涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki内検索 / 「ユキのえほん プロローグ」で検索した結果

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  • ふたり ~プロローグ 旅立ちの日~
    プロローグ 旅立ちの日~ 「じゃあ、行ってくる」  俺を見送る家族に声をかけて、荷物を持った。 「キョンくん、ほんとに行っちゃうの? 寂しいよぉ……」  まだまだかわいげのある妹の頭を撫でてやる。しばらく会えないとなると寂しいもんだ。 「ずっと会えないわけじゃないから大丈夫だ。帰ってきたら遊んでやるから」 「……約束だよ?」  あぁ、約束だ。再び荷物を持ち直すと、親といくつか声をかけあってその後歩き始めた。  そう、俺は自宅を離れて暮らすことになる。理由は県外の大学に行くためだ。  特急で片道一時間を電車に乗って行くわけだ。地元の奴等としばらく会えなくなるのは悲しいな。  あぁ、そういえばもう一週間か。ちゃんと準備をして、出発したかな? あいつは……。 「行ってくるわ。心配しないでいいからね、ママ」  親父は朝早くから仕事だから、見送りはママだけ。それでも車で駅まで送ってくれるか...
  • 長編・その他3
    SOS団お天気シリーズ 国木田の・・・ 涼宮ハルヒのストリートファイター 梅雨空に舞う雪 本名不詳な彼ら in 甘味処 沈黙の日 国木田の憂鬱 原付免許 クロトス星域会戦記(銀河英雄伝説クロスオーバー) 分裂、或いはSのモノドラマ(佐々木×キョン) セーラー服とメイドさん ユ・ビ・レ・ス Missing you関連 涼宮ハルヒの奇妙な冒険 ドラえもんとハルヒの鏡面世界(仮) (ハルヒ×ドラえもん) Macross Cross (MacrossF x 涼宮ハルヒ) 宇宙人は情報羊の夢を見るか? プロローグ ピノキオ 月の微笑シリーズ(佐々木×キョン) ランキング by.キョン(佐々木視点、オール物) お隣さんはすごいヒト 空と君とのあいだには 消失異聞 切り札と悪魔 谷口のTOT団 涼宮ハルヒの誰時 朝倉ルート 雷の夜のこと Live A Cat~シャミセンさんシリーズ~ 台風一過のハレの日...
  • 朝比奈みくるの未来・プロローグ
    プロローグ・疑惑のキョン      俺が大学に入学して初めてのクリスマスも直前に迫った街中がせわしない時期。  初対面から約4年になるにもかかわらずSOS団は相も変わらず珍妙な活動を続け、それこそ武勇伝なのか珍道中なのか奇譚なのかわからない活動記録を小説風に書けば、すでに紹介した分だけでも息の長いシリーズ物として十分認知されるであろう文庫本8巻程度になる上に、以下続刊予定も数巻分はあろうかという数々の出来事の中、俺にとって、ハルヒとの邂逅に匹敵するぐらいの衝撃と感動を受けたある一つのエピソードを紹介しよう。ちなみにこの話の収録予定は今のところない。  俺とその人にとっては、ハルヒとの出会い以上に記憶に残る出来事であったかもしれない。  いつもなら俺視点の独白として語るのがお約束の活動記録だが、今回ばかりはもう一人の当事者しか知り得ない出来事や、男が踏み込むと後悔することの方が多い女の子同士...
  • 涼宮ハルヒの経営I プロローグ
    プロローグ       ある日の午前十一時半、倦怠生活に身をやつしている身分の俺には一日のうちでもっとも夢膨らむ楽しい時間。このところ妙に開放感を感じているのは、きっと束縛感の塊のようなやつが俺から少なくとも十メートル半径にいないからだろう。精神衛生的にも胃腸の機能的にも正常らしい俺は、さて今日はなにを食おうかとあれこれ思案していた。その矢先に机の上の内線が鳴った。無視して昼飯に出かけるにはまだ二十分ほど早いので仕方なく受話器を取ると総務部からの転送だった。お客様からお電話よ、と先輩のお姉さまがおっしゃった。俺を名指しで外線?先物取引のセールスとかじゃないだろうな。 「キョン、今日お昼ご飯おごりなさい」 あいつ俺に電話するのに代表にかけやがったのか。 「職場に直接かけてくんな。携帯にメールでもすりゃいいだろ」 「いいじゃないの。あんたがどんな人たちと働いてるか知りたかったのよ」 俺の周...
  • 涼宮ハルヒの結婚前夜
    プロローグ 高校卒業して4年経った… 俺は、今、新人として会社を勤めてる… 皆の状況を知らせて置く事にしよう 谷口は、現在NEET化になって、職探しを求めてる 国木田は、高校の教師として勤めてる 鶴屋さんは、父の跡継ぎに働いてると聞いた 古泉は、政治界に入って活躍してるらしい 朝比奈さんは、一時に未来へ帰ったが…去年帰って来て、現在はOLとして勤めてる 長門は、本が好きで図書館の仕事に勤めてる ハルヒ?ハルヒは…「ムー」と言う本の編集者になって働いてる… やれやれ、ハルヒはこういうの好きだからな… さて、仕事が終わり、家に帰る所だが… 偶然、あの懐かしき涼宮ハルヒに会った… 「!…ハルヒ?」 ハルヒ「ん?誰?あたしをよ……!キョン?」 3年ぶりの再会である… しかし、こんな時間に何やってんだ? ハルヒ「仕事よ、仕事…宇宙がどうのこうのって奴よ」 そ…そうか… ハルヒ「それにしても、久し...
  • 射手座の日、再び
    1.プロローグ  2月上旬のある日のこと。  それは、SOS団団員にして文芸部長兼コンピ研部長たる長門有希の唐突な宣言から始まった。 「あなたがたに勝負を申し込みたい」  唖然とする俺たちに対して、長門は淡々と説明した。  長門を含むコンピ研 vs 長門を除くSOS団(名誉顧問を加えてもよいとのことだった)。勝負は、去年やった宇宙戦闘ゲーム The Day of Sagittarius 3 を大幅に改良した The Day of Sagittarius 4 で行なわれる。  賭けるものも指定してきた。  コンピ研側が勝った場合には指定する日に一日限定でSOS団団長権限を長門に委譲、SOS団側が勝った場合にはデスクトップパソコンを一台進呈する、とのことだった。  堂々たる果たし状であり、こうまで言われて、ハルヒが応じないはずもない。 「相手が有希だからって、容赦しないわよ!」 「望...
  • 魔法少女フェアリーユキ・後編
    「ふっふっふっふ。ユキ。今日こそこの町内はわが手中に落ちるのだ」  ひゃっひゃっひゃと笑いながら、悪役の彼女は一歩、また一歩と歩みを進める。 「わたしは、負けない」  ユキがキッと表情を引きしめて、にじり寄る長髪の魔女に対峙した。 「はいっ! カット!」  ポンポンと、監督がメガホンを叩いて合図をする。 「有希! とってもいい演技だったわ! これは本当に、文化祭でのみくるちゃんの立場も危ういわねぇ」  半目で流し目を送る監督に、去年はカメラを向けられる側だった朝比奈さんがわずかに震えた。 「えっ。えぇぇ~っ」  朝比奈さんはしょんぼりしてうつむいた。……あれ。残念なのかな。あれだけやりづらそ うに戦うウェイトレスをしていたのに。 「鶴屋さんも急に呼んじゃってごめんねっ! 去年に引き続き素晴らしい助演女優っぷりよ!」  親指を立てる涼宮さんに、黒服魔女姿の先輩。鶴屋さんは、 「いやいやっ!...
  • 白有希姫 演劇篇
      第一章 プロローグ   「昔、白雪姫というとても美しい王女と、深い谷に住む魔女が居た。魔女は、自分が世界で一番美しいと信じており、彼女の持つ魔法の鏡もそれに同意したため、満足な日々を送っていた。」   このナレーションの語りは国木田。そして文章はウィキペ○ィアから参照したものである。   「『鏡よ鏡よ鏡っ!世界でいっちばーん美しいのは誰かしら?』」   体育館、ステージから見て右側の大きなスクリーンに谷口の顔が映し出される。いいなあ、こいつは出番が少なくてよ。   「『それはもちろん涼み…魔女様に決まってるでしょー。』」   こいつ、ちゃんと練習してきたのか?   「白雪姫が16歳になったある日、魔女は魔法の鏡にもう一度問いかけた。」 「『ちょっと!かがみ!世界で一番美しいのは誰かしら?』」 「『それは白有希姫でございますー。』」 「『なんですって!?聞き捨てならないわ、今すぐ白有希...
  • はるかぜふくまえに・プロローグ
    プロローグ   ある日部室に行くと、長門が本を読んでいなかった。 「どうしたんだ長門? めずらしく読書してないんだな」 すると長門は顔を上げ、 「え、何で? わたし読書あまり好きじゃないし」 と、天地がひっくり返っても言わないような驚きの台詞を告げた。 「おいおい冗談だろ? だったら今までずっと本読んでたお前は何だったんだよ」 「あぁあれ。あのね、無口属性にもそろそろ飽きたから、普通の女の子っぽくしようと思って」 非常に今さらではあるが、長門は普通に笑っていた。 まるでクラスの誰かの人格だけ借りてきたかのような無理のない笑いだった。 俺は仰天した。待て待て待て。そんなあっさり変わっちまうものなのか。何か事情があって 無口になっていたんじゃないのか? 「え。別にそんなことないよ? 統合思念体から許可が下りたからその、イメチェンしただけ」 夢か。そうだこれは夢に違いない。そうでなければまた世...
  • 長門有希の憂鬱IV プロローグ
    プロローグ  Illustration どこここ    ハルヒと古泉、そして俺の三人は北口駅の南側にあるバスターミナルでじっと並んで待っていた。ハルヒはガラにもなくフリルのついた白い日傘なんぞ差しおって、後姿だけ見たらなんとなくいいところのお嬢さんみたいじゃないか。着てる服までがお嬢様のそれっぽくなったのは、古泉と付き合いだしてからなのは気のせいではあるまい。    傘の柄を肩に当ててチラリと後ろを振り返ってシナを作ってみせるのは誰かに見せ付けてんのか。ホワイトフォーカスでもかかってるようなお嬢様はニコっと笑うどころか歯をむき出しにして俺に言った。 「なによジロジロ見て。なんか文句あんの?」 「いや別になにも。その日傘、高かったろう」 値段なんか知ったこっちゃないんだが、ハルヒが少し淑女らしくなったなぁなんてセリフを口にした日にゃ炎天下で頭がどうかしちまったんじゃないかと疑われ...
  • 涼宮ハルヒの遡及ⅩⅢ
    涼宮ハルヒの遡及ⅩⅢ      何か、とてつもなく面白い夢を見た気がした月曜日の朝。  ただ、それが何かをどうしても思い出せないまま、いつものように強制ハイキングコースを踏破し、休日明けの気だるさを感じながら、教室へと入った途端、 「ほら見てキョン! 一気に下書きまでだけど最後まで書きあげたわ!」  赤道直下の真夏の笑顔でハルヒは俺に三十枚はあろうかというA4用紙を突き付けてきた。 「てーと、一昨日言ってたアレか?」 「うん。なんかその日の晩、バンバンアイディアが出ちゃって昨日一日、これに費やしてたのよ。でもまあ、こういうのも悪くないわ。自分の想像が瞬時にそこに現れるんだから」  なるほどな。  俺が一昨日、何気に呟いたクリエイターの話にハルヒが乗った訳だが、それにしてもここまでやるとはね。いやマジで恐れ入ったよ。  相変わらずとんでもないバイタリティだ。  …… …… ……  何だ? ...
  • シュール短編51
    古泉「最近僕がマッガーレキャラからまともなキャラになってきたと一部で言われているようですが」 ブリブリッ 古泉「真っ向から否定します!」 ビチャビチャビチャ 古泉「僕は!生まれたときから!」 ドバドバドバドバ キョン「すげぇ…」 古泉「この世に生を受けたその日から!!」 ジョオバババッババッババアッババアア ドドババババババ 長門「980…990…1000!1000kg!!!」 ハみ長キ「「「「おめでとう!!」」」」 古泉「アリガトウ!君たちにもビチグソを」 水鉄砲ばりドババババッバー ハみ長キ「「「「うわーい!!」」」」 キ「ケツ毛バーガー一つ下さい…毛なしで」 長「………分かった」 『雪山症候群パロ』 「ねぇ、あんた有希となんかあったの?」 ハルヒはどうやら俺と長門の関係を勘違いしているようだ。これはまずい…なんとが誤解を解かねば… 「そ、そんな事よりハルヒよ、ちょいと...
  • 異界からの刺客
    プロローグ SOS団の部室ではただ、ページをめくる音だけが聞こえていた。 長門はこの時間、誰れもいない部室でただページをめくるだけの時間が「好き」だった(もし、ヒューマノイドインターフェースたる「彼女」にそんな感情があるとして、だが)。知覚のごく一部分で目の前の原始的な情報インターフェースから情報を読みとる一方で、残りの無尽蔵とも呼べる知覚能力で情報統合思念体と交信し、宇宙全体の時空に想いを馳せる。そんな時間が「好き」だった。 が、それでは、残りのSOS団員たちが来ない方がいいのかというその状態も「好き」でないわけでは無かった。知覚の別のごく小部分を、ハルヒやキョンや古泉や朝比奈みくるのたわいもないやりとりの観察に費すのもまた嫌では無かった。 つまるところ、「彼女」は一種の情報収集システムとして生み出されたのであり、バックアップとして非常事態に過激な対応をするために作りだされた朝倉ユ...
  • 凉宮ハルヒの痩身@コーヒーふたつ
    11月も後半になると、さすがに冷え込む。 普段はそれほどお風呂に時間をかけないアタシでも、さすがにこう冷えると少しだけ長風呂になる。 でもね、よく「私、お風呂は1時間くらい入ってるの」なんてタワケた事をぬかす女子が居るけど、そればかりは何を考えてるのかサッパリ解らない。 時間の無駄よ!「時は金なり」って言葉、知ってるのかしら。 まあ、今日みたいな日は別だけどね。 ゆっくり温まらないと、寒さで感覚を失ってしまった足がどうにかなってしまいそう。 まったく、何で女子はズボンを履いて学校に行っちゃいけないのかしらね・・・。 あ。色々とくだらない事を考えていたら、のぼせてきた! 早く上がらなくちゃ。 お風呂から上がって、髪を乾かそうと洗面台の前に立ったアタシは、足元に見慣れない機械を見つけた。 てゆうかコレ、体重計?・・・にしては、訳の判らないスイッチがたくさん付いてるわね。 -母さー...
  • 缶コーヒー、ふたつ6
    ♪ttt・・・ttt・・・ttt・・・ 耳馴染みの無いアラームが遠くから聴こえる・・・ 朝・・・か? 少しづつ目を開けると、霞む視界に見慣れない天井が浮かびあがった。・・・何処だ?・・・ここは。 とにかく、起きよう・・・・。 俺は、少しだけ体を起こして辺りを見回した。そして、ここが自分の部屋ではない事を把握する。 さて、どうしたものかな・・・。 「ん・・・、キョン?おはよう・・・!」 ・・・!!!ハルヒ!? 俺の隣にハルヒが居る!!?何故だ!?そうだ・・・昨日!昨日の夜・・・っ! 思い出したっ! 帰宅後、鞄の中に提出期限間近の課題に使っていたノートが無い事に気付いた俺は、度々俺の鞄を勝手に開けてCDやら雑誌を持っていくハルヒに、心当たりが無いか電話をした。 で、案の定ノートはハルヒが持っていた!まあ大方、雑誌か何かを持ってく時に紛れちまったんだろうが。 そして・・・ノートを取...
  • 涼宮ハルヒの入学 version K
    これは「涼宮ハルヒの改竄 Version K」の続編です。   プロローグ   俺はこの春から北高の生徒になる。   そして明日は入学式だ。   担任教師からは「もう少し頑張らないときつい」と言われたし   親父と母さんは「もうすぐ高校生なんだからしっかりしなさい」と言われた。   はぁ、全く以って憂鬱だね。   さぁ、明日は朝から忙しくなりそうだし、もう寝るとするか。   睡魔が俺の頭を支配する寸前、何故だか「はるひ」の泣き顔が頭をよぎった。   なんであいつの顔が出てくるのだろう?   等という疑問も睡魔に飲み込まれていった・・・   とてもいい夢を見た様な気がする。   どうせなら、現実と入れ替えたいと思うような夢だった。   ん?どうして、夢だって分かるのかって?   何故なら、それは現実ではまずありえないことだったからな・・・   だから夢だって分かる訳さ。   どうやら夢...
  • 『Short Summer Vacation』・エピローグ
    ――短い夏が終わり、そして――   Short Summer Vacation~涼宮ハルヒのエピローグ~   キョンへ   あたしの旦那であるあなたが死んでから、もう5年が過ぎたわ。どう?少しは退屈しているかしら? あたしは今22歳。あれからのことを、少しだけ報告しておきたいと思うの。この手紙を天国のあなたへどうやって届ければいいのか、それは分からないけれど、それは後で考えることにするわ。もうすぐお盆だし、最悪、そのときにでも帰ってきて勝手に読んでちょうだい。   まずあたしは今、一人ではないわ。でも、未婚よ。分かる?この意味。 そう、キョンと過ごしたあの2週間のうちに、あたしはあなたとの子供を授かったの。実はね、キョンと初めてひとつになった日、あの日、本当は危険日だったのよ。まあそうでなくてもキョンと同棲中はほとんど避妊しないでいたから、たとえあの日が安全日だったとしてもたぶん妊娠してい...
  • それでもコイツは涼宮ハルヒなんだ 6
    12,セカイ系青春ウォーカー  支払いを終えた古泉と一緒に外に出ると、タイミングを見計らったかのように俺たちの前でリムジンが静かに停車した。古泉が呼んだお迎えとやらなのは容易く察しが付いたが、駅前の雑居ビルでごった返す一角にリムジンは不釣合い過ぎて軽くファンタジイ入ってるよな、これ。客観的に見て。 「乗って下さい」  古泉が後部座席のドアを開けて俺を車内に促す。断る理由も躊躇う理由もさっきの古泉の一言で木っ端微塵にぶち壊されていた。  長門が? 危ない?  理由はまだ説明されちゃいないが、しかしてこういった類で嘘を吐くような男では古泉はないのを――一年半の付き合いなんだ、俺はよく知っている。だとすれば信じて全乗っかりする以外に道は無い訳で。  リムジンを運転していたのは老齢の紳士、いつぞやSOS団全員でお世話になった新川さんだった。去年の五月を思い起こさせるようなスーツ姿は本職...
  • 私の選んだ人 第1話
    プロローグ「。」の続編。まだの方は、そちらからどうぞ)   私の選んだ人 第1話 「トゥーランドット」 効果的な照明によって輝く、裏返しに吊り下げられたワイングラス。 一点の曇りもなく銀色に輝くフォークとナイフ。 店内を満たす笑い声や囁き声のさざめき。 その合間から漏れ聞こえるイタリア歌曲のBGM。 真白い清潔なテーブルクロスと、黒、赤、少しの植物の緑でコーディネートされたその広い空間は、大きなガラス窓を通して真昼の青空から陽光が充分に取り込まれ、一見無造作なようで、その実計算され置かれた瑞々しい野菜と、照明の加減で、洒落ていながらも暖かい雰囲気を作り出している。 吸い込む空気にはピッツァを焼く香ばしい匂い、トマト、バジル、オリーブオイルの香りが微かに混ざっており、食欲を刺激される。 この割と高級な部類に入る、南イタリアの料理を主体としたイタリアン・レストランは、ランチセット...
  • ながとぅーみー 第一話「粉雪のふる頃に」
    雪景色。心の情緒を呼ぶ光景。 ふわりふわりとそれは仄かに明るく舞う。まさに冬の蛍と呼べるだろう。 そんな景色を俺は文芸部室、もといSOS団の本部から見ていた。 「雪、見てるの?」 静かな部屋からか細い抑揚の無い声が聞こえる。 むろん、長門である。 「そうだ」 「そう」 いつもどおりの会話。長門は本から視線を窓の外、正確には窓の外の雪を見ていた。 ユキを見るユキ。おっと、ギャグじゃないぞ。いや、本当に。 実際そういう状況なんだから仕方が無いのさ。 そんなこんなで俺達はしばらくじっとどちらかが止めるまで六花を見続けていた。 「「・・・」」 団長のハルヒや、マイ・スウィート・エンジェルたる朝比奈さん、 なんだかんだで欠かせない古泉、その三人が居ない部室。 俺と、長門―――二人きり。 こうして見ると、長門はとても整った顔立ちをしている。 そして、なんというか守りたくなる、そんな雰囲気をまとっていた...
  • 涼宮ハルヒの感染 エピローグ
    エピローグ  終業式の日は、雨だった。去年は快晴だったな。 俺は今更ながら、1年前にも大きな選択をしたんだということを思い出した。  あのときは世界そのものの選択。  今回は、誰に世界を託すかの選択。  結局、どちらにしても俺は自分の苦労する選択をしちまったわけだ。 ハルヒが暴走して、俺が振り回される。 この図式はこれからも既定事項なんだろう。  でも、それもいいだろう?  雨でも早朝サイクリングを続けている俺は、今日もハルヒとともに登校だ。 俺の後ろで傘を差しているハルヒも結構濡れるはずなのに、送迎を免除してくれはしない。 ──まあ、俺も休む気はないのだが。  こんな雨では自転車で会話もままならないので、無言のまま駅に着いた。 「さ~て、今日は午前中で学校も終わりよ! 放課後は楽しみにしてなさい!」 1週間ほど前まで意識不明だったとは思えない元気さで、ハルヒは言った。 そう...
  • 規定事項の子守唄 第十一話
     お化粧をととのえながら、わたしは自分の泣き虫さかげんに苦笑してしまっていました。  なにしろ、長門さんの歌を聞いたあと、涙がとまらなくなってしまったのです。ものすごく心の琴線にふれてしまったというか、ほとんど泣くためのスイッチを押されてしまったような感じになり、しまいには彼女にすがりついたまま、鼻水までたらしてしまっていました。  さすがの長門さんも、これには困ってしまったようで、わたしの頭をなでて、慰めようとしてくれました。 「泣かないで、朝比奈みくる。わたしがこの世界から消える日まで、今日おそわった歌は、このインターフェースの固有記憶領域からけっして削除しないから」  ハンカチで、わたしの顔をぬぐいながら、そう約束もしてくれました。  うわ、いけません。思い出したら、また泣きそうになってしまいました。ほんとうにわたし、どうしちゃったんだろう。  とにかく、つぎはキョンくんの番です。...
  • piment
    ナガトユキ   ナガトユキ   ナガトユキ・・・・   普段聞こえないはずの声に驚かされ深夜私は目が覚めた。   ヒューマノイドインターフェースである私は夢を見ない。 そのため夢にうなされる事やましてや幻聴に悩まされるハズなんて無かった。   しかし、今でも耳に残る低く、そして響く不快な声。   小さなため息を漏らして私はまた眠りの世界に入った。   朝学校に着くと私は一人の人物とコンタクトをとった。   私の同じヒューマノイドインターフェースである喜緑江美里である。   「喜緑江美里あなたに質問がある」   「あなたから話をしてくるなんて珍しいわね、長門さん?今日は日直で職員室に行く用事があるから手短にね」   「・・・あなたは夢を見たことがある?」   「夢・・・?夢って言うと有機生命体が睡眠中に見る夢のこと?それとも未来への願望の事かしら?」   「・・・前者」   「私は見たことが...
  • Black Lily・第三章
     翌日――。  登校して、真っ黒な髪の長門由梨を見ると思う。  物事の終わりは、こんなに静かなものなのだろうか? と。 「あんた、元気ないけどどうしたの?」  俺が教室に着いてイスに座るより早くハルヒが言った。さて何と答えればいいのだろう。 「お前さ、長門が転校するってことになったら、どうする?」  ハルヒは宇宙の広がりを思わせる大きな瞳を一度パシリと瞬きさせてから、 「有希が……転校?」  二つ隣の列にいる長門の後ろ姿に目をやった。 「どうしてよ。妹が入ってきたばかりで今度は有希がいなくなるの? それっておかしくない?」  だよな。状況をまるっと全て説明されなければそう思うだろうさ。 「やっぱりあの二人、仲が悪いとか?」  ハルヒは不思議顔のまま訊いてくる。そうじゃないんだ。むしろそのほうが俺としてはよっぽど分かりやすくてよかったんだがな。  もう遥かな昔にも思える入学したての五月...
  • ながとぅーみー 第二話「ちょこっとミスだー」
    翌日。俺は物々しい視線を感じていた。何か体験したことのない異様な視線。 何、この視線は。しかも女子から集中的に浴びているような気がする。 どうしたんだ。いったい、何が起きたんだ。 まさか、また何か世界が改変でもされたのか。 だが、ハルヒはいつもどおりの定位置に座って窓の外を見ている。 「よっ、ハルヒ!」 「おはよう、キョン」 じわりと視線が突然強化された。なんだか、嫉妬みたいな思念を感じる。 んー。いったい何事なんだろう。解らない。 そんな日の放課後。その片鱗は突然起きた。 「あの・・・キョンくん。ちょっといいですか?」 「ん?・・・阪中さんか」 俺は、阪中に呼ばれ誰も居ない階段の踊り場に来た。 「えっと・・・あの・・・好きです!付き合ってください!」 「そ・・・って、今、何て言った?」 「だ、だから・・・好きです!」 ・・・。頬をつねってみる。うん、痛いようだ。現実なのか、これ。 頭を...
  • 長門有希の憂鬱IV エピローグ
      エピローグ    最後に新川さんが丁寧に謝辞を述べ、古泉が閉会の挨拶と二次会の案内をして披露宴はお開きとなった。新郎新婦は拍手の中を退場、とふつうはプログラムにあるはずなのだが、突然ハルヒが叫んだ。 「ちょっとみんな、外見て!」 「どうしたんだ?」 「すっごいじゃないの、目の前で花火をやってるわ」 「まさか、もう九月だぞ」 ハルヒの指令ですべてのカーテンが開けられた。窓の外はもう暗くなっていて、眼下に広がる俺たちの町の夜景と夜の海、そのはるか上空で、光の大輪の華が大きく広がっては消えていく。ドドンと腹の底に響くような大きな音と共に赤黄色オレンジと青に緑の輪が咲いていた。今日のセレモニーの最後を飾るイベントだと思ったらしく招待客からやたら歓声が上がっている。   「あれは誰がやってるんだ?古泉、お前の機関の仕込みか」 「とんでもない。あんな予算のかかる見世物をやるなんて聞いていませ...
  • 銀河SOS伝説~射手座の光芒~第五章前編
       宇宙暦2003年、SOS帝国暦一年、十一月二十九日、十四時三十分。 SOS団員およびSOS帝国軍首脳部は総旗艦ブリュンヒルトの会議室に顔をそろえた。戦闘は開始されていなかったが、星系内に布陣した無数の無人偵察艇により敵艦隊の大まかな位置は判明しており、事前に散布した宇宙機雷による妨害も成功している。まずはSOS帝国に有利な状況が作られているように見えていた。 しかし、敵艦隊による電子妨害は刻々と強化されていて、偵察艇も発見され次第破壊されており、状況が不利に傾かないうちに戦端を開くことが好ましく思われたが、それに先立って新人類連邦軍時代からの恒例になっている戦前スピーチが行われることとなった。部下達に無茶な作戦を理解してもらう目的で始まった戦前スピーチだが、最近ではキョンに言わせると誇大妄想的とんでも演説を聞かせることで、全軍の士気を無理やりにでも高揚させることが目的となっていた。...
  • 台風一過のハレの日に:第五章
    『台風一過のハレの日に』     ○第五章:旅立ち   空港っていうのはなんとなく好きだ。特に国際線の出発ロビーっていうのは、たとえ自分自身は出発しなくても、ただそこにいるだけで気分が高揚する気がする。   今日はいよいよこゆきの最後の日だ。なんか昨日結婚式の真似事なんかしたもんだから、俺は自分自身が新婚旅行にでも出発するような気分になってしまったが、実際に旅立つのはこゆきだ。 俺たちSOS団の五名はこゆきを見送るため、秋晴れのさわやかな風を感じながら、海上を埋め立てて作られた国際空港にやってきた。 もちろん、本当にこゆきが飛行機に乗って出国するはずがない。マジで出発するつもりなら種子島のロケット発射センターの方がふさわしいのかもしれないが。 ハルヒがどうしても空港まで行って見送りたい、と言うので長門が少しばかり情報操作をして、ここから出発するマネだけすることになっている。おそらく出国審査...
  • 朝倉涼子の再誕 エピローグ
    エピローグ  後で聞いた話になる。・・・前にも使ったな、このフレーズ。 「あの時、涼子は確かに周防九曜とともに情報連結を凍結された」  いつもならばこの手の役割は古泉が喜んで請け負うのだが、今回の解説役は長門だ。  餅は餅屋、というやつである。 「しかし、わたしはあなたと別れた後教室に戻り、涼子を周防九曜とともに情報統合思念体のもとへ転送した」  そういえば、あの時長門は氷像と化した朝倉をどうにもしなかったな。  最低限どこかに運ばなければ翌朝にでも大変な騒ぎになるというのに、あの時はそんなことにも気付かなかった。 「その後、統合思念体は凍結状態のまま涼子たちを引き剥がし、周防九曜のみを情報連結解除した」  そんなこともできるなんて、長門の親玉は相変わらず凄すぎるな。  しかし、どうせナントカ解除をするんだったら、どうしてあの場でそれをしなかったんだ? 「涼子が巻き添えを食らって消滅...
  • 未来からのエージェント 第二部 セカンドエージェント
    未来からのエージェント 第二部 セカンドエージェント プロローグ 時間管理局の暗い一室。何人かの人間が密談している。 ひとりは、かつて、キョンとみくるが朝比奈さん(大)の意をうけて 様々な工作を行ったとき、出現して妨害を図ったあの、目つきの悪い 未来人の青年だった。年配の男性がその青年に言った。 「結局、うまくいかなかったではないか」 「まあまあ、次の手段はちゃんと考えられていますよ。御安心を」 「そうかね。口ばかりでないことを祈るよ」 「何、純真無垢なエージェントを送るなどと言う非常識な選択をした 連中を見返してやりますよ」 第一章 マナ その日は朝から、みくるのクラスはちょっと騒がしかった。どうやら転校生が来る らしかったのだ。どのクラスにもひとりはいる情報通の生徒がやってきて、 「すっげえ美少女らしい」とやったもんだから騒ぎは大きくなった。鶴屋さん、 みくるに続いて第三の...
  • (消失)長門有希のもしも願いが叶うなら プロローグ 夏の記憶
    プロローグ夏の記憶   部屋の隅に1つのお面がある。 このお面を見るとあの日のことを思い出す。 彼は笑顔でさよならを言った。 悲しみと不安を隠すために作った精一杯の笑顔で。 繰り返される夏休み。 8月31日24時00分00秒になった瞬間、8月17日に戻る。 そして、8月17~31日までの記憶はすべて消去された。 わたしを除いて。 9874回目の夏休み わたしは彼を助けることができなかった。 本当に助けることができなかったのだろうか。 彼が消えるのに見て見ぬふりをしていたのではないか。 もちろん彼は死んだわけではなく、今でも元気に生きている。 しかし……もし、あの日が地球最期の日だとしてもわたしは何もしなかったのではないか。 そう考えるとぞっとした。 わたしは部屋の隅にあったお面を手に取る。 夏祭り。多くの露天が並ぶその中に一軒のお面を売る店があった。 ...
  • 阪中から見たSOS団員
    ふぁーあ。つかれた。 この世界史の先生、いっつも一気に板書するのよね、黒板一枚分も。 そのあとすぐに話をしだすけど、その頃皆は、ノートをとるので一生懸命。 話を聞けてるのなんて、涼宮さんくらいなのに。 もうちょっと、板書の後に時間をおいたほうが良いと思うのよね。   私は伸びをしながら、ちらっと涼宮さんの方を見やる。 涼宮さんの席は、窓側の一番後ろの席。 その前の席は、えっと、皆、本名で言わないから分からないけど、キョン君ね。 この席は、最初に席替えした時から変わんない、この2人の特等席。 毎回くじ引きで決めてるはずなのに。 偶然って続くものなのね。 チョンチョンと、涼宮さんがキョン君の背中をシャーペンでつついてる。 キョン君は慣れた風な顔つきで、後ろに振り向いてる。 何を話してるのかな? 涼宮さんは、満面の笑みを浮かべてキョン君に話しかけてる。 他の人と話すときは、あんな顔しないのにね。...
  • 444回目のくちづけ
    プロローグ  いまから話すのは、俺が高校二年の秋のできごとになる。  ま、時期にはたいした意味はない。ようするに、これまで語られてきたことのあとに起こった事件だとでも思ってもらえればそれでいい。  春に発生した世界の分裂と、それにともなう驚愕のできごとをへて、俺たちの現状はとりあえずの平穏を保っていた。  あいもかわらず団長は無茶をいっては団員を振りまわし、古泉はボードゲームで連敗街道をまっしぐら、朝比奈さんはお茶をいれ、長門は窓辺で本を読んでいるといったぐあいだった。  そうだな、この話にはほとんど関係しないが、佐々木たちの現状も、ほんのさわりだけ触れておこう。  佐々木は、世界の分裂のあと、いろいろあって異世界人の属性を手にいれた。最近はSOS団の準団員として、毎回ではないが不思議探索に参加したりしている。ハルヒとの関係は、同性の親友ってところか。  橘は、その組織とともに古泉の...
  • Am I father ? 第一章
      1.   俺が北高に入学し、SOS団とかいう世にも奇妙な団体に入団してから、いや、拉致されてからと言ったほうが正しいだろうか、まあそんな感じで早々と時間は過ぎ去り、二回目の夏休みを迎えていた。その間にもいろいろと、古泉発案の第二回SOS団夏合宿やら、その古泉が真っ青になり、朝比奈さんがおろおろとし、長門が奔走しまわった事件などがあったのだが、ここでは語らないでおこう。それはまたいつか他の機会があれば話そうとおもう。 さて、俺は今、クーラーがきいた自室で朝から久々の惰眠を貪っている。 両親と妹は商店街の抽選で当たったとかいう三泊四日温泉旅行の三名様用チケットとやらを使って今朝早くから出かけてしまった。俺を置いてな。 全く酷い家族だぜ。母親いわく、あんたは涼宮さん達と合宿に行ったでしょうが。だったらあんたは行かなくてよし、なんだそうだ。 悔しいから見送りなんてしないで寝てようとしたのだが、...
  • 改造人間キョン
    突然だが最近体の調子がおかしい。 昼間から突然眠くなったり、体の一部分に痛みが走ったり、 酷い時には自分が今どこに居て何をしているのか分からなくなった事もあった。 そんな様子の俺を見て朝比奈さんが心配してくれる。 「キョン君、最近調子悪そうだけど大丈夫?」 そういってお茶を出してくれた。 朝比奈さんが淹れてくれるお茶はこの部室に来る最大にして唯一の目的となりつつある。 「そうですねぇ…今更成長期という訳でも無いでしょうし、  ありきたりではありますが一度病院に行かれては如何ですか?」 古泉が穏やかな笑顔でそう言う。コイツは特別に心配してくれているという訳でも無かろう。コイツは誰に対しても、老若男女かまわずこの調子なのだという事がその様子から伺えた。 「………」 長門は…別段変わらない。 いつもと同じ席に座り、いつもと同じ表情で、いつもと同じ速度で本のページを繰る。 もし明日俺が坊主になっ...
  • 涼宮ハルヒの遡及Ⅵ
    涼宮ハルヒの遡及Ⅵ     「ちょっとキョン! 何がどうなったのよ!?」 「んなこと俺が知るか! と言うかこの状況を何とかしないと冷静に考えられるわけないだろ!」  などと大声で叫び合う俺たちの周囲は、巨大なバッタの大群に囲まれてしまっていて逃げ道もねえ!  しかし、こいつらの俺たちの見る目は食料としてではない。まあそれは当然だな。バッタは草食だ。肉には興味がないはずだ。  もっとも、だからと言って俺たちのことを見逃してくれるような気は毛頭無さそうで、明らかにその複眼は敵意で満ちている。 「どうやって切り抜けるのよ……?」 「俺も教えてほしいくらいだ……」  くそ……古泉たちはどこに行っちまいやがったんだ……?  妙な緊張感が場を支配する。ただし、少しでも動きを見せようものなら、あっという間にその沈黙は破られ、これだけの巨体でしかもバッタの習性が失われていないとするならば、間違いなくその脚...
  • 長門有希の憂鬱Ⅰ一章
    長門有希の憂鬱Ⅰ 一 章 やれやれだぜ。俺は朝比奈さんを待ちながら呟いた。このセリフ、何回言ったことだろう。 ハルヒがSOS団を立ち上げてからというもの、このセリフを吐かなかったことはない。 俺はきっと死ぬまでこの言葉を言いつづけるに違いない。 さて、今年も残すところあと数日だが、年が明ける前に俺は朝比奈さんに折り入っての頼みごとをしなければならなかった。 俺は十日前の十二月十八日に戻らなければならないことになっている。 戻ってなにをするのかと言えば、特別なことをするわけじゃない。 ただ自宅から学校に通って、一度やった期末試験を受けなおさなければならないだけだ。 試験はどうでもいいんだが、考えようによっちゃこれ、百点満点を取るチャンスかもしれないな。 ハルヒに国立を受けろと言われたので、ここで成績アップしといても天罰はくだらないだろう。 本当は俺...
  • 涼宮ハルヒの改竄 version H
    あたしは中学に入学して他の奴らとは違う「特別」な人間になってやると改めて決心した。 「特別」な人間になる為に他の奴らが絶対やらない様な事を片っ端からやった。 そんな事をしている内に学校内でも特に浮いてる存在になっていた。 周りの奴らがあたしの事をどう思おうが噂しようがそんなのはまったく気にしなかった。 そんなあたしがイジメのターゲットになるのに時間は掛からなかった・・・   涼宮ハルヒの改竄 version H   まず上履きを隠された。 でも、そんな幼稚な遊びに付き合う気がなかったあたしは全く気にもしなかった。 そんな事を気にしてたら「特別」な人間になんて永久になれないと思ったからだ。   どうやら、それが気に入らなかったみたいで翌日にはあたしの机に幼稚な中傷が彫刻されていた。 まったく、ノートが取り辛いったらありゃしないわね。 バカとかブスとか死ねとかってもうちょっとなんかなか...
  • カレンダー(H-side)
    「カレンダー」(K-side)   「キョン、そこ間違ってる。」 「何処だ?」 「ここよ、ここ。」 「ああ、そこか。」   あたしは今、キョンの自宅でキョンに数学の勉強をさせている。 本当は部活の前に学校でやりたかったんだけど、あいつが教室でやるのは 勘弁してくれって言うから仕方が無くここにしてやった。 あくまでも仕方が無くであって、間違ってもキョンの部屋で二人っきりに なりたかったなんて事はないんだからねっ! って、あたしは何でモノローグで言い訳してるのかしら?まあ、いいわ。   「そろそろ終わった?」 「ああ…。よし、終わり。」 「どれどれっ…。」   あたしはキョンから自作の予想問題を取り上げ、採点を開始した。   「――まる、まる、まるっと。まあ、こんなもんね。今日はここまでにしましょ。 いい、出来れば次の中間までこのことを覚えてること。復習も忘れずにね。」 前にも言った気がす...
  • ハルヒ「か~っかっかっか~~!」
         ハルヒに巻き込まれて数ヶ月、日々起こる非日常の連続に俺の精神は多少の事では動じない強靭さを手に入れていた。  つもりだったんだがな……。    休日、いつものようにハルヒに呼び出されていた俺が駅前に辿り着くと、そこにはいつもの4人と……誰だ? あの黒人   ハルヒ「この可愛いのがみくるちゃん、こっちの静かな子が有希。彼は古泉君で……あそこに居る、まぬけな顔をしてるのがキョンよ」   黒人「ハジメマシテ、キョンサン。ニャホニャホタマクローデス」    やたらフレンドリーに俺の手を握りしめるのは、ニャホニャホタマクローさん……らしい。    えっと……どうも。    おい、この人誰が連れてきたんだ? っていうかこんなことをするのは   ハルヒ「あたしよ!」    やっぱりか。   ハルヒ「あんたは遅いし、そこでふらふらしてたから捕まえてきたの」    文書の前後で意味が繋がってないん...
  • 桃色空間奮闘記 ~僕がダンサーになった理由~
    桃色空間での得体の知れないライブを終了し、超能力者みんなが各々帰宅した後 僕はなぜかステージやら機材やらの後片付けをしていた(させられていた)。 なんで僕がこんな事を… だれにも聞こえないように愚痴を呟く。 ふと森さんを見ると、なにやら憂鬱そうな顔をしていた。 「どうかしたんですか?」 「え?ああ、ちょっとね…」 森さんが何か考え込んでるなんて珍しいこともあるものだ。 「ちょっと前にさ、ハルキョンのアンソロ本出たじゃない?」 ああ、七夕の日に出ましたね。 「あたしさ、アレ発売日当日にとらの○なに買いにいったのよ。秋葉本店に。」 森さん。ハルキョン信者ですもんね。 「それでさ、店に到着した時、まだ入荷してなかったのか知らないけど棚に置いてなかったの。」 はぁ… 「んで、ずっと一般と18禁のブースを行ったり来たりして、商品が並ぶのを待ってたのね。」 ずっとってどのくらいですか? 「午前11時に...
  • Close Ties(クロース・タイズ) 第二話
    Close Ties(クロース・タイズ) 第二話      午前の授業時間はあっと言う間に過ぎた。  私の中にはエラーが蓄積していた。明日のこの時間には、私は人間になってしまっているのだ。有機生命体であれば、このエラーを不安と表現するだろう。有機生命…いや、人間になればエラーに悩まされる事も無いのだろうか。  無くなるとすれば、それは素晴らしい事だ。  置換プロセスが開始されてから、私の表現の中に形容詞や抽象的な言葉が増えてきた。確かに、私は変化している。 「ゆーきーちゃんっ!」  昼休みを告げるチャイムとほぼ同時に教室へと入ってきたのは、朝比奈さんと鶴屋氏だった。  どうやら朝比奈さん自身も私の呼称を再設定したらしい。  昼休みはいつも部室で本を読むのだが、朝比奈さんと鶴屋さん(朝比奈さんに合わせて自主的に再設定した)は私を屋上へと連行し、本にありつく事が出来なかった。  真冬にも関...
  • 酒と思い出
    「ねぇ。カシスオレンジ」  みんな。いきなりですまない。しかしこいつに空気を読むなんてことは出来ないから仕方がないんだ。 「空気嫁」なんて言った日には「空気は読む物じゃなくて吸うものよ」と返されるに違いないくらいに空気が読めないやつなんだ。こいつは。  高校。大学。社会人となぜか全く同じ道を歩んでいる女。涼宮ハルヒ。今日も仕事帰りにいつもの店で飲んでいるわけだ。 「早く頼みなさいよ。今日は飲みたい気分なの」  この台詞は店に来たときに言う台詞のはずだ。もうこの店には数時間滞在している。きっと店を出る頃には俺の財布は高校時代の姿に戻っているに違いないだろう。  なぁハルヒ。お前それで15杯目だぞ。飲みすぎじゃないか? 「うっさいわね。今日は飲みたい気分だって言ってるじゃない」  ちなみにこの言葉を朝からずっと俺は聞いている。仕事中も、休憩中も。きっと睡眠時か朝に何かこいつを苛つかせるようなこ...
  • 二年越し勘違い
    「お待ちどうさま。おそばが出来ましたよ」 「おう」  横になって眺めていたテレビ雑誌を放り出し、俺がコタツと正対するように座り直すと。目の前には既に、江美里がお盆から降ろしたほかほかと湯気の立つどんぶりが置かれていた。少量のねぎと天かす、あとはかまぼこが1枚乗っただけのシンプルなかけそばだ。 「では、さっそく頂こうか」  セーターからエプロンを外した江美里が着席するのも待ちきれず、俺は箸を手に取ると手繰ったそばにふうふうと息を掛け、一気にすすり上げた。うむ、うまい。 「ふふ、そんなに慌てなくてもおそばは逃げませんのに」 「そばは逃げなくても、時は逃げる。こういう物は出来たてをすぐに喰うのが、作った者への礼儀というものだ」 「まあ」  俺の返事に少しだけ表情を緩めながら、江美里もコタツの左隣の面で両手を合わせ、それから小さな口でするするとそばをすすった。 「うん、我ながらなかなか...
  • 規定事項の子守唄 第十二話
     部室から出ると、思ったとおりというべきか、みんなが戸口のすぐそばで待機していました。  そこまで、キョンくんがほかの女の子とふたりでいるのが心配なら、轡をつけて寝室にでもつないでおけばいいのに。つい、わたしはそんな物騒なことを考えてしまいました。 「みくるちゃん、最後だからって、キョンにへんなことされてないでしょうね? さっきからぜんぜん物音はしないし、鍵はあかな……い」  言葉が、尻すぼみになりました。 「ひ、人聞きのわるいことをいうな。俺はべつに」  ごにょごにょと、キョンくんがなにか言いわけをはじめていましたが、涼宮さんはそれには反応せず、わたしのほうを見ているようでした。  いっぽう、わたしは古泉くんにアイコンタクトをおくっていました。  あなたのバイトをふやしちゃうかも。ごめんね、古泉くん。そんな気持ちをこめて、彼の目をみつめました。  なにもいわず、古泉くんはただ肩をすくめ...
  • 王様ゲーム
    「王様だーれだっ!?」   無言で色のついた割り箸を置く長門。王様は長門か。   一体何を命令するんだ?などと考えていると、なぜか古泉が長門に向かってウインクをした。   すると長門はほんの数ミリだけ首を動かして頷いた。こいつら何を企んでやがる……。   「……2番と3番がポッキーゲーム」   2番?俺じゃねーか!長門からポッキーゲームなんて単語が出てくるとはな。   ところで3番は誰だ?……まさかイカサマハンサム野郎じゃねえだろうな。   「2番は俺だ。3番は誰だ?」   正直に名乗り出よう。3番が古泉だったら俺は今日限りでSOS団を退団させてもらう!   「……む」   不機嫌そうな顔をして名乗り出たのはハルヒだった。   あぁ、そうか。古泉は何かにつけて俺とハルヒをくっつけようとしてたからな。   それよりハルヒよ、そんな顔するのは構わんが、顔が真っ赤だぞ。ちくしょう、可愛いじゃねー...
  • ポニーテールの秘密・第5章
    第5章  時間遡行なんてのは何回やっても気持ちのいいものじゃない。古泉、この訳の解らない瞬間だけなら代わってやってもいいぞ。  「・・・うん?」  何だ?木が横に沢山倒れてるぞ。  「あ、気付きました?」  大きな2つの黒い瞳に俺の寝起き面が映っている。ああ、そうか。俺はまた朝比奈さんに膝枕をしてもらっていたのか。古泉、やっぱり交代はナシだ。  「はい?」  「あ、いや、ただの妄言ですよ」  イカンな。どうも最近無意識に思った事が声に出てしまう。  むくりと体を起こす。彼女の膝枕は惜しいが、今はそれどころじゃないからな。  「ちゃんと昨日、ええと、4月1日に来れました?」  朝比奈さんは電波時計を見て、  「はい。ちゃんと4月1日の午後7時です」  ベンチから腰を上げて辺りを見回す。どうやら4年前の七夕同様、あのベンチみたいだ。  しかし、朝比奈さんのいる前でハルヒに話をするのはどうも気...
  • 長編・古泉一樹
    古泉一樹無題1 ウィザード オブ サムデイ ウィザード オブ レニーデイ 古泉一樹 EP.0 古泉一樹 EP.0.5 墓地にて 晴れのち快晴 ある日の出来事 古泉一樹の結婚 頼れる副団長 絶望の世界 古泉一樹の独白 古泉崩壊 本音 GUN SURVIVAR 古泉一樹の青春 会心の一手 落し物、拾い物 変わらない チェンジ・マイ・ヒーロー 自分の居場所 古泉くんと鶴屋さん さよなら 内緒の最初 涼宮暗殺指令 雪の日 古泉一樹の出会い 不眠症候群 花嫁修行危機一髪 閉鎖空間記 キミがキミで居られるように 世界の反対側 選択肢の無い世界で スノウマーチ 月光 一樹ちゃん☆スマイル 女古泉 ちゃん の憂鬱 四月の雪 キャッチボールwith古泉球 一樹くんに女神の祝福を! 温泉と札幌 前髪に揺れる四ツ葉ふたつ 雪解けの想い もりのこいずみくん 戦士達の休日 【K.B.F.】 秘密の音色 若葉の...
  • 長門有希の憂鬱Ⅰ二章
    長門有希の憂鬱Ⅰ 二 章 目の前に、口をあんぐり開けたおっさんがいた。 よれよれの服を着てベンチに座っている。 「あんた……今、そこに現れなかった?」前歯が一本欠けている。 「え……ええ」 「ワシゃずっと見てたんだが。あんた、そこに、いきなり現れた」 「そうですか……?たいしたことじゃありません」人がいきなり出現したなんて全然たいしたことだろうよ。 ホームレスっぽいおっさんは俺をまじまじと見つめていた。 やがて飽きたのか、目を閉じ、うとうとしはじめた。 ここはいったいどこだろうか。俺は目をこすって周りを見た。 ほっぺたをパシパシと叩いてみた。これは夢じゃない。人が大勢歩いてる。閉鎖空間でもないようだ。 どこからか列車の発車を告げるアナウンスが聞こえた。どうやら駅のコンコースらしい。 駅の名前は見慣れない、俺の知らない地名だった。 さて...
  • 涼宮ハルヒの感染 7.回帰
    7.回帰  俺にできることはやった。後はハルヒの目覚めを待つだけだ。 大丈夫だ、ハルヒはきっと目覚めてもハルヒのままだ。 俺は自分にそう言い聞かせていた。  過ぎてしまった予定時刻。 俺は間に合わなかったのか。 苦々しい気持ちでハルヒの病院に向かった。  病院に着くと、朝比奈さんが出迎えてくれた。 「涼宮さんはまだ目が覚めないんです……」 うつむき加減で朝比奈さんが言った。 俺はますます不安になった。俺は間違っていたのか? その答えを考えるのはあまりにも苦しい。 「長門は大丈夫なんですか?」 もう一つの懸案事項を聞いてみた。 「そ、それが、一旦目が覚めたんですけど、『統合思念体による点検』  と言ってまた寝ちゃったんです」 点検ね。長門の今回のダメージが俺にわかるわけもないが、TFEIすべてを奪われた親玉としては、何かしらのメンテナンスが必要ということか。 まあ、それでも長門はもう大...
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