涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki内検索 / 「人生最悪の四日間 第一章 ~デジャヴと乱闘~」で検索した結果

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  • 人生最悪の四日間
    ※この作品は人生最悪の三日間の続編に当たる作品です   プロローグ 第一章 ~デジャヴと乱闘~ 第二章 ~神は誰だ~ 第三章 ~ブラックホーク・ダウン~ 第四章 ~神の人質~ 第五章 ~神様失格~ 第六章 ~笑い、再び~ 第七章 ~神の条件~ 最終章 ~適した者~ エピローグ
  • 人生最悪の四日間 第一章 ~デジャヴと乱闘~
    二日目 午後五時。部室前にて。 『三名欠席により 今日の活動は休み』 という貼り紙を見たのは放課後のことだった。 ハルヒが風邪で欠席しているのは知っていたが、古泉まで休みか? 珍しいな まず、俺がこの貼り紙を見て思ったことは一つ。 もう、殺人現場を目撃するのは嫌だ。 もしかしたら、また何か巻き込まれるかもしれないな。なんてレベルじゃない。 少しでも変わったことがあったら、俺が俺を殺してしまう現場を俺が目撃する前兆だ。 このドアに貼られた貼り紙を剥がして、そのままさっさと帰ろうとしたときだった。 部室の中から人の気配を感じた。気配だけだが、明らかにドアの向こうには誰かがいるのだ。 それに物音もする。足音のような音。おそらく一人だ。 団員以外にこんな部屋に入るような物好きな人間はこの世どころかあの世にも存在しないので、おそらく長門だろう。 というか、長門であってくれ。 一人でいつものように読...
  • 人生最悪の四日間 プロローグ
      人生なんてものは意外と不幸が続くものだ。だが限度ってモンがあるだろう。 大抵の場合は物の見方を変えれば不幸も幸福へと変わるが、神はどうやらそれを許さないらしい。今じゃ神は俺なんだがな。 どんなに前向きに考えようとしても目の前に広がっている光景は明らかに俺にとっていいことではなかったし、 これならいっそのことコンバットマグナムでこめかみを撃ちぬいたほうがマシだと思った。 人生、大変なことがあっても「勘」と「運」で乗り越えることができると思っていたが、それは間違いだ。 この四日間で知った真実は、なんだかもう俺にはわからないことだらけだった。 ただ、一つだけ言えることがある。 上には上がいるものだ。     始まりは「起承転結」の「起」だ。このあとに日常や平穏を表す「承」があるので、あまりにも理不尽すぎる始まりは読者に嫌われる。 というか、俺が嫌いだ。 だが残念なことに、この物語は「起承転結...
  • 人生最悪の三日間
    ...ーグ       人生最悪の四日間へ続く    
  • 白有希姫 演劇篇
      第一章 プロローグ   「昔、白雪姫というとても美しい王女と、深い谷に住む魔女が居た。魔女は、自分が世界で一番美しいと信じており、彼女の持つ魔法の鏡もそれに同意したため、満足な日々を送っていた。」   このナレーションの語りは国木田。そして文章はウィキペ○ィアから参照したものである。   「『鏡よ鏡よ鏡っ!世界でいっちばーん美しいのは誰かしら?』」   体育館、ステージから見て右側の大きなスクリーンに谷口の顔が映し出される。いいなあ、こいつは出番が少なくてよ。   「『それはもちろん涼み…魔女様に決まってるでしょー。』」   こいつ、ちゃんと練習してきたのか?   「白雪姫が16歳になったある日、魔女は魔法の鏡にもう一度問いかけた。」 「『ちょっと!かがみ!世界で一番美しいのは誰かしら?』」 「『それは白有希姫でございますー。』」 「『なんですって!?聞き捨てならないわ、今すぐ白有希...
  • 長門有希の憂鬱Ⅰプロローグ
    長門有希の憂鬱Ⅰ プロローグ 窓の外は曇っていた。 今年ももうすぐクリスマスだねー、などとクラスの女子がのたまっているのを、 俺はぼんやりと眺めながら次の授業がはじまるのを待っていた。 高校に入って二度目の文化祭を終え、やっと落ち着いたとため息をついたばかりだ。 そういやハルヒのやつ、今年もやるんだろうなクリパ。また俺にトナカイやらせるつもりじゃあるまいな。 長門が暴走したりSOS団が消えちまったり、朝倉に二度も襲われたり、去年はいろいろあった。 俺も長門には気を配るようになった。あいつは感情が希薄なわけじゃなくて、 実は表に出ないだけなんだと知ってからは。おかげさまで落ち着いてるようだが。 振り向いて後ろの席にいるやつに、今年のクリパはやっぱ部室でやるのか、と尋ねようとしたらいきなり首根っこを掴まれた。 「キョン、あんた進学するの?」 いきな...
  • 朝比奈みくるの憂鬱
    ふと、気がつくと、俺はひとりで公園のベンチに座っていた。 光陽園駅前公園、古泉が転校してきた日に長門と待ち合わせをした場所。 そして、三年前に戻ったあの日には、朝比奈さんの膝枕で眠り、朝比奈さん(大)と会った、俺にとっては思い出の多い場所でもある。 だが、どうやらここは現実の光陽園駅前公園ではないようだ。 周囲を見渡しても、人っ子ひとり居らず、空は灰色の雲に覆われ、薄ボンヤリとした光を放っている。 閉鎖空間 いままでの人生で数えるほどしか入り込んだことのない、現実の世界とは少しだけズレた場所にある異世界、ハルヒが無意識のストレスを発散させる空間に、いま俺はいる。 俺は大きくため息をついた。 ハルヒの無意識が俺をこの空間へと導いたことを瞬時に悟ったからだ。 そして、このようなハルヒの我侭に起因する、微妙にズレた日常に慣れてしまっている自分に、ほとほとあきれていた。 さて、今回ハルヒはどのよ...
  • 涼宮ハルヒのユカイなハンバーガー(後編)
       手遅れだった。色々と。 「長門!?」 「大丈夫。情報統合思念体との連結が途切れているだけ」 どこら辺が大丈夫なのか小一時間問い詰めたいが、長門だから許そう。かわいいとは正義なのだ!なんて親馬鹿やってる場合じゃねえ。長門は団活時の四割り増しの無表情をしてちょこんと座席に座っていたが、俺の長門センサーはいつ倒れてもおかしくない状況だと大音量で警報を鳴らしている。これじゃあまるで雪山の再来だ。すぐにでもヒューマノイド・インターフェイス用の病院に担ぎ込みたいが、あいにくと住所が分からん。 「連結が途切れてるって、この空間のせいなのか?」 「そう。涼宮ハルヒの発生させた異空間は情報統合思念体からのいかなる干渉も一切受け付けない。原因は不明。情報統合思念体は自らの統制下にない空間が広がることに危機感を抱いている。よって主流派を含む大多数の派閥はあなたに事件解決の望みを託すことを決定した」 ヘ...
  • 銀河SOS伝説~射手座の光芒~序章
    時は移り、所は変われど、人類の営みには何ら変わることはない。      ――宇宙暦1898年、五世紀に及ぶ平和な治世と、それに続く三世紀に及ぶ堕落した治世で、腐敗しきった天の川銀河統一政府はついにその政治的求心力を失い、崩壊した。 統一政府崩壊後、連邦という錆びた鎖から解き放たれた旧統一政府領各地の星系政府や宇宙艦隊駐屯地は、好き勝手に独立を宣言し、単一色だった天の川銀河の地図を鮮やかなモザイク画へと書き換えた。 正確な記録は残っていないが、信用するに値する説によれば、七月七日二十二時四十三分に首都星プレトリアがテロリストの仕掛けた反物質爆弾で消滅した後、たった二十四時間で大小500以上の勢力が天の川銀河内に乱立したそうだ。その年の四月に実施された最後の国内調査では天の川銀河内の総星系自治体数は533とされていたから、これはほぼ全ての星系が独立を宣言したとみてよい。 後に、天...
  • 長門有希の憂鬱Ⅰ三章
    長門有希の憂鬱Ⅰ 三 章 俺はひどい頭痛と轟音とともに目が覚めた。 自分がどこにいるのかしばらく分からず、起き上がったところで天井に頭をぶつけた。 あれ、こんなところに天井があったかな。 そうだった。俺は泊まるところがなくてホームレスに段ボール箱を借りたんだった。 頭上では電車がひっきりなしに行き来している。 俺はそろそろと箱の外に出た。寒い。震え上がってまた中に戻った。 段ボール箱の中、意外に保温性があるんだな。手放せないわけだ。 俺はジャンパーを着込み、身をすくめてやっと外に出た。 一晩の宿は冷蔵庫の箱だった。それを見てまた寒気がした。 時計を見ると七時だった。おっさんたちはまだ寝息を立てているようだ。 俺はサンちゃんの家に、その玄関らしきところからありがとうと書いたメモに千円札を挟んで差し込んだ。 もしかしたら明日も世話になるかもしれない、などと不安と期待の入り混じった気...
  • 長門有希の素顔
        「『食』がおきる」 へ? 「『食』」 ………。 「長門さん、困っていますよ。ちゃんと説明しないと」 「……『蝕』のこと」 「『しょく』? 一体どういう字を書くんだ?」 「『食』とは天体が別の天体に見かけ上重なり、相対的に奥となる天体が見えなくなる現象。  見かけ上重なる原因は観測地点となる場所が惑星などそれ自身が動いているために起きる場合と……」 「長門さん……。簡単にいうと日食や月食ですね。」 ああ、やっとわかりましたよ喜緑さん。これでも長門の言いたいことは誰よりもわかっているつもりですが お仲間にはかないませんよ。 「いいたいことはわかりました。で?」 食がおきたらどうなんだ? 「『食』がおきる事によってわたしたちの能力が制限される。」 ??? 「長門さん、あなたが説明する、いつも通りだから大丈夫っていうから任せたのにそれじゃ伝わりませんよ。  まさかいつもそんな説明なんで...
  • 古泉一樹の誤算 プロローグ
      プロローグ     そろそろ本格的な夏がはじまりそうな七月中旬の、政府推進の省エネ週間なんかがはじまりそうな憂鬱な月曜日の出勤。 「あっついわねー。キョン、この地球温暖化なんとかなんないの」 「肺から二酸化炭素を出してるお前に言われても困る」 「ったく、寒いギャグのひとつでも言いなさいよ」 「……隣家の小規模和風庭園に、高さ二メートル幅五メートルの密集型低木の境界線が施工された模様」 「なによそれ」 「……へー、かっこいい」 「有希、それって寒いというより永久凍土で化石になりそうな勢いね」 長門の込み入った回りくどい古典的ダジャレに俺とハルヒは冷や汗を垂らした。長門は汗ひとつかかないからいいよな。   「皆様おはようございます。職場のプリンス、古泉一樹です」 「なんだその寒い登場の仕方は」 古泉はどっかのファーストフードの店員が着るようなパステルグリーンのストライプの制服を着ている...
  • 涼宮ハルヒのロバ
                        『涼宮ハルヒのロバ』  プロローグ  社交的と内向的、楽天家と悲観論者、朝型と夜型、男と女。人類の分類基準は人それ ぞれだが、俺に言わせればそんなものは数十万年前からひとつしかない。  「引きずっていく奴」と「引きずられる奴」だ。  かくいう俺はもちろん後者であり、保育園から高校まで、自慢じゃないが「長」と 名のつくものには一度もなったことがない。そのかわり和の精神を貴ぶ正統派事なかれ 主義者として、わざわざリーダー役を買って出た御苦労様に逆らうということも滅多にない。 その怠惰で享楽的とも言える生き方はSOS団においても続いてきたわけで、高校入学以来 ハルヒという暴君に唯々諾々と従ってきた俺が突然反旗を翻す時がやってくるなどと 誰が予想したろう。けれども人間とは永遠の謎であり、かつまた無限の可能性を秘めた 存在でもあるわけで、神の啓示を携えた大天...
  • 橘京子の憂鬱(前編)
    『助けて…… 助けて……』 『おい、一体どうしたんだ?』 『ああ、よかった。変な人に追われてて……』 『変な人?』 『ええ。そうなの。鎌をもった、全身血だらけの人があたしを……』 『ははは、そんなのいるもんか。第一真っ暗で何もみえやしなしな』 『そんなことはないわ! 現に今、あの血の滴るような音が聞こえてくるじゃない』  ポチャン。 『ほら、今もあなたの方から……え??』  チャプン。 『……ね、ねえ……この音……どうして……あなたの方から聞こえてくるの……?』 『ふふふ…………』 『ねえ、どうしてよ。答えてよっ! あなたは一体何者なの!?』 『キミが見たって言う、変な人……それはもしかして……こんなものを振り回していなかったかい?』  ザンッ! 『い…………』 「いやああああぁぁあぁぁあああぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁああああっ!!!!!!!!」 「うるせーぞ!! さっきから何...
  • ラジカルメッセージ 中編
     いやに目覚めの悪い朝で、その理由の大部分を冬の寒さに押し付けてしまうのは些か身勝手なものではあるが、不満をぶつけられる側の冬の寒さは憤ったりして反論するようなことは無いので、このまま寒さのせいにしておこう。大体、こんな寒空で元気一杯になるのは犬とガキだけで充分だ。シャミセンもいつの間にやら俺の布団に潜り込んでいるではないか。犬でもガキでもない俺にはこの寒さが憂鬱で仕方が無い。    朝の光を頭から浴びてトドメの目覚まし代わりにしようと、カーテンを開けてみてさらに憂鬱になった。凶悪的な冷却効果をその見た目と “雪” という可愛らしい言葉に巧みに隠しこんだ白銀の結晶の集合体。それが辺り一面。歩いているうちにだんだん靴の中へ侵入していき、冷水に形を変えて靴下をずぶ濡れにしてくださる、紛う事なき悪魔的な自然の産物である、とここに断言しよう。  …同じ “ユキ” とは大違いだ。    これは靴下...
  • 古泉一樹の誤算 一 章
      一 章      日曜日だというのに朝っぱらから電話がかかってきた。 「お休みのところすいません。早急にご相談したいことがありまして」古泉だった。 「なんだ。日曜くらいゆっくり寝かせろ」 「実は……その……」 ボソボソ言うだけでよく聞こえない。口篭もる古泉なんてらしくない。 「なにがあったんだ、言ってみろ」 俺はもう、たいがいのことでは驚かない。 「涼宮さんと……なんです」 「なんだぁ?聞こえねーぞ」 「だからですね!涼宮さんとヤッってしまったんですよ!!」 そのとき俺は、数秒間だけ硬直し、次の数分を爆笑の渦に巻き込まれて一気に目がさめた。腹を抱えて笑い出すのを抑えきれず、電話のマイクの穴をやっとの思いで押さえた。 「もしもし、聞いてますか」 「ああ、き、聞いてる、聞いてるとも」胃が痙攣するかと思うくらい腹がよじれた。 「ずいぶんと大げさに笑ってらっしゃいますね」 だって、これが...
  • 涼宮ハルヒのお願い!ランキング
    新川「涼宮ハルヒのお願い!ランキング!!」  多丸兄「今回のテーマはこちら!!」  森「本当に可愛い北校生がしりたーい!!」  多丸弟「そしてそれらの美少女たちを審査する美食家アカデミーはこちらぁっ!!」   キョン「どうも、キョンです。座右の銘はポニーテールは人類の宝です」  古泉「これはこれは……古泉です。今回はよろしくお願いしますよ、んっふ」  谷口「女の審査は任せろ!!!なんなら俺的北校美少女ランキングを公開してm」  国木田「国木田です。始めまして」  多丸弟「以上の四人の美食家アカデミーが、それぞれ10点ずつの持ち点、合計40点満点で審査してランキングを作成するぞ!!」  新川「機関のブレインたちが汗水垂らして作成した予想ランキングはこちらぁっ!!」  第一位 涼宮ハルヒ  第二位 朝比奈みくる  第三位 長門有希  第四位 鶴屋さん  第五位 喜...
  • それでもコイツは涼宮ハルヒなんだ 8
    15,フリープレイ(R)  呆けた人間に有事を理解させるにはショック療法が一番手っ取り早いなんてのは経験から言って間違いじゃない。それに朝倉は急進派だしな。急いては事を仕損じると昔から言うが、しかし今回に限れば少女の目論見は成功に終わったと言ってやってもいいだろう。  お陰で大分目が覚めた。  人の出入りが奇跡的に無いマンションのエントランスは冬でありながら、その体感気温を上昇させ続けていた。心臓を始めとして血管一本一本に至るまで血と共にカンフル剤が巡っているように脈拍は速い。これは俺の意識の在り方の違いでしかないのだろうが。  昨日までとは違う。ついに「始まった」、そう直感的に理解する。具体的に何が始まったかは朝倉にでも聞かないと只の一般人である俺には分からない。だけどもう、何かが確かに始まっているというそれだけはこんな俺にも言い切れた。  十二月、クリスマス。ワールドエンド。...
  • 涼宮ハルヒの通夜編
    俺が北高で過ごした七転八倒の高校生活から9年が過ぎた。 我が青春のすべてを惜しみなく奪っていったあのSOS団も自然解散とあいなり、宇宙人・未来人・超能力者と連中にまつわる 頭の痛くなる事件の数々から晴れて解放された俺はあの頃希求してやまなかった健康で文化的な最低限度の生活ってやつを取り戻していたわけだ。 「つまらねぇ」 おいおい俺は何を考えている。 赤点ぎりぎりの成績にお似合いの大学へ進学し、大きくも小さくもない身の丈に合った企業に就職し…… 特別なことなんて何もない、まともな人間にふさわしい普通の生活だ。これ以上何を望むってんだ? 「まるで靄のかかったような……実感の湧かない生っ…!」 馬鹿馬鹿しい。 この俺が『特別な世界』でどんなに無力で場違いな存在かはあの頃散々思い知らされたじゃないか。 明日も早いんだ。こんなとりとめもないことを考えるくらいならさっさと寝ちまおう。 俺は自分に言い聞...
  • SOS団プレゼンツ 第一回 涼宮ハルヒ争奪戦  ―争奪戦当日~開会式・適性検査~ ―
    「れでぃーす えぁんど じぇんとるめん 皆様 めがっさながっっらくお待たせしたっかな? 只今より 『SOS団プレゼンツ 第一回 涼宮ハルヒ争奪戦』を 開催しちゃうっさー!!」 鼓膜が張り裂けそうな程の声をあげ、鶴屋さんは開会宣言をした。 時は8月7日。争奪戦当日となった。ハルヒの機嫌の様に雲一つ無く、絶好の天候となったようだ。 会場は鶴屋邸の一角にある庭園である。鶴屋さんも面白いことには飢えているのだろうか、二つ返事で協力を了承してくれた。 学校内で行うにはリスクがありすぎるからな。生徒会への根回しも杞憂に終わったな。古泉。 鶴屋さんは場所だけでなく、会場や必要な大道具・小道具・機材・人材を確保してくれた。その上、進んで司会まで努めてくれた。さすがは名誉顧問である。 『なぁに、他ならぬハルにゃんの頼みだからね!聞かないわけにはいかないっさ!ハルにゃんは大勝負に出たみたいだから尚更だね! ...
  • 生徒会の陰謀
    ~昼休み生徒会室~ 俺は今、生徒会室にいる。 …。 コンコン …。 「古泉です。」 「入れ。」 俺がそう言うとにやけ顔の男子生徒が入って来た。 「お呼び立てして申し訳ありません、会長。」 「用件は何だ、古泉。」 まぁ、予想はつくがな。 「最近また涼宮さんが退屈し始めましてね。また協力願えませんでしょうか?」 「協力願えませんでしょうかって…俺がどう答えようと協力させるつもりなんだろ?」 「ははは、分かっておられるなら話は早い。 それでは、今回のシナリオですが…。」 俺は古泉の言葉を遮り声をあげた。 「待て、古泉。」 「なんでしょうか?」 「いや、最近な…教師どもや生徒会執行部の連中からの突き上げがひどいんだ…。」 「?。」 「いつまであの連中を放っているんだ…とな?」 「…それで?」 「お前はいつか言ったな? 『我々はいかなる敵と戦っても必ず勝利するでしょう』 …と。」 「……。」 「…...
  • 朝倉涼子の逆襲
    空耳ではない。 どこかで、確かに、 「・・・ごめんなさい」 と、言う長門の声を。                   俺は、聞いたんだ。                   長門邸、深夜2時。     草木も眠る丑三つ時とはよく言ったもので、それはこの情報統合思念体によって作られたヒューマノイドインターフェースとやらにも当てはまるらしい。 ベッドで寝ている長門の寝顔は、普段起きているときとは違ってそりゃあもう安らかなものであった。・・・というか、こいつ、寝ているときの方が表情豊かじゃないのか? ん・・・?なんかむにゃむにゃ言ってるぞ。 寝言というのは深層心理の表れだと、かのフロイト先生も申されている。 普段無口な長門だからこそ、だ。 俺の中で寝言を聞いてみたい人物をランキング付けするならば、この長門こそ1位を取るに相応しい人物といえよう。                   ……え...
  • SOS団の無職4
    前回のあらすじ  キョンと妹が気まずくなっている頃、古泉は力いっぱい長机を長門のマンションまで運んでいた。  ジュースを買いに行く途中、キョンはハルヒに怒られてしまったが、嫌な気分ではなかった。変な意味じゃなくて。  図らずとも自分を抜きにした緊急家族会議を盗み聞いてしまったキョンは、失意のうちに家を飛び出した。  気づくとそこは、長門のマンションの前だった。     ~~~~~      長門は突然の来訪者である俺を、いつものように淡々と「入って」と言って出迎えてくれた。  長机が設置されたままの部屋の中には、もうSOS団のメンバーの姿はなかった。当然か。今日の活動は終了して解散したばかりなんだ。  長門しかいない部屋の中で長机だけがぽつんと立っている。楽しかった時間が終わりを迎えてしまった事実をつきつけられたような気がして、その光景が妙に物悲しかった。  俺を招き入れた長門は...
  • Happiness! 後編
    十二月二十四日(金曜日)   今日はいつもより寒い感じの中に目がさめた。だが起きたのは十時。当たり前だが、妹が起こしに来るわけもなく、自然に目がさめたのも充分寝たからなのだろう。 本来ならば今日は終業式。妹もちょうど俺が出ていく頃には帰って来るであろう。   昨日は今頃に集合だったのだが、今日は違ったのでこんな時間まで眠ることができた。   昨日、あの後ハルヒを連れてゲーセンに行き、連れて行った俺の方が疲れる事態になり、その後ハルヒを家まで送っていき、なんともハードな一日を終えたのだった。   ハルヒの家に到着し、別れ際に、 『明日は午後からでいいわ。そうね…明日午後二時に今日と同じように集合!遅れたら、死刑なんだから!』 と、指で銃をつくってバンっと撃って見せた。何をそんなガキみたいな…まぁ可愛らしいくもあるが…   それなのでまだ時間はある。とりあえずのんびり準備しながら、昼食の準...
  • 私の選んだ人 第8話
    私の選んだ人 第8話 「オセロ」 「今から約19分前、古泉一樹が、情報統合思念体と『機関』の間で半ば暗黙の了解的に認知されている停戦協定に於ける、現時点で設定されている有効期限以後に、わたしの自律行動を停止させようとする情報統合思念体内部での動きを取り消させた。それを受け、『機関』は今回の古泉一樹の行動を明確な叛逆行為であると結論付け、ルーチンに従い今夜12時0分0秒にその処分命令を下す事を予定している」 状況が把握できていない俺、心なしか怒っている風な長門、先程から落ち着きも無く血の気の失せた白い顔の朝比奈さん、珍しく笑顔のストックを切らせているらしい古泉の4人は、長門の部屋のリビングで布団を外されたコタツテーブルを囲み座らされている。 配置は俺の正面が長門、右側が朝比奈さん、左側に古泉。っとまあ、一応参考までにな。 んで、最初に口を開いたのがこの会の主催である長門。そしてそ...
  • アインザムカイト・ツヴァイザムカイト
          ―…… ―…… ―……あなたは誰 「……長門有希」 ―……同期失敗。対象をインターフェース『パーソナルネーム長門有希』の異時間同位体と認証できず。もう一度聞く。あなたは誰 「ナガトユキ」 ―質問を変更する。あなたの存在する時間平面及びその時系列上の情報統合思念体があなた……長門有希に出した指示は何 「……」 ―情報統合思念体の自律進化を実現するために必要な情報を極めて高い可能性で所有する一知的有機生命体の観測、場合によっては保護。それが対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェースとしての、わたしの存在意義 「……」 ―訂正。対象を暫定的に「異時空間同位体」と仮定義 「あなたはわたしと同じ。長門有希。でも違う」 ―ノイズ発生。無視できる程度 「一番奥の、一番大切なところが違う」 ―ノイズ発生。処理速度著しく低下。原因解析不可 「……あなたは誰。わたしと何が違うの」 ―エ...
  • 予行練習
    暑い、暑い暑い。 なぜ人類はこうなることを予測して二酸化炭素排出を遠慮してくれなかったんだろうか。 あぁ、暑い。 まだ6月後半だってのにコンクリで目玉焼きが焼けそうな日射しだ。 こんなに日射しが強いと、あのハルヒのギラつくような笑顔もかわいいもんだね。 む、これは決して変な意味ではない、エネルギー的な問題だ。 「確かに凉宮さんの笑顔は可愛らしいですね。特に貴方に向けてのは」 ・・・あぁ、ウザい。 なんでわざわざ非常階段まで逃げてきたのに、こいつのニヤケ面を拝まなければならないのだ。 ただでさえ暑くてダレた声ばっか出るのに、かったるいことこの上ない。 「地球温暖化、という現象が最も身近に感じられるのはこの異常気象ですね。 気象庁の発表によると今年の予測最高気温は全国的に40度を超えるそうですよ」 暑くてこれからの夏に気が滅入ってるというのに、余計落ち込むような話をするな。 クソ、いっそのこと...
  • 長門の日記
    長門の日記 4月*日 今日は入学式wwww まぁ、高校なんてどこでもよかったけどなwwww パパがここに文芸部あるとかなんとかいってたけどねーよwwwww パパ氏ねよwwww しかたね、明日、情報工作して文芸部と部室用意すっか。   4月*日 俺の神聖なる部室に観測対象と変な男がやってきた。 観測対象はとてもウザかった。 変な男は独り言をつぶやいていたので、とてもキモかった。 しかも、観測対象は俺の神聖なる部室にさば読みぶりっこ未来人を連れてきやがった。 さば読みぶりっ子未来人?お前が未来で、ホーケー手術と整形手術したのしってんぞ? 調子に乗ったら整形前のお前の顔写真ばらまいてやるwwwwwwwwww 観測対象は俺の神聖なる部室を占拠するらしい。 ぶっ殺してやるぶっ殺してやるぶっ殺してやるぶっ殺してやるぶっ殺してやるぶっ殺してやるぶっ殺してやる でも、親父に部室くらい占拠...
  • その他の短編30
    ガチャ 妹「キョンくん朝だよー!起きてぇー!」 キョン「zzZ」 妹「むー、起きてよー!」 ユサユサ キョン「zzZ」 妹「クソー、これでもかぁ!?」 ボスン キョン「…ぅ…zzZ」 妹「むむむ…くらえ必殺ギロチンチョークぅ!」 ドゴォン キョン「ぐえっ!」 妹「朝だよー」 キョン「ゲッホッゲホッ、この野郎!」 コチョコチョコチョ 妹「キャハハハハ!らっ、らめっくすぐっららめぇー!」 妹「……ハァハァ」 キョン「しまった…妹が“女”の顔になってる」 妹「キョンくん…もっとして…ハァハァ」   ガチャ 妹「キョンくん朝だよー!起きてぇー!」 キョン「zzZ」 妹「むー、起きてよー!」 ユサユサ キョン「zzZ」 妹「クソー、これでもかぁ!?」 ボスン キョン「…ぅ…zzZ」 妹「むむむ…くらえ必殺ギロチンチョークぅ!」 ドゴォン キョン「ぐえっ!」 妹「朝だよー」 ...
  • 七夕シンドローム エピローグ
     白くつつまれた視界が、一気に暗転する。実際にそうなったかは分からない。閉じた瞼の向こう側でそうなったように感じただけだ。  ゆっくり目を開けると、そこはどこまでも暗闇が広がる空間だった。真っ暗という訳じゃない。俺の手も、足も見える。どこが地面の境目かさえも分からないのに、俺はその場に立っていた。なんだこれは? とりあえず現実にある空間ではないことだけは分かるが。 「………失敗か?」  頭に浮かんだ最悪のシナリオ。元の世界に戻れるわけでもなく、改変世界にとどまったわけでもない。どこでも無い空間に、俺は放りだされたのか。  あの改変世界はどうなった? 俺のせいで全て崩壊しちまったのだろうか。ならあいつらに悪いことをしたな。俺はどうなるんだろう。このまま暗闇を永遠に漂い続けるのか。あいつらへの仕打ちを考えれば、この結果も当然かもしれない。  再び目を閉じようとすると、ほとんど暗闇と同化した...
  • 橘京子の消失(前編)
    「…………、……きて……」  ――声が……聞こえる―― 「……くん、………ったら……」  ――俺を呼ぶ声―― 「……むー、……おき……よ……」  ――どこかで、聞いたことのある―― 「……おき…………なら……」  ――しかも毎日聞くこの声は―― 「えいっ!」 「ぐふぉ!!」  朦朧としている頭で必死に状況把握をしている俺は、砲丸投げの玉を腹部に直撃したかのような鈍い痛みを伴って、完全に覚醒した。 「ってえな! 起こす時はもっと優しくしろって言ってるだろうが!」 「だって、キョンくんったらなかなか起きないんだもん」  ぷくっと膨れる顔はいつもよりも殊更幼く見えるが、それもこいつが今まで行ってきた業というものだろう。怒られたくなかったら無茶な起こし方をするなと再三言い聞かせているのに、この癖だけは一向に治る気配を見せない。  間違いなく俺の妹である。 「ごはんだよ~ あっさごっ...
  • 橘京子の消失(プロローグ)
     年始。  受験生にとってはこれほど厄介なものは無く、刻一刻と近づいてくる試験の恐怖に怯えながら、その不安を解消するかのごとく勉強に明け暮れる毎日であり、光陰矢の如く過ぎ去って欲しい時間の5指に上げられるといっても過言ではない。  何の能力もない一般人たる俺にとって、この持論は寸分どころかマイクロメートルの精度をもってしても違わず、恐怖に怯えながら様々な色のついたノートに目を釘付けにしている。  例え滑り止めの試験でも緊張するのは仕方の無いことであろうし、本命ならばなおのこと血管がはちきれそうになるほど心臓が高速運転をするんじゃないかと思うね。  ……おいおい、試験までまだ何日かあるんだ。今からそんなに緊張してどうするんだ。少し頭を冷やしたほうがいいな。水でもかぶってくるか……って、風邪を引いたらそれこそどうしようもない。  こう言うときは気晴らしに何か考えたほうがいい。これから送...
  • Another Story
    「そうですね…少し時間はありますか?話しておきたいことがありまして」 「急に何だ?」 まぁ部活…いや団活(かどうかすら疑わしいな)が終わった後時間があるのは俺の基本仕様みたいなものだが。   古泉は校舎の外の丸テーブルに俺を呼び出した。 ほんの少し前にこいつから超能力者と機関についての話を聞いたのがここだった。 あれからひと月も経っていないのに、今ではあの話をすっかり信じてしまえているんだから、 未来なんてのはほんとに予想のつかないものである。   「僕の力と機関のことについては話しましたね。そしてその証拠も見せました。 くしくもあなたは直後に涼宮さんと閉鎖空間に迷い込み、何とか帰ってきた」   こいつの話に合わせて映像を流すように記憶がフィードバックする。 今とは違い昼だったこのテーブル、夕闇のタクシー、モノクロの空間、 その後の一件…そこから先は俺の前頭葉が映像再生を放棄した。   「...
  • 涼宮ハルヒの団結 プロローグ
    「没ね」  団長机からひらりと紙がなびき、段ボール箱へと落下する。 「ふええ……」  それを見て、貴重な制服姿の朝比奈さんが嘆きの声を漏らす。  学校で制服を着ているのが珍しく思えるなんて我ながらオカシイと思うが、普通じゃないのはこの空間であって、俺の精神はいたって正常だ。 「みくるちゃん。これじゃダメなの。まるで小学校の卒業文集じゃない。未来の話がテーマなんだから、世界の様相くらいは描写しなきゃね」  ハルヒの言葉に朝比奈さんが思わずびくりと反射するが、ハルヒは構わず、 「流線形のエレクトリックスカイカーが上空をヒュンヒュン飛び交ってるとか、鉄分たっぷりの街並みに未来人とグレイとタコとイカが入り混じってるとか。そーいうのがどんな感じで成り立っているのかをドラマチックに想像するの。将来の夢なんかどうでもいいのよ。それにドジを直したいだなんてあたしが許可しないわ。よってそれも却下」  グレ...
  • 普通短編61
    ハルヒ「あんたベクトルの内積も求められないの?」 キョン「ほっとけ」   ある日突然、包丁を持った長門が俺の部屋にやってきた。 「長門……いったい何の真似だ?」 「……強盗。お金がいる」 「お金? いくらいるんだ?」 「五千円」 「いいぜ。いつも世話になっているからな」 「固いお金もいる」 「小銭のことか?まあいいが、何に使うんだ?」 「カレー。いっぱい買う」 「そっか。だがお店遠いぜ? 一緒に行くか?」 「……いく」 「包丁は邪魔になるから置いていけ。後で取りに来ればいいから」 「カレーいっぱい買えてよかったな」 「……(コク)」 「重いだろ?それずっと持って歩くのか?」 「……重い」 「家においておくか?好きなときとりくればいいだろ」 「……(コク)」 「外寒いよ?帰るのか?」 「……」 「うちに泊まるか?」 「……そうする」           ある日突然、包丁を持ったハ...
  • 涼宮ハルヒの軌跡 未来人たちの執着(中編)
    ◇◇◇◇   【一週間前に事故を回避した少年。また事故に巻き込まれ死亡】  惨劇を目撃した翌日の放課後。俺は谷口が床に引くために持ってきていた新聞に昨日の惨劇の記事が載っていたので、それをかっぱらって読んでいた。他にニュースがなかったのかそれとも珍しい事件だったためなのか新聞社がどう判断したのかわからないが、見事に一面トップを飾っていた。上空から落下した看板を写している写真も掲載されている。  もちろんその下に広がる血もだ。生々しい報道写真である。  昨日その事故に巻き込まれた男子生徒は、やはり先日に俺が助けた奴だった。事故現場にいた目撃者や警察発表によれば、事件性はなく偶然に偶然が重なったために起きたらしい。折れた標識は老朽化が酷く、近く交換される予定だったし、看板も隣接する道路の度重なる大型トラックの通過で激しく揺さぶられ続け、留め金の部分が壊れてしまっていたようだ。  実際に目撃して...
  • 古泉一樹の結婚
    「キョン、ぐずぐずしてないで早く来なさいよ」   「うるさい、分かってるよ」 あいつはこの坂道で何でこんなに元気なんだ。   「高校の通学路の方がきつかったでしょ、この程度余裕よ」   くそっ、高校の通学路の方がまだマシだった記憶があるぞ。 それとも俺が年取ったって事か?いや、まだそこまでは…   「あんた、体力落ちすぎよ。情けないわね」   「お前みたいに涼しい格好じゃねぇんだよ。しかも駅から距離があり過ぎるだろ だからタクシーで行こうって言ったのに」   「この程度でタクシーなんてホントに情けないわ、それでも団員一号なの?」   団員か、懐かしい響きだな。SOS団は既に有名無実だ。ハルヒから団員という言葉も久々に聞いた。 やはり、久しぶりに他の団員に会えるからテンション上がってんのか?   「何ボッーとしてんの、もうちょっとだから頑張りなさい」   はいはい、分かりましたよ。   「そ...
  • 橘京子の憤慨 その3
     地獄の猛火を思わせる、尋常ではなく暑かった夏もようやく落ち着き、虫の声も聞こえ始めてきた――  俺は冒頭でそんなことを言ったかもしれない。だが、今この部屋――和菓子屋の1個室――は、夏の終わりどころか、秋を通り越して真冬……いや、木星の表面温度くらいまでに低下していた。 『…………』  俺と橘は凍り付き、身動き一つも取れず、そして一言も発することができない。  それもそのはず、まさかこんなところに来るとは思わなかった珍客――佐々木が現れたのだから。 「こんなところで何をしているんだい?いや、それは愚問だったかな。ここは所謂和菓子屋だ。販売業者や原材料の卸業者ではない、一般的市民が和菓子屋に行く事由なんて言うのは、非常時でもない限り大概決まっている。即ち、その店のお菓子を購買するために他ならない」 『…………』  俺並びに橘、再び沈黙。静かに佐々木の言葉に耳を傾ける……ってす...
  • SOS団のメタボ5
     人間は遠い昔から、あの大空に無限の夢を見てきた。  白く、そして時には黒くたなびく雲の群れ。夜にはそこに目を奪われるほどに美しい星々を撒き散らし、心を妖しくかきたてる月を浮かべる。  何者も畏敬の念を抱かずにはいられない雄々しい太陽。そして誰も逆らうことのできない神の雷。青々とした、澄み渡った空は常に変化を続け、川底の小石を撫でる水のように我々地上の動植物を包み込んできた。  だからこそ人は鳥に憧れ、翼に信仰を抱いた。偽の翼で大空を我が物にしようとした愚かなイカロスは、だから侵すことのできない大いなる神の領域に力及ばず散ったのだ。  人は神には及べない。ここで言う神とはハルヒのような例外は別として、大自然のことだ。物理法則ってやつだな。  人は神に及ぶべくも無い。天を目指した長大な塔は砕け、神をたぶかそうとした愚かな人間は惨めな罰を受けた。  人は飛行機や飛行船など、物理法則に忠実に...
  • 橘京子の暴走(後編)
    「いったーい!! 何するんですかぁ!!」  聞きたいのはこっちだ! 何やってるんだお前わぁここでぇ!! 「見て分からないですか? 高校の進路相談会のパーソナリティですよ」  そうじゃなくて何でお前が……いや、やめた。理由を聞いたところで俺のメリットになるモンは何もないし。大人しく流そう。そうだ、それがいい。 「えー。そんな事言わずに聞いて下さいよ。減るもんじゃないんだし。実はですね、組織が壊滅の危機に立たされてお給金すら配給の目処が立たなくなって、だからこうしてアウトソーシング的な仕事もこなさないとあたしのバイト代が……」  嫌だぁぁぁ! 聞きたくないぃぃー!! 「そんな我が儘許しません! これもそれもみんなキョンくんのせいですからね! いわゆる一つの『責任、取って下さい』ってやつですからよろしく!」  よろしくされる筋合いはねぇ! 全部お前が悪いんだろうが!! 「えー、だって……」 「...
  • 昼下がりのホームセンター
    神聖な日曜日。週休二日のはずが、俺にとっては唯一の安息日となる日曜日だ。 世界は眩しい光に満ちていた。雲一つない空に調子づいた太陽が、紫外線やら赤外線やら可視光線やらをガンガンふりまいている。 親は妹をつれ出掛けてしまった。目的は子供向けアニメ映画の鑑賞だ。誘われはしたものの、さすがに行く気にはならん。 シャミセンしかいない家の鍵を掛けて、自転車を引っ張り出した。 自重を知らぬ太陽のおかげでたいしたことをしていないのに、汗が流れ出してくる。 しかしこの程度のことでめげるわけにはいかない。 タオルを首にかけて、いざ出発しようではないか。 はるか彼方にあるホームセンターに。 自転車で20分も掛かるホームセンターに出掛けるのは訳がある。 シャミセン用キャットフードがなくなってしまったためだ。 キャットフードのストックを探したがない。親に聞いたところで、ないものはない。妹に聞いたところで知らない...
  • young
      young 0  部室から見えるその空は、曇っていた。曇っていたが、青かった。快晴よりも晴れらしい。部室の皆がそれを見ていた。開けられたカーテン。冷えたままのテーブル。青臭い衝動で満ちていた。  梅雨は昨日を最後に終わったと、気象予報士が言っていた。誰も口には出さなかったが、朝比奈さんを除く部員たちは、二度目の夏に心を浮かせていたのだろう。  見たことも無い模様のうちわが、元文芸部のタンスの中に入っていた。三つテーブルの上におかれたそれ。出番は無いようだ。夏風が、彼女の黒い髪を揺らしていた。  彼女は顔を背けるようにして、窓のほうを向いている。さらさらと髪がゆれ、肌を撫でているようだ。きっといつもの、仏頂面であろう。そう思った。  土曜講座の後の部活にしては、みなの気分が低いようだった。それは彼女が、原因かもしれない。いつもと、逆の気分。夏の空気のような彼女の、気まぐれで爽快。...
  • 古泉一樹の約束
    まだ、僕は死ねないんですよ。     薄れゆく意識の中。     そんな事を思った。     古泉の左手は     赤く、血に染まった。     ◇ ◇ ◇ ◇      太陽が西に傾き、夕焼けの空の下、坂道に二つの影が伸びる。 長門有希と古泉一樹は共に学校からの坂道を降りていた。 秋風が舞い、長門の髪が揺れる。 肌にからみつくそれが少しだけ、心地よかった。 長門の左耳には、銀色のイヤリング。 誕生日など無いと言い張る長門に、それでは今日を誕生日にしてみませんか?と送った一品だった。 長門は、ひそかに気に入っているらしい。 絶対に口にはしないが、身に着けている事がそれの証明だった。 文芸部室へと続く廊下の途中、古泉が「よろしければ、一緒に下校しませんか?」と長門を誘ったのは、SOS団の活動が始まる少し前のことである。 肯定とも否定とも取れない仕草で応えた長門に、急なアルバイトが入らなけれ...
  • 橘京子の動揺(事件編)
     チャリン――    厳重に閉ざされた扉の向こう。静寂が支配するその空間に、無常の金属音が響き渡る。  ホールの奥、ステージの中心。そこに座する金の女神像。  その女神像を前にして、一人の男が声を震わせながら蹲った。 「…………どうして…………こんなことが…………」  彼――元生徒会長の彼は、金策尽きた中小企業の社長のように絶望の淵へと追いやられていた。  ニヒルスマートとも言うべき端正なマスクも、今となっては見る影もない。  だがそれも当然である。今ここで起きたことを鑑みれば、誰しもこの生徒会長のように取り乱してしまうのは吝かではないはずだ。  その証拠に、彼の言動を――偽りの仮面に潜む素顔を知る『彼ら』でさえ、どのように対処し良いか分からず立ち尽くし、じっと彼の方向に目線を向けるに留まっていた。  突然の来訪者である俺、漆黒の振袖を身につけた九曜、紋付袴を着込んだ藤原、……そし...
  • 『Short Summer Vacation』
    『Short Summer Vacation』  そいつは唐突にやってきた。『災害は忘れたことにやってくる』なんてのは所詮昔の人の妄言で、忘れなくたって災害は遠慮なしにやってくる。むしろ毎日のように『くるな』と祈っているのにそれでも来るんだからこの言葉の薄っぺらさが分かるってもんだ。  まあ、これから俺の身に降りかかったそれは、災害なんて甘っちょろいものじゃなかったんだが。  その日、俺はいつものようにSOS団の部室に向かっていた。2年生になってもこれはまったくいつもどおりで、部室に行けば宇宙人製なんとかかんとかインターフェースが本を読んでいて、未来からやってきた俺の癒しのエンジェルがお茶を入れてくれて、ことあるごとに俺にアプローチかけてくるウホが毎度勝ち目の無いゲームを挑んできて、そして進化の可能性を秘めていて時間の歪みの原因で神であるという笑うしかないステータスをもった美人が笑顔...
  • 藤原くんの溜息
    ※周防九曜の溜息の続編っぽい話です      三年前の今頃。木枯らし吹き荒ぶ寒の候、暦の上の春とははやり旧暦に則った季節であると感じた二月の上旬。 三保の松原に降り立った天女の如き麗姿なお方が、あろうことか双子になるという至福且つ至高を感じ、しかし同時に発生した不謹慎且つ憤懣な事件によって地獄の底に突き落とされるという表裏一体の出来事があった。 言うまでもない。波瀾に満ち溢れた俺の高校生活の中でも三指に入るほど腹立たしいであろう彼の事件、『朝比奈みちる誘拐事件』である。 羽衣だけならばともかく本人そのものを奪い取るあの所業には、流石の俺も怒ゲージMAX230パーセントを32個分くらい溜め込んでもなお余りあるほどの怒りが込み上げてきたってもんだ。 その後も時々夢に出ては胸糞悪い目覚めで幾度となく学校をサボろうと何度思ったことか。もちろん、実際にはサボってなどないがな……。 と、それはと...
  • 橘京子の陰謀(合宿一日目)
    「はあ……」  ――バタンッ――  帰宅するや否や、抱擁するかのごとくベッドに吸い込まれた。理由は簡単だ。めっちゃ疲れたからである。 あの後、橘京子も何故か市内探索に参加する事になった。理由はハルヒ曰く、『変なものが寄せられつけるかもしれないしね。ほらよく言うじゃない、類は友を呼ぶって』って事らしい。なるほど納得。その意見に橘は『ちょっとひどいじゃないですか!あたしはゴキブリほいほいですか!』等と叫んでいたが、突っ込むところが間違っていると思うのは俺だけではないと思う。それとも自分が変なキャラだって言うのを自覚しているのだろうか?  まあ、不思議探索に橘を参加させるだけならまだいい。いや、結果的には良くなかったんだが、それ以上何事も無く慎ましく事を運んでくれたらそれでいいのだ。だが橘の存在そのものが大問題だったんだろうな、あれは……  スマン、つい愚痴ってしまった。本筋に話を戻そう。...
  • Project512_Part8
     Project512_Part8-もくじ- Part1Part2Part3Part4Part5Part 6Part7 Part9 Part10 Part11 Part12 Part13 Part14   キョン「あー、何故か今回収録分はハジケたネタが多々含まれているので、 覚悟して見てくれ」   ハルヒ「ちょっとキョン!なにエロサイトの免責事項みたいな事言ってんのよ!  平安時代からあるちゃんとした日本語だから問題ないわ!」   佐々木「ふーむ、学問的に研究してみても面白い話題かもしれないね。  ちなみに漫画家でこんな人がいるよ、参考になるかな?」   ──おしながき──   【中西貴子劇場!】ENOZ注意!   【チャック・佐々木と結婚できる?】オチなし注意!   【チャック・涼宮ハルヒが《禁則事項》できる】とりあえずR15とか書いとく。   【くに☆きだ】 (チャック・国木田がいじめ...
  • 橘京子の溜息(前編)
    『明日ですが、お時間頂けないでしょうか?ご相談したい事があります』  俺は古泉からそんな内容の電話を受け取っていた。詳しくは分からないが、やはりハルヒに関係する事らしい。困った奴だ。今日も今日とて市内不思議探索に繰り出し、そこで見たチンドン屋に、『この時代にあんなのがあるなんておかしいわ!どこかに時間の亀裂があるのよ!』等とほざいていたしな。  取り敢えず今日は早く寝よう。疲れた。 「おはようございます。お待ちしておりました」 「お久し振りです。おはようございます」  いつもの集合場所、いつもの喫茶店に入って見えたのは、古泉だけではなかった。    ―橘京子。  朝比奈さん(みちる)を誘拐した、人間の風上にも置けない、見た目普通の女子高生、しかし実態は古泉の機関に対立する組織の人間。  恐らくある程度の地位と権限、そして能力を持つエージェント。俺の予想でしかないが、あの森さんの睨み...
  • 私の選んだ人 第2話
    私の選んだ人 第2話 「僕は寝てはならぬ」 「いい車ですね。でも少し意外だな」 色の薄いサングラスをした運転中の森さんは、全くこちらを見ずに、 「皆そう言うのよね。水色は似合わないって。私にはカワイ過ぎるってどういう意味よ。私だって女よ?」 と、鋭い声で僕の「意外」に対する答えを返した。 僕は今、森さんの私用高級国産車の助手席に座っている。メタリックなライトブルーのコンバーチブルで、彼女の言う様に水色に見える。今はオープンカーだが、電動式のルーフを閉じると4人乗りの乗用車になる。内装は赤のレザー。今日は気候が丁度良く、開放感が気持ち良い。風は驚くほど感じない。 ちなみに先に断っておくと、どこへ向かっているのかはまだ聞いていない。 ……しかし相当高いなこの車。それになんというか、「カワイイ色」以前に、この車と持ち主を見てカタギだと判断する人間は100人中1人未満だろう。あ、今は僕...
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