涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki内検索 / 「星に願いを 」で検索した結果

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  • 星に願いを 
    キョン「綺麗な星空だな…。」 古泉「ええ…。」 視界に広がる星空。広大な宇宙を感じさせる光景だ。 人は大人になるにつれて夜空を見上げる時間は減る。 こんなに夜空を眺めるのは何年ぶりだろうか。 今、俺と古泉は2人で星空を見つめている。 …状況がわからない? OK。 では今日の出来事を振り返ってみよう。 …。 ~部室~ キョン「悪い。今日はもう帰るわ。」 古泉とのオセロの一戦に勝利した後そう切り出した。 古泉「え、もうですか?まだ部室に来て30分ぐらいしかたってませんよ。」 ハルヒ「なんで?何か用事でもあんの?。」 キョン「ああ、今日明日親が旅行に行ってて居ないからな。」 みくる「そうなんですか。妹さんを一人にするの可哀想ですもんね。」 ハルヒ「ん~。」 キョン「んならそゆ事で。」 ハルヒ「待って。」 キョン「ん?」 ハルヒ「…明日は土曜で休みよね…んで親は居ない…。」 嫌な予感が走った…...
  • 星に願いを
    「……寒い」 冬真っ只中の2月、俺は日付も変わろうかとしている時間に、あの地獄の坂道を上っていた。 なぜそんなバカみたいなことをしているかって? そんなことはあのバカな団長様に聞いてもらいたいね。 「あ、キョン?その…、今から学校の屋上に来れる?む、無理ならいいんだけどね。」 今からって、何時だと思ってんだ?とも思ったが、いつもと違って控えめに頼まれると断れなかった。 まぁいつも調子でも俺は断らなかっただろうがな。 それにしてもこんな時間に学校の屋上って、一体何の用だ? 学校に着くと、俺はハルヒがあらかじめ用意していた抜け道から学校へ入った。 こんな時間に正面から堂々と進入する気にはなれないしな。 さて、さっさと屋上に行くか。 俺は、ハルヒが開けておいた窓から校舎に入ろうとした、その時だった。 「キョンの彼女になれますように!キョンの彼女になれますように!キョンの彼女になれますようにっ!...
  • 長編・未分類
    ...議 戦慄の肉じゃが 星に願いを  ある日森の中 恐怖の館 ストーカー 欲望 SOS団忘年会 ハルヒVSミヨキチ 涼宮ハルヒの業腹 俺の妄想 涼宮ハルヒの覚醒 涼宮ハルヒの覚醒 おまけ ビストロSOS団 三匹が行く 伝説の支援人 眠気と休日 【涼宮ハルヒの憂鬱meets星新一】 love and choice 【天地無用!SOS】 涼宮ハルヒの聖杯 2人の不思議探索 ケーキを食べよう 生徒会の陰謀 饅頭怖い ~ハルヒがみくるで、みくるがハルヒ~ 新世紀メランコリオン 涼宮ハルヒの病院
  • 長編・涼宮ハルヒ
    ...密 プリンとケーキ 星に願いを 涼宮ハルヒの猛暑 涼宮ハルヒの結婚前夜 涼宮ハルヒの泥酔 長すぎる10分間 涼宮ハルヒの願望 涼宮ハルヒの憂鬱キョンとハルヒの絆 10月8日、曇りのち雨 閃光のハルヒ 涼宮ハルヒの預かり物 涼宮ハルヒのデート騒ぎ? それは誤解で勘違い 何よりも宝物 超能力 涼宮ハルヒの計算  涼宮ハルヒの嫉妬 ミニチュアハルヒ ベル 3点セット 涼宮ハルヒのネコ にわか雨の訪問者 ハルヒの寝言 涼宮ハルヒの独善(シュール・BadEnd?) 涼宮ハルヒの情熱  涼宮ハルヒの出産 あの日からの願い Amemorywithouttheend 涼宮ハルヒの日記 涼宮ハルヒの小説 ただの人間 ヒント キョンの死…そして 悩みの種 続く空 涼宮ハルヒの仮入部 はい、メガネon 【時のパズル~迷いこんだ少女~】 涼宮ハルヒの後悔 (BadEnd) 涼宮ハルヒの恋心 涼宮ハルヒの誤解...
  • SOS団プレゼンツ 第一回 涼宮ハルヒ争奪戦 ―二年目の七夕 ―
    ...。 「明日は織姫と彦星に願いをするだけじゃなくて、デネブにもお願いするから、大きな笹が必要なのよ。あんた知ってる? ベガとアルタイルは地球からせいぜい数十光年しか離れていないけどデネブは3200光年も離れているのよ。 それだけの距離が離れているのに他の一等星と同じくらい光っていると言うことは、とってつもなくすっごいのよ! 織姫や彦星なんて目じゃない位の願い事を叶えてくれるわよ!」 七夕はベガとアルタイルだけだ。デネブも入れるとは、夏の大三角形にする気か?それともお前は氷河のファンか? マザコンで師匠と友を墓場送りにした、罪なやつだったのか。 「何訳の分からないこといってるのよ。そんなことより、大きな笹が必要だから鶴屋さんに相談したら、 『ウチの山にめがっさ大きい笹があったっけな?全然手入れしてないから勝手に捕っても構わないっさ!』 って二つ返事でOKしてくれたわ!だからキョン、あんた...
  • 規定事項の流れ星 最終章「約束」
    ...「知ってますか?流れ星に願いを送るとその願い事が叶うと言われてるんですよ」 「…本当?」 「まぁ迷信ですがね。それに、流れ星がくるタイミングなんかそうわかるものでも無いですしね」 「…1分36秒」 「…え?」 「…次の流れ星が来るまでの時間」 「…そんなのわかるんですか?」 「…今までのシークエンスにおいて起こり得たことは全て記憶してある…あと15秒」   早いですよ! 願い事願い事…   「あっ!また流れ星!!」 「おぉ、今日はよく流れるなぁ」   離れた所で二人が話してる。 朝比奈さんは…眠ってしまったようだ。   「願い事できましたか?」 「…できた」 「何て祈ったんですか?」 「…秘密…あなたは?」   僕ですか?   『長門さんにとって辛い事が起きませんように』   「…僕も内緒です」 「…そう」   それからしばらくして涼宮さんは朝比奈さんにもたれかかって寝てしまいました...
  • SOS団プレゼンツ 第一回 涼宮ハルヒ争奪戦 ―キョンの最終試練―
    …なんだ、何が起こった?どうして俺は閉鎖空間にいるんだ?古泉お前のドッキリ企画か頼むから止めてくれ… ―古泉!?どこにいる古泉!?隠れても無駄だ出てこい! 『―彼ならここに招待しなかった。お前にしか用はないからな』 瞬間、空が震えた。今気付いたが、ハルヒが作り出した閉鎖空間よりも暗い。 そして、『彼』の声によるものだと気づくまで少々の時間を要した。 …どこにいるんだお前は!?古泉は?長門は?朝比奈さんは?どこだ!! 『彼らは元の世界で何も変わらず過ごしているよ。お前が居なくなって驚いているかも知れないがな』 …何で俺だけこの世界に呼び出した! 『お前は知っているのではないか?この世界がどのような世界なのか?』 この世界・・・この空間は、ハルヒが無意識下のストレスを発散させるために用意され、そして赤い玉をした超能力者に破壊されるかりそめの空間。ハルヒの不満が大きくなればなるほど拡大し、つ...
  • 君、思えど
     君、思えど        秋――僕は、この季節が好きだ。  特に朝方は空気が澄んでいて、気持ちが透き通る様な感覚に浸る事ができる。  朝靄が立ち込める町の中、特に目的もなく歩く。  そうだね。朝が弱い君ならばこんな僕を見てこう言うのだろう「老人みたいな趣味をしてるんだな」って。  思い出の中の彼が肩を竦めて笑っているのが目に浮かぶようで、僕も小さく声を出して笑って……そ して最後は溜め息へと変わった。  彼と別れて、もう1年以上が過ぎたというのに僕ってやつは……。  新しい学校は楽しい。  新しい友達も出来た。  今までの友達との交流も残っているし、寂しいと思う暇もない。  君にも紹介したいくらいさ、とても個性的な友達がいっぱい居るんだ。  ……また、君か。  ゆっくりと進んでいた足がついに止まる。  わずか数十分の間に僕は何度君の事を思い出したんだろう?  一回、二回、三回、四……止め...
  • 涼宮ハルヒの団結 第十三章
     そして公園へと戻った俺は、別れ際の朝比奈さんの言葉を思い出して切ない気持ちを抱いていた。  ……いつかまた会えるといいな。あさく――、 「あ、先輩おかえりなさいっ。朝倉って人はどうでした? フフ、ちゃんとガツンとかましてきましたよね? 先輩を傷つけるような悪い人は……って、」  俺が唖然とした表情を貼り付けているのを見た朝比奈みゆきはポカンと、 「どうしたんですか? 呆けた顔しちゃってますよ?」  ……涙が出そうになった。  なぜ今まで気がつかなかったのか。そうだよ。この声と、この髪の色は――。 「――いや、朝倉は悪い奴なんかじゃなかったよ。とても人思いの奴で、良い奴だった。……ホントに、ありがとうな」 「ほえ?」キョトンとした後、「フフ、おかしな先輩。なんでわたしにお礼なんて言うんですか?」 「あ、いや、すまない。……なんとなく、な」 「んー、今度は謝るなんて、やっぱりおかしな先輩...
  • 宙の恋人
    仰ごう、あまつひかりを。 詠おう、叶うならば織姫と彦星の架け橋を願うための歌を。 「……小さい頃は、星の洪水に、飲み込まれてしまうのが夢で……」 熱に浮かされたような声が、輝きのなかに落ちてくる。息を溜め込み、言葉を捜しながら、浴衣姿の古泉一樹は綿菓子のような笑顔を浮かべた。 縁側からは、何の障壁もなく夜空が見通せる。 恒星が、黒いシートにばら撒かれた白い砂のように無数に散在し、光を放っている。天の川と、人が呼称する夜天の星屑。 冷酒の瓶はいつの間にか空になっていて、古泉は酒気を帯びた吐息を漏らし、団子を無心に頬張る長門に半ば寄り掛かりながら、つらつらと語り掛ける。幾らか気を緩ませ、夢でも仰ぐような調子で。 「七夕の日に、ミルキーウェイを素足で渡り、銀河を眺望し、天体を間近で思う存分に観察して……宇宙人と握手するんです。そんな夢を昔、よく見ていました。僕は愛らしい宇宙人に、『ごき...
  • 七夕の日の女二人
    人類標準時21XX年7月7日、地球衛星軌道、「機関」時空工作部第二軌道基地。   「失礼いたします」  入室してきた朝比奈みくるに対して、長門有希は黙ってうなずいただけだった。  朝比奈みくるは、テーブルの上の鉢に植えられた植物に視線を向ける。 「今年も立派な笹ですね」 「最上級の天然物を取り寄せた」 「連邦政府指定の絶滅危惧種を勝手に取ってくるのはどうかと思いますが」 「一本ぐらい取ったところで、生態系に影響はない。誤差の範囲内。細かいことは気にする必要はない」 「なんかその理屈は涼宮さんみたいですよ」 「私の成長過程において、涼宮ハルヒの影響が大きいことは認める。彼女と出会ったとき、私は三、四歳だった。三つ子の魂百までということわざもある」 「はぁ」    長門有希は、短冊を二枚取り出した。これも、日本地方政府が人間国宝に指定している職人に作らせた和紙だったりするのだが。  7月7日に...
  • 悩みの種~悩みの種の潰えぬ世界~
    <悩みの種の潰えぬ世界> 私は病院に着いた。もう行くのも慣れたものだ。 腫れた目…みんなにバレないかしら?大分引いたものの、まだ腫れが残っていた。 キョンの病室に着くと、もうすでにみんなは揃っていた。 「涼宮さんが最後とは…ある意味、キョンくんも嬉しがっているかもしれませんよ?」 古泉くんが悪戯そうに言った。 「この人、今までずっと最後で奢り続けてましたからねえ…涼宮さんより早く来ることは願望だったようですし。ほら、僅差で涼宮さんが先だったときあるでしょう?あの時彼、かなり悔しがっていましたから。」 そうしてキョンを見ると、心なしか笑っているようにも見えた。 起きたら私が奢るわよ…負けちゃったしね! 私達は準備にかかった。宴会の準備や部屋の飾り付け…だけど今回の飾り付けはいつもと違った。 キョンが外が見れないため、その気分だけでもと、病室の中を真っ暗にするようにした。黒い紙...
  • 魔法の言葉~would you marry me?~
    「僕がこの時間平面で行ったことは無駄に終わったが、一つだけ言えることがある。……キミと過ごした時間は、無意味じゃない」 「限られた条件下でなくとも、キミには私の傍にいてもらいたい―――そう思っているのは、こちらだけだろうか? ああ、人はそれを確かめるために……自分の気持ちを伝えようとするのだな」 「もしこれが叶わぬ想いだとしても、僕にはそれを捨てることなど出来ないのですよ。願いは届かないかもしれない――そう思ってしまえば、人は星に願うことを止めてしまいますから」 ―――藤原くん。会長。……古泉くん。 「わたしは、人を好きになるという感情を知りませんでした。でもそれは人も同じで、みんな誰かから愛情を教えて貰うのですね。あなたは……わたしにそれを教えてくれました」 「人間はさあ、よく『愛とは求めるものでなく、惜しみなく与えるものだ』って言うけど、わたしには無理。だってあなたにあ...
  • 光、残響、聖夜にて。
    暖冬らしく、耳朶を掠める風も穏やかなものに感じられました。勿論僕の心象を加味しての感想であることは、否定しません。過ごす時の流れが夢のように優しくて、心が洗われるような理想的な聖夜でした。イルミネーションに彩られた夜景の美しさは、この時節ならではと言えるでしょう。 輝く星にあかるい空を、掴めるのではないかと思うくらい近くに触れたのは、何時の日だったろうかと。感傷に浸る僕に、彼女は沈黙したまま付き添ってくれていました。 「……あなたに、この光景を見せたいと、ずっと思っていたんです」 やや街の中心地からは外れ、山沿いの勾配を登った先に、まだ開発中の繁華街を望むことの出来るビルの屋上。 遠望が利く此処は、まだ数年幼いころの、僕のお気に入りの基地のようなものでした。 「神人退治に駆り出されるようになってから、見つけた場所です。閉鎖空間が罅割れ元の色彩を取り戻すその瞬間に、朝焼けの光と共に...
  • 七夕シンドローム 第六章
     翌日の七月五日。  今日で改変が起きてから三日ほどの日数が経過しており、ここ最近ろくに睡眠をとれていないため折角の休日ぐらいゆっくりと寝ていたかったのだが、今日はいよいよ不思議探索の日だ。惰眠をむさぼっているわけにはいかない。ずっしりと鉛のように重い頭をあげてベッドから降りる。 「キョンくん、あっさだよー!」  ドアが勢い良く開き、泥沼にはまった意識に氷を投げつけるような甲高い声が耳に飛び込んできた。相変わらず元気だなこいつも。そのテンションを多少なりとも俺に分けて欲しい。 「ってあれー? またキョンくん、ちゃんと起きてる。つまんないのー」  そう言って我が妹はとことこと未だ惰眠をむさぼっているシャミセンの所へ向かい、不服そうな鳴き声にも構わず無理やり抱き上げ、何処かへ連行していった。そういえば、シャミセンに話しかけてないな。流石に喋らんとは思うが、不思議探索から帰ったら話しかけてみ...
  • 缶コーヒー、ふたつ5-6
    風が・・・凄いな・・・。 部室の窓がカタカタと揺れている。 この前、俺が貰って来たストーブによって多少は寒さが抑えられてはいるものの、やはり・・・冷えるな。 部室の入り口越しに吹き込む、廊下からの隙間風にも多少の要因はあるだろう。 後で何か対策・・・ 「・・・ン君、キョン君の番ですよ?」 ああ、悪いな。 俺は、古泉とカードゲームに興じていた。 トランプの「ババヌキ」の要領で互いのカードを引き合い、同じ色や数字が揃ったカードから捨てていく・・・最後までカード捨てきれずにアガれなかった者が負け。 そう、アガる直前に「うの!」って言うあれだ。 しかし、この手のゲームをやる時の古泉は手強い。 なにしろ、鋼の「ニヤけ面」を持つ男だからな。 手札が全く読めん・・・・。 そういえば、古泉はこの前の事を覚えているんだろうか。 あの事件以来、俺と古泉は二人きりになる機会が無く、色々と訊きた...
  • 愛しき、七夕の日に
    俺は今無心にキーボードを叩いている。 今週末にある会議の資料を作成するためだ。 31になった俺はまあそれなりの役職に着き、会社に対し奉仕活動を続けている。 大学を適当に過ごし、適当に卒業し、適当な就職活動で内定を手に入れた会社がここだ。 根気の無い俺がどうしてここまで、辛抱強く奉仕活動を続けられているのかというと 俺には妻と子供という守るべき存在が出来たからさ。 「愛しき、七夕の日に」 残業を早々に切り上げ、俺は帰路に着く。どれだけ疲れていても足取りは軽い。 家では愛する妻と目に入れても痛くない我が子らが待っているからさ。労働のよる疲弊なんて何のそのだ。 そして数年前に必死こいて購入した我が城、マンションに着いた。 オートロック式の自動ドアを鍵で開け、エレベーターに乗って家がある階のボタンを押す。 「ただいま」 帰ってきた時の挨拶はなるべく明るい声で言う事にしてる。何故かと言うと 「お...
  • 涼宮ハルヒの自覚 「承」
    ハルヒが雨を降らせた2時間目の後も、奇妙な出来事は続いた。 何故かチョークが虹色になったり、校庭に突然小規模な竜巻が出現したり、何も無いとこで谷口がコケたり。 その度にクラスメイトが驚いたり笑ったりしていたが、ハルヒだけはただ静かに笑っているだけだった。 そして俺の疑念は、確信へと変わっていく。   ハルヒは完全に、自分の能力を自覚してやがる。   昼休み、俺はいつも一緒に飯を食う谷口と国木田に断りを入れた後、部室へとダッシュした。 こんな状況で頼れるのは、やっぱアイツだからな。   息をきらせながらドアを開けると、やはり居た。寡黙な宇宙人、長門有希。 しかし今日は長門だけでは無かった。古泉もいる。 その古泉はいつものニヤケ面を封印して、シリアスな顔つきで居た。 これだけでも、ただごとじゃないと理解できる。   「古泉、お前も来てたのか。」 「ええ。その様子を見るとあなたも既に気付いている...
  • 七夕シンドローム プロローグ
       俺がこの県立北校に入学してから二回目の春が訪れた。  俺はまたこの一年も前年度と変わりなく、また色々と面倒くさい事態に出くわし巻き込まれることになるんだろうなとうすぼんやりと予測していた矢先に、変な集団プラス旧友が俺の目の前に現れた。そしてなんやかんや、まあなんやかんやとあった末に、事態は新たな勢力のせめぎあいを巻き起こしながらもなんとか現状維持へとこぎつけた訳だ。  そんなどたばたがあった一方、高校の方はそんなこと関係なしに平常営業を続けており、その後の中間テストは散々なものだった。俺は来年はもう受験だという事実を胸になんとか期末で取り戻そうと決意するまでは良かったのだが、中間テストの終了を待ちかまえていたと言わんばかりにまた面倒くさい事態が、主に団長によってこれでもかと降り注がれてしまい、台風過ぎ去る季節の期末試験はそれはもう酷いものだった。  親が予備校のパンフレ...
  • 小さな初恋
    わたしの初恋の相手はお兄ちゃん。 わたしの大好きな大好きなお兄ちゃん、キョンくん。 ねぼすけで、ぶっきらぼうで、全然家に居てくれなくて、一人言が多い。 だけど、優しくてかっこいいの。わたしの事をいつも気遣ってくれて、イタズラしても許してくれるキョンくんが大好き。 でも、わたしは小学6年生の妹でキョンくんは高校2年生のお兄ちゃん。 だからわたしの初恋が実ることなんてないの。キョンくんと一緒にいれる時間が一番長いのがわたしだから良いんだけど……。 最近はずっとハルにゃんと一緒に居るからわたしはシャミとお留守番ばっかり。 わたしだけの特権が一つなくなっちゃった。 学校から帰って来るのも遅いし、土曜日は探索、日曜日はハルにゃんと一緒に居る。 わたしだってたまにはキョンくんに甘えたいよぉ……。   「朝だよ!起きてよ、キョンくん!!」 これはわたしの毎朝の日課で、唯一のこったわたしの特権。 「朝ごは...
  • ちょっといじわる
    俺と長門が隠れて付き合いはじめてから2ヶ月が立つ。 おそらく古泉は気づいてるだろうが何も言ってこない。まあいいだろ、そのほうがこっちも楽だ。   最近になって長門の新たな一面を発見した。 それは、SOS団がいつも集まる喫茶店での話だ。   俺がトイレで用を足して出てくると長門が目の前にいた。   キョン「・・お、長門もか・・・」   俺はあたふたしてそう言った。なんてデリカシーのないセリフだ。 けど自分の後に好きな女の子がトイレに入るのかと思うと、なんともいえない嫌な気分になる。   しかしそのとき長門は用を足しにきたわけではなかった。   長門「キスしてほしい」   俺は驚いた。確かにみんなのいる位置からここの通路は見えない。 しかし長門からそんなお願いをされるとも思っていなかったし、他の客だっている。 それに万一SOS団の誰かが来たら・・・・   長門「キスしてくれないのならまた世界を...
  • 七夕シンドローム エピローグ
     白くつつまれた視界が、一気に暗転する。実際にそうなったかは分からない。閉じた瞼の向こう側でそうなったように感じただけだ。  ゆっくり目を開けると、そこはどこまでも暗闇が広がる空間だった。真っ暗という訳じゃない。俺の手も、足も見える。どこが地面の境目かさえも分からないのに、俺はその場に立っていた。なんだこれは? とりあえず現実にある空間ではないことだけは分かるが。 「………失敗か?」  頭に浮かんだ最悪のシナリオ。元の世界に戻れるわけでもなく、改変世界にとどまったわけでもない。どこでも無い空間に、俺は放りだされたのか。  あの改変世界はどうなった? 俺のせいで全て崩壊しちまったのだろうか。ならあいつらに悪いことをしたな。俺はどうなるんだろう。このまま暗闇を永遠に漂い続けるのか。あいつらへの仕打ちを考えれば、この結果も当然かもしれない。  再び目を閉じようとすると、ほとんど暗闇と同化した...
  • 神様に祈るあの人との日常
       こんにちは、朝比奈みくるです。  今日は、探索の日なんですけど、わたしはちょっと大きめの鞄を持っています。  なんでかって? それはね、わたしがいつもお世話になっている、大好きなキョンくんにお礼がしたかったの。  だから、今日はお弁当を作ってきたの。探索、一緒になれたらいいなぁ……。     「キョン、遅いっ! 罰金!」  いつものようにキョンくんが遅れてきて、涼宮さんがそれを怒る。  うふふ、進歩してないなぁ……。 「はいはい、わかってるよ。朝比奈さん、遅れてすみません」  キョンくんはいつも、わたしにだけは遅刻を謝ってくれます。ちょっとだけうれしいです。  いえ、大丈夫です。……えっと、今日もごちそうになりますね。 「任せて下さい。あいつらに奢るのは気が引けるけど、朝比奈さんなら喜んで」  わたしはキョンくんに微笑みかけて、並んで歩きだしました。喫茶店までの短い時間、ちょっとだけ...
  • 『アナルいじり』 ㈱機関コーポレーション
    それは放課後の出来事だった。SOS団部室で朝比奈さんのお茶をいただき、のほほ んとそれを啜っていた俺は古泉が居なかったのでみんなにオセロをやらないかと呼びか けてみると、なんとハルヒはスルーした。ハルヒは乗ってくると思ったんだが……まぁい いか。ともかく、何時の間にか俺の前の席に座ってオセロをやる準備をしている長門と でもオセロやるか。さり気なくやる気満々だな。 「罰ゲームをつける」 「何をだ?」 「敗者は勝者の願いを一つ叶える」 長門にしては分かり易い罰ゲームだ。もし俺が勝ってもそんなにキツい事はさせない つもりだし、長門が勝っても俺に酷い罰は与えないだろう。そんな安直な理由で、俺は その意見をオーケーした。 「分かった」 「そう……先手はわたし」 俺が劣勢になっているのが明らかになった頃。古泉はやってきた。そして奴の第一声。 「さて、今日はこのようなゲームをご用意させていただいたので...
  • 涼宮ハルヒ無題3
    無限の命を刻んだ永遠の時間 宇宙に無数に存在する惑星 その中の一つに過ぎないこの星に生まれた命 何億と生きる人間の中の一つの私 なんのためにこの星に生まれたのか なんのためにこうして生きているのか   誰もその答えを知らない   ふと怖くなり顔を上げる   放課後の部室 誰もいない静寂   無数に存在する命 しかし私を知っているのはそのわずか   怖くなる   孤独? 恐怖?   心が痛い とても苦しい   私は、サミシイ   まるで自分が世界に取り残されたような感覚 誰一人私を必要としていない   ―――――ヤダ!   なんで誰もいないの? キョン?有希?みくるちゃん?古泉くん?   部室のドアに手をかける しかしそれは開かない   ドアは開かない   なんで? ここから出して! ここから出たいの!   助けて! 私はここよ?   誰か!   キョン!   ―――――カタン   ふと...
  • 古畑任三郎 VS SOS団 プロローグ
    ※ 始めに いくつかの設定を話に都合よく変えたりしています。 特に長門有希の情報操作などの反則技は、 推理ものとして破綻してしまうため一切登場しません。 いくぶん不自然な点があるかと思いますが、ご了承ください。 古畑「え~……あなたは超能力者の存在を信じていますか?    イエスと答えた方、未来人、宇宙人はどうでしょう?    全てを信じておられる方はなかなかいないでしょう。    しかし、実はいるのです。しかも同じ場所に集まって……」     古 畑 任 三 郎 VS S O S 団   放課後の生徒会室。 そこに居たのは生徒会長と、華麗な未来人、朝比奈みくるの二人だけであった。 会長「それで、答えは決まったかね?」 みくる「………。」 会長「クク、とはいえ君に選択肢は無かったね。私は君の重大な秘密を握っているのだから。    そう、君が未来から来た人間だということをね。    もし...
  • Happiness! 後編
    十二月二十四日(金曜日)   今日はいつもより寒い感じの中に目がさめた。だが起きたのは十時。当たり前だが、妹が起こしに来るわけもなく、自然に目がさめたのも充分寝たからなのだろう。 本来ならば今日は終業式。妹もちょうど俺が出ていく頃には帰って来るであろう。   昨日は今頃に集合だったのだが、今日は違ったのでこんな時間まで眠ることができた。   昨日、あの後ハルヒを連れてゲーセンに行き、連れて行った俺の方が疲れる事態になり、その後ハルヒを家まで送っていき、なんともハードな一日を終えたのだった。   ハルヒの家に到着し、別れ際に、 『明日は午後からでいいわ。そうね…明日午後二時に今日と同じように集合!遅れたら、死刑なんだから!』 と、指で銃をつくってバンっと撃って見せた。何をそんなガキみたいな…まぁ可愛らしいくもあるが…   それなのでまだ時間はある。とりあえずのんびり準備しながら、昼食の準...
  • I don't choose, but decide. chapter07
    俺の言葉に藤原は憎々しげな視線を向けてくる。コイツと顔を突き合わせているといつか脳の血管が切れそうな気がするね。 自身の健康の為に襟首を解放してやると、皺を手で伸ばしながら懲りずに悪態をついてきた。 「ふん、やれやれ……あんたがここまで愚かだとは思わなかった。いずれ後悔する事になる」 自他共に認める俺の口癖を無断で使用しやがる。しかしアレなのか、コイツは口を開くと愚痴やら悪態が出るようになってるのか? 後悔するかどうか?そんな事俺は気にしないで生きる事に決めたのさ。 高校で涼宮ハルヒと出会って以来、色々と厄介な問題に常時出たとこ勝負で挑んできたからな。 ……確かに今回のは少しヘビーかもしれん。だが、何とかしてやる。何とかしなきゃいけないんだ。 あの12月の世界改変の最悪事態と比べたら構図はハッキリしてる。楽勝だ。 「何とでも言え、お前に何と言われようと俺は」 「自分を鼓舞するのは勝手だ。...
  • みくるの告白
    目が覚めると、朝日が完全に昇りきってない空からは本日の晴天ぶりが覗える窓の外を見ながら、とても悲しい気持ちになった。 夢の中で何か大切な物を失ってしまう、そんなありきたりだけどめったに見ることの無い妙に現実染みた嫌な夢。 そんな夢を見ただけでとても悲しい気持ちになった。そんな幸先の良くない一日から動いた運命の話である。   悪夢で目が覚めた俺は、朝から憂鬱な気分で過ごした。学校へ行ってもどこか集中しておらず上の空だった。 ただ過ごしているだけの決して充実していない日常。少しだけハルヒの持ってくる非日常が恋しくなった。   「キョンくん、大切なお話があるんです。部活が終わったら少し待っててもらえませんか?」   たまたま廊下で会った朝比奈さんに突然そんなこと言われて焦ったが俺は了解する旨を伝えたのは今日の昼休みの事である。 SOS団の活動中の俺は、また未来絡みか、と戦々恐々とし...
  • ハカセ君の愛妻
     とある研究所の社宅(という言い方もおかしいけど、他に言い方がないので、こう呼ぶことにする)の一室が、今の僕の住居だった。 「ただいま」  僕がそういうと、即座に妻の挨拶が返ってきた。 「おかえりなさぁい」  妻の顔を見るのは、三日ぶりだ。ある実験で、三日間ほど研究所にこもりっきりだったから。  僕と同い年だから二十代半ばを過ぎているはずなのだが、今でも高校生だといったら通じるんじゃないかと思うほどの童顔で、可愛らしい愛妻だ。  思わず抱きしめたくなるほど……むっ……。  駆け寄ってきた妻が、飛びついてキスしてきたため、結局、抱きしめてしまった。        妻が夕食を食卓に並べている間に、普段着に着替える。  三日ぶりに妻の顔を見たためか、ふと昔のことを思い出した。  学校が異なる二人の高校一年生のときの出会い。高校卒業間際に僕の方から告白したこと。大学・大学院時代を通じての遠距離恋愛...
  • 佐々木さんの憂鬱
     その風景は、俺の出身中学校の校庭だった。  ただし、見渡す限り360度がセピア色で染まっている点で、現実のものではないとすぐに分かった。 「私の世界へようこそ」  俺の目の前には、佐々木がいた。  なぜか、いつもの口調とは違う女口調だ。 「せっかくのご招待だが、モノトーンの空間にはいい思い出がないんでね。さっさと帰りたいんだが」 「相変わらず、つれないわね。帰り方については、橘さんや周防さんから、ヒントをもらってないかしら?」  俺は、忌々しい二人のセリフを思い出した。  白雪姫。  sleeping bueaty。  ふざけるな!  俺の感情がそう主張する。  これには、俺の理性も満場一致で賛同していた。 「断る」  佐々木の表情が曇る。 「そんなに嫌なの?」 「好きでもない女にするもんじゃないだろ、そんなことは」 「私のことが嫌い?」 「嫌いってわけでもねぇよ。た...
  • Am I father ? 最終章-朝-
      俺は夢を見ている。   真っ暗で何も無い空間。   どちらが上でどちらが下なのか分からない。方向感覚が麻痺しているようだ。   そんなところに俺とどこか見覚えのある一人の女の子だけが存在していた。   『ねえ。あなたは、―――さんはわたしのことを許してくれると思う?』 その空間に女の子の発する言葉が静かに響く。肝心の名前のところが聞き取れない。 どうしたいきなり。なんでそんなこと言うんだ? 『わたしはね、―――さんが幸せになるならどんなことでもする。けれども、一体どんなことが―――さんの一番の幸せなのかしら』 そいつがどこの誰だか知らんが、とにかく一緒にいてやればいいんじゃないか? 大事に思ってるなら一緒にいたいってもんだろう。 『わたしには分からないな。けれども誰だって本当にいいことをしたら、一番幸せなのよね。だから―――さんは、わたしをいつかきっと許してくれるわよね?分...
  • お題+他 目次
    トリップ ◆1/dtGJfhU6.F ◆TZeRfwYG76(企画用) ◆Yafw4ex/PI (旧トリップ仕様)   以下のSSは全て文字サイズ小の環境で編集しています 背面が灰色になっているSSがあるのは仕様です(等幅フォントを使いたいので書式付き設定)     更新SS  11/22 未来の古泉の話   11/6 簡単でおいしい!おかずレシピ「キョンの夕食」 7食目 「ふわふわ」「天麩羅」   10/25  罪の清算 「朝比奈さん大活躍(微糖)」 「かんざし」 「時限爆弾」 言いたい事は言えない話         停滞中の連載SS   甘 1 甘甘 2 カカオ → IFエンド 「これもまた、1つのハッピーエンド」 注意! 欝展開あり 3 甘甘甘 4 HERO  5 「お酒」「紙一重」 *微エロ注意     森さんと古泉の話  カプ:森古泉 注意! 森さんのキャラがオリジナル設定...
  • あの日からの願い
    ジョン、あの女の人ってあなたの何? ジョン(キョン)「何って?」 だーかーらー、彼女かどうかって聞いてんの! 「…それは違う」 ふ~ん、ならさ、あたしと付き合ってくれない? 「……それはできない」 なっ、なんでよっ!? 「…………フッ、大丈夫。いつか、俺みたいな奴が現れる。そいつは、おまえのことを一生大事にしてくれるはずだ…。だから、それまで待っていてくれ。なっ?」 な、何よそれ?あたしは待つことは嫌いなのよ! 「じゃあな」 まっ、待ってよ!また、また逢えるよね? 「さあなっ」                                                ………… …… あれから、三年か……。 まだ忘れてないよ、あんたのこと…。 今日は高校の入学式か…。さんざん待ったけど、あんたみたいな奴は現れなかったわよっ。 高校に入れば、また逢えるかな? 逢いたいよ…ジョン……。 ...
  • スノウマーチ
     それは、とても残酷な告白だった。  けれどもそれは、どうしようもない事実でも有った。  事実を告げ頭を下げた既に卒業してしまった上級生に対して、僕等はそれ以上何かを言うことが出来なかった。  帰り道、暫くの間僕等は無言だった。  突きつけられた重い現実は、僕等にはどうすることも出来ない。  僕等に、そんな力は無い。 「ねえ、古泉くん」  沈黙を破ったのは、涼宮さんの方だった。 「何ですか?」 「古泉くんは、どうしたい?」 「どう、と言われましても……」 「どうにも出来ないって思ってるの?」 「……そうかも知れません」 「それって、悔しくない?」 「悔しいですよ。……でも、悔しいと思う以上のことは、出来ないでしょう」 「それは、そうだけど……。そうね、じゃあ、こうしましょう!」  涼宮さんが、ぱっと笑顔になる。  何か面白いことを思いついたときと同じ、満開の花のような笑顔。  今は、そこ...
  • 鶴の舞 第六幕
    今俺は、鶴屋さんと夜の庭を散歩している。 心地よい風と、春を感じさせる木の葉の茂みが心を透き通らせる。 俺の手には、鶴屋さんの滑らかな手が握られている。 鶴屋さんは俺の腕をぶんぶん振り回しては、夜の散歩を楽しんでいるようだ。 痛い腕なんぞ、鶴屋さんのパワーが大きすぎてまるで塵のようだ。まったく気にしない。 いや、いちいち気にする必要も無いと言ったほうが明確であろう。 俺もこの雰囲気が気に入っているからだ。 遡る事30分前。 温泉からあがって一息ついた頃、鶴屋さんから 「庭に・・・出ようかっ」 夜の散歩に誘われた。当然断る理由もなく、 (鶴屋家の庭というのもどうなのか気になるなという興味心もあるが)、 そのお誘いを承諾した。まあ、鶴屋さんの願いを断れるやつなんて見たことないがな。 こうして今俺たちは、夜の庭を散歩しているわけだ。 手を繋いでいるのは何故かって? では逆に聞くが、もしお前...
  • 日常の中のサプライズ
    日常の中のサプライズ  すずしい春の日々はあっという間にすぎ、暑い夏の真っ只中。  ずっしりと重い荷物を持ち、俺はうんざりしながら歩いていた。  みあげれば、今日も太陽が元気いっぱいに輝いている。  やれやれ。  ハレるのはかまわないが、気温だけはあげてくれるな。  ルパン三世が、太陽を盗んでくれないだろうか。  ヒートした頭で、そんなとりとめもないことを考えてみる。  のろのろと、ただ歩く。  きれいに晴れわたった空。  よるには、まだ遠い。  うだるような暑さは、まだまだ続く。  がくがくと足が崩れていきそうだ。  くちていく、俺の足……。 「こらぁ! シャキッとしなさい!」  俺の煮え立った思考を、こんな中でも元気いっぱいな団長様がさえぎった。  誰のせいでこうなったと思ってるんだ。  おまえも少しは荷物を持ってくれ。 「何言ってるの? 荷物持ちは、雑用係の仕事でしょ」 ...
  • 規定事項の子守唄 第十話
     部室に帰還したのは、出発の約一分ごでした。時間酔いを起こすだろうからということで、なるべくはやくにもどってきたのです。  といっても、むこうでは、あのあと一時間以上も、お話をしたり散歩をしたりしてすごしたんですけどね。おかげで、古泉くんのさまざまな面をしることができました。 「ありがとうございました、朝比奈さん。今日のことは、一生わすれないと思います」  時間酔いから回復したあとすぐ、彼はそういって、部室を去っていきました。  つぎの長門さんを待つまでのあいだ、ぼんやりと古泉くんのことを考えました。  いうまでもなく、古泉くんのトレードマークは笑顔です。だけど、それは同時に、彼が本心をかくすためにかぶった仮面のようなものでもあった気がします。  今日、わたしは、古泉くんの仮面のしたの素顔にふれることができました。彼も、こちらが本気でふみこんだことで、心をひらいてくれました。  でも、わ...
  • 台風一過のハレの日に:第一章
    『台風一過のハレの日に』       ○ 第一章:再会   「その節はいろいろとお世話になりました」 そう言って、長門のリビングのコタツ机の向こう側に座っているこゆきはにっこりと微笑みながら小さく頭を下げた。   マンションの前の通りで久々の再会を果たした俺たちは、ひとまず長門の部屋にやってきた。 ちょっと大きめのコタツ机以外には家具の無い相変わらず殺風景なリビングに、宇宙人製アンドロイドと、小柄な液体宇宙人と、なんの変哲も無い平凡な地球人が集まった。 数ヶ月前、梅雨時の退屈を持て余したハルヒの「雨の中から宇宙人が降ってこないかしら」という願望をきっかけにして、地球上に分散していた液状化分散集合生命体がこの周辺に降り注ぐ雨として集まった。 長門の力も使いつつ、その雨水をためたここの浴槽の中からすっと立ち上がったこゆきの姿を初めて見たときは本当に驚かされたことをはっきりと覚えている。 今、久...
  • 三人娘の結論
     あたしは、高校時代をすごしたこの街に戻ってきた。  理由なんてない。ただなんとなく来てみたかっただけ。  ……なんて、ごまかしよね。  やっぱり、未練なんだと思う。ここにはキョンとの思い出がたくさん詰まっているから。    高校を卒業したあたしたちは、みんなで同じ大学に入った。  みくるちゃんは一足先に入学していたし、古泉くんや有希は心配するまでもなかった。問題はキョンだったけど、あたしの特訓の成果で何とか合格させることができた。  あたしは、家賃や生活費の節約になるからと理由をつけて、強引にキョンと同棲した。  一緒に暮らせば、何か進展があるかもしれないと期待していたのは確かよ。  でも、何もなかった。  キョンにとっては、あたしは、ルームメイトで、SOS団の団長だった。親友とも思ってくれているかもしれない。  でも、それ以外ではなかった。  あたしがどんなに思わせぶりな態度をとって...
  • 涼宮ハルヒの抹消
     中国の故事だか何に由来するのかは知らないが、俺は光陰矢のごとしなる言葉がこの世にあることを知っている。  意味は、時間は矢のように早く過ぎるとかそんな感じだったように記憶している。  あいにく俺は古代日本語が苦手であり、ついでに古代中国に何があったのかも知らないものだから、光陰って何だ? とか訊くのはよしてくれ。  長門に訊けば由来から実体験ぐらいさせてもらえるのかもしれんが、今はやりたい気分ではないのでやめておく。そのうち気が向いたら辞書で調べるさ。    それはそうと、今は六月である。  去年の今頃というと、それはおそらく俺が白昼夢以上に夢っぽい空間からハルヒと一緒に生還した一週間後くらいであり、それと同時にまさしく悪夢だった中間試験が終了した頃だろうと思う。  それから我ながら大声で笑いたくなるような試験の結果が告知されるとともにハルヒによって草野球大会への出場が告知された...
  • 橘京子の憤慨 その2
    「あの……んぐ、ほじんほくほ……はぐはぐ……はまわり……」 「…………」 「ぱくっ、はいへんありは……もぐもぐ……たい……んんっ、おいしー!」 「…………」 「……のですが、できれば他の方からの、あーん……あろはいすが……むぐむぐ……良ひと思いますぅ……こっくん、あ゛ぁっ、染みるぅ~」 「……食うか喋るかどっちかにしろ」 「はひっ!はかりはひんぐっ!!ゴホゴホッ!!ゲヘッ!!」 「………………」  人に助けを請い、また苦労をさせながら、全くそれを自覚をしていないイカれ白玉女は、抹茶チョコのエクレアとカスタードプティングとラ・フランス果汁たっぷりのグラニテを交互に頬張りながら、申し訳程度の謝罪の言葉を発し、そして喉を詰まらせた。  朝比奈さんと(ケンカ)別れした後の事である。俺は橘お勧めのお菓子屋さんに来て、マカロン・ダミアンとザッハ・トルテを自棄食いしていた。  先ほど叩かれた痕...
  • 絶望の世界
    ある日、僕は目覚めると見知らぬ場所に居た。 正確に言えば、そこは自分の部屋だった。 しかし、部屋は真っ暗で窓の外から見える景色も色が消えたようだった。 部屋には妙な空気が漂い、まるでこの部屋を刳り貫いて保存したかのようなところだった。 僕はまだ夢の世界に居るのかと思い、頬を抓って見た。痛い。 何かがおかしい、僕は親を呼びに行く事にした。 しかし家の中には人一人居なかった。どの部屋を探しても父も母も誰も居ない。 家の外に出ても歩いている人はおろか、どの家にも人の気配がしないのだ。 とにかく誰か人を見つけようと辺りをく歩いていると、ドスン、と地響きのような音がした。 それはだんだんと数を増して行き、自分に近づいてくるようだった。 とつぜん、僕の目の前に巨大な影が現れる。 慌てて振り返るとそこには巨大な物が立っていた。数にして3匹。 それが僕を見下ろすように立っている。 僕は声を出し、逃げた。助...
  • 涼宮ハルヒの病欠
    キョンの病欠からの続きです      …部室の様子からもっと物が溢れ返ってる部屋を想像したんだが…。  初めて入ったハルヒの部屋はあまり女の子らしさがしないシンプルな内装だった。それでも微かに感じられるその独特の香りは、ここが疑いようもなく女の子の部屋なのだと俺に認識させてくれた。 「よう、調子はどうだ?」 「……だいぶ良くなったけど…最悪よ」  …どっちだよ。  ハルヒは少し不機嫌な表情でベッドに横になっていて、いつもの覇気が感じられなかった。いつぞやもそう思ったが、弱っているハルヒというのはなかなか新鮮だな。 「ほら、コンビニので申し訳ないが、見舞いの品のプリンだ。風邪にはプリンなんだろ?」  サイドテーブルに見舞いの品を置くと、ハルヒはそれと俺の顔を交互に見つめて訝しげにこんなことを言ってきた。 「……あんた、本当にキョン?中身は宇宙人じゃないでしょうね?あたしの知ってるキョンは...
  • 長門有希の憂鬱IV エピローグ
      エピローグ    最後に新川さんが丁寧に謝辞を述べ、古泉が閉会の挨拶と二次会の案内をして披露宴はお開きとなった。新郎新婦は拍手の中を退場、とふつうはプログラムにあるはずなのだが、突然ハルヒが叫んだ。 「ちょっとみんな、外見て!」 「どうしたんだ?」 「すっごいじゃないの、目の前で花火をやってるわ」 「まさか、もう九月だぞ」 ハルヒの指令ですべてのカーテンが開けられた。窓の外はもう暗くなっていて、眼下に広がる俺たちの町の夜景と夜の海、そのはるか上空で、光の大輪の華が大きく広がっては消えていく。ドドンと腹の底に響くような大きな音と共に赤黄色オレンジと青に緑の輪が咲いていた。今日のセレモニーの最後を飾るイベントだと思ったらしく招待客からやたら歓声が上がっている。   「あれは誰がやってるんだ?古泉、お前の機関の仕込みか」 「とんでもない。あんな予算のかかる見世物をやるなんて聞いていませ...
  • 第六章 ハルヒ、古泉に恋す。
    長門ふたり   第六章 ハルヒ、古泉に恋す。   とある日曜日。僕は長門さんのマンションに呼び出された。何の用事かは 知らされていない。今朝、起きるといきなり長門さんから携帯に電話が入り、 「来て」 とただ一言告げただけで切れた。かけてきたのが長門さんAなのかBなのかは 電話では知りようが無いが、とにかく、呼び出されたからには行くしかないだろう。 マンションの入口で長門さんの部屋のルームナンバーを押し、オートロックの 鍵を解除してもらってからマンションに入る。エレベーターで上り、 部屋のドアをノックして入れてもらう。部屋の唯一の調度であるこたつの右に 長門さんAが左にBが座り、真中に僕が座った。 長門さんAが切り出す。 「あなたの言う通り、わたしたちは彼を共有した」 「助かっています」 「しかし、この状態は問題がある」 「と言いますと?」 「彼の注意のほとんどが涼宮ハルヒに向いている」 は...
  • 笑顔記念日
    四月の下旬、俺達は二年生に無事進級していた。 ・・・いやまあ、「無事」というのは実際俺だけのことなんだが・・・。 クラス分けもハルヒの能力が発動しなかったのか、俺達SOS団は別々になってしまった。 別々といっても、俺とハルヒは一年の時から変わらず同じクラスである。 席も去年と変わらず、俺の後ろを陣取っている。何故だ?   気だるい授業の終わりを告げるベルが鳴り、HRもそこそこにその日の学業は終わった。 いつものように、俺はハルヒと共に部室に向かおうとしたが 「ちょっと職員室に用があるの、先に部室行ってて」 面倒くさそうにそう言うと、ハルヒは鞄を引っつかんで教室を出て行ってしまった。 ここでボーっと立っていてもしょうがない。部室に向かうとするか。 グラウンドで練習をしている野球部の怒声を聞きつつ、俺は文芸部室に着いた。 もうとっくの昔に、SOS団の団室と相成ってるがな。 俺は軽いノックを二回...
  • 『God knows』 4章
    『God knows』 ~4章~ 「お、お待たせしましたぁ!」 朝比奈さんが来た。 何を隠そう、俺は今日、学校一かわいいとの呼び声高い朝比奈みくるさんとデートなのだ。 「ご、ごめんなさいっ!ちょ、ちょっと遅れちゃいました……。」 「いいですよ、そもそも約束の時間はまだ10分後ですから。それより、どっちに先に行きますか?」 俺は、まだどっちが先かを決めてないことに気付いて質問した。 「えっ…とぉ…水族館にしましょ?」 と首を傾げて聞く朝比奈さん。 かわいいっす。 「オッケーです。さぁ行きましょう。」 俺は朝比奈さんの荷物を持ち、手を差し出した。 「え……えぇ?」 「手…繋ぎませんか?今日は団員としてじゃないから文句は言われませんよ。」 と言ってみた。 多分3人がどっからか監視はしてるだろうがな。 「じゃ……、じゃあ…。」 朝比奈さんが顔を真っ赤にして俺の手を握る。 ヤバい、いきなり恥ずか...
  • インターフェースのとある未来
    「なーんもないわね」  朝倉涼子の発言に対して、喜緑江美里が答える。 「延々と続く大地があるではありませんか」  彼女たちの目の前には、赤茶けた大地が延々と広がっていた。 「人類的な表現を用いるならば、朝倉涼子の発言も妥当と思われる」  長門有希は、律儀に突っ込みを入れた。 「まったく、人間ってバカよね。くだらない理由で戦争して、この有り様じゃね」 「その点については、同感ですね」 「…………」    地球規模での大戦争。  対消滅反応兵器の応酬。  その結果として、地球上の有機生命体は全滅していた。  とはいっても、人類が絶滅したわけではない。彼らは、火星にも金星にも木星の衛星群にも、勢力を拡大していたからだ。  人類領域全体から見れば、これは地球という一つの惑星における内戦にすぎなかった。    三人は、会話をかわしながら、ただ歩いていた。  三人がここに派遣されたのは、この地球に満ち...
  • 平穏な冬の日
     コンコン。  いつものようにノックをする。 「どうぞ」  その返答を受けて、俺は文芸部室に入った。  1年先輩の喜緑さんが、メイド服を着ていつもの定位置で分厚い本を読んでいた。表紙の文字を見ても、何語なのかすら分からない。  ふと視線を移せば、これまたいつもの位置に古泉が座っていた。既に碁盤を広げて、やる気満々である。  しょうがない。相手してやるか。  俺と古泉が碁石を打ち合っているところに、喜緑さんが紅茶を持ってきてくれた。  俺と古泉が礼を述べると、彼女は穏やかな笑みを返してくれた。  さっそく一口。彼女が淹れる紅茶は、その辺の喫茶店の紅茶なんかよりはるかにうまい。  まったりと、時間が流れていく。  しかし、そんな穏やかな時間はわずかばかりであった。  バン!  勢いよく扉を開いたのが誰かなんて、いまさらいうまでもないだろう。 「さぁ、今日はミーティングをやるわよ!」  ホワ...
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