涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki内検索 / 「無限の愛に包まれて」で検索した結果

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  • 無限の剣製2
    まったくをもって突然だが、俺とハルヒは今世間で言うところの゛彼氏彼女〝の関係になっている。まあ、何故かと言われてもただただ回答に困るが、少しだけ語れる事があるなら告白したのは俺のほう、と言うことだけだ。 しかし、そんな関係になったところであの天上天下優雅独尊及び俺を独占な態度は地球の公転周期ほども変わらず、相変わらずこき使われている。 谷口からは゛かかあ天下〝とまで称されてしまった。……別にいやではないが、まだ籍を入れた覚えはない。 ちなみに俺の彼女曰く、゛神聖にして不可侵の象徴たる私が団活をやめるなんて言語道断よ!〝とのことで、そこも相変わらず継続中だ。 ガチャリ、といつもの如く(元?)文芸部室の扉を開けて―――無論ノック後の「はぁい」という語尾にハートマークがつきそうな声を聞いた後にだが―――俺はいつもの面々の顔を確かめる。 メイド、 無表情、 ニヤケ、 団ちょ…彼女。 …箇条書...
  • 無限の結論
    もう見慣れてしまったこの風景。 無限の剣。 無限の荒野。 そこに、 「うわっ!」 「ふえぇぇぇ!?」 見慣れない、三つの影。 「な!?朝比奈さん!長門!何でここに!?」 うむむ、おかしいな。ちゃんと回りは確認したのに。…ああ、そうか。長門が不可視フィールドを展開してたのか。 「あの…無視しないでいただけますか?」 いや、まあ、何となく閉鎖空間に近いからお前はいても驚かなかっただけなんだよ。何となく入り込めそうな気がするし。 「それは無理ですね。ここは閉鎖空間と似てますが根本は違うものみたいですし。どちらかと言えば…そうですね、コンピュータ研の部長氏のときのものに近いですね」 そうなのか…って心を勝手に読むな。俺は口に出してないぞ、そんなこと。 「まあ、とにかく…ここは何なんですか?」 「…簡単に言えば、俺の閉鎖空間だ」 俺の言葉に、古泉はわざとらしくほう、と呟いた。 「ええと…つまり、ここ...
  • 無限の相談
    「あのさ、ちょっと皆に相談があるんだけど」  とある日の放課後、文芸部室に掃除当番に当たっている彼以外の全員が集まっている状況で、急に涼宮さんが言いました。あ、ちなみに僕は古泉です。どうも。  「相談……ですか?」  とお盆を抱えたまま朝比奈さんが聞き返します。  ふむ、”相談〟ですか。『機関』の古泉一樹、『学生』の古泉一樹、そのどちらの立場からも興味はありますね。…まあ、何の相談かは容易に想像できますが。  「最近ね、キョンがバイトを始めたらしいのよ」  ほう、そうなんですか…って、何ですって?アルバイト?  おかしいですね…『機関』からはそんな報告は来てませんが…。  この知らせには長門さんも驚いたようです。ほんの数ミリですが目を見開いているように見えなくもないですね。  「でね?そのバイト先が人員不足らしくて、急にデート中に呼び出されたりするんだけど…。その次の日のキョンが異常なまで...
  • 無限の輪舞(ロンド)Ⅱ
    (これは、アンリミテッドブレイドワークスのうちの一つです)   「ここかっ!」 俺が出たのは、何の因果か長門のマンションの前だった。 俺は虚空に右手を掲げ、     「―――I am the born of my sword―――」       詠唱。―――体内から何かが失われていく感覚。     「―――Steel is my body, and fire is my blood―――」       詠唱。―――消えていく何かの正体なんてのは判ってる。     「―――I have created over a thousand brads―――」       詠唱。―――右手を包むように左手を上げ。     「―――Unaware of loss―――」   「―――Nor aware of gain―――」       詠唱。―――倒れそうな体を叱咤して。     「―――Withs...
  • 無限の分岐
      (これはアンリミテッドブレイドワークスの話の一つです)         「キョン!」 ガラリ、と大きな音を立ててあたしは病室のドアを開いた。 病室にはみくるちゃん、有希、古泉君、そしてベッドに寝ているキョンがいた。 「あ、涼宮さん…」 「………」 「…どうも」 三者三様のあいさつ。でも、あたしにはキョンしか見てなかった。 …良かった。生きてる。機械は定期的にピッ、ピッ、と音を発している。 「キョン!!」 キョンの肩をゆする。それに合わせて首がガクンガクン、と揺れた。 「…キョン…?」 …何だろう、この感覚。嫌な予感、みたいな。 その予感を確信にするように、よく見ればキョンは死んだように眠っていた。 …死んでない。 …でも、生きてない。 「…涼宮さん、彼は今、植物人間の状態に陥っています」 「……植物人間?」 「ええ、つまり」 そこまで言った古泉君の胸倉を掴んだ。古泉君の背は高くて、少し...
  • 無限の剣製
    もう―――何度目になるか。 「いい加減にしたらどうだ?あいつはストーカーを募集した覚えはないんだよ」  目の前の゛それ〝は答えない。応えない。  ただ、そこに在るためだけのように立ち尽くして無言に徹する。 「……あんまり黙りこくってるヤツもまあ、少なくはないけど多いわけにはならないな」  周りの景色は紅く停止し、世界は流れない。  この中に動いているのはただ二人。  否、ただ一人とただ一つ。  「まあ、とにかく、始めようか」  俺は体に似合わない野太刀を足元からたぐり寄せる。  最初からそこにあったように、何の不自然もないように。  紅い丘から、一本の剣を取り出す。  存在し得ない、複製した剣を―――無限に。  詠唱、   「I am the born of my sword―――」
  • 無限の休息
    (この話はアンリミテッドブレイドワークスの一つです) 「…鬼」 「何とでも言いなさいよ」 今現在、いつもの駅前付近の商店街。 そのうちのゲームセンターの一角、俺は全てのUFキャッチャーの景品を取らされていた。しかも太刀の―――と、間違った。最近、戦ってばっかりだからなぁ―――改め、性質の悪いことにこのゲーセン、結構大型のものだから全部で二十五台、しかも一台につき二つあるもんだから五十個。そして極めつけはほとんどが二百円台ということ。 「俺の財布の中身は無限じゃないんだぞ…」 「浮気の慰謝料よ?当然じゃない!!」   あの後、俺と長門は古泉と朝比奈さんの出て行った―――出て行かされた―――部室で仁王立ちのハルヒを正面にして床に正座し(長門はイス)色々と弁解していた。 「…んでキョン。あんたいつの間に有希に手を出したの?彼女のあたしを差し置いて」 回りから見たら中々シュールだよなぁ。この光...
  • ひとりぼっち
    週末になるたび、私はあの場所へ行っていた。 桶に入った水と花。これを持ってあの場所に向かうのもどれだけ続けたことだろうか。 「あら、長門ちゃん。精が出るね」 すれ違うお婆さんに会釈を返す。 彼女は痴呆が進んでいるため気づいていない。私が何十年この行動を繰り返しているのかを。   先週変えたばかりの花をまた変え、桶の水で墓石を洗う。 このあたりでは一番清掃が行き届いていると自負している。 この行動を、何十年となく繰り返してきたから。 横にある墓碑に刻まれた名前。 『涼宮ハルヒ 20××年×月×日』 『涼宮○○  20□□年□月□日』 涼宮ハルヒと、そしてキョンと呼ばれていた彼が入っている墓。 少し離れた位置には古泉一樹のものもあった。 何度となく私は墓参りを繰り返す。 「久しぶり……元気にしていた?」 すでに生きていないものに元気かと問う私は滑稽。 有機生命体は死んでしまえば、その体に何の情...
  • アンリミテッドブレイドワークス
    Fateのアーチャーのアレです   無限の剣製 無限の剣製2 無限の相談 無限の結論 無限の休息 無限の輪舞(ロンド)Ⅰ 無限の輪舞(ロンド)Ⅱ 無限の分岐 エピローグ~肯定~ エピローグ~否定~
  • 無限の輪舞(ロンド)Ⅰ
    (アンリミテッドブレイドワークスの一つです)       ―――、紅い荒野に人影三つ――― 「ぐっ―――!」 ―――、一人が人で二人が情報――― 「「防戦一方だね、お兄さん♪」」 ―――、一人の腕には双剣が――― 「っは、はぁはぁ…っだあ!」 ―――、二人はそれぞれ片手に太刀を――― 「「あはははは!息も絶え絶えじゃないか!」」 ―――、そして終焉は来たる―――     「「やあっ!」」 目の前から双子(という設定で今まで過ごしていた待機モードの)急進派兄弟は同時に振り下ろす形で白銀の刃を俺に振るった。 「っぐ!」 それを、愛双刀干将莫耶を顔の前で交差させて防ぐ。 カキーーーン! 「「もう終わりだよ、お兄さん。最初から二対一なんかで勝てるわけ無かったんだよ」」 まだ年端もいかないように見える容姿、しかし剣戟はとても重い。 「ったく、言うじゃないか…。うちの妹もこれくらい饒舌なら兄として文句...
  • サムナンビュリズム前編2
    翌朝、俺は七時にセットしておいた妹目覚ましに物理的な衝撃でもって起こされた。 朝の慌ただしいいろいろを済ませ昨日の夜に準備しておいた服に着替える。   時計を見ると七時半を少しまわったくらいだ。   我ながらここまでは計画通りに進んでいる。この分なら八時には駅前に着くだう。 さすがにあのハルヒでも一時間も前から駅前で独り突っ立っているような愚行は犯さんだろうから、俺の罰金刑放免はすでに確約されたも同然、 ……のはずだったんだが、いつもと変わらないオーダーをしているのは何故なんだろうね。 さすがにここまでコーヒー一本にこだわり続ける客は俺くらいしかいないんじゃないのか? まあそんな他愛もない疑問はどうでもいいとして、ハルヒ、お前いつから駅前にいたんだ?   「さ、さっき着いたばかりよ!」   ということは、俺はすんでのところでコケたのか! くそ、我ながら情けない。   「それよりキョン! 今...
  • chapter1
    「こ、これは…、いったい、何の冗談だ…?」    --------------------------------------------------------  「あっ。」 「どうしました?」 「部室に忘れ物した。」 「そうですか。明日は土曜日ですし、物にもよりますが、取りに帰っては?」 「お前に言われんでもそうするさ。」 「これは失礼。」 微笑を浮かべながら言うな。まあ、慣れてるがな。 「おーい、ハルヒ。」 「なによキョン。」 「部室に忘れ物したから、とりに帰ってくる。」 「あっそう。それじゃあ、はい。」 「おっと、って、何だ?」 「見てわかんないの?鍵よ部室の合鍵。」 「それは、わかる。俺が言いたいのは何で部室の合鍵をお前が持ってん のか、って事だ。」 「部室の鍵毎回借りるの面倒だなって言ったら、 有希が作ってくれたのよ。」 「そう…。」 おいおい。勝手に作ったらまずいだろ。 「何...
  • まぞ☆もり2
       遠くで虫が鳴いている、蒸し暑い夜だった。  赤信号の光に、僕がペダルを漕ぐ足を止めると、僕の右手にぶら下げられたコンビニエンスストアのビニールの袋が、カサカサと音を立てた。  時刻は二十三時。信号機の赤い光の玉のすぐ隣に、僅かに書けた丸い月が浮かんでいる。  信号が青に変わるのを待ち、横断歩道を渡る。交差点を右に曲がると、機関の寮の裏門に取り付けられた、オレンジ色の蛍光灯が光っているのが見えた。  やがて、蛍光灯の光の元に、僕はたどり着く。  自転車を止め、常温のスポーツドリンクが二本だけ入った袋を手に、急ぎ足で屋内へ向かう。  エレベーターで四階へ移動し、一番奥の部屋。表札には何も書かれていない。僕と森さんの暮らす部屋だ。    「森さん?」    玄関に入り、室内に向けて声をかける。返事は無いが、居間の電気がついていて、そこからうー、うーと唸る声が聞こえる。  ダイニングの食卓の...
  • 未来
    ハルヒの力が失われて数日が経ったある日、朝比奈さんが自分の時代に帰る事になった。 昼間の内に俺以外のメンバーと別れを済ませ、今二人っきりで夜の部室に居る。 「キョン君、本当にお世話になりました。私、いっつもドジで迷惑掛けてばっかりでしたね」   「そんな事無いですよ朝比奈さん。あなたのお陰で毎日楽しかったですよ」   「えへへ、そう言ってもらえると何か照れちゃいますね。最後に褒めてもらえて嬉しいです」   「もう、絶対に会えないんですか?」   「えぇ、もう会う事は無いと思います。だから、最後に1つだけお願い事してもいいですか?」   「いいですよ。何でも言って下さい」   「じゃあ、お言葉に甘えて。私の事「みくる」って呼んで下さい」   「分かりました。えーっと、み、みくる?」   「はい、何ですか?」   「呼んでみただけです」   「もぉ、私の事バカにしてるでしょ!?」 いつかの様に...
  • 涼宮ハルヒの消失ー長門有希の憂鬱
    私は情報思念体が作り出した対有機生命体用インターフェースのひとつである。 太陽系、と本人たちによって呼ばれる辺境の惑星系の第三惑星に発生した有機生命体のなかに、全宇宙の中でもユニークな一個体が発生した。 そしてそれは進化の袋小路に閉じ込められた情報思念体になんらかの脱出口となる要素を抽出できる可能性がある、と判断された。 単体という概念を持たず、いかなる光学的手段を持っても不可視である情報思念体にとって、一地球人固体を観察し、必要ならば彼らの言語による意思疎通を可能にするインターフェースが不可欠であることから作られたものの一体である。 同時に作られたバックアップと比べて、私というインターフェースは一見して他のインターフェースとは際立った地球人的な「個性」が与えられている。 そう。被観察者涼宮ハルヒによって、私に必要とされた属性。 極端な無口、非情動的で非社交的なキャラクター。 彼女にと...
  • 「涼宮ハルヒのビックリ」第五章α‐10 β‐10
    α‐10  午後の授業中、俺は考えていた。入団試験を受けた結果、新一年生は全員合格、俺だけ不合格になったらたまったもんじゃないしな。SOS団の活動内容を思い出せば簡単に解けるか・・・SOS団が設立されて役一年たつ。一般人にはありえないことがたくさんあったな。季節が変わるのも早し、こんな風に考える俺も年を取ったもんだ。  ようやく授業が終わり部室へと向かった。試験の前に早く朝比奈印のお茶を頂きたいもんだ。二、三杯飲めば頭もすっきりするはずさ。朝比奈さんにも事情を話せば快く向かいいれてくれるに違いない。そう思いながら部室の前に着きノックすると、中からは困惑したような声で迎えてくれた。  「キョンく~ん・・・」  朝比奈さんどうしたんですか。ドアを閉め中に入ると、  「テーブルの上に変なものが置いてあるんです。あの・・・長門さんに聞いたら来たときにはもう置いてあったって・・...
  • 【罪と罰】番外編/長門有希の幸福
    「…んぅ…」 彼の手が、わたしの髪をそっと梳くように撫でる。思わず声が漏れる。 片腕は背中に回されたまま。背中にかかる優しい圧力が、少しくすぐったい。 「有希…」 耳に届く、彼の囁くような声。 抱き締められたまま名前を呼ばれると、それだけでわたしの身体はぞくぞくする感覚に支配される。 彼に呼ばれたことが嬉しくて、頭を彼の胸に軽く押し付ける。 こんなにも彼に甘えることができるなんて、少し前だったら考えもしなかったこと。 ヒトの感じる幸福というものが何なのか、今ならば理解できる気がする。 「有希、俺のこと好きか?」 彼の言葉にわたしは顔を上げる。意地悪そうな笑み。 本来なら訊くまでもないこと。答えなど分かりきっているはずだから。 でも、わたしは知っているのだ。これが彼を喜ばせる為の一つの手段であるということを。だから、わたしは言う。 「…好き」 声が震える。昔のわたしなら感じるはずのなかったも...
  • あらしのよるに
    暴風のせいでがたがたと不規則に鳴るサッシに目を向ける。カーテンを閉める前に確認した限り、帰宅した夕方にくらべてずいぶん風も雨も強くなっていた。 台風が近づいているせいで天気が不安定になっているらしい。 こういう日には、閉鎖空間には発生して欲しくないと特別強く思ってしまう。 暴風雨の吹き荒れる夜と、あの空間の中の色はとてもよく似ているから尚更。 ああ、でも最近はずいぶん閉鎖空間の発生頻度も規模もおさまってきている。 良い傾向だ。 軽く頭を振って思考を切り替え、数学の予習をしようと教科書とノートをひらいた時、時計がわりに手元においてあった携帯電話が着信を伝えた。 短いメロディが五秒間だけ流れて止まる。メールだ。 閉鎖空間の発生は感知されていないし、そもそも機関からの連絡は電話で来るのが常だったし確実なはず。 涼宮さんがまたなにか思いつきでもしたのだろうか。それとも、彼がなにか悩み事でも相談しよ...
  • テキサスシュール勃起物語
     むっかしーむかしー古泉はー 古泉「おや、女の子がいじめられていますね」  彼の名前は古泉一樹。しがないサラリーマンエスパーだ。  そんな彼は晴れやかな天気の今日、獲物を求めて海岸を歩いていた。  日本海が似合う渋い男を物色していたのである。  しかし見つけたのは、数名のガキにいじめられている女の子だった。  無視しよう。  ていうか、ガキの男の子の方を攫ってしまおう、フヒヒ!  そう考えた古泉でしたが、やはり女の子を助けてあげることにしました。  たまには人助けもいいでしょう。  最近大根で色々と懲りていた彼は、なけなしの善意を振り絞ったのです。 古泉「おい、ガキ。やめないと俺のバルカン砲が火を噴くぞ」  アナルをガキに向けてドスの聞いた声をだします。  バルカンの弾はウンコです。  これを食らえば、スカトローンな人以外はひとたまりもありません。 ガキ「わぁー! ほんまもんの変...
  • 長門有希の憂鬱II 一章
    一 章      Illustration どこここ    そろそろ梅でも咲こうかというのに、いっこうに気温が上がらない。上がらないどころか意表をついたように雪を降らせる気まぐれの低気圧も、シャミセン並みに寒がりの俺をいじめたくてしょうがないようだ。朝目覚ましが鳴ると、いっそのこと学校を休んでしまおうかと考えるのが日課になっている。俺は窒息しそうなくらいにマフラーをぐるぐる巻きにして家を出た。    結果はともあれ本命も滑り止めも無事に受験が終わって、学校では三年生をほとんど見かけなくなった。生徒の三分の一がいなくなり、校舎の一部がガランとして静まり返っている。一年生も二年生も残すところ、憂鬱な期末試験だけだ。三年生でも朝比奈さんだけは、SOS団のためにまじめに通ってきているようだが。    その日の朝、教室に入ると俺の席の後ろで机につっぷしているやつがいた。ハルヒが珍しくふさぎこん...
  • 長門さん、へい!
    「!?」   突然だが俺は全国の山という山の全てが噴火して日本中がマグマに包まれたことを思わせるくらいに驚いていた 声に出ない驚き――― というよりも声に出せないと言ったほうが正しいだろう       灰色一色の閉鎖空間なる不気味世界や消えたはずの朝倉が戻ってきたりと驚くべき出来事は山のようにあった       それをも越えた、俺を現在進行形で仰天させている出来事が今、俺の前で発生しているわけだが       まさかあの無口で無表情かつ無感動な宇宙人がこんな行為に出るとは・・・       認めたくはないが俺の所為であることは明白だ     いやしかし俺は冗談のつもりだったんだがな     まさか本気で受け取るとは思わなかった         恐らくあの一言が全ての始まりになってしまったのだろう・・・         今日はいつもとは違い、部室には俺と長門しか居なかった     朝比奈さ...
  • 鶴屋さんと古泉
    「ここはカメラ屋……というよりも写真屋ですか」 文芸部部室から半ば強引に連れ出された古泉一樹がたどり着いた場所は、大手のカメラ メーカーが運営を委託しているような店とは違い、建物の造りも古風な個人経営の写真屋 だった。   店先に飾られた人物写真や風景写真は、店主の写真好きが高じて店を開いた……そんな 雰囲気が漂っている。今ではひとつの街に一件あるかないかというその場所に彼を連れて 来たのは──SOS団のメンバーではなかった。   「さっすが古泉くんっ! いやぁ~、物わかりがよくて助かるよっ!」   はっはっはーっと笑いながら、こんなところまで古泉を連れてきた張本人の鶴屋は、い つものハイテンションを維持したまま、「じゃっ、行くよーっ」と宣言して写真屋の中に 突撃していった。   鶴屋がこの店にどんな用事があるのか、いまだに分からない。そもそもどうして自分が ここへ連れてこられたのかさえも...
  • 涼宮ハルヒ無題3
    無限の命を刻んだ永遠の時間 宇宙に無数に存在する惑星 その中の一つに過ぎないこの星に生まれた命 何億と生きる人間の中の一つの私 なんのためにこの星に生まれたのか なんのためにこうして生きているのか   誰もその答えを知らない   ふと怖くなり顔を上げる   放課後の部室 誰もいない静寂   無数に存在する命 しかし私を知っているのはそのわずか   怖くなる   孤独? 恐怖?   心が痛い とても苦しい   私は、サミシイ   まるで自分が世界に取り残されたような感覚 誰一人私を必要としていない   ―――――ヤダ!   なんで誰もいないの? キョン?有希?みくるちゃん?古泉くん?   部室のドアに手をかける しかしそれは開かない   ドアは開かない   なんで? ここから出して! ここから出たいの!   助けて! 私はここよ?   誰か!   キョン!   ―――――カタン   ふと...
  • ふたり ~1 平日の寂しさ~
    ~1 平日の寂しさ~ 「ただいまー……」  誰もいない部屋にこだまするあたしの声。キョンはまだ帰ってないみたい。  まったく何処に寄り道してんのよ、あたしというものがありながら。  今日のご飯当番はあいつだから作る気にもなんない。っていうかキョンがいないとご飯の準備なんてする気にならないわよ。  早く帰って来なさいよ、バカ……。  いや、まさかこいつが来るとは思わなかったぜ。大学の正門で待ち構えて、よくハルヒに会わなかったな。 「骨が折れましたよ。涼宮さんから隠れつつあなたを探すのはね」  そう、超能力野郎が俺の目の前にいる。進学先も引っ越し先も教えてなかったのにな。 「進学先だけは学校で聞けましたよ。引っ越し先は未だにわかりません。涼宮さんの力で調べられなくてね」 「どういうことだ?」 「あなた達が二人で住んでいるのは知っています。その生活を誰にも邪魔されたくないと願っているんで...
  • 「ほ か ろ ん」
    文字サイズ小でうまく表示されると思います    寒さを気にしない子供ですら家路を急いでしまう、そんな冷たい風が吹き抜けるとある秋の日の夕方。  人影途絶えたはずの公園の一角に、何故か行列を作っている10人ほどの集団とその先頭に駐車されて いる一台の改造軽トラ。  その行列に居る誰もに共通している事は、くそ寒い中で何かを待っているというのに笑顔だという事。  等と言っている俺も、この車から流れる伸び切ったテープの音声で呼び寄せられた一人だったりする んだけどな。 「はいおまちどうさん」  新聞紙に包まれたサツマイモを受け取り、包みから伝わる暖かさと耐え難い甘い香りに笑顔を溢れん ばかりにしてまた一人、また一人と去っていく。  つまるところ、俺は石焼き芋の移動販売に並んでいる訳だ。  妹の超人的な聴覚によって察知されたこの販売車、日に100本限定という販売数とその味の良さで 町内では絶大な人...
  • 長門有希の消失 第二章
    第二章   夢を見た。  実はわたしの場合、夢にもいろいろな区分があって、まったく意味不明なもの、何か心当たりがある内容のもの、長く頭に残るものなどがある。どのような条件が揃うとどんな夢を見るのか、まだわたしには解らない。ひとつ言えることは、どの夢にも何かしら種類分けができそうな要素が含まれているということだった。  ところが、わたしが今日見た夢はそれらのどこにも属さなかった。わたしは目を覚ましたとき今までいた空間が夢の中だったことに気づいたが、しかしよく考えるうちにそれが夢だったと言い切れるだけの証拠がないことが解った。混沌さ、夢の中の会話、起きたときの感覚。どれをとってもわたしが今まで見てきた夢とは異なるものだった。だから正確に言うと、これは夢ではないのだ。  わたしが夢の中で眠りから醒めたとき、目の前には黒い空間がはてしなく広がっていた。上も下も横も、すべてが黒。その黒がどん...
  • 最終章『ただいまっ!』
    最終章『ただいまっ!』        冷たい雨の雫があたしの身体から体温と血の気を奪っていく。  この雨じゃベガとアルタイルのラブシーンも一年繰り越しになりそうね。 「キョン、ただいま」  右手には黒い傘。  左手には白い花。  日本の伝統に沿った墓参りルックで、墓石に話しかけた。        あの悪夢のような世界から生還を果たした後、あたしはキョンのアパートで目を覚ました。  悪夢だけに夢オチなんて都合の良い展開を期待していなかったと言えば嘘になる。  だが、そんな陳腐でチープな映画のエンドロール流されるようなありきたりな三流ハッピーエンドへの期待は、目が覚めて三秒で崩れ落ちた。    キョンは硬く冷たいフローリングの木目の上で、しっかりと「死んでいた」。    判決は裁判官と裁判員、満場一致で当然有罪。  ま、ここまで来たら逃げも隠れもしないわよ。あたしについた国選弁護士の忠告には耳...
  • もしもハルヒがゲームだったら
    (これは涼宮ハルヒの憂鬱を 格闘ゲーム化したら どんなふうになるのかを 予想したもの・・。)     キョン -KYON- 「投げつけ」  【↑+A】 「叩きつけ」   【↓+A】 「空中蹴り」  【↑+↑+B】 「カウンター」  【←+B】 注意「技はゲージがMAX時しか使用不可能」 ━技名「蹴り殴キョンキョン」━ 「蹴り」     【B】 「2回蹴り」   【B+A】 「+強パンチ」 【↓】 みくる     -MIKURU- 「みくるビーム」 【→+A】 「チェーンソー」 【接近して ↓+B】 「熱湯茶こぼし」 【→+B】 「エアガン発砲」 【B (連続押しで連発)】 「包丁切りつけ」.【B+A 同時押し】 ───技─── ━鉄パイプ刺し━ (ゲージMAX時) 通常に腹に刺す  【A】 顔に刺す       【+B】 即死刺し       【↓+A の後 →+B】 出現方法 「ハ...
  • やる気のない長門有希
    ………   眠れない…。   これで何度目になるだろう、静寂のなか薄暗い部屋で、彼が眠っていた布団に包まれ、目を閉じる……。 しかし、瞼の裏には記憶が映しだされ、彼の顔が画面いっぱいに広がる。   なぜだろう?気が付くと、彼のことばっかり考えている。 これはエラーなのだろうか? なぜこんなにも私の睡眠機能を妨害されるのだろう。 そんなことを考えていると、いつのまにか眠ってしまったようだ。   「ふふふ。長門さん、好きなんでしょ、彼のこと」 好き…?たぶん違うと思う……。 「そう、まあそのうち分かるわよ。自分の気持ちに…」   朝。太陽の光がカーテンの無い窓からさしこんできて目を覚ます。 今日は、不思議探索の日ということで軽く朝食をとり、家を出る。 着替える必要はない、いつもの制服で十分だ。 でも、私服で行ったら彼が喜ぶかな……。 いけない、またエラーだ。   集合時間15分前、いつもの駅前...
  • クラス会-既成事実編
    ほらキョン、あと少しよ、ほら。 まったくキョンは重いわね、男の子だからしょうがないけど。 「……なぁハルヒ知ってるか、シャミセンは……シャミセンはなぁ……」 はいはいシャミセンは立派なニャン公なんでしょ、さっきも聞いたわよ。 ほらついたわよ、横になってなさい…ってもう寝てるわね、酔っ払いは全く……。 ……それにしても相変わらずの間抜けな寝顔ね……。 あっそうだ一応家に電話しとかないと。   もしもし、ママ? 「あらハルヒどうしたの、キョン君と一緒なら連絡はいらないわよ、彼なら安心だし。それとも迎えに来て欲しいの? キョン君にふられちゃった?」 はぁ?! 何いってんのよ、今日はクラス会でしょ、これからみんなでカラオケ行ってオールするから帰らないって連絡よ。 「ホントにみんなと一緒なの? キョン君と二人っきりじゃないの?」 ……いっ意外に鋭いわね…… そっそんなのあるわけないじゃない、...
  • 笑顔の向く先
     えっと……ど、どうしよう……。  わたしは今、涼宮さんに押し倒された状態で部室にいます。もちろん、二人きり。 「もう、いや……」  そして、涼宮さんは泣いてます。どうしたらいいのか、わたしはわからない。  ……なんでこんなことになっちゃったのかなぁ?  わたしの知ってる未来は、SOS団はみんな幸せそうに暮らしていた。  キョンくんは涼宮さんと、わたし達3人はそれぞれ幸せを見つけていた。  ……でも、それが変わっちゃったのが三日前だった。 「悪い、ハルヒ。お前とは付き合えない」  嫌だけど監視・盗聴をしてた涼宮さんの告白シーンで、キョンくんはそう言った。 「そ、そう。……なんで? あたしのこと、嫌い?」 「嫌いじゃないけどな。好きでもない……って訳じゃないが、俺が中途半端な気持ちじゃ付き合いたくないんだ」 ――つまり、友達のままで――  それがキョンくんの出した結論だった。  もちろん...
  • 涼宮ジョジョの奇妙な憂鬱
    その日、俺は面倒臭い掃除当番という激務をこなしてから部室に向かった。 この俺が部室にいなかった30分の間に、コトは始まっていたのだと考えるのが妥当だと思われる。 詳しい日時は知ったことじゃないが、俺は既に罠にはまっていたのだ。       ガチャリ 「お、今日はもう全員揃っているのか」 「遅いわよキョン! もう活動は始まってるんだからね!」 俺が部室に入った時、古泉はトランプでソリティアを遊び、 長門はいつも通りの位置で本を読み、朝比奈さんはちょうどお茶を淹れようとしていた所だった。 ハルヒは団長席にどっかり腰を据えてパソコンをいじっていたりする。 俺はそのまま適当なパイプ椅子に座り、ハルヒが変なことを何か言い出してやしないか、表情を横目で確認したりした。 そう、ここまでは普通だったのだ。 長門は相変わらずの無表情だったが、朝比奈さんも古泉もそれまでは普通に微笑んでいた。 ハルヒも...
  • しん・せかいに君と
       人払いを終えた、淀んだ茜色に染まった部室で、俺はある作業に勤しんでいた。 パソコンのソフトを呼び出し、ディスクトレイに部長氏から託されたそれを乗せる。トレイがディスクを飲み込み、少し耳障りな音と共に読み込みが始まる。 念のため、カーテンも閉めるべきだろうか。いや、外からは俺が見ようとしている物までは見えないはずだ。そんな事をしても、かえって怪しまれるだけだろう。 「おっと」 カバンからイヤホンを取り出し、パソコン背面の端子に接続して、画面上で適当な音量に調節する。危ないところだった。椅子に改めて座りなおすと同時に、ディスクに記録されていた動画が再生された。 俺が何を見ようとしているのか。考察する理由など微塵も無い。画面を一目見れば、俺がこうして臆病なまでに周到になっている理由がわかるはずだ。 何のことは無い。ただのAVだ。 前日の事である。 部活動と言っても差し支えがありまくりの...
  • 涼宮ハルヒの切望Ⅱ
    涼宮ハルヒの切望Ⅱ―side H―  キョンが欠席した翌日。  今日もあいつは欠席していた。  ただ何かが違う。  岡部は今日も「家の都合」って言った。  でも詳細は教えなかったんだから。  よく考えたら昨日はあたしも頭に血が上っていたのか、もう一つ欠席表現としての言葉を思い出した。  もし親戚に不幸があったなら『忌引き』って言うはずよ。  それが無かったということは答えは一つしかない。  と言っても、まだこれは憶測の域を出てないから軽はずみなことは言えないんだけどね。  あたしの昨日までの怒りは完全に収まってたわ。  ううん。そんな状況じゃなくなった気がする。  そんな疑心暗鬼のまま、一日は過ぎ去り、そして放課後。  あたしはいつものように部室へと向かう。隣にあいつがいないことになんとなく隙間風を感じてしまっていることは自覚しているわ。  んで否定する気もない。  そりゃそうでしょ?...
  • 有希、無音、教室にて。
    冬休みも明けて、数週間が経った。 実力テストという忌ま忌ましい魔物から命からがら逃れた俺は、久々に平凡なる毎日を送っていた。 今日という日も、その例外に漏れずこれといった事件や異変などは起こらなかった。 空はすっかり夕時にさしかかっていて、少し積もった雪が茜色に染まっている。 あの急な坂道をここから上りきったら、赤い屋根が目印の我が家に到着するであろう。 ほとんど淀みない動作で靴箱から靴を取り出す俺の足元に、一通の手紙が落ちてきた。 「  今日の放課後 1年5組教室にて待つ                     長門有希  」 特徴のない、機械的な文字でそれは書かれていた。 ……おかしい。いつもの長門なら、まずこんなことはしないだろう。 4月のあの日のように、あいつは本に挟んだ栞を使うはずだからだ。 といって、ほかに誰がこの手紙を書いたのかと問われると、とんと考え付かない。 以前朝倉...
  • 雪色マフラー
      「有希、17回目の誕生日おめでとーっ!!!」  もうお馴染みの高級マンションの708号室、すなわち長門の部屋に集結した一同の歓喜の声援が飛び交う。良かったな、長門。  しかしハルヒ、17回目というのは大幅に間違っているぞ。長門の歳は余裕で3桁代に突入しているぜ、あの無限ループオブ8月によってな。ん? 8月オブ無限ループの方が正しいのか? どっちでもいいや。 「……ありがとう。」  頬にポツンと可愛らしい朱の色を浮かべて照れくさそうに話す長門は、正直ヤバかった。こんな長門を創造した情報ナントカも捨てたもんじゃないな。いや、尊敬の位に値するぜ!  いつもは殺風景なこの部屋も、今日はハルヒよろしく数々のドがつくほど派手な装飾品で飾られている。目がチカチカするぞ。  ああ、説明が遅れたが今日は11月18日。長門の誕生日……ってことらしい。有機アンドロイド――正直長門をアンドロイド扱いになん...
  • 始めて君のパンツを見た
    409 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/12/27(土) 17 59 16.42 ID M6zBdJYqO [sage]  なるほど…あったら嫌なエロいキョン      文化祭でハルヒの演奏を見ていて俺はある事に気付いた。  ドラムの岡島瑞樹先輩。そのスカートの中が…中が、見える!!  白いパンツが! 見える、見えるぞララァ! 私にも白が見える!!  一気に集まる血液at股間。凝縮するエネルギー。  広がる妄想! 無限の宇宙のような白いパンツ!!  あぁ、美しい…美しいぞ!!    ありがとう神様!  ありがとう岡島先輩!    今晩はおかずに困らないぜ!! ヤタ━━━━━━ヽ(゜∀゜)ノ━━━━━━!!    そして演奏が終わり、文化祭も終わったころ、俺は岡島先輩に呼び出された。 「ねぇ、ずっと見てたでしょ?」  照れながら言われ、そして        ―――...
  • 長門有希の憂鬱IV 六章
      六 章 Illustration どこここ    頼んでいたマリッジリングができたという連絡が入り、俺と長門は受け取りに行った。当然だが俺が長門のをもらい、長門が俺のを預かる。こっそり蓋を開けてみたがポツリと埋め込まれた小粒のダイヤがなかなかにかわいい。リングの裏側には長門デザインの宇宙文字の半分が刻まれている。これが俺たちの絆になるんだよなあ。  招待客のピックアップだけして、会場と衣装の用意はハルヒが一式任せろというので放っておいた。長門の招待客リストを見ると俺とほとんど被っていて、うちの社員とハカセくん、機関の顔見知り、トータルで二十人にも満たない。 「俺たちの知り合いって、数えてみると意外に少ないんだな」 「……そう」 「じゃあ高校のときの同級生なんかも呼ぶか」 「……いい」 頭数といっちゃ失礼かもしれないが、式場と披露宴会場を埋めるために阪中に頼んで同窓生名簿を...
  • 幻惑小説 エピローグ
      ◆◆◆◆◆    長門がこの空間の消去を承諾してくれ、俺たちは光に包まれながら元の世界へ戻った。 「……! キョンくん!」 「長門さんも……!」 「皆さん……待っていてくれたんですか。」 「もちろんです。」 「キョンくん、長門さん……戻ってきてくれてありがとう。」 「長門さん……無事で、本当に良かった……」 「……喜緑江美里……」  喜緑さんが無言で長門を抱きしめる。涙腺の崩壊を誘いそうなツーショットだ。 「やはりあなたなら、大丈夫だと思っていましたよ。」 「なんとか……だったがな。」 「我々は一度ならず二度までもあなたにこの世界を助けてもらいました。本当に感謝しています。」  俺はこのまま閉鎖空間が増え続けると世界は全て閉鎖空間に侵されてしまうことを説明された。またそんな大層なことをやってのけちまったのか。 「……さあ、涼宮さんがお目覚めになる前にわたしたちは帰りましょう、新川。」 ...
  • 初冬の月夜
    遠くの幹線道路を、1台の車が滑っていく音がした。一瞬だけ夜の空気を震わせ、再び訪れる静寂。静寂。 時刻は午前3時半。 かれこれ何時間こうやって横たわっているかわからないが、どうにも今夜は眠れない。 何度か姿勢を替え、そのたびに今度こそとしばらく目を閉じてみるものの、頭の中はいまの季節の夜空のように冴えきっている。 たまたま買っておいた未読の小説も、読み始めて間もなく肌に合わないことに気づき、栞を挟むこともなく閉じてしまった。 俺はとうとう目元に腕を当て、はあ、と大きな溜息をついた。 やめておけばいいのに。 少しでも音を出したり体に刺激を与えれば、それだけ眠れなくなるのは当然なのだ。 うっすらと目を開くと、拡がった瞳孔にも眩しすぎない程度の蒼く涼しい光が、窓辺を照らしているのがわかった。 カーテンの隙間から、その一部が部屋に侵入している。 雲ひとつない夜空にひんやりと浮かぶのは、下弦の月。...
  • 長門有希の報告Extra.3
    Extra.3 長門有希の夢想 ~Report.07 追加報告~  Report.07の夜に見た、夢の内容を報告する。  この夢を見る以前に、『彼』の夢の内容を聞いていたため、その記憶が影響して、内容の一部がその夢と酷似している。  夢の内容は、自分が経験したものの中で特に印象深いものが反映される傾向にある。つまり、わたしが『彼』から聞いた夢の内容が、わたしにとって非常に印象深いものであったことを意味する。これは換言すると、わたしの『願望』が現れていると解釈できるかもしれない。  ただし、その点について、わたしはコメントできない。したくないから。  涼宮ハルヒが自らの力を自覚した。彼女はすべてを受け入れる覚悟を完了した。  SOS団員は、それぞれその正体を明かす。  朝比奈みくるは、未来を固定するためにやってきた、未来人。  古泉一樹は、涼宮ハルヒの作り出す閉鎖空間に対処する、超能力...
  • エピローグ~否定~
      (これは、無限の分岐の続きであり、アンリミテッドブレイドワークスの終章です)       ―――っ出来ない…! いくらハルヒがいたとしても、やっぱり俺は人の命と引き換えに生き返ることは出来ない。 「…やっぱり、生き返れない」 「…!」 俺の言葉に、後ろの女は驚いたようだった。 「…何故?涼宮ハルヒのことはいいの?」 焦るように、俺に尋ねる。 「…確かに、ハルヒのことは心残りだ。でもやっぱり…俺は人の変わりに生き返るなんてのはごめんだ」 「………」 「…ハルヒには悪いと思う。…でも、あいつは俺が惚れるくらい美人だ。きっと、俺より良い男と幸せになってくれるさ」 「…そう」 「ああ」 俺がそう言うと、後ろの女は抱きつくのをやめた。 「では…私は現実世界に戻る。…40年後、また逢えることを祈っている」 「ああ判ったよ。名も忘れちまった誰かさん」             キョンが入院してからもう...
  • 「喧騒」
    文字サイズ小でうまく表示されると思います    その場所は、とても静かな場所だった。  初めて私がその場所に来た時、数ヶ月間誰もその場所には誰も立ち入った事が無かったらしく 床もテーブルも埃に覆われていて空気は濁っていた。  以前、この星の人間はその様な場所で過ごす事をよしとしない考えを持つ者が大多数を占めて いると、バックアップのインターフェースから聞いた事がある。  ならば私がこの場所で長時間過ごす事になるのならば、まずは清掃をしなければならないはず。  幸い、部屋の片隅に置かれていた掃除道具入れの中にはちゃんと箒やちりとり、雑巾といった 基本的な清掃道具は揃っていた。  これならば目的達成は可能。  用具入れの中、一番手前にあった箒を手に取り、私はその場所へと向き直る。  ――数十分後。  誰かが入口の扉を軽い力で叩く音が聞こえてくる。  それにしてもこの部屋は密室だったはず、どう...
  • 幻惑小説 第一頁
      ◆◆◆◆◆    萎れた木々からポツポツと零れていた紅葉も全て抜け落ち、あと一ヶ月もするとクリスマスの予定を立て始める様々なカップルや、慌しくケーキをせっせと用意する店が増え、それに加え街はネオンの光に包まれる頃合いになるだろう。  だが所詮一ヶ月後の話であって、平々凡々と高校生活を真っ当――超が付くほど非常識ではあるが――している俺にはクリスマスの日に愛する女のために尽くすことも、ましてやケーキを作る……なんてことは地球がひっくり返っても有り得ないことだ。  俺の予想としては、時事イベントをことあるごとに制覇していく我等が団長さんか、はたまた冷静でスカした性格とハンサムフェイスを併せ持つ超能力者さんのどちらかが頼んでもいないのにどんどん面倒ごとを持ち出して来るから、イヴの日もイエスさんの誕生日も俺はそれらを消化していかなければならない使命にあるだろうね。  今頃いつかの喜緑さん...
  • 銀河SOS伝説~射手座の光芒~序章
    時は移り、所は変われど、人類の営みには何ら変わることはない。      ――宇宙暦1898年、五世紀に及ぶ平和な治世と、それに続く三世紀に及ぶ堕落した治世で、腐敗しきった天の川銀河統一政府はついにその政治的求心力を失い、崩壊した。 統一政府崩壊後、連邦という錆びた鎖から解き放たれた旧統一政府領各地の星系政府や宇宙艦隊駐屯地は、好き勝手に独立を宣言し、単一色だった天の川銀河の地図を鮮やかなモザイク画へと書き換えた。 正確な記録は残っていないが、信用するに値する説によれば、七月七日二十二時四十三分に首都星プレトリアがテロリストの仕掛けた反物質爆弾で消滅した後、たった二十四時間で大小500以上の勢力が天の川銀河内に乱立したそうだ。その年の四月に実施された最後の国内調査では天の川銀河内の総星系自治体数は533とされていたから、これはほぼ全ての星系が独立を宣言したとみてよい。 後に、天...
  • 蜃気楼
    「あ、こんにちは、キョンくん」 俺の愛しの天使様、朝比奈みくるさんが今日も部室で出迎えてくれた。 俺はいつも言い過ぎとも言える表現で朝比奈さんを比喩するが、あながち言い過ぎとは言えない。 何故なら……俺は、完全に心奪われていたからだ。 あれは先週だったか?SOS団全員が俺の家に来たときだった。 ゲームに夢中になってる奴等から少し離れて、シャミセンと戯れる朝比奈さんの笑顔を見た時に俺は恋に落ちた。 穏やかで、かわいくて、それでいて守りたくなるような笑顔に俺は完全に惹かれたのさ。 ともかく、俺はいつものようにお茶をもらった。 今まではそんなに気にしていなかった距離、今じゃお茶を受け渡す距離でさえ俺の鼓動は早くなる。 本気で恋に落ちたのは初めてだ……。それを悟られないようにするのも一苦労なんだな。片思いの奴の気持ちがよくわかるぜ。 「あの……お茶、美味しくなかったですか?」 とても不安げな表情で...
  • 涼宮ハルヒの遡及Ⅵ
    涼宮ハルヒの遡及Ⅵ     「ちょっとキョン! 何がどうなったのよ!?」 「んなこと俺が知るか! と言うかこの状況を何とかしないと冷静に考えられるわけないだろ!」  などと大声で叫び合う俺たちの周囲は、巨大なバッタの大群に囲まれてしまっていて逃げ道もねえ!  しかし、こいつらの俺たちの見る目は食料としてではない。まあそれは当然だな。バッタは草食だ。肉には興味がないはずだ。  もっとも、だからと言って俺たちのことを見逃してくれるような気は毛頭無さそうで、明らかにその複眼は敵意で満ちている。 「どうやって切り抜けるのよ……?」 「俺も教えてほしいくらいだ……」  くそ……古泉たちはどこに行っちまいやがったんだ……?  妙な緊張感が場を支配する。ただし、少しでも動きを見せようものなら、あっという間にその沈黙は破られ、これだけの巨体でしかもバッタの習性が失われていないとするならば、間違いなくその脚...
  • 七夕シンドローム 第三章
     翌日、改変されてから三日目。今朝の俺の目覚めは昨日以上に最悪だった。  布団を上げるとその上で眠っていたらしいシャミセンがごろんと転がる。それでも起きないとは、何という神経の図太さだろう。ああ、いっそ俺も猫になりたい。そんな投げやりな願望をぼんやりと頭に浮かべながら、俺はベッドから降りた。  暑さは昨日より大分収まっていた。生温い空気が辺りを包んでいる。ここ最近の睡眠不足で足に力が入らず、いつもより坂が急なように錯覚してしまう程だ。足も頭も、気分も重い。そのまま地面にめり込んでしまいそうだ。  教室の入り口で、俺は固まった。なんてことはない。教室の窓際、一番後ろの席にハルヒが座っていたからだ。途端に昨日のあの光景が甦る。俺は今すぐここから逃げ出したい気分になったが、それを堪えて自分の席に向かう。逃げれば、恐らく元の世界を取り戻す手掛かりは見つけられない。もう二度とこの改変世界を元に戻...
  • 切ない同窓会
     北高第○期生同窓会は、全クラスを集めて盛大に執り行われていた。  会場は、北高に近いホテルの宴会会場だった。  実態としては、大人になった当時の生徒たちが飲んで食べて騒いでいるだけだ。こういう行事は堅苦しくやるものではない。   「キョン。さっさと注ぎなさい」 「へいへい、団長様」  涼宮ハルヒのコップに、キョンが日本酒を注ぐ。  そんな様子に、谷口がちゃちゃを入れてきた。 「おお、キョン。相変わらず尻に敷かれてるな。ところで、おまえらどこまで行ったんだ?」 「ハルヒとはそんな関係じゃねぇよ。何度言ったら分かるんだ」 「おいおい。いっつもつるんでて、それはないだろ。本当のこと言えよ」 「あのなぁ……」  キョンがさらに言い募ろうとしたときに、涼宮ハルヒが大声で割って入った。   「フラれたわ!」    盛り上がっていた会場が一気に静寂に包まれた。  その場のほぼ全員の視線が二人に集中した...
  • こころここにあらず
    情報の渦。 【わたし】は【わたしたち】と共にここにいる。   ――全ては終ったこと。涼宮ハルヒはただの人間になった。   そう、涼宮ハルヒが持っていた能力は全て消えた。   ――彼女はもう、観測対象ではない。   そう、価値は無い。観測する意味を見出せない。   でも、わたしのわたしが感じられないわたしの奥の部分に、残るわずかな感じ。   ――【わたしたち】は情報であり、『奥』などといった概念は無い。   情報と名のつくあらゆるものを知るのがわたしたち。   でも。   ――帰りたい?   その疑問を持つことが無意味。【わたし】は【わたしたち】でもあるのだから。   もう全ては終っている。   ――でも、帰りたい?   帰るというのは不適切。【わたし】の存在すべき場所はここ。   ――全ては終った。情報は書き換えられた。彼らの記憶から、【わたし】は最初から存在しない。   …。   ――帰...
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