涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki内検索 / 「残された時間」で検索した結果

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  • 長編・キョン
    ...勉強 北斗のキョン 残された時間 洞窟にて 俺とハルヒと古泉の生きる道 (BADEND) 許婚と最愛の人 Another Story 涼宮ハルヒの変質 ストレンジデイ イン ザ レイン キョンの死、そしてその後 クリスマスイブ 憂鬱アナザーエンド 涼宮ハルヒの旅路 グラップラーキョン ハルヒが残した希望 1枚の写真 涼宮ハルヒの海遊 Verywhiteday お見舞い 一つの選択 『ComebackAvenger』 キョンの憂鬱 もしもの世界 看病 ある夏の日の夕暮れ 涼宮ハルヒの変貌 愛すべき日常 涼宮ハルヒの我侭 殺人鬼はそこに (グロ・BADEND注意) 10歳児 6歳児 涼宮ハルヒの退行 ディサイデッド・フェイト キョンの苦難 涼宮ハルヒの永遠 涼宮ハルヒの交替 涼宮ハルヒの日常 犬キョン キョンの告白記 変わらない世界 ハルヒが母さん!? 冗談から恋 Sleepingbea...
  • スノウマーチ
    ...れている。  もう、残された時間は殆ど無い。 「僕の方こそ……、三年間、お世話になりました」  伸ばされた腕ごと、細いその身体を抱え込む。  何時もは誰よりも頼りになるはずの宇宙人製ヒューマノイドの少女が、今は、誰よりもか弱い存在に見えて仕方が無かった。 「わたしも……、あなたに会えて、良かった」  そして僕らは、そっと、唇を重ねた。  ここから続くことは無い、けれど、忘れることも出来ない。  たった一度きりの、白い雪が舞う中の、儚い愛の証。 「……だいすき」  最後の最後に、想いの全てを込めた言葉を残して、彼女は消えていった。  もうすぐ、この少しだけ季節外れの雪も、止むことだろう。  雪の名前を持つ少女にもたらされた、最後の奇跡と共に。  終わり 
  • 勝手にずらした時間軸
    もくじ 「お、今回は俺の番か」 「ほらキョン!さっさと注意書きなんか終わらせましょう!」 「そうだな。っと、この話は「朝倉涼子迷走記」と「彼がバイトを始めた理由 前編」と言う話の狭間にあたる話になる」 「話の流れがわからないって言う人は前の話も読んでもらえると嬉しいわ!」 「あとは…そうだな、この話を読むにあたって軽い既視感を覚える方もいるんじゃないかと思う」 「後付け設定みたいになるけど、この話の有希はまったく別の話の有希と同一人物になるわ」 「まぁそこは気にしなくても読み飛ばせるレベルだ。気になった人だけニヤニヤしてもらえればいいかな」 「…こんなもんかしらね、あとなんか言うことある?」 「あぁ、ひとつだけ、この話のあたりから原作と時間軸がズレた話がでてくるが気にしないでくれ」 「と、言うわけで本編をどうぞ!」 「…お祭りに行きたい」 正月も過ぎ去り新年初となる不思議探索...
  • Break the World 第二話
    ...と繋がりが切れる。 残された時間はおよそ20時間程だ。それまでに選んでくれたまえ」 「選ばなかったらどうなるんだ?」 「その時は新しい世界も、今の世界も消滅してしまうだろう」   代弁者 は世界の死刑宣告を口調も変えずに宣言した。 「決まったら呼んでくれたまえ。力と器が繋がっている限り。私に声は届くだろう」  そう言うと代弁者は壁に向かって歩いていき、すり抜けるように消えた。    俺達は呆然としていた。突如SFストーリーみたいな話をされたかと思えば、  知らない間に世界の運命まで背負わされているらしい。  一体どうするんだ?どうすればいいんだ?   「キョン……」  俺にすがりついていたハルヒがやっと喋った。 「どうした?」 「あいつの言ってた事……本当なの?」 「ああ、たぶんな」 「新しい世界で生きるか……あたし達の居ないこの世界を残すか……」  どうやらその2択らしいな。もう少...
  • 気付いた時には
    ハルヒ「さあ、みくるちゃん。新しい衣装よ脱ぎ脱ぎしましょうね~♪」 みくる「ヒッ!い、嫌です~~~」 ハルヒ「うるさいわねー、ほらさっさとしなさいよ」 キョン「おいハルヒいい加減にしろ。朝比奈さんが困ってるだろ」 ハルヒ「何キョン、団長である私に反抗するわけ?」 キョン「そんなこと言ってないだろ。大体だな…」 ハルヒ「うるさいっ!SOS団は私のものなのよ!    あんたたちは黙って私の言うこと聞いてればいいのよ!」   パンッ!!   キョン「………」   私は何をされた?叩かれたキョンに。何で?何で私がキョンに叩かれるわけ? 許せない…!   ハルヒ「何すんのよっ!痛いじゃない!    団員が団長を叩くなんてただで済むと思ってるの!」 キョン「うるさい!」 ハルヒ(ビクッ) キョン「いつもいつもわがまま言いやがっていい加減にしろ!    俺たちはお前のおもちゃじゃないんだぞ!!」 ハル...
  • そして、変わらぬ日常
    ...遂行するのみですが、残された時間は?」 「時間軸上書き効果の五次元速度が異常に速い。あなたの物理的個人絶対経過時間に換算して、あと5時間ほどの余裕しかない」 「それだけあれば、充分です。ただ、涼宮さんだけが不安定要因ですので、そちらの方だけ対処していただければ」 「了解した。涼宮ハルヒについては、私が措置する」  規定事項管理局のシミュレーション結果は、残酷な結末を示していた。  規定事項から逸脱は、その結末に向けて既に時間軸を上書きしつつあった。  「機関」時空工作部の不成立──組織は、それを容認できない。  情報統合思念体の消滅──情報統合思念体は、それを容認できない。  SOS団総員の不幸な早世──二人は、それだけは容認することができなかった。  それは、もはや穏便な方法では補正不能だった。因果関係の複雑なもつれが、それを不可能にしていた。  よって、規定事項からの逸脱要...
  • 言葉にできない
       「私には正しさが必要なのよ」  朝倉涼子は、たびたびその言葉を口にしていた。    「それはあやふやであり、感情的であり、我々には不要なもの」    そのたびに長門有希はそう返答した。朝倉は長門の顔を恨めしそうに見つめたあとで    「長門さんには分からないことなのよ」    そう、恨み言のように呟く。  それは彼女たちの間で幾度となく繰り返された、儀式のようなやりとりだった。  その短いやり取りを繰り返すことが、二人が二人であることを忘れずに有り続けるために  絶対に欠かしてはならない、おまじないのようなものだったのだ。  朝倉涼子は、毎日決まった時間に買い物に行き、毎日決まった時間に台所に立ち  毎日決まった時間に、長門有希を食卓に呼んだ。  それは世界が二人を必要とした    「私にはこれが必要なことなのよ」    長門には朝倉の言う『必要』であるということが、どういったもの...
  • カンケリ
    「なあ、ハルヒ?」 ふと思い出したように男はパソコンに向かう女に話しかける。 「なによ?あたし忙しいのよ?」 ハルヒ、と呼ばれた女はマウスを動かす手を止め、男の目を見る。 「いやな、ふと思いついたんだけどさあ、」 冬の日の放課後の部室のこと。珍しく今はキョンとハルヒ、二人しかいない。 「…お前、『カンケリ』って知ってるよな?」 「はあ?突然なによ?知らないわけないじゃないそんなの!あたしをからかってるんなら後にしてよね!」 ハルヒはつっけんどんに答えつつも、幼年時代にした『カンケリ』なる遊びの記憶をたどっていた。 鬼の支配する限られた時間制限の中、見付かり難い場所、しかしゲームをリセットするための必要な距離にある場所を探し、息を潜める。 スタートのタイミング、鬼と自分との距離、そして目的地への距離。全て計算し、一点だけを見つめて、走る。 そして、勝ち取るのは青空に響くスチールの軽...
  • Break the World 第三話
    ...迷いは無かった。俺は残された時間だけでもハルヒと過ごしたい。   「いいんだ……俺もお前が好きだ。だから何も言うな」  俺はハルヒを抱きしめた。そうするのが自然だと思えた。  途端にハルヒはダムが決壊したみたいに大声で泣き出した。  夜空にハルヒの泣き声だけが響いていく。   「あと1日もしないで世界が消えるなんて、信じられないわね」 「ああ」  俺とハルヒは寝転がって夜空を見上げていた。星が良く見える。  表面的には何も変わったように見えない町並み。  誰も世界のタイムリミットなんて知らないで過ごしている。  明日が当たり前に来ると信じている。もうその中に俺達は居ない。 「この星を見るのも、今が最後なんだな」 「そうね……でもキョンと一緒で良かった」  二人で横になって星を見ている中、俺はふとハルヒの横顔を見た。  さっきまで泣いていたこともあって、少し赤い。  俺の視線に気付いた...
  • エンドレス ヘイト
    ※このSSは鬱系、人物の性格が壊れ気味です。    苦手な人は注意してください。 抜け出そうとあがいても、結局は何度も何度も繰り返すだけ。 記憶だけがどんどん増えていき、たまらない孤独を感じる。 記憶を共有する事ができず、新しいスタートを切る仲間達。 そんなみんなと一緒にいても一人だけ取り残された気分だった。 ぐるぐるぐるぐる同じ場所を回り続ける。 そう、まるでメリーゴーランドのような夏の日々。 「またか…」 朝起きて一人呟く。 八月十七日の始まりだった。何度目なんだろう。途中から飽きてしまい、数えるのはやめた。 何百年単位で同じ時間を生き続けた私は、昔と大きく変わった所があった。 人間でいうところの 感情 というものを持つようになったのだ。 最初はただエラーが蓄積されていくだけだと思っていた。 だがいつしか私は気づいた。これは人間の持つ 感情 だと。 感情を出すようになった私を見て、...
  • Different World's Inhabitants YUKI~カヨウビ(その二)~
    ...彼に会えない。 もう残された時間は少ないというのに・・・・・・。   これでいいのよ。   心の奥からさっきとは相反する、別の声が聞こえてくる。 その言葉は、私の心の全てを覆い尽くす。 さきほどまでの思いも消し去ってしまった。 いいんだ、これで。       昨日、彼が帰った後、1人でじっくり考えてみた。 そして、分かった。   私はここでは異世界人。 いつかは必ず元の世界に戻らなければならない。 彼に会って、彼の事を想っても、その想いが報われることはない。   それなのに、私1人で勝手に舞い上がって、喜んで、興奮して・・・・・・。 馬鹿らしい。こんなこと、全く意味がないというのに。   ああ、もう1人の私が帰ってこなかったらいいのに。 そしたら、私はこちらの世界でずっと過ごしていける。 彼ともずっと一緒にいれる。 なのに・・・・・・。   彼の、もう1人の私を見る眼を思い出す。 ...
  • 私の選んだ人 第7話
    ...ても嬉しいけど、僕に残された時間は余りに短い。 ここに来て、この長門さんの意思表示は、ただ僕の喪失感を強くさせた。 「ところで、何故朝比奈さんを?」 「……私の部屋には今、彼も居る」 「僕もこれからそこへ?」 「……」 「何故です?」 誰にも、無駄に辛い思いはさせたくない。 「…………」 彼女はまた無言になった。 ただ今度のは、何だか僕が話し掛けるのを拒絶する雰囲気だ。 ……困ったな。 彼らが僕を助けようとしてくれたら、それは、まあ確かに、嬉しい。 でも、ダメだ。どう考えても、無理だ。 彼らが僕を助けようとしても、失敗して余計に傷付くだけだろう。 今、僕が出来る事は2つしかない。 この運命を受け容れず、否定し、目を背け、自分を貶めるか、 全てを受け容れ、静かに待つか。 ……しかしまさか、あの老人が新川さんの変装だったとは。全く気付かなかった。 それに、あの目。ウィンドウ...
  • 選択(朝比奈みくる)
    ...かに消えていた   残された時間で、私は一体なにができるのだろうか   いづれは、皆と別れることになることは理解していた、でもこんなに急に、しかも、皆の安否が わからない状態で別れることになるとは露にも思っていなかった 理由をつければまたこの時間平面に、彼と会えるとおもっていたのに   運命   私はすっかり明るくなった、空を見上げてそんなことを思い浮かべていた   街がいつもの喧騒を取り戻すまで、まだ少し時間があるだろう   ずいぶん呆けていた気がする とにかく、今の自分にできることを考える SOS団の皆に会う 3年になって、SOS団の活動もすべて参加してなくなった久しいけど 明日、いや今日は土曜日、きっとなんとかなる   とにかく、長門さんと古泉君とは状況を共有したい、 一体なにが起こっているのか、彼への連絡はその後   携帯電話を手にとって、まだ連絡をとるには早すぎる時間だと気...
  • LOST 8話
    長門か。わざわざ放課後に呼び出すって事はまた警告か?   「そう。だが警告は既に伝えてある。だがあなたは警告に背いた。最終判断を下す日」 最終確判断って…   「あなたは、統合情報思念体からの警告を受けてから約一週間の時間を与えられた。 その間に、十分答えを見出せたはず。よって今日この場で統合情報思念体による最終の判断 及びプログラムの実行を行う」   待て、確かに一週間の時間があったがそれがハルヒの能力や周囲になんら変化があったとは考えられないぞ。 それを考えれば、まだ判断するには早いんじゃないのか?   「それは違う。この一週間あなたと涼宮ハルヒの行動は全て監視されていた。と同時に涼宮ハルヒの能力は ほぼ完全に近い形で消去されている。現在涼宮ハルヒの能力を数値化で表すとすれば0.2%程度 これにより統合情報思念体は進化の鍵を失ったと判断。よって、残された道は一つとなった。」   俺は完...
  • 涼宮ハルヒの誰時 朝倉ルート
    ...。貴女が思う以上に、残された時間は少ない」 「残された時間って」 「貴女には、もうその有機情報を維持するだけの力は残されていない。十数分後には限界を向かえ、情報連結の解除が始まる」  長門の言葉は、何故か苦しそうだった。  暫くの沈黙の後、 「そっか、そうだったんだ。ねえ、私へのメッセンジャーとしてわざわざここに来た訳じゃないんでしょ?本当の要件を教えてよ」 「……涼宮ハルヒは、現在も異世界に自分を閉じ込めている。本来であれば、貴方は彼に協力して涼宮ハルヒを救い出すはずだった。何度か歴史を修正する チャンスはあったが、そうはならなかった。貴女は彼と生きる道を選び、また彼もそれに同意した。結果、涼宮ハルヒはこの世界に戻る事もなく、自立進化の 可能性が見出せないとして統合情報思念体は地球というこの星に興味を無くした。しかし宇宙のどこを探しても涼宮ハルヒの様な存在は見つけられないでいる」 ...
  • 「涼宮ハルヒのビックリ」エピローグ あとがき
    エピローグ  週末土曜日。一週間ぶりの市内探索ツアーである。  五分前に集合場所に着くと、既に四人が待っていた。今日も俺が罰金なのか・・・そんなに俺におごらせるのが嬉しいのかと言わんばかりに、ハルヒは笑顔であった。いや、それ以上の笑顔ともとれる。昨日お前の食卓にワライタケでも出てきたっていうのか。  「早く喫茶店に行くわよ」  はいはい、分かってますよ。ハルヒに促されるように喫茶店に入り、指定席になってしまっている席へむかうところだった。誰かそこに一人座っている。今日は違うテーブルになるのかなどと思っていると、ハルヒはすでに一人座っているテーブルへ向かった。  今回の騒動にて、一番の驚きがそこに待っていた。世界がハルヒの仕業で分裂したことなどどうでもよくなる出来事だった。現に俺だけじゃない。古泉はいつもの笑顔を忘れて口をあんぐり開けている。その顔写メにとっておきたかっ...
  • 想い出は、雪とともに 第二章
    ...てしまったのだ。俺に残された時間がもうそれほど長くはないということに……          やがて季節は冬へと移り変わった。 俺は病院に入院して以来、一度もあの公園へと行っていなかった。ただ、ぼんやりと病室の窓から外の景色を眺めるだけの日々が続く。 以前は、将来のことについて口うるさく俺のことを叱咤してくれていた両親も、このころにはもう何も言わなくなっていた。 あの当時はうんざりしたものだが、いまとなっては両親も妹さえもが、俺のことを心から心配してくれていたのだということにようやく気づくことができた。 家族だけではない。古泉や国木田、谷口といったクラスメートや鶴屋さんやあの生徒会長までもが、俺のことを心配してくれていたことを知り、いままでの俺がいかに自分勝手に生きてきたかを痛感させられた。 「お邪魔します」 まるで当然のことのように、ハルヒが今日も俺のところへとやって来た。最近は...
  • SOS団の無職7
    前回のあらすじ  キョンは己の弱さに打ち勝ち、ついに実家へ帰る決意をかためました。これも長門と妹のおかげです。  家にこもって悶々と悩んでいても見出せなかったある種の答えが、キョンには見えたような気がしました。気のせいかもしれませんが。  キョンが家に帰ってからしばらくの間は、いつもと何の変化もない平和な時が続くのでした。     ~~~~~     「わっ!」  俺は思わず声をあげ、一口で頬張ったギョウザを吐き出した。 「わっ! わっ! わっ!」  ばたばたと洗面所の前まで走って行き、汗ばんだ手で蛇口をひねるとコップを使うのももどかしく、蛇口に口をつけてガブガブと水を口にふくんだ。  口端から唾液をもらいながらうがいをし、ベッと口をゆすいだ水を吐き出す。冷たい水道水と一緒に、細かくちぎれたギョウザの具が洗面所の底へ消えていく。 「どうしよう! どうしよう!」  うがいをしても口の...
  • ひとりぼっち
    週末になるたび、私はあの場所へ行っていた。 桶に入った水と花。これを持ってあの場所に向かうのもどれだけ続けたことだろうか。 「あら、長門ちゃん。精が出るね」 すれ違うお婆さんに会釈を返す。 彼女は痴呆が進んでいるため気づいていない。私が何十年この行動を繰り返しているのかを。   先週変えたばかりの花をまた変え、桶の水で墓石を洗う。 このあたりでは一番清掃が行き届いていると自負している。 この行動を、何十年となく繰り返してきたから。 横にある墓碑に刻まれた名前。 『涼宮ハルヒ 20××年×月×日』 『涼宮○○  20□□年□月□日』 涼宮ハルヒと、そしてキョンと呼ばれていた彼が入っている墓。 少し離れた位置には古泉一樹のものもあった。 何度となく私は墓参りを繰り返す。 「久しぶり……元気にしていた?」 すでに生きていないものに元気かと問う私は滑稽。 有機生命体は死んでしまえば、その体に何の情...
  • セカンド・キス 4
    4 雨は既に上がっていた。今日の天気はくもりだ。 今日は祝日であったはずなのに、俺は朝から自転車をえっちら漕いで駅に向かっている。 訳をお話しよう。 昨晩、古泉から電話があった。 ―「夜分遅く申し訳ありません。ですが、何分事態は急を要してまして。 あなたにお話したい事があります。明日の午前9時にいつもの駅前で。」 とのことだ。 予想はしてた。今回の一件で閉鎖空間が発生したとあらば古泉から文句の一つでもでるだろうと。 うんざりだ。そんなもんお前がどうにかしてくれ。 俺の頭の中は既に考えることがありすぎてパンク寸前だ。 「せっかくの祝日に申し訳ありません。しかし緊急事態なんです。」 俺は渋々同意した。緊急事態ってなんだよ。―   文句を言いつつ古泉の言いつけ通りこうして駅までやってきてしまうのだから、俺も相当お人好しだと我ながら思う。 時刻は九時五分前。ギリギリセーフ。 古泉はす...
  • 四月の雪
    ...くに回っている。  残された時間は、もう少しだけ。 「……今日は、楽しかった」  公園で、ぬいぐるみを抱きしめたまま、長門さんが僕を見上げてそう言った。 「僕も、楽しかったですよ」 「……良かった」 「本当に、楽しかったです。楽しくて楽しくて、仕方なかった……。ずっと、こんな日が続けばいいと、」  泣き言めいた言葉が出てきそうになったら、長門さんに肩を強く引かれ、そのまま、唇で唇を塞がれた。ほんの数秒の、触れる程度のキス。  でも、それだけでも、僕の顔は赤くなって居たんだと思う。  長門さんの頬も、ほんの少しだけど、紅潮しているように見えたし。 「これは、今日だけ。……わたしが居られるのは、今日一日だけ」  どんな時でも余り抑揚が無いその声が僅かに震えているように聞こえるのは、きっと、僕の気のせいじゃないのだろう。  そう、これは、今日限りの奇跡だ。  四月の雪のような、儚く消える運...
  • another solution ──Sakanaka──
    『 another solution ──Sakanaka──』   「涼宮さん」 一年九組の前で突然声を掛けられた。わたしの隣りにいた『涼宮さん』が。   音楽の授業が終了して教室に戻る道中は、わたしが涼宮さんと話すことができる数少ない機会。 話す、といっても彼女がSOS団の活動内容を面白そうに──というか嬉しそうに話しているのがほとんどなんだけど。 でも一学期の頃の頑なな涼宮さんの態度と比べたら、この一見スムーズにみえないコミュニケーションさえわたしは心地好く感じていた。 だからそのおしゃべりを遮った一言に少なからずわたしは落胆した。 今日はいつもより話せてない。物足りないし、一抹の寂しさがよぎる。 この場所からして声の主はSOS団の古泉一樹君かな。でも彼ってこんな声だったかしら。 声がした方を振り向くと、見知らぬ男子生徒がいた。あ、人が良さそうなカンジ。 その至って温厚そうな男子...
  • 長門有希の誕生
    ...感情整理の為に私との残された時間を浪費している…… 最低だ。私にとってこれは完全に予想外であって、更に彼に失望するに値する現状である。私が今まで愛した彼は、いざとなると恐さに逃げ出す自分勝手な人間であると……判断する……   そう判断する……なんてそんなことができたら……どれほど楽か知れない……   どれだけ私の中の彼を嘲笑し、惨めで弱く汚らしい存在として認識しようとも……私の中の彼の記憶がそれを難くなに拒む…… 彼を嫌いにならなければ私が悲しむのに……彼を嫌いにならなければ……っ……そんなこと……でき……ない……   涙が止まらなかった   ……いつの間にか睡眠(スリープ)状態になっていた…… 暖かい風とまどろむようなほのかに明るい空が、彼と一緒に選んだカーテンの隙間から流れ込む……今の時刻は午前6時27分……私が消えるまであと33分…… 私は彼を探していた。すぐに見つかった。彼...
  • 涼宮ハルヒ無題3
    無限の命を刻んだ永遠の時間 宇宙に無数に存在する惑星 その中の一つに過ぎないこの星に生まれた命 何億と生きる人間の中の一つの私 なんのためにこの星に生まれたのか なんのためにこうして生きているのか   誰もその答えを知らない   ふと怖くなり顔を上げる   放課後の部室 誰もいない静寂   無数に存在する命 しかし私を知っているのはそのわずか   怖くなる   孤独? 恐怖?   心が痛い とても苦しい   私は、サミシイ   まるで自分が世界に取り残されたような感覚 誰一人私を必要としていない   ―――――ヤダ!   なんで誰もいないの? キョン?有希?みくるちゃん?古泉くん?   部室のドアに手をかける しかしそれは開かない   ドアは開かない   なんで? ここから出して! ここから出たいの!   助けて! 私はここよ?   誰か!   キョン!   ―――――カタン   ふと...
  • 許されざるもの
    ※鬱ENDの作品です。嫌いな方はスルーしてください。 僕はいま北高の屋上にいる。 目の前には、大人になった朝比奈さんが、物憂げな、悲しげな表情をして僕のほうを見ている。 いま、僕がここから眺める風景は、一ヶ月前と何ら変わりはしない。 だが、いまの僕にとって、ここから眺める風景、いやこの世界そのものが、以前とは全く違う色あせたもののように思える。 なぜこんなことになってしまったのか。 話は一ヶ月ほど前に遡る。       「ちょっとキョン! あたしのプリン食べたでしょ!」 あたしは冷蔵庫にあったプリンがひとつ足りないことに気付き、キョンを問い詰める。 「あ、ああ、しかし、プリンはふたつあったし、ひとつは俺のものだと………」 そう言いながら、キョンは古泉くんの方に視線を向けた。 確かにあのプリンはキョンといっしょに食べようと、あたしが買ってきたものだ。 たぶん、キョンは古泉くんからそのこ...
  • 雪解けの想い
     『わたし』は今、高校三年間通い慣れた通学路を一人で登っている。  『わたし』の内面はあの頃の延長線上に存在すると言えるけれども、今の『わたし』の外見は、あの頃とは違う。  これは『わたし』がこの世界にもう一度存在するために必要な、訓練の時間。  『わたし』が『わたし』の外見を持ってこの世界に再構成されるには、もう少しだけ、時間がかかる。  そう『わたし』は一度、この世界から消滅している。  同一個体としての連続性を保つ限界が来てしまったから、それは、仕方の無いことだった。  不可避の運命を受け入れることしか出来なかったわたしは、最後の最後に、自分の心に降り積もった感情の全てを凝縮し、たった一言だけ、彼に、想いを伝えることが出来た。  それは前へは続かない、未来を築かない、誰かを縛ることさえ許されない、そのとき限りの、愛の言葉。  そう、なるはずだった。  運命は、変えられないはずだった...
  • 長門有希無題4
    部室に来たものの誰も居なく。丁度疲れていた俺はそのまま椅子で眠ってしまっていたようだ。 キョン「むう…?」 誰かの気配で目を覚ました…長門だ。長門が俺のすぐ目の前に立っていた。 キョン「よう…まだ、お前だけみたいだ…な゙?」 落ち着け。うん、落ち着け俺。OK、冷静だ。 目の前に居るのは長門だ。長門です。長門。うん、どう見ても長門だよなあ、うん。 長門「…ゔ~~~…(ぐすっ)」 どこか怯えたようにこちらを見… 前言撤回。どちら様ですかあなた。ああ、解らなければ聞くしかないよな。 キョン「…どちら様でしょうか?」 長門「有希…です。」   念のため確認する。 キョン「有希って…長門有希?」 長門「うん。」 念のため再確認。 キョン「……ヒューマノイドインターフェイス?」 長門「うん。」 即答した。OK、とりあえず本物としておこう。 キョン「一体どうしたんだ?そんな喋り方じゃなかったろう?」 ...
  • before generation
      俺は今、夫婦水入らずで桜並木の下を歩いている。 「ねえ、あなた?」 突然妻が呼びかけてきた。 「ん?なんだ?」 「こうやって君とのんびり過ごすのも久しぶりだね。」 「ああ。本当に久しぶりだ」 最近は仕事に追われて家にも帰れない日があったくらい忙しかった。昨日とて帰宅したのはもう日付が変わっていた。 「僕は毎晩毎晩寂しくてたまらないよ。この気持ち、どうしてくれるんだい?」 と言って俺の腕に抱きついてくる。 「こんなところで何を言っているんだお前は。それと腕に何か当たっているのだが」 「やっぱり気がついたか。当ててるんだよ」 といってくっくっくと笑う。 妻は二児の母だというのに結婚当初からさほどスタイルは変わっていないでいる。 二十代後半、と言われれば信じてしまうかもしれない。 本人曰く、妻として夫の望むプロポーションを維持するのは当然だろう、だそうだ。 男として夫としてこれほど嬉しいこと...
  • 私の選んだ人 第5話
    (消失を読んでない方は、ネタバレ危険です。一応) 私の選んだ人 第5話 「:古泉一樹」 一樹の体を触診していた私は、あまりにも酷いソレに気付いた。 ……彼は助からない…… 私の中で何かが弾けたような感覚と共に、世界が静止した。 私が正気に返るまでに掛かった時間は恐らく1秒以下だった筈。でも、その間に自分の頭から完全に血の気が失せていた事に気付く。 恐ろしい予感と気配、そして貧血性の眩暈を感じながら、一樹の顔を確認する。 私の首は、焦る私の意識に反して緩慢な動きしかしない。地面が揺れている。 ……しまった。 一樹が目を開けている。私の顔色に気付かれた! 私自ら彼の生き残ろうとする気力に止めを刺すような事を……。 こうなる事を恐れ、救護班を押し退けてまで私がやったというのにッ! 悔恨の念、自責の念が押し寄せてくるのを、私は唇を噛み締め、手首に爪を立てて、痛みで脳の覚醒を図り、...
  • 二人だけの時間
       わたしは今、先生に頼まれて、下級生の教室まで向かっています。  えっと、プリントを届けないと行けないんですよね。  一年九組、うん、ここですね。 「あのう……」  扉の外から呼びかけてみましたけど、返事はありません。  おかしいなあと思いながら、わたしは空いている方の手で扉を開きました。  そうしたら、教室には誰もいませんでした。 「あれ……」  ううん、何ででしょう。休み時間とはいえ午前中ですから、誰もいないなんてことは……、そう思って教室中を見渡したわたしは、黒板の横にかかっていた時間割を見てその理由に気づきました。ちょうど今、このクラスは、二時限連続での授業の途中みたいです。  そっかあ、だから誰も居なかったんですね。 「えっと、これで良いですよね」  プリントを置いて、わたしは教室を立ち去ろうとしました。  ちょうど、そのときのことです。  教室のどこからか、音楽が聞こえて...
  • 濁った日差し
     珍しく妹に叩き起こされる事なく目を覚ましたと思ったらそこは閉鎖空間だった。  今まで散々理不尽なことに巻き込まれてきたが、こんなに酷いのは初めてだな。  俺が見る限り、ハルヒはここ最近人が変わったんじゃないかと思うくらいにニコニコしてたぞ?  何が不満でこんな不機嫌空間を生み出しやがったんだ。 「とぼけるのですか?」  突然の声は、 「古泉か」  また、赤い人間もどき。 「あなたはなんでそんなに落ち着いていられるのですか」  不機嫌な声とは珍しいな。 「何でと言われても、なあ? ハルヒがなんでこんなことしたか分からんからな」 「なぜか分からない? 冗談でしょ? 僕が今まで聞いた中で一番面白くない冗談ですよ」  冗談なつもりは、これっぽっちもない。 「なあ、何でそんなにカリカリしてんだよ」 「あなたは自分のした事の重大性に気付いてないのですか?」  どうも話がかみ合わねえ。 「だから、俺が...
  • 教科書文通3
    「できれば、〝彼〟や涼宮ハルヒ、朝比奈みくるには黙っていて欲しい。」  長門さんに教科書を貸した後の英語の授業の最中、僕はいつかの様に僕の教科書を抱きかかえた長門さんの台詞を何べんも反芻していた。 最初は、長門さんの教科書は一体どこへ行ってしまったのか、本当に盗まれてしまったのだろうか、では、一体だれが? などと、一通り考えてはいたのだが、思考は確実に先ほどの会話へ流されていく。 「涼宮ハルヒや〝彼〟は私に対して、少し過保護すぎると思われる面がある。 盗難されたと決まったわけではない、騒ぎを大きくしたくない。 第一、涼宮ハルヒが何かしらの怒りを覚えると、それはすなわち……あなたの苦労に繋がる。 それはいや。 朝比奈みくるは隠し事に向いていない。 それが彼女のいいところ。」  喋り方は相変わらず淡々としていたがその内容は、SOS団のメンバーのことをよく見て考えて、 なおかつ、自分が周り...
  • ハルヒがニート略してハルヒニートその2
        ハルヒニート第二話『掃除』     ハルヒ「おはよう、朝ごはん出来てる?」    俺より遅いとはいえ、一応ハルヒも朝はちゃんとした時間に起きている。もっともそれは、俺がいるうちに起きないと朝ごはんが食べられないから仕方なくといった感覚だと思うがな。  まあそんなことはどうでもいい。今日まで俺はある一つの作戦を考案、実行に移すべく準備してきた。そしてそれを今から実行する。名付けて『ハルヒ更正プログラム! あしたのためにその1』だ!   キョン「ハルヒ、お前プリン好きだったな。これを見ろ」 ハルヒ「そ、それは!? 神戸屋で一日100個限定販売の高級クリームプリン! でかしたわキョン!」    と、ハルヒがそれを食べようとしたところで俺はひょいっとプリンの乗った皿を持ち上げる。   ハルヒ「なにすんのよ!」    エサを取られた猛獣の如くハルヒが抗議した。その顔の前に俺は一...
  • 「ほ か ろ ん」
    文字サイズ小でうまく表示されると思います    寒さを気にしない子供ですら家路を急いでしまう、そんな冷たい風が吹き抜けるとある秋の日の夕方。  人影途絶えたはずの公園の一角に、何故か行列を作っている10人ほどの集団とその先頭に駐車されて いる一台の改造軽トラ。  その行列に居る誰もに共通している事は、くそ寒い中で何かを待っているというのに笑顔だという事。  等と言っている俺も、この車から流れる伸び切ったテープの音声で呼び寄せられた一人だったりする んだけどな。 「はいおまちどうさん」  新聞紙に包まれたサツマイモを受け取り、包みから伝わる暖かさと耐え難い甘い香りに笑顔を溢れん ばかりにしてまた一人、また一人と去っていく。  つまるところ、俺は石焼き芋の移動販売に並んでいる訳だ。  妹の超人的な聴覚によって察知されたこの販売車、日に100本限定という販売数とその味の良さで 町内では絶大な人...
  • 涼宮ハルヒの軌跡 プロローグ
    「今日はこれで終わり! みんな解散よ!」  窓から入ってくる夕焼けに染められたわけではないだろうが、ハルヒの黄色く元気の良い声が部室内に轟く。  この一言で、今日も変わったこともなく、俺は古泉とボードゲームに興じ、朝比奈さんはメイドコスプレで居眠り、 長門は部屋の隅で考える人読書バージョン状態を貫き、年中無休のSOS団の一日が終わった。 正直ここ最近は平凡すぎる日常で拍子抜け以上に退屈感すら感じてしまっているのだが、まあ実際に事件が起これば二度とご免だと思うことは確実であるからして、とりあえずこの凡庸な今日という一日の終了に感謝しておくべき事だろう。  俺たちは着替えをするからと朝比奈さんを残しつつ、ハルヒを先頭に部室から出ていく。どのみち、朝比奈さんとは昇降口で合流し、SOS団で赤く染まったハイキング下校をするけどな。  下駄箱に向かう間、ハルヒは何やら熱心に長門に向かって語りかけて...
  • (消失)長門有希のもしも願いが叶うなら エピローグ
    エピローグ その後の話 その後のことを少しだけ語ることにする。世界改変事件以来、特に変わったこともなく、初詣に行ったり、豆まきをしたり、宝探しをしたりと、古泉一樹の言葉を借りれば『健全な高校生らしい日常』を送っている。 変わったといえば、あれ以来、彼のわたしに対する態度に少し変化があったと思う。ちなみに、雪山の事件以来、涼宮ハルヒも時折わたしを心配そうな目で見ることがある。なぜだろう。あのとき倒れたことで病弱だと思われたからだろうか。 一方、変わらないのは喜緑江美里で、世界改変前に生徒会長とお付き合いをしていると語っていたが、そのような事実はなかった。それどころか、いわゆる趣味というものがないらしく、わたしが本を読むように、情報統合思念体からの指令以外で人間的な行動をすることはせず、淡々と任務を遂行している。ただ、彼女の心の内がブラックボックスであることは間違いなく、情報統合思念体...
  • Break the World 第四話
      第四話 ― 笑顔 ―  沈黙が3人の間を支配する。それがどれだけなのか、わからない。  一秒とも一分とも感じられる重い空気を破る一言が、飛び出した。 「あたしが選ぶのは…………」 「こっちの世界の存続よ」  …………  ……  …  こっちの世界?ハルヒがさっき言ってた事と違わないか? 「……本当に良いのだね?」   代弁者 が改めて確認するように訊いてくる。 「二度も言わせないで。あたしはこの世界を残したいの」 「……わかった。繋がっている最後の力はこの世界の保全に回そう」  ふう。と 代弁者 が息を漏らす。 「力と君達が途切れた時点で君達は消える事になる。時間はあと僅かだ」  俺は呆然としてハルヒの横顔を見ていた。しばらくして俺の視線に気付いたのか、  ハルヒも俺の顔を見る。 「これでいいのよ」  宣言するかのようだった。何を思ってそう言ったのか確かめる術はないが。 「でも、本...
  • ドラえもんとハルヒの鏡面世界(仮)2
    俺の提案は賛成三、無言一で可決された。 「逆世界入り込みオイルとお座敷釣り堀~」 ドラえもんが俺の所望通り、今回の作戦に必要な道具を出す。 そのお座敷釣り堀を引いて、逆世界入り込みオイルを垂らした。水銀を入れたように光が反射する。 これで準備は完了だ。 後はゲストの到着を待つのみとなった。 待つと数分。がちゃりと音がしてどこでもドアが静かに開くとその向こう側で朝比奈さんがおっかなびっくり、長門が無表情のまま、ぐーすか寝ているハルヒを抱えていた。 ハルヒが完全に寝ているのを確認した俺は鏡のようになった水面に頭を入れた。 そこにはたしかに映画の通りの空間が広がっている。 俺の部屋とは全てがあべこべだ。時計が十一時を示し、窓からは日光が漏れている。 「では、行きましょうか」 心底楽しそうな微笑みを浮かべて言った古泉を先頭にして、俺達は、誰もいない“鏡面世界”へと静かに入り込んだ。   「これが...
  • 情報統合思念体と機関が総力を上げて俺を潰そうとしている件(キョン)
    現在は水曜日―――ってことは、ハルヒのイメージじゃあ青の日だな―――の何時頃だったかな? 外は…あぁ関係ないか。異世界みたいなもんなんだし…あ、朝比奈さん泣きやんだっぽい。 目腫れてんなー。さっきから延々と泣きっぱなしだったもんな。 つーか古泉はどこ行ってんだよ。長門も―――― 部室のドアが勢いよく開くと同時に、長門が倒れこんできた。 「長門!」 「長門さん…」 傷が酷い…。以前、朝倉とやりあった時のそれとは比べ物にならないほどだ。 「ケガ…大丈夫か?」 「問題…な…」 「長門?おいっ」 マジかよっ…ええーと取りあえず脈を…脈ってどうやって測んだっけ…。 いやそれよりも人工呼吸の方が先か!?どうするどうする―――つーか人工呼きゅ…いや有りだ!! 全然有りなんだが…って今はそれどころじゃねぇだろ俺!えーと…待てよ?ここは心臓マッサか!? 長門への処置を決めあぐね、軽いパニック状態...
  • 星色パノラマ 前編
    目次 「キョン…キョン!起きなさい!」 「ん…あぁ」   ベッドの上で寝返りを打つ。 時間は…まだ少し眠れるじゃねぇか。   「寝ぼけてないで早く起きなさい!学校遅刻するわよ!」   おい妹よ。起こしにくるのは良いんだがもう少し言葉使いを考えたらどうなんだ?   「…いい加減にしないと母さん怒るわよ?」   …お袋?   ガバッ!   飛び上がって声のする方を見ると確かにお袋がいた。 …なんでお袋が俺のことを起こしにくるんだ?   「早く下に来てご飯食べなさい」   …何か変だ。   「…どうしたの?ぼーっとして」 「…いや…何でもないよ」   そう言うとお袋は下に降りていった。   …俺はどっかの誰かさんの奇行の数々のお陰様である程度のどっきりには慣れている。   お袋の前では落ち着いて見せたが…何でも無いわけがなかった。   「…やれやれ」   なんかこの声を聞くのも久しぶりだな…...

  • 今日は2007年4月14日。どうして俺が年月日をこんなにも詳しく指定するのかと言うとだな・・・まぁ今は話せないが 出来れば覚えておいて欲しい。長い、長い一日だったということは行っておく。 俺は二年に無事進級し、またハルヒと同じクラスである。ハルヒだけではない、長門と古泉も同じクラスだ。 古泉は理数系のクラスにいなかったか?なんてのはハルヒにとってはどうでも良く、俺たちはまた一年こいつに振り回される運命である。 ちなみに朝比奈さんは今年から受験生だ。未来人にとって受験勉強は必要なのかと思うがな。 幸か不幸か、SOS団に入ろうなどという変人は現れず、ようやく普段の学校生活に戻ろうとしていた頃である。 もっとも、ハルヒがいる限り俺に普通、とか普段、とかいうセリフは吐けないな、とかを考えている毎日である。 今回は、こんな春の陽気を一瞬にして吹き飛ばしてしまった話である。 毎度毎度、不思議探索と...
  • SOS団の無職12
    前回のあらすじ  気分転換に出かけたコンビニで、ハルヒは佐々木と連れ立って歩くキョンと出くわしてしまいます。  ハルヒは、キョンがバイトを休んでまで佐々木と一緒にいたことに反感を覚えました。キョンが自分に、バイトを休むということを黙っていたからです。でもすぐに、あることに気づきます。  いい年した男が女性とふたりで歩いている。そんなどこにでもある光景に憤りを感じるのは、自分がキョンを、SOS団メンバーたちを、無理につなぎとめていたからではないのか。  当たらずとも遠からずと言えなくもありませんが、ハルヒは冷静さを欠いた頭でそれを勘違いします。自分がみんなを力ずくで悪い方向に導いてしまったのではないかと思い込んだのです。  そして、ついにハルヒの奇怪不可解摩訶不思議パワーが炸裂したようです。     ~~~~~      どすっという音が聞こえてきそうなほどの衝撃が、俺の腹部...
  • 涼宮ハルヒの誰時
    はじめに ・文字サイズ小でうまく表示されると思います ・設定は消失の後くらい ・佐々木さんとか詳しく知らないので名前も出てきません ・異常に長文なので暇な人だけ読んで欲しいです ・投下時は涼宮ハルヒの告白というタイトルで投下しましたが、すでに使われていたので変えています ・誰時ってのは黄昏の旧漢字……らしいです 多分 では、のんびりとどうぞ  学校行事に書き込まれていたテスト週間も無駄な努力と時間の経過によって無事終了し、晴れ晴れとした寂しさだけが残った週末。  テスト期間にあった祝日をむりやり土日に繋げてできた取って作った様な連休に、テストの結果に期待しようも無い俺は心の安息を求めていた。  この不自然な形の休日に教師といえども人間であり、生徒同様たまにはまともな休みが欲しかったなんていう裏事情には気づかない振りをするのが 日本人らしくて好ましいね。  しかし、テストが帰ってきて...
  • 最終兵器長門
    俺は駅前で待っていた。 長門を、俺の想い人を…   長門の超人的(正確には宇宙人的だが)能力が世間にばれたのは、約一ヶ月前のことだった… 例の一件で長門を消却しようとしていた情報統合思念体は、ハルヒによって消滅させられ長門は普通の女の子になったかに思われた。 しかし、そうはならなかった。情報統合思念体は消滅したが、長門個人の能力は失われなかったのだ。 俺は長門に対し能力は使わないように注意をしていた。 しかし、あの日……俺と長門が二人で市内散策をしていた時である。   向こうから俺にむかって猛スピードで走ってくる車… はねられる!俺がそう思った時……長門はためらいもなく能力を使った。俺のために…… 運悪くその近くにはカメラを持った人物がいて、長門はその瞬間を撮られてしまった……… そして、その映像はその日の夕方に全世界に流された。   前の長門なら簡単なことだったろう。世界の人々に対して情...
  • キョン1/2  古泉編
    あれから小一時間おっぱいを揉まれたあと、長門は満足したのか ムカついたのかは知らんが、いきなり俺の頭に冷水をぶっかけた。 浴室から引っ張り出されてタオルで頭をゴシゴシされた後、 ドライヤーの暴風を四方から浴びたと思ったら、「また明日」と言われて締め出された。 何これ、俺が悪いのか? なんかもうどっと疲れた俺は、家に帰ると死んだように眠りについた。 次の日、俺は何事もなく男の体で登校していた。 学校でお湯を被るような事態はどんな時か、あらゆる場合をシミュレーションしながら 坂を上っていた俺は後ろから近づいてきた人間に気付かなかった。 「お早うございます」 突然肩を叩かれ、びっくりして立ち止まって振り返ると、 古泉がいつものニヤケ顔で突っ立っていた。 「なんだお前か。朝からよくニコニコしてられるな」 「ええ面白いことが起こってますからね」 再び歩き始めた俺の歩調に合わせるように、古泉が俺の横...
  • 凉宮ハルヒの暇潰@コーヒーふたつ
    ━━━━普段、「自習」となれば騒がしくなるこのクラスも、「試験の二日前の自習」ともなると流石に静かだ。 あの谷口ですら、神妙な面持ちで机に向かっている。 まあ、谷口の場合は中間試験が散々な結果だったから、今回で何とかしないと非常にマズい…あ、それは俺も同じか。 と、とにかく教室の中は試験前の張りつめた空気で満たされていたっ! …俺の後ろの席の約1名、ハルヒを除いて。━━━━━━ 【凉宮ハルヒの暇潰@コーヒーふたつ】 自習となった今の時間…四時間目が始まってから10分余りが過ぎた頃、俺の背中に予想通りの攻撃が開始された。 初めは間欠的に「チクッ、チクッ」、そして気付かない振りを続けていると「チクッ」は「ブスッ」に変わってくる。 まったく、ある偉人が「ペンは剣より強し」という言葉を残したが、ハルヒの場合は違う意味でそれを実証しかねない。 「ブスッ」とやられた時の痛みは、本気で殺意を覚...
  • ラジカルメッセージ 前編
    “元気にしているか?そっちの様子はどんなもんだ?ハルヒ。” “通常ならこんな手紙を書いている場合じゃないんだがな。” “リーダーという肩書きが異常なほどに当てはまっていたお前がいなくなってから” “にわかに落ち着かなくなってな。…なかなか慣れないな。”        この文章は一体何か?そう質問されたなら、これは手紙だと答える他ない。紛れもなく俺の筆跡であり、文中にハルヒと書かれているからにはこれがハルヒに向けて書かれた手紙なのだ、ということは分かるのだが…。しかし俺の脳味噌が非日常に晒され続けた結果不具合を起こしていないなら、この手紙を書いた覚えは全くもって記憶にない。それ以上に気になる点はどういう訳かこの4行の文章だけで、続きが何も書かれていないことにある。   「一体これは何なんだ?」  と聞いてみた場所はこの手紙を発見した俺の部屋であり、話の相手は毎度のごとく長門、古泉、朝比奈さん...
  • 眼鏡と微笑
    『眼鏡と微笑』     「じゃあ、俺、行くわ」 「うん、あたしは今日は遅れて行くから、ちゃんと活動しておきなさいよ」 「はいよ」  つまんない用事なのにー、あのバカ教師め、とか言ってブツブツ文句を言っていたハルヒに向かって、俺は軽く右手上げて、夏休みを直前に控えて少し浮き足立っている教室を後にした。期末試験も終わり、少しばかりの補習授業を消化したらあとは夏休みだ。その前に試験結果と通知表が返ってくるわけだが、今は忘れよう、それでいい。    旧館に向かう渡り廊下を歩きながら、俺はさっきのハルヒの言葉を思い出していた。活動といったって、いったい何をすればいいのか、俺は未だによくわからない。  結局することといえば、朝比奈さんの美味しいお茶をいただきながら、古泉相手に各種ボードゲームの勝利を重ねつつ、パタンと本を閉じる長門の終了の合図で帰宅する、というのがSOS団結成以来、延々と続いてきた放課...
  • 台風一過のハレの日に:プロローグ
    『台風一過のハレの日に』     ○ プロローグ   『……地方は今夜半から暴風雨圏に……今後の台風の進路には十分ご注意……』 「ねぇ、台風くるとなんかわくわくしない?」 ラジオの天気予報を聞きながらニコニコしているハルヒの後ろ側では、さっきより少し強くなったような気がする風と雨が部室の壊れそうな窓を打っている。 「確かに、俺も好きだったな。テレビで台風の進路の予報円を見ながら、子供心になんとなくうれしかったもんだ」 「でしょ? でしょ?」 大きな瞳を細めて笑顔をさらに輝かせているハルヒを見ながら、高校生になってもこいつは山のような子供心を持っているんだな、と俺は少しあきれていた。 振り向くと古泉もニコニコしながら、 「涼宮さんのお気持ちには同感ですね」 なんて言ってやがるし。まぁ、いいさ、俺も今ちょっとした高揚感を感じていることには違いない。もちろん、子供の頃ほどでは無いけどね。   台...
  • 分裂β-4アフター
    分裂β-4アフター  喫茶店に残ったのは、藤原を名乗る未来人と佐々木だけとなった。 「僕としては、もう少し穏便な形を望んでいたんだけどね」 「いまさら、まぜっかえすつもりか?」 「そんなつもりはないけど、今日はキョンや涼宮さんとともにダブルデートとしゃれ込みたかったというのも正直な気持ちだよ」 「ほう。この時代では、それをダブルデートというのか。僕の古語の知識は間違っているようだな」 「冗談さ。それはともかくとして、あのとき、僕が涼宮さんに直接連絡をとることを君は阻止したね。なぜなのかな?」 「それはもう話したはずだがな」 「キョンにとってそれは悪い結果にしかならない、だったね。僕にとってはそれだけでその行為を思いとどまるには充分なものだったが、それだけではないのだろう?」 「当然だ。僕にとっても、不都合な結果にしかならないからな。ついでにいえば、あんたにとっても、あの涼宮ハルヒにと...
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