涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki内検索 / 「未来からのエージェント 第二部 セカンドエージェント」で検索した結果

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  • 未来からのエージェント 第二部 セカンドエージェント
    未来からのエージェント 第二部 セカンドエージェント プロローグ 時間管理局の暗い一室。何人かの人間が密談している。 ひとりは、かつて、キョンとみくるが朝比奈さん(大)の意をうけて 様々な工作を行ったとき、出現して妨害を図ったあの、目つきの悪い 未来人の青年だった。年配の男性がその青年に言った。 「結局、うまくいかなかったではないか」 「まあまあ、次の手段はちゃんと考えられていますよ。御安心を」 「そうかね。口ばかりでないことを祈るよ」 「何、純真無垢なエージェントを送るなどと言う非常識な選択をした 連中を見返してやりますよ」 第一章 マナ その日は朝から、みくるのクラスはちょっと騒がしかった。どうやら転校生が来る らしかったのだ。どのクラスにもひとりはいる情報通の生徒がやってきて、 「すっげえ美少女らしい」とやったもんだから騒ぎは大きくなった。鶴屋さん、 みくるに続いて第三の...
  • 未来からのエージェント
    未来からのエージェント   第一部 朝比奈みくるの真実 第二部 セカンドエージェント
  • 未来からのエージェント 第一部 朝比奈みくるの真実
    未来からのエージェント 第一部 朝比奈みくるの真実 プロローグ 時間とは不思議なものだ。かつて、とある科学者はこういった。 「時間について聞かれなければわたしは知っている。聞かれるとわたしは知らない」 実のところ、時間についての理解がそれほど進んだとは言えない。それは、 時間旅行が可能になった今の時代でもそう変わらない。 あの時間平面に常駐的な観察者を派遣することには多くの議論もあり、 反対も多かった。派遣が決した後も人選は難航した。 派遣するエージェントをどの様な人物にすべきか。 徹底的に優秀なエリートを送るという選択もあった。が、実際に時間管理局がした 選択は徹底的に無垢な観察者を送る、という決定だった。 人間にはミスがつき物だった。だが、何も知らなければ、真実をもらすこともなく、 間違った行動もとりようが無かった。実際、彼女が「禁則事項」として 教えられている『秘密』の殆どが嘘...
  • しっと団の野望 ~聖夜の復活~ 前編
      「いらっしゃいませ~、はい。チーズケーキですね。1200円になりまーす」   こんばんは。朝比奈みくるです。え?今何をしているのかって? 見ての通りアルバイトですよ。ケーキ屋さんでアルバイトです。 今ケーキ屋さんは大忙し!なんたって今日はクリスマス・イヴですからね! クリスマスイヴと言えば……思い出すのは去年のこと。同じ1人身の同士を集ってSOS団に闘いを挑みました。そう、「しっと団」として。 あれから何度かちょっかい出したり対決したりしましたが、全て失敗。今年の3月に解散しました。 そして私は今……浪人生。未来から指示されていた大学に受かることが出来なかったためです。 まあそりゃそうですよね。大事な受験の時期にあんなことしまくってたらそりゃ落ちるってもんです。 場合によっては未来から手を回して(裏金的な意味で)入れてくれたりもするんですが、私の場合は浪人を命令されました。 まあそりゃ...
  • 普通短編4
    新ジャンル:他人 ハルヒ「宇宙人か未来人か超能力者がいたら私のところに来なさい!以上!」 キョン「6月6日にUFOが~・・・ドラえもんいっちょあがりー。」 ハルヒ「キョン、あんたスタンドって知ってる?」 チョン「スタンド?なんじゃそりゃ」 ハルヒ「自分の守護霊みたいなもんよ 漫画の中の話なんだけどね」 キョン「それがどうかしたのか?」 ハルヒ「あたしがそれを使えたら同じような仲間と出会って面白い旅ができそうでしょ?」 キョン「まさか・・・」 ハルヒ「そうよ!矢を探しに行くのよ!付いてきなさいキョン」 キョン「ちょっとまて、何で矢を探すんだ」 ハルヒ「まずは何処から探せばいいと思う?エジプトかしら・・・イタリアって手もあるわね・・・」 キョン「聞いちゃいねぇ・・・」 舞台はエジプトに移る スタンドの矢に貫かれたハルヒはスタープラチナというスタンドを身につけた キョンは矢に貫か...
  • 二人きりと匂うは紅茶 「夏のアイスのように」
    「不思議探索スペシャル、夏の不思議大操作は終了よ!」 「ふぁ~・・・暑いから物凄い疲れたぜ」 「谷口はナンパしかしてないよ」 「あ~めがっさ面白かったにょろ~」 「そう・・・」 「さて、では帰りましょうかね」 「そうですね」 「ルソー、おいでなのね」 「由良達は帰り道解るか?」 「うん」 「ここら辺はよく来てたから」 「今日は楽しかったよ。皆さん、またね~」     二人きりと匂うは紅茶  第二話「夏のアイスのように」     「キョンくん、家に寄りませんか?」 夏休み中。 いつものメンバーに谷口やら阪中やらを加えて大人数となったSOS団の夏の不思議大捜査の終わった後。 夕暮れの帰り道で俺は朝比奈さんに誘われた。 「え?」 珍しい。いつもは俺の家でお茶などをするのに。 そんなわけで驚いて声を上げてしまった。   「あ、ハーゲンダッツのバニラを大量に鶴屋さんに頂いたんですよ。それを一緒に食べ...
  • SOS団プレゼンツ 第一回 涼宮ハルヒ争奪戦 ―キョンの最終試練―
    …なんだ、何が起こった?どうして俺は閉鎖空間にいるんだ?古泉お前のドッキリ企画か頼むから止めてくれ… ―古泉!?どこにいる古泉!?隠れても無駄だ出てこい! 『―彼ならここに招待しなかった。お前にしか用はないからな』 瞬間、空が震えた。今気付いたが、ハルヒが作り出した閉鎖空間よりも暗い。 そして、『彼』の声によるものだと気づくまで少々の時間を要した。 …どこにいるんだお前は!?古泉は?長門は?朝比奈さんは?どこだ!! 『彼らは元の世界で何も変わらず過ごしているよ。お前が居なくなって驚いているかも知れないがな』 …何で俺だけこの世界に呼び出した! 『お前は知っているのではないか?この世界がどのような世界なのか?』 この世界・・・この空間は、ハルヒが無意識下のストレスを発散させるために用意され、そして赤い玉をした超能力者に破壊されるかりそめの空間。ハルヒの不満が大きくなればなるほど拡大し、つ...
  • 朝比奈みくるのブラックコーヒー
    『朝比奈みくるのブラックコーヒー』 ――こぽこぽこぽ。  あたしはいつも通り、部室のお茶くみ係としてがんばっています。皆さんこんにちわ。朝比奈みくるです。  ところで最近、あたしには気付いたことがあります。  アタシオワッテマス?  あたしだって、未来から来たって以外は花の女子高生です!だから恋の一つや二つ体験したいんです!  でも皆さん、考えてみてください。……みくキョン小説ってありますか?  みくキョンじゃなくてもいいです。古みくでも国みくでも、この際谷みくでもかまいません。……あたしの恋愛小説って読んだことありますか?  ええ、ハルキョンならたくさんあります。長キョンだって次いでおおいですよね?他にも古長、キョンオリ、この世界の創造主(作者)にいたっては佐々キョンまで執筆してるんですよ!?  しかしです。  なんであたしだけ恋愛ヒロインになれないんじゃー!!  だから朝比奈み...
  • 涼宮ハルヒの抹消
     中国の故事だか何に由来するのかは知らないが、俺は光陰矢のごとしなる言葉がこの世にあることを知っている。  意味は、時間は矢のように早く過ぎるとかそんな感じだったように記憶している。  あいにく俺は古代日本語が苦手であり、ついでに古代中国に何があったのかも知らないものだから、光陰って何だ? とか訊くのはよしてくれ。  長門に訊けば由来から実体験ぐらいさせてもらえるのかもしれんが、今はやりたい気分ではないのでやめておく。そのうち気が向いたら辞書で調べるさ。    それはそうと、今は六月である。  去年の今頃というと、それはおそらく俺が白昼夢以上に夢っぽい空間からハルヒと一緒に生還した一週間後くらいであり、それと同時にまさしく悪夢だった中間試験が終了した頃だろうと思う。  それから我ながら大声で笑いたくなるような試験の結果が告知されるとともにハルヒによって草野球大会への出場が告知された...
  • 長門有希の報告 あとがき
    あとがき この作品は、『涼宮ハルヒの憂鬱』の舞台が兵庫県西宮市であることを知った時に着想を得ました。 舞台が西宮ということで、キャラクターの台詞をいわゆる「関西弁」にしたSSはないかと思い、色々とSSを読んでいましたが、単発の雑談ネタで原作の一場面を「関西弁」に訳した例があるくらい。二次創作で「関西弁」を使ったものはありませんでした。 「ないんだったら作ればいいのよ!」とは原作のハルヒの弁ですが、ちょうど担当者は大阪府出身で、兵庫県下にある西宮の近くの街に住んでいた時期もあるし、北口駅のモデルとなった阪急西宮北口駅も行ったことはある。加えて、身近には西宮市出身の友人もいる。条件は揃っていました。 もっとも、後に「関西弁」を使ったSSが皆無な理由を痛感することになりますが。 また、当時職場で大量の文書を校正する必要に迫られていて、校正の練習にもなって趣味と実益を兼ねられるかもと、軽い気...
  • SOS団プレゼンツ 第一回 涼宮ハルヒ争奪戦 ―エピローグ―
    あの疾風怒濤の争奪戦から四日後のことである。俺は珍しく部室に二番手で入室し(一番は勿論長門だ)部室で花瓶の水換えをやっていた。 本日は花火大会があり、その準備と第二回争奪戦の企画会議であった。全く、次から次へとよくやるよ。あの団長様は。 「おや、あなたが花を持って来るとは珍しい。向日葵ですか」 夏の炎天下をクールに決める、SOS団専属ナレーター(本人希望)は、部室に入るや否や、俺が花を持ってきた事に若干驚愕の顔を浮べていた。 俺だってたまには花を持って来るさ。 部室には一瓶の花瓶があり、季節によって様々な花が活けられていた。 水の交換は当番制だったが、花を持って来るのは殆どは朝比奈さんだった。次点で古泉。 たま~に長門もある。あいつも花に興味あるとはな。喜ばしいことだ。 因みに、俺とハルヒは未だかつて一度も花を贈呈したことはない。だがこれで一歩リードだ。 俺は、先日ハルヒにもらった...
  • 白有希姫 演劇篇
      第一章 プロローグ   「昔、白雪姫というとても美しい王女と、深い谷に住む魔女が居た。魔女は、自分が世界で一番美しいと信じており、彼女の持つ魔法の鏡もそれに同意したため、満足な日々を送っていた。」   このナレーションの語りは国木田。そして文章はウィキペ○ィアから参照したものである。   「『鏡よ鏡よ鏡っ!世界でいっちばーん美しいのは誰かしら?』」   体育館、ステージから見て右側の大きなスクリーンに谷口の顔が映し出される。いいなあ、こいつは出番が少なくてよ。   「『それはもちろん涼み…魔女様に決まってるでしょー。』」   こいつ、ちゃんと練習してきたのか?   「白雪姫が16歳になったある日、魔女は魔法の鏡にもう一度問いかけた。」 「『ちょっと!かがみ!世界で一番美しいのは誰かしら?』」 「『それは白有希姫でございますー。』」 「『なんですって!?聞き捨てならないわ、今すぐ白有希...
  • はるかぜふくまえに・第三章
    ○第三章   昨日がどんな日であっても、夜が来れば朝が来る。 夢にまで長門有希が出てきてしまった気がするがそれこそ気のせいだと思いたい。じゃないとやってられん。 「キョンくん起きたー? 朝ご飯たべよー」 妹がさっきからこの調子である。長門も余計な事を言ってくれたものだ。 「ミヨキチもくるってー!」 何だって!? 友達呼んでとか長門は言ってたがほんとに呼んだのか妹よ!? 「だめ?」 いやダメと言えるわけないのだが、あぁそうか。そうですか。どうやら今回も俺は巻き込まれ型の本分を発揮しないといけないらしい……。しかし野球ね。何着ていけばいいか聞いてないなそういや。 俺の心の声を聞いたかのように携帯が鳴った。ハルヒからだ。 「いろいろ言い忘れてたけど、集合場所は六月のグランドね。時間は十時。あと、今回は私服でいいわ。ただし、 運動しやすそうなね。それじゃ」 俺が一言も喋らないうちに通話は終了した...
  • 機械知性体たちの即興曲 第一日目/夜
      機械知性体たちの即興曲 メニュー http //www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5972.html   □第一日目/夜   朝倉    「さて……また長門さんの様子でも見に行こうかな。どうせ晩御飯食べてないだろうし、今晩もなにか作ってあげるか」               ピンポーン 朝倉    「長門さん? いないの?」                ピンポーン 朝倉    「……変ね。長門さんの個体識別反応は部屋の中にあるのに」 朝倉    「……これは中で何かが起こってると判断するべきか。緊急コード。端末支援システムを経由して、七〇八号室への強制アクセスを実施」       ガチャリ   朝倉    「長門さん!? いったいどうし――」 ??    「だぁだぁ」 朝倉    「……は?」 ??    「ぶーぶー」 朝倉    「……パソコンの前に...
  • 涼宮ハルヒの分身 Ⅲ
      Ⅲ   寂しい灯りが照らす下、朝比奈さんと俺はお互いベンチに座っていた。何か話した方がいいかと思うのだが、朝比奈さんから呼び出されたのに俺が関係ない話をグダグダ話すのもいかがなものかと思い、今の膠着状態に至るわけだ。制服姿のままの朝比奈さんは、膝の上に乗せた自分の手の甲を眺めたまま動かない。そんな深刻そうにされると、一体どんな話が飛び込んでくるのかと俺は不安倍増になる。これがもし俺と朝比奈さんが向かい合っていたのなら、伝説の木の下ならぬいつものベンチ横で告白されるのではないかと思わず妄想を繰り広げてしまうのだが、今現在の事情が事情だけにそれはないな。さて、何が朝比奈さんの口から飛び出してくるか。鬼か?蛇か? 「キョン君は‥‥」 ようやく、ハムスターが精一杯に振り絞って出たかのような言葉は、何やらいやぁな予感しかさせなかった。結果的に、今すぐ告白しろみたいな話になるんじゃないか?...
  • アインザムカイト・ツヴァイザムカイト
          ―…… ―…… ―……あなたは誰 「……長門有希」 ―……同期失敗。対象をインターフェース『パーソナルネーム長門有希』の異時間同位体と認証できず。もう一度聞く。あなたは誰 「ナガトユキ」 ―質問を変更する。あなたの存在する時間平面及びその時系列上の情報統合思念体があなた……長門有希に出した指示は何 「……」 ―情報統合思念体の自律進化を実現するために必要な情報を極めて高い可能性で所有する一知的有機生命体の観測、場合によっては保護。それが対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェースとしての、わたしの存在意義 「……」 ―訂正。対象を暫定的に「異時空間同位体」と仮定義 「あなたはわたしと同じ。長門有希。でも違う」 ―ノイズ発生。無視できる程度 「一番奥の、一番大切なところが違う」 ―ノイズ発生。処理速度著しく低下。原因解析不可 「……あなたは誰。わたしと何が違うの」 ―エ...
  • 涼宮ハルヒの悲調
    涼宮ハルヒの悲調  ●第一部  何をしていたか思い出すのに、しばらく時間を要した。  やがて目を開けるのを忘れていたことに気づく。  カーテン越しの世界から、濁った光が溶け出している。  そういえばずっと雨だなあ、と口に出すと、ベッドで寝息を立てる朝比奈さんが何か呟いた。  ――何をしているんだろう。思い出したはずなのに、また忘れている。  SOS団が一週間前に解散した。理由は一つ。ハルヒが死んだ、それだけだ。  この事態を飲み込むのは、酒に弱い俺が飲み慣れない日本酒をゲロするよりも早かったが、それで爽快、というわけにはいかなかった。  うすぼんやりとした哀しみはここの所続く雨みたいに降りしきる。  積もることはない。薄い涙の膜が脳みそを綺麗にコーティングしてるみたいだ。  うすぼんやりのままだ。たぶんずっと、おそらくだが。    死んだ次の日、俺たちは――旧・SOS団員は――部室に...
  • Starry Sentimental Venus 2
    目次     さて、七夕当日。あるいは世界改変までのカウントダウン最終日。 俺達は授業も終えて部室でそれぞれ短冊を相手に云々唸っていた。 とは言え、台風が今まさにその片足を校舎に乗っけているそんな中である。正直、短冊を書く手も鈍る……と思いきや。 意外や意外。ハルヒと俺を除く三名は楽しそうに(長門はよく分からんが)短冊へと向かっていた。 「今日は晴れそうに無いわね……」 窓際に立ってハルヒが呟く。そりゃそう思うのも無理は無い。 「台風直撃だそうだからな。仕方ないさ」 心にも無い事を呟く。窓は今にも吹き飛びそうな頼り無さで、叩き付けられる雨粒に必死で耐えていた。室内にデスメタルのドラムみたいに雨音が響く。 「はぁ……折角、鶴屋さんに頼んで笹も用意したって言うのに」 ハルヒが手元に飾ってある笹を揺らした。そこには既に書き終えた赤い短冊が三枚吊ってある。言うまでも無く全てハルヒのものな。曰く、...
  • SOS団プレゼンツ 第一回 涼宮ハルヒ争奪戦 ―最終試練(前編)―
    最終試練の準備とやらが結構かかるとのことで、俺は独り暇を持て余していた。 だが、これからする内容を思い出し、反芻すると意気消沈してしまう。 最終試練の内容は、参加者が俺と一対一の勝負をすると言うものだ。 何を勝負するかは参加者が任意に決めることができ、その勝負に勝ったものがハルヒに告白できる、ということになるらしい。 だが、なんでハルヒはこんな大一番を俺に任せたのだろうか? その気になれば、俺がわざと負けてさっさとハルヒの彼氏を作り上げることも可能なのに。 鶴屋さんが言ってたように、俺を信頼しているというか? …うーむ、わからん。なんで俺がこんな大事な場面を任されたのか… 「そんな理由は簡単だ」 ―谷口!?いきなりなんだ?何を言いやがる!? 「いきなりなのはお前だ。突然ぶつくさ喋り出しやがって」 うをっ!俺は独り言を喋っていたのか!しかもそれを谷口に聞かれていたとは、何たる不覚! 「全...
  • 遠距離恋愛 第二章 それぞれの思惑
    第二章 それぞれの思惑   一通りの説明を聞き終えた古泉は、いつもの0円スマイルを3割減の顔で首肯した。 「そうですか、家庭の事情というわけですね……貴方は宜しいのですか?」 「だから、ここで相談しているんじゃないか。お前らなら、何とかしてくれるんじゃないかと思ってな」 「なるほど、それは常識的な判断です……ふむ……分かりました。少し裏を当たってみましょう。貴方が『下宿できる』『格安な』物件の探査も含めて調べてみますよ」 「手間を掛けてすまない。俺も生まれ育ったこの町から、今更全く知らない土地に引っ越しなんかしたくないし、何よりSOS団を抜けたくはない」   ほう、という表情で古泉が感嘆の言葉を出す。 「……驚きました。貴方がそれほどこのSOS団に……いや、この環境に執着していたとは」 「この2年間色々あったし、おそらくこれからも一生忘れられないような事が起きるだろうしな。それが俺だけ抜...
  • SOS団プレゼンツ 第一回 涼宮ハルヒ争奪戦  ―争奪戦当日~開会式・適性検査~ ―
    「れでぃーす えぁんど じぇんとるめん 皆様 めがっさながっっらくお待たせしたっかな? 只今より 『SOS団プレゼンツ 第一回 涼宮ハルヒ争奪戦』を 開催しちゃうっさー!!」 鼓膜が張り裂けそうな程の声をあげ、鶴屋さんは開会宣言をした。 時は8月7日。争奪戦当日となった。ハルヒの機嫌の様に雲一つ無く、絶好の天候となったようだ。 会場は鶴屋邸の一角にある庭園である。鶴屋さんも面白いことには飢えているのだろうか、二つ返事で協力を了承してくれた。 学校内で行うにはリスクがありすぎるからな。生徒会への根回しも杞憂に終わったな。古泉。 鶴屋さんは場所だけでなく、会場や必要な大道具・小道具・機材・人材を確保してくれた。その上、進んで司会まで努めてくれた。さすがは名誉顧問である。 『なぁに、他ならぬハルにゃんの頼みだからね!聞かないわけにはいかないっさ!ハルにゃんは大勝負に出たみたいだから尚更だね! ...
  • 古泉とキョン
    ~部室にて~   ガチャ   鶴屋「やぁ!みんな!」   キョン「どうも」   みくる「鶴屋さんどうしたんですかぁ?」   鶴屋「今日はちょっとハルにゃんに話があるっさ!」   ハルヒ「え?あたし」   鶴屋「そっさ!」   ハルヒ「?」   鶴屋「明日、ハルにゃんと長門ちゃん、みくるとあたしで遊び行くよ!」   ハルヒ「でも明日は団活が」   鶴屋「名誉顧問の権限を行使させてもらうよ!」   ハルヒ「えっと……有希はいいの?」   長門「構わない」   ハルヒ「みくるちゃんは?」   みくる「わたしは鶴屋さんから、事前に言われてましたからぁ」   ハルヒ「古泉君とキョンは?」   古泉「つまり男性禁制ということですよね?僕は大丈夫ですよ」   キョン「あぁ、俺も問題ない」   鶴屋「ハルにゃんはどうなのさ?」   ハルヒ「う~ん、そうね。たまにはいいかも」   鶴屋「じゃあ決まりっさ!」...
  • 遠距離恋愛 第二十章 悪夢
    第二十章 悪夢     はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。   俺は今、階段を駆け上っている。間に合わない、そんな焦りだけが足を動かしている。階段の終わりが見えてきたとき、発車ベルが鳴り響く。俺は疲れて棒になりそうだった足に鞭を打ち、プラットホームに走り出た。 そこには、あの時の夜行列車がもう発車直前と言った状態で発車ベルが鳴りやむのを待っていた。 ……あ れ?これは夢?俺は今、一体…… そうだ。ここは、あの時のあの駅だ。だが俺はあの時、もう既に夜行に乗り込んでいたはず……   「キョン!」 頭の中に聞き慣れた声が響く。ハルヒ?   戸惑う俺の思考とは別に、体が勝手に動く。 体がドアに向かって走り出そうとしたとき発車ベルが鳴りやみ、ドアが閉まった。   ああ……分かった。これは多分、夢じゃない。あの時のハルヒの記憶だ。 でも何故?何故俺はこんなものを見ている?   そんな俺の思考とは別に、ハルヒ...
  • 橘京子の分裂(中編)
    「どうしたんですかキョンくん。キツネにつままれたタヌキみたいにぽかんとしちゃって」  だから豚もおだてりゃ木に登るを目の当たりにしたって言うほうが今の心境にドンピシャだって言ったろうが。  似たような会話をここ最近した気がする。と言うか昨日だ。あの時はあの時で驚いたが、今回も負けちゃいない。大統領候補選出のために躍起になる候補者同士のナンセンスな闘争にも匹敵する。 「ほんと、昨日から変ですよ。やっぱり精神科の病院にいった方がいいのです」  昨日はここで英語で答えた気がする。今日は何語がいいんだ? フランス語? ドイツ語? 奇を衒ってサンスクリット語やエスペラント語なんかで話した日にゃ驚くだろう。目の色変えて俺のネクタイをゆする橘(ハルヒ)の顔が目に浮かぶ。  だが生憎の勉強不足のためそのどの言語も未修得で話すことができないんだ。期待にこたえられなくて申し訳ない。  ――んなことはどうで...
  • 銀河SOS伝説~射手座の光芒~第五章前編
       宇宙暦2003年、SOS帝国暦一年、十一月二十九日、十四時三十分。 SOS団員およびSOS帝国軍首脳部は総旗艦ブリュンヒルトの会議室に顔をそろえた。戦闘は開始されていなかったが、星系内に布陣した無数の無人偵察艇により敵艦隊の大まかな位置は判明しており、事前に散布した宇宙機雷による妨害も成功している。まずはSOS帝国に有利な状況が作られているように見えていた。 しかし、敵艦隊による電子妨害は刻々と強化されていて、偵察艇も発見され次第破壊されており、状況が不利に傾かないうちに戦端を開くことが好ましく思われたが、それに先立って新人類連邦軍時代からの恒例になっている戦前スピーチが行われることとなった。部下達に無茶な作戦を理解してもらう目的で始まった戦前スピーチだが、最近ではキョンに言わせると誇大妄想的とんでも演説を聞かせることで、全軍の士気を無理やりにでも高揚させることが目的となっていた。...
  • エレベータ
    『エレベータ』 SOS団の雑用係に勝手に任命されている俺は、多くの買い物荷物袋を持ちながら、昼下がりの街並みを抜けて、やっと長門のマンションのエントランス到着 した。 そんな俺の隣を、セーラー服にダッフルというこの季節の定番の衣装を身に着けた長門が、小さな袋をぶら下げてながら静かに歩いていた。 スーパーアンドロイドとはいえ、見た目は小柄で華奢な女子高生である長門に、でっかい荷物を持たせるわけには行かないので、スーパーで買い込んだ物が 入った袋の大半は俺がぶら下げている。 「ちょっとしたものなら一緒に買って来てやるのに」 「涼宮ハルヒの依頼による買い物であなたはいっぱい。わたしの個人的な買い物までお願いするのは忍びない」 俺一人で買い物に行くようにとハルヒに仰せ付けられたのだが、長門も買い物があるから一緒に、と言ってついてきてくれた。 「すまんな、長門、いつもいつも」 「いい」    す...
  • Break the World 第一話
       きっかけ、なんて物は大抵はどうってことがない。  俺がハルヒの巻き起こすゴタゴタに巻き込まれた理由も些細な会話が始まりだった。  だが、そんな日々の終わりは突然にやってきた。  何の予兆も見せること無く。警告を与えられる時間も無く。  始まりが些細な事だったように、終わりもまた些細なことがきっかけで訪れた。  それは、いつもと同じ日々での事だった。     「Break the World」  第一話 ― 発端 ―    相変わらず学校の授業は面白くない。何故かって言えば、内容がわからないのである。  俺の後ろに座ってるハルヒはちょくちょくを俺をペンで突いて来るし、  集中力削がれる事この上ない。元々無いようなもんだけど。  やっとの思いで授業が終わると、俺は朝比奈さんの癒しを求めて部室に向かった。  ハルヒも一緒だった。特に何も話はしなかったんだが。  部室棟に着き、ドアをノックし...
  • 涼宮ハルヒの終焉 第一章
    第一章 新しいクラスが発表されるのは始業式の後なのでもちろんここで言う教室というのは1年のときの教室である。 ハルヒはもう教室で憂鬱げなというよりは疲れているような顔を浮かべていた。 どうかしたのか?と聞いてみると「何でも無いわよ。」と言い返されたところで元担任の岡部が入ってきて体育館に強制連行された。 入学式に劣らないテンプレートな始業式は幕を閉じた。 とうとう新クラスの発表である。 この時、俺はハルヒと一緒のクラスになるのは確定だと思っていたので谷口か国木田でも何でも良いからまともな知り合いと同じクラスになれと祈っていた。 そして新クラス発表終了後俺は唖然としていた、なんとハルヒと同じクラスにならなかったのだ、ありえない。 谷口や国木田と同じクラスになれたのはよかったのだが… 俺の頭の中では?がありえないぐらいに大量発生していた。 俺は新クラスでの自己紹介を去年した自己紹介を適当に...
  • 橘京子の陰謀(合宿二日目)
       俺は悩んでいた。どうしてこんな事になったのだろうか?どうしてこんな目にあわなければいけないのだろうか?  艱難辛苦を引き起こすその原因は言うまでもない。橘京子のことである。  最初の出会いは最悪なものであった。あいつは非道にも朝比奈さんを誘拐した。そして佐々木をハルヒに取って代わる神だと主張し、俺に対し協力せよと要請してきたのだ。  ここまではまだよかった。いや、十分良くないのであるが、それ以降の振る舞いからすればずいぶんまともな物であったと徳川綱吉も東条英機も認めてくれるであろう。  しかしその後の立ち回りは度を超えていた。佐々木の閉鎖空間に侵入してブートキャンプを行ったり、朝比奈さんの胸にヒステリーを起こしたり、そして今回のように意味不明な旅行に誘ったり……  十分頭のネジが緩みきったその言動は、さながら風車に立ち向かうドンキホーテである。  こいつのアレっぷりもそ...
  • SOS団の無職4
    前回のあらすじ  キョンと妹が気まずくなっている頃、古泉は力いっぱい長机を長門のマンションまで運んでいた。  ジュースを買いに行く途中、キョンはハルヒに怒られてしまったが、嫌な気分ではなかった。変な意味じゃなくて。  図らずとも自分を抜きにした緊急家族会議を盗み聞いてしまったキョンは、失意のうちに家を飛び出した。  気づくとそこは、長門のマンションの前だった。     ~~~~~      長門は突然の来訪者である俺を、いつものように淡々と「入って」と言って出迎えてくれた。  長机が設置されたままの部屋の中には、もうSOS団のメンバーの姿はなかった。当然か。今日の活動は終了して解散したばかりなんだ。  長門しかいない部屋の中で長机だけがぽつんと立っている。楽しかった時間が終わりを迎えてしまった事実をつきつけられたような気がして、その光景が妙に物悲しかった。  俺を招き入れた長門は...
  • 2月14日の出来事
    僕は今、おそらく普段の笑顔の仮面をどこかに置き忘れたような驚いた顔で目の前の長髪で 元気な先輩を見ています。なぜこんなことになったのか、冷静になるために今までの経過を思い出してみたいと思います。       窓の外の景色はどんどん緑が濃くなっていく…。 僕たちを乗せたバスは先日、宝探しをした時と同じ場所にむかっています。   ここで僕は周りを見てみた。長門さんはいつもどうり無表情、朝比奈さんは小さな欠伸をしては、 あわてて口元ふさいでいる、そして、涼宮さんは目をこすっていたかと思うと、少しいぶかしんだ表情で見ている彼を睨み返していた。今日は2月14日、周りの様子から察すると涼宮さんが 彼にチョコを渡すために長門さんと朝比奈さん、を巻き込んで昨日から今日の朝まで準備をしていた、といったところでしょうか。さてどんな事が僕と彼を待ち受けていることやら…、できれば先日のように山ひとつを掘り返すとい...
  • 涼宮ハルヒの歓喜~サンタが町にやって来た~
    「涼宮ハルヒの鬱憤」→「涼宮ハルヒの教科書」から続く続編です。 「サンタクロースをいつまで信じていたか~?」 なんて事は他愛も無い世間話にもならないくらいのど~でも良い話だが、 それでも俺がいつまでサンタ等と言う想像上の赤服爺さんを信じていたかと言うと 俺は確信を持って言えるが、最初から信じてなどいなかった! 幼稚園のクリスマスイベントに現れたサンタは偽サンタだと理解していたし、 お袋がサンタにキスをしている所を目撃した訳でもないのに、 クリスマスにしか仕事をしないジジイの存在を疑っていた賢しい俺なのだが… この目の前にある状況を俺は一体、どう理解すれば良いのか!?   「Oh!Merry,Christmasデ~ス!」   おいおい…ちょっと待ってくれ…何なんだ、これは? 分かった…まぁ百歩…いや、TVショッピングで宣伝している 胡散臭いダイエット器具のおまけに付いてくるような万歩計が...
  • 涼宮ハルヒ挙国一致内閣
    涼宮ハルヒ挙国一致内閣   国務大臣(敬称略)  内閣総理大臣 涼宮ハルヒ  内閣官房長官 古泉一樹  総務大臣 国木田  法務大臣 新川(内閣法制局長官兼務)  外務大臣兼沖縄及び北方対策担当大臣 喜緑江美里  財務大臣兼金融担当大臣 佐々木(内閣総理大臣臨時代理予定者第一位)  文部科学大臣 周防九曜  厚生労働大臣 朝比奈みくる  農林水産大臣 会長  経済産業大臣 鶴屋  国土交通大臣 藤原  環境大臣 谷口  防衛大臣 長門有希  国家公安委員会委員長 森園生   国務大臣以外の主な役職(敬称略)  内閣官房副長官(政務) 橘京子  内閣情報官兼内閣危機管理監兼内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当) 朝倉涼子  内閣広報官 妹  内閣広報室企画官 吉村美代子  内閣総理大臣秘書官(政務担当) 俺        ああ、なんというか、呉越同舟という言葉がぴったりな状況に陥ってしま...
  • Close Ties(クロース・タイズ) 第二話
    Close Ties(クロース・タイズ) 第二話      午前の授業時間はあっと言う間に過ぎた。  私の中にはエラーが蓄積していた。明日のこの時間には、私は人間になってしまっているのだ。有機生命体であれば、このエラーを不安と表現するだろう。有機生命…いや、人間になればエラーに悩まされる事も無いのだろうか。  無くなるとすれば、それは素晴らしい事だ。  置換プロセスが開始されてから、私の表現の中に形容詞や抽象的な言葉が増えてきた。確かに、私は変化している。 「ゆーきーちゃんっ!」  昼休みを告げるチャイムとほぼ同時に教室へと入ってきたのは、朝比奈さんと鶴屋氏だった。  どうやら朝比奈さん自身も私の呼称を再設定したらしい。  昼休みはいつも部室で本を読むのだが、朝比奈さんと鶴屋さん(朝比奈さんに合わせて自主的に再設定した)は私を屋上へと連行し、本にありつく事が出来なかった。  真冬にも関...
  • Project512_Part3
     Project512_Part3-もくじ- Part1はこちら Part2はこちら Part4はこちら Part5はこちら Part6はこちら Part7はこちら Part8はこちら Part9はこちら     ──阪中が主役のSSに挑戦なのね、の巻──     【プロローグ】    【阪中大地に立つ!】 【阪中の孤島症候群】 【阪中の古都珍騒動】  【阪中の退屈】 【阪中の憤慨(偏執者一直線!)】   -特別書き下ろし- 【阪中の紹介(1)】 【阪中の紹介(2)】     #あははははははははははははははははははははははははは!!!!!!!!!!!!!!!! ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・            _. ‐   ̄ ヽ、          /           ヽ-、         /     _. -、        ヽ .        / ,.    /    ...
  • 月光
     それは唐突で意味不明なハルヒの一言から始まった。 「そうだっ! 古泉君よ!」  また、突然何を言い出すのか。  こいつは全人類が自分の思考回路と同期していると勘違いしているから、  往々にしてこのように言葉が足りなくなる。  だからこそ誰かが通訳になる必要があるのだが、なんでそれが俺なんだ?  たまには誰か替わってくれよと思いつつ、 「古泉がなんだって?」 「だから、古泉君の家よ!」 「……」  やっぱり誰か替われ。 「僕の家がどうかしましたか?」  ハルヒはお得意の百ワットの笑顔で解説を始めた。 「思ったんだけど、あたし古泉君の家に行ったことないのよ!」  だからどうしたと思いつつ、 「それで?」 「古泉君の家に行きましょ!」 「それはそれは」  古泉が苦笑している。 「何でそんなに唐突なんだ、お前は」 「いいじゃない。もうすぐ団も一周年だし、親睦を深めるにはもってこいよ」  古泉と親...
  • デートデートデート
    外は大雨が降っているためか、家の中ではひんやりとした空気を感じる金曜日の深夜のことだ。 俺は布団にくるまり、携帯電話で話をしている。 相手は誰あろうハルヒで、明日遊びに行く相談をしているところだ。 『映画なんてどうかしら』 ハルヒは帰りに買った情報週刊誌を見ながら話しているようだ。かすかにページをめくる音が聞こえてくる。 「映画か。終わった後でおまえの愚痴聞かなくていいなら、悪かないね」 『クモ男3でしょ、カリブの海賊3でしょ、って続編ばかりね』 「ラブサスペンスはないのか?」 『うーん、最低映画賞記念で氷のほほえみ2はやってるけど』 「なんで最低映画賞取った映画に金ださなきゃならんのだ」 『でしょ。カリブの海賊見たっていってたわね、どーだった?』 「ん?ジョニー最高だったぞ」 『いや中身の話よ』 「だからジョニー格好良かったって」 『? まあいいか。殺人医師 誕生編なんてサイコものあるけ...
  • 遠距離恋愛 第一章 家庭の事情
    第一章 家庭の事情   ことの始まりは一昨日の事だ。 期末試験明け初めての土曜日。 恒例の不思議探索が恙なく終わり(俺の財布のダメージは大きかったが)団長サマの「今日はこれで解散!」 の号令で各自家路についた。もうあと少しで春休みだが、あの団長サマの言によると、SOS団は年中無休で活動予定らしい。ま、少しくらいは俺にもぼーっとシャミセンや妹と戯れるような普通の休みがほしいねえ、などと自転車を漕ぐ俺は、これから起こるだろう真珠湾攻撃を予測できなかったオアフ島守備隊隊長の心境に近かったのかもしれない。   家に着くと珍しく親父がいた。 いつもは日曜日にしか家にいない仕事の虫だから、土曜日のこの時間に家にいるのは、滅多にないことなのでちょっと驚いた。   「ちょっといいか?」 リビングから顔を出した親父は、食卓の椅子に座るように目線で合図する。 その向かいには神妙な顔をしたお袋まで鎮座している...
  • 遠距離恋愛 第二十一章 ちから
    第二十一章 ちから   既定の高度に達したのか、ビジネスジェットは水平飛行に入った。 ……つーかさ。普通の旅客機が、どれほど乗客に気を遣って飛んでいるかが分かったぜ。小型の旅客機は大型旅客機に比べて加速・上昇性に優れ、安定性に劣るってのは聞いたことがあるが、それには大いに同意する。まるで映画の戦闘機のような機動をしながら飛ぶ旅客機ってのは、はっきり言って乗客にとっては悪夢以外の何者でもない。それが身に染みて分かった気がする。   「……大丈夫?」 俺の隣には長門が居て、グロッキーになった俺の顔を覗き込んでいた。 あー、何とかな。 「そう。現地到着までは約1時間。その間に私の話を聞いて」 そ、そうだな。とりあえず、事情が分からんと何とも出来んからな。だが、今俺はこの状態だ。出来れば分かり易く頼む。 「……分かった。努力する」 そう言った長門は、しばらく隣で虚空を見つめて何か呟いていたが、再...
  • 遠距離恋愛 第二十二章 ハルヒ
    第二十ニ章 ハルヒ   ビジネスジェット「Tsuruya」号は、滑走路に滑り込んだ。 機体が制止すると共に、お馴染みの黒塗りハイヤーが側にやってきた。 「とうちゃ~~く!さあ、客室の皆さんは、とっとと降りるにょろよ!」 通常の旅客機ならば1時間半は優に掛かる行程を、僅か50分でかっとんで来た「Tsuruya」号の搭乗口に立ちながら、客室乗務員姿の鶴屋さんは俺たちを促す。俺たちはぞろぞろと昇降口から滑走路に降り立ち、黒塗りハイヤーに向かった。だが、その前に。 俺は、昇降口に立ちこちらを見送っている鶴屋さんのところに駆け寄った。 「鶴屋さん?」 「何かなっ?」 「今回はご協力ありがとうございました。このご恩は一生忘れませんから」 「……良いってことさ。こんな事しか、あたしは出来ないからねっ!そんな事改めて言われると照れるっさ!キョン君もこれから頑張ってねっ!あ、それから」 鶴屋さんは、とびっ...
  • Am I father ? 第一章
      1.   俺が北高に入学し、SOS団とかいう世にも奇妙な団体に入団してから、いや、拉致されてからと言ったほうが正しいだろうか、まあそんな感じで早々と時間は過ぎ去り、二回目の夏休みを迎えていた。その間にもいろいろと、古泉発案の第二回SOS団夏合宿やら、その古泉が真っ青になり、朝比奈さんがおろおろとし、長門が奔走しまわった事件などがあったのだが、ここでは語らないでおこう。それはまたいつか他の機会があれば話そうとおもう。 さて、俺は今、クーラーがきいた自室で朝から久々の惰眠を貪っている。 両親と妹は商店街の抽選で当たったとかいう三泊四日温泉旅行の三名様用チケットとやらを使って今朝早くから出かけてしまった。俺を置いてな。 全く酷い家族だぜ。母親いわく、あんたは涼宮さん達と合宿に行ったでしょうが。だったらあんたは行かなくてよし、なんだそうだ。 悔しいから見送りなんてしないで寝てようとしたのだが、...
  • SOS団プレゼンツ 第一回 涼宮ハルヒ争奪戦 ―最終試練(後編)―
    「最終試験官のハードルはものすごっっく高かったみたいだよ!なんと副団長の古泉君ですら敵わなかったからね!残すところ、挑戦者はあとひとーり!最終試練を、試験官を見事乗り越え、ハルにゃんを見事手に入れることができるのか!最大の見せ場だよ!月9で例えたら、好きだった幼馴染みに対してアプローチをする先生を阻止し、自分がプロポーズすべく大勝負をかける場面に匹敵するよ!」 どんだけ~!…いや失敬! 鶴屋さんは最後の勝負ということで、色々と盛り上げる内容を語っていた。そう。残り一人。これでようやく終わる。 こいつを倒せばハルヒを狙う輩を殲滅できる。俺の仕事が全うできるんだ。 ――残りの一人の人物は、俺の知った顔だった。名前は知らないがな。 最初は教室の外で、二度目は部室の前で、ハルヒを自分の彼女にすべく、俺に戦線布告をしてきたあの北高生だった。 「――やはりあなたと戦うことになりましたね。僕には...
  • ハルヒがニート略してハルヒニート終章・後編
      後編      3月1日。桜並木の下で同じ学年の女子たちが泣きながら友人たちとの別れを惜しんでいた。  今日は卒業式、あたしは式の後すぐに部室棟へと向かった。朝のうちにみんなに言ってある、式が終わったら部室に集合するように、と。  あたしが扉を開けたときにはもうみんな集っていた。  みくるちゃんは一年前に卒業してたけど、今日はあたしたちの式を見に来ると言っていたので部室にも呼んでおいた。みくるちゃんは一年ぶりの懐かしいメイド服を着てみんなにお茶を配っていた。  有希は相変わらず座って本を開いていた。キョンと古泉くんは会議用の机に着いて話をしていたようだった。  あ、古泉くんのブレザーのボタンが一つ外れてる。やっぱり古泉くんだし、女子に目を付けられてたんだろうな。きっと第二ボタンを寄越せと迫られたに違いない。  キョンは、やっぱりボタンはきちんと全部付いたままだ。そりゃあ古...
  • 涼宮ハルヒの夢幻 第二章
      第二章     俺の安らかな眠りを妨げる者は誰だ。 目覚まし時計が朝を告げる音を軽やかに鳴らす。 朝特有の倦怠感と思考の低下は、俺の1日の始まりである。 不機嫌な状態で居間へ下り、テレビを観てハッとする。 「8 45」 あれれー? 急いで洗顔を済ませ、歯を磨き、着替えて愛車にまたがる。今日は朝飯抜きだ。 「待て。」 「あ?」 振り返ると1人の男がいた。俺の全神経が集中する。この自嘲的な笑みが憎たらしい。 こいつはいつぞやの俺と朝比奈さんの邪魔をした未来人っぽい奴。 「生憎、俺は男に興味は無いのだが。」 「忠告しに来ただけだ。死にたくないなら、今日は行くな。」 「お前を信用出来ない。お前は俺の敵だろ。」 「知るか。俺の敵は朝比奈みくるだ。」 「朝比奈さんは、俺の見方だ。その敵は俺の敵でもある。」 「まあいいさ。規定事項で近日中にお前は死ぬことになっている。」   ますます嫌な事言うな。「...
  • 涼宮ハルヒの奮闘 ~しっと団の野望~ 最終話
    「しっと団」との戦いも残すところあと一人となった。 だが、今の俺がおかれている状況はなんだ?なんなんだ?   どうして朝比奈さんが俺に銃口をつきつけてるんだ!   「バレちゃってましたか。やっぱり流石ですねぇ長門さん。  どうしてわかったんですかぁ?  朝倉さんに情報プロテクトを頼んでおいたんだけどなあ。」 「朝倉涼子が言っていた。自分がここにいるのは『トゥモロー』のおかげだと。  情報連結を解除した存在を復活させるのは情報統合思念体しか出来ない。  そうでないならば、考えられることは一つだけ。過去から朝倉涼子をこの時間につれてきた。  故に、あなたが『トゥモロー』である可能性が高いと判断した。」 「完璧です長門さん。朝倉さんも快くついてきてくれましたよ。  『長門さんはあなたを消した上に、古泉君といちゃいちゃしている』と伝えたらね♪」 「涼宮さんに、何をしたんですか?まさか……」 「安心...
  • 遠距離恋愛 第二十七章 エピローグ
    第二十七章 エピローグ   一般的な日本の常識で花見と言えば、3月中旬から4月中旬にかけてのイベントであることに何の疑問の持たなかった数年前の俺を誰が責められよう。確かに今は4月ではあるのだが、既に日本全国の誰もが待ちわびていた大型連休に突入しており、今日はその2日目だ。桜の花びらが舞い散る中、俺は「新入生歓迎!」とでかでかと書かれた横断幕の花見の席の中にいた。 既に宴が始まって3時間。宴の一部はもう大変な事になっている。 大声で談笑しながら新一年生達のコップに酒を注ぎまくる2年3年の男子学生達。女性が少ない学部だからか女子新入生の周りを、学年を問わず男子学生が取り巻いていた。逆に、その数少ない2年3年の女子学生達は品定めをするように男子新入生を遠巻きに眺めながら、そっちはそっちで盛り上がっていた。   俺はそんな光景を眺めながら喧噪からちょっと離れた場所に座り、ウーロン茶を飲んでいた...
  • 長編・その他2
    再会と再開、そして開始 テレビ出演 パラレルワールズ プレゼント ツイスト・オブ・フェイト-キョン殺害命令 SONGOF KUNIKIDA -MELTY CADENZA OF SECRET- ノンフィクション・ストーリー ひぐらしの憂鬱 鶴の舞 朝倉と 一日おにいちゃん 一日おにいちゃん 後日談 涼宮ハルヒの怪談 fixed mind 狙われた憂鬱 One Day.... ハルヒ親父シリーズ ずるい二人 ササッキーシリーズ ●えもん 朝倉涼子の再誕 幸福な鶴屋さん そしてイブはリンゴを齧る えれべーたー☆あくしょん 生徒会長の悪辣 いつも曜日は九曜日 佐々木さんの憂鬱 眠たくないけど……シリーズ crane love 橘の香り 月間佐々木さん 佐々木の囁き Lolita s Love Complex ネクストジェネレーションの憂鬱 谷口探偵の事件簿 SOS団が家族に? えれべーたー☆あく...
  • 北高生人気投票
    「北高新聞号外です、宜しくお願いします。」 毎朝おなじみのハイキングコースを踏破してやっとこさ校門にたどり着くとそこにはビラらしきもの配っている連中がいた。彼らの腕には新聞部と書かれた腕章を装備されている。 腕章といえば某団長さまの標準装備であり、某団長とビラと校門といえば朝比奈さんのトラウマとなった例のバニーでビラ配りなわけだが……。 新聞部の面々は普通に制服だった、ちょっとつまらない、まぁもっとも北高生でバニーが似合うなんてのは数えるほどしか居ないわけだし……。 などとどうでもいいことを考えながら歩いていたら、新聞部の女子と目があった。 「こちらが号外です。あっ、おめでとうございます。」 一体なにがおめでとうなんだろうな、おっとコレが号外だな、なになに… 『緊急速報! 北高生人気投票結果発表!』 ……学食後援、北高新聞部主催で行われた人気投票の結果が発表されました。 結果は下馬評...
  • 七夕シンドローム 第一章
     その日、坂道を登る俺を取り巻く空気は暑かった。  最近だんだん暑くなってきたなという事は感じていたが、なにもこんな急に気温を上昇させることはあるまい。慣れない暑さのおかげでじわりと額に汗が浮き、俺は急に日本列島に躍り出た暖気に恨み事を漏らすことも出来ずに黙々と学校への道を辿っていた。 「よう、キョン。今日はあっちいなー!」  後ろから余計気温を上昇させそうな声が降りかかってくる。振り返るまでもない、谷口だ。 「だんだん暑くなってきてるとは思ってたんだがな、こうもいきなり暑くなるとは思わなかったぜ」 「うるせえ。暑い暑い連呼すんな。余計暑く感じるだろ」  視線もよこざすにそう返す。しかし谷口は気にしたふうも無く、 「まーそんなこと言うなって。それよりキョン、聞いたか?」 「何がだ。俺はエスパーじゃないんだから、目的語ぐらいちゃんと言え」 「テストだよ、それも数学の! 抜き打ちだったんだが...
  • 【Lost My Name】
    放課後の文芸部室で1人本を読んでいる少女の名は、長門有希。 涼宮ハルヒ率いる不思議探索集団SOS団の団員であり、宇宙人の作ったアンドロイドである。 彼女の存在理由、それは涼宮ハルヒの観察と涼宮ハルヒの発生させる情報フレアの観測、及びその鍵となる人物の保護。 彼女はその存在理由のためだけに作り出され、存在理由のためだけに今まで生きてきた。 生まれてからの3年間を1人で生き、永遠の夏を過ごした彼女に自由は無い。 ただ観察のために生きて死ぬ。それだけだ。   誰かが部室のドアをノックする。 こう面倒くさい事を一々するのはSOS団では、ホモ泉こと古泉一樹か、本名不詳のキョンだろう。 有希は無言で返事をしていると、ドアが開いた。 「お?今日はまだお前だけか、長門」 無言。だが無視ではなく沈黙で肯定の意を伝える。 キョンはその意を感じる事が出来る数少ない人間だ。 「そうか。ハルヒは掃除当番で少し...
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