涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki内検索 / 「三者面談1」で検索した結果

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  • 三者面談
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  • 三者面談1
    俺達が北高に入学して、もうすぐ1年になる。 季節は、まだまだ春にはほど遠い、冬。 俺は朝から憂鬱であった。   自分の成績があまり良くない、もしくは悪い人なら必ず、 先生の前で親とケンカになる日。 前日からもうやってますって人もいるだろう。   そんな、おそらく生徒の大半から嫌われているであろう、この行事。 もちろん俺もこいつが大嫌いだ。   しかしヤツは必ずやってくる。年に2度も。   そいつの名は「三者面談」   くそいまいましい。   岡部と親による連携ばっちりな二段攻撃をくらいつつ、 荒む心を抑えながら、やっと面談時間が終わった。 親はまだまだ説教し足りないって顔をしている。   やれやれ、今回も親の説教を聞きながら帰らなけりゃならんらしい。 岡部にあいさつをして、教室を出た。   「あっ、キョン」   教室を出てすぐの廊下のパイプ椅子に、ハルヒが座っていた。 苦い物を口に含んで我...
  • 三者面談2
    ピンポーン。   時刻は午前11時。インターホンが鳴った。 誰が来たのかはわかっている。ハルヒ親子だ。   1階から家中に 「はぁ~~い!」 と言う妹の声が響く。下手したらお隣さんにまで聞こえちまうくらいに。続いて、 「あー!ハルにゃんだっ!」 わかってたくせにそんなに喜ぶのはなぜなんだ、演技なのか?だとしたらちょっと才能があるかもしれない。   すでに着替えていた俺も、下に降りた。 ハルヒは玄関で妹にしがみつかれていた。そんな妹にちょっと苦笑い気味な顔を向けている。 今日のハルヒは白のロングコートの下に薄いカーキ色のワンピース、茶色のブーツといった いかにもTeen sな格好である。はっきり言おう、とてもよく似合っていた。 そのまま笑顔でポーズを撮れば、雑誌にだって載れそうだなどと考えていると…。   なぜかまた、心の中が少しモヤモヤしたような、よくわからない気分になった。 なんなんだろ...
  • 三者面談10 last
    俺の風邪が治って3日が経った。 つまり今日は── ハルヒとの約束の日。   俺は30分前に待ち合わせ場所に来ていたのだが、 ハルヒはそれよりもっと早く来ていたようで。     「遅いっ!」 へいへい、すかさず罰金!だろ?さぁこいよ。 ほら、ばっき……あれ? ハルヒはそれ以上何も言わず、ついてこいといわんばかりに歩き出した。     まず向かったのが、デパートだった。 荷物になるから後にしようぜという俺の意見など聞く耳持たず、 Men’sの服屋に入ると、早速品定めを始めた。     ……またここの店員もタチが悪かった。 ジャケット以外も売りつけようと、俺に色々試着を勧めてきた。 結果俺は何度も試着室に入ることになり、なかなかこれだけでも疲れを感じた。 めんどくさいったらありゃしない。 着替えの最中、外で待っているハルヒに店員が     「彼氏さんですか?いいですね、今日はデートですか?」  ...
  • 長編・キョン2
    涼宮ハルヒのロックバンド キョンとキョン Happiness! 『思い出の結晶』 『キョンの悪夢』 志 ハルヒの好きな人 『lakeside love story』 真夏の日の夢 3人娘の本音 BR 未完? キョンの突撃 To非日常 from日常 初恋 in the middle of nowhere カントリーロード ガール・ミーツ・ガール 涼宮ハルヒの微笑 とりあえず無題(仮) 宇宙戦争 SOS団お掃除大作戦 全力疾走!ロミオ&ジュリエット ただ一人のための物語 ある日のイベント 緋色の媚薬 命の価値 キョンの日常 ) 幸せの定義 尾行大作戦? あるカップルの優劣 And everyone passed away リセット(微鬱描写有) 虫歯と歯医者 恋愛お試しお手伝い! 涼宮ハルヒの中秋 ハルヒになっちゃった 月で挙式を 三者面談 とびだせ大作戦はサイケデリック 親愛の情 デッサン ...
  • 来襲
    もういくつ寝ると春休みと浮かれていたのだが、恐ろしいイベントが予定されていることを、俺は今日に至るまで忘れていた。 何故この時期に行われるのか理解したがたいのだが、来年度は高2でもあるから、そういう意味では適しているのだろうか。 「ほんと、なんでこの時期にーって感じよね」 小さなテーブルを挟んだ向こう側ではハルヒが大口あけて、ドーナツを食べている。 小腹が空いたという理由で訪れたドーナツ屋で、かれこれ1時間近く二人で話している。 何が行われるかと言えば、三者面談。しかも俺達はそろって明日に予定されている。 「ハルヒは別段問題ないだろう。学業優秀だしな」 素行にはいささか問題あるように思うのだが、それを覆すだけの成績をキープしているからな。心配する理由などないはずだ。 「そっちはいいのよ。何言われる筋合いないし」 「なにが困るというんだ」 「親父が来たらどーしようってこと」 「『それにしても...
  • 涼宮ハルヒの決心
    最近キョンの様子がおかしい。 何だろう、私に隠しごとがあるような。特に理由があるわけではないけど、なんとなくそんな気がするの。こういう時は直接聞くに限る。 「ねえ、キョン。私に隠しごとしているでしょ」 キョンは一ノ谷から駆け下りる源義経を見た平家のように動揺している。 「いきなり何を言い出すんだ。別に何もねえよ。」 「正直に言いなさい」 「母が次の中間テストで成績が悪かったら予備校に行けってうるさくてな。成績が悪かったらどうしようかと思い、憂鬱なのさ。」 「ふうん。あんたは勉強の仕方が効率悪いのよ。そう言えば来週数学の小テストがあったわね。今度、私が指導してあげるわ。」 「ああ、頼む。」 「ところでキョン。最近どう。元気にしてるの。」 どうもこうも、授業中も放課後もいっつもおまえの前にいるだろ。俺が元気かどうかなんて言わんでもわかるだろ」 「私の知らないところで変わった経験をしたとか、宇宙...
  • 青年教師岡部の自慢
    「岡部先生」     放課後、日誌をつけていると苦々しい表情で三年進路指導の主任が声をかけてきた。     用件はだいたい察しがつく。俺だって教員生活が板についてきた頃なのだ。先日全学年で進路指導の個人面談があったばかりというタイミングで、この人がこの表情で俺に話しかけてくるってことは…… 「先生のクラスの、涼宮ハルヒについてですが」     うむ、予想通り。 「聞いたところ三年の朝比奈みくるを何だか妙な同好会に引きずり込んだとか」     だいぶ前の話を今更おっしゃる。こういう教員が進路指導の主任に就けるのだ。俺がそれなりのポストに就くのも夢じゃないかもしれないな。 「朝比奈と面談しましたが、辞めろと言っても『辞めたくない』の一点張りですよ。先生のところの涼宮に脅されでもしてるのでは?」     ……スポーツマンはどんなに呆れても溜息をつかないものだ。 「理由は何か言っていましたか?」...
  • 規定事項の子守唄 プロローグ
     みなさん、こんにちは。……もしかしたら、こんばんはでしょうか? それとも、おはようございますかな?  うーん、挨拶はなんでもよかったですね。失礼しました、朝比奈みくるです。今日はすこし、わたしのことをお話しようかと思います。  ええ、みなさんもご存知のとおり、わたしは鶴屋さんと同学年で、涼宮さんたちから見たらひとつ先輩になります。だから、SOS団のみんなとは、一年はやくお別れということになってしまいました。  もともと、見習い時間駐在員としてのわたしの仕事は北高卒業までで、以降はとりあえず自分の時代に帰還することが決まっていました。そのごどうなるかは未定で、努力次第で出世していくかもしれないし、あんまりかわらないかもしれない、現状はそんな感じです。  わたしが、涼宮さんの監視任務というものすごく重要な仕事の一端をまかされた理由は、いろいろあろうかと思います。『あろうかと思います』なん...
  • 晴れのち快晴
    「なぁ古泉、SOS団に終わりが来るとすれば、それはどんな時だろうな」 「そうですね、涼宮さんが力を完全に無くす時。 あるいは、その逆で世界をそっくり作り変えてしまった時、でしょうか」 「それは近いのか、遠いのか?」 「分かりませんよ。僕としては、できるだけ長く続いてほしくある反面、 機関の一員として行動する日にいつ終わりがくるのか、という思いもあります」   それからしばらく、俺たちは黙って駒を置いていた。 なぜ急にそんなことを古泉に言ったのか、俺もよく分からない。 ぱち、ぱちと互いの駒を取り合って、少しずつゲームは終わりに近付く…。   「もし終わることがあるとして、SOS団はその時どんな風になってると思う?」   一瞬手が止まる。 古泉は持った駒をコンコンと机に打っていたが、やがてそれを置きながら   「それも分かりません。僕は結果を解説することは出来ても、未来を予測できる 予言者では...
  • 分裂、或いはSのモノドラマ
     ◆ 0 ◆      目が覚めると、そこは見知らぬ場所だった。  ただ、ここがどんな場所かということは未だ半覚醒状態の脳であっても、なんとか判断することが出来た。  なぜならば、俺が突っ伏していたのはどこにでもある一人用机であり、座っていたのは、それに付随するスチールと木で出来た椅子だ。加えて足下は木製のタイル。  そして周囲には同じような机と椅子のセットが並び――顔を上げた先には、俺の日常生活において、平日の1/4以上の時間、視界を占拠するもの――つまり黒板があったからだ。  つまり、ここはどこかの教室ということだ。  どこか、というのは風景に全く見覚えがなかったからだ。小・中・高、どの教室の記憶にも該当しない風景。一体全体なんで俺はこんな所にいるんだろうか。    自分の四肢身体を確認すれば、どうやら俺は制服を着ているらしい。だが、その制服も見覚えのないものだった。  頭...
  • サムデイ イン ザ ハリケーン
    傘というものは元来、雨をふせぐためにあるはずだ。 だとしたら今日コイツは、傘としての役割をまったく果たしていないことになるな。   まあ風速20m超える突風と、前方から90度で直角に向かってくる豪雨が相手じゃ仕方ないか。   「あーあ濡れた濡れた。ひっどいなこりゃ。あ……傘、壊れてやがる。」   そう、今日は台風様がご上陸なされているのだ。 こんな雨の中を傘壊して登校する俺。なんという真面目な学生だろうか。 しかし……この閑散とした雰囲気、イヤな予感がする。   「おや、来られたのですね。おはようございます。」   下駄箱に現れた古泉!そしてこいつの今のセリフで、イヤな予感が当たっていることを確信した。   「今日は台風により学校はお休みですよ。」 「やっぱりか!!ちっくしょーー!!」   イヤな予感ってのは当たるもんだと痛感した! 思えばハルヒ関係で、イヤな予感というのはことごとく当たっ...
  • 『God knows』 6章
    『God knows』 ~6章~ やっぱりか。 俺の予想通り、古泉は電話した後、3分後にはきた。 運転:新川さん 助手席:古泉 後部座席:ハルヒ、長門 …見事なおまけ付きだな。 「やっぱり覗いてやがったか。」 俺は古泉を鋭い目つきで睨む。 「そんなに怒らないでください。涼宮さんがどうしても心配だからと……「古泉くんっ!余計なことは言わないのっ!!」 古泉が肩をすくめる。 と、ハルヒの大声で朝比奈さんが起きたようだ。 「ん……、キョンくん?あ、ごめんなさい。わたし寝ちゃってまし………って、ふえぇ!?な、な、なんでみなさんがここにぃっ!?」 この混乱はもっともだろう。 「大丈夫ですよ、こいつらは覗いてたけど、バスが無くなったので迎えに来てもらいました。」 と朝比奈さんを抱きながら俺が答える。 何故抱いているかと言うと、後部座席は3人までしか乗らないから、俺の膝の上に朝比奈さんを乗せるしかな...
  • 春の息吹
    ※この作品は春の宴、幸せな日々の続編に当たる作品です。 早いもので俺とハルヒが付き合いだして2年が経とうとしていた。 今は3月、本日は卒業式を盛大に執り行っているのである。 例によって我らがSOS団はどでかいイベントを仕掛けたんだが…その話はまた今度だ。 2年も付き合ってたらそりゃ喧嘩だってするし、その分仲直りだってする。 当然、いろんな場所にも出掛けた訳で…とまぁいろいろあったわけだ。 しかしあの時は本当にヤバかったが…長門さまさまだな。一応、古泉にも感謝してやらんでもない。 詳しいことは省略するが、月並みな言葉で表すとより愛し合うようになったってことだな。 俺もハルヒもいろんな意味で成長できたと思う。特にハルヒ、あいつの変化は有名企業も驚きの株価上昇率だぜ。 その変化のおかげで俺の高校生活は常に前年度を上回る楽しさだったんだが…。 まあ実際どんなことがあったのか聞いてもらった方が早い...
  • 望まれた世界
    この状況はまたも俺の意向に関係無く降って湧いた様だ。   俺は確かに2年目の夏の休暇を有意義に楽しんでいた(まぁ半ば惰眠を貪っていた様なものだが)。 そう確かに俺は、自分の部屋の、ベッドで、下着姿のまま、眠りこけていたはずなのに。   1年通い続け見慣れた校舎、そこに似合わない活気を忘れた無音、色を忘れた灰色の世界。   またなのか?と考える理性と、その考えを拒絶したい、俺の本心とが交錯する。   ハルヒが創り出した世界、と アイツら は言うのだが実の所、いまだここの所は半信半疑であるのも事実だ。   いや、まぁ知覚という点では理解しているつもりだが、道理という面で見ればそうはいかない。 世間様から見てもハルヒは単なる1健全な女子であるのは周知の事実であり、 世界の創造主などという不似合いな称号とは無縁の様に思える。   だからこの世界(もとい現実世界)がハルヒによって創られた(操作された...
  • おいしいご飯
    ※『宇宙人じゃない長門』の設定です   「何つくる?」 朝倉が問う。 「焼き魚でいいんじゃねえか」 谷口が素っ気なく答える。 「安っぽい。最低。もっとマシなの考えなさいよ」 ハルヒが反論。 「だって魚使わなきゃならねえんだろ?焼き魚以外なにがあるんだよ」 谷口も反論。 「例えば…鯛のポワレとか」 「はァ?そんなイタリア料理みたいなのつくれるかよ」 「フランス料理よ!」 ハルヒの威嚇に谷口は肩を竦め、俺の方を向く。 …しゃーない。 「いいだろ。調理実習なんだし。高校生らしいのでいこうぜ」 俺が谷口をフォローする。 そんなこんなで、かれこれ15分。一向に意見がまとまらない。 何をそんなに議論しているのかというと…。って、もう答え出てるな。 調理実習である。 4人1班で飯をつくる。テーマは『バランスのとれた魚料理・夕食編』だそうだ。 で、俺たちの班は俺、ハルヒ、谷口、朝倉…となった。 くじ引きで...
  • キョン1/2  みくる編
    古泉に連れていかれたあの日、 忘れたくても忘れらんないような悪夢の出来事があったわけだが、 今は断片を思い出すだけでも飛び降りたくなるのでこの話はやめておこう。 まぁ古泉も俺の為を思って、仕事だから嫌々したはずなんだ。 それは十分承知しているが――やっぱり許せん。暫くは目を合わせないでおこう。   季節は春、出掛けるにはもってこいの気候である。 そんなうららかな午後を俺は何故か部室で過ごしていた。  「今日もいい天気ですね」 俺はあなたの笑顔を見るだけで、今日も最高の一日になりそうですよマイエンジェル。 窓際では既に半置物化している長門が読書をしているし、いつも通りの穏やかな放課後だ。 俺の目の前でニコニコ笑っているであろう地域限定赤球人間はどうでもいい。  「はい、お茶で――きゃ!」 俺にお茶を手渡そうとした朝比奈さんが何かに躓いて転んでしまった。 そして物理法則に従って、お茶が載ったお...
  • スノースマイル・バースデイ2
    長門有希は、疑っていなかった。どれだけ人が脆弱であるか、どれだけ人が宇宙の知性から育まれたヒューマノイドインターフェースとは根本から異なっていることを知っていても。 また明日に、と微笑んだ古泉一樹の微笑を。 誕生日。欣快の至りとなるであろう、愛すべき時間が訪れるだろうことを、少しも。 「……『転校』……?」 ハルヒの、呆然とした呟きが、文芸部室に反響する。無理もない、凡そ信じられないような出来事が、感知しないところで巻き起こっていたことをたった今、知らされたばかりなのだから。――それでも、ハルヒの立ち直りはまだ早かったと言えただろう。自失が怒りに取って代わるのは言葉を理解した上での反抗だ。認めない、という一心の感情。 「馬鹿言ってんじゃないわよキョン!古泉くんがそんな急に転校なんかする訳ないじゃない!古泉くんはSOS団副団長なのよ!?」 「俺にも詳しい話は分からん!ただ、あい...
  • 虫歯と歯医者-治療編
    「軽い貧血ですね、暫くこのままにしていれば意識は戻るでしょう」 ハルヒは大丈夫なんですか? ハルヒの診察が終わり俺への診察中のことだった、若干緊張し不安気な様子を見せていたハルヒだったが 不安に耐え切れなくなったのかとうとう気を失ってしまったのだ。 「安心してください、彼女は歯科衛生士だけでなく看護師の資格も持っています」 とお母さん先生が補足する、機関の人選に抜かりはないようだった。 俺はハルヒの不安感を軽く見ていたのだろうか? あいつの不安な気持ちに気づいてやれなかった自分がちょっと情けなかった。 「涼宮さんのことは彼女に任せてあなたはこちらへ、レントゲンを撮る必要があります」 とお母さん先生が言ってきたが俺はハルヒのそばにいてやりたかったので躊躇した。 「涼宮さんは大丈夫です、それに今回の依頼主からの伝言を伝える必要がありますが 涼宮さんがいる場所では禁じられています」 機関...
  • マグロは急には止まれない
    部室の扉がノックされ、誰だと扉を開いた瞬間の俺達はきっと 時間凍結された有機生命体、 もしくは深夜に動き出す寸前の蝋人形の館のような状態だったであろう。 長門が立っていた…それは構わない…   何故か、どデカイ本マグロを丸々一本ひきずって……   「な、長門、それは一体…」 「…黒いダイヤ」 く、黒いダイヤ? 「太平洋沖の北緯40度付近にて生息する天然資源。硫黄島付近にて捕獲」 部室に入ってこようとする長門からは生魚の血生臭い匂いが漂い、 年季が入って古くなった木造の部室棟の床はマグロの重みで軋む音を立てている。 「…それマグロだな?」 「…そう」 「なんでマグロが丸々一本…」 「…嫌い?」 いや、好きとか嫌いの問題じゃなくてだな…。 「…あなた達にはいつもお世話になり感謝している。お礼をしたい。 お礼やお返しで心を掴むには サプライズ、心を込めたプレゼント、手料理の三点セットだと本に書い...
  • シスターパニック! 第1話
    1話      まだ、肌寒い春先、新学期で初めての探索の日。見事に雨が降っていた。  今日の探索は雨が降ったから中止だ……なんてわけはなく、俺は傘をさしながら喫茶店へと歩いていた。  まったくもって不愉快だ。こんな日は家の中でひたすらゲームでもやっておきたいぜ。 「キョン、遅いっ! 罰金!」  はいはい、わかってるよ。それより、濡れるからさっさと中に入ろうぜ。 「遅れてきて仕切るなぁっ!」  後ろでギャーギャーとわめくハルヒを無視して、喫茶店の中へと入った。  冷えた体が暖まっていく。中は天国だぜ。  注文を終えて、ふと窓の外を見ると、大降りになっていた。……こりゃ探索は中止だろ。  おい、ハルヒ。探索は中止にしよう。こんな雨だとみんな風邪ひいちまう。 「……そうね。せっかく集まったけど、こんな雨じゃ有希やみくるちゃんがかわいそうだわ」  そこに俺が含まれてないのはデフォらしい。まぁ古泉も...
  • SOS団お掃除大作戦
    部室の扉が大きな音を立てたと同時に、向日葵のような明るい笑顔と怒号に似たよな大きな声が聞こえた。 「みんな!大掃除をするわよ!!!」 部屋に入るなり大声で話し出す人物なんて俺の知る中で一人しかいない。 涼宮ハルヒだ。 それにしても、今日に限っては中々いい案じゃないか。コイツにも少しは並みの人間の思考が 生まれたということか。なんて事を思っているとハルヒは話を続けた。 「1年間お世話になった部室に、感謝の意を込めて皆でピッカピカにするのよ!」 「おいおい、1年間のお世話って大晦日じゃあるまいし、普通に大掃除でいいだろ?」 「何言ってるのよバカキョン!もうすぐ春休みでしょ!?入学してから1年経ったって事じゃない!!」 確かに入学してから1年は経つけど、SOS団を作ったのはG.W明けじゃねーか。 それまではこの部室にはお世話になってねーよ。とは、口に出せない俺はヘタレなのかね? 「...
  • 長門有希の報告 あとがき
    あとがき この作品は、『涼宮ハルヒの憂鬱』の舞台が兵庫県西宮市であることを知った時に着想を得ました。 舞台が西宮ということで、キャラクターの台詞をいわゆる「関西弁」にしたSSはないかと思い、色々とSSを読んでいましたが、単発の雑談ネタで原作の一場面を「関西弁」に訳した例があるくらい。二次創作で「関西弁」を使ったものはありませんでした。 「ないんだったら作ればいいのよ!」とは原作のハルヒの弁ですが、ちょうど担当者は大阪府出身で、兵庫県下にある西宮の近くの街に住んでいた時期もあるし、北口駅のモデルとなった阪急西宮北口駅も行ったことはある。加えて、身近には西宮市出身の友人もいる。条件は揃っていました。 もっとも、後に「関西弁」を使ったSSが皆無な理由を痛感することになりますが。 また、当時職場で大量の文書を校正する必要に迫られていて、校正の練習にもなって趣味と実益を兼ねられるかもと、軽い気...
  • 聖ヴァレンティヌスに乾杯
    「ねえ、バレンタインデーの起源を知ってる?」 ハルヒが実にタイムリーな話題を振ってきたのは、学校中が甘い香りで満たされる日の朝のことだった。 「ん?何だって?」 「だから、バレンタインデーが始まった理由を知ってるかって聞いてるのよ!」 ふっ。聞いた相手が悪かったな。倫理の時間は寝てても、フロイト全集を網羅している俺に聞くとは。 「ローマ時代に殉教した司教を記念して始まったんだろ。戦争好きのバカ皇帝が強い兵士に妻はいらんと言って結婚を禁止する法律を作って、それを破って愛し合う男女を結婚させていたのが我らが聖ヴァレンティヌスだ。けっきょく皇帝にバレて処刑されちまったが、その涙ぐましい偉業を記念してできたのがバレンタインデーってわけだ」 俺が自慢げに知識を披露すると、ハルヒは残念そうなカオの総天然色見本みたいな顔をした。 「なーんだ。つまんない。せっかくキョンの頭を叩きながら教えてあげようと思...
  • 疑惑のファーストキス
    【このSSは「朝比奈さんの妊娠」の続編です】   ハルヒが起こした大騒ぎに巻き込まれ、なぜか婚約させられてしまった俺だが…… 朝比奈さんが俺の兄貴の将来の孫娘だとわかっただけで、日常生活は変わりない。 違いがあるとすると、朝ハルヒの家に迎えに行き一緒に手を繋いで登校し、昼休みにハルヒが作った弁当を一緒に食べ、団活が終わった後、一緒に俺の家に行き、ハルヒが俺と妹の家庭教師をした後、ウチで夕食を食べてから俺が家まで送っていくことになったぐらいだ。 それなのになぜかバカップルと呼ばれる。 非常に心外だ。 さて、相変わらず団活では雑用係としてハルヒにこき使われている俺は、今日も古泉と一緒に買い出しに行かされた。 「このところ、涼宮さんが上機嫌で閉鎖空間も発生せず、非常に助かります」 バイト代が減って生活が苦しいんじゃないのか。 「ご心配なく。  それよりも、涼宮さんを送っていった時に別れ際にす...
  • SOS団プレゼンツ 第一回 涼宮ハルヒ争奪戦 ―二年目の七夕 ―
    俺は今、鋸を担いで鶴屋山を歩いていた。何でかって?本日は7月7日、七夕だ。七夕と言えばハルヒが何を考えているかだいたい想像することができるだろう。 つまり、七夕で使用する笹を切るためだ。…ん?ハルヒ争奪戦はどうなったって?まあ待て、今から順を追って話してやる。ハルヒ争奪戦の話は昨日のことだ。 昨日ハルヒが争奪戦を思いついたあたりから話せばいいかな… …………… 「さて、どんな試練を与えようかしらねぇ・・・」 ハルヒは三方原の戦いで家康を破り京へむかう信玄のような不適な笑みを浮かべながらペンを取って『試練』とやらを考えていた。 「そうねえ、みくるちゃん、古泉君、有希、あなたたちも一つずつ試練を考えてくれる?」 「え?え?試練ですか…?ええと、お買い物とか、お食事の準備とか…」 「僕にも試練内容を考察させていただけるとは、喜ばしい限りです」 「……………」 とまあ、三者三様の受け答えが...
  • ハカセくんと佐々木さんとハルヒの時間平面理論
     私は、いつもどおり研究所の食堂で昼食をとっていた。  この食堂は、某IT企業ばりに職員は無料で食べ放題だ。  私の視界の範囲内には、山盛りのカレーを黙々と食べる長門有希さんの姿があった。彼女は、この研究所付属の図書館の司書だった。      この研究所は、理系から文系までなんでもありの総合研究機関で、出資者にはあの鶴屋家の系列の企業も入っている。  基本的に資金使い放題で研究できるという研究者にとってみれば天国みたいなところだ。文系の私でも費用を気にすることなく資料をかき集められるし、理系の研究者は湯水のごとく資金を投入して実験を繰り返している。スパコンなみのコンピューターも使い放題だ。  それだけの資金の供給源は、所属する研究者たちが生み出した特許だ。特許権の管理事務を研究所で全面的に請け負う代わりに、特許使用料収入は研究所と発明研究者で折半というルールだった。  研究者という人種...
  • 涼宮ハルヒの悲鳴
     真夏のある日のこと。  SOS団の活動もない休日の午後、エアコンの不調により、うだるような暑さに耐えかねた涼宮ハルヒは、涼を求めて酷暑日の街を彷徨っていた。 「涼み処の定番、図書館はやっぱり人でいっぱいだったか……」  街中で配られていた、どこかのマンションの広告が入った団扇で扇ぎながら、街中を歩く。 「そもそもSOS団団長たるあたしが、人と同じ発想で涼を求めててどうすんのよ……」  さすがのハルヒも、この暑さに思考が常人並みに変化していた。 「あぢぃ……」  コンビニエンスストアでは、ごく短時間しか留まれない。北口駅前のショッピングセンターでは、時間は潰せるが座る場所がない。 「あ゛~……もうこうなったら、環状線にでも乗りに行くか!?」  その路線は最寄りの駅からさほど遠くはないにしても、別に鉄ちゃんではないハルヒにとって、ただ列車に乗っているだけという行為は、到底耐えられる代物ではな...
  • lost my .....
    放課後になる。 いつもの通り私は文芸部部室へ向かう。 今日は監視対象である涼宮ハルヒに用事で来れないと言われた。 私はそれを残りの団員に伝えなければならない。 それまでは部屋に留まる必要がある。   「・・・・・・・」 ペラッ   ただページをめくる乾いた音だけが響く。 そろそろ来る頃合だろうか、と考えているうちに足音、そしてノックの音がした。 古泉・朝比奈が2人で談笑しながらこの部屋に到着した。   「こんにちは、長門さん。涼宮さんはまだですか?」 「今日は来ない。」 「おや、そうなんですか。実は僕も涼宮さんに渡す予定のモノを忘れてしまいましてね。 明日改めることにさせていただきますか。それでは。」  「えっと・・・私は・・・」 「帰っても構わない。私はこの事を伝える為にここにいる。」 「そ、そうですか・・・それじゃあまた明日会いましょうね。」   そう言いつつ、お茶を一杯だけ入れて私の...
  • 普通短編28
    「すまん」 俺はピストル型装置を構えた。長門が体を凍り付かせる。 「キョンくん!危な……!きゃあっ!!」 朝比奈さんの叫び声と同時に、俺の背中に誰かがぶつかってきた。 どん、という衝撃が体を揺らす。       「アッーーーーーーー!!!」             キョン「なぁ古泉?」 古泉「なんでしょう?」 キョン「お前友達から死ねって言われたことあるか?」 古泉「………いえ、ありませんが」 キョン「じゃ死ね」 古泉「え………」 キョン「やっぱ死ぬな」 古泉「え…?」 キョン「お前が死んだら悲しいもんな」 古泉「キョン君…」         キョン「なぁ古泉?」 古泉「なんでしょう?」 キョン「なんできつねうどんって油揚げが入ってるんだ?」 古泉「はい?」 キョン「いや、問題はそこじゃないな。なぜきつねが入っていないのにきつねうどんって言うんだ?」 古泉「それは……すみません、僕には...
  • 星に願いを 
    キョン「綺麗な星空だな…。」 古泉「ええ…。」 視界に広がる星空。広大な宇宙を感じさせる光景だ。 人は大人になるにつれて夜空を見上げる時間は減る。 こんなに夜空を眺めるのは何年ぶりだろうか。 今、俺と古泉は2人で星空を見つめている。 …状況がわからない? OK。 では今日の出来事を振り返ってみよう。 …。 ~部室~ キョン「悪い。今日はもう帰るわ。」 古泉とのオセロの一戦に勝利した後そう切り出した。 古泉「え、もうですか?まだ部室に来て30分ぐらいしかたってませんよ。」 ハルヒ「なんで?何か用事でもあんの?。」 キョン「ああ、今日明日親が旅行に行ってて居ないからな。」 みくる「そうなんですか。妹さんを一人にするの可哀想ですもんね。」 ハルヒ「ん~。」 キョン「んならそゆ事で。」 ハルヒ「待って。」 キョン「ん?」 ハルヒ「…明日は土曜で休みよね…んで親は居ない…。」 嫌な予感が走った…...
  • 第三章 急進派の逆襲
    長門ふたり   第3章 急進派の逆襲   次の日、僕はずきずき痛む頭をかかえて坂道を登っていた。 あのあと、彼に呼び出され「なぐらせろ」というので 「どうぞ」というと思いっきり頭を殴られた。いや、 彼は暴力なんてふるわないタイプだと思っていたが、 よほど腹にすえかねたんだろうな。 今回は僕にも責任があるから殴られてもしかたない。 それにしてももうちょっと加減してくれてもよさそうなもんだが。   学校に着くとまっすぐ教室に向かった。なんだか、だんだん、 どうでも良くなって来た。長門さんは二人いっしょのところを 目撃されないようにそれなりに気は使っているみたいだし、 彼が二人になる破目になったのももともとは、僕が なんとか長門さんが二人ともこの時空にいるという状態を 無理矢理解消しようとしたせいだ。要するに長門さんが 二人でいっしょにいるところを第三者に目撃されなければ いいわけだし、最悪、目...
  • 下衆谷口 ~下衆ミステリー 解答編~
     (※出題編のつづきです)     谷口「犯人は、この中にいる!」 キョン「な、なんだって!? それは本当か!?」 ハルヒ「な、なに言ってるのよ! バカ言わないで!」 鶴屋「まあまあ二人とも。ああ言ってるんだから、谷口くんのご高説を聞いてあげようじゃないの」   谷口「この事件の犯人は!」   みくる「私を殴った犯人は……!?」   谷口「………」   谷口「誰だっけ?」   長門「………」 キョン「………」 ハルヒ「………」 みくる「………」   ハルヒ「やるか」 キョン「やっちまうか」     ~~~~~     古泉「なるほど。昨日、僕が神人退治のため早々に学校を出た後、そのようなことが」 古泉「それで朝比奈さんは今朝から、浮かない顔をしておられるのですね」 キョン「ああ。あんなことがあった後だし。それに、まだ記憶も戻っていないようだしな」 古泉「いえ。僕の推理が正しければ、朝比...
  • やすらぎ
    《キョン、すぐに音楽室に移動しなさい》 ……なんだこれは。俺が遅れてきて部室に入ると誰もおらずに、こんなことを書かれた紙だけが置かれていた。 やれやれ、今度は何をしやがるってんだ。 俺は部室を出て、急いで音楽室へと向かった。……吹奏楽の連中はいないだろうな? 今は何故か吹奏楽の連中がかき鳴らす楽器の音が聞こえない。代わりに誰かが弾くピアノの優しい旋律が学校にこだましていた。 俺はその心地よい旋律に誘われるように音楽室へと向かい、ドアを開いた。 「………ハルヒ?」 ドアを開けると、座ってピアノを聞いている吹奏楽の連中、古泉、長門、朝比奈さん。……そして、ピアノを弾いていたのはハルヒだった。 俺は古泉の横に座り小声で尋ねた。 「おい、これは何事だ」 やはりいつものムカつくスマイルを浮かべて返事が返ってくる。 「見ての通りです。涼宮さんがピアノを弾いていらっしゃるのですよ」 俺はチラッと長門と朝...
  • お弁当
    直列ネタ、ネタバレ注意  しんと静まり返ったマンションの一室。必要最低限の家具だけが置かれた部屋は酷く殺風景だ。  その家具ですら使われた形跡は無く、人の住んでいる気配を感じさせなかった。  部屋の中央には小柄な少女が一人。正座をしたままぴくりとも動かない身体は、精巧な人形のようだ。  それは長い長い夏休みが終わり、少女――長門有希が膨大な量となった記憶を整理している最中だった。  情報の取捨選択。溜まりに溜まった記憶の中の、不必要と判断された情報を隔離していく。  とある夏の記録に差し掛かると、滞りなく行われていた作業が急に止まった。  その夏はとびきりのイレギュラーで、他のシークエンスでは見られなかった様々な出来事が起こった。  希少なケースではあったが今となっては重要性は限りなく低い。特別、記憶しておかなければならない事象は何も無い。  学校での合宿。七不思議探し。それを記憶してい...
  • 遠距離恋愛 第十章 護衛
    第十章 護衛   新しい学校は家から歩いて15分ほどの所にある公立の中高一貫校で、まだ設立してから10年経っていない という話だ。新設立の学校には良くある話らしいが、まだ学校の評価が定まっていないためか、在校している 生徒の質は玉石混合、超難関の学校に挑戦できるような優秀な学業成績を納める奴もいれば、そうでない奴もいるとのこと。 俺と妹はこの学校に馴染めるだろうか。俺はともかく、妹は卒業まで6年間通う学校だから、うまくやって欲しいものだ。   俺たちは今、近所にある全国チェーンのショッピングセンターにいる。俺と妹の制服を買うためだ。 ショッピングセンター内の制服売り場には、近隣の学校の制服がきらびやかに並べられていた。   「あ~~、これだよ、これ!この制服!」   学校側に指定された制服は、男子女子共にブレザータイプで中高共通というものだ。男子の方は北高の制服によく似ている。つか、胸ポケ...
  • 第四章「気まぐれな切り札」
    もくじ及び注意事項   …ここから先を未来とすれば、観測を続ける理由になるの?   …もし許されるのならば、一口乗ってみてもいい。   …この朝にはうんざりしてしまった。       正直疲れました。   いや楽しいんですよ?   自分としても数年間遊べ無かった分を楽しませてもらったというか。   花火を終えたあと、長門さんを除く4人でぐったりしていると   「さすがに遊び疲れたわね…よし、明日1日は休憩して、明後日からまた集合しましょう!」   ということになりました。   まぁ機関の方で召集がかかるかもしれないですがね…                       …今日1日だけ着信拒否にしてみましょうか… …いや、森さんに殺されますね。   でも今日1日は寝て過ごしてみたい…               ピリリリリリリリリ   うわっ!!携帯が鳴りだした!! え?何?監視カメラ...
  • こいずみくん一斉大売り尽くし
     朝というのは多くの人にとって一日の始まりであり、窓から降りそそぐ日光と共に今日という日へにこやかなる挨拶を告げる時でもある。  俺は寝起きが良くも悪くもないが、大抵置きぬけ三十分くらいは頭がぼんやりしている。  そんなわけでその日もゆるゆると目を覚ましたのだが、何か違和感があった。 「朝だよー、おーきーてっ! キョンくんっ!」  これは妹の発言……のはずだが、何かが決定的におかしかった。  あからさまに声が違う。小学五年生十歳、それがわが『妹』のステータスだったはずで、つまり第三者的に見て女の子の声がしなければおかしい。  が、聞こえる声は明らかに男のもので、それも少年ではなくもう少しだけ成長した、まぁカテゴリで言えば少年になっちまうのかも知れないが、少なくとも声変わりしてることだけは間違いない。  しかも、まだ胡乱な俺の頭を頼ればの話だが、聞き覚えがある。つうか毎日聴いてる。 「もー...
  • 情報統合思念体の焦燥
    プロローグ 春。 もうあれから1年がたったと思うと時が過ぎるのは早いと実感するね。 「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」 あれから、SOS団結成や、世界消滅の危機、過去に行ったり夏がループしてたり 挙句の果てには、世界改変に巻き込まれたりと思いだせばキリがないほど、巻き込まれたものだ。 なんだかんだいって結局は楽しんでいるんだがな。 だが、さすがに、少しは休みたいときもあるんだ。と、いうより休まないと体が持たん。 この、俺の願望をかなえてくれる最適な週間が来ている。 春休みだ。 そして、俺は家で羽を伸ばしているはずなのだが・・・ なぜ、俺はこんなハイキングコースを歩いてしまうんだろう。 習慣というものは恐ろしいね。 などと考えているといつの間にか文芸部部室の前に立っていた。 1年も山登りをすると、足...
  • キョンにゃん、或いはネコキョンの可能性
             退・屈。  そうとしか形容の仕様が無い一日も、もう半分が過ぎている。無意識的に口を尖らせていたのに、今更気がついた。  今は昼の休憩時間、いつもであれば直ぐに学食へ行って今頃あたしのお気に入りのメニューの半分が胃と言う名の一つの消化機関い収容されている頃だけど、今日に限って財布を忘れたらしく、それに気がついたのは食券を買おうとしているところ。勿論、お腹も空いてたからその辺の適当なヤツから借りようかとも思ったけど、ふと良い事を思いついた。  丁度良い口実があるのだから、目の前の席に座っているあたしの部下、キョンの弁当でも貰ってやろう。  確かキョンの食事のペースはあたしに比べて遅いはず。それに、今日のキョンは調子が悪そうだった。あたしが話しかけたり背中を触ったりすると異様にビクッて反応してたり、日直だったあいつの頭にチョークの粉がのってたから払った時、顔が凄く赤かっ...
  • 佐々木さんの憂鬱
     その風景は、俺の出身中学校の校庭だった。  ただし、見渡す限り360度がセピア色で染まっている点で、現実のものではないとすぐに分かった。 「私の世界へようこそ」  俺の目の前には、佐々木がいた。  なぜか、いつもの口調とは違う女口調だ。 「せっかくのご招待だが、モノトーンの空間にはいい思い出がないんでね。さっさと帰りたいんだが」 「相変わらず、つれないわね。帰り方については、橘さんや周防さんから、ヒントをもらってないかしら?」  俺は、忌々しい二人のセリフを思い出した。  白雪姫。  sleeping bueaty。  ふざけるな!  俺の感情がそう主張する。  これには、俺の理性も満場一致で賛同していた。 「断る」  佐々木の表情が曇る。 「そんなに嫌なの?」 「好きでもない女にするもんじゃないだろ、そんなことは」 「私のことが嫌い?」 「嫌いってわけでもねぇよ。た...
  • 寡黙大騒動
    二月十四日、バレンタインデー。 自分は絶対もらえないと思いつつ、心のどこかで淡い期待を持ってしまうこの日。 去年の掘り出しイベントのような重労働は今年はやらないらしく、代わりに何故か団活は中止となり、 俺はハルヒ・朝比奈さん・長門それぞれから違う方法でチョコを渡された。いずれも手作りだ。 今は自分の部屋でそれらを感動の涙を目に浮かべながら賞味しているところだ。 その時――― ―――♪―――♪♪ 携帯の着信音が鳴った。電話か? 着信表示を見ると「涼宮ハルヒ」からだった。 期待に違わず、寧ろそれを見事に上回るチョコの味に対する賞賛の言葉を考えながら通話ボタンを押し、 「もしもし。ハルヒか?チョコありがとな、最高に美味かった」 当然返ってくるであろう大音量のハルヒボイスに備え携帯を少し耳から話すと、 「……そう」 …返ってきたのは確かにハルヒの声ではあった。 しかし、その返事は明らかに...
  • 無限の分岐
      (これはアンリミテッドブレイドワークスの話の一つです)         「キョン!」 ガラリ、と大きな音を立ててあたしは病室のドアを開いた。 病室にはみくるちゃん、有希、古泉君、そしてベッドに寝ているキョンがいた。 「あ、涼宮さん…」 「………」 「…どうも」 三者三様のあいさつ。でも、あたしにはキョンしか見てなかった。 …良かった。生きてる。機械は定期的にピッ、ピッ、と音を発している。 「キョン!!」 キョンの肩をゆする。それに合わせて首がガクンガクン、と揺れた。 「…キョン…?」 …何だろう、この感覚。嫌な予感、みたいな。 その予感を確信にするように、よく見ればキョンは死んだように眠っていた。 …死んでない。 …でも、生きてない。 「…涼宮さん、彼は今、植物人間の状態に陥っています」 「……植物人間?」 「ええ、つまり」 そこまで言った古泉君の胸倉を掴んだ。古泉君の背は高くて、少し...
  • SOS団の無職7
    前回のあらすじ  キョンは己の弱さに打ち勝ち、ついに実家へ帰る決意をかためました。これも長門と妹のおかげです。  家にこもって悶々と悩んでいても見出せなかったある種の答えが、キョンには見えたような気がしました。気のせいかもしれませんが。  キョンが家に帰ってからしばらくの間は、いつもと何の変化もない平和な時が続くのでした。     ~~~~~     「わっ!」  俺は思わず声をあげ、一口で頬張ったギョウザを吐き出した。 「わっ! わっ! わっ!」  ばたばたと洗面所の前まで走って行き、汗ばんだ手で蛇口をひねるとコップを使うのももどかしく、蛇口に口をつけてガブガブと水を口にふくんだ。  口端から唾液をもらいながらうがいをし、ベッと口をゆすいだ水を吐き出す。冷たい水道水と一緒に、細かくちぎれたギョウザの具が洗面所の底へ消えていく。 「どうしよう! どうしよう!」  うがいをしても口の...
  • 涼宮ハルヒのダメ、ゼッタイ 六章
    六章 無音…暗闇。まあ、真っ暗なのは俺が目をつぶっているからに他ならないのだが。 かすかに手術中と書かれた扉の向こう側から聞こえて来る三つの電子音だけが、あいつらが生きている事を俺に教えてくれる。 他にも医者や看護士が駆け回る音やカチャッという金属と金属がぶつかりあったような音が聞こえているようだが、 今や俺の聴覚は三つの電子音を拾うのが精一杯のようだ。病院の待ち合い席に俺はいる。 両の手を祈るように組み合わせ、それは俯いた額を支えていた。 相手はトラックらしい。正面衝突は避けられたようだが、そのせいで相手は依然、逃亡中だ。 「ね、ねぇ…キョン…」 おや、ハルヒの声がする。ハルヒが近くにいるようだ。そういえばこいつは俺と一緒に電話に立ち会ったんだっけ。 「今は…そっとしておくべきかと…」 忌々しいことに古泉もいるようだ。この分だと朝比奈さんと長門もいるのかもな。 はは、全然気付かな...
  • 会心の一手
    力を入れると意外なことにあっさりと部室の扉が開いた。 今日は彼女から部活は休みだと聞かされていたので、当然ながら鍵が掛かっていると思っていたのだ。 現に僕は鍵を持っている。にも関わらず鍵は開いていた。ということは、 「長門さん、あなたも来ていたんですか」 「そう」 当然だと言わんばかりに彼女はそう告げた。いつものように窓側の席で本に視線を向けている。 それは誰かが描いた幻想の世界のようだ。それくらい、その風景は絵になっていた。 僕はその風景を壊さぬように慎重に席に着く。それと同時にふと疑問に思っていたことを口にした。 「そういえば、今日はなぜ活動が休みになったのでしょうか。涼宮さんはいつものように一方的でしたから、 原因を聞いていないんですよ。長門さんは聞きましたか?」 そう尋ねると彼女はそのままの姿勢で答えた。 「わたしも原因は聞いていない。ただ、推測は可能」 「と、言うと?」 「今日は...
  • サムナンビュリズム中編1
    「くそ! 何だってんだよちくしょう!」 俺は雨の中叫んでいた。 こうでもしなけりゃ気が変になりそうだったからな。 「ああもう訳が分からん!」 時折盛大に愚痴を叫びながら雨の中自転車を全速力でこぐ俺は端から見たら変態なんだろうね。 俺だってそう思うさ……と、赤信号だ。 信号を待ちながら俯いていると目の前に車の止まる気配がした。   ……。   俺が俯いたままでいると、その車の後部ドアが開き車の中から、 「乗ってください。早く」 と、声をかけられた。 やっぱりね、見なくてもわかる。顔をあげると見慣れた車があるはずだ。 案の定、そこには古泉御用達の黒塗りタクシーがあった。 雨に打たれるのにももう飽き飽きしていたので、俺は素直に車に乗ることにした。 自転車は一応鍵もかけたし再会の約束もしたから、何とかなるだろう。   「どうも、お久しぶりです。森さんも新川さんも元気そうですね」 「……」 新川さん...
  • 涼宮ハルヒの恋敵
    ◆0  夢と希望に充ちあふれて始まったような気がしないでもない高校生活一か月目にして涼宮ハルヒと関わりを持ってしまってからというもの俺の人生はちょっとしたスペクタクルとでも言うべき出来事の連続ではあるが、しかし上には上が下には下がいる、と昔から言うように俺以上に意味のわからない存在に振り回されて恐ろしく充実した人生を送っているやつというのも世の中には確かに存在する。  今回はハルヒと俺と、そんな一人の男子生徒にまつわる、不幸とも幸福ともいえないような騒動の話だ。  ……え? 誰だ、だって? やれやれ、言わなくてもわかるだろう。  いつだって騒動のきっかけはハルヒであり、そしてハルヒに巻き込まれた俺以外の男子といえば、あいつしかいないじゃないか。いや、谷口ではない――古泉一樹。赤玉変態型超能力者、である。 ◆1 「キョンくん、ちょっとお願いされてほしいことがあるのね」  と、同じクラ...
  • Different World's Inhabitants YUKI~スイヨウビ(その三)~
          どこだ、ここは・・・・・・ 俺は今、学校の校庭の真ん中に立っている。 ここは確か・・・そうだ、東中だ。ハルヒの母校。谷口もそうだったな。 てか、何故俺はこんな所にいるんだ? 俺は思わず辺りを見回す。   空は明るいのだが、靄がかかっている。そこには太陽も月も姿を見せていない。全くの『白』。何も書いていない画用紙のような人工的な白さだ。 周りからは何の音も聞こえてこない。木々のざわめきも、小鳥の囀りも。風すら吹いていない。ここは本当に地球なんだろうか。俺はどこか異次元空間に飛ばされたのではないのか、そう思えるくらい、周りからは生気のようなもの全くが感じ取れなかった。人も誰もいない。校舎の中にもだ。 どうなってんだ。 俺の思考が暴走を始めそうになった時、突然、後ろから人が近づいてくる気配を感じた。   「ジョン!!」   その声に振り返る。 そこにはハルヒが立っていた。光陽園学院...
  • 藤原くんの溜息
    ※周防九曜の溜息の続編っぽい話です      三年前の今頃。木枯らし吹き荒ぶ寒の候、暦の上の春とははやり旧暦に則った季節であると感じた二月の上旬。 三保の松原に降り立った天女の如き麗姿なお方が、あろうことか双子になるという至福且つ至高を感じ、しかし同時に発生した不謹慎且つ憤懣な事件によって地獄の底に突き落とされるという表裏一体の出来事があった。 言うまでもない。波瀾に満ち溢れた俺の高校生活の中でも三指に入るほど腹立たしいであろう彼の事件、『朝比奈みちる誘拐事件』である。 羽衣だけならばともかく本人そのものを奪い取るあの所業には、流石の俺も怒ゲージMAX230パーセントを32個分くらい溜め込んでもなお余りあるほどの怒りが込み上げてきたってもんだ。 その後も時々夢に出ては胸糞悪い目覚めで幾度となく学校をサボろうと何度思ったことか。もちろん、実際にはサボってなどないがな……。 と、それはと...
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