涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki内検索 / 「幻惑小説 第一頁」で検索した結果

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  • 幻惑小説 第一頁
      ◆◆◆◆◆    萎れた木々からポツポツと零れていた紅葉も全て抜け落ち、あと一ヶ月もするとクリスマスの予定を立て始める様々なカップルや、慌しくケーキをせっせと用意する店が増え、それに加え街はネオンの光に包まれる頃合いになるだろう。  だが所詮一ヶ月後の話であって、平々凡々と高校生活を真っ当――超が付くほど非常識ではあるが――している俺にはクリスマスの日に愛する女のために尽くすことも、ましてやケーキを作る……なんてことは地球がひっくり返っても有り得ないことだ。  俺の予想としては、時事イベントをことあるごとに制覇していく我等が団長さんか、はたまた冷静でスカした性格とハンサムフェイスを併せ持つ超能力者さんのどちらかが頼んでもいないのにどんどん面倒ごとを持ち出して来るから、イヴの日もイエスさんの誕生日も俺はそれらを消化していかなければならない使命にあるだろうね。  今頃いつかの喜緑さん...
  • 幻惑小説 プロローグ
       わたしはいつものように本を読んでいる。朝比奈みくるがお茶を出し、彼と古泉一樹が遊戯を愉しみ、涼宮ハルヒが黙々とパーソナルコンピュータに打ち込んでいる中で、ひとつの”楽しみ”を淡々と味わっている。  読んでいる本の物語はそろそろ中盤へさしかかろうとしていて、わたしが頁をめくる速度も、残り頁が少なくなるにつれて徐々に早まっていく。途中で面白い本だと気付いて残り頁を確認したわたしは、まだかなりあることに安堵する。  それと、この物語の登場人物は謎が多い。主人公である『彼』は、物語中では名前が一切出てこない。『彼』と表記されるだけであり、ヒロインである『彼女』も同様。それだけではなく他の登場人物の名前は全てない。『女友達A』や『男友達A』、『先生A』等で表記されているだけ。非常に読みにくい。  けれどわたしは読み続けた。物語の『彼女』の趣味は読書でわたしはほんの少しの愛着を持ったから。...
  • 幻惑小説 第七頁
       外に出てから気付いたが、夕闇に暮れていた空の色は段々と濃さを増していき、街頭が街を照らす時間帯になってきていた。 「どうも。」 「神人狩りお疲れさん。」 「まだ閉鎖空間の発生は絶えませんよ。同士たちが総動員で狩りに出ています。ああ、そこの二人は除いてね。」 「長くなりそうな話があるんだろ? 車内に入ろうぜ。立ち話はちと寒い。」 「あの……わたしも車に乗っていていいんでしょうか?」  というの喜緑さんの声で、古泉が爽やかに答えた。 「できればあなたにも聞いておいて欲しいのです。どうかそのままで。」  いや、きっとそういう問題じゃなくて、いくら五人乗りの車だとはいえ後ろ座席に男二人と乗るのはどうかという話じゃないのかね。 「まず僕の仮定の結論から話しましょう。僕の想定を総合するに……長門さんは自分だけの空間で世界改変を行ったのですよ。」  また世界改変を……だと? お前、前の一件を知って...
  • 教科書文通1
         長門さんが、9組に教科書を借りに来てから二日たった。 今日の1時間目はあれから初めての日本史である。 僕の机の上には、一昨日の放課後、部室で長門さんに返していただいたそのままの日本史の教科書が。 やっぱり、長門さんは僕の落書きを見てしまったのだろうか。  僕がした落書き。 それは、戦国時代末期の歴史が記されたページの隅にいつも使っているシャープペンで長門有希、情報統合思念体、TFEI端末と書いたものを同じシャープペンで塗りつぶして消したものの斜め下に、〝長門さん〟と、書き残してしまったもの。 ああ、勘違いを招きそうだ。 激しく勘違いを招きそうだ。 長門さんが気を悪くしないといいのだけれど……。  あの落書きは、元はと言えば、歴史オタクで時代小説オタクの日本史教師のせいだ。 いや、全てを先生のするつもりはないのだけれど……。 しかし、トリガーになったのは、確実にあの日本史...
  • Different World's Inhabitants YUKI~カヨウビ(その二)~
        目が覚める。 辺りを見回す。 何もない部屋を。   現在、午前7時。 普段なら、布団から抜け出して、学校へ行くための準備をするのだが、何故だか気が進まない。   頭が痛い、様な気がする。 風邪を引いている、みたいだ。 いや、体調自体は悪くないのだろう。至って健康だ。 これは1種の、気の病のようなものだ。   じゃあ、何故? 何が私の気を病ませているの?   答えは簡単だった。 でも、答えたくなかった。   昨日の、彼と涼宮ハルヒの姿を思い浮かべる。 怒っていても、溜息をつきつつも、心の奥底の楽しさを隠しきれていないあの2人。   それは、今まで私が読んだ、恋愛小説の中の『恋人同士』の関係に近かった。 いや、本人達には自覚はないのかもしれない。 しかし、周りから見るとそれは紛れもなく『恋人』の関係だった。   この時、私が感じた思い。 悲しくて、苦しくて、心を貫きそうな感情。  ...
  • 涼宮ハルヒの団結 第七章
     午前中。休み時間とは名ばかりの、次の授業への移行時間かつ執行猶予時間の際。  俺は……古泉は登校しているのだろうか、長門はどうしているだろうかなどを自分の席に着いたまま黙考していた。 「どうしたんだい? あまり元気がないみたいだけど。なにか悩みでもあるの?」  国木田はこちらへと近づきつつ俺に問いかけ、俺は背後にハルヒが居ないことを確認すると、 「……悩みが多すぎるのが悩みだな。正直まいってるよ」 「ふうん。てかさ、涼宮さんも何だか元気がないみたいだね。ひょっとしてケンカした?」  普通は聞きにくいようなことを飄々と聞いてきた。国木田よ、俺とハルヒはケンカするほど仲が良いわけじゃ……。  いや、あるのか。いつも俺がボッコボコにされてるが。国木田はなおも飄々と、 「聞きにくいって? もしかして、キョンと涼宮さんのケンカは犬も食わない感じになってるの? それなら、僕がそれを聞いちゃったのは野...
  • 涼宮ハルヒの分身 Ⅰ
      Ⅰ   ドカドカドカ、と鈍器で頭でも殴られたんじゃないかと疑問に思ってしまうような擬音と共に分厚い本を目の前に置かれてから2日経った頃、俺は早くも心に土嚢でも負ったかのように挫折しかけていた。1週間でノルマ5冊。これは読書が好きな人でも結構キツいんじゃなかろうか。 「よりによって哲学‥‥」 俺はいよいよブラック企業に務めたかのような感覚に押し入られてしまった。  ハルヒ曰く、 「SOS団たる者、多少の本を読んで常に知的な人材である必要があるのよ!」 「本を読んでいるイコール頭良いなんていう安直な考えは止めた方がいいぞハルヒ」 「皆、異論はある? あるなら読書大会が終わった後原稿用紙10枚分みっちり書いてきたなら、見てやらないことはないわよ」  俺の言葉は遠回しすぎたのか、異論としては認められなかった。いや、仮にボウリング玉がピンと接触するぐらいの近さでの言葉を言ったって...
  • 長門有希の憂鬱Ⅰ二章
    長門有希の憂鬱Ⅰ 二 章 目の前に、口をあんぐり開けたおっさんがいた。 よれよれの服を着てベンチに座っている。 「あんた……今、そこに現れなかった?」前歯が一本欠けている。 「え……ええ」 「ワシゃずっと見てたんだが。あんた、そこに、いきなり現れた」 「そうですか……?たいしたことじゃありません」人がいきなり出現したなんて全然たいしたことだろうよ。 ホームレスっぽいおっさんは俺をまじまじと見つめていた。 やがて飽きたのか、目を閉じ、うとうとしはじめた。 ここはいったいどこだろうか。俺は目をこすって周りを見た。 ほっぺたをパシパシと叩いてみた。これは夢じゃない。人が大勢歩いてる。閉鎖空間でもないようだ。 どこからか列車の発車を告げるアナウンスが聞こえた。どうやら駅のコンコースらしい。 駅の名前は見慣れない、俺の知らない地名だった。 さて...
  • 涼宮ハルヒの団結 第十三章
     そして公園へと戻った俺は、別れ際の朝比奈さんの言葉を思い出して切ない気持ちを抱いていた。  ……いつかまた会えるといいな。あさく――、 「あ、先輩おかえりなさいっ。朝倉って人はどうでした? フフ、ちゃんとガツンとかましてきましたよね? 先輩を傷つけるような悪い人は……って、」  俺が唖然とした表情を貼り付けているのを見た朝比奈みゆきはポカンと、 「どうしたんですか? 呆けた顔しちゃってますよ?」  ……涙が出そうになった。  なぜ今まで気がつかなかったのか。そうだよ。この声と、この髪の色は――。 「――いや、朝倉は悪い奴なんかじゃなかったよ。とても人思いの奴で、良い奴だった。……ホントに、ありがとうな」 「ほえ?」キョトンとした後、「フフ、おかしな先輩。なんでわたしにお礼なんて言うんですか?」 「あ、いや、すまない。……なんとなく、な」 「んー、今度は謝るなんて、やっぱりおかしな先輩...
  • ビストロSOS団
    「料理対決をしましょ!」 ハルヒがそんなことを急に言い出したのは昨日のこと。 理由など知らん。 知ったところで、理解できるとは思えないけどな。 文句を言っても無駄なのは承知の上だ。   ルールは2人対2人のグループ対決。 で、くじの結果、俺と朝比奈さんチーム、長門と古泉チームで分かれて勝負をすることになった。 ハルヒはオーナーらしい。   で、今俺たちは学校の調理室にいる。 家庭科で調理実習をやる場所だな。 むかって右側が俺たち、左側が長門チームだ。 現在、ゲストとかいう人を待機中。   そして、今日の(?)ゲストがやってきた。 「どうぞこちらへ」 ハルヒが椅子を用意して、そこにゲストが座る。   鶴屋さん。 涼宮ハルヒの退屈で堂々のデビュー果たし、 その広いおでこと長い髪、そしていつも笑っているというところから一躍人気に。 その後、雪山での山荘を提供したことにより、SOS団名誉顧問になる...
  • 幻惑小説 第三頁
      ◇◇◇◇◇    小説内での十二月二日が休みだったから、わたしはなんとなく予測出来ていた。午前七時五十五分、涼宮ハルヒからの連絡。  やはり今日の不思議探索は中止になった。理由はメンバーのみんなが疲労しているから。でもこれで、今日一日は読書に集中出来る。   ********************************************************************************************************************************    彼女は今日、彼を駅前に誘った。他の誰にも内緒で。  理由は何でも良かった。この行動は彼女がただ、彼と二人っきりで会いたいと思ってしたこと。   ***************************************************************...
  • 涼宮ハルヒの悲調
    涼宮ハルヒの悲調  ●第一部  何をしていたか思い出すのに、しばらく時間を要した。  やがて目を開けるのを忘れていたことに気づく。  カーテン越しの世界から、濁った光が溶け出している。  そういえばずっと雨だなあ、と口に出すと、ベッドで寝息を立てる朝比奈さんが何か呟いた。  ――何をしているんだろう。思い出したはずなのに、また忘れている。  SOS団が一週間前に解散した。理由は一つ。ハルヒが死んだ、それだけだ。  この事態を飲み込むのは、酒に弱い俺が飲み慣れない日本酒をゲロするよりも早かったが、それで爽快、というわけにはいかなかった。  うすぼんやりとした哀しみはここの所続く雨みたいに降りしきる。  積もることはない。薄い涙の膜が脳みそを綺麗にコーティングしてるみたいだ。  うすぼんやりのままだ。たぶんずっと、おそらくだが。    死んだ次の日、俺たちは――旧・SOS団員は――部室に...
  • 涼宮ハルヒの遡及Ⅲ
    涼宮ハルヒの遡及Ⅲ     「え……? この世界に来るまでにいくつかこの世界のパラレルワールドに行ってたって……?」 「そういうこと。まあ、あたしはキョンくんとあんまり関わりがなかったんで別の世界に着いて、あたしの知ってるキョンくんじゃないって判断できたらさっさと戻ったんだけどね。蒼葉の方は少し関わってきたみたい」 「パラレルワールドって実際にあるんですか!?」 「だって、ここに行き来したあたしがいるし。なんならどんな世界だったか教えてもいいわよ。あ、先に言っとくけど、基本的にはこの世界とほとんど変わんないからね」 「ふわぁ……でも、パラレルワールドってどうやってできるんですか?」 「ううん……これはあたしたちの世界の並行世界の論理に基づいた考え方になるんだけど……そうね。あなたたちにとって時間は可逆? それとも不可逆?」  難しい話じゃないな。だいたいここにいる人間の内に一人、未来人...
  • スタンド・バイ・ミー
    「廃墟探索よ!」 ハルヒがまた何かを思いついたらしい。 「あまりにもベタすぎて考慮から漏れてたけど、基本あってこその応用よね。」 どうせどっかのサイト見るまで思いもつかなかったんだろ。 「もうひとつ報告。今年の夏合宿はたった今、軍艦島に決定しました。その肩慣らしの意味でも 今週の不思議探索はMホテル跡にします。」 勝手に決めるな。 「軍艦島もMホテル跡も有名ですからね。不思議なんてとっくに荒らされて無くなってませんか?」 「古泉くんも甘いわね。そういう所にこそ見逃されたお宝が眠ってるわけじゃない。」 「でも怖くありませんかぁ?」 「大丈夫よ。有名ということで安全性は確保されているわ。」 さっきから矛盾だらけで無茶苦茶なことをいってないか? 「有希ー、軍艦島と言えばあんたの苗字って…」 「戦艦長門。八八艦隊計画の第一号艦として生まれた。当時世界最大の41cm主砲を2連装4砲塔の計8門を搭載。...
  • 高校生クイズ
    SOS団の5人で下校していたときのことだ。 俺達の先頭を行っていたハルヒが、帰り道にある電気屋の前で何故か立ち止まった。 「どうしたハルヒ?」 「別に、テレビがあったから。なんとなく」 サイズ違いのテレビが5台、外に見えるように展示してある。全て同じチャンネルに合ってるもんだから、見てたら目がチカチカしてくる。 「クイズ番組のようですね。以前見た記憶があります」 古泉がいつものようにニコニコ、いやニヤニヤしながら言った。そのくらい俺でも見れば分かる。以前見た記憶も無い。 「あ、これの答え3じゃない!?」 「え?これは2じゃぁ・・・」 「僕は・・・4かと思いますが」 ハルヒと朝比奈さんと古泉で勝手にクイズ大会を始めてしまった。・・・まぁなんとなくオチは読めるんだが。 『正解は・・・1番で~す!』 テレビの出演者が「え~」っと声をあげる。おっと、出演者だけじゃ無かった。 「え~?何で何で!?説...
  • 七夕シンドローム 第五章
    「で、何なのよ話って」  俺達、というか俺とハルヒと古泉の三人は、駅近くのファミレスまで来ていた。いつもの喫茶店はとっくに閉店時間を過ぎている。  コーヒーが三つ並んでいるテーブルの向こう側に座るのは微妙な笑顔を浮かべる古泉と、腕を組んで俺をねめつけるハルヒ。これまたあの冬を思い出す構図だ。  とにかく、言わなくては。これは賭けだ。朝倉が提示してくれたチャンスを、逃すわけにはいかない。意を決して俺は口を開いた。 「ハルヒ………俺は、ジョン・スミスだ」  それきり流れる沈黙。ハルヒは不機嫌顔のまま動かない。 「……何それ。冗談のつもりで言ってんの? あたしにはあんたは立派な日本人にしか見えないけど。それとも日系? 学校で名乗ってるのは偽名なわけ?」  憮然としてそう聞いてくる。 「……四年前の七夕。お前は落書きしなかったか? 中学校の校庭に、でかでかとけったいな絵文字を」 「そんなことしてな...
  • 機関の推測
    【このSSは「疑惑のファーストキス」の続編です】   「はっきり言いましょう。  いい加減にして下さい。  我々『機関』だって、貴方と涼宮さんのプライベートに踏み込みたくはありません。  ですが、貴方の特殊な性的嗜好のために世界が崩壊することは避けていただきたいのです」 「あのぉ」 朝比奈さんがおずおずと手を挙げた。 「『とくしゅなせーてきしこー』って何ですか?」 朝比奈さん! けがれ無きあなたが、変態・古泉の話など聞いてはいけませんよ! 俺の血を吐くような叫びはまるっきり無視され、古泉はマイエンジェルの耳元でゴニョゴニョと話し始めた。 まるで、硫酸にひたしたリトマス試験紙のように、朝比奈さんの顔が見る見るうちに真っ赤に染まっていった。 「キョ、キョン君って、ヘ、ヘンタイさんだったんですね」 朝比奈さん、言い方は大変可愛らしいのですが…… おいこら、古泉、てめえ、俺の朝比奈さんに何を吹き込...
  • トリックオアトリートさ(佐々木×ハルヒ)
        「というわけなんだよ。佐々木さん」  それは僕の羞恥心をえぐり出すような体育祭を終え、紅葉が河川敷に四季を彩らせた頃だ。 「一体何がというわけなんだい」  生徒会室にて前期生徒会役員だった国木田が僕に提案した依頼は、一理の理解すら不可能に近い物だった。と言うより理解してたまるか。 「そんなこと言わずにさ、ハロウィンの日に魔女衣装を着て商店街を練り歩いてよ。お願い」 「できるか!」  なんだその罰ゲームみたいなお願いは!ハードだしハードルが高過ぎる!そしてその人畜無害を似顔絵にしたような笑顔を消したまえ!今すぐ空中佐々木チョップで全身計26箇所の複雑骨折を強いりたくなるくらいにムカつく!  実は我が校の生徒会にはハロウィンの日になると、地域振興と交流を兼ねて町内の子供会と共に、ハロウィンの意識した仮装で商店街を練り歩くという伝統があるのだ。いやだ、そんな伝統。  しかしだ、国木...
  • chapter3
    しばらく互いに唖然としていたが、ふと思いついた。 「もしかして、異時間同位体か?」 しかし、もう一人の俺は未だに唖然とした様子で、 「…いじかんどういたい?なんだ…そりゃ。」 とだけ答えた。どうやら違うらしい。となると…、 だっだっだっだっだっだっだ まずい。ドア開けっ放しだった。妹が上の様子がおかしいから 見に来たんだ。ええい、止むをえん! 「すまん。」 「ちょ、なっ…。」 ガラガラガラ ガシャ 「キョン君。何か一人事言ってたみたいだったけど、どうしたの?」 「いや、大した事じゃない。明日の化学の小テストの暗記をしてたけだ。」 「ふ~ん。でもドアを開けっ放しでしないほうがいいと思うよ。」 「ああ、今度から気をつける。」 「勉強がんばってね。」 バタン だっだっだっだっだっだっだ 「ふー。もういいぞ。」 俺は窓の外に放り出したやつにそう言った。 「いったい、何なんだ?」 「正直なところ俺に...
  • 間違いだらけの文化祭 Scene3
     演劇ロミオとジュリエットの準備は全体的に見れば順調に進んだ。  一番セリフが多いやつはさっさと覚えたし、全員の衣装は出来上がり、宣伝のポスターも校内中に貼られた。  ポスターは画用紙に開催時刻とクラス名を書いた適当なものだ。  わざわざポスターなんて貼らなくても強制的に体育館に集められることになっている。  サボることもできるが点呼時にいないと欠席扱いになってしまう。  だいたいは大人しく体育館で出し物を見るか、居眠りをするのが通例だ。  そんなわけで、クラスの準備は整って来ていた。一部を除いて。    体育館で衣装を着ての練習が始まった15分後、いきなり中断が入った。 「キョンくん、まだセリフ覚えてないの!?」  眼鏡をかけた女子が金切り声で非難を口にした。  文化祭実行委員の彼女は自分のことのように眉を吊り上げている。  受験生だってのに余裕のあることだ。そういや学年10位以内だった...
  • ロマンティックが止められない
    ※ホモ・百合ネタ注意    雷鳴轟く季節外れの嵐の夜。とある北高生宅の台所には、頼りないロウソクの火に照らされた怪しげな人影が一つ。   「あとは雄の三毛猫の毛を煮出した汁を一滴入れて、マムシの干物の粉末を小さじ一杯……と」    この魔女の薬作りを連想させる、奇怪極まりない作業を行っているのは、時には人知れず、時には本人すら知らずの内に何かしらの騒ぎを生産し続ける暴走少女、涼宮ハルヒである。   「それで色が紫から透明に変われば完成なんだけど……あ!」    不思議なことに、鍋の中の液体は、彼女の言葉通り毒々しい紫から一点の濁りもない無色透明へと変化していった。  一つ付け加えるなら、先程の魔女の薬作りという表現は実は比喩ではない。彼女が手にしているレシピは、本物の魔女が残したとされる曰く付きのシロモノである。   「か、完成したわ!」    どういう化学変化が起きたのか解明不能な、...
  • 古泉とちぇんじ
        サンタクロースをいつまで信じていたか、なんて事は、恐らくこの世界を普遍的に生き抜くにおいて何ら意味をなさない質問でしょう。しかしながら、いつまで僕がサンタクロースと言う四世紀頃の東ローマ帝国の教父聖ニコラウスを起源とした、何かが三倍なのかも知れない紅き紳士を信じていたかと言うと、物心ついた頃から信じていなかったと言うのが回答として適切でしょう。 というのも、理論的にあり得ませんからね。物理法則を捻じ曲げてまで見知らぬ子供のために不法侵入をするご老人なんて現実的ではありませんし、世界中に存在する何十億と言う子供のために用意するプレゼントの資金も非常にとんでもない額になるはずで、国家予算並にはなるでしょう。そんな巨額を1年周期で無差別に払えるとは思えませんし、時間をも捻じ曲げない限り1日で全てを配り終えることも絶対に不可能です。  そう、理論的にあり得ないのです。          【...
  • 幻惑小説 第二頁
      ◇◇◇◇◇   ********************************************************************************************************************************    いよいよ年の最後の月に入り、高校生たちが二学期の終わりを楽しみにすると同時にテスト勉強に励んでいる中、 彼らは今日も駅前に集い、馴染みの喫茶店へ足を運んだ。  五人の中でも一番活発的な女友達Aは、いつもと違う刺激を求めてある提案をしだした。 「今日は、どっか遠い所に行ってみない?」   *****************************************************************************************************************...
  • Project512_Part3
     Project512_Part3-もくじ- Part1はこちら Part2はこちら Part4はこちら Part5はこちら Part6はこちら Part7はこちら Part8はこちら Part9はこちら     ──阪中が主役のSSに挑戦なのね、の巻──     【プロローグ】    【阪中大地に立つ!】 【阪中の孤島症候群】 【阪中の古都珍騒動】  【阪中の退屈】 【阪中の憤慨(偏執者一直線!)】   -特別書き下ろし- 【阪中の紹介(1)】 【阪中の紹介(2)】     #あははははははははははははははははははははははははは!!!!!!!!!!!!!!!! ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・            _. ‐   ̄ ヽ、          /           ヽ-、         /     _. -、        ヽ .        / ,.    /    ...
  • えれべーたー☆あくしょん りた~んず
    ※このお話は『生徒会長の悪辣』の後日談です※ チン、という無機質な音と共に上階から降りてきたエレベーターが停止し、わたしの前で左右に扉が開く。すると庫内に一人だけ乗り込んでいた先客が「あら」と小さく声を上げた。 「奇遇ですね。おはようございます、長門さん」 「………おはよう」 にこにことした柔らかい笑顔。人当たりの良い挨拶。しかしわたしはむしろ、本当にこれは偶然なのだろうかという思いで彼女を見つめていた。パーソナルネーム、喜緑江美里。穏健派のヒューマノイドインターフェース。わたしの監査役。  何にせよ、このまま立ち尽くしているわけにも行かず、わたしはエレベーターの内部に乗り込んだ。1Fを示すボタンが既に点灯しているので、そのまま江美里の横に並び立つ。まもなく自動で扉が閉まり、エレベーターは再び降下を始めた。 「そういえば、今日は土曜日でしたね。では、長門さんはこれからSOS団の...
  • 古泉一樹の誤算 三 章
      三 章      いい映画を見終わったときのような高揚感を漂わせ、四人は元の時代に戻った。ひと仕事終えて、長門の部屋でお茶にすることにした。 「これで無事、ハルヒが古泉にベタ惚れになるといいんだが」 「自分で自分の過去を変えるなんて、奇妙な感覚ですが」古泉が照れている。 「朝比奈さん、改変の効果ってどうやって確かめればいいんですか?」 「状況を誰かに聞いてみるしかないわね」 「じゃあハルヒに直接聞いてみますか」 古泉と朝比奈さんが、それはちょっと、という顔をした。 「機関に問い合わせてみましょう。僕が毎日報告してるわけですから、記録はあると思います」 なるほど。ハルヒの観察日記か。 「機関のデータベースを参照してみます。長門さん、パソコンお借りしていいですか」 「……いい。台所のテーブルにある」 「機密事項なので、ちょっと失礼します」 古泉は台所に消え、数分して戻ってきた。   「...
  • 痔ネタ
    キョン「朝比奈さんボラギノールくれませんか?」 みくる「あ、はいどうぞ。 切れ痔…辛いんですか?」 キョン「はい…切れ痔になってからというものウンコをするのが怖くなっちゃって……それ以来便秘気味でそれがさらに切れ痔を悪化させるという悪循環が……」 長門「そういう時は水をいっぱい飲んで下痢状にすると良い。」 みくる「あ、長門さんもボラギノールですか?」 長門「………コクリ」 キョン「カレーばっかり食べてるからだぞ。気をつけろよ」 長門「善処する」 みくる「ふぇっ!キョンくん凄い血…そんな状態で古泉くんに迫られたら…」 キョン「あいつは今日休みですよ。なんでもアナルオナニーのしすぎで脱腸したとか…」 長門「正確には78cmほど脱腸した」 みくる「ふわぁ~、痔核の私には理解出来ないですぅ~」 ハルヒ「痔とか関係ないと思うわよ?てゆーかあんたら下半身丸出しで世間話しないでよ!!(あー、マンコかい...
  • 涼宮ハルヒの団結 第二章
         そんな感慨を抱きつつ、放課後、文芸部室。  今週の頭に生徒会から突如として課せられた、というかハルヒが課したポエム創作に紛糾していたSOS団員であったが、本日その内の二人の悲鳴は安堵の溜息となって開放された。   一人はもちろんであろう古泉だ。  そして残す一人は長門……ではなく、朝比奈さんである。  それぞれの詩を端的に紹介すると、古泉のはこいつが超能力者になる以前、自分の胸に秘めていた世界に対する本音を夢見がちな視点から書き綴ったもので、つまり少年の頃に密かに抱いていた願望をポエムにしたものだった。  朝比奈さんのはテーマが未来予想なものであるにも関わらずほとんど創世記のような内容で、後半に少しだけ未来の世界像が抽象的に書かれているという感じであった。俺の読解によるところでは、本来人間は諸々の管理や調整を行うために生まれており、未来では自然と人間の調和が実現するといった隠...
  • 長門の日記
    長門の日記 4月*日 今日は入学式wwww まぁ、高校なんてどこでもよかったけどなwwww パパがここに文芸部あるとかなんとかいってたけどねーよwwwww パパ氏ねよwwww しかたね、明日、情報工作して文芸部と部室用意すっか。   4月*日 俺の神聖なる部室に観測対象と変な男がやってきた。 観測対象はとてもウザかった。 変な男は独り言をつぶやいていたので、とてもキモかった。 しかも、観測対象は俺の神聖なる部室にさば読みぶりっこ未来人を連れてきやがった。 さば読みぶりっ子未来人?お前が未来で、ホーケー手術と整形手術したのしってんぞ? 調子に乗ったら整形前のお前の顔写真ばらまいてやるwwwwwwwwww 観測対象は俺の神聖なる部室を占拠するらしい。 ぶっ殺してやるぶっ殺してやるぶっ殺してやるぶっ殺してやるぶっ殺してやるぶっ殺してやるぶっ殺してやる でも、親父に部室くらい占拠...
  • 30分で会いにきて
    土曜日は市内パトロールまたはデートで、日曜日はなんの予定もない。 ハルヒが日曜日何をしているかは正確には知らない。ま、いろいろ忙しいようで、いろいろ説明したあげく『だから、あんたと遊んでる時間はない』らしい。 その割には、折りにふれて携帯でメール送る程度の暇はあるらしい。しかし、返事不要と書いておきながら、返事しないとむくれるのはどうにかならんのか。 俺はといえば、シャミセンをシャンプーで洗ってドライヤーで乾かしつつブラシを掛けてやり、爪が伸びていれば切る日である。 試供えさを試してみるがシャミセンが一口も食わずに、生ゴミを増やす結果になる日でもある。 結局いつものえさを与えることになるのだが、よく飽きないものだ。飼育書なんかには、たまにエサを変えるようアドバイスがあるんだがな。 部屋でごろごろとベッドに横たわり、長門から借りた古典SF大作なんぞを読み、途中うたた寝して、気が付けばまだ昼過...
  • 桃色空間奮闘記番外編 ~僕におまカフェ~
      「も、も、も、も、も、森さぁーーーーーーーーーーーん!!」     自宅のパソコンの前で思わず絶叫する。 僕は今、自室でとある二次創作の小説を読んでいた。 内容は森さんと彼の友達である国木田氏が淡く切ない恋愛模様を繰り広げるというものなのだが これがまたいい話なのである。何よりヒロインである森さんが魅力的なのだ。 この森さんの艶やかさと女の子っぽさのギャップ。 特にぬいぐるみを取ってもらったときの破壊力といったらまったくもってけしからん。 やっぱり大人の女性ってのは綺麗でお姉さんっぽさを持ってるだけじゃまだ足りないんだな そこにちょこちょこ見え隠れする乙女っぽさ、可愛らしさに真の魅力が潜んでいる気がする。 ってか続きどうなんの?一体その背中にはどんな傷が?!いや、背中の傷ぐらいじゃ愛は冷めないはずさ! そうと言っておくれよ国木田君!!   「さて、と。」 良かもんば見たバイ。 パソコン...
  • lost and found
     朝。確かに妹に叩き起こされたにも関わらず、俺はいまだに夢を見ている気分だった。  寝覚めは最悪。二度寝の誘惑に駆られる。  ふと覗き込んだ鏡にはひどい顔した男が一人写っている。  階段を下りて、食卓に着き、食ったってしょうがない朝飯をかっこみ、  制服に着替えて行きたくもない高校へ向かった。  近ごろ強制ハイキングコースに差し掛かる度に引き返したくなるが、惰性で登り続ける。  そんな鬱々坂の途中で会いたくない奴の一人、古泉に遭遇した。  古泉が片手をあげた瞬間俺は拳を強く握っていた。殴りかかろうとするかのように。  しばらくしてから俺は手を開き、足早に古泉のもとを去った。  そして、あいつがにこやかに手をあげる事に  ここまで殺意を覚えるのはなぜだろうか、と自問自答する。  ……いや、するまでもない。俺はよく分かっている。  このいらだちの原因も。それが八つ当たりであることも。  教...
  • 涼宮ハルヒの団結 プロローグ
    「没ね」  団長机からひらりと紙がなびき、段ボール箱へと落下する。 「ふええ……」  それを見て、貴重な制服姿の朝比奈さんが嘆きの声を漏らす。  学校で制服を着ているのが珍しく思えるなんて我ながらオカシイと思うが、普通じゃないのはこの空間であって、俺の精神はいたって正常だ。 「みくるちゃん。これじゃダメなの。まるで小学校の卒業文集じゃない。未来の話がテーマなんだから、世界の様相くらいは描写しなきゃね」  ハルヒの言葉に朝比奈さんが思わずびくりと反射するが、ハルヒは構わず、 「流線形のエレクトリックスカイカーが上空をヒュンヒュン飛び交ってるとか、鉄分たっぷりの街並みに未来人とグレイとタコとイカが入り混じってるとか。そーいうのがどんな感じで成り立っているのかをドラマチックに想像するの。将来の夢なんかどうでもいいのよ。それにドジを直したいだなんてあたしが許可しないわ。よってそれも却下」  グレ...
  • ラジカルメッセージ 前編
    “元気にしているか?そっちの様子はどんなもんだ?ハルヒ。” “通常ならこんな手紙を書いている場合じゃないんだがな。” “リーダーという肩書きが異常なほどに当てはまっていたお前がいなくなってから” “にわかに落ち着かなくなってな。…なかなか慣れないな。”        この文章は一体何か?そう質問されたなら、これは手紙だと答える他ない。紛れもなく俺の筆跡であり、文中にハルヒと書かれているからにはこれがハルヒに向けて書かれた手紙なのだ、ということは分かるのだが…。しかし俺の脳味噌が非日常に晒され続けた結果不具合を起こしていないなら、この手紙を書いた覚えは全くもって記憶にない。それ以上に気になる点はどういう訳かこの4行の文章だけで、続きが何も書かれていないことにある。   「一体これは何なんだ?」  と聞いてみた場所はこの手紙を発見した俺の部屋であり、話の相手は毎度のごとく長門、古泉、朝比奈さん...
  • 普通短編43
    N「あなたと一緒に帰る。」 K「ああ、いいけど。めずらしいな長門がそんなことを言うなんて。」 N「昼食より6時間経過。血糖値の低下が確認される。早急に適度な栄養補給が必要。」 K「・・・」 N「・・・」 K「・・・おごらんぞ?」 N「あなたには失望した。」   N「あなたと一緒に帰る。」 K「ああ、いいけど。めずらしいな長門がそんなことを言うなんて。」 N「昼食より6時間経過。血糖値の低下が確認される。早急に適度な栄養補給が必要。」 K「・・・」 N「・・・」 K「・・・ガム食う?」 N「くー」 K「ほれ」 そう言って彼が取り出したのはヴェルダースオリジナル。何故なら彼もまた特別な存在だからです。     もしこのキョンにインテルが入っていれば… N「あなたと一緒に帰る。」 K「ああ、いいけど。めずらしいな長門がそんなことを言うなんて。」 N「昼食より6時間経過。血糖値の低下が...
  • とある超能力者の動機
     橘も古泉もらしくないですが、話の中で原作の彼等へ近づく仕様になっています。 ――――――――――  ただ、なんとなく過ぎていく毎日の時間の流れは酷く単調で、あたしはこんな毎日が大嫌いだった。 毎日、毎日歯を磨くことも、お母さんの作った朝ごはんを食べることも、隣の家に住む幼馴染と肩を並べて学校へ向うことも、教室でクラスメイトに挨拶をして、授業が始まれば教科書を広げ黒板を睨むことも、隣の席の子と机を合わせて給食を食べることも、午後の授業が苦痛なほどに眠気を誘うと言うことも、帰りのHRでの先生の無駄話も、週に一回回ってくる掃除の当番も、下校すら同じ道の幼馴染の可哀相なほど背の低さも、帰ってきたあたしを出迎えるお母さんのお帰りなさいのイントネーションも、全てが昨日とも一昨日とも、下手をすれば去年とも変わらないと言う事実に、あたしは正直、飽き飽きしていたのだ。    明日、目が覚めると同時に超...
  • 橘京子の消失(プロローグ)
     年始。  受験生にとってはこれほど厄介なものは無く、刻一刻と近づいてくる試験の恐怖に怯えながら、その不安を解消するかのごとく勉強に明け暮れる毎日であり、光陰矢の如く過ぎ去って欲しい時間の5指に上げられるといっても過言ではない。  何の能力もない一般人たる俺にとって、この持論は寸分どころかマイクロメートルの精度をもってしても違わず、恐怖に怯えながら様々な色のついたノートに目を釘付けにしている。  例え滑り止めの試験でも緊張するのは仕方の無いことであろうし、本命ならばなおのこと血管がはちきれそうになるほど心臓が高速運転をするんじゃないかと思うね。  ……おいおい、試験までまだ何日かあるんだ。今からそんなに緊張してどうするんだ。少し頭を冷やしたほうがいいな。水でもかぶってくるか……って、風邪を引いたらそれこそどうしようもない。  こう言うときは気晴らしに何か考えたほうがいい。これから送...
  • 涼宮ハルヒの団結 第四章
     ……と、いかん。回想にかまけているうちにすっかり日が暮れちまった。  ハルヒは雨が降ってるからという理由で朝比奈さんを連れてとっくに帰っている。俺と長門はポエム作成を仰せつかり部室に残っていて、古泉は……こいつもまだ居残りながら、前回の小説誌をなにやら思わしげな表情で読みふけっていた。時々長門に話しかけていたりしたので、長門の不思議小説の解読でもやっていたんだろう。あれの内容では古泉のような登場人物が意味深な発言をしているので、俺よりも更に気にかかるんだろうね。しかし、何故今頃になって。  それはともかくポエムの方なのだが、明日が金曜日であるにも関わらず長門も俺も未だにテキストエディタを活用することなく、パソコンにはまっさらな画面が広がっているのみだった。ホントにどうすりゃいいんだよ。これ。  しかし、今はそれも隅においておこう。朝からずっと言いつぐんでいたのだが、俺はまた朝比奈さん...
  • それでもコイツは涼宮ハルヒなんだ 5
    10,時空管理者の憂鬱  あれよあれよと時間は流れ、期末テスト準備期間が始まった。テストが終わればすぐそこにクリスマスが待っている。  クリスマス、か。いやはや、どうするべきだろうな。去年に倣うならもうそろそろハルヒが騒ぎ出すはずだ。しかし、今年は俺に「予定」が有る、らしい。本人の意思がそこに介在しないのがこの場合の悩みであり。もしもその予定をぶん投げてSOS団主催のクリスマスパーティに出たとしたら、どうだ?  世界はそれで呆気無く本当に終わってしまうのだろうか? はあ、真面目に考えるのも阿呆らしい話だが、しかし俺が真摯に向き合わなければ他の誰がこの不条理な超時空的現実に向き合うっていうんだ。古泉は早々に楽観論者に成り下がっちまってたしな。全く、肝心な時に使えない。  ドイツもコイツも俺の都合なんかちっとも考えちゃくれないのは、世界に蔓延る悪癖だ。  ま、今更って話だけどさ。 ...
  • みくるとちぇんじ
               な、なんであたしはここに連れてこられたのでしょう。  今日は朝から目覚めがよくって、とっても幸せな気分でした。いまが幸せじゃないと言うわけじゃありませんが、少なくとも胸を張って『幸せです』と言える状況ではありません……。え、えと、それはいいんですけど、いつもどおりの一日だったんです。……さっきまでは、何ですけど。つまり、さっきからいつもどおりじゃないってことなんでしゅ。    珍しくあまり元気のなかった涼宮さんが、突然元気を取り戻しちゃって、この……えと、あたしを文芸部室?にまで引っ張ってつれてきちゃったんでしゅよぅ。しかもそこに変な部活を作って、あたしは強引に入れられちゃいました……。    同じ女の子のあたしから見ても凄い美人さんで、頭も良くって、あたしとちがってスポーツ万能で……でも性格が、そのぉ……どっ、独特な感じの女の子であるこの涼宮ハルヒさんは、あた...
  • 国木田日記
    ①入学式   僕は国木田。フルネームはまだ禁則事項らしい。   幼い頃から「国木田くんはできる子ねぇ」という同級生の保護者からの賛辞や、「やーん、この子、カワイイ~!」という年上の女性からのラブコールを受けて、何を考えているのか分からない笑顔とどす黒い本音を持った高校生に育った。 というのは冗談で、とりあえず無難な、一般的な高校生に育っていると自分では思っているから安心して続きを読んでほしい。   今日は北高の入学式。 僕の学力では県外の進学校にも行けた。北高の理数コースだって余裕だったけどね、なんだかんだで普通科に進学している。おっと、別にレベルの低い集団に混じって優越感に浸ろうとか、そんなことはいくら僕でも考えちゃいないさ。もちろん、普通科のレベルだったら特に熱心に学業に専念しなくても問題ない、と認識してるけどね。 これは慢心でも自意識過剰でもなんでもない。冷静な現状の分析だよ。 ...
  • それでもコイツは涼宮ハルヒなんだ 3
    6,スタートライン  果たして中庭で待っていた古泉は開口一番に、 「緊急事態です」  と言った。微笑み、手には湯気の上がる紙コップの安コーヒーを二つ持って。一つを俺が受け取ると、少年はテーブルを挟んで対面に座った。  その様子と台詞が余りに俺の中で食い違う。「藪から棒に何を言ってやがるんだ、お前は」なんて言葉を俺は寸での所で飲み下して、ソイツの二の句を待つ。古泉はまるで焦っている様子も無く、のんびりとコーヒーに息を吹きかけてから口に運んだ。 「ゆったりコーヒー啜ってられる間は緊急なんて言葉を使うな。その内に俺が意味を履き違えるようになったらお前の責任だぞ」 「おやおや、これは責任重大だ。再来年のセンター試験で緊急の意味を問う問題が出ない事を祈りましょう。……まあ、」  少年は右手でカップを握りこんだままに遠くを見つめた。人差し指を伸ばす。 「このままでは今年度のセンター試...
  • 涼宮ハルヒの軌跡 SOS団(前編)
     超能力者。  涼宮ハルヒによって、閉鎖空間と神人を倒すための力を与えられた存在。機関と呼ばれるハルヒの情報爆発以降に発足した組織に属し、 その意向、つまり世界の安定に協力している。  三つほど前の世界では、その目的は変わらず「世界の安定」だったが、情報統合思念体が排除行動に出たため、 手段を「ハルヒの安定」から「ハルヒとその影響下にある人間の排除」へと変化させ、ついにはそのために核爆弾を炸裂させた。  でリセット。    未来人。  涼宮ハルヒによって、時間遡行能力を与えられた存在。組織名やそれが一体いつの時代のものなのかは不明。 目的は自分たちの未来への道筋を作り続ける涼宮ハルヒの保全。そのためには別の未来を生み出しかねない存在は かたっぱしから抹消している。  それが原因で二つほど前の世界では、ハルヒの観察を命じられた朝比奈みくるという愛らしいエージェントがその役割を 押しつけられ、...
  • 橘京子の分裂(前編)
    「どうしたのよ、キョン。窮鼠猫を噛むをリアルタイムで見たような顔しちゃって」  どちらかというと豚もおだてりゃ木に登るを見た、って言う方が今の俺の心境に適っているな。  ……などと心の中のどこか冷静な部分が眼下に広がるそいつに対してツッコミ返そうとしていた。人間、非常識にも度が過ぎると呆れかえって何も言い返せなくなると言うが、恐らくその類であろう。 「ったく、あんたも相当おかしいわね。一回精神科医に頭の中を見てもらった方が良いわ」  Sure, That s good idea, I think so, too……  うん、大っ嫌いな英語で返答できる。むしろ頭の中は正常だ。だから言ってやる。 「橘。お前こんなところで何をやっている?」 「はあ?」 「お前はこの学校の生徒じゃないだろ?」 「キョン、からかってるの?」  口を曲げて橘は言った。本物のハルヒがそうするかのように。 「からかって...
  • 水晶の夜⑦
      どうせおまえに秘密を持とうとしても不可能だ。 「そうやって、誰彼かまわずやさしくするから…。そういうところが君は無責任なのよ。」 昔床屋で読んだ漫画のセリフを引用しただけなんだけどな。 「せっかく言うべきことを言えたと思ったのに…。」 さっきあなた、おれがやったことを非難してませんでした? 「だけど、この子はどこで電話してたの?」 どうでもいいでしょう、そんなことは。 「確かにどうでもいいことね。」 しかし店員たちの反応は店長のそれとは違っていた。 「この子が長門さん……。」 「なんてきれいな子……。」 「さっきの子とはタイプが違うけど……。」 たしかにこいつもハルヒもどこに出しても美少女で通る容姿をしてますがね、二人とも自分の外見なんかどうでもいいと思ってますよ。 「美少女…………。」 なに照れてやがる。 店長さんがちらりとこっちを見た。 「君の前ではそうでもないみたいよ………、...
  • 涼宮ハルヒの分身 Ⅴ
      Ⅴ   「‥‥‥誰、ってどういう意味かしら」 「そのまんまの意味だ。お前は誰だ。本物のハルヒはどこやった?」 そのハルヒはこちらにニヤリと笑った口下だけが見えるよう少しだけ振り返り、またもハルヒとおんなじ声色で俺へと返事をした。 「なあに、キョン。本物のハルヒ、なんて意味ありげな言葉言って。まるであたしが偽物みたいじゃない」 その通りだよ偽ハルヒめ。 「だって忘れちゃったんだから仕方ないじゃない。それとも何、そんなに大事な思い出だったのかしら?」 白々しいことを。どういう過程でこいつが全くハルヒと同じ容姿と声と性格を得たかは不明だが、本当のハルヒではないということが確かになった。となると、こいつが閉鎖空間を発生させたということか。畜生、よりによってハルヒの姿になりやがって。 「じゃあ教えてよ。もしかしたら思い出すかもしれないわ。どうやってあたし達はここから出たんだっけ?...
  • 涼宮ハルヒの不覚 
     言わせて貰うなら、セックスなんてのは単なる行為のひとつに過ぎない。少なくともあたしはそう思ってる。  愛情がなくったって出来るし、何の証明にもならない。セックスしたから彼はわたしの物♪なんて、おかちめんこな考え方は噴飯物だ。一時の気の迷いで、そうひょいひょいと人の所有権を移動させないでほしい。  結局その考えは、あたしこと涼宮ハルヒが実際にセックスを経験した後も、特に変わる事はなかった。だからやっぱり、セックスなんてただの行為なのだ。     「おっそーい! キョンの奴!」  一年を4分割するのなら9月は秋に分配されて然るべきはずなのに、その日は朝から猛烈に暑かった。残暑なんてものは馬の尻尾にくくりつけて、そのまま蹴っ飛ばしてしまいたい。  実際にはくくりつける事も蹴っ飛ばす事も出来ないので、あたしは腕組みをして駅前広場の時計を睨みながら、ひたすら不機嫌な声を張り上げていた。 「...
  • 涼宮ハルヒの誰時
    はじめに ・文字サイズ小でうまく表示されると思います ・設定は消失の後くらい ・佐々木さんとか詳しく知らないので名前も出てきません ・異常に長文なので暇な人だけ読んで欲しいです ・投下時は涼宮ハルヒの告白というタイトルで投下しましたが、すでに使われていたので変えています ・誰時ってのは黄昏の旧漢字……らしいです 多分 では、のんびりとどうぞ  学校行事に書き込まれていたテスト週間も無駄な努力と時間の経過によって無事終了し、晴れ晴れとした寂しさだけが残った週末。  テスト期間にあった祝日をむりやり土日に繋げてできた取って作った様な連休に、テストの結果に期待しようも無い俺は心の安息を求めていた。  この不自然な形の休日に教師といえども人間であり、生徒同様たまにはまともな休みが欲しかったなんていう裏事情には気づかない振りをするのが 日本人らしくて好ましいね。  しかし、テストが帰ってきて...
  • 始めて君のパンツを見た 後編
    前編より     ~半年位後~   「そうだったのですか…。いや~、驚きましたねあなたと岡島瑞樹先輩との間にそのようなエピソ-ドがあったとは」 「嘘をつけどうせある程度の事は把握していたんだろ」 「ははは。しかし、困りましたね… あなたは今でも岡島先輩の事を愛してらっしゃるのですよね?」 「愛してるって言い方が気持ち悪いがその通りだ」 「そうですか…、あなたはてっきり涼宮さんの事が好きだとばかり思っていましたが…勝手な思い違いをしていて申し訳ありません」 「気にするな。今回の事だってもとはと言えば俺がいつまでもぐずぐずしていたせいだ」 「いえ、先日の佐々木さん達の件での僕の不手際のせいです。でなければ上から催促されずに済みこのような状況は避けられたのですから」 「どっちのせいってのはこの際どうでもいいだろ、ともかく今から俺はハルヒの家に行く。こんな時間だから少々気が引けるがそうも言ってら...
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