涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki内検索 / 「気付いた時には」で検索した結果

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  • 気付いた時には
    ハルヒ「さあ、みくるちゃん。新しい衣装よ脱ぎ脱ぎしましょうね~♪」 みくる「ヒッ!い、嫌です~~~」 ハルヒ「うるさいわねー、ほらさっさとしなさいよ」 キョン「おいハルヒいい加減にしろ。朝比奈さんが困ってるだろ」 ハルヒ「何キョン、団長である私に反抗するわけ?」 キョン「そんなこと言ってないだろ。大体だな…」 ハルヒ「うるさいっ!SOS団は私のものなのよ!    あんたたちは黙って私の言うこと聞いてればいいのよ!」   パンッ!!   キョン「………」   私は何をされた?叩かれたキョンに。何で?何で私がキョンに叩かれるわけ? 許せない…!   ハルヒ「何すんのよっ!痛いじゃない!    団員が団長を叩くなんてただで済むと思ってるの!」 キョン「うるさい!」 ハルヒ(ビクッ) キョン「いつもいつもわがまま言いやがっていい加減にしろ!    俺たちはお前のおもちゃじゃないんだぞ!!」 ハル...
  • 涼宮ハルヒいじめ短編
    ... 7 8 気付いた時には 自覚 崩壊 赤の世界 キョン
  • 続く空AFTER
    『続く空AFTER:A』 翌日、あたし達は久々にあの喫茶店で不思議探索の班分けをしていた。 その日は珍しく古泉君がくじを用意していた。 くじの結果、あたし1人のグループと残りの3人のグループになった。 「では、これで決まりですね」 「え?ちょっと、あたし1人なんだけど・・・なんで?」 「涼宮さんには急ですがちょっと遠征して頂きます」 「は?何言ってんの古泉君?」 「実はアメリカに住んでいる知り合いから連絡がありまして。あっちでUMAらしきものが目撃されたそうなので現地に行ってもらいます。こちらがアメリカ行きのチケットです」 「ちょっと待ってよ!!いきなり過ぎるわ!!それにあたしパスポート持ってないし」 「これ」 有希があたしの名前が書かれたパスポートを差し出してきた。 「ゆ、有希?これってまさか偽ぞ「違う」 有希があたしの手にパスポートを握らせながらあたしの言葉を遮った...
  • エロ物無題2
    キッカケは些細な事だった そう、何かの拍子に机の角で股間がこすれて、それが今まで感じた事がない快楽だったのだ それから長門有希は人目のない時はぐいぐいと角を股間を押しつけていた それにもコツとかがあるらしく、初めは教室の机とかだったが、部室になり、キョンの鞄や所有物でするようになっていた 色々試してみたが、彼の持ち物以上の快楽は得られなかった その日もキョンが使ったシャープペンで刺激していたときの事だった 今日は涼宮ハルヒは帰宅、朝比奈みくるは友人に連れていかれ、古泉一樹は組織の会議 彼も今は涼宮ハルヒに言われた仕事をこなしている だから長門有希は気を抜いてしまった 部室に鍵もかけずに行為に耽ってしまった 「……ふぁ……ん……はぅ」 長門有希の行為はそう激しいモノではない、下着越しに性器を刺激する程度のモノだった それ以上先の事なんて知らなかったし、この行為だけで十分に満...
  • キョンの墓前にて
    悪夢のような夢を見てあたしは目を覚ました。 夢のなかであたしは怖い姿のあなたと寝ていて、 あたしが起きるとあなたは、あなたを捕まえたあたしを怒っていた。 あたしは何故かあなたの為に、あたしが一番尊敬する人から言葉を貰って、 あなたに聞かせていた。 その言葉が終わる前にあたしは夢から覚めてしまったんだけど、 起きてからね、悪夢じゃなかったって気付いたの。 あなたが去って1ヶ月。 あたしの心の悲しみも、なんとかやっと柔らいだと思ってた。 だけど悪夢に姿を変えて、あなたはやってきた。 夢から覚めて、意味に気付いて、あたしは泣こうと思った。 だけど涙が出ないの。とても嬉しくて悲しいのに。 それはきっと、あたしの涙をあなたが消してくれたから。 そしてあたしは泣いてしまう。あなたの優しさに。 「ありがとう、さよなら」 『さようなら。ありがとうな』 夢の中で、寝ていたあたしが見てたのは...
  • wish upon a star 三章
    三章   悪夢を見た。 あの色のない世界で、またキョンと二人きり。 「あ~、しょうがない。こないだに倣ってとりあえず部室に行こうぜ」 キョンはそう言ってあたしに手を差し出してきた。でも、こいつはあたし達が尾行ていたことを知らずにみくるちゃんとキスをした。 あたしに気がないくせに優しい態度、取らないでよ…。 あたしはキョンの手を無視し、部室と逆の方向へ向かうことにした。 「いまからあたしは不思議なことを探すから!あんたはみくるちゃんでも探して好きなことしてれば」 「……そうか、じゃあそうさせてもらうよ」 え?いつものキョンなら追いかけてくれるのに……。 後ろを振り向くと、キョンと手を繋いで去って行くみくるちゃんの姿。何処に行くのよ。 キョン、あたし一人はヤダよ。あたしにも構ってよ。   「一人にしないで!!」   あたしは、目を覚ました。自分の声で目を覚ましたなんて初めて。 しかも今日見た夢...
  • 未熟なフタリ
    「先に行ってるわ!」 放課後になるなり、そう言ってハルヒは楽しげな表情でさっそうと教室を飛び出した。 何かあったのか? ハルヒの表情の天気は朝のイライラとは打って変わって晴れていた。どうやら顔にかかっていた雷曇は偏西風によって吹き飛ばされたようだ。 その偏西風は恐らく休み時間にしていたメールだろう。何をしていたかは知らないが。 こりゃ何かあるかもな。 そう嫌な予感がしつつ、おれも部室に向かった。 さーて、今日は何をしでかすやら。 部室のドアの前で覚悟を決め、ドアノブを回した。 おっと、ノックするのを忘れ…て…。 目の前の光景におれは言葉を失った。いや、元々喋っていないのだからこの表現には語弊があるかもしれないがそんなのはどうでもいい。 とにかくおれは現実を信じられなかった。 何故なら部室でハルヒと古泉が抱き合っていたからだ。 おれが来た事に気付いたらしく、ハルヒは古泉からすぐに離れた。 「...
  • 熱すぎる季節
     東から昇ってくる太陽がこれほどまでに忌々しい季節は無い。夏である。   中庸が一番なんだよ、気温に関しても。今日はいくらなんでも暑過ぎる。なんでそんな日に限って探索という名のぶらり旅があって且つハルヒとペアになってしまったのだろうか。  学校一じゃないかという程に傍若無人な行動も辞さないハルヒに振り回され、俺はもうへろへろである。  出発した時には既に汗が吹き出していたので、シャツがべっとりとまとわりついている。  身体が「水をくれ」と悲鳴を上げている。これはヤバい、屋台の鉄板の如く熱せられたアスファルトに倒れてしまいそうてある。  涼しい場所に行きたい。それだけの理由で入ったファミレスで、ハルヒがフルーツパフェを物凄い勢いで食べている。俺は水で十分である。そこ、ひもじいとか言うな。  宮廷料理だろうとジャンクフードだろうと、こいつのがっつくスタイルの食べ方は変わらないんだろうな。 ...
  • 影の世界
    ...か分からなかった。 気付いた時にはハルヒは仰向けに倒れ、左頬を赤くして。 俺の右拳にはミートに当たった感触が残っていた。 「ハ……ルヒ…?」 終鈴間もない為、周囲は騒然としていた。 そりゃそうだ。噂にもなっている俺がハルヒを殴ってるとは。 ハルヒは眼を見開き、自分の頬を擦る。 眼には涙を貯めてるコトが分かった。 ――――ハハハハハッ。 後ろから声がした。といってもガラスだが。 ――――スッキリしたぜ。アイツを殴れるとは。 「うっせぇ!!何しやがった!!!」 俺はいつになくもの凄い大声で『何もない』ガラスに叫ぶ。 周囲は「イカれたのでは?」等と声が上がっていた。 ――――数秒お前の身体を『貰った』だけだよ。 「何が貰っただ!!勝手にハルヒに手ェ出してんじゃねぇ!!」 俺はさっきのハルヒを殴った勢いを反映するようにガラスを右拳で思いっきり殴る。 ガシャン!! ――――無駄無駄。ま...
  • ランキング by.キョン
    ...…ね……?」    気付いた時には僕の頭の上には彼の掌が乗っかっていた。キョンは穏やかな微笑を浮かべていて、これまでにないくらい大人でしっかりとした雰囲気を携えていた。   「俺は、佐々木が佐々木である事こそが重要だと思うぞ。変に変わろうとして変なお前になるんじゃなく、いつでも優秀で、とは言っても少しだけ抜けてたりずれてたりして、それでもやはり頼れる存在、そんなお前でいてくれ。俺はそんな佐々木が好きなんだしな」    …  …  …  …ねえキョン。このタイミングは卑怯だとは思わないかい? ここで落ちない女性も珍しいよ。相手にもよるけど、キョンであればそりゃあもう…………。  あれっ? これってもっと重要なことじゃないかい? だってキョンが僕に『好き』って……。『好き』? いや、『隙』? 後者はないね、そこまでちぐはぐな会話を構成するような乏しい能力を持ってないよ、キョンは。  つま...
  • 不眠症候群
    ...時間がかかった。 気付いた時には遅かった。 部室にいる全員こっちを見ている。ヤバイ。 僕は普段怒鳴るような性格じゃないから皆驚いたのだろう。 特に涼宮さんと彼は目を丸くして驚いている。 き、気まずい。 どうにかしなくてはいけないと分かっていても今の僕には無理だ。 眠くて頭が回らない。 とにかく僕は 「…か、関係ないのに口を挟んだりしてすいません。 最近少しストレスが溜まっていたみたいで・・・・。 外の空気吸ってきます」 そう言って立ち上がりその場から逃走した 部室から出てきたあと、僕は中庭の木の下に腰をおろしていた。 いくら苛々してたからと言って怒鳴ったのは不味かったな・・・・。 部室に戻った時の言い訳を考えなくては。 僕は眠りたがってる脳を叩き起こして言い訳を考え始める。 駄目だ・・・・上手く頭がまわってくれない。 「何悩んだ顔してるんだいっ!?古泉君!」 見なくても声と喋り方...
  • 幻惑小説 第七頁
       外に出てから気付いたが、夕闇に暮れていた空の色は段々と濃さを増していき、街頭が街を照らす時間帯になってきていた。 「どうも。」 「神人狩りお疲れさん。」 「まだ閉鎖空間の発生は絶えませんよ。同士たちが総動員で狩りに出ています。ああ、そこの二人は除いてね。」 「長くなりそうな話があるんだろ? 車内に入ろうぜ。立ち話はちと寒い。」 「あの……わたしも車に乗っていていいんでしょうか?」  というの喜緑さんの声で、古泉が爽やかに答えた。 「できればあなたにも聞いておいて欲しいのです。どうかそのままで。」  いや、きっとそういう問題じゃなくて、いくら五人乗りの車だとはいえ後ろ座席に男二人と乗るのはどうかという話じゃないのかね。 「まず僕の仮定の結論から話しましょう。僕の想定を総合するに……長門さんは自分だけの空間で世界改変を行ったのですよ。」  また世界改変を……だと? お前、前の一件を知って...
  • 幻惑小説 第六頁
       今朝の冷たい空気の中チャリで家まで帰り、お袋が用意する昼飯まで退屈な時間を与えられた俺は、はっと気付いて古泉に連絡を入れる。 「古泉、今時間取っていいか?」 『ええ、構いませんよ。』 「そっちはどうだ?」 『それが、かなり粘って交渉してみたのですが……上層部の方は首を縦に振ってくれませんでした。申し訳ないです。』 「気にするな、俺が頑張って来たからな。」 『というと?』 「天蓋領域のインターフェースの周防九曜と、お前らが敵対視している組織の橘京子と会ってきた。」 『……なんと。』 「周防九曜が言うには、長門は生きているらしい。この地球上とは隔離された空間で……って言ってたかな。」 『それは、確かなのでしょうか?』 「……ん……?」  言葉が詰まった。  そうだ、俺はすっかり信じ込んじまってる。天蓋領域の一派の話す言葉を全て信用している。確かにそれが真実である根拠はどこにもない。……だ...
  • キョン1/2  古泉編2
    万有引力の法則が絶対であるように、俺が文芸部の部室にいるのも絶対である。 部屋にはまだあの長門すら来ておらず、珍しく一番乗りだ。 俺はすることもなく定位置である椅子に座り、ここ数日の出来事を何となく思い返していた。 色んなことがあったが、そう言えばまだ古泉に呼び出された日の事を話していなかったな。 忌々しいことこの上ないが、愚痴だと思って聞いてくれ。では回想編スタート。   団活終了後、俺は新川さんが運転する車に乗せられて古泉が住むマンションへと 連れて来られた。長門ほどではないにしろ、金がかかってそうな建物である。 通された部屋の中はこざっぱりしていて、必要最低限の家具しかない。 取り敢えずソファーにでも座ろうとしたところで、 奥の部屋から古泉が何やら白いものを持って現れた。  「お待たせしました」  「おお、何やって――なんだソレは」 おい古泉、お前が手に持ってる白くてふわふわした生地...
  • 朝倉涼子の恋愛
    その日の授業を終えた女子生徒は教室で友人達と談笑していた。 急に大きな声で「助けて!」と叫ぶのを聞いた彼女等は驚いて廊下に飛び出すと 気絶した男子生徒とそれをささえる朝倉涼子が立っていた。 よく見ると男子生徒は腹部から血を流していて制服が真っ赤に染まっており 朝倉涼子のほうも、腕から血が流れでていた。   「助けて!ナイフを持った人が突然襲い掛かってきて!」   それを聞いた女子生徒はすぐに警察と救急車をよんだ。   「………くん」 「…ョンくん!」 声が五月蝿い… 誰だ俺を呼ぶのは…… 「んっ……あ?」 「キョン君!」 目が覚めて最初に飛び込んできたのは、泣き顔で飛び付いてきた朝倉だった。 「っぐ……痛い」 「あっ!ごめんなさい。キョン君怪我してるのに…嬉しくてつい。 だって、もう起きないかと思ったし…」   あたりを見渡すと、俺の部屋ではないことは確かだ というか、病室にしかみえん。 ...
  • 誤解
    「ふ・・・ふふふ・・・これで・・・・キョンは・・・・・あたしだけのもの・・・」 ・・・身体に力が入らない・・・ ・・・・頭の中が真っ白になる・・・ ・・・・・もう・・・そんなに時間はのこされていないだろう・・・ 俺はそんな事を考えつつ、ぼーっと自分の腹に突き刺さった包丁を見ている・・・ なんで、こんな事になっちまったんだろうな・・・・? なぁ、ハルヒ・・・・ 「誤解」 さて、展開がいきなり過ぎて何の事やらさっぱりだろうから少し時間を巻き戻そう。 ・・・・・・ それは、いつもと同じ部活中の事だった。 俺は朝比奈さんの淹れてくれたお茶を飲みつつ、古泉といつもの様にボードゲームで暇を潰していた。 しかし、その日はずっとあるものを目で追っていたのである。 そのあるものとは、我等がSOS団団長涼宮ハルヒだ。 な、なんでハルヒなんかを俺はずっと目で追ってるんだ? ふと、その事に気付いた俺は自...
  • 缶コーヒー、ふたつ3
    昨日はハルヒを乗せて夢中で自転車を走らせた。 ハルヒはいつになくはしゃいで、俺もなんだかたくさん笑った・・・気がする。 だからだろうか。 今朝はヤケに膝の裏あたりと腹筋が痛い。 そして俺は今、もうすっかり馴染みになったこの坂道を登りきり、ハルヒとの待ち合わせ場所に向かっていた。 そのままでいい・・・か・・・。 ふと、昨日のハルヒの言葉を思いだした。 実は・・・いや、昨日の夜に考えたんだが、俺はこの2日間の出来事を無かった事にしようと思っていた。 別に努力して忘れようという事じゃない。 ただ、キスの事や告白(なんだろうな、この場合)の事が起こる前の状態に俺の意識を近付ける事が、ハルヒと自然に接する為には一番良い事だと考えたからだ。 それに・・・ハルヒもそれを望んでいる様な気がしたから。 しばらくして、俺は待ち合わせ場所の近くまでやってきた。 ハルヒの住む集合住宅に併設された...
  • Break the World 第一話
       きっかけ、なんて物は大抵はどうってことがない。  俺がハルヒの巻き起こすゴタゴタに巻き込まれた理由も些細な会話が始まりだった。  だが、そんな日々の終わりは突然にやってきた。  何の予兆も見せること無く。警告を与えられる時間も無く。  始まりが些細な事だったように、終わりもまた些細なことがきっかけで訪れた。  それは、いつもと同じ日々での事だった。     「Break the World」  第一話 ― 発端 ―    相変わらず学校の授業は面白くない。何故かって言えば、内容がわからないのである。  俺の後ろに座ってるハルヒはちょくちょくを俺をペンで突いて来るし、  集中力削がれる事この上ない。元々無いようなもんだけど。  やっとの思いで授業が終わると、俺は朝比奈さんの癒しを求めて部室に向かった。  ハルヒも一緒だった。特に何も話はしなかったんだが。  部室棟に着き、ドアをノックし...
  • 「。」
    「。」 「大体よしと。後は中身が分かるようにマジックで書いてから封をすれば、とりあえず終わり。思ったより割れ物少なかったわね。運ぶのは引っ越し屋に任せるし、出す時はあんたは来なくていいわ。あんたには特殊任務があるしね」 今日は日曜。神の足下暗しゴッコのお供は仰せつかっていない。 その代わり森さんの転居の手伝いをさせられている。 こんな事、本当は全部引越し屋に頼めば済む事だ。 でも、僕は悪い気はしない。 むしろ僕の心は弾んでいる。 ここでなら、偽りの個性を捨てられる。 無理に笑顔を作らなくてもいいし、敬語で話すことを期待されている訳でもない。 YES以外の返答ができる。 ほんの束の間の休息。 僕の閉鎖空間。 「ああ、ちょっとソレ取って」 「はい、どうぞ」 僕は近くにあったガムテープを、中腰で荷物の整理をしている森さんに手渡す。 押さえているダンボールの蓋から目を離さずに手を伸...
  • 朝比奈みくるの日常
    「きょ、今日は皆さん、遅い…ですね」   「…そう」   困った。今日は部室に行ったら私と有希ちゃんの二人だった。 いつも明るくて、騒がしいって思ってた部室だけど、私と有希ちゃんの二人だと本当に静か。 …いつも騒がしいのは涼宮さん…だからかな。 あ、いけないいけない。こんなこと思ってたら怒られちゃう。   「…ふふっ」   そう考えたら自然と笑みがこぼれてしまった。   「………」   あ、有希ちゃんが見てる。   「………」   かと思ったらまた本に視線を戻してしまった。 うぅ…こんなんじゃ変な人だと思われちゃうよね。   有希ちゃんは苦手っていうんじゃないけど… 二人だと何を話していいのか分からなくなる。   うー…どうしたらいいんだろ………あ、そうだ!   「ねぇ、有希ちゃん、今は何を読んでるの?」   有希ちゃんの手に持っている本の事を聞いてみた。 うん、我ながらいい考えかもしれな...
  • 10月8日、曇りのち雨 前編3
    「…よく眠ってるな…」 病室には俺と妹の二人しか居ない。 親と医者は別室で何かを話しているようだ。 朝から曇っていた空はいつのまにか雨に変わり、窓を叩いている。 手術は無事終わった。 左足の骨折以外は、特に異常無し。 経過を見ないと何とも言えないが、恐らく後遺症なども大丈夫だろうとの事だった。 「…今にも起きて来そうだけどな」 妹は穏やかな顔で眠っている。 頭に巻かれた包帯と吊られた足が少し痛々しい。 俺は椅子に座り、ずっと妹の小さな手を握っていた。 …暖かい。 ……俺はその暖かさに何度か涙が出そうになった。 …ありがとう。 …ピクン 生きていてくれた事に感謝を捧げた時、その小さな手が、かすかに反応した気がした。 「………ふみゅ………」 妹が何かを呻いている。 …呻いているっていうより寝言か、こりゃ? 「…おい、大丈夫か?」 「……うん…うぅ~ん……。……ふぇ…...
  • 長門有希の嫉妬生活
      長門有希の妊婦生活2の続きです 「ただっいまー!」 彼が仕事から帰ってきた。 赤ちゃんから長い間目を離すことができなくなったから、最近はもう玄関で出迎えていない。 「…おかえ……」 「霙ちゃーんっ!」 彼はリビングにいた私に何も言わずに霙の元に駆け寄った。 「ただいまー、パパだよー!」 ぶんぶんと手を振り回す霙の手に自分の指を掴ませて遊んでいる。   …。   「…おかえりなさいませ。」 「あ、ああ。ただいまっ!」 こちらを向いてニコッと笑ってみせると、またすぐ霙のほうに戻った。   「うーん、かわいいなぁ…霙は…。」   …。   「…夕食はいかがなさいますか?…先に入浴されますか?」 「先にご飯食べようかな。…ところで何?その口調。」 「…別に。」 私にもよくわからない。   「アレか?ちょっと前に流行ったメイドさんってやつか?あはははは…!」 彼は笑いながら食卓に着いた。...
  • 凉宮ハルヒの編物@コーヒーふたつ
    …━━━━もうすぐクリスマスがやってくる…。 …街中が恋とプレゼントの話題で騒がしい。 ところで…「手編みのマフラーとかセーターとか…貰うと結構困るよね…」なんて言う輩を希に見掛ける昨今…… 実を言うと俺は、そういったプレゼントに僅かながらも、密かに憧れを抱いていたりするのだった━━━━━… 【凉宮ハルヒの編物@コーヒーふたつ】 吐息も凍る様な、寒空の朝… 俺は、相も変わらずいつもの公園でハルヒを待っていた。 つい先程まで、自転車を走らせる事により体温を気温と反比例させる事が出来ていた俺だが、公園に辿り着いてから暫くの間に指先は痺れる様な寒さを感じ始めていた。 (まったく…こんな日に限って待たせる…) 大体…ハルヒの奴はいつもそうだ。 来て欲しい時に来なくて、来て欲しくない時に限って現れる… 「まったく…俺に何か恨みでもあるのか…」 「ん?何か言ったかしら?」 「…………へ?…...
  • 缶コーヒー、ふたつ6
    ♪ttt・・・ttt・・・ttt・・・ 耳馴染みの無いアラームが遠くから聴こえる・・・ 朝・・・か? 少しづつ目を開けると、霞む視界に見慣れない天井が浮かびあがった。・・・何処だ?・・・ここは。 とにかく、起きよう・・・・。 俺は、少しだけ体を起こして辺りを見回した。そして、ここが自分の部屋ではない事を把握する。 さて、どうしたものかな・・・。 「ん・・・、キョン?おはよう・・・!」 ・・・!!!ハルヒ!? 俺の隣にハルヒが居る!!?何故だ!?そうだ・・・昨日!昨日の夜・・・っ! 思い出したっ! 帰宅後、鞄の中に提出期限間近の課題に使っていたノートが無い事に気付いた俺は、度々俺の鞄を勝手に開けてCDやら雑誌を持っていくハルヒに、心当たりが無いか電話をした。 で、案の定ノートはハルヒが持っていた!まあ大方、雑誌か何かを持ってく時に紛れちまったんだろうが。 そして・・・ノートを取...
  • 涼宮ハルヒの家族事情
      「みくるちゃ~ん、また大きくなったんじゃないの~?」 「ふ、ふぇ~!やめてくださぁ~い!」   あたしはみくるちゃんの背後にまわって、胸をつかんだ。 う~んいつ触っても最高の触りごこちね!ちょっとうらやましいわ。   「こらやめろハルヒ。嫌がってるじゃないか。」   そんなあたし達のやり取りを見て、キョンは目を背けながらあたしに注意する。 その向かいに座ってる古泉君は苦笑い。有希は目も向けずに読書。 いたっていつも通りの光景。不思議なことなんて何1つ無い。 だけどあたしはそれでもいいと思ってる。今では不思議なことよりも、SOS団のみんなと過ごすことが1番楽しい。 だけど団長がそんなこと言ったらみんなに示しがつかないから、不思議は探しつづけるけどね!   パタン。   有希が本を閉じた。時計を見るともう6時前。もうすぐ学校が閉まっちゃう。 あたし達は荷物をまとめて、帰る支度をする。 何よ...
  • 浴衣とお祭り
    夏休み。 今日は団活も休みでやることがなくヒマだ。……やっぱり俺はSOS団の連中といないとダメらしい。 というよりハルヒに会いたい。どうやら俺はハルヒに惚れていたというのに気付いたのは、6月だった。 ハルヒが雨に濡れたのか、風邪をこじらせた時に会えなくてとても寂しかった……って思った時には好きになっていた。 まぁ、そのときに見舞いに行ったことでハルヒの家を知ることになったわけだが、上がったことは無い。 俺の部屋には上げたのに、これじゃ不平等じゃないか? 「……そうだ、ハルヒの家に行ってみるか」 俺は呟いた。たまにはいきなり行って俺が驚かす側に回ってもいいだろう? そう思い、すぐに着替えて俺は自転車に飛び乗った。 ハルヒの家までは20分で着いた。俺は自転車を止めて、鍵をかけた。 そしてドアに近付いて、インターホンを鳴らした。 「はいはい!……あ~もう!歩きにくいわ!!」 ドアの向こうから...
  • きょんむす第三弾 キョンむす!
    もくじ   目を開ける。視界一杯に映り込んできたのは少女の笑顔。 「起きましたか?」 少女がソファから立ち上がって僕に声を掛ける。その際にソファが歪んで彼女がそこに腰掛けていた事を知った。 「今……何時です?」 寝転んでいたソファから上半身を起こして少女に尋ねる。……毛布が掛かっていたのは、彼女の仕業でしょう。僕は仕事から帰ってきた後、倦怠感に身を任せて着替えもせずに突っ伏した筈ですから。 「二時くらいです」 少女は微笑んで僕の眼を見る。 「二時……ですか? それは……寝過ぎましたね」 幸いだったのは今日が休日だったことでしょうか。昨日は確かに激務だったとは言え、目覚ましも掛けずに寝てしまうなんて我ながら何と言うか……。 「困ったものです」 溜息を吐く。 「何が困った事なんですか?」 少女が僕の上に掛かっていた毛布を丹念に畳みながら聞いてくる。 「いえ、今日が休日で良かったと思いまして...
  • コーヒーふたつ【another side】
    いや、なんというか・・・俺は昨日に続いてまたハルヒを『おひめさまだっこ』している。 雰囲気と勢いでハルヒを抱き抱えてしまったものの・・・ 先程交した会話が会話なだけに、なんともいえない心境だ。 ハルヒも同じ心境なのだろうか、黙って前を向いたままだ。 すると突然、ハルヒが何かを思い出したように・・・ 「ねえ、キョン。」 !? 「もういいわ、痛み止も効いてるし。歩けそう。」 あ、 あああそうか。 今ゆっくり、下ろしてやるから・・・。 俺はハルヒと並んで歩いた。 極力、ハルヒの歩くペースに合わせて。 しかし、あれだ・・・会話が続かない。 いや、続かないどころか気まずい沈黙のままだ。 何でも良いから話しを! 俺は、たいした話題も無いままハルヒに話かけた。 なあ、ハルヒ・・・ 「ねえ、キョン。『付き合う』って何」 え? 「私は・・・昨日気付いた。たぶんキョンが好き。今ま...
  • それでもコイツは涼宮ハルヒなんだ 7
    ...る状況に陥っていると気付いた時にはもう、身動き一つ出来なくなっていた。  喉仏が上下に動くそれだけで冷たい金属質の何かが俺に接触する。これが正しく紙一重。いつかのトラウマが色鮮やかに甦った。 「あさ……くらっ……?」 「本当は気付いていたのよ、長門さんの変化に。それでも私が貴方の前で何も知らない振りをした理由、分かる?」  失念していた。いや、あの春の出来事はジェットコースタ過ぎて正直仔細を覚えていないというのも有った。それでも……なんなんだ、さっきから付き纏うこの違和感は。  朝倉が持つサバイバルナイフの切っ先は正確に俺の喉を狙っている。これではまともに会話も出来やしない。説得なんて以ての外だ。無理に喉を動かせば刃が皮膚を切り裂くのは想像に容易く、そしてそれは場所が場所だけに致命傷にも成り得るかも知れず。  緊張に唾を飲み込む事すら俺には許されちゃいなかった。  俺の...
  • LOST 1話
    LOST 1話   話は、慌しかった文化祭も終わりひと時の静けさを取り戻した時期にさかのぼる   俺は終業のベルが鳴るといつものように文芸部の部室兼SOS団の部室に足を伸ばしていた。 人間と言うモノは上手くできたもので何でも「恒常性」ってヤツがはたらいて外の環境に人体の内部が 適応するようにできてるらしい。つまり、ハルヒと出会ってからなんだかんだでSOS団に引きずり込まれ 対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェースを名乗る、無口で本の虫な宇宙人に命を救ってもらったり キュートで荒野に咲く一輪の花のような未来人に毎日お茶を入れてもらったり、はたまた笑顔と真顔の比率が 7 3で常に白い歯を見せるニヤケ超能力者と毎日ボードゲームをしたりしているうちに 俺の恒常性とやらは健気にそして必死にトンデモ環境に適応しているんだなぁとつくづく実感していた。   部室のドアノブを回し、いつぞやの...
  • 涼宮ハルヒの失恋
    空から振る冷たい水に当たらぬよう差しかざした職員用のそれは明らかに定員オーバーで、それなのに寒さ故に微かに震えたあたしの肩がちっとも濡れていなくて、隣に居る男の無駄な優しさに腹が立った。 その男は持論を淡々と述べていた。雨音にかき消されることのないよう普段より少し大きめの、しかしどこか優しくあたしを諭すような声で。 諭される筋合いなど無い。何故なら今「男の持論」と称したものはあたしの持論でもあるからだ。いつだったか机に突っ伏しながら独り言のように呟いていたのを覚えている。 今でもあたしにはその思想が変わらずにしっかりと根付いている。受け売りの癖して偉そうにしている部分を除けばこの男の話に異論は無いのだが、あたしの視界がどんどん滲んでいくことから矛盾が生じていることに気がつく。 左上に視線をやると冴えない男の横顔。 昨日と何の違いも無いはずなのに、どうしてか今まで見たどの横顔よりも凛々し...
  • デッサン
    俺は一人部室に佇んでいた。目の前には真っ白な何も描かれていないスケッチブックと、鉛筆。 終了式が終わった後に美術担当教員に呼び出された俺はこんなことを言われた。 「スケッチブックを最低5枚以上埋めてこい。じゃないと単位はやらんぞ」 俺の中学時代の美術の成績は《5》だった。しかし、高校に入りやる気のないまま美術の時間を睡眠に当てていたらこの様な不測の事態になってしまったのだ。 ともかく、こんな教科で単位を落としたとなるとハルヒに何を言われるかわかったもんでは無いので、真面目に絵を書くことにしたわけだ。 しかし、何を描こうか。どうせなら成績を上げるために少し難しいのを描きたいな……。 「な~に一人で青春感じてんのよっ!」 大きな声とともにドアの開く音がした。ハルヒがやってきた。 「……あれ?それって美術?」 「あぁ。全部寝てたから少し絵を描いて提出しないと単位やらないだとよ」 俺がそう言うと、...
  • 友達から彼女へ、彼女から友達へ
      ――キョンくんへ――    こんにちは。いきなりですがお手紙を書くことであなたに気持ちを伝えようと思います。  初めにあなたを気にかけたのは、教室で涼宮さんに話しかけたのを見た時でした。  わたしは涼宮さんと同じ中学だったけど、彼女が苦手で喋れなかったのに、あなたはすぐに喋っていましたね。  あなたは優しい人なんだなって勝手に感じました。  それからは、気がついたらあなたを目で追っていました。  涼宮さんに引き摺り回されたり、時には文化祭の発表のためカメラを持っていたり、雨の中でストーブを運んでいたのも見掛けました。  そうやって目で追っていたらいつの間にか好きになってました。  ほとんど話したこともないし、まして接点すら一つもない。  それでも好きになっちゃったんです。  わたしは何の取り柄もないし、顔もよくないし、スタイルもダメです。  部活だってレスリングなんかに入って、女らしく...
  • 私の選んだ人 第2話
    私の選んだ人 第2話 「僕は寝てはならぬ」 「いい車ですね。でも少し意外だな」 色の薄いサングラスをした運転中の森さんは、全くこちらを見ずに、 「皆そう言うのよね。水色は似合わないって。私にはカワイ過ぎるってどういう意味よ。私だって女よ?」 と、鋭い声で僕の「意外」に対する答えを返した。 僕は今、森さんの私用高級国産車の助手席に座っている。メタリックなライトブルーのコンバーチブルで、彼女の言う様に水色に見える。今はオープンカーだが、電動式のルーフを閉じると4人乗りの乗用車になる。内装は赤のレザー。今日は気候が丁度良く、開放感が気持ち良い。風は驚くほど感じない。 ちなみに先に断っておくと、どこへ向かっているのかはまだ聞いていない。 ……しかし相当高いなこの車。それになんというか、「カワイイ色」以前に、この車と持ち主を見てカタギだと判断する人間は100人中1人未満だろう。あ、今は僕...
  • カーディガン
    体育の授業を終えて長門有希は教室に戻ってきて異変に気付いた 「……?」   彼女のカーディガンが無くなっていたのだ いつもの彼女ならば、無ければ無くても良かったのかもしれない。だが…   「ない……あの人から貰ったのに……」 今までなら、モノが無ければ自分で構築すればいい。だがアレだけは何故か特別な品だった 長門有希本人は自分が動揺している事を自覚していないだろう。だが傍目には長門有希は明らかに動揺している   そんな長門をニヤニヤ笑いながら人の女子生徒が話しかけてきた 「長門さん?そんなに慌ててどうしたの?」 女子生徒は笑いを堪えて、さも心配しているように話かけた 「……カーディガン」 「カーディガンがどうした?」 「……ないの」   長門は必死に何より大切なソレを探した 「カーディガンならまた買えばいいじゃな~い」   この女子生徒は知っていた。長門がキョンからカーディガンをプレゼント...
  • 星色パノラマ プロローグ
    目次 あぁ、これは夢だって気付くときはたくさんあって   きっとこれも夢なんだなぁって今回も気付いたわけで   真っ黒な空の中でタッチできるほど近くにある星を   思うがままにのんびりと眺めていたわけでして   宇宙   きっと今俺はここにいる   だからこれは夢なんだ   現実ではありえない   たった36000km地球から離れただけ   それ以上も   それ以下もない   遠くで聞こえるはずのない   ブランコの音が聞こえる   俺は気にせず地球と月の間で宙返りをした つづく
  • 夏風邪サプライズ
    うー、だるい…。頭、ぼーっとする…。 目が覚めて、あたしがまだ熱が引いていないのを、嫌でも 思い知らされた。 テレビでインドの修行僧だか何だかが滝に打たれてるのを見て、 コレだ!と水ごりの真似事をしたのがまずかったのか。 あとは期末テストの返却を待つだけというこの時期に、あたしは もう笑っちゃうくらい見事に夏風邪を引いてしまったのだ。 来たる夏休み、SOS団のみんなが全員、最後まで あたしについて来れますように!とか祈願しておいて、 当のあたしが寝込んでれば、世話はない。 ま、いいけどね。何事も思い立ったらチャレンジしてみるのが あたしの性分だし。こんなちゃちな夏風邪くらい、 気合いでさくさく治してみせるわよ、うん! と張り切った途端、胃の辺りに引き絞るような痛みが走って、 あたしは思わず、うう~っと呻いた。 夏場だというのにあたしは布団を頭までかぶって、ぶるぶると 寒さに震えている...
  • シスターパニック! 第4話
    4話      真っ白な世界にただ一人立っていた。  なんだよ、これ。まさかハルヒの閉鎖空間で押しつぶされた世界か? 『キョン、楽しい? この世界はさ。あたしは楽しいよ、ずっとあんたと一緒だから……』  脳に直接響いて来るようなハルヒの声がした。  まぁまぁ楽しいな。でも、元の世界の方が楽しいけどな。 『そうかな? あたしはね、このままでもいいよ。あんたに告白してフラれるかもしんないなら、妹としてずっと仲良くしたいから』  そんなこと言うなよな。一緒に授業を受ける日々に帰ろうぜ? 『……じゃあさ、あんたのあたしに対する気持ちを教えてよ』  そ、それは……。 『答えられないの? じゃあ、そっちの世界でいいじゃない』  ち、ちょっと待て! おい、ハルヒ!      …………夢?  おいおい、なんて夢を見てるんだよ。  ハルヒの言葉は俺の夢妄想か? しかも『一緒に授業を受ける日々に帰ろう』だ? ...
  • やすらぎ
    《キョン、すぐに音楽室に移動しなさい》 ……なんだこれは。俺が遅れてきて部室に入ると誰もおらずに、こんなことを書かれた紙だけが置かれていた。 やれやれ、今度は何をしやがるってんだ。 俺は部室を出て、急いで音楽室へと向かった。……吹奏楽の連中はいないだろうな? 今は何故か吹奏楽の連中がかき鳴らす楽器の音が聞こえない。代わりに誰かが弾くピアノの優しい旋律が学校にこだましていた。 俺はその心地よい旋律に誘われるように音楽室へと向かい、ドアを開いた。 「………ハルヒ?」 ドアを開けると、座ってピアノを聞いている吹奏楽の連中、古泉、長門、朝比奈さん。……そして、ピアノを弾いていたのはハルヒだった。 俺は古泉の横に座り小声で尋ねた。 「おい、これは何事だ」 やはりいつものムカつくスマイルを浮かべて返事が返ってくる。 「見ての通りです。涼宮さんがピアノを弾いていらっしゃるのですよ」 俺はチラッと長門と朝...
  • 朝倉涼子の軌跡 断章『心、通わせて』
     謎の少女――橘京子の襲撃から二週間が経ったが、あれから命に障る事件は起きなかっ た。一方、不可思議な現象等は、端に涼宮の精神状態が安定している為か、はたまたその 力の発生自体が稀有な為か、涼宮は垣間見せる事は無かった。 だが、古泉曰く。 「涼宮さんは発言や行動こそ奇天烈ですが、彼女が悪戯に世界の秩序や構成を乱さないの は、彼女が現実と空想の類の境界線を明瞭に把握し、理解しているからですよ。でなけれ ば、今頃世界は酷い有り様になっているはずです」 などと、豪語したからであり、しかし信憑性の薄い話でもあった。贔屓目で見ても、あ いつ――涼宮が人格者であるとはとても思えない。しかし、涼宮の精神や心理と少なから ずともリンク出来ると言っていた能力者である古泉が言うのであれば、あながち間違いで はないのかもしれない。現に涼宮は悪戯に世界の法則を覆す事象は起こさなかったが、相 変わらず閉鎖空間は発生...
  • 本命は誰だ
    私はキョンと付き合いだしてから三ヶ月になる。 告白したのは私。キョンによく我が儘を言うからOK貰えるなんて思ってなかったの だから勇気を出してみて本当に良かったと思ってる。 付き合い出してからの毎日は楽しいわ。まるで人生がかわったみたい! ・・・ただ一つだけ問題があるの。 三ヶ月付き合っててもキスで止まっちゃってるってこと。 私はもっとガンガン先に進みたいのに・・・。 もちろんそんなことキョンには言えないけどね。 あ、もう部室に行かなくちゃ   「ごめーん!!掃除当番だったから遅くなっちゃったわ」 私はいつもどおり勢いよく部室の扉を開けた 「すす涼宮さん!?い、今お茶いれますね」 ・・・驚いたのかしら?みくるちゃんらしいわねと思いながら私はキョンに話しかけた 「あれ?アンタとみくるちゃんだけ?」 「あぁ、古泉と長門は掃除当番だ」 「ふーん」 随分素っ気ない会話だけどそれは仕方ない。 だって...
  • 涼宮ハルヒの自覚 「転」
      「あたしも、混ぜてよ。」   昼休み、部室で緊急会合を開いていた俺達の前に、ハルヒが現れた。 ハルヒの顔にいつもの無邪気な笑みは無く、静かに不敵な笑みを浮かべている。 おいおいハルヒ、それはどちらかというと古泉の笑い方だ。お前にそんな笑いは似合わねぇよ。 「いっつもそうやって、あたしを除け者にして面白いことしてたってワケね。」 「なんで朝比奈さんの未来を消した。」 「だって、未来があったらみくるちゃんいつか帰っちゃうじゃない。」   ハルヒはしれっと言ってのけた。そうだ、ハルヒは俺以外の三人の正体についても理解している。 朝比奈さんはいつか未来に帰ってしまうってことも。 でもだからってこれは……ねぇよ。   「涼宮さん、お願いします!未来を返してください!」 「ダーメよ。みくるちゃんは大事なSOS団のマスコットなんだから!未来に帰るなんて許さないわよ!  でもみくるちゃんの未来人設定っ...
  • 『God knows』 5章
    『God knows』 ~5章~ 回り続ける観覧車、まだ頂点まではきていない。 「へ?」 俺はとんでもなくマヌケな声を出した。 「も、もう1回聞かせてくれませんか?」 これで同じことを言われたら、俺はこの上なく野暮な人間になるだろう。 「……もう、こんなに勇気出して言ったのにぃ……。キョンくん。わたし、《朝比奈みくる》は……あなたが…好き…です……。」 なったね、野暮な人間に。 でも、まさか……朝比奈さんが俺のことを好きだったなんて気付きもしなかったぞ? 俺が鈍いだけなのか? 「わたしは……」 朝比奈さんが静かに語り続けた。 「わたしは、気がついたらキョンくんに好意を抱いてたんです。……でも、【規定事項】によって、わたしがあなたに《好意がある》と伝えるのは【禁則事項】だったの……。」 そうか、朝比奈さんは俺とハルヒが結婚する未来から来たんだったな。 「でも、涼宮さんの気持ちが変わっ...
  • 繋ぎとめる想い
    『A Jewel Snow』の後日談的話です。   時は12月の24日。世間がクリスマスイヴだと賑やかになり、 幸福に過ごす者、それに嫉妬する者、働くことに追われる者。 様々な人たちがいる。そして今、俺は珍しく昼から街に出ている。 つい1週間と少し前、晴れて恋人となった人と歩いているからだ。 俺と腕を組んで満面の笑顔を浮かべている美少女、涼宮ハルヒである。   「繋ぎとめる想い」   「ねぇ、キョン。次はどこ行こうか?」 満面の笑顔を浮かべながらハルヒが聞いてくる。 昼に会ってからこの調子でずっと連れまわされている。 「あ、ちょっと見てキョン!あれ面白そうじゃない?」 とハルヒが指差したのは置時計だ。中からサンタが出てくる仕掛けらしい。 随分と期間限定でしか使えない感じの時計だが、売れるのだろうか。 しかし、腕を組みながらあっちこっち歩き回るその様は目立つカップルである。 ついでに女の方...
  • 長門有希無題5 1話
    いつものようにハッスルしようと長門をベッドに押し倒した 「……待って」 長門は一言拒絶の言葉を口にした こういう関係になってから長門はいつも俺に応えてくれた。そんな長門が初めて行為を待ってくれと言っている 「どうしたんだ?体調でも悪いのか?」 「……体調は問題ない。ただ……」 長門が言葉に詰まる事も珍しい 「ただ?」 「………ただ、私は今妊娠している。だからできれば性行為などの激しい事は避けるべき」   ん?なんだ? 今長門の口から思いがけないワードが飛び出した気がする   「え~と……すまん。なんだって?」 「私卵子と貴方の精子が受精し、その受精卵が着床したのを先日確認した」   きっと冗談とかではないだろう。まぁ確かに猿のように求め続けたし当然と言えば当然だ 「はぁぁぁ………」 長門は俗にいう宇宙人だ。だからって訳ではないが妊娠するとは思わなかった 「……貴方が望むならこの受精卵は……...

  • 俺は今日、一日中ハルヒをストーキングしていた。   初めてのストーキングで感じた事はストーカーというのも中々大変なんだな、という事だ。   ハルヒがトイレに行かなければ俺も行けないし、 ハルヒが何か食べなければ俺も食べる事が出来ない。   そこまで考えて気付いた。 なぜ俺はハルヒをストーキングなんかしているんだ?   馬鹿馬鹿しい。   もう帰ろう。そう思い振り返ると、遠くに誰かの影があった。 こそこそとこちらの様子を伺っている。   何だ? 目を凝らすとそれは…   長門だった。   彼女は物陰に隠れ、俺の様子をチラチラと見ている。   …何をやってるんだ?   だが、それよりも気になったのは、その長門の後ろの人物だ。   長門と同じようにこそこそと、長門の様子を伺っている。   …古泉だ。   その後ろには朝比奈さんらしき人物が。   その後ろに見えるのは鶴屋さんか?   俺...
  • 10月8日、曇りのち雨 後編3
    人の口に戸は立てられないとはよく言ったもんだ。 膝枕事件の翌日には既に俺とハルヒは学校公式に付き合っている扱いになっていた。   新聞部にはインタビューされるわ、クラスからは祝福を受けるわ。 仕舞いには見ず知らずの上級生からまで、 「ほら…あの人が…」「あぁ…あの涼宮の…」「普通そうなのに…すげぇよな…」 などとヒソヒソ囁かれる始末。   俺はその噂を沈静化するのを諦めていた。 どーせすぐ飽きるだろう。 …いたたまれないのは確かだが。   そんな俺だったが…最近、ハルヒの夢をよく見る。…むやみやたらと。 …その意味はあまり深く考えないようにしていた。   膝枕事件の事は耳に入っているハズだろうに、古泉と長門は何も言わなかった。 長門はともかくとして、古泉は何か言ってくるかと思ったがそれも無し。 ただ朝比奈さんには「頑張ってくださいねっ」と極上笑顔で言われてしまった。 …何を頑張れってんだ...
  • 『 リストカッターが吐いた幸福の溜息 』
    異変が起きたのはいつだろう。それは解らない。 ただ一つ言えるのは確かに異変が起きているという事。 「キョンくん・・・」 場所は呼ばれて言った大きな家の大きな部屋。 綺麗なカーペットに滲む斑模様が異質で、グロテスクで、綺麗だった。 芳醇な生臭い鉄の匂い。 「あ・・・あぁ・・・・・」 俺は部屋の扉を開けた体勢のまま、ただただそれを見ていた。 一人の少女の右手首から流れる、血が玉となってい落ちる雫を。 俺が叫ぶまで数秒。人が来て、その家の中は大騒ぎとなった。 それはある夏の日の事。 日常という名の一部が変化した日だった。  『 リストカッターが吐いた幸福の溜息 』  ある病院のある一室。 俺はそこへ一人で向かっていた。 がらりと開けると長い緑髪が目に映った。窓から入る光で美しく映える。 だが、その持ち主の顔は暗い、というより暗黒に包まれていた。 「やぁ、キョンくん・・・」 弱々しい笑...
  • HOME…SWEET HOMEの大晦日
    …━━━『全く…母さんは「もったいない」とか「そのうち使う」とか言って何でもとっておくから困る…』 俺が子供の頃に、親父がお袋に向けて発した言葉だ。 お袋は昔…いや今もそうだが、とにかく色々なモノを捨てずにとっておきたがる。 古着、お菓子の缶、デパートの紙袋… だが、どうやらそれは俺の母親だけではなく、世の主婦の大半に言える事らしい。 そして俺は、結婚して『親父の言葉』を身をもって思い知る事になった━━━…   【HOME…SWEET HOMEの大晦日】   大晦日…我が家は大掃除の真っ最中である。   俺は、積み上げられた段ボールを眺めながら溜め息をついていた。 こいつらの出処は我が家の押し入れ… 2年前にハルヒが俺と結婚する時に持ち込んだ『実家からの荷物』だ。 中身はハルヒが昔に着ていた洋服が殆んどで、あとは訳の解らない雑貨や小物、中には『高校の教科書』と書いてある殺人的に重いヤツまで...
  • 長門神社の猫又
    長門神社の猫又  吾輩は猫である。名前をシャミセンという。  どこで生まれたかとんと見当も付かぬ。だが、名前があるからには、誰かの飼い猫であった経歴があるということである。それは過去形でもあり、現在進行形でもある。吾輩は拾われて飼い猫となった。今の飼い主はその時の拾い主ではないが、その場にいた者の一人である。  当時の吾輩は、極めて特異な特徴を有していた。人語を発したのである。それは吾輩が拾われた時に吾輩を選定した者の能力による一時的なものであった。その事実を周囲に知られてはいけないらしく、当時の飼い主はその事実を隠蔽するのに腐心していた事が思い出される。  それはあくまで一時的なもので、以来至って平穏に、吾輩は普通の猫として時を過ごした。体内に情報生命素子を埋め込まれた事以外は、至って普通に。  体内に埋め込まれた情報生命素子は、吾輩の肉体と知能に大きな影響を与えた。しかしその影響...
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