かった日々が、たったの一日で。 恐ろしいほどあっさりと。なんでこんなに容易いのかと思ってしまうぐらい。 それは賽の河原で積み上げられた石の塔を鬼が壊してしまったかのように。 一人、欠如しただけなのに。 「………」 「………」 ただ黙々とした食事。空いた空間にあいつが来るような気がしていた。 WAWAWAとか言って来てくれると信じていた。いや、信じている。 今でも絶対に来るって思ってる。飄々と教室の扉を開いて何事もなかったように。 それで何か言い訳とか言う...
  • 涼宮ハルヒの団結 第一章
     そして翌日。  結局神になれなかった俺は、朝からハルヒの苦言を雨あられと背中に浴びる覚悟を決め、登校中も土砂降りの酸性雨に見舞われたために既に辛酸をなめるような気持ちでいた。  そして下駄箱でも憂き目に合いながら教室へ辿り着き自分の席へと腰を下ろすと、ハルヒから他の意味でぎくりとさせられる言葉を掛けられることとなった。 「ねえキョン」 「……何だ? ポエムなら、スマンがまだ少ししか出来ちゃいないぞ」  嘘をついた俺に、 「それは急いで仕上げなさいよね。学校は明日までなんだから。どうしても出来ないってんなら、土曜の不思議探検までなら待ったげる」  なんて、二十段の跳び箱が十九段になった所で無茶な指示に変わりゃしないぜ。  俺は失敗が怖くて動けないといった根性はないつもりだが、派手に転ぶとわかっていて「やります」とは到底言えず、そして当然の如く「出来ません」など言えるわけもなく、「ああ、あ...
  • 団活、事件、図書館にて
       現状を説明しよう。  今、俺のわき腹―ちょうど肋骨の下辺り、すなわち肝臓だろう―部分にナイフが刺さっている。  は? 何だそれ?  んなことを思ってるのはわかるが、俺からするとかなり切実な状況だ。何より黄昏の教室と某同級生兼委員長兼対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェースを思い出しちまう。ヤダね。  とりあえず俺からすると1ミリ秒の余裕もないが、物語を進めるためだ、仕方ない。回想スタート。その前に一旦、タイトルコール入りま~す。                     【団活、事件、図書館にて】                       「図書館へ行きましょう!」   「は?」    放課後、俺がSOS団団室―正確には文芸部部室だが―へ到着し、入室した最初の会話がこれだ。  ドアを開けると、そこにはいつもであれば居ないか、団長席にどかっと座っているのが常のSOS団団長...
  • SOS団の無職9
    前回のあらすじ  心の友、谷口の紹介でバイトを始めることを決意するキョン。とうとう彼は無職ではなくなりました。フリーターへと進化したのです。  一部の人を除いて、みんなそれを祝福してくれました。キョンもそれがとても嬉しかったのです。  不安と期待が入り混じる新1年生のような気分で、キョンは初めてのアルバイトに立ち向かっていくのです。     ~~~~~      バイトの面接を終えてから、もう2週間が過ぎた。面接と言っても谷口の口利きで99%内定していたようなものだったから、それは採用の可否を決めるための面接ではなく、仕事の内容を教えられるための説明会のようなものだった。  そして説明会的な簡易な研修が終わると、俺を含めて10人近い新採用のアルバイターたちはフロアーで使用する作業着を渡され、その日は解散となった。  その翌日から店が開店したわけだから、かれこれ俺はこの店で2週間...
  • 長門有希の憂鬱Ⅰ三章
    長門有希の憂鬱Ⅰ 三 章 俺はひどい頭痛と轟音とともに目が覚めた。 自分がどこにいるのかしばらく分からず、起き上がったところで天井に頭をぶつけた。 あれ、こんなところに天井があったかな。 そうだった。俺は泊まるところがなくてホームレスに段ボール箱を借りたんだった。 頭上では電車がひっきりなしに行き来している。 俺はそろそろと箱の外に出た。寒い。震え上がってまた中に戻った。 段ボール箱の中、意外に保温性があるんだな。手放せないわけだ。 俺はジャンパーを着込み、身をすくめてやっと外に出た。 一晩の宿は冷蔵庫の箱だった。それを見てまた寒気がした。 時計を見ると七時だった。おっさんたちはまだ寝息を立てているようだ。 俺はサンちゃんの家に、その玄関らしきところからありがとうと書いたメモに千円札を挟んで差し込んだ。 もしかしたら明日も世話になるかもしれない、などと不安と期待の入り混じった気...
  • 下衆アドベンチャーTANIGUTI
    谷口「爽やかな朝はとびきりに熱いブラックコーヒーを口にふくむ。そしてその香りでゆるやかな目覚めを楽しむのさ」   谷口「俺の名は谷口。探偵だ」   ルソー「お目覚めですか、クソ野郎」 谷口「はっはっは。相変わらず口が悪いな、キミは。朝ごはんを用意してくれたのかい?」   谷口「いつもいつも身の回りの世話を焼かして、すまないね。まあ、それがメイドロボであるキミの仕事なワケだけれど」 ルソー「御託はいいから、さっさと召し上がりやがれ谷口野郎」   ~~~~~   谷口「いやあ、実にうまい。ルソーの焼くパンはいつも最高だよ。表面の黒いコゲが食欲をそそる香ばしさを教えてくれる」 谷口「それにこの期待を裏切らない苦味はどうだ。無味乾燥な食パンに、見事なまでの深い味わいアクセントを付け加えている」 谷口「どうやればこんなコゲパンが毎日毎日作れるのか。それが俺にはわからない。素晴らしいよ、このポン...
  • dearest
    K×H  大学一年生のクリスマスの日、あたしはキョンから一つのペンダントをもらった。  それはキラキラと輝く宝石のついた、シンプルだけと可愛いペンダントだった。 「……ねえ、これってダイヤ?」 「天然じゃないけどな」 「そんなの分かっているわよ」  本物のダイヤモンドなんて、大学生が買えるはず無いじゃない。  けどダイヤかあ、嬉しいわね。  キョンが選んだにしてはセンス悪くないし……、あ、でも、これは後から聞いた話なんだけど、デザインをどうするか迷った挙句、古泉くんと鶴屋さんに相談して決めることになったんだって。  こういうことくらい一人で決められるようになりなさいよって言いたい気もするけど、何かまあ、キョンらしい気がしたから勘弁してあげたわ。  そんな風に誰かに相談しているキョンってのも、何だか可愛い気がするもの。  そう言えば、同じ日に鶴屋さんも古泉くんからダイヤモンドの指輪を貰っ...
  • 本名不詳な彼ら in 甘味処  その7
    「あら、お待たせしてしまいました?」 「いいや、我々もちょうど今し方、こちらに着いた所だ」  昼に俺と長門が、会長と喜緑さんにバッタリ出くわした路上で。今度は俺と会長が、図書館から戻ってきた長門と喜緑さんに出くわしたのは、それからしばらく後の事だった。  ちなみに伊達メガネを掛けた会長は何喰わぬ顔で受け答えているが、俺たちがここまで来るのに競歩並みのスピードでの慌ただしい行軍だったのは、一応秘密にしておこう。喜緑さんたちにはとうにお見通しかもしれないけれども。 「で、用件の方は済んだのかね?」 「ええ、長門さんのおかげでつつがなく」  それでも健気に横暴会長のペルソナを演じようとする先輩の質問に。喜緑さんは微笑みながら、脇に下げた小さなポシェットを撫ぜてみせた。 「ならば私からも礼を言っておこう。長門くん、キミの働きに感謝する」 「………いい」  遠目からでは視認できないほどの...
  • Lost my love
    家に帰り着く頃には、すっかり暗くなっていた。 空を見上げても、星は見当たらない。 舞い降りてくるのは、私と同じ名を持つもの、ユキ。   『星空見上げ 私だけのヒカリ教えて あなたはいまどこで 誰といるのでしょう? 』   彼と涼宮ハルヒが付き合うことになったのは昨日。 最近では涼宮ハルヒの能力も衰え、世界も安定してきた。 彼と一緒に居られる時間も、あと少しなのだろうか? エラー、私の任務も、終わりが近づいてきているのだろうか。   『楽しくしてるコト思うと さみしくなって 一緒に観たシネマひとりきりで流す』   いつもならSOS団の活動があるはずだった今日、 活動の中止を伝える涼宮ハルヒの電話の声は、どこか弾んでいた。 きっと、彼とデートするのだろう。 エラー 気がつくと私は、街に出て一人映画を見ていた。 彼と一緒に見た映画。 エラー、エラー 前に小説で読んでいたものが映画化されたというこ...
  • HERO
    文字サイズ小で上手く表示されると思います  甘甘甘より    例え話をするにしても、こんな事を話題にするのは趣味じゃないんだが……あいつの姿を 見ていると本気でそう思うことがある。  なあ古泉。もしも自分が犠牲になれば世界を救えるとしたら……お前はどうするんだ?    昼休み、なんとなく部室へ行こうかと歩いていた俺が見たのは、左腕を包帯で吊って歩いて いる古泉の姿だった。遠目に見ても添え木と一緒に巻かれた左腕は、普段の倍程の大きさにな ってしまっている。  古泉、その腕……。  そう言いながら近寄った俺を見て、古泉が一瞬気まずそうな顔をしたのを俺は見逃さなかっ た。  その顔はすぐに消えたものの、いつもの営業スマイルはどことなくぎこちない。 「やあ、どうも。……実は階段で転んでしまいまして。見た目は大げさですが、それ程酷い怪 我ではないんですよ」  そうか、それは不幸中の幸いだな。っ...
  • 機関の動乱 その3
     新川に連れられた超能力者たちは、機関の執拗な追跡をくぐり抜け、大小の建物が乱立している地域にある ワンルームマンションの隠れ家までたどり着いていた。脱出したときはまだ昼だったが、すでに日はすっかり沈み、 外は繁華街の明かりに包まれていた。  全員逃げ切ったという安堵感から、今までため込んだ疲労が噴出し、おのおのに疲れ切った表情で 床に力なく座り込んでいた。  一方新川は多丸圭一と電話で連絡を取っている。携帯電話では追跡される可能性があるので、 部屋に取り付けてあった固定電話を使用している。 『二人は機関に捕らえられたよ。拘束されて中央に連れて行かれたみたいだ。今のところ手荒な扱いは 受けていないようだけど、今後どうなるかは流動的だな。で、どうする? 二人を奪還するか?』 「いえ、あの二人は自分の意志であそこに残った以上、こちらからの手出しは余計なお世話というものでしょうな。 何らかの考え...
  • 涼宮ハルヒの団結 第三章
     言うやいなやテーブルの真ん中に、俺達の目線程の高さでホログラムの正六面体(つまり正確な立方体)が現れた。  大きさは大体谷口の頭位で、『辺』が仄赤い光の『線』によって、『面』は薄いブルーで色付けされていた。  藤原はそれを一瞥もせずに、 「これは縦、横、高さによる三次元の姿だが、現在の世界は、まずこのような次元体系によっては作られていない」 「どういうこった」 「それを今から説明すると言っている」  ペン先を正六面体に向けて 「……次元というものがどのように変貌したのかを、今から九曜の作り出した立方体を用いて説明する。形というのは理論の塊だ。この正六面体の変化は、何が、どうなって、どうなったかを一瞬で表していく。しっかり見ておいて欲しい」  すると正六面体からは赤い『線』が消え、次に『面』が全部下方へと落下し、中に入っていた『光』が拡散した。そして『面』が一枚浮き上がり、立ち上がった姿...
  • お年玉にまつわるエトセトラ
    「ふう」    生徒会室の、特別拵えの会長席に身を沈めた俺は、ひとつ安堵の息を吐いていた。  つい先程、二学期終業式の全校朝礼での訓示、すなわち今年最後の大仕事を終えてきた所だ。生徒会長の役職にもそれなりに慣れたつもりだが、長々とした説教を丸暗記して噛まずトチらず、しかも上から目線の権力者然とした態度を崩さずに話し通す――となると、やはりそれなりの面倒事ではある。  たかがスピーチにこれほど入れ込むなど、本来ならバカバカしいこと極まりないんだが、なにしろこれが世界を平和裏に維持していくために必要な任務のひとつ、という事になっているからな。こうして俺が脱力してしまうのも、大げさでは無かろうよ。   「お疲れ様でした。コーヒーでも淹れましょうか?」  朗らかに訊ねてくる声に、俺は薄く目を開けた。会長席を挟んで、正面で穏やかな笑みを浮かべているのはもちろん、我が生徒会が誇る秀麗なる書記、喜...
  • えれべーたー☆あくしょん りた~んず
    ※このお話は『生徒会長の悪辣』の後日談です※ チン、という無機質な音と共に上階から降りてきたエレベーターが停止し、わたしの前で左右に扉が開く。すると庫内に一人だけ乗り込んでいた先客が「あら」と小さく声を上げた。 「奇遇ですね。おはようございます、長門さん」 「………おはよう」 にこにことした柔らかい笑顔。人当たりの良い挨拶。しかしわたしはむしろ、本当にこれは偶然なのだろうかという思いで彼女を見つめていた。パーソナルネーム、喜緑江美里。穏健派のヒューマノイドインターフェース。わたしの監査役。  何にせよ、このまま立ち尽くしているわけにも行かず、わたしはエレベーターの内部に乗り込んだ。1Fを示すボタンが既に点灯しているので、そのまま江美里の横に並び立つ。まもなく自動で扉が閉まり、エレベーターは再び降下を始めた。 「そういえば、今日は土曜日でしたね。では、長門さんはこれからSOS団の...
  • 幻惑小説 第三頁
      ◇◇◇◇◇    小説内での十二月二日が休みだったから、わたしはなんとなく予測出来ていた。午前七時五十五分、涼宮ハルヒからの連絡。  やはり今日の不思議探索は中止になった。理由はメンバーのみんなが疲労しているから。でもこれで、今日一日は読書に集中出来る。   ********************************************************************************************************************************    彼女は今日、彼を駅前に誘った。他の誰にも内緒で。  理由は何でも良かった。この行動は彼女がただ、彼と二人っきりで会いたいと思ってしたこと。   ***************************************************************...
  • カッターの刃と鮮血の呪い
     ちり取りとホウキを手に、サッサッと手早く生徒会室の床を掃除するわたしの隣で。 「ふむ、なかなか見事な仕上がりだな。キミは将来、美容師にでもなったらいいんじゃないか?」  片手に手鏡をかざし、片手であご先の辺りをなぜ回しながらそんな戯言を吐く人物に、わたしは冷ややかな視線を向けました。 「何をとぼけた事を仰っているんです? 生徒会長ともあろう方が、日常的な身だしなみもおろそかなまま登校したりするものだから、わたしはこうして余計な手間に煩わされているのですよ?」 「いや、すまん。週末の内に行き付けの床屋へ足を運ぶつもりだったんだがな。天気がぐずついていたせいで出掛けそびれたまま、ついうっかり」  そういう事です。月曜の朝に見かけた会長が、横着にも口元やあご周りの手入れを怠ったままだったので、全校朝礼が始まるまでの時間にわたしは彼を生徒会室に引っ張り込み、その不精ヒゲを全て剃り落とし...
  • こなたとキョンの試験勉強
    こなた「ねぇ?」 キョン「なんだ?」 こなた「このスレおもしろいからさ、次スレになっても見てていいかな?」 キョン「見ても良いけど、明後日は中間試験だぞ。勉強しなくていいのか?」 こなた「う゛…」 キョン「…それに、今日は開校記念日で休みだったってのに、一日中vipはないと思うぜ」 こなた「ぐふっ……」 キョン「まあ、試験勉強ぐらいは付き合ってやってもいいかな…」 こなた「…ありがとう」 図書館にて。 キョン「どうだ、少しは勉強はかどってるか?」 こなた「んー全然、それより、プリンスレが面白くて…」 キョン「おい、携帯をしまえ、ここは図書館だ。」 こなた「えー、外出中も良作をリアルタイムで支援したいのに…」 キョン「中間試験は明日からだ。少しぐらい自重しろ」 こなた「あっもうこんな時間。帰らなきゃ、ってなんでキミもついてくるかな?」 キョン「…まだ一時間程しか経ってないわけだが」 こなた...
  • キョンは別れを惜しむようです
    ハルヒが部屋から出て行って、もう二ヶ月がたっていた。 その間、俺はいったいなにをして過ごしていたんだろう。 朝食を作り、ゴミ出しをして、会社に行って、ヘトヘトになって帰ってきて、晩飯を作って…… それで面白くも無いテレビをぼんやりと眺めながら酒を少しだけ飲んで、風呂入って寝る。 そういう生活を続けていたわけだ。 ハルヒは出て行くとき、自分の荷物の一切を持っていったから部屋には俺の荷物だけが残った。 思ったりよりも少ないな……なんて思ったのも、もう秋の始まりのころの話だ。 まったく、年は取りたくないね。 俺とあいつが知り合ったあの頃は、一日一日が長くて、楽しくて、輝いていたんだが。 今じゃ…日記に書く内容なんてまったく無くなっちまった。 そもそも日記なんてつけていなかったがね。 ハルヒが出て行ったあと、俺は押しつぶされそうな空虚感を紛らわすためただ働いた。 ただただ、上司に心配されても、同僚...
  • キョンは大変なものを盗んでいきました in ハロウィン
     もし全世界からお菓子が消えてしまった場合、僕達はどうなってしまうのか。  そんなことを考えるのは象がタマゴから生まれた場合の殻の厚さを考察する行為に似て無意味なもので、僕達はもっと他の、先に繋がっていくようなことに頭を使っていくべきなのです。    しかし、それが実際に起きてしまえばそうも言ってられません。  つまり現在、僕達の大切なお菓子がその姿をくらましてしまっているのです。もっともこれは世界規模の話ではなく、極小規模な僕の周囲でのみ発生しているだけなのですが。  話を戻すと、僕個人としては通常お菓子が消え去ろうとも特に支障はありません。元々甘いものに頓着はありませんし、それが誰かに食べられてしまったからといって声を荒げたりなんかも僕はしない。  ですが、今だけは非常に困るんです。    何故ならば、今日はハロウィンなのですから。    そして僕は現在、お菓子を何処かへ持ち去っ...
  • 放課後恋愛談 鶴屋さんと長門っちと編
    (古泉一樹×鶴屋さん前提です) 「やっほー、ってあれ、今日は長門っちだけかあ」  そろそろと文芸部の部室、というよりSOS団の溜まり場になっている場所の扉を開いたあたしは、そう言ってパタパタと中へ入った。  今日は長門っちだけ。他は誰も居ない。 「あ、ねえ」 「古泉一樹は掃除当番」 「あ、そう……」  即答されちゃったよ。  いやいや、お姉さんびっくりだね。 「長門っちも、一樹くんが掃除当番だって知っているんだねえ」 「昨日もそうだったから」 「そっか」  この学校の掃除当番って、一日毎じゃないしね。  うーん、しかし、掃除当番かあ。  長門っちも察している通り、あたしがここへ来た理由の半分以上は一樹くんだ。  付き合い始めてというよりも、付き合っているのが全校に知れ渡って早一ヶ月。  あたし達二人は順調なお付き合いとやらを続けている。 「ねえねえ、長門っち」  あたしは、読書に舞い戻っ...
  • 夏祭りはキョンをかえるようです
    そんなこんなで(どんなこんなでなのかは全く謎だが)今日は8月15日、世間で言う盆休みだ。 同時に終戦記念日でもあるわけだが、平和な平成を生きる現代人にはどうでもいいことなんだろう。 現在午後六時半、俺は駅前の公園でSOS団の面々を待っていた。 なぜこんな素敵な休みの日に皆で待ち合わせをしているかと言うと、今日は近くの河川敷で花火大会があるのだ。 当然あのハルヒがそんな一大イベントを見逃すはずもなくこうして呼ばれたわけだ。 しかし、まさか俺が一番最初につくとは思わなかった。 ハルヒや古泉、朝比奈さんならともかく長門まで俺より遅いとはな。 ぼーっとしながら待っていると、気付けば30分もたっていた。 そこでようやくハルヒがやってきた。 「いやーお待たせお待たせ。着付けに時間かかっちゃってさ」 「遅いぞハル…ヒ…」 普段時間前に来ているにも関わらず奢らされているもんだから、ここぞとばかりに文句を言...
  • 『きっかけ』
    『きっかけ』   いきなりだが、俺がハルヒと結婚することになったきっかけを話そうと思う。   受験も近い三年の秋のある金曜日のこと。   俺の下駄箱にはノートの切れ端が入っていた。 『放課後誰もいなくなったら、三年一組の教室に来て』 明らかに見覚えのある字で書いてあった。何であいつがこんな面倒なことを。   放課後   誰がいるかわかっていた俺はまったく驚くこともなかった。 「遅いわよ」 教壇の前で腕を組んで仁王立ちしている不機嫌な顔が話しかけてきた。 「さっさと入りなさい」 「何の用だ?」 「用があるっていうより、あんたに聞きたいことがあるの」 鋭い目が俺を見つめる。俺に聞くことがあるなんて珍しいこともあるもんだ。 「よく『やらなくて後悔するよりも、やって後悔した方がいい』って言うわよね。 あんたはどう思う?」 「よく言うかどうかは知らないが、言葉通りの意味だろうよ」 「じゃあ、たとえ話...
  • 遠距離恋愛 第五章 告白
    第五章 告白   ハルヒを抱き上げ、団長席に座らせ直したところで部室のドアが静かに開いた。 朝比奈さんが入り口で手招きしている。長門も居るようだ。 俺はハルヒを起こさないよう、静かに部室を出た。 廊下にはいつもの喧噪が戻っており、ここはもはや異常空間ではない事を感じさせる。   「キョンくん、お疲れ様でした」 「……現在より2分12秒前、すべての閉鎖空間の消滅を確認。またそれと前後して、この部室に展開されていた対情報シールドの消滅を確認」 そうか。とりあえず世界崩壊は避けられたようだな。 「……そう」 俺は盛大なため息をはき出した。   「ふふっ、キョンくん?」 朝比奈さんがきらきらした目で聞いてきた。 「は、なんでしょう?」 「どうやって涼宮さんの機嫌を直したんですか?」 どうしよう?正直に伝えた方が良いんだろうが…… 「実は……それなんですが……」   俺は先ほどまでの経緯をかいつまん...
  • 笑顔は癖のような感じですよ
    「お疲れ様、古泉」 閉鎖空間で一仕事を終えると、森さんが黒塗りの車にて僕を待っていた。 「これから会議…ですか?」 「その通り。よくわかったわね、『機関』にも慣れてきた…ってところ?」 バックミラーに映った森さんの整った笑みを一瞥すると、 「いえ。今回で閉鎖空間の発生は26回目ですが、未だにちっとも慣れませんね」 皮肉を言ってやる。こういったやりとりも何度繰り返したことだろう。さすがに回数は数えていないのだが。 僕にこの能力が芽生え、『機関』が発足してからまだ1ヶ月半しか経たないというのに、涼宮ハルヒは何がそんなに不愉快なのか、 こちらとしてみれば知ったことではないのだが、ただ世界の壊滅を防ぐため、超能力者である僕はそれに従うしかないのだ。皮肉の一つくらい言わせて欲しい。 一方で森さんは僕の物言いにも慣れたかのように溜め息交じりの微笑を漏らしていた。 貴女には毎日のように危険な灰色世界に狩...
  • 鶴屋さんとキョン
    ストーブを持って部室へ帰ると、そこには誰もおらず、机の上にメモと鍵が残されているだけだった。   どうやら先に帰るから部室に鍵掛けてくれってことらしい…随分薄情な団長だな、おい。誰か一人くらい残って待っててくれてもいいじゃないか。まぁ雨足も強くなってきて、さっさと帰りたい気持ちはわからんでもないが。   と考えつつ、俺は下駄箱で靴を履き替え、外を見ていた。しまった!傘がない…。 雨が止むまで待とうにも、いっこうに止む気配がない。むしろ激しくなってきている。   「参ったな……これじゃあ帰るに帰れないぜ…」   しかしずっと立ち往生しているわけにもいかないので、濡れるのを覚悟して学校を出ようとすると   「おやっ?そこにいるのはキョン君じゃないかい?」   振り返るとそこには、鶴屋さんがいた   『鶴屋さん?どうしてここに?』   鶴屋さん「ぐ~ぜんさ~。ところでキョン君、うszhぢおhう...
  • 涼宮ハルヒの邁進 その1
     まぶしい。目の奥がきゅっと締まるような痛みに、俺は苦痛ではなく懐かしさを感じた。 同時に全身の感覚が回復し始める。手を動かし、指を動かし、足を動かす。やれやれ。どうやらどこか身体の一部が無くなっている ということはなさそうだ。  俺はどうやらベッドに寝かされているらしかった。右には――あー、映画か何かでよく見る心電図がぴっぴっぴとなるような 機械が置かれ、点滴の装置が俺の腕に伸びている。 「病院……か、ここは?」  殺風景な病室らしき部屋に俺はいるようだ。必要な医療器具以外は何もなく、無駄に広い部屋が俺の孤独感を増幅する。 窓から外を眺めると、空と――海のような広大な水面が広がっていた。ただ、その窓自体が見慣れたような四角いものではなく、 船か何かにありそうな丸いものだった。 「ここはどこだ……?」  寝起きの目をこすりつつ、俺は立ち上がる。幸い点滴の器具は移動式のようで、それとともに移...
  • 遠距離恋愛 第十三章 家庭教師
    第十三章 家庭教師   ハルヒ達からの贈り物を目の前に「一年間頑張る」と決意を新たにした俺は、翌週行われた全校全教科試験という第一の難関に挑んだ。が……俺は試験中に絶望していた。   問題の意味が、どういった回答をすれば良いのか解らないのだ。   俺ってこんなレベルだっけ?とあらぬ方向へ行ってしまおうとする頭を無理矢理試験に集中させ、何とか全教科試験の日程をクリアした帰り道。がっくりと落ち込んだ俺を引き連れながら、佐々木と朝倉は「今日の試験簡単だったわね」「1年2年の総括問題だしね」などと和やかな会話をしていた。くそ、忌々しい。 こいつらの頭のレベルは半端じゃない事は十分解っている。聞けば朝倉は昨年一年間学年トップの座を譲り渡すことはなかった(と言うことになっている)そうだし、佐々木は言わずもがなだ。二人とも俺とはレベルが違いすぎる。これほど自分が無力に感じたことはなかったね。 これ...
  • 下衆谷口のなくころに ~かつおぶし編~
    谷口「ブログなんてのはノリノリの時なら1日に何度でも書けるけど、ヘナチンの時は1ヶ月でも2ヶ月でも更新とまっちゃうよね」   谷口「赤外線のようにやさしくあなたを包み込む包容力の持ち主と名高き谷口です」   鶴屋「いいからそこに、座りなさい」 谷口「はい、おおせのままに。今日は鶴屋さまの方からご指名いただき、ありがとうございます。勝負パンツでやって参りました」 谷口「どんなパンツかと言うと、ノーパンです。ええ、そうです。ノーパンです。お察しの通り、穿いておりません」 鶴屋「キミがノーパン健康法に取り組んでいようが飲尿健康法に精を出していようがどうでもいいにょろ」 鶴屋「それよりも。今日なんで私に呼ばれたか分かってるのかい?」 谷口「さて。何故でございましょう。新しい下着を買ったからドレスアップ後の姿を品評してくれ、とかでござんしょうか」   谷口「おいどんならいつでもOKです! さあ、...
  • 超絶探偵、谷口
    背中に鈍く熱っぽい痛みを感じ、目覚めるともう23時だった。 ベッドに潜り込んだのが、確か14時前だった記憶がある。ということは、俺は9時間も寝ていたことになるのか。 ベッドに潜り込んだと思ったが、よく見るとここはカーペットの上だった。こんなところで9時間も寝ていれば、そりゃ背中も痛くなるってもんだ。 くそ。電気もつけっぱなしだ。そういえば帰ってきた時は昼間だったから電気をつけたりしてないはずだ。ってことは、昨夜からずっとつけたままだったってことか。 乾燥したゴムみたいに縮んでいた体を起こして背伸びすると、眠気もなにもかもが一斉に飛んでしまった。 俺は夜型の人間というわけでもないが、さすがに今から歯を磨いて風呂にはいって、また朝までぐっすり眠る気はしない。 倦怠感をひきづりながら洗面所まで移動し、顔を洗い冷蔵庫の中にあったパンを食べて外へ出た。 心許ない街灯の明かりをたよりに歩いているうち...
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