涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki内検索 / 「缶コーヒー、ふたつ8・前編」で検索した結果

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  • 缶コーヒー、ふたつ
    ...潰@コーヒーふたつ 缶コーヒー、ふたつ8・前編 缶コーヒー、ふたつ8・後編 【三分間劇場@コーヒー】 凉宮ハルヒの編物@コーヒーふたつ 【コーヒーふたつ最終話・SaveOurSouls】
  • 缶コーヒー、ふたつ8・前編
    ━━━━沈みかけた夕日が、一日の終わりを告げている。 それにもかかからず僕は、まるで今から一日が始まるかの様に心を踊らせながら、駐車場へと向かっていた。 真冬の夜の訪れを告げる冷たい風が、時たま足早に歩く僕の頬を撫でるが、今はそれさえも心地よい。 そして歩きながら少しだけ、彼女の笑顔を思い出して胸が熱くなるのを感じる。 おそらく…この想いは、何度目かの…━━━━━━━━ 【コーヒーふたつ8・前編】  駐車場へ着いた僕は車に乗り込むと、制服の上着とともに『北高の古泉君』である自分を脱ぎ捨てて、後部座席に用意してあった上着に着替えた。 そして、キーを回してエンジンを始動させながら、ステレオにMDを差し込む。 静かに音楽が始まり、イルミネーションに「JUST A TWO OF US」と表示されたのを確かめると、僕はゆっくりとアクセルを踏み込んだ。 ふと、ハンドルを回しながらどうしようもな...
  • 缶コーヒー、ふたつ8・後編
    ━━━━おもわず言葉に出してしまった胸に秘めた想いを、誤魔化すためにかけた音楽が不覚にも甘く切ない求愛系だった…。 だいたい…今夜は、何もかもが上手く行かな過ぎる。 売り切れたシュークリーム…ペアのマグカップ…そして…幸せそうに微笑む朝比奈さん… まったく、調子外れな夜だ。 この夜は…このまま何処へ流れて往くのだろう…━━━━━━━ 【コーヒーふたつ8・後編】 迂濶にも選んでしまった甘いメロディーが、車の中を充たしている…。 僕は胸の内を悟られぬ様に必死に平静を装いながら、何事でも無いようにハンドルに軽く手を添え、国道を飛ばした。 隣に座る朝比奈さんの様子が気になってしょうがないものの、今はマトモに視線を投げ掛ける事すら出来ない。必然的に気まずい沈黙が生まれ、それが暫く続く。 そして、その沈黙を破ったのは朝比奈さんの思いがけない一言だった。 「この曲の様に…こんな風に想われたら、...
  • 缶コーヒー、ふたつ2
    ♪rururururu~ 朝、ベットの中・・・ 遥か彼方から聴こえる電子音・・・ それは、間違いなく「嫌いな音」であり「好きな音」ではない。いや、好きな音であってはいけない。 仮に「好きな音」であった場合、安らぎや心地良さを感じ、この音が本来持つ役割を果たせなくなるからだ。 そして、この音は俺に軽い頭痛と薄明るくも眩しい光を提供してくれる。 今、何時だ・・・っ?!? 本日の起床予定は六時!今は六時十分! どうやら先程の「嫌いな音」はスヌーズ機能の恩恵によるものだったらしい。 まったく、何やってるの俺! 大急ぎで髪型を整え、制服を着る。 (遅れたら死刑だからねっ!) いつものハルヒの口癖が、脳裏をかすめ俺の行動が加速する。 飛び起きて僅か十数分、俺は自転車に飛び乗るところまで目標を達成していた。 そう、今朝は昨日の約束通りハルヒを迎えに行くのだ。 昨日の「一見平坦に見える...
  • 缶コーヒー、ふたつ1
    はァハァハァハァ・・・ 「ちょっと、キョン!もっとスピードだしなさいよ?だらしがないわね!」 ハァハァ・・煩いぞハルヒ・・荷台に座っているだけのお前には判らんだろうが、さっきから延々と緩い登り坂が続いているんだ・・・。 今、俺は自転車の荷台にハルヒを乗せ、この一見平坦に見える心臓破りの坂道を往年のスポ根ドラマも真っ青なくらいの汗を流しながら登っている。 「しかし、オシリが痛いわね。自転車にも後部座席の必要性を感じるわ。」 勝手な事を。 仮にそんな自転車があったとして、おまえは一体だれに運転させる気・・・って俺か。 ああ・・本気で疲れてきた・・・もうマジメに後ろの煩い荷物に取り合うのはやめよう。 感情を捨てマシンになるんだ。 頑張れ、オーバーヒート寸前のエンジンな俺・・・ ところで、俺が何故オーバーヒートでエンジンなのかを説明する必要があるな。 話は、つい先程の放課後の部室へ...
  • 缶コーヒー、ふたつ5
    三時間目は物理・・・か。 テキストを机の上に揃えながら、俺は溜め息をつく。 別に、授業が憂鬱な訳じゃない。 今日、間違いなく何らかの形で告げられる一つの最悪なニュース。 それが、溜め息の理由の全てだ。 登校してから今まで、それは告げられずにいた。 しかし、確実にその時が迫るのが判る・・・ 始業のベルが鳴る。 担当の教師が神妙な面持ちで教室へ入ってくる。 嫌な予感がした。 (今・・・来るのか・・・?) 「・・・皆さんに、残念なお知らせがあります。二年の朝比奈未来さんが、旅行中の事故で亡くなりました。」 ザワつく教室。 俺も動揺したフリをする。 仕方ないとはいえ、今の俺自身を俺は許せない。 そうだ、ハルヒは・・・? 息を飲みながら振り返る・・・ ハルヒは目を見開いたまま、呆然としていた。 「残念ながら・・・国内の事故では無い上に御家族全員が亡くなられたとの事で・...
  • 缶コーヒー、ふたつ6
    ♪ttt・・・ttt・・・ttt・・・ 耳馴染みの無いアラームが遠くから聴こえる・・・ 朝・・・か? 少しづつ目を開けると、霞む視界に見慣れない天井が浮かびあがった。・・・何処だ?・・・ここは。 とにかく、起きよう・・・・。 俺は、少しだけ体を起こして辺りを見回した。そして、ここが自分の部屋ではない事を把握する。 さて、どうしたものかな・・・。 「ん・・・、キョン?おはよう・・・!」 ・・・!!!ハルヒ!? 俺の隣にハルヒが居る!!?何故だ!?そうだ・・・昨日!昨日の夜・・・っ! 思い出したっ! 帰宅後、鞄の中に提出期限間近の課題に使っていたノートが無い事に気付いた俺は、度々俺の鞄を勝手に開けてCDやら雑誌を持っていくハルヒに、心当たりが無いか電話をした。 で、案の定ノートはハルヒが持っていた!まあ大方、雑誌か何かを持ってく時に紛れちまったんだろうが。 そして・・・ノートを取...
  • 缶コーヒー、ふたつ5-6
    風が・・・凄いな・・・。 部室の窓がカタカタと揺れている。 この前、俺が貰って来たストーブによって多少は寒さが抑えられてはいるものの、やはり・・・冷えるな。 部室の入り口越しに吹き込む、廊下からの隙間風にも多少の要因はあるだろう。 後で何か対策・・・ 「・・・ン君、キョン君の番ですよ?」 ああ、悪いな。 俺は、古泉とカードゲームに興じていた。 トランプの「ババヌキ」の要領で互いのカードを引き合い、同じ色や数字が揃ったカードから捨てていく・・・最後までカード捨てきれずにアガれなかった者が負け。 そう、アガる直前に「うの!」って言うあれだ。 しかし、この手のゲームをやる時の古泉は手強い。 なにしろ、鋼の「ニヤけ面」を持つ男だからな。 手札が全く読めん・・・・。 そういえば、古泉はこの前の事を覚えているんだろうか。 あの事件以来、俺と古泉は二人きりになる機会が無く、色々と訊きた...
  • 缶コーヒー、ふたつ4
    放課後・・・である。 俺は足早に部室棟に向かい歩いていた。 実は今朝、古泉に『後で話がある』と持ちかけたものの、すっかり場所を特定するのを忘れていたのだ。 とりあえず、部室に行けば・・・そう考えて、急いでいるわけだ。 部室に到着した俺は、すぐにドアを開けようとして、一瞬躊躇った。『そうだ、朝比奈さんの着替えを警戒せねば』 思い直して、ゆっくりとドアをノックする。 トントン 返事は無しか?あれ? 微かに、何か聴こえる。 水道の水が流しに流れる音・・・ そして・・・ 微かに聴こえる歌声・・・ ♪指を 繋いだら oh friends 時が止まる 気がした ・・ 朝比奈さんが歌っているのか? あの、文化祭の映画での歌の印象が強烈だったせいか、意外な美声に少し驚く。 あ、そうだ。古泉、古泉。 朝比奈さん、居ますか?入りますよ! 「あ・・・は~い!」 部室のドアを開けると、朝比奈...
  • 缶コーヒー、ふたつ7
    昼休みの過ごし方は人それぞれと言えども、これほど部室に依存しているのは、おそらく俺くらいなものだろう。 まあ、部室備え付けの電気ポットの恩恵による、インスタントコーヒーがその理由に当たる訳なのだが。 そして今日も俺は、谷口や国木田との冴えない昼食を難無く終え、尽く部室へと急いでいた。 しかしながら、連日の冷え込みは体に堪える。早く熱いコーヒーを・・・ 俺は部室の前に立つと、朝比奈さんの生着替を警戒しつつノック・・・しかけて手を止めた。 今は、昼休みだったな。 おそらく居るのは、長門くらいのものだろう。 いきなりドアを開けたところで何も問題な・・・ のわっ!な、何だこれ! 天井まで積み上げられた黒い箱の数々! そして段ボール箱の山、山、山っ! そして、埋もれる様に座っている長門・・・ 長門っ!? -おい、長門!大丈夫かっ!?一体、これは何だ? 「・・・・。」 長門は無言のまま...
  • 缶コーヒー、ふたつ3
    昨日はハルヒを乗せて夢中で自転車を走らせた。 ハルヒはいつになくはしゃいで、俺もなんだかたくさん笑った・・・気がする。 だからだろうか。 今朝はヤケに膝の裏あたりと腹筋が痛い。 そして俺は今、もうすっかり馴染みになったこの坂道を登りきり、ハルヒとの待ち合わせ場所に向かっていた。 そのままでいい・・・か・・・。 ふと、昨日のハルヒの言葉を思いだした。 実は・・・いや、昨日の夜に考えたんだが、俺はこの2日間の出来事を無かった事にしようと思っていた。 別に努力して忘れようという事じゃない。 ただ、キスの事や告白(なんだろうな、この場合)の事が起こる前の状態に俺の意識を近付ける事が、ハルヒと自然に接する為には一番良い事だと考えたからだ。 それに・・・ハルヒもそれを望んでいる様な気がしたから。 しばらくして、俺は待ち合わせ場所の近くまでやってきた。 ハルヒの住む集合住宅に併設された...
  • 缶コーヒー、ふたつ6-7
    「暇潰し」という言葉を思い付くと、部室に足が向いてしまう・・・ 居心地の良さや仲間とのコミュニケーションを求めるというよりは、ある種の習慣的なものに背中を押されている気がする最近の僕だ。 そして今日も、暇潰しの為に部室を訪れる。 無論、特に用事があるわけでも無く。 -こんにちは。 「あら、古泉くん!」 ふむ・・・部室には朝比奈さんしか居ない様だ・・・と、すると長門さんは隣で涼宮さんとキョン君は出掛けたか? とりあえずは、会話を続けるとしよう。 -今日は、だれも居ないんですね? 「ええ、長門さんは隣に居ます。キョン君と涼宮さんは・・・買い出しに行きましたよ?」 -買い出し・・・ですか? 「ええ。部室に蓄えておいた食糧が底をついた、とかで・・・」 なるほど。 そう言えば、ここ最近で何回かキョン君と涼宮さんが、部室でカップ麺を食べて居るのを見た気がしたな。 ところで、僕は最近少し...
  • 長編・涼宮ハルヒ
    涼宮ハルヒ無題1 涼宮ハルヒ無題3 涼宮ハルヒの停学 涼宮ハルヒの改竄 涼宮ハルヒの入学 涼宮ハルヒの異変 涼宮ハルヒの悲調 花嫁消失 ハルヒの想い 世界の終わりに 涼宮ハルヒの赤面 ‐ 涼宮ハルヒの羨望 ‐ ハルヒの実験 涼宮ハルヒの秘密 プリンとケーキ 星に願いを 涼宮ハルヒの猛暑 涼宮ハルヒの結婚前夜 涼宮ハルヒの泥酔 長すぎる10分間 涼宮ハルヒの願望 涼宮ハルヒの憂鬱キョンとハルヒの絆 10月8日、曇りのち雨 閃光のハルヒ 涼宮ハルヒの預かり物 涼宮ハルヒのデート騒ぎ? それは誤解で勘違い 何よりも宝物 超能力 涼宮ハルヒの計算  涼宮ハルヒの嫉妬 ミニチュアハルヒ ベル 3点セット 涼宮ハルヒのネコ にわか雨の訪問者 ハルヒの寝言 涼宮ハルヒの独善(シュール・BadEnd?) 涼宮ハルヒの情熱  涼宮ハルヒの出産 あの日からの願い Amemorywithouttheend 涼宮...
  • 朝比奈みくるの放課後@コーヒーふたつ
    ━━━━━終業のチャイムが鳴ると、私は急ぎ足で部室棟へ向かいます。 なるべく、みんなよりも先に着いて、ストーブを灯けてからお湯を沸かして・・・ 別に、決められた事では無いのだけれど、ただなんとなく・・・ そして、いつもの服に着替えて、みんなを待ちます。 そんな私を見て「ミクルもよくやるねぇ~」と鶴屋さんは笑うけど、実は私・・・結構こういう感じが好きだったりします。 変・・・ですよね?━━━━━ 【朝比奈みくるの放課後@コーヒーふたつ】 部室に入ると、凉宮さんの机の上に置き手紙を見付けました。 『ちょっと、買い物に行ってくる』 と、いう事は・・・おそらくキョン君も一緒ですね・・・。 二人が連れ添って歩く姿を思うと少し羨ましくなるけど、最近は以前程切なさを感じなくなりました。 それに・・・私が存在する為には、二人にはこのまま寄り添っていて貰わなければならないし・・・あ!これ...
  • 凉宮ハルヒの暇潰@コーヒーふたつ
    ━━━━普段、「自習」となれば騒がしくなるこのクラスも、「試験の二日前の自習」ともなると流石に静かだ。 あの谷口ですら、神妙な面持ちで机に向かっている。 まあ、谷口の場合は中間試験が散々な結果だったから、今回で何とかしないと非常にマズい…あ、それは俺も同じか。 と、とにかく教室の中は試験前の張りつめた空気で満たされていたっ! …俺の後ろの席の約1名、ハルヒを除いて。━━━━━━ 【凉宮ハルヒの暇潰@コーヒーふたつ】 自習となった今の時間…四時間目が始まってから10分余りが過ぎた頃、俺の背中に予想通りの攻撃が開始された。 初めは間欠的に「チクッ、チクッ」、そして気付かない振りを続けていると「チクッ」は「ブスッ」に変わってくる。 まったく、ある偉人が「ペンは剣より強し」という言葉を残したが、ハルヒの場合は違う意味でそれを実証しかねない。 「ブスッ」とやられた時の痛みは、本気で殺意を覚...
  • 凉宮ハルヒの編物@コーヒーふたつ
    …━━━━もうすぐクリスマスがやってくる…。 …街中が恋とプレゼントの話題で騒がしい。 ところで…「手編みのマフラーとかセーターとか…貰うと結構困るよね…」なんて言う輩を希に見掛ける昨今…… 実を言うと俺は、そういったプレゼントに僅かながらも、密かに憧れを抱いていたりするのだった━━━━━… 【凉宮ハルヒの編物@コーヒーふたつ】 吐息も凍る様な、寒空の朝… 俺は、相も変わらずいつもの公園でハルヒを待っていた。 つい先程まで、自転車を走らせる事により体温を気温と反比例させる事が出来ていた俺だが、公園に辿り着いてから暫くの間に指先は痺れる様な寒さを感じ始めていた。 (まったく…こんな日に限って待たせる…) 大体…ハルヒの奴はいつもそうだ。 来て欲しい時に来なくて、来て欲しくない時に限って現れる… 「まったく…俺に何か恨みでもあるのか…」 「ん?何か言ったかしら?」 「…………へ?…...
  • コーヒーシリーズ
    [涼宮ハルヒ編]    朝起きるとハルヒが台所でコーヒーを煎れていた。おはよう、と朝の常套句を口にしながら俺はベッドから起き上がってハルヒの隣に並ぶ。 「あら別にまだ寝てていいのよ。今日は日曜だしね。コーヒーなら今持ってくし」    未だ寝ぼけ眼の俺は薄い意識の中で確かに俺が特にやれることはないと判断し、そうか悪いな、と言ってまたベッドに座る。    まもなくかちゃかちゃと静かな金属音を響かせながら両手にコーヒーを持ってきたハルヒは俺の横に座り片方のコーヒーを俺に差し出す。    コーヒーを飲むと体が内側から暖かくなっていく気がする。毎朝の習慣になってしまったこの短い二人のお茶会がなくては俺の朝は始まらないと言っても過言では無いと思う。 「新しい一日の始まりね」    ハルヒは穏やかに言ってカップに口をつけた。 「そうだな。新しい一日の始まりだ」    俺は穏やかに言ってカップに口をつ...
  • 凉宮ハルヒの休日@コーヒーふたつ
    ━━━━最近、冷え込みが厳しくなって来たせいだろうか、起きぬけの布団の中の温もりが愛しくてしょうがない。 目覚めてからの数分間の至福の一時・・・ そして日曜日の朝の今、俺はこの愛しき温もりを存分に堪能するのだ。 忙しい平日の朝には叶わない、細やかな贅沢。 しかし、この至福の一時には日曜と言えども、僅ながら制限が課せられている。 ほら、その『制限』が廊下をパタパタと走りながらそろそろ来る頃だ・・・ 朝のアニメを目当てに、無駄に早起きな『制限』がっ! ・・・「キョン君~おきろぉ~っ!」━━━━━━ 【凉宮ハルヒの休日@コーヒーふたつ】 俺は、毛布の裾を強く握りしめ、来たるべき妹の猛攻に備えた。 (だいたい「一緒にマイメロ観ようよ~」とか言いながら布団をひっ剥がすか、布団越しに俺の上に乗って飛び跳ねるんだよな・・・) ここで持ち堪えれば、昼までぬくぬくと布団の中で過ごせる。 俺は体制を...
  • 凉宮ハルヒの指輪@コーヒーふたつ
    ━━━季節が移り変わるのは早いもので、気が付けばカレンダーが最後の一枚になっていた。 俺の波乱万丈な2006年も、あと少しで終ろうとしている。 思えば、今年はいろんな事がありすぎた。 本当に色々と・・・ まあ、ハルヒと付き合う様になってからは、比較的に穏やかな日々が続いている気がするが。 そして、俺は今朝も早朝サイクリングの如くハルヒを迎えに自転車を走らせているのだ━━━━ 【凉宮ハルヒの指輪@コーヒーふたつ】 いつもの待ち合わせ場所に着くと、俺より少しだけ遅れてハルヒはやって来た。 しかし・・・何故か、私服だ・・・。 「おはよう・・・。」 -おはよう・・・どうした? 「うん・・・アタシ・・・今日は休むわ。」 -えっ? 「迎えに来てくれて悪いんだけどさ?ちょっとね・・・」 -あ・・・ああ、別に気にするな。それより大丈夫か? 「・・・。」 -ハルヒ? 「後で、メールする...
  • 凉宮ハルヒの奮闘@コーヒーふたつ
    では、行かせて頂きます。 今日はハルヒ視点で!なんとか15レス程に収まればいいんだけど・・・ ━━━━━突然だけど・・・とにかくアタシは授業が嫌いだ。 だから、なにかしら暇潰しのネタを見付けては、放課後まで一日をやりすごす。 前に座ってるキョンの背中をペンで突っついたり、背中にムフフな言葉を書いて困らせたり・・・も、いいんだけどね? あんまりヤリ過ぎると、本気で怒るのよ! だから何か他の事を・・・ そうね、最近は漫画にハマッてる。 なんてったって、読書の秋だし! 今日も五時間目から教科書でカモフラージュしながら「花男」を読みっぱなし! まさか、道明寺がニューヨークへ行っちゃうとは思わなかったわよ! つくしちゃんとの関係は、どうなるのかしら・・・ って、あれ? 気が付くと、授業はとっくに終わっていて、アタシ以外のクラスのみんなは居なくなっていた・・・。 不覚だわっ!早く部室に行...
  • コーヒーふたつ【another side】
    いや、なんというか・・・俺は昨日に続いてまたハルヒを『おひめさまだっこ』している。 雰囲気と勢いでハルヒを抱き抱えてしまったものの・・・ 先程交した会話が会話なだけに、なんともいえない心境だ。 ハルヒも同じ心境なのだろうか、黙って前を向いたままだ。 すると突然、ハルヒが何かを思い出したように・・・ 「ねえ、キョン。」 !? 「もういいわ、痛み止も効いてるし。歩けそう。」 あ、 あああそうか。 今ゆっくり、下ろしてやるから・・・。 俺はハルヒと並んで歩いた。 極力、ハルヒの歩くペースに合わせて。 しかし、あれだ・・・会話が続かない。 いや、続かないどころか気まずい沈黙のままだ。 何でも良いから話しを! 俺は、たいした話題も無いままハルヒに話かけた。 なあ、ハルヒ・・・ 「ねえ、キョン。『付き合う』って何」 え? 「私は・・・昨日気付いた。たぶんキョンが好き。今ま...
  • fly me to the moon(ffeatコーヒーふたつ)
    「じゃあな、ハルヒ。また明日、だ!」 うん、気を付けて帰るのよっ! ふと、公園の時計台を見あげると、もう九時近くになっていた。 これから帰るんだから・・・キョンが家に着くのは・・・十時近くかしら。 なんとなく、キョンが去っていった方向を振り返って見る。 いつも、ありがとう。 少しだけ呟いて、ハッとする! 何よ、アタシったら!まったく・・・ガラにもない・・・ 顔全体から耳たぶまで熱くなって、意味もなくアタシは家まで走った。 顔・・・というよりは頭の熱りが冷めないうちに、家には着いてしまった。 無理もないわね。 キョンがいつも送ってくれる公園は、アタシん家のすぐ傍なんだから。 玄関に近づくと、アタシは忍び足になる。 向かいのオバチャンが最近煩いのよね! 「最近、ハルヒちゃんの帰りが遅い」とか「男の子とお付き合いでも始めたのかしら」ってね。 もちろん、アタシに直接言ってくる訳じ...
  • 【三分間劇場@コーヒー】
    ━━━━季節外れな暖かい陽射しが、俺の座る窓際の席を心地よく包んでいた。 まったく…少し気を抜けば授業中の今でさえ、深い眠りに堕ちてしまいそうだ…━━━ 【三分間劇場@コーヒー】 俺は瞼の重さに耐えながら、必死に黒板を凝視していた。 いつもならハルヒが、後ろの席から何かと妨害工作を仕掛けてくるので、少しくらい眠くなっても直ぐに目が覚めてしまうのだが… 何故か今日は静かだ。 珍しく、真面目に授業を受けているのだろうか… だとしたら丁度良い。とりあえず後でノートを写させて貰うとしよう。 (普段、俺に散々迷惑をかけているんだから、それくらい当然だろ。) 俺は、とりあえずハルヒの様子を確認しようと、少しだけ体を捻って後ろの席に視線を送っ……あれ? (寝てやがる…。) ハルヒは机の下までヨダレを垂らしながら、マヌケな顔を右に向けて眠っていた。 まったく、たまに静かにしていると思えばコレだ…...
  • コーヒーふたつ【おかわり】
    俺も、お前の事が大好きだ・・・ 時が止まった気がした。 俺は・・・自分で言うのもなんだが、普段なら色々と考えてしまうと思うんだ。 ある意味、内向的なのかもしれないな。 ただ、今は一つの気持ちで頭の中が爆発しそうだ。 ハルヒが好きだ。 そして、欲しい。 ハルヒは黙ったまま瞳を閉じた。 トクン・・・トクン・・・ 二人の心臓の音だけがこの部屋を支配している。 俺はハルヒを抱き締めたまま、離す事が出来ないでいる。 そしてハルヒも・・・ 電気ストーブの灯りが揺れていた。 「ねえ・・・」 この部屋を、二人の心臓の音の支配から解放したのは、ハルヒだった。 あ、すまない。 慌てて離れようとする俺の腕をハルヒが再び抱き寄せる。 「私だって・・・」 何? 「私だって・・・男と二人きりで一晩過ごす事の意味くらい知ってる・・・。」 ! 俺は戸惑いを隠せない。いや隠せていな...
  • 【コーヒーふたつ最終話・SaveOurSouls】
    …━━━━━放課後、部室へ向かう廊下の途中… ふくれっ面のハルヒが、俺の横を歩きながら不満げに口を尖らせる。 「あーあ、寒いっ!寒いわね!建物の中でも吐く息が白いって、どういう事かしらっ?」 「俺に文句を言ったって、しょうが無いだろうが!」 「それに…あのハンドボール馬鹿のホームルームは長いのよ!たいした内容なんて無い癖に…」 (お前だって、早々とホームルームを終らせて欲しい理由になる様な用事など、特に無い癖に…) 俺はふと、そんな事を思い付いて「最近、本当に何も無いな…」と改めて思う。 「何も…」とは…他でもない『閉鎖空間』やら『なんとか思念体』やらの事だ。 もう何事も無さ過ぎて、最近では長門や古泉や朝比奈さんが普通の人間に見えてきた…。 でも…まあ、それならそれでいい。 特に何事も無く今年はこのまま…… そうだな、ハルヒの立てた計画の通りに忘年会でもやって…無事に正月を迎えたいものだ━...
  • 凉宮ハルヒの痩身@コーヒーふたつ
    11月も後半になると、さすがに冷え込む。 普段はそれほどお風呂に時間をかけないアタシでも、さすがにこう冷えると少しだけ長風呂になる。 でもね、よく「私、お風呂は1時間くらい入ってるの」なんてタワケた事をぬかす女子が居るけど、そればかりは何を考えてるのかサッパリ解らない。 時間の無駄よ!「時は金なり」って言葉、知ってるのかしら。 まあ、今日みたいな日は別だけどね。 ゆっくり温まらないと、寒さで感覚を失ってしまった足がどうにかなってしまいそう。 まったく、何で女子はズボンを履いて学校に行っちゃいけないのかしらね・・・。 あ。色々とくだらない事を考えていたら、のぼせてきた! 早く上がらなくちゃ。 お風呂から上がって、髪を乾かそうと洗面台の前に立ったアタシは、足元に見慣れない機械を見つけた。 てゆうかコレ、体重計?・・・にしては、訳の判らないスイッチがたくさん付いてるわね。 -母さー...
  • 1/365の一欠片 目次
    もくじ 「─…このSSは──…本スレでもらったお題を元に─…作られたSS─」 「作者の技量があれなので、タイムパラドックスを発生させたり無知を晒す部分があるかもしれないが、気にせず読んでくれ」 「まぁ『馬鹿がなにかやってるよ』くらいの気持ちでいいんじゃないか?僕には関係ないがな」 「とりあえず楽しんでもらえばそれでいいのです!」 ひとつめ 「寝起き」 ふたつめ 「暇」 みっつめ 「コーヒー牛乳」 よっつめ   「バター」 いつつめ   「CoCo壱番屋」 むっつめ   「東北三大祭り」 ななつめ 「毛布」 やっつめ 「CoCo壱番屋を舞台にした超絶なる純愛ラブロマンス」CP指定あり 古泉×国木田 ここのつめ 「マフラー」 じゅっこめ 「ドライヤー」 じゅう+ひとつめ 「カーテン」 じゅう+ふたつめ 「転校」 ...
  • 題名付き・普通短編2
    ある晴れた休日(キョン&古泉) 「LOVE」 お客様は宇宙人 ドライブ セリフ九割で展開してみた~こいずみくんはガチじゃない~ エンドレス・エラー 蝉しぐれ Kへの挽歌 カミングアウト・パニック スマイル 台風の溜息 涼宮ハルヒの創世秘話 一万年と二千年前から キョンの評価 普通?の高校生の会話 長門さんはロッテに興味を持ったようです。 コーヒーシリーズ 機関の事情 酒乱女 前兆 キョンの子育て奮闘記 彼は団の緩衝材 『ビール×月見酒×オールスター球技大会ポロリもあるよ』(喜緑さん×生徒会長) 生徒会長の不良3人の倒し方 古泉一樹の苦笑 燃えろ!球技大会! やや黒古泉 切ない同窓会 白雪姫の真相 彼岸花……その花言葉は…… ちょっとみくる救済保守 ある曇った日のこと 無限輪舞 マッガーレで保守 古泉一樹のピロートーク もしくは、長門有希と古泉一樹の作戦会議 早すぎるリハーサル。 恋ってな...
  • 普通の短編置場
    ここには普通の日常系とかのSSを置いてください。   1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25   26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50   51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75   【題名付き・短編保管庫】 1 2   小説 Please tell a final lie こわれてしまった少女のはなし 五月の風、ふぁいなる 艦長ハルヒ保守 寝ぐせ byキョン 長門有希のカラオケ 谷口と国木田の恋 長門有希の密度 ある日の活動 スタンド・バイ・ミー うちゅうせんそう ...
  • 雨がすべてを
    ※この作品はそれぞれの愛のかたちの続編に当たる作品です。 北高を卒業してから二度目の夏を迎えたその日、あたしは集合場所の光陽園駅前の公園へと急いでいた。 今日は、あたし達が卒業してから、初めてのSOS団の再活動の日である。本当であれば大学一年の夏か冬に帰って来る予定だったのだが、あたしの思うところがあって、帰って来れなかった。 大学生活も一年と四ヶ月が過ぎ、大学生活にもなれてきたため、みんなの近況が知りたくなって今回のSOS団の再会を思いついたのだ。 副団長の古泉くんに連絡をとると「わかりました、みんなとの連絡や手はずのほうは僕のほうでやっておきます」との返答が帰ってきて、あたしが帰ってくるときには、準備はすべて整っているとの連絡があった。 さすがに古泉くんは頼りになるわね。副団長に選任したあたしの目にくるいは無かったわ。 あたしが集合場所に着いた時、有希とみくるちゃ...
  • Any day in the rain.
    必要なもの、必要の無いもの。     本。 必要なもの。 絆。 必要なもの。 時間。 必要なもの。 仲間。 必要なもの。     ――朝倉涼子、彼女はどうして消えてしまったの? わたしが消したから。 ――どうして? 暴走した、もうバックアップは無理。必要が無くなったから。 ――必要が無くなったから、消したの? そう。 ――どうして? 必要が、無くなったから。 ――本当に? そう。       涼宮ハルヒ。SOS団団長。自律進化の可能性、黄色いカチューシャ。   彼。SOS団団員その一。鍵、たいせつなひと。   古泉一樹。SOS団副団長。超能力者、笑顔。   朝比奈みくる。SOS団団員その三。未来人、胸。     わたし。 ――わたしは、なに?     「やっほー! みくる居るー? ってあれ? 長門っちだけ?」 鶴屋さん。SOS団名誉顧問。いつも元気の良い一つ上の先輩、八重歯。 「明日の掃除...
  • 朝比奈みくるのブラックコーヒー
    『朝比奈みくるのブラックコーヒー』 ――こぽこぽこぽ。  あたしはいつも通り、部室のお茶くみ係としてがんばっています。皆さんこんにちわ。朝比奈みくるです。  ところで最近、あたしには気付いたことがあります。  アタシオワッテマス?  あたしだって、未来から来たって以外は花の女子高生です!だから恋の一つや二つ体験したいんです!  でも皆さん、考えてみてください。……みくキョン小説ってありますか?  みくキョンじゃなくてもいいです。古みくでも国みくでも、この際谷みくでもかまいません。……あたしの恋愛小説って読んだことありますか?  ええ、ハルキョンならたくさんあります。長キョンだって次いでおおいですよね?他にも古長、キョンオリ、この世界の創造主(作者)にいたっては佐々キョンまで執筆してるんですよ!?  しかしです。  なんであたしだけ恋愛ヒロインになれないんじゃー!!  だから朝比奈み...
  • 機械知性体たちの即興曲 第五日目/夜・前編
    機械知性体たちの即興曲 メニュー http //www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5972.html   □第五日目/夜・前編 マンション1F。エレベータホール ――ちーん にゃがと    「カサすげー」 にゃがと    「……たしかにあちゃくらりょうこが、そう評価するのも理解できる」 にゃがと    「こうまであっさり外に出られるとは」 にゃがと    「(キョロキョロ)」 にゃがと    「管理人もいない」 にゃがと    「……白い悪魔(訳注:例の白いネコ)もいない模様」 にゃがと    「……仲間を求めて、れっつご」(ボテ) にゃがと    「…………」(キョロキョロ) にゃがと    「転んだところは、誰にも見られていない。問題ない」(ムクリ……トテトテ)     本屋 みくる         「(料理本を立ち読み中)……うーん」...
  • 1/365の一欠片 みっつめ
    目次 ミルメーク。 知っている人は知っていて知らない人はとことん知らないというこの物体。 「僕の地域ではココアパウダーだったんですけどね」 そんなものもあるのか。 「えぇ。まぁ作り方はミルメークと同じだと思いますが…聞いた所によると抹茶きなことやらもあるらしいですよ」 とりあえずなんでミルメークの話が唐突に始まったかと言うと、妹が給食で残してきたのを思い出して 「そういやミルメークとか懐かしいなぁ」 なんて呟いたところ 「おや、久しぶりにミルメークという言葉を聞いたような気がしますよ」 と、古泉が食いついてきたので、そのまま同じく部室にいる朝比奈さんと長門をそっちのけで語り合ってるわけで。 「よく一気にドバッと入れて溢れさせる奴とかいたよな」 「そういうのを防ぐためにあらかじめ少し飲んでおく方もいらっしゃいましたよ」 あぁ…あったなぁそんなのも… 「あ、あのぉ…...
  • 遠距離恋愛 第二十四章 約束
    第二十四章 約束   「お疲れ様でした」 検査室脇の長いすに座って先ほどの事を思い出していると、古泉が缶コーヒーを持ってやってきた。   「どうぞ」 「おう、サンキュ」 今日2本目の缶コーヒーだが、旨かった。この時期は、やっぱり温かい飲み物に限るね。   「流石ですね、あなたという人は」 「……何のこった」 「いえ、我々……いやこれは『機関』だけではありません。長門さんですら為し得なかったことを、あなたはあっさりとやってのけたのですから。地球を代表して、お礼を申し上げます」 「……私は宇宙の代表として、あなたに礼を述べたい」 古泉は俺の前に立って深々と一礼した。俺が驚いたのは、長門もそれに合わせてお辞儀をしたことだ。 古泉の大げさな身振りと芝居がかった台詞回しには慣れていたが、長門がそれに付き合うとはな。 ……待て、宇宙の代表?何のことだ?俺はただ、ハルヒを閉鎖空間から連れ戻しに行っただ...
  • サムナンビュリズム前編2
    翌朝、俺は七時にセットしておいた妹目覚ましに物理的な衝撃でもって起こされた。 朝の慌ただしいいろいろを済ませ昨日の夜に準備しておいた服に着替える。   時計を見ると七時半を少しまわったくらいだ。   我ながらここまでは計画通りに進んでいる。この分なら八時には駅前に着くだう。 さすがにあのハルヒでも一時間も前から駅前で独り突っ立っているような愚行は犯さんだろうから、俺の罰金刑放免はすでに確約されたも同然、 ……のはずだったんだが、いつもと変わらないオーダーをしているのは何故なんだろうね。 さすがにここまでコーヒー一本にこだわり続ける客は俺くらいしかいないんじゃないのか? まあそんな他愛もない疑問はどうでもいいとして、ハルヒ、お前いつから駅前にいたんだ?   「さ、さっき着いたばかりよ!」   ということは、俺はすんでのところでコケたのか! くそ、我ながら情けない。   「それよりキョン! 今...
  • 「辞書」「手紙」
    文字サイズ小だと上手く表示されると思います        珍しい事もあるもんだ。  休み時間の教室、立てつけの悪い引き戸の横に立っているそいつの顔を見て、俺はそんな事を思った。  営業スマイルを浮かべつつ、クラスの女子の視線をさりげなく集めているのは自称、超能力者の古泉一樹。  お前がこのクラスに来るなんて初めてじゃないか? 「そういえばそうでしたね。実は、ちょっとお願いがありまして。英和辞典をお持ちでしたらお貸し願えないかと」  英和? ああ、ちょっと待ってろ。  俺は一度として使われる事無く、新品同様で眠っていた辞書を机の奥から取り出してきた。  よかったな、出番が来て。このまま古紙回収に出される運命だったんだぞ、お前。 「助かりました」  気にすんな。  古泉は笑顔で辞書を受け取ると立ち去って行き、俺は代わりにクラスの女子に囲まれてあれは誰なのか彼女は居るのか 趣味は部活は? と問...
  • HERO
    文字サイズ小で上手く表示されると思います  甘甘甘より    例え話をするにしても、こんな事を話題にするのは趣味じゃないんだが……あいつの姿を 見ていると本気でそう思うことがある。  なあ古泉。もしも自分が犠牲になれば世界を救えるとしたら……お前はどうするんだ?    昼休み、なんとなく部室へ行こうかと歩いていた俺が見たのは、左腕を包帯で吊って歩いて いる古泉の姿だった。遠目に見ても添え木と一緒に巻かれた左腕は、普段の倍程の大きさにな ってしまっている。  古泉、その腕……。  そう言いながら近寄った俺を見て、古泉が一瞬気まずそうな顔をしたのを俺は見逃さなかっ た。  その顔はすぐに消えたものの、いつもの営業スマイルはどことなくぎこちない。 「やあ、どうも。……実は階段で転んでしまいまして。見た目は大げさですが、それ程酷い怪 我ではないんですよ」  そうか、それは不幸中の幸いだな。っ...
  • どんでん返し
    今日も今日とて放課後に日課となった部室への散策を繰り広げる俺。 踊り場を抜け旧館に向かおうと階段を下りていた。 とそこに、長門の姿があった。 しかもずぶ濡れだった・・・。 おい長門・・・どうしたんだ? 「・・・なんでもない。すぐに乾燥させる。」 床を見て見ると、流れ出た水と、 からになって横に転がっているバケツが見えた。 長門、それ、だれにやられたんだ・・・。 「・・・答える必要は無い。」 長門っ・・・! 睨み付ける俺の気迫を察してたのか長門は無表情のまま答えを示してくれた 「彼女は名前は答えられない。この時間平面状では、朝比奈みくると呼ばれる存在。 私が貴方に好意を寄せていると勘違いし、罵倒した後水をかけられた。」   俺はその名前を聞いた瞬間、頭が真っ白になった。 …っ・・・朝日奈さんが?何かの間違いじゃないのか? 「・・・間違いではない。この時間平面状の朝比奈みくるで間違いない。」 ...
  • 家族の絆
    悪くない家族計画の続きです。 まだか……。ちくしょう。 なにも出来ない自分の無力さに苛立ち、腹が立ってくる。 くそっ、ハルヒはあんなにも苦しんでいるってのに……なにか出来ることはないのか……。   有「おとうさん。」   キ「…っと、すまん、なんだ?有希。」   有「…落ち着いて」   そこで、今、自分が意味もなくウロウロと歩き回っていることに気が付いた。 さっきまでそこの長椅子に座っていたばずだったがいつのまにか立って歩き回っていたらしい。 そんな自分の行動にも気が付かないほどおれは落ち着きを無くしていた。   今、おれと有希は病院にいる。そして目の前にある扉の向こうにいるハルヒのことを案じているわけだが、 別になにか大きな怪我をしたとか病気なわけではない。扉には分娩室と書いてある。 そう、おれと有希はハルヒとおれの子供が産まれてくるのを今か今かと待ちわびているわけだ。 ふぅっ…。ひ...
  • 機関の推測
    【このSSは「疑惑のファーストキス」の続編です】   「はっきり言いましょう。  いい加減にして下さい。  我々『機関』だって、貴方と涼宮さんのプライベートに踏み込みたくはありません。  ですが、貴方の特殊な性的嗜好のために世界が崩壊することは避けていただきたいのです」 「あのぉ」 朝比奈さんがおずおずと手を挙げた。 「『とくしゅなせーてきしこー』って何ですか?」 朝比奈さん! けがれ無きあなたが、変態・古泉の話など聞いてはいけませんよ! 俺の血を吐くような叫びはまるっきり無視され、古泉はマイエンジェルの耳元でゴニョゴニョと話し始めた。 まるで、硫酸にひたしたリトマス試験紙のように、朝比奈さんの顔が見る見るうちに真っ赤に染まっていった。 「キョ、キョン君って、ヘ、ヘンタイさんだったんですね」 朝比奈さん、言い方は大変可愛らしいのですが…… おいこら、古泉、てめえ、俺の朝比奈さんに何を吹き込...
  • 国木田の驚愕・前編
    …さて今の状況を説明しなければならない。こういう時はまずいつ・どこでを明らかにするのが正道だろう。 放課後、文芸部室だ。大体のイベントはここで我らがSOS団団長によってもたらされるが、 今回ばかりはハルヒも原因のほんの一端を担ったに過ぎず、 本日のイベンターの言葉に元々規格外にデカい口と目を更に拡張している。 つまり驚愕してるって事だ。 かく言う俺も予想だにしなかった真相に驚きを隠せない。 落ち着いて見えるのは…トンデモ三人組だけだ。 今回のゲスト、鶴屋さんは大口開けて爆笑しているから落ち着いてない方に分類するべきだろう。 三人組?朝比奈さんは卒業しただろう? ごもっともな指摘だ。だが、卒業したからといって涼宮ハルヒが彼女を解放すると思うかい? SOS団専属メイドたる彼女は団活には自由参加でいいとの辞令を受けながら、定期試験の時期以外はここで給仕してくれている。 しかし、それにして...
  • 嘘から出た松茸
    ※このお話は『渋皮やさしく剥いたなら』の後日談です※  女心と秋の空、とはよく言ったもので。妙に暑いなと思ってたら急に肌寒くなったり、はたまたジメジメとした小雨が長く続いたりもする、そんな季節の頃。  要するに秋の半ばだな。空を覆うように広がるいわし雲の下を、俺はハルヒ宅に向かって自転車を走らせていた。別に呼び付けられた訳でもなけりゃ、大した用事でもない。単なる気まぐれと言うか、たまにはちょっとしたプレゼントでもあいつにくれてやろうかと思ってね。お、見えてきた。  ハルヒの部屋の窓の端で、白いレースのカーテンが揺れている。日曜の昼下がりだし、もしかしたら家族で出掛けてるかも、なんて可能性も考えていたが、どうやら都合よく部屋に居るみたいだな。よしよし。  路傍に自転車を停めた俺は、そよ風にふわふわ揺れるカーテンを見上げながら、ピッと携帯のコールボタンを押した。 「あによ、キョン。何...
  • 柑橘空にレモンのあわを
     旨そうだと言われればそう見えなくもない、歩みを止めて青へと移り変わるのを待ってしまいかねない原色を放ったそれを笑顔で咀嚼し続ける目の前のカラーコーディネーターに向かって、俺は折衷案を投げ掛けた。 「とにかくだ。お前の料理があらん限りの試行錯誤の末に生み出されたシロモノだということは解った。それは素直に評価したい」  そう切り出した俺の顔色を尻目に、なおも咀嚼を続けている自称料理の鉄人。判定をフランス語で行えと言わんばかりに、その丸い瞳に僅かな鋭さを乗せつつ口を開く。 「あら、不満足だった? あたしには充分美味しいんですけど」  などと嫌味を吐きながら舌づつみを打っているこいつとは裏腹に、俺の真っ赤な顔はもはや戦隊ヒーローのリーダーさながらである。なんせ素顔が赤いんだから変身の必要すら無い。  かと言ってビームも出ないし合体もしないし、怪人はおろかそこらのノラ猫にだって勝てるかどうか...
  • 前髪に揺れる四ツ葉ふたつ
    放課後、弱いながらもそこそこ心地良い日差しが照らす、 隙間風で冷えきった廊下を俺はSOS団アジトへと向けて歩いていた。 扉の前に着いたのでノックをする。 朝比奈さんが既に来ていて、衣装に着替え終えていれば返事があるはずだ。 が、返事が無いまま十秒が過ぎた。 「誰もいないのかー?」 扉を開く。 こう聞いておきながら、 まあ長門はいるだろうな、あいつはノックがあっても返事しないし、と他の誰よりも先に部室に来て、 文庫本を読んでいる唯一の文芸部員の存在を半ば当然のように考えていたのだが。 「あれ、マジで誰もいねえ…」 この状況での発言は独り言にしかならないのだが、無人の部室を見て俺は思わずそう呟いた。 おお、市内探索では毎回ビリ尻のこの俺が今日は部室一番乗りか。 と、妙な事に心動かせられていると、ああ、一番乗りじゃないのか、長門の特等席に鞄が置いてあった。 名前が書いてある訳でも、目印にキーホル...
  • 古泉一樹の私情
    今、目の前で得体の知れない巨大な怪物が暴れている。…「神人」。 暴れるたびに周囲の建物が破壊されていく。 初めてこの光景を目の当たりにしたとき、この状況をうまく説明できる言葉は僕の頭脳には存在しなかった。  僕は今、仲間たちと共に、暗闇の中で必死に抗っている。 暗いのはここが真夜中だからというわけではない。確かに時間的には夜。でもここではそんな常識は通用しない。 そう、ここでは常識なんて無用の長物なんだ。 宇宙単位で考えればこんな矮小な存在であるはずの人間。そしてその中でも僕の存在なんてどれだけ小さいものだろう。 そうであるはずの僕にも、ここでは人を超えた力を有することになってしまう。 もう何度目になるのか。だが、ここ数ヶ月で確実に機会は減ってきている。このまま徐々に減り、ついにはなくなってしまえばどれだけの人間が救われることだろうか。 …そんなことを考えいるときでもないか。 ...
  • ハルヒがニート略してハルヒニート
      ハルヒがニート略してハルヒニート     その1   その2   その3   終章・前編   終章・後編          
  • 魔法少女フェアリーユキ
    魔法少女フェアリーユキ(合作) ・前編(◆Gzo5DAjIoE) ・後編(◆Etq65eJh4c)
  • 長門の湯
    『長門の湯』 なに、給湯器が壊れたから風呂には入れないだって。 なんてことだ、一日の疲れを癒すべくささやかな楽しみにしていた風呂に入れないとは、許しがたい暴挙だ、責任者、出て来い! と、ぼやいたところでどうしようもないが、ぼやかせてくれ。 「キョンくーん、行こうよー」 しかも、妹を連れて銭湯に行け、とは、うちの親も無茶なことをいう。なんだかんだ言ってもあの妹だって、すでに男湯には入れないような年頃だから、なにも俺が連れて行くこともなかろうに。 まぁ、いいか。たまには銭湯の大きな湯船にゆっくりつかるのもいいだろう。 そういえば、銭湯などというものには長らく行ったことがなかった。昔行ったはずの近所の銭湯も当然のように廃業して今はマンションが建っている。 しかたなく俺は、初めて銭湯に行くことにやたらとうきうきしている妹を連れて少し離れたところで今も営業をしている銭湯に向かってチャリンコを転...
  • 長門有希の贈呈
    コーヒーの香りが部屋を包む 目が覚める、もう既に日は昇ったらしく、鳥が鳴いている、ああ、朝だ。 そこまで考えて、今は何時だと思った。 いつもは、そう。 7時に目覚ましがなって・・・ 冷や汗がタラリと流れ、おそるおそるアナログの時計を見た、8時52分。 瞬間3つの事が頭に浮かんだ     1 「会社へ出勤しなければならない」   となると、当然。目覚まし時計をセットしていたであろう7時に起きて8時に家を出、そして電車に乗らなければならない。 さて今の時間は? おっと、1分進んでしまった様だ。 8時53分。 会社間に合う?無理   2 「ええい、遅刻して怒られるくらいならいっその事今日くらい有給取って休んじまえ」   となると、当然。会社へ連絡しないといけないわけで。 有給というものは、事前に申告さえすれば誰でも取得できるわけだが あの部長がそれを許すだろうか 風邪引いてるんで…と、この間似た...
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