涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki内検索 / 「秘密の音色」で検索した結果

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  • 秘密の音色
    ...することを許された、秘密の音色。  ****  夏休みも明け、さあ新学期だとそれなりに新鮮な気持ちで登校したその日、ハルヒはいきなり 「今日から文化祭に向けてバンドの練習よ!」  と言って、軽音楽部から楽器を調達し、放送部から放送室を奪い、俺達SOS団は楽器の練習をする羽目になった。  本当、いきなりだよな。  まあ、練習自体は去年も一応やっているし、バンド活動に打ち込んでいるおかげで他の面倒なことに巻き込まれる無くて済むって言うんなら、それはそれで悪くない。  去年の時みたいにおかしなものが発生する可能性が無いわけでもないが、とりあえず、起きる前からそんなことを心配しても仕方が無いしな。  そうして俺達は、もしもの場合のことを頭の片隅に置きながらも、去年の暮れの頃と同じように、楽器の練習に打ち込むこととなった。  異変が起きたのは、一週間ほど経ったあたりのことだ。 「ねえ...
  • 長編・古泉一樹
    ... 【K.B.F.】 秘密の音色 若葉の頃 新米保父さん一樹は大童 古泉一樹の私情 小さな、親切 Kiss&Kiss 魔法少女フェアリーユキ 刹那主義 赤ク染マル こいずみくん一斉大売り尽くし そらをとぶこいずみくん 『僕』の覚醒 届かぬ想い 古泉一樹の災難 桃色空間奮闘日記 僕は誰だろう 僕と森さんと時々2ch 夏の少女 教科書文通 うそつきの本音 闇に降る雨 笑顔は癖のような感じですよ 一夏の恋 あらしのよるに 恋愛相談 遊園地と花火 それぞれの愛のかたち 古泉一樹の消失 ゲ泉記 スノーホワイト・レクイエム 私の選んだ人(古森)リスト 2月14日の出来事 3月14日の出来事 古泉一樹の約束 買い物日和 killing me セイブザ・クイーン 違う!恐くない!(古泉×長門) 古泉一樹の休日 紫の髪の女の子  古泉一樹の告白 キャンバス 一つの野心、一つの決意 一本の樹 夢見...
  • WC
     俺には密かな楽しみがあった。     ◇ ◇ WC ◇ ◇      学校の、体育館のそばの男子トイレは普段あまり使われていない。  まあ、あれだ。世の男子諸君ならわかると思う。用を足す時はなるべく人目のつかないような場所でしたいもんだ。特に思春期真っ盛りともなるとこの類の悩みは、誰もが一度は経験した事がある思う。  まあそんな事は今どうでも良い。  ある休み時間に俺はその場所に来た、そしてふと、どこにでもあるような落書きが目に留まった。 『ここは僕の秘密の場所なんだ』  秘密の場所とはよく言ったもんだ。  なんとなしに気になったその落書きに、これまたなんとなしに、 『使わせてもらったぞ』  とか、書いてみたりした。  特にこれといった理由は無い、気まぐれと言うやつか、それとも秘密を共有できるささやかなワクワクというか高揚感の様なものがあったのかもしれないと後になってみれば思ったりもす...
  • 甘いプリンの秘密
    甘いプリンの秘密 第1話 甘いプリンの秘密 第2話
  • 教科書文通3
    「できれば、〝彼〟や涼宮ハルヒ、朝比奈みくるには黙っていて欲しい。」  長門さんに教科書を貸した後の英語の授業の最中、僕はいつかの様に僕の教科書を抱きかかえた長門さんの台詞を何べんも反芻していた。 最初は、長門さんの教科書は一体どこへ行ってしまったのか、本当に盗まれてしまったのだろうか、では、一体だれが? などと、一通り考えてはいたのだが、思考は確実に先ほどの会話へ流されていく。 「涼宮ハルヒや〝彼〟は私に対して、少し過保護すぎると思われる面がある。 盗難されたと決まったわけではない、騒ぎを大きくしたくない。 第一、涼宮ハルヒが何かしらの怒りを覚えると、それはすなわち……あなたの苦労に繋がる。 それはいや。 朝比奈みくるは隠し事に向いていない。 それが彼女のいいところ。」  喋り方は相変わらず淡々としていたがその内容は、SOS団のメンバーのことをよく見て考えて、 なおかつ、自分が周り...
  • くたばっちまえ
    どこまでも澄み渡る青空、心地よい風が吹き、空には雲ひとつない六月のある日。 いつもは梅雨のため、じめじめとして鬱陶しい季節であるが、この日はからっとした晴天に恵まれ、日差しのわりに暑くもなく過ごし易い一日だった。 いま、僕は教会にいる。そして、目の前では僕が中学生だったあの日から夢にまで見た幸せな光景が広がっている。 教会の窓から差し込む陽光は穏やかで、まるでふたりの幸せを祝福しているように見えた。 どこからともなくオルガンの音が聞こえてきて、その音色は僕の心の奥へと溶け込んでくるようであった。 僕の足元から続くバージンロードの向こうには白いタキシードに身を包んだキョンの姿がある。 いつのころからだっただろうか、僕がキョンに淡い恋心を抱いたのは。いつだったかははっきりと思い出せないが、確かにそれは中学生だった僕の心の中に存在していた。       中学生だった頃、僕は学習塾が終わると、キ...
  • 教科書文通4
     「じゃー、この間の続きからいくぞー。 159ペーシ開けー。」  長門さんが去り際に囁いたページが、今日の授業の始まりのページとは一体、なんと言うことか。 策略か? 計算ずくか? まぁ、どちらにしてもいずれは開かなければならないページである。  いったい、何が書いてあるのか。 思考が悪い方向にしか進まない。 希望的観測が取れないと言うよりも、悪い方向へ事態、もしくは状況が進んでしまうのを恐れているのだろう。 人は、追い詰められると悪い方向にばかり考えがいってしまうものだ。 嫌われたらどうしよう。 失望されたらどうしよう。 怒ってしまったかな。 自分に自覚がない分に怖い。  もしかしたら、愛の告白が……! なんて期待できるほど、僕は楽天家じゃない。 正直、谷口くんが羨ましい。 僕もあれくらい、能天気に生きられたらなぁ。 何でもかんでもプラス思考に取れる人間になりたい。  いつ...
  • ポニーテールの秘密
    ポニーテールの秘密     プロローグ 第1章 第2章 第3章 第4章 第5章 エピローグ
  • ピロートーク~破れパンツ編
    キ「なぁハルヒいいだろ」 ハ「えっ、キョン一体なによ?」 キ「なにってナニに決まってるだろ、わかってる癖に」 ハ「だって今日は…勉強するから、一緒にレポート書くっていうから来たのに……」 キ「それは後でやればいいさ、こっちだって立派なお勉強だよ、ほら」 ハ「あ、あたし今日はそんなつもりじゃ……、それに今日はちょっと……」 キ「ちょっとなんだ?」 ハ「そ、そう……アノ日なのよ。急に来ちゃって……」 キ「おいおい先週終わったばっかりだろ、嘘はよくないぞ」 ハ「そ、そのぅ……」 キ「じゃぁOKってことでいいんだな、そりゃ!」 ハ「ちょ、ちょっとやめて!」 キ「……ハルヒお前……パンツ……破れてるな…」 ハ「み、見ないで……だから嫌だって……」 キ「…破れパンツハルヒか……お洒落なお前にしちゃ珍しいな」 ハ「だ、だって今日寝坊しちゃって…それに勉強だけだっていうから油断して……」 キ「油断大敵って...
  • ながとぅーみー 第六話「逃げてるぜベイベー★★」
    <SIDE KUNIKIDA> 「国木田、後ろだ!」 生徒会長に言われ僕は後ろに向かって銃を放つ。 後ろから遅い掛かろうとしたゾンビの頭が文字通り吹っ飛ぶ。 「ありがとうございます、生徒会長」 「生徒会は学校の生徒の為に行動するのが義務なのでね」 会長がクールな笑顔をにやりと浮かべる。 ナクドマルドでの攻防戦。大量に攻め込んでくるゾンビをひたすらに撃ち殺す。 弾はまだある。日頃運動して無いから結構つらい作業だ。 「由良さん、成崎さん、大丈夫かい?」 「うん、大丈夫」 「涼宮さんは?」 「私がピンチなわけないでしょうが!」 本当だ。ほぼ一発で頭撃ち抜いてるから無駄がないや。 会長さんは涼宮さん以上の腕、というか映画のワイヤーアクションみたいな動きだけど何か運動してたのかな。 それよりも、僕には気に掛かる事があった。 あれからもう長い時間が過ぎてるはずなのに、一向に谷口が姿を現さないことだ。 ...
  • 缶コーヒー、ふたつ7
    昼休みの過ごし方は人それぞれと言えども、これほど部室に依存しているのは、おそらく俺くらいなものだろう。 まあ、部室備え付けの電気ポットの恩恵による、インスタントコーヒーがその理由に当たる訳なのだが。 そして今日も俺は、谷口や国木田との冴えない昼食を難無く終え、尽く部室へと急いでいた。 しかしながら、連日の冷え込みは体に堪える。早く熱いコーヒーを・・・ 俺は部室の前に立つと、朝比奈さんの生着替を警戒しつつノック・・・しかけて手を止めた。 今は、昼休みだったな。 おそらく居るのは、長門くらいのものだろう。 いきなりドアを開けたところで何も問題な・・・ のわっ!な、何だこれ! 天井まで積み上げられた黒い箱の数々! そして段ボール箱の山、山、山っ! そして、埋もれる様に座っている長門・・・ 長門っ!? -おい、長門!大丈夫かっ!?一体、これは何だ? 「・・・・。」 長門は無言のまま...
  • 規定事項の子守唄 第四話
    「しっかし、あいつがあんなことをいいだすとはね」  すこしむずがゆそうな表情で、涼宮さんがいいました。  いつもの、文芸部室でした。涼宮さんは団長席にこしかけて、頬杖をついているところでした。 「なんていうか……。あたし、ちょっとあいつを見誤ってたかも。陰険で、うざったいやつだとばかり思ってたんだけどな」 「ま、だれしも隠している気持ちのひとつやふたつはあるってことだろ。漫画やゲームじゃあるまいし、属性やらなにやらで単純に割りきれるもんじゃないのさ」  キョンくんが、苦笑めいた表情をうかべつつ、合いの手をいれています。古泉くんはそんなふたりを目をほそめて見守り、長門さんは我かんせずとばかり本を読んでいました。  ちなみに、涼宮さんがいっている『あいつ』とは、元生徒会長の彼のことです。  さきほどのサプライズ・ライブがおわったあと、卒業式は平常のプログラムにもどりました。つまり、彼による卒...
  • 教科書文通6
     くしくも山田くんが言ったとおり、僕らの教科書でのやり取りはまるで文通のように続いた。 大抵は僕から何の気ない話題をふり、長門さんがそれに短く答える。 極稀に彼女から授業内容から派生したような話題提供が会ったりもするが、基本的な流れは変わらない。 週休二日制で五日ある授業のうち、互いに四回ずつある日本史Bのたびに僕たちは教科書を行き来させ、互いにメッセージを残す。 それは殆ど毎日の光景で、まさしくそれは文通そのものだった。  この長門さんとのやり取りは、朝比奈さんにも、涼宮さんにも〝彼〟にも知られていない。 僕と長門さんの秘密。 ただ単なる言葉の羅列の交換だと言うのに、こんなに毎日期待してこんなにもそれが秘密のやりとりであることに執着している僕はさぞや滑稽だろう。 笑いたければ笑うがいい。 僕は嬉しいのだ。 能力が目覚めてからこんなにも学校生活が楽しいと思ったことはない。  勿論、僕が...
  • しあわせⅠ
     「……と、これが条件だ。これが出来なければ文芸部室は生徒会のものとする」  「ふんっ!1回負けてるくせにまだ勝負する気?片腹痛いわ!」  「これは勝負などではない。勧告だ。別にせずに明け渡しといった流れでも私は一向に構わないのだが」  「臨むところよ……見てなさい!生徒会!!」  「言われなくとも監視はするつもりだがね」  はあ、やれやれだ  生徒会長がわざとらしく俺と長門を呼び出したと思えば、「おい、涼宮ハルヒにこれを渡しとけ。新しい企画考えんのもめんどくさいからまた同じお題にしてやったんだから感謝しろよ」とのたまいやがった。  「これ」というのは一枚の藁半紙に印刷された書類(プリントといった方が適切かもしれん)であり、  そこには「文芸部の活動として、今年度中にも機関紙を発行すること。但し、学内文科系部活動推進活動(こんなめんどくさいもんまでやってやがったぞ機関もとい生...
  • 長門の日々 第2話『秘密な関係』
    長門の日々 第2話『秘密な関係』   俺は毎朝のようにお手軽な強制ハイキングをいやいやながら満喫している。 いつもと同じ風景。 いつもと同じ坂道。 いつもと同じカバンの重み。 ただ―――いつもと違うのは―――俺の右手。 俺の右手にはミニマム化した長門がいる。 いるっていう表現はおかしいか。 ………俺の右手が長門、でいいのか。 そう、俺の右手は長門だ。 一見するとすごく間抜けで意味不明な思考だが、こうとしか言い切れん。   さて、俺は左手でカバンを持ち、 右手はまるでパペット人形の練習でもしているかのように俺の目線に置いて歩いている。 まったく、谷口にでも見つかったらどうするよ。 でもまぁ多分、長門の力で人が近づいてきたら分かるのだろう。   ところで、長門。一つ聞いてもいいか? 「なに」 お前の宇宙人的なパワーは使えるのか? 「……さっきから情報統合思念体にアクセスを試みている。しかし、繋...
  • ピロートーク~爛れたバカップル編
    ……、なんだもう朝か…、相変わらずの爛れた関係の俺とハルヒだ。 始めのうちは昼ごろに来て夕方には帰っていったハルヒだが、いつの間にか週末に一泊していくようになり、一泊が二泊…二泊が三泊…三泊が四泊……と気が付いたら俺の部屋にほぼ常駐状態となっていた。 一度心配したハルヒの両親が様子を見に来たが、『キョン君となら安心』とかいってそのまま帰ってしまった。つかキョン君って……。 そういえば昨日『たまには一緒に遊びに来い』って親からメールが来たとハルヒがいってたが……。 一緒に向こうの両親の所へ行くのは……『責任取ってくれるんだよね? 勿論卒業してからでいいけど』という無言のプレッシャーを毎回感じるので正直あまり行きたくはないのだが……。 別に責任取るのがいやとかそういう訳じゃないけど、なんというかわかるだろ? などと考えながら、いつもどおりの朝、満ち足りた笑顔を見せるハルヒの隣で俺は暫しまど...
  • 涼宮ハルヒの怪談 
    百物語というものをご存知だろうか。 一人ずつ怪談を話し蝋燭を消していき、100話目が終わった後に何かが…!!というあれである。 俺は今まさになぜか部室でハルヒと愉快な仲間たちとともにそれをしているわけだが、何故そのような状態 に至ったのかを説明するには今から数時間ほど遡らなければならない。 ______  夏休み真っ盛りのその日、俺はそろそろ沈もうかという太陽の暑さを呪いながらニュースを見ていた。 東北の某都市ではいまごろ七夕祭りをするのだなあ、などといつかのことを思い出しながら今まさに瞼の 重量MAXに至らんとしたその時、携帯が盛大にダースベーダーの曲を奏でた。  ハルヒだ。  市販されているどのカフェイン飲料よりも効く恐怖の音色によって冴えた頭で出ようか出まいか一瞬迷った後、 恐る恐る携帯を手にした。 「あ、もしもし?キョン今暇?」  恐ろしく不躾な第一声、間違いなくハルヒである...
  • ピロートーク~未希編
    その1 未「ねぇママ、未希はパパのことが大好きなの!」 ハ「そうねぇパパもきっと未希のことが大好きよ」 未「うん……だから未希はねぇ、大きくなったらパパと結婚するの!」 ハ「……それは……パパはもうママと結婚してるから未希とは結婚できないわよ、未希は他にもっとカッコイイ男の子を見つけなさいね、未希はママに似て美人だから直ぐに素敵な男の子が見つかるわよ」 未「むー……ママずるーい」 ハ「ワガママいわないの未希、こういうことは早い者勝ちよ。第一ママとパパが結婚しないと未希は生まれてこなかったのよ」 未「むー……」 ハ「ムクれないの未希、……そうねぇいい事を教えてあげるわ」 未「なぁにママ」 ハ「未希が大きくなって好きな男の子が出来たら……ちゃんと…ちゃんと『大好きっ!』って自分の気持ちを素直に打ち明けるのよ、でないと人生損するわよ」 未「損するって?」 ハ「変な見栄とか意地とかそういったもの...
  • マグロは急には止まれない
    部室の扉がノックされ、誰だと扉を開いた瞬間の俺達はきっと 時間凍結された有機生命体、 もしくは深夜に動き出す寸前の蝋人形の館のような状態だったであろう。 長門が立っていた…それは構わない…   何故か、どデカイ本マグロを丸々一本ひきずって……   「な、長門、それは一体…」 「…黒いダイヤ」 く、黒いダイヤ? 「太平洋沖の北緯40度付近にて生息する天然資源。硫黄島付近にて捕獲」 部室に入ってこようとする長門からは生魚の血生臭い匂いが漂い、 年季が入って古くなった木造の部室棟の床はマグロの重みで軋む音を立てている。 「…それマグロだな?」 「…そう」 「なんでマグロが丸々一本…」 「…嫌い?」 いや、好きとか嫌いの問題じゃなくてだな…。 「…あなた達にはいつもお世話になり感謝している。お礼をしたい。 お礼やお返しで心を掴むには サプライズ、心を込めたプレゼント、手料理の三点セットだと本に書い...
  • 鶴屋少女の孤独 SIDE.A.「笑顔」
    些細なこと   そう、それはとても些細なこと   誰しもが感じること   誰しもが思うこと   そして誰しもが乗り越えてきたこと   それが、当然のこと             - 鶴屋少女の孤独 -   ……… …… …   SOS団が立ち上がってもうどれぐらい立つっけ 唐突にそんな疑問が頭をよぎった 一年生のときに立ち上げたSOS団   涼宮ハルヒによって作られ、そしてオレを未知の世界へとひきずりこんだSOS団   万能で完璧かと思いきやたまに弱みがちらつく無口で無垢な宇宙人 守ってあげたくなるような言動と意外としっかりした芯を持つ未来人 いけすかない笑顔と共にいつだってそこにいてくれた超能力者   そして世界をわがままに変えてしまう手のかかるお嬢様   暑い季節が迫る オレ達が出会ってから、一年以上の月日が流れていた   窓から差し込む陽の光を背中に浴び、オレは長門し...
  • 涼宮ハルヒの秘密
    暑い… ミンミンミン・・・ 暑い… ミンミンミン・・・ 暑い!! そう、今の季節は夏、太陽が怒ってる様に思えるぐらい暑い… まったく、部室にクーラー付けてくれんかね? 「文句言わないの!」 今のは、団長様のセリフである。 ハルヒ「冷凍庫にアイスあったでしょ?あれで我慢しなさいよ」 へぃへぃへぃ…ん?ハルヒの膝に、何か置いてある…ノートのようだ 「ハルヒ」 ハルヒ「何?」 「これは、何のノートだ?」 ハルヒ「え?……あー、あんたには関係無いの!」 俺には関係無いのかね…冗談でも言ってみるか 「…誰も知られたくないぐらいか?」 ハルヒ「ギクッ)そ、そんな…じゃないわよ!ほ、ホントよ!」 …何か、口調が怪しい…一体何のノートだ? ハルヒ サイド ヤバイヤバイ…… これは、誰も知られたくないのよね… だって、これは… キョンの事もいっぱい書いてあるのよね… 写真もあるし、あたしにとって、恥...
  • 涼宮ハルヒの感染 1.落下物
    1.落下物    早朝サイクリングは第2中継点、つまり光陽園駅前にて終わりを告げる。 実はここまでも結構な上り坂で、ハルヒを乗せて自転車を漕ぐ俺はかなり必死だ。 ハルヒは俺を馬くらいに思ってるのか、「もっと早く漕ぎなさい!」なんて命令しやがる。 それでも毎日律儀に迎えに行っている俺って何なんだろうね。  駅前駐輪場に自転車を停め、そこからはハイキングだ。 いつも通り、ハルヒと他愛もない話をしながら坂を上る。 話題もいつも通りだ。 朝比奈さんのコスプレ衣装、週末の探索の話、SOS団の今後の活動予定、 何故宇宙人が現れないのか、未来人はタイムマシンを発明したのか、超能力ってのは具体的にどういう能力か。 そんなハルヒの話をもっぱら聞き役時々突っ込み役に徹して朝の時間を過ごす。 後半の3つの問題については、むしろ俺の方が語れることが多ってことはもちろん秘密だ。 朝比奈さんの卒業が控えているにもか...
  • 甘いプリンの秘密 第1話
    とある放課後の部室での事だ。 俺とハルヒは、一緒に部室に入り、他の団員が来るのを待っていた。 ハルヒはパソコンにかじりついてるし、 俺はやることがないので、ただ机に突っ伏して寝ていた。   と、そんな時のことだ。   ハルヒは腰掛けていた椅子から立ち上がり、 なぜか部室にある冷蔵庫に手を伸ばし、冷蔵庫を開けた。 「今日はあんたのためにあたし自ら手作りプリンを作ってあげたわ! 大きいプリンと中ぐらいのプリンと小さいプリンのどれが食べたい?」 ハルヒは唐突に言い出した。 ハルヒのことだ、おそらくは大きいプリンはバケツプリン、 小さいプリンは喫茶店のミルク入れで作ったような小さいヤツに違いない。 悪いが、俺はそんなその手には乗らんぞ。 「大きいのは身に余る、小さいのはモノ足りそうにないからな。俺は中くらいのがいいな」 俺がそう言うと、ハルヒは冷蔵庫から大きめの皿を取り出し、俺の目の前に置いた。 ...
  • 君、思えど
     君、思えど        秋――僕は、この季節が好きだ。  特に朝方は空気が澄んでいて、気持ちが透き通る様な感覚に浸る事ができる。  朝靄が立ち込める町の中、特に目的もなく歩く。  そうだね。朝が弱い君ならばこんな僕を見てこう言うのだろう「老人みたいな趣味をしてるんだな」って。  思い出の中の彼が肩を竦めて笑っているのが目に浮かぶようで、僕も小さく声を出して笑って……そ して最後は溜め息へと変わった。  彼と別れて、もう1年以上が過ぎたというのに僕ってやつは……。  新しい学校は楽しい。  新しい友達も出来た。  今までの友達との交流も残っているし、寂しいと思う暇もない。  君にも紹介したいくらいさ、とても個性的な友達がいっぱい居るんだ。  ……また、君か。  ゆっくりと進んでいた足がついに止まる。  わずか数十分の間に僕は何度君の事を思い出したんだろう?  一回、二回、三回、四……止め...
  • 甘いプリンの秘密 第2話
    放課後の部室でのことだ。   俺が部室に行くと、そこには置物のように鎮座して読書する長門の姿があった。 「あれ、他には来てないのか?」 そう聞くと長門は、黒光りする瞳をこちらに向け、 僅かに首を縦に動かしただけだった。 「そ、そうか…」   正直に言おう。 俺はこの雰囲気があまり好きではない。 そりゃあ確かに、長門は役に立つし、何回も助けてもらった。 だが、やはりこの無口な有機アンドロイドと 2人きりになるというのは、慣れないものだ。   と、その時のことである。   読んでいた本をパタンと閉じた長門は、 椅子から立ち上がり、冷蔵庫の前に立った。 そして、冷蔵庫の扉をパタンと開け、 中から大きな皿を取り出し、俺の目の前に出した。   「…食べて」 「これは?」 「…プリンと呼ばれる食べ物。涼宮ハルヒによって強制的に作らされた」 「そ、そうなのか…」 あの野郎 ハルヒ 、長門にもこんなことを...
  • 涼宮ハルヒの消失ー長門有希の憂鬱
    私は情報思念体が作り出した対有機生命体用インターフェースのひとつである。 太陽系、と本人たちによって呼ばれる辺境の惑星系の第三惑星に発生した有機生命体のなかに、全宇宙の中でもユニークな一個体が発生した。 そしてそれは進化の袋小路に閉じ込められた情報思念体になんらかの脱出口となる要素を抽出できる可能性がある、と判断された。 単体という概念を持たず、いかなる光学的手段を持っても不可視である情報思念体にとって、一地球人固体を観察し、必要ならば彼らの言語による意思疎通を可能にするインターフェースが不可欠であることから作られたものの一体である。 同時に作られたバックアップと比べて、私というインターフェースは一見して他のインターフェースとは際立った地球人的な「個性」が与えられている。 そう。被観察者涼宮ハルヒによって、私に必要とされた属性。 極端な無口、非情動的で非社交的なキャラクター。 彼女にと...
  • 15498のはじめの1
     彼女の部屋はいつも暗い。 部屋が暗いのは、彼女は人間でないから電気の光を必要としなくても支障なく生活出来るからだ。  その部屋に電気を付ける必要があるのは、人間である『彼ら』が訪れに来た時だけだ。    …その日も彼女は暗い部屋の窓を眺めていた   ―― 夏休みも早いもので残り2週間。 我らが団長様は憂い無き夏休みにしようと、たかが2週間では到底消化出来そうもない課題を立てやがった。 事は、市民プール直後の、俺奢りの喫茶店にて…… 意味もなく張り切るハルヒはA4サイズの紙にこれからの予定を、それはもうびっしりと書き綴った。   「私は金魚すくいがしたいです~」 朝比奈さんは可愛いらしくハルヒに希望する。 金魚すくいなどあの方らしい可愛いらしい提案だ。 ぜひとも俺もその場に居合わせたいね。 しかしながら出来ればこれ以上課題を増やしてもらいたくないのも本音ではある。   課題を終えずに夏休み...
  • 朝倉涼子の再誕 エピローグ
    エピローグ  後で聞いた話になる。・・・前にも使ったな、このフレーズ。 「あの時、涼子は確かに周防九曜とともに情報連結を凍結された」  いつもならばこの手の役割は古泉が喜んで請け負うのだが、今回の解説役は長門だ。  餅は餅屋、というやつである。 「しかし、わたしはあなたと別れた後教室に戻り、涼子を周防九曜とともに情報統合思念体のもとへ転送した」  そういえば、あの時長門は氷像と化した朝倉をどうにもしなかったな。  最低限どこかに運ばなければ翌朝にでも大変な騒ぎになるというのに、あの時はそんなことにも気付かなかった。 「その後、統合思念体は凍結状態のまま涼子たちを引き剥がし、周防九曜のみを情報連結解除した」  そんなこともできるなんて、長門の親玉は相変わらず凄すぎるな。  しかし、どうせナントカ解除をするんだったら、どうしてあの場でそれをしなかったんだ? 「涼子が巻き添えを食らって消滅...
  • 異界からの刺客
    プロローグ SOS団の部室ではただ、ページをめくる音だけが聞こえていた。 長門はこの時間、誰れもいない部室でただページをめくるだけの時間が「好き」だった(もし、ヒューマノイドインターフェースたる「彼女」にそんな感情があるとして、だが)。知覚のごく一部分で目の前の原始的な情報インターフェースから情報を読みとる一方で、残りの無尽蔵とも呼べる知覚能力で情報統合思念体と交信し、宇宙全体の時空に想いを馳せる。そんな時間が「好き」だった。 が、それでは、残りのSOS団員たちが来ない方がいいのかというその状態も「好き」でないわけでは無かった。知覚の別のごく小部分を、ハルヒやキョンや古泉や朝比奈みくるのたわいもないやりとりの観察に費すのもまた嫌では無かった。 つまるところ、「彼女」は一種の情報収集システムとして生み出されたのであり、バックアップとして非常事態に過激な対応をするために作りだされた朝倉ユ...
  • 一樹の湯
    姉妹編『長門の湯』『鶴屋の湯』もあります。     ====== 『一樹の湯』 『おはようございます、今お目覚めですか』 ん、いや、昼前には起きてたよ。 『それは失礼いたしました。それで昨夜はよく眠れましたか?』 ふん。余計なお世話だ 『どうも、重ね重ねすみません』 日曜日の昼過ぎ、一時間ほど前にベッドを抜け出した俺が、ちょうど昼飯を食い終わった時に、古泉から携帯に電話が入った。 なぜ昼前まで寝ていたかというと、夕べの寝つきが悪くて結局空が白み始める頃になってやっと眠りに落ちることができたわけで、なぜそこまで寝つきが悪かったかというと、昨日の不思議探索のおかげだ。 『いやぁ、僕も昨夜は疲れましたよ……』 閉鎖空間か……。 『えぇ、長らく閉鎖空間も発生していなかった上に、かなり手ごわい閉鎖空間でしたので……』 電話の向こう側の古泉が、大きく溜息ついている様子が伝わってくる。 そう、...
  • ポニーテールの秘密・第2章
    第2章  すっかりここ1年間の回想に浸っており、尚且つ外には満開の桜が咲いている。そんな状況で俺と俺以外の人間との昨日の記憶に食い違いがあった事を忘れていた俺を誰が責められようか。不覚にもこのニヤケ面によって思い出すとはな。  「やあ、どうも。昨日はどうしたんです?」  寝坊だよ、寝坊。  「それはまた珍しい。ですが、聞くところによると朝比奈さんとご一緒だったそうですね」  誰に聞いたんだ。つうか俺は昨日ずっと家に居たんだ。  「キョンくん、どうぞ。お茶です」  「あ、すみません」  「ふふっ。どういたしまして」  メイド服に身を包む彼女はペコリと頭を下げる。うむ、いつも通り麗しい。  ━━━朝比奈さん。  周りの奴らによれば俺は昨日このお方と一緒にいたらしいが・・・有り得ない。俺は俺1人であって、2人に分裂でもしない限り━━━  その時の俺の顔は果てし無く間抜けたものだったに違いない...
  • ポニーテールの秘密・第5章
    第5章  時間遡行なんてのは何回やっても気持ちのいいものじゃない。古泉、この訳の解らない瞬間だけなら代わってやってもいいぞ。  「・・・うん?」  何だ?木が横に沢山倒れてるぞ。  「あ、気付きました?」  大きな2つの黒い瞳に俺の寝起き面が映っている。ああ、そうか。俺はまた朝比奈さんに膝枕をしてもらっていたのか。古泉、やっぱり交代はナシだ。  「はい?」  「あ、いや、ただの妄言ですよ」  イカンな。どうも最近無意識に思った事が声に出てしまう。  むくりと体を起こす。彼女の膝枕は惜しいが、今はそれどころじゃないからな。  「ちゃんと昨日、ええと、4月1日に来れました?」  朝比奈さんは電波時計を見て、  「はい。ちゃんと4月1日の午後7時です」  ベンチから腰を上げて辺りを見回す。どうやら4年前の七夕同様、あのベンチみたいだ。  しかし、朝比奈さんのいる前でハルヒに話をするのはどうも気...
  • ポニーテールの秘密・第1章
    第1章  さて、ここで谷口達と噛み合わない昨日の俺の生活を話そう。冒頭のキテレツな出来事と言うのもまさにこれである。そのお陰でハルヒの怒りを買う破目になったのだが。  「キョーンくーん。あーさーだーよー」  うぐっ。快眠中の腹に衝撃が走った。  「キョーンくーん」  わかったわかった。今起きるから布団を剥ぐな。  「もっと早起きしなきゃダメだよー?」  そう言って妹は部屋を出た。シャミセンは布団の上で丸くなっていたらしく、俺が起きた事によって転がり落ちてのびている。  やれやれ。もうすぐ高校2年になると言うのに休日も妹に起こされるのはイカンね。  「今日は不思議探索の日か」  今日の予定を声に出して確認する。いつも通り9時に集合して、俺の奢りの喫茶店でクジ引いて、街に繰り出しても結局何も見つからず解散する。俺の財布が軽くなるのはどうかと思うが、ハルヒはこんな日常を望み、楽しんでいる。...
  • ポニーテールの秘密・第3章
    第3章  4月になったというのに地球に野郎は冬の厳しさを伝え続けている。昨日の夜ちらりと見た天気予報によれば、今日の最低気温は1ケタらしい。そんな天候の中、布団剥ぎなんぞを食らおうものなら俺はシベリアに来た南国民のごとく体を震わせるだろう。  「キョーンくーん!」  そんな訳で俺は今シベリアにやって来た。別に南国民ではないが。ほら、起きたから先下いってなさい。  「はーい。シャミー、ごっはんっだよー」  調子外れな歌と共に妹が部屋を出て行くのを確認してから着替えた俺は、部屋を出る際そこら辺にほっぽってあった通学鞄に足を引っ掛けた。まるでちょっとお待ちと告げる様に。 ━━━しまった。  俺は慌てて鞄をあさる。そして長門から渡された文庫本を取り出し、栞を探す。いくら朝比奈さんの事があったにせよ、これじゃ最初の二の舞じゃないか。  栞には長門の整った字でこう書いてあった。  午後七時。光陽...
  • ポニーテールの秘密・第4章
    第4章  俺と古泉は今、例の黒塗りの車に乗って高速道路を走っている。古泉がドライバーに適当に回ってくれと伝えていたのでいつかの交差点へは向かっていない様だが。  「突然すみません。少しばかりお話したい事があったので」  何についてかは分かっている。分かっているから手短に頼む。  「ご察しの通り涼宮さんについてですが、これもあなたが気付いていればこんな事にはならなかったのですが」  いつものスマイルで皮肉を述べた。で、どんな事が起きたってんだ?  「閉鎖空間です」  やはりか。今更だが、すまない事をした。  「それは僕に言うべき言葉ではないですね」  俺は古泉の言葉にリアクションはせず、ただ自分のした事に対する責任の取り方を模索していた。さすがにハルヒがやたらと絡んで来たせいでこうなったんだ、なんて言い訳じみた事は言わん。だが、これは訊いておかなくては。  「何故ハルヒはあんなに絡んで来...
  • 「大雨」
     夏の終わり、在庫の雨を秋まで残すのが嫌だったのかね?   夕立ちを避けて本屋の軒下へと駆け込んだ俺は、盛大に濡れてしまった服のせいで店内に入る気にもならず かといってここに居てもどうにもならないという状況で何故か半笑いだった。  幼い頃、大雨や台風が来た時に妙にテンションが高くなった経験ってのは無いかい? 高校生にもなって 雨の中走り回る事はできやしないが多少気分が高揚するってのは否定しようもないね。 「いーやっほー!」  ……なんだ? 今通りの先から聞こえたのは聞き覚えのある声だったような気がする。  どうする? 俺がいる本屋脇道のないアーケードにある。このままここに居れば恐らくそいつは目の前を通る 事になるだろう。  留まるべきか、引くべきか……迷うことはない、引こう。留まる事で事態が好転するとは到底思えない。  俺は冷たい体を気にしつつも店内へと逃げ込んだ。  間一髪って奴だろうか...
  • クールの誕生
    クールの誕生(目次) 『自分の音楽をジャズとは呼ぶな』              …マイルス・デイビス 人物紹介! 光 ロング・グッバイ 闇 ナイトメア・フラッシュ 前作
  • 涼宮ハルヒの追憶 chapter.5
    涼宮ハルヒの追憶 chapter.5 ――age 25 「じゃあ、行ってくるな長門」 俺は長門に出がけの挨拶を済ませ、ドアを開けた。 いつもなら、彼女が「いってらっしゃい」って笑顔で送ってくれるんだがな。 でも、無言で送ってくれるのも嬉しいぞ、長門。 花はもう飾ってあるから。 鍵を閉め、言われたとおりに郵便受けに鍵を入れておく。 じゃあ、学校にでも向かうか。 マンションを出るとき、センサーが反応しないので、人が来るのを待った。 その時、人とすれ違ったが、見えていないようなので安心した。 そういえば、これからあの坂を上るのか。 車で行きてえな、最近ろくに運動もしてないし、疲れるだろ。 まあ、過去の俺の為に頑張ってやるか。 坂を上るぐらい、あの時の苦しさに比較にもならんからな。 学校へと向かう。 その間、いろいろな人とすれ違ったが、やはり誰も気付かないようだった。 なんか悪戯したく...
  • 古畑任三郎 VS SOS団 プロローグ
    ※ 始めに いくつかの設定を話に都合よく変えたりしています。 特に長門有希の情報操作などの反則技は、 推理ものとして破綻してしまうため一切登場しません。 いくぶん不自然な点があるかと思いますが、ご了承ください。 古畑「え~……あなたは超能力者の存在を信じていますか?    イエスと答えた方、未来人、宇宙人はどうでしょう?    全てを信じておられる方はなかなかいないでしょう。    しかし、実はいるのです。しかも同じ場所に集まって……」     古 畑 任 三 郎 VS S O S 団   放課後の生徒会室。 そこに居たのは生徒会長と、華麗な未来人、朝比奈みくるの二人だけであった。 会長「それで、答えは決まったかね?」 みくる「………。」 会長「クク、とはいえ君に選択肢は無かったね。私は君の重大な秘密を握っているのだから。    そう、君が未来から来た人間だということをね。    もし...
  • ポニーテールの秘密・プロローグ
    プロローグ    高校2年の足音が春休みの終わりを告げに来る頃、俺は制服姿でハイキングコース級の坂を登っていた。春休みなのに何故制服姿なのか。学生の方なら解って頂けるだろう。  今日は3月31日、離任式というヤツである。  長期連休に入って平穏モードになっていた━━━つい先日、キテレツな出来事はあったのだが、それはまたの機会に話すとしよう━━━俺の体にはハードルが高いようで、少し息が上がる。  「やれやれ・・・」  このセリフもそろそろ俺の専売特許じゃないのか?━━━なんてくだらない疑問が浮かび上がるくらい呟いているこの言葉も、12月のあの日以来だいぶ意味が変わっている。が、今日は元気印健康優良女にとやかく言われるのかと思うと、呟きたくもなるのさ。  そう。元気なはずの涼宮ハルヒに。  教室に着くと、久しぶりの再会を喜ぶクラスメート達に混じらず、1人不機嫌そうな顔で窓の外を眺めてい...
  • ポニーテールの秘密・エピローグ
    エピローグ  ついこの間までゴチャゴチャになっていた俺の記憶と谷口の証言との齟齬は、完成されたパズルの絵の様に組み上がっていた。無論、俺とハルヒの間柄もな。  ちなみに今は4月の2日で、9時に駅前に集合して俺の奢りの喫茶店にてくじ引きをした後の不思議探索午前の部だ。悲しいかな、俺の隣にいるのはお得意の営業スマイルを顔に貼り付けた古泉であり、たった今、昨日のタイム・リープ紀行の顛末を話し終えたところだ。所々端折りはしたが。  「いやぁ、助かりましたよ。それまでのあなたと涼宮さんの目に見えぬ争いと言いますか、緊迫した様子は決して見ていて気持ちの良いものではありませんでしたからね」  目に見えないんじゃなかったのか。  「僕は例外ですよ」  古泉は含んだような微笑みをして間を置いた。  「彼女の精神状態に異常をきたした場合、閉鎖空間内の神人の活動によってそれを知ることが出来ますから」  そ...
  • 『二人だけのクリスマス・イヴ』
    「そういえばそろそろクリスマスね」 カレンダーを見ながら涼宮さんが言う。 「最近、親父が妹の為におもちゃ屋を巡ってるぞ。」 「へぇー妹ちゃんサンタ信じてるのね。」 「もう小五なのにな。」 「いいじゃない。夢があって」 クリスマスか…。サンタさんか…。信じてた頃が懐かしいな。 私はキョンくんと涼宮さんの会話を聞きながら思った。 「私は小四まで信じてたわ。アンタは?」 「小三くらいまで信じてたな」 私もそれぐらいまでサンタさんは居ると思ってたっけ。 「有希は?いつまで信じてた?」 「貴方と同じくらいまで」 本から目を離さないまま長門さんが答えた。…それって嘘ですよね? ふーん、と言いながら涼宮さんは私のほうを見て私に言った。 「みくるちゃんは?」 「私は小四の時まで信じてました」 その言葉にキョンくんは『未来にもそういう風習はあるのか』みたいな顔をした。 「そんなもんよねー。古泉君は?」 「僕...
  • 下衆谷口の聖夜3
        全開のまらすじ     山手線壊滅             古泉「まずは手始めに。今からボーイが公園の皆様にジュースとシャンパンをお配りしますので、どうぞ遠慮なく手にしてください」   ボーイ「………」 キョン「あ、ど、どうも」 鶴屋「なんのつもりなのかな」   古泉「それでは! 2007年の締めくくりに! この良き日に! 乾杯!」 長門「………かんぱい」 キョン「……か、かんぱい」 鶴屋「公園にいる観客のみんなも、けっこう戸惑いながらも乾杯してるね。ゲリラ的な催行だとでも思ってるのかな」     ハルヒ「古泉くんったら。一声かけてくれれば私も手伝ったのに。急に予定があいてヒマになっちゃったんだから……」 みくる「まあいいじゃないですか。せっかくの古泉くんのプランなんですから。楽しみましょう」 ハルヒ「私もあのツリーの上に登って乾杯!とか叫びたかったのよ!」 みくる「あはは...
  • 星色パノラマ プロローグ
    目次 あぁ、これは夢だって気付くときはたくさんあって   きっとこれも夢なんだなぁって今回も気付いたわけで   真っ黒な空の中でタッチできるほど近くにある星を   思うがままにのんびりと眺めていたわけでして   宇宙   きっと今俺はここにいる   だからこれは夢なんだ   現実ではありえない   たった36000km地球から離れただけ   それ以上も   それ以下もない   遠くで聞こえるはずのない   ブランコの音が聞こえる   俺は気にせず地球と月の間で宙返りをした つづく
  • コーヒーふたつ【おかわり】
    俺も、お前の事が大好きだ・・・ 時が止まった気がした。 俺は・・・自分で言うのもなんだが、普段なら色々と考えてしまうと思うんだ。 ある意味、内向的なのかもしれないな。 ただ、今は一つの気持ちで頭の中が爆発しそうだ。 ハルヒが好きだ。 そして、欲しい。 ハルヒは黙ったまま瞳を閉じた。 トクン・・・トクン・・・ 二人の心臓の音だけがこの部屋を支配している。 俺はハルヒを抱き締めたまま、離す事が出来ないでいる。 そしてハルヒも・・・ 電気ストーブの灯りが揺れていた。 「ねえ・・・」 この部屋を、二人の心臓の音の支配から解放したのは、ハルヒだった。 あ、すまない。 慌てて離れようとする俺の腕をハルヒが再び抱き寄せる。 「私だって・・・」 何? 「私だって・・・男と二人きりで一晩過ごす事の意味くらい知ってる・・・。」 ! 俺は戸惑いを隠せない。いや隠せていな...
  • 長門の日々
    長門の日々 第1話『右手が恋人』 長門の日々 第2話『秘密な関係』 長門の日々 第3話『熱愛たる理由』 長門の日々 第4話『甘すぎる暴走』 長門の日々 第5話『恋のスクランブル』 長門の日々 第6話『愛の証明』 長門の日々 第7話『淡い想い』 長門の日々 第7.5話『淡い想い』 長門の日々 第8話『はじめてのゆうえんち』 長門の日々 第9話『新たな世界』 長門の日々 第10話『長門 有希 の憂鬱Ⅰ』 長門の日々 第11話『長門 有希 の憂鬱Ⅱ』 長門の日々 第12話『長門 有希 の憂鬱Ⅲ』 長門の日々 第13話『 長門 有希の憂鬱Ⅰ』 長門の日々 第14話『ど根性右手』
  • 会長の一言で喜緑さんはスイッチが入ってしまったようです
    ※このお話は『餅を焼きませ』の後日談です※      気が付くと俺は夕日の差し込む天井をぼんやりと眺め、じんわり汗ばんだ感覚と、喉に若干の渇きを覚えていた。 (あー、コタツで横になったまま眠っちまったのか…)  恐ろしい事に、自分が寝入った瞬間の記憶が無い。コタツというのは、まさしく悪魔的存在の暖房器具だと言えよう。何が恐ろしいって、その“堕ちて行くような”感覚にはある種の抗いがたい快楽があって、分かっているのにまた性懲りも無くゴロゴロしてしまう、という点だ。 (まあ、正月だしな。風邪を引いた訳でもなし、それは別に良いんだが)  どうしたものかね、という眼差しで、俺は右脇を見る。いつの間に占拠されたやら、そこでは俺の右腕を枕にした喜緑江美里が、くーくーと寝息を立てていた。ポジションから察するに、コタツの中を通ってここまで潜り込んできたらしい。猫かこいつは。いや、体を丸めてスヤスヤ寝...
  • 桃色空間奮闘記番外編 ~僕におまカフェ~
      「も、も、も、も、も、森さぁーーーーーーーーーーーん!!」     自宅のパソコンの前で思わず絶叫する。 僕は今、自室でとある二次創作の小説を読んでいた。 内容は森さんと彼の友達である国木田氏が淡く切ない恋愛模様を繰り広げるというものなのだが これがまたいい話なのである。何よりヒロインである森さんが魅力的なのだ。 この森さんの艶やかさと女の子っぽさのギャップ。 特にぬいぐるみを取ってもらったときの破壊力といったらまったくもってけしからん。 やっぱり大人の女性ってのは綺麗でお姉さんっぽさを持ってるだけじゃまだ足りないんだな そこにちょこちょこ見え隠れする乙女っぽさ、可愛らしさに真の魅力が潜んでいる気がする。 ってか続きどうなんの?一体その背中にはどんな傷が?!いや、背中の傷ぐらいじゃ愛は冷めないはずさ! そうと言っておくれよ国木田君!!   「さて、と。」 良かもんば見たバイ。 パソコン...
  • お悩みハルヒ~2部・決意と告白編~
    『ハルヒ……俺、ずっと前からお前のことが……』  あ、あたし……も。 『目、瞑れよ……ハルヒ。力を抜いて……な?』  うん……。  ……うわぁっ! なんて夢を見てんのよあたしはっ!  キョンが出てきただけならまだしも、夢の中とはいえ何してんのよっ! キスなんて……あたしのバカッ!  そんな夢からあたしの1日は始まった。昨日、中途半端な気持ちを変えるために発した言葉。 『あたしはキョンが好き! それでいいわ!』  この言葉のせいかしら。わけのわからない夢を見たのは。  これがあたしの願望だっていうの? まさか! そんなはずは……無いとは言えないけど……。  それでも! あたしは今の生活に満足してるの。変えたくないのよ!  あぁもう! 朝から気分悪いわね……って、もうこんな時間!?  学校行かなきゃ! ご飯食べる時間……より、髪とか整えなくちゃ!  あたしは朝ご飯を食べる時間を削って身だし...
  • beyond of SuzumiyaHaruhi(前編)
    「痛て!」  落下感が停止したとたん、キョンは足下を狂わせて地面に倒れ込んでしまった。 彼はすでに何度も経験しているTPDDだが、あの違和感にはどうしても慣れることができなかった。  日曜日夕刻のSOS団部室。彼らはあの指令書を受け取り、ここからTPDDを使用して二日ほど前に旅立った。 そして、今ちょうど過去からの帰還を果たしたところである。 「ああ、大丈夫ですかぁ?」  一緒に過去からみくるが彼を抱きかかえた。キョンは一瞬ほんわか気分になってしまうが、あわてて首を振り、 「だ、大丈夫です。ちょっと足がもつれただけなんで」 「そうですか。よかった」  キョンはみくるの手を置いて、自らの足で立ち上がる。  彼らはまた未来からの指令により、過去に戻ってある行動を行った。 今回も未来からは一体それに何の意味があるのかも知らされていない。今までも徹底した秘密主義のため、 ほとんど事前にその指令内容...
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