涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki内検索 / 「二人きりと匂うは紅茶 「夏のアイスのように」」で検索した結果

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  • 二人きりと匂うは紅茶 「夏のアイスのように」
    ...またね~」     二人きりと匂うは紅茶  第二話「夏のアイスのように」     「キョンくん、家に寄りませんか?」 夏休み中。 いつものメンバーに谷口やら阪中やらを加えて大人数となったSOS団の夏の不思議大捜査の終わった後。 夕暮れの帰り道で俺は朝比奈さんに誘われた。 「え?」 珍しい。いつもは俺の家でお茶などをするのに。 そんなわけで驚いて声を上げてしまった。   「あ、ハーゲンダッツのバニラを大量に鶴屋さんに頂いたんですよ。それを一緒に食べようと思って」 俺の反応に気付いて説明して下さったおかげで納得した。 「あぁ、なるほど。喜んでよらせてもらいます」 まぁ、マイ・スウィート・エンジェルに対して断る事なんて出来ませんがね。 ・・・でもなんで大量のバニラ? バニラ限定? ん~どうしてだ。わっけわかめだな~・・・。 おっと、わかめと言っても生徒会の人じゃないぞ?   ・・・・・・。...
  • 二人きりと匂うは紅茶
    二人きりと匂うは紅茶 序章「MとK~Melty Kiss~」 第二話「雨の日には訪ねてお茶を」 「夏のアイスのように」
  • 長編・朝比奈みくる
    ...祈るあの人との日常 二人きりと匂うは紅茶 未来からのエージェント 未来恋物語~一時の温もり~ お幸せに 未来のお姫様 pure heart 朝比奈みくるの未来 たのしいお買い物  マタ逢ウ日マデ 朝比奈みくるの一人身万歳! 朝比奈みくるの仲裁(らき☆すたパロ要素あり) 涼宮サスペンス劇場~メイドさんは見た~ 朝比奈みくる時空を超えた戦い お姉さんなのです。 朝比奈みくるの総当り戦! 朝比奈みくるのドッキリ大作戦! 朝比奈みくるのレズレズ大作戦! 未来からのメッセージ 未来へのメッセージ 書き初め 運命と選択 『未来を紡ぐ絆』の歌 朝比奈みくるの逃避行*バッドエンド注意 ~みちる再び~ 神と神 (グロ描写注意) 朝比奈みくるのなんちゃって時間解釈 朝比奈みくるの挑戦 朝比奈みくるのブラックコーヒー(キャラ崩壊、パロディ、メタネタ過多注意) 朝比奈みくるのゴーヤチャンプルー(キャラ崩壊、...
  • 二人きりと匂うは紅茶 第二話「雨の日には訪ねてお茶を」
    ザー。 「・・・」 雨の日は憂鬱になる。理由は空が重いから、というわけではない。 いつもいつも大変で疲れる不思議探索は無いが、だからこそ憂鬱なんだ。 マイ・スウィート・エンジェルの朝比奈さんに出会えないからな。 家の窓から外を眺めても、雨は止まない。そりゃそうだ。 妹が隣でせっせと照る照る坊主を作っているが、それが効くかも解らないんだからな。 まぁ、願うなら効き目抜群のを妹が作ってくれる事を祈るさ。 そう思わずにはいられない。 だが、どうしても某魔法陣漫画に出てくる褌穿いた風の精霊にしか見えないんだが。 あれは角があってこれは角は無いけど。 まぁ、効き目があればそれで良いんだ。俺としてはね。 だって、晴れたら会いに行けるからな。 ―――ピンポーン。 そんな事を考えていると、玄関で呼び鈴が鳴った。 「キョンくん、出てー。私、照る照る坊主さん作りで大変だから」 そんなん打ち切れ。 って言っ...
  • 二人きりと匂うは紅茶 序章「MとK~Melty Kiss~」
    いつも通りのSOS団室。居るのは俺と大好きな朝比奈さんの二人だけ。あとは紅茶の甘い香りが漂う。 「いつもながら美味しいです」 この時間が俺は一番好きだ。朝比奈さんと二人きりだから。いつか帰ってしまう大好きな人となるべく長い時間一緒に居たいから。 「ありがとうございます。あ、そうだ。えっとぉ・・・はい、遅れたけど」 朝比奈さんが鞄から包みを取り出す。女の子らしい可愛い包装紙にくるまれたそれ。 「チョコですか?」 「はい、手作りなんですよ」 「食べても良いですか?」 「はい」 俺は包装紙を丁寧に剥がした。中から可愛らしい箱が現れる。 朝比奈さんを見ると、凄く緊張したように、かつ恥ずかしそうに顔を赤くしてこちらを見ていた。 開けると、ハート型のチョコにホワイトチョコで「キョンくん大好き」と書かれていた。 「えっとぉ・・・そのぉ・・・」 「とりあえず、まずチョコを頂きます」 パクッと口に入れる。甘...
  • 【罪と罰】 第2話
    ”あの日”以来、何かが変わったかと言えばそうでもなかった。もちろん、変わらなかったと言えば間違いになるのだが…。  ハルヒたちの手前、俺たちの関係を公言する訳にもいかず、といっても俺も有希も別に公言することもないと思っている。  …でも、いつかはこのことを話さなければならない日が来るだろう。その時、多分一番傷つくのはハルヒ。  自惚れに聞こえるかもしれないが、決してそうじゃない。…俺だってハルヒの気持ちくらい、いい加減に気付いてる。  あの時有希が言った言葉の意味も。  だけど、その上で俺は有希を選んだんだ。  …このことを知ったら、やはりハルヒは世界を改変してしまうのだろうか。有希が、そして俺が一番恐れているのは…そのことだった。  俺が恐れているのは、俺の有希との記憶が、有希への想いが、全て消し去られてしまうこと。  だけど…そうなった時、一番苦しむのは有希だ。  俺が有希への想いを忘...
  • 古泉一樹の誤算 プロローグ
      プロローグ     そろそろ本格的な夏がはじまりそうな七月中旬の、政府推進の省エネ週間なんかがはじまりそうな憂鬱な月曜日の出勤。 「あっついわねー。キョン、この地球温暖化なんとかなんないの」 「肺から二酸化炭素を出してるお前に言われても困る」 「ったく、寒いギャグのひとつでも言いなさいよ」 「……隣家の小規模和風庭園に、高さ二メートル幅五メートルの密集型低木の境界線が施工された模様」 「なによそれ」 「……へー、かっこいい」 「有希、それって寒いというより永久凍土で化石になりそうな勢いね」 長門の込み入った回りくどい古典的ダジャレに俺とハルヒは冷や汗を垂らした。長門は汗ひとつかかないからいいよな。   「皆様おはようございます。職場のプリンス、古泉一樹です」 「なんだその寒い登場の仕方は」 古泉はどっかのファーストフードの店員が着るようなパステルグリーンのストライプの制服を着ている...
  • 教科書文通7
    「クリームあんみつ。」  甘味屋の店員がしずと運んできたガラスの器の中にきらめく小豆の赤と、白玉とアイスクリームの白、彩の抹茶の緑にフルーツの暖色。  長門さんの視線が、先ほどまでべらべらとあんみつの歴史なんぞを長引かせていた僕からこの食べられる宝石箱に移ったのは言うまでもない。 彼女の瞳がガラスの中のあんみつ同様、キラキラとしている。 あんみつを発明した二代目森半次郎に感謝だ。   彼はあんみつを特許申請せず、どの甘味屋でもその味を提供できるようにしたというが、 僕は彼ほど欲のない人間ではないので、あんみつに輝く長門さんの瞳を見る権利に特許を申請したい。 「はい。 これが、クリームあんみつです。   これは抹茶と白玉も乗っているので、宇治白玉クリームあんみつですね。  どうぞ、お召し上がり下さい。」 「お召し上がり、下さいとは不可解。 結局上がるの? 下がるの?」  そこで揚げ...
  • 神様とサンタクロース
       赤や緑や白色が町中を飾り付け、クリスマス定番の賛美歌が何処からともなく響いてくる、何となく楽しい気分になるそんな季節。偶然、二人きりになった学校の帰り道に、あたしは歩きながら何気なくキョンに聞いてみた。   「ねえキョン。あんた神様っていると思う?」 「野球の神様とか、サッカーの神様とか言われる人なら居るだろ」    と、いつものようにとぼけた風にキョンは答える。   「あたしが聞いているのはそんな例えられた神様じゃなくて、この世界を造った創造主とか何でも願い事を叶えてくれる全知全能の神とか、そんなの神様の事よ。あんたはいると思う?いないと思う?」    きっとキョンは「居るわけ無いだろ」なんて答えると思ったのに珍しく考え込んでいるような素振りを見せた後、少し間があってポツリと漏らすように言った。   「お前がいると思うなら、居るんじゃないのか?」 「何でそう思うわけ?理由も答え...
  • 長門とアイス
    「今回は、わたしと、みくるちゃんと、古泉君ね。 キョン、分かってると思うけど、暑いからってサボっちゃダメよ? これは不思議探しなんだからね!」   時は、期末テストも終わり、あとは夏休みを待つだけとなった1学期の終わり。 俺たちは、例によって例のごとく、朝の喫茶店で不思議探しのメンバーを決めるくじを引いたところだ。 今回は、俺は長門とのペアだ。   喫茶店を出て、ハルヒたちとは別行動を取る。   「さて、長門…どこか、行きたい所とかはあるか?」   長門は、ゆっくりと視線を俺に向ける。 その首が、左右に僅かに振れる。否定を示すジェスチャー。   「とくにない」   ふむ、と俺は考えを巡らせる。 前に長門と組んだときは、図書館に行ったんだったな。 あの時は、本棚の前で本を広げ、時間になっても全く動こうとしなかった。 とくにない、とは言ったが、こいつはやっぱり図書館に行きたいんじゃないだろうか...
  • 壊れたパズル
    小春日和の一日が終わり、校舎の影がこの部室の一番奥まで届いています。 彼岸花のように燃える夕日がとても綺麗な、秋の夕暮れ。 私は一人この部室に佇んで、彼がやってくるのを待ち続けています。 今日も彼は、影をもとめて、この学校内をさまよい続け、 傷ついた小鳥が巣に帰るように、最後にこの部室へとやって来るのです。 そして、ひび割れたガラス細工が壊れないようそっと彼を包み込み、 彼を見守るのが今の私の役目。 廊下から響く足音が私に、彼の帰りを知らせます。 願わくば、いつも通りの彼でありますように―― コンコンと短く響くドアの音。 よかった……いつもの彼のみたいです…… 「はぁいどうぞ」 ドアを開ける彼。いつもの微笑みを私に見せてくれました。 「あ、あれ?朝比奈さんだけですか?長門と古泉は?」 「ええ、長門さんと古泉君はもう先に帰っちゃいました。私だけじゃ不満でしたか?」 ...
  • 涼宮ハルヒと佐々木の無題
     とある喫茶店。  女二人が向かい合って座っている。   「悪いけれども、今日は、男性を相手にするときと同じ口調で話させてもらうよ。そうしないと、平静を維持できそうにもない。僕は、涼宮さんとは違って、強い人間ではないのでね」  佐々木の発言に、涼宮ハルヒは黙ってうなずいた。 「では、何から話そうか?」 「キョンのこと、どう思ってる?」  涼宮ハルヒの単刀直入な質問に、佐々木はあっさり答えた。 「好きだった。……うん、そう、過去形だよ。いや、現在進行形の部分が全くないといえば嘘にはなるだろうけど、もう、諦めはついている」 「なんで? フラれたわけでもないのに」 「告白すればフラれるのは明らかだ。キョンに異性間の友情という命題について肯定的な確信を抱かせてしまったのは、僕だからね。自業自得というやつさ。キョンにとって、僕は友人以外ではありえない」 「友情が恋愛感情に変わることだって……」 ...
  • ゆずれない
    「有希とキョンと一緒か……なかなかない組み合わせよね」 くそう、古泉の奴め。朝比奈さんと二人きりとは実に羨ましい。 こっちは宇宙人とトンデモ団長との三人旅だってのに。 「さ、行くわよ!二人とも早くするっ!」 俺はとりあえず会計を済ませ、先を歩く二人の背中を追いかけた。 「どっちに行こうかしら。西側?それとも東側?二人ともどっちがいい?」 どうせどっちに行っても何も見つかりゃしないんだ。楽な道が多い方を選ぶか。 そう思って俺が口を開こうとした時だった。 意外な人物がハルヒを怒らすような台詞を吐いたのだ。 「図書館」 長門よ……頼むからゴタゴタだけはやめてくれ。 「ほほーう、有希。あんたいい度胸してるじゃない。図書館にどんな不思議があるのか今すぐ言いなさい」 ハルヒは少し怒っているようだ。そういえばハルヒが長門に怒ることは珍しいな。 「不思議はない。だけど読書で知識を得ることと、心の平穏を得る...
  • すき焼きミッドナイト
      夏には冷たいものを、冬には温かいものをと古泉一樹は言ったが、ならば夏にすき焼きというのは 矛盾するのではないか。そんな疑念も生まれることだろうが、物語の進行上、それは些細な疑問に過ぎず どうでもいいことなので、胸の中に閉まって墓場まで持って行って頂きたい。 という投げやりなカンペがどこからともなく現れたので、声に出して読んでみた。 「有希、何ぶつぶつ言ってるの?」 「なんでも」 買出しに行って戻ってきた古泉一樹を彼らはニヤニヤ顔で向かえ、生暖かい視線で私と彼を見比べたあと、 その夜、すき焼きパーティが開かれた。 「どう?涼宮ハルヒ特製すき焼きのタレのお味は」 「とってもおいしいです~夏の暑さも吹っ飛びますね」 「流石は涼宮さんですね。最高です」 「…美味」 彼女は満足そうに頷いた。 「ちょっとキョン、食べてばっかないで感想くらい言いなさいよ」 「ん?ああすまん。あまりに旨くて忘れてた...
  • 長門有希の正夢
    「……」   わたしは紅い夕日の差し込む教室で本を探している。 彼に買って貰った大事な本なのに、無い。 なぜ?わたしは鞄の中にしまっておいたはず。   ドアが開く。   わたしの目に映ったのは彼。 いつものように優しい口調で話し掛けてくる。   「長門、まだこんなところに居たのか」 「……ない」 「何がないんだ?」 「あなたに買って貰った本……」 「無くしたのか?」 「……ごめんなさい」 「お前……大切にするって言ってたのに」 「ごめんなさい」 「長門なんてもう知らん、別れよう」 「そんな……」   彼の後ろには涼宮ハルヒが見える。 そしてわたしの彼に抱きつく。   「今日からキョンはあたしのものよ」 「こらこら、俺は物じゃねぇぞ」   なぜ彼は涼宮ハルヒと仲良くしている? わたしとの関係は……もう……。   光が窓辺から差し込む。 ……朝……今のは……夢……? そう、夢。 もう一度よ...
  • 鶴屋少女の孤独 SIDE.B.「畏怖」
    恐れるもの   怖れるもの   自らを蝕む自らの鎖   誰しもが持ち、誰しもが嫌うもの   そしてそれゆえに、決して逃れられないもの              - 鶴屋少女の孤独 Side.B -   ……… …… …   静かに繋がれる手   二人で歩く夕焼けの道 互いに何も話さない 話さなくても、わかっている 俯いたまま、いつもと違う鶴屋さん   今更ながら恥ずかしくなってきた だけど、その手を離すことはできなかった 鶴屋さんが俯いててよかった 多分今俺の顔は真っ赤だろうから   「鶴屋さん、つきましたよ」   無情にも、時間は過ぎていった 昨日もここで別れた もうすぐ鶴屋邸だ 俺はその事実を俯いたままの鶴屋さんに告げる   残酷だろうか? そんなわけない 明日になったら皆と会える   だけど、鶴屋さんは手を離さずにじっと俯いたままだ むしろ、俺が声をかけたことにより...
  • 平穏な冬の日
     コンコン。  いつものようにノックをする。 「どうぞ」  その返答を受けて、俺は文芸部室に入った。  1年先輩の喜緑さんが、メイド服を着ていつもの定位置で分厚い本を読んでいた。表紙の文字を見ても、何語なのかすら分からない。  ふと視線を移せば、これまたいつもの位置に古泉が座っていた。既に碁盤を広げて、やる気満々である。  しょうがない。相手してやるか。  俺と古泉が碁石を打ち合っているところに、喜緑さんが紅茶を持ってきてくれた。  俺と古泉が礼を述べると、彼女は穏やかな笑みを返してくれた。  さっそく一口。彼女が淹れる紅茶は、その辺の喫茶店の紅茶なんかよりはるかにうまい。  まったりと、時間が流れていく。  しかし、そんな穏やかな時間はわずかばかりであった。  バン!  勢いよく扉を開いたのが誰かなんて、いまさらいうまでもないだろう。 「さぁ、今日はミーティングをやるわよ!」  ホワ...
  • 夢見ぬ蛙は終末に鳴く
    まさか、と思ったのが最初だった。 窓から差し込む燃え上がるような赤の日差し。 秋季を迎えた今、この血のような陽光に、校庭に居並ぶ木々も、紅葉もより鮮烈に色付けられていることだろう。眼に痛いくらいの強烈な照りは、ひときわ暑さの厳しかった夏の名残を思わせた。 僕達は外界と切り離されたような、現実味の薄い、夕暮れの光と闇がコントラストとなった文芸部室にたった二人きり。僕の鼓膜を不意に叩いた発言が、目の前の相手から発されたものであることは間違えようもなく――だから心底、僕は困惑した。 「申し訳ありません、長門さん。もう一度、」 「わたしと付き合ってほしい」 僕の要請を待たぬきっぱりとした物言いは、それがそれが僕の聞き間違い・幻聴である、もしくは彼女の気まぐれのジョークであるという薄い望みを、一分の隙もなく粉砕した。僕は唖然として、彼女を見返す他にない。 「……どうして、そのようなこと...
  • 規定事項の子守唄 第七話
    「しかし、これはなかなかすてきな気分ですね」  古泉くんが、額のあたりを片手でおさえていました。 「彼も毎回、このような体験をされていたのでしょうか? 」 「はあ……。どうも、わたしの時間跳躍はそうとうに酔うみたいで。すみません」  わりとおおきめの公園でした。わたしはベンチに腰をかけ、力なくよこたわる古泉くんの頭を、ふともものうえにのせていました。  いわゆる、膝枕という状態でした。  いちおう、古泉くんはキョンくんとはちがい、時間移動で失神することはありませんでした。ただ、かなり気分が悪くなってしまったらしく、足元がふらついてどうしようもなかったのです。  天気がいいので、古泉くんはかなりまぶしそうにしていました。わたしはスカートのポケットからハンカチを取りだして、目のあたりにかけてあげました。 「ありがとうございます、朝比奈さん」  そういって、古泉くんがふうと息をつきました。  ...
  • 叶わぬ恋と知りながら
    「いま、お茶淹れますねっ!」 俺が部室に入ると、聞こえてくる声。SOS団唯一の2年生で、俺が淡い恋心を抱く先輩、朝比奈みくるさんの声だ。 学校で一番かわいいと言っても良い。男にも、女にも愛されるかわいらしい顔と性格の持ち主である。 そんな人間がメイド服でお茶を淹れてくれる、見とれてしまっても仕方ないだろう? 「ど、どうしたんですか?わたしの顔、な、何かついてます?」 顔をペタペタとする動作もかわいらしい。 「大丈夫ですよ。ちょっと、俺がボーッとしてただけです」 俺はそう言うと、朝比奈さんが淹れてくれたお茶に口をつけた。…いつも通り、とても美味い。 そういえば、今週の土曜。つまり明日の探索はいろいろあって中止である。 俺はそれを思い出すと、ハルヒに見えない位置で紙とペンを取り出し、スラスラとペンを走らせた。 《部活終わったら、少し話しましょう?着替えたら残っててください》 お茶のおかわりを頼...
  • ハイテンションユッキー【黒版】
    みんな、おっはよー!! 今日もユキちゃんがキョンくん観察日記をお届けしますよー。 え?観察するのはハルにゃんなんじゃないかって? その辺はだいじょーっぶ。おとーさんにはちゃーんと報告してます! まあ正直ハルにゃんが機嫌悪かったり変なこと考えちゃったりで情報爆発が起きない限り そうそう報告することなんてないんだけどねー。 っていうかちゃんと報告しないとおとーさんが 『有希ィーーー!まァたあの男にうつつを抜かしてるのかァーーー!おとーさんは悲しいぞォーーー!!』 とか言ってうるさいからってのもあるんだけどねー、今は。 そろそろ娘離れしないと、おじさんたちも呆れてるよっ!…あ、急進派のおじさんは別か。   さてさて、そんなことはどーでもいいんですよ。 今日は待ちに待ったお休みの日!そう、SOS団不思議探索の日ってわけ!! いや、別に不思議探しなんかどーでもいいのよ?わたしはキョンくんと同じ班にな...
  • テディベア
    「すぐ戻ってくるから、ちょっと座って待っててくれる」 そう言い残して、ハルヒは先ほど俺たちが登ってきた階段を降りて行った。一人部屋の中に残された俺は動揺している心を落ち着かせるために小さく深呼吸をする。 胸の鼓動が速くなっているのが分かる。別に今日何かをしようという気があるわけではないし、ハルヒに自分の家に来るように誘われた、ただそれだけなのだが、妙に緊張する。何せ妹以外の女の子の部屋に入るのは初めてだからな。 おそらく谷口あたりも最初はそうだったんじゃないだろうか。いや、あいつは今でもそうかも知れない。それ以前に女の子の部屋に招かれたことが無いかもな。国木田は……なんだかんだで要領良さそうだから大丈夫なのかも知れないが…… 目をつむって心を落ち着かせるように自分に言い聞かせる。しばらくそうしていると、胸の鼓動も通常に戻り、若干落ち着きを取り戻したように思えた。少し安堵の感がわいてくる...
  • やる気のない長門有希
    ………   眠れない…。   これで何度目になるだろう、静寂のなか薄暗い部屋で、彼が眠っていた布団に包まれ、目を閉じる……。 しかし、瞼の裏には記憶が映しだされ、彼の顔が画面いっぱいに広がる。   なぜだろう?気が付くと、彼のことばっかり考えている。 これはエラーなのだろうか? なぜこんなにも私の睡眠機能を妨害されるのだろう。 そんなことを考えていると、いつのまにか眠ってしまったようだ。   「ふふふ。長門さん、好きなんでしょ、彼のこと」 好き…?たぶん違うと思う……。 「そう、まあそのうち分かるわよ。自分の気持ちに…」   朝。太陽の光がカーテンの無い窓からさしこんできて目を覚ます。 今日は、不思議探索の日ということで軽く朝食をとり、家を出る。 着替える必要はない、いつもの制服で十分だ。 でも、私服で行ったら彼が喜ぶかな……。 いけない、またエラーだ。   集合時間15分前、いつもの駅前...
  • 教科書文通8
    関連:お姉さんシリーズ、教科書文通シリーズ       「おはよう。 待たせた?」 「おはようございます。 いいえ、今来たところですよ。」  デートと言えばこの台詞! と言う代名詞的な台詞を自分の口が吐く日など、一生ないと思っていた。  いやいや、これはデートではなく、「良好な関係」の友人との美術鑑賞会である。  浮き足立ってはいけない。 下心しかない期待など、もっての他である。 もっての他なのだけれど。  僕と長門さんが待ち合わせをしたのは、いつもの場所、いつもの時間。 しかし、いつもの違うのは2人きりだということ。 そのいつもとの違いが、これは普段とは違う異質な集まりであることを強調し、僕の心臓を休ませてはくれなかった。  待てど暮らせど、涼宮さんも朝比奈さんも、〝彼〟も来ない。  いつも制服しか着用しない長門さんの、白い白いレースやフリルが上品に飾るシンプルなワンピース姿が...
  • スノーホワイト・レクイエム2
    お妃様は、美しい鏡に己の顔を映し、艶然と唱えました。 「鏡よ鏡、わたくしの問いに答えておくれ」 はい、お妃様、と鏡は愛する妃に恭しく答えました。 ---------------- 温く哀しい夢を、見ていたような気がした。 古泉はうつ伏せていた身をそっと起こす。何時の間に眠っていたのだろう、と懲り固まった肩を微かに鳴らす。机に突っ伏して眠を取るなんて、随分、久し振りの行為であるような気がしたのだ。名残惜しさも相まって、霞がかった意識をどうにか覚醒させようと瞼を掌で軽くさする。 睡魔から解放されるのを待っているうちに、日は大きな傾きを見せていた。窓から降り注ぐ落陽の光は、オレンジ色に夜の闇を混ぜたような陰のある色彩を帯びている。 何という事もない、見慣れた文芸部室だ。 転寝をしていた古泉は、間近に開きっぱなしに伏せられていたハードカバーを、寝起きで回らない頭をどうにか動かそう...
  • アイスクリーム・スクリーム
    9月もそろそろ中旬だというのにこの異常な暑さはなんだろうか。 天候を司る神様が今目の前にいて、しかも触れずすり抜けるようというような防御能力を持っていないとしたなら、間違いなくぶん殴っているところだな。 なんてファンタジーで幼稚な事を考えていたのはハルヒも同じのようで、同時にハルヒの考えと同じものを俺の脳もせっせと構築していたのだと考えると余計に幼稚に思えてきて気が滅入る。 今回は、そんな秋らしさの欠片も感じられないこのイライラする時期に起こったあるお話。   暑い。極一般的人類と分類されるはずの俺でもこれほどイライラするほどの暑さなんだからもう、実はそこら中に閉鎖空間が沸いているんじゃないか、と思うほどに暑い。とにかく暑い。 古泉に暑さと閉鎖空間の関係性について聞いたとしても欠片ほどの気も紛れないので聞きはしない。聞いているうちに体感温度が5度は上がることは目に見えているので、 ...
  • 普通短編63
    「気がついた!!」 唾を飛ばすな。 「どうしてこんな簡単な事に気付かなかったのかしら」 「何に気付いたんだ?」 「ないんだったらつくればいいのよ!」 「何を」 「子どもよ!」あたしとあんたの。 頭が痛いのは机にぶつけだけではなさそうだ。 「そうか。そりゃよかったな。ところでそろそろ手を離してくれ」 「なに?その反応。もうちょっとあんたも喜びなさいよ、この発見」 「その発見とやらは後でゆっくり聞いてやる。場合によってはヨロコビを分かち合ってもいい。ただ、今は落ち着け」 「なんのこと?」 「保守中だ」   「朝比奈さん!」 目の前に突然現われた人に声をかけた。 「キョン君!」 朝比奈さんはゆっくりとこちらに走りよってくる。 俺はしっかりと彼女を抱き締める。 「俺は朝比奈さんと離れたくない!もう未来には帰らせません!」 朝比奈さんはその潤んだ瞳から涙をとめどなく流していた。 「わたしも……キ...
  • 涼宮ハルヒの赤面
    涼宮ハルヒの赤面 ハルヒの憂鬱に付き合ったせいで、俺の方が憂鬱になった、 世界を再構築どったらこったらの事件から大分月日が経ってる訳だが、こんな事は初めてだ。 「涼宮は風邪で今日は休みだ」 担任の岡部の無駄な話を聞き流していた俺の便利な耳はその部分をクローズアップした様に聞き取りやがった。 ハルヒが休むのは特に珍しい訳では無いが風邪と言う事に引っ掛かる。 ウイルスですらハルヒを避けて通りそうなモノだからな。 ケ ハルヒが居ない一日と言うのは何とも平和で退屈だった。 改めてハルヒは俺の平凡な生活に深く踏み込んでいたのかが分かる。 ……って俺は何考えてんだ。 今日は自己中な団長様も居ないようだから、部室に顔を出す必要も無いだろう。 そう思い、俺は珍しく朝比奈さんの声を聞きたいとも思わず、下駄箱に向かった。 俺を待ち受けていたのは他の人にはわくわくする出来事なのかも知...
  • お悩みハルヒ~3部・不思議な返答編~
    朝、目が覚めるとやっぱりあたしのイライラは消えていた。なんでなのかしら?  あたしの体内に何かそういう物質が入ってるのかも。今度、解剖して見てもらうのもいいかもしれないわ。  それにしても……『午前4時』。昨日、早く寝たぶんだけ早く起きちゃったのね。  どうしようかな……早く行って、部室でダラダラしとくのがベストかも。鞄も取りに行かなきゃいけないし。  ……決まり! 7時くらいからずっと部室でパソコンでもいじっとくわよ!  そうと決まれば学校に行く支度をしなくちゃね。  朝ご飯もたまには自分で作って、身だしなみを整えて、ちゃんと財布を持って、着替えて……。  それでも余裕で時間が余りすぎた。さすがに早起きしすぎちゃったわ。  まぁ、いいわよね。ゆっくり歩いて行けばいい時間よ。コンビニとかに寄ってもいいし。  あたしは家を出て、ゆっくりと歩き出した。そういえばあたし、キョンに告白したのよね…...
  • 霊なのか夢なのか現実なのか
    ※霊なのか夢なのかの続きです。     あたしは考えていた。この前のキョンの制服のシミ、今日のキョンの痣・・・・・・   あたしがこのキョンぐるみにしたことが、現実のキョンに影響してる・・・・・・?   あの時は・・・・・・ちょっとヨダレ垂らしちゃってシミにしちゃったし、昨日は勢いに任せて八つ当たりしてた。 ・・・・・・偶然偶然!んなことあるわけ無いじゃない!あ、そうだ!名案が浮かんだわ。 シミが影響するくらいなら制服になんかを書いても影響するわよね? というわけで、ブラックライトを当てないと見えないペンを引き出しの奥から引っ張り出した。 えーと何書こうかしら?・・・・・・ま、どうせ誰も見ないんだからあれでいいわ。♪~♪~っと。 これできっと偶然だってことが証明されるわね。さて寝るわ。 あたしはいつものようにキョンぐるみを抱きかかえた。   さて一時間目が始まったわ。キョンは頑張ってノー...
  • デートデートデート
    外は大雨が降っているためか、家の中ではひんやりとした空気を感じる金曜日の深夜のことだ。 俺は布団にくるまり、携帯電話で話をしている。 相手は誰あろうハルヒで、明日遊びに行く相談をしているところだ。 『映画なんてどうかしら』 ハルヒは帰りに買った情報週刊誌を見ながら話しているようだ。かすかにページをめくる音が聞こえてくる。 「映画か。終わった後でおまえの愚痴聞かなくていいなら、悪かないね」 『クモ男3でしょ、カリブの海賊3でしょ、って続編ばかりね』 「ラブサスペンスはないのか?」 『うーん、最低映画賞記念で氷のほほえみ2はやってるけど』 「なんで最低映画賞取った映画に金ださなきゃならんのだ」 『でしょ。カリブの海賊見たっていってたわね、どーだった?』 「ん?ジョニー最高だったぞ」 『いや中身の話よ』 「だからジョニー格好良かったって」 『? まあいいか。殺人医師 誕生編なんてサイコものあるけ...
  • 束の間の休息(×ローゼンメイデン)
    「……! あんた、誰!?」 「私? 私は水銀燈。ローゼンメイデンの第一ドール」  それが彼女との出会いだった。まったくの突然。  夏のひと時、あたしに舞い降りた……  ――束の間の休息―― 「魔女?」 「ま、魔女ですって!? あなた、それを誰に向かって言っているの!」 「ていうかあんた人形? どうして自力で動けるわけ? すごいわね!!」  綺麗な人形だった。凛としていて気品がある。 「ちょっと、気安く触らないでちょうだい!」 「あんた、何でここにいるの?」  水銀燈と名乗るその人形は、あたしの問いに一瞬だけうつむくようにすると、 「ちょっと飛べなくなったから、休んでたのよ。この部屋、私の好みには合わないけど、悪くないわね」 「あんた」 「なぁに?」 「瞳が綺麗ね……」  あたしは水銀燈の瞳に見入っていた。何でできているんだろう。  あたしが見つめていると水銀燈は急に気がついたように首を...
  • スノーホワイト・レクイエム4
      かたかた、かた。 単調なタイプの音。ブラインドタッチが出来るほど、慣れているわけでもなかった。手慰みに始めて、今はほんの少しだけ上達した。旧式のデスクトップパソコンだからそれほど機能があるわけでもない。インターネットにも繋がっていない、開いて使えるのはペイントソフトやワードソフトや、それくらいのものだ。 わたしは人気のない部室で、文章を打っている。何の気なしに初めて、それから誰もいないときに、密かに少しずつ打つようになった。単語が並ぶ、接続詞がつながる、変換キーを押す。途切れ途切れに書き始めた、拙いなりの物語。誰も知らない、わたしだけの作品。完成の目処も立ってはいないし、ほとんど勢いで始めたものだから起承転結もぐちゃぐちゃで、とても人に見せられたものじゃない。それでも。  ――着想は、とても単純。  以前、改めて読み直してみたグリム童話に、子供だましと思っていてもいつのまにか引...
  • 涼宮ハルヒの正誤
    0:夢   夜空に輝く天の川。 周りの喧騒がひたすら耳障りだった。 瞼は開いているが、飛び込んでくる情報は限りなく絞られ、指向性を持たされている。 ぼんやりと認識されるのは、人の声と、顔と、感触と……。 水滴。 とうとう雨が降り始めた。 雨脚は強まっていく。 ああ、星が綺麗だ。 俺は願った。 次に目が覚めるその時は、今より強い自分であれますように。 …………。 やがて俺は溺死した。   1:予言   世界の始まった日。 諸説ある。 うん十億年前。 四年前。 昨日。 今。 記憶という脆弱な結晶体を、証明する術はまだない。 出口の見えないラビリンス。 迷子になった思考が、己の存在の危うさを露呈させる。 だからこそSOS。 信号を発信し、居場所探し。 助けてください。 このSOSがあなたに届きましたら。 どうか早急なる救出を。 当サイトはもれなく未来永劫リンクフリーです。   §   「…………...
  • 古泉一樹の家族事情
    土曜日。普通の学生ならば家でのんびりしたり部活に励んだり友人と遊びに行ったりするのだろうが、 我等SOS団にとって土曜日とは、不思議探索と称して街を練り歩くことが義務付けられている曜日だ。 もっとも、やってることは街をブラブラしているだけだから、これも「友人と遊ぶ」のカテゴリに入るのだろうか? 団長様は絶対にそんなカテゴリに入れられることを嫌うだろうがな。   というわけで、今日も例に漏れず不思議探索の日だ。 これで朝比奈さんと一緒ならば天国だし、長門と一緒なら図書館でノンビリ出来る。 ハルヒの場合は大変だ。そこら中を引きずりまわされる。そして最悪なのが……   「おや、今日はあなたと二人きりですか。」 「気持ち悪い表現を使うな。」   古泉と二人きりってパターンだ。……つまり、今の状態だな。 何が楽しくて野郎二人で街を練り歩かなけりゃいかん、まだハルヒのがマシだ。   「おや、僕はこの組...
  • 缶コーヒー、ふたつ5-6
    風が・・・凄いな・・・。 部室の窓がカタカタと揺れている。 この前、俺が貰って来たストーブによって多少は寒さが抑えられてはいるものの、やはり・・・冷えるな。 部室の入り口越しに吹き込む、廊下からの隙間風にも多少の要因はあるだろう。 後で何か対策・・・ 「・・・ン君、キョン君の番ですよ?」 ああ、悪いな。 俺は、古泉とカードゲームに興じていた。 トランプの「ババヌキ」の要領で互いのカードを引き合い、同じ色や数字が揃ったカードから捨てていく・・・最後までカード捨てきれずにアガれなかった者が負け。 そう、アガる直前に「うの!」って言うあれだ。 しかし、この手のゲームをやる時の古泉は手強い。 なにしろ、鋼の「ニヤけ面」を持つ男だからな。 手札が全く読めん・・・・。 そういえば、古泉はこの前の事を覚えているんだろうか。 あの事件以来、俺と古泉は二人きりになる機会が無く、色々と訊きた...
  • 朝比奈みくるの挑戦
       この仕事で最初に貰ったテキストに書いてあったこと 「時空管理者が恋をした場合の選択肢は、記憶を失うか心を殺すことである」    高校卒業の後、元の時間にもどったわたしはがむしゃらに努力してそれ相応の権限を手に入れました。  そしてあの時代に干渉した結果、規定事項はすべて遵守、今の未来も確定してわたしの仕事は終わりました。  わたしに残ったのは、過去の記憶と現在の管理局トップとしての地位。  ここは広大な敷地にある図書館の館長室。 「機関の提案に対して、情報統合思念体は同調することにした。あなた達の結論を聞きたい」 「わたしたちも賛同します。今回の提案は、こちらにも利あるものですから」  話し相手は長門さん。アカシックレコードとすら評されるこの図書館の館長をしている彼女の正体を知るひとは少なく、知る人にとってはこの建物の二つ名は皮肉ですらあります。  配属前の研修生として一度だけお...
  • ひとりぼっち
    週末になるたび、私はあの場所へ行っていた。 桶に入った水と花。これを持ってあの場所に向かうのもどれだけ続けたことだろうか。 「あら、長門ちゃん。精が出るね」 すれ違うお婆さんに会釈を返す。 彼女は痴呆が進んでいるため気づいていない。私が何十年この行動を繰り返しているのかを。   先週変えたばかりの花をまた変え、桶の水で墓石を洗う。 このあたりでは一番清掃が行き届いていると自負している。 この行動を、何十年となく繰り返してきたから。 横にある墓碑に刻まれた名前。 『涼宮ハルヒ 20××年×月×日』 『涼宮○○  20□□年□月□日』 涼宮ハルヒと、そしてキョンと呼ばれていた彼が入っている墓。 少し離れた位置には古泉一樹のものもあった。 何度となく私は墓参りを繰り返す。 「久しぶり……元気にしていた?」 すでに生きていないものに元気かと問う私は滑稽。 有機生命体は死んでしまえば、その体に何の情...
  • シスターパニック! 第2話
    2話   「わたしがうかつだった。わたしのせい」  喫茶店に着くと、いきなり反省モードの長門がいた。  いったいどうしたってんだ?  そこからは、長門は黙り、古泉が話し始めた。 「実はですね、僕達の周りの環境が少しだけ改変されたのですよ。世界的には全く影響はありませんが」  ……もっと詳しく分かりやすく説明しろ。 「ですから、昨日の僕達の会話を涼宮さんは聞いていたのでしょう。そして、あなたの妹という立場に興味を持った……。  たぶん、あなたが妹さんを抱き締めたのも見てたのでしょうね」 「わたしが、《兄妹》という概念についてあなたの妹に聞いたのが原因」  あぁ、あれか。となると、あいつはあの時寝たフリ状態だったわけだ。やっかいな奴め。  それで、何であいつが俺の妹になりたいと願ったんだ? そしてお前等は何故、改変の影響を受けていない? 「後者の質問については、朝比奈さんが『涼宮さんの様子が...
  • エンドレス・エラー
    一夏の恋の続き ※エンドレスエイトを前提にお読みください。 わたしのなかのエラーがやまない。 耳鳴りのように、繰り返される彼の声。反復。重複。聞いたことのない声色。震えながら紡がれた古泉一樹の、嘆願。 『長門、さん。聞いて頂けますか』 『忘れて下さって構いませんから。どうか、……最後に一言だけ』  「―――どうかしましたか?」 日の光が遮られ、手元の本に影が差した。花壇隅に腰掛け思索をしていたわたしに、呼び掛ける古泉一樹の微笑が眼前に。 「失礼、頁が進んでいないようでしたから。心配事ですか?」 声色のトーンから、機嫌の度合いをある程度測れると言ったのは彼の言葉。恐らくそれは正しい。ループする夏季の時空修正を如何にするかという懸案事項を抱えても、その笑みに変化は見られない。 解答を遅らせるわたしに、彼が差し出したのは二本のアイスバー。透明なフィルムが巻きついたそれは、...
  • 消えない雪
    土曜日の早朝、いつもの集合場所へと向かう。薄く汗を滲ませながらたどり着くと、貴重な私服姿の長門がすでに到着していた。 しかもダッフルコートに白いニット帽のおまけつきだ。 うむ、小柄な長門にはぴったりな服装だな。そんなことを考えつつ近づいていく。 ちなみに他の団員はいない。 「すまん、待ったか?」 「平気。」 平気ってことは待ったってことだよな。長門の小さな手を取るとやはり冷えきっていた。こりゃ宇宙人とはいえまずいな。 「とりあえず暖かい場所に行くか?いつもの喫茶店にでも。」 「いい。それよりも早く駅へ。」 そういうと長門はさっさと歩き始めた。待ちきれないみたいだな。苦笑しながら俺はあとに続いた。さて状況を説明するとだな… 「消えない雪」 ~回想~ 「今日も汗が滲んできたか。」上り坂の中ほどで俺はそうぼやいた。 今年はまれに見る暖冬で、冬の寒さに凍えながらシャミセンとコタツで丸くなるよ...
  • Drunk Angel
    無事年も明けて新学期が始まってくれたのは嬉しいことだが、この教室に暖房がない のは我慢できないな。暖房に予算を使わないでなにに使ってるんだ?まったく。 いつもならこの後は文芸部室に向かうところだが、今日はそうもいかない 「すまんな、今日は帰らなくちゃならん」 ハルヒは途端に得意のアヒル口になる 「なに?SOS団の活動以上に大切な用事でもあるの?あたしが納得する理由  じゃなきゃ明日一日タキシードで授業受けさせるわよ!!」 タキシードなんかもってねえよ、そんなことしたら進学できなくなっちまうだろ 「今日両親がいないんだよ、家に妹一人でいさせるのも心配だからな。」 「両親がいない?・・・ふーんそれじゃ仕方ないわね」 ん?なんだそのなにか期待したような顔は 「じゃあ夕飯はどうすんの?」 なんでそんなこときくんだ? 「コンビニで買って帰るさ」 なんでそんなにうれしそうなんだ?おれがコンビニ弁当を食...
  • キョンの告白記
    きっかけは浅はかなものだった。 朝倉に襲われたとき、彼女は必死に俺を助けてくれた。 それ以来俺は彼女に恋をするも、彼女は人間ではないので果たしてこの恋は叶うのだろうかと、 杞憂であってほしい心配をするようになっていた。 何せ俺は優柔不断なので、いつまで立っても思いをぶつけられていない。 その子の名前は長門有希、文化部だったがいつの間にかSOS団ということにされるも、 それを歯牙にもかけず一日中本を読み続けている女の子。 彼女に恋をしてから月日が過ぎ、もうすぐクリスマスが訪れようとしている。 俺はそのクリスマスに、谷口と国木田のアシストによるある計画を立てていた。 名づけて「戦艦長門」   ~12/23~ 作戦を整理する。 長門が好きそうな場所などを考慮したうえでデートを敢行する。 好きそうな場所なんて決まりきってるのだが・・・。 長門とは12/24日15時、学校の校門前で約束してある。 い...
  • アイスと観覧車
    ハルヒ「キョン、観覧車に乗るわよ!」 キョン「はいはい」   ハルヒ「空いてたから直ぐに乗れたわね」 キョン「そうだな」 ハルヒ(さてと、さっき買ったアイス食―べよっと) パリッ ハルヒ(いただきまーす)   パクッ ハルヒ(うん、おいしい) パクッ キョン「………」ジー ハルヒ(キョンのやつさっきからあたしのことジーっと見ているけどどうしたのかしら?)   キョン「………」ジー パクッ ハルヒ(たくっ、何なのよ。食べづらいじゃない) キョン「………」ジー パクッ ハルヒ(観覧車で二人っきりと言えば…) パクッ ハルヒ(ま、まさかね)   キョン「………」ジー パクッ ハルヒ(今ならチョコ味)   キョン「………」ジー パクッ ハルヒ(今ならバニラ味)   パクッ ハルヒ(今なら…) キョン「………」スッ ハルヒ(き、きたっ)   パクッ キョン「うまい」 ハルヒ「へっ?」 キョン「いやー...
  • かわいい一日お茶だし係
    ある日の放課後のSOS団もとい文芸部室― すやすやと眠るキョン するとキョンをつっつき起こそうとする長門 「…起きて」 クークー… キョンに起きる気配はない。 「…起きないとキスする」 彼女は彼の耳元にそっと囁く。 ガバッ! チュッ♪ 「~~~?!な~が~と~!!お前!俺ちゃんと起きただろ?なんでするんだよ!」 俺は顔を真っ赤にして叫ぶ。 「…したかったから」 そんなあっさりと言うな! けど俺だけが分かる程度に頬が少し赤いぞ。 「~~!長門…ホント頼むからさぁ、その癖は治してくれよ…」 長門は二人きりの時は何故か俺に事あるごとにキスを迫ってくるのだ。 長門ってキス魔だったんだなぁと今では半ば諦めの境地に入ってしまっている。 いつからこんな事になっていたかは思い出せないが、たぶん以前の自分がこの長門と会っていたら間違いなくまた世界が改変されてしまったのかと必死に栞を探し回っていることだろう...
  • 『God knows』 8章
    『God knows』 ~8章~ 今、俺はエレベーターに乗っている。 もち、隣りにはみくるさんがいる。 密室に二人きり。 こんなに素晴らしいシチュエーションはないな……、 などと考えられないくらい、俺は切羽詰まっている。 何故かって? それでは、5分前を思い出してみようか。 「キ、キキキ、キョンくん!あ、あ、上がって……いき、行きませんかぁっ!?」 「……………えぇっ!?」 「い、いや!そ、そ、そんなや、やましいことじゃ、な、な、ないですよっ!?た、ただ……ね?寂しい……から…。」 「で、でもっ!ほら……親とかもいますよね!?」 「か、家族とは……もう…連絡が…。」 「あ……、す、すいません……。」 「ううん、いいの。……しょうがない…こと、です。」 「…よし。わかりました、上がらせてください!」 「ふえっ?ほ、ほんとですかぁ?」 「はい。だけど……襲われても知りませんからね?」...
  • 普通短編1
    ハルヒ「なぁんかグタグタした試合ねぇ」 キョン「んー・・・」 ハルヒ「・・・ちょっとキョン!?起きなさいよ!」 キョン「あぉっ!お、起きてるよ」 ハルヒ「ったく、一緒に見ようって言い出したのどっちよ・・・」 キョン「っつったって眠いんだよ・・・おっ、誰か倒れてるぞ」 ハルヒ「?」 キョン「ほら。なんだこいつ」 ハルヒ「本当ね。盲腸にでもなったのかしら」 キョン「お前なぁそんなわけ・・・!!!」 ハルヒ「ちょっ!な、なによこれ!」 キョン「ず、頭突き!?頭突きだよなこれ!?」 ハルヒ「しかもジダンって・・・や、やっちゃったわね・・・」 キョン「うっわ、これ痛そうだな」 ハルヒ「あーあ、これ退場ね。間違いないわ」 キョン「・・・なぁ、俺もイタリア応援していいか?」 ハルヒ「だーめ!約束したじゃないの!キョンはフランスであたしがイタリア!」 キョン「・・・はぁ・・・もう何やってんだよジダン・・・...
  • 古泉一樹の告白
    なんの前触れもなく、それは突然やってきた。 俺達が卒業式を終えてから、一週間後の出来事。 朝比奈さんが未来に帰らなければならなくなったのだ。 そりゃあ、いつかはそんなときが来ると分かってはいたが… いくらなんでも、急すぎる。   ハルヒがいる手前、朝比奈さんは未来に帰る、などと言えるはずがなく、 家庭の事情で海外へ引っ越さなければならなくなったという事になっている。 心の整理がつかぬまま、俺達は朝比奈さんの待つ空港へと足を運んだ。   朝比奈さんは最初こそ涙を堪えていたものの、それは無駄な努力に終わり、 現在は人目も気にせず、わんわんと号泣している。 このお方は自分の卒業式でも号泣していたな。 素直な人だと、しみじみ思う。 こんな姿を見れるのもこれで最後かと思うと、 俺まで泣いてしまいそうになる。   ハルヒも最初は「笑顔で見送ってあげるのよ!」と無理矢理にでも 笑顔を作っていたが、今は朝...
  • 王様ゲーム
    「王様だーれだっ!?」   無言で色のついた割り箸を置く長門。王様は長門か。   一体何を命令するんだ?などと考えていると、なぜか古泉が長門に向かってウインクをした。   すると長門はほんの数ミリだけ首を動かして頷いた。こいつら何を企んでやがる……。   「……2番と3番がポッキーゲーム」   2番?俺じゃねーか!長門からポッキーゲームなんて単語が出てくるとはな。   ところで3番は誰だ?……まさかイカサマハンサム野郎じゃねえだろうな。   「2番は俺だ。3番は誰だ?」   正直に名乗り出よう。3番が古泉だったら俺は今日限りでSOS団を退団させてもらう!   「……む」   不機嫌そうな顔をして名乗り出たのはハルヒだった。   あぁ、そうか。古泉は何かにつけて俺とハルヒをくっつけようとしてたからな。   それよりハルヒよ、そんな顔するのは構わんが、顔が真っ赤だぞ。ちくしょう、可愛いじゃねー...
  • 言えないよ
    「つばめよ 高い空から… 教えてよ 地上の星を…」 「あははは、いいわよー有希!」 「長門さーん、こっち向いてー。えいっ!」 中期試験明けの放課後。 制服のまま、平日格安のカラオケボックスへ突撃した あたし率いるSOS団一行は、慰労カラオケパーティーを 楽しんでいた。ここ数日は活動らしい活動もなく、 部室でもほとんど試験勉強一色だったものね。みんな、今日は めいっぱい羽を伸ばしなさい。団長が許可するわ! 無表情ながらなんだかんだでよく歌う有希に、そんな有希を 物珍しそうに写メに撮りまくってるみくるちゃん。 穏やかな微笑みで手拍子を入れている古泉君。うんうん、 みんな楽しそうね! と、そんなあたしの上機嫌さは、古泉君の隣に視線を移した途端 どこかへ飛んでいってしまった。ウーロン茶のグラスを片手に、 曲目帳をぺらぺらめくっているバカ男。 さっきから、こいつはずっとこんな調子だ。ああ、もう!...
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