涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki内検索 / 「雄猫だった少女~永久二君之唄~ 分岐その1 ~魔女夜会章~第一話「追跡視線」」で検索した結果

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  • 長編・キョン3
    ...になったんだってさ 雄猫だった少女~永久二君之唄~ 素直な気持ち DVD 着信あり? それは部活? 逃亡者 Golden week デートデートデート last school days Sing in Silence~涼宮ハルヒの融合(仮)~ 縁は・・・ キョン1/2 間違いだらけの文化祭 涼宮ハルヒの交流 30分で会いにきて 北高の七不思議 涼宮ハルヒの驚愕(※) to you 植物園でお茶を 涼宮ハルヒの本当に憂鬱リメイク「たいせつなもの」 家庭教師 牧場に行こう! SOS団プレゼンツ 第一回 涼宮ハルヒ争奪戦 公園から自宅まで (未完?) 雨の日は 感情と距離は反比例する? 涼宮ハルヒの糖影 失って気づく幸せ とある日曜日の出来事 隣にいる日常 キョンがヤンキー略してヤンキョーン 涼宮ハルヒの約束 涼宮ハルヒのダメ、ゼッタイ (麻薬ネタ注意) キョンの閉鎖空間 見つめていたい...
  • 機械知性体たちの狂騒曲 メニュー
      □『機械知性体たちの狂騒曲』    機械知性体シリーズの解説はこちら。  http //www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5979.html   【あらすじ】  情報統合思念体・急進派インターフェイスの朝倉涼子は、自身の暴走行為により、主流派端末である長門有希と対立。  激しい戦闘の末、有機情報結合を解除され(主原因、頭突き)、消滅した――かのように思われた。    しかし、朝倉涼子は用意周到に自身のバックアップを保存。  それにより端末本体を再生したのだが――。   そこに現れたのは、人形サイズに矮小化され、能力も制限された不完全な体だった。  こうして「あちゃくらりょうこ」は誕生し、主流派の長門有希に保護(厳密には捕獲)され、共に七〇八号室で暮らすことになるのであった。    そして始まる、のんきで、能天気で、ほのぼのとした、幸せな生活。  これまで...
  • 失ったもの・得たもの
      なんでこんなことになっちまったのか、今はもうわからない。わかりたくもない。   ハルヒはこういった。 「面白そうだから」   古泉はこういった。 「涼宮さんがそう望んだので」   長門はこういった。 「私はこの件に介入しない。だからあなたを助けることもしない」   朝比奈さんはこういった。 「私の観察対象はあくまで涼宮さんです」   鶴屋さんも谷口も国木田も…家族でさえもはや俺にとっちゃ敵だった。 四面楚歌の意味の本質を初めて理解し、同時にハルヒの力の怖さもよくわかった。 まさかこんなことになるなんて、初めは誰も思っちゃいなかっただろう。 気づいたらそうなってて、それはやり直しがきかないことだった。それだけのことだ。 仮にやり直しがきくならば、前の俺はそのために動いたことだろう。 だが今の俺はそんなことは望んじゃいない。そんなことはもうどうでもいいことだ。 頭に浮かぶのは復讐、復讐、復...
  • Lolita's Love Complex  第一話「My little lover」
    「キョンくん、おっはよー!!朝ご飯できてるよー!!」 「ぎ・・・ぎがああああああぁぁあああっっっ!!??」 妹の目覚まし”シスターズボディープレス”で叩き起こされた俺はその衝撃に死ぬかと思った。 俗に言う朝立ち。その状態のアレの上に乗ってきたのだ。もう、痛いのなんのってない。 そう、何が起きたか解らないような痛みだったのだ。 「あぁああああぁあああああぁぁぁぁぁああぁぁぁ・・・・・・っっっっっ」 急速に、意識が薄れていく。 「どうしたの!?大丈夫!?」 妹が凄い慌てた様子で俺を揺さぶる。 「と、とりあえず・・・大丈夫、だ・・・・・ガクッ」 「キョンくん!?キョンくんっ!キョンく・・・キョ・く・・・キョ・・・・・」 よっぽどの激痛だったに違いない。 俺は、そこで意識が途絶えた。           そして、目覚める事はなかった。 死因「シスターのカールイス」 BAD END   第一話「My...
  • Break the World 第四話
      第四話 ― 笑顔 ―  沈黙が3人の間を支配する。それがどれだけなのか、わからない。  一秒とも一分とも感じられる重い空気を破る一言が、飛び出した。 「あたしが選ぶのは…………」 「こっちの世界の存続よ」  …………  ……  …  こっちの世界?ハルヒがさっき言ってた事と違わないか? 「……本当に良いのだね?」   代弁者 が改めて確認するように訊いてくる。 「二度も言わせないで。あたしはこの世界を残したいの」 「……わかった。繋がっている最後の力はこの世界の保全に回そう」  ふう。と 代弁者 が息を漏らす。 「力と君達が途切れた時点で君達は消える事になる。時間はあと僅かだ」  俺は呆然としてハルヒの横顔を見ていた。しばらくして俺の視線に気付いたのか、  ハルヒも俺の顔を見る。 「これでいいのよ」  宣言するかのようだった。何を思ってそう言ったのか確かめる術はないが。 「でも、本...
  • 「秋雨」「春雨」
     吹き抜ける風も寒くなってきた11月、俺は親の命を受けて映画の時に――勝手に――使ったあの神社へ向かって歩いていた。   素人目には過疎にしか見えないあの神社は、親曰く地元では地味に人気らしくこうして年の瀬まで一月以上前でもなければ絵馬を 描いてもらえないんだとさ。絵馬なんて物は別に妹の落書きを置いといたとしても差ほどご利益に差があるとは思えないが、 ここで無駄口でも叩こうものなら年末に向けた家の掃除に駆り出される事は目に見えている。  さて、無駄な事を考えているうちにようやく神社が坂の上の方に見えてきたようだ。  なんでこんな高い場所に神社なんて作ろうとおもったのかね? まったく。  道は舗装された歩道から石段へと変わり数分後、ようやく辿り着いた神社はやっぱり過疎だった。絵馬が人気なんてのは内の 親の妄想なのではなかろうか。もしくはそうあって欲しいという希望とかさ。  社務所の中からでて...
  • スノースマイル・バースデイ8
    ―――ひとひら春の日に舞い降りる、それは、雪のように。 奇蹟はありふれて此の世に降り立つ。 綺麗に晴れた水色の空が、世界に被さる様に続いている。吹き寄せる優しい風には、寒さを抜け切れない冷たさをも和らげる、柔和な春の光が溢れている。 見知らぬ僻地、見知らぬ定刻。 向き合う少女と少女が、出遭った。一人はまだ彼女自身の名を獲得する以前、一人は幽霊を自称していた為に、名を明かしはしなかったのだけれど。 「どこへでも行くことはできます。あなたの行きたい場所はどこですか?」 天使と見紛う、清純で愛らしい笑顔を、幽霊の少女は表情を作る機能のない少女に与えた。少女は生み出されて間もなくであり、人との直接的な接触は初めてのことだった。無機物の如く、彫像のように立ち尽くす彼女を諭すように幽霊の少女は告げる。何もかもを終えて遣り切った事に対する誇らしげな瞳が、長らく共闘し触れ合い、歩んで来た者に対し...
  • スノースマイル・バースデイ5
    わたしには行く充てがなかった。 わたしには名がなかった。 名のないわたしは虚無であり、其処に在ることも認められない異端だった。 ――名前がないから幽霊なのだと、少女は告げた。微笑んだ少女はわたしを知っているようだ。銀河系に分布する闇の様にくっきりとした黒い瞳が瞬いて、星屑の発光の様に極小の瞳孔が同意を求めわたしに迫った。 「あなたも同じでしょう」 そうかもしれない。わたしは確かに幽霊だった。幽霊と会話する幽霊は、わたししかいなかった。 「どこへでも行くことはできます。あなたの行きたい場所はどこですか?」 義務。役割。意味。存在の証明。第一に掲げねばならぬもの。持っていた筈の答えを、少女が明かす。わたしに彼女が翳してみせる。 風が温かく、日差しは柔らかだった。わたしは微睡みに落ち掛けていた眼を覚まされた。美しい水色の空に、銀色の光を少女は与えてくれたのだ。 「××××へ行こうと思って...
  • 女古泉'ちゃん'の憂鬱 第四話「Missing 神隠しの弾語り(改訂版)」
    「おはようございます~・・・あれ? 森さんと新川さんと、多丸さんと・・・ってみんな居ないですね」 朝起きて機関メンバーの溜まり場、通称「ニャッピー・イン・ザ・ワールド」に来たら誰も居ません。 「おいおい、俺は無視かい」 「・・・誰?」 「ラムゼイ機関のリヒャルド・ゾルゲだ」 「その機関じゃないです、ここはー!!」 だいたい1944年に処刑されてるし、戦後埋葬されてるじゃないですか。 つまりは、死人じゃないですか。 「俺はー墓場から蘇ってー」 「はわ、はわわわわぁ! あ、悪霊退散悪霊退散! ドーマンセーマン!!」 「はっはっはっ。まず少女よ、落ち着―――」   ドスドスッ。グチャ。バキバキバキバキバキ。 ・・・・グキッ。ドサッ。     第四話「Missing 神隠しの弾語り(改訂版) 」     多摩基地あたりに再び埋葬し合唱した後、僕は機関に戻った。 それにしてもどこに行ったんでしょうか...
  • 白有希姫 演劇篇
      第一章 プロローグ   「昔、白雪姫というとても美しい王女と、深い谷に住む魔女が居た。魔女は、自分が世界で一番美しいと信じており、彼女の持つ魔法の鏡もそれに同意したため、満足な日々を送っていた。」   このナレーションの語りは国木田。そして文章はウィキペ○ィアから参照したものである。   「『鏡よ鏡よ鏡っ!世界でいっちばーん美しいのは誰かしら?』」   体育館、ステージから見て右側の大きなスクリーンに谷口の顔が映し出される。いいなあ、こいつは出番が少なくてよ。   「『それはもちろん涼み…魔女様に決まってるでしょー。』」   こいつ、ちゃんと練習してきたのか?   「白雪姫が16歳になったある日、魔女は魔法の鏡にもう一度問いかけた。」 「『ちょっと!かがみ!世界で一番美しいのは誰かしら?』」 「『それは白有希姫でございますー。』」 「『なんですって!?聞き捨てならないわ、今すぐ白有希...
  • Close Ties(クロース・タイズ) プロローグ
    Close Ties(クロース・タイズ) プロローグ      暗くなった部室に私は涼宮ハルヒと二人きりでいた。なんとも珍しい状況だ。  部活時間は過ぎ、下校を促す放送も流れた。 「アタシは、その…そんなつもりで質問したわけじゃないのに…」 「私は確かに古泉一樹の気遣いには感謝している。でも、彼に対して特別な考えを抱く事はない。それは誰に対しても変わらない。だからあなたも安心して欲しい」  昨日、私は一人図書館で、本という装丁からして芸術的で美しい記憶媒体が多数保存されている空間からの帰り道で古泉一樹と出会い、歩いていただけだ。私の居住地を教えておいた方が良いと判断したためである。  しかしその姿はクラスメイトに目撃され、私は同級生から何故一緒にマンションへ入ったのかと質問攻めにされるという非常に面倒な状況に陥ってしまった。感謝の印としてお茶を振る舞うのはおかしい行為なのかと質問し返した...
  • 『God knows』 序章
    『God knows』 ~序章~ こりゃ参ったな。 俺は朝比奈さんに抱きつかれてワンワン泣かれている。 場所は長門の家の近くの、いわゆる【いつもの公園】だ。 何故こんなことになったんだ? 俺が泣きじゃくっている朝比奈さんに代わって今聞いた話を話そうか。 「………待って。」 な、長門!? なんでここに!? 「そんなことより、朝比奈みくるは一番重要な部分を話していない。」 朝比奈さんは泣くのをピタッと止めて、 「……………っ!?な、なな長門さん!それは……ダメですっ!」 焦っている。気になるな。 俺は長門に、 「頼む。」と伝え、朝比奈さんを抱き寄せた。 「ふ、ふえぇぇっ!?」 長門が語ったのは、部室でのハルヒを含めた3人の会話らしい。 「な~によ、みくるちゃん。あたしの顔に何かついてんの?」 「い、いえ!!ご、ごめんなさい……。」 「冗談よ。なにか聞きたいんでしょ?早く言いなさい。」 ...
  • 銀河SOS伝説~射手座の光芒~ 
      「このSSは射手座の日の戦いを銀河英雄伝説風にアレンジして、独立させたものよ。何を言ってるか分からない?あたしにも分からないわよ!」 「まあ、そのおかげでオリジナル設定、オリキャラの祭りになってしまったわけなんだが」 「一応銀河英雄伝説を知らなくても読めるはずですが、苦手な方はマッガーレしてください」 「ところで、銀河英雄伝説って何なんですか?」 「久々にワロタ。銀河英雄伝説を知らないとは(AA省略)」 「きゃっ!?」 「ちょっとあんた、みくるちゃんに何すんのよ!」 「落ち着けハルヒ。この方は銀河英雄伝説に出てくる下種…ではなくハイドリッヒ・ラング氏だ」 「はあっ!?」 「より詳しい銀河英雄伝説の情報は こちら をどうぞ。ちなみにハイドリッヒ・ラング氏は先のAAのような人物ではありません」 「実は不肖新川は銀河英雄伝説のアニメに(中の人が)出ていましてな」 「わしもマンションの管理人...
  • 『きっかけ』
    『きっかけ』   いきなりだが、俺がハルヒと結婚することになったきっかけを話そうと思う。   受験も近い三年の秋のある金曜日のこと。   俺の下駄箱にはノートの切れ端が入っていた。 『放課後誰もいなくなったら、三年一組の教室に来て』 明らかに見覚えのある字で書いてあった。何であいつがこんな面倒なことを。   放課後   誰がいるかわかっていた俺はまったく驚くこともなかった。 「遅いわよ」 教壇の前で腕を組んで仁王立ちしている不機嫌な顔が話しかけてきた。 「さっさと入りなさい」 「何の用だ?」 「用があるっていうより、あんたに聞きたいことがあるの」 鋭い目が俺を見つめる。俺に聞くことがあるなんて珍しいこともあるもんだ。 「よく『やらなくて後悔するよりも、やって後悔した方がいい』って言うわよね。 あんたはどう思う?」 「よく言うかどうかは知らないが、言葉通りの意味だろうよ」 「じゃあ、たとえ話...
  • 嘘とエネルギーの等価性
    それは正月の喧騒は一段息ついたものの、冬将軍はナポレオンのごとく落ち着こうとしないある冬の日のことである。 俺は光陽公園のベンチで冬将軍の猛攻に孤軍奮闘を強いられていた。こんなことならもっと着込むべきだった、などと考えても完全にアフター・ザ・フェスティバルなのである。それに今回の件は俺のせいなので文句を言うわけにもいかなかった。寒さで気が遠くなる俺はもう一度ことの成り行きを考えてみることにした。 ……… …… … あわただしい年末を駆け抜け、新年始めのミーティングが事の始まりであった。 ハルヒは座っていた椅子を蹴倒しそうな勢いで立ち上がり 「今までみくるちゃんだけプロモーションしてきたSOS団ですが、新年ということで新企画をスタートさせようと思います」 高らかに宣言するハルヒに俺はいったいどこからつっこもうかと考えていた。古泉は興味深そうで笑っており、朝比奈さんは標的が自分でないこと...
  • 遠距離恋愛 第二章 それぞれの思惑
    第二章 それぞれの思惑   一通りの説明を聞き終えた古泉は、いつもの0円スマイルを3割減の顔で首肯した。 「そうですか、家庭の事情というわけですね……貴方は宜しいのですか?」 「だから、ここで相談しているんじゃないか。お前らなら、何とかしてくれるんじゃないかと思ってな」 「なるほど、それは常識的な判断です……ふむ……分かりました。少し裏を当たってみましょう。貴方が『下宿できる』『格安な』物件の探査も含めて調べてみますよ」 「手間を掛けてすまない。俺も生まれ育ったこの町から、今更全く知らない土地に引っ越しなんかしたくないし、何よりSOS団を抜けたくはない」   ほう、という表情で古泉が感嘆の言葉を出す。 「……驚きました。貴方がそれほどこのSOS団に……いや、この環境に執着していたとは」 「この2年間色々あったし、おそらくこれからも一生忘れられないような事が起きるだろうしな。それが俺だけ抜...
  • 涼宮ハルヒのDEATH NOTE 第一話
      退屈な学校から帰ってきても、テレビを付けると 毎日毎日同じ事の繰り返し・・・・・・   毎日一つは犯罪の記事が取り上げられてる これは日本だけでなくどこの国でも最近はこんなかんじだ 一日一日と犯罪はプラス化してる・・・まったく・・・   世の中は腐ってるわ・・・       第一話 始まり         次の日も普通に学校に言ってた、どうせこの日も普通すぎる一日だと思ってた、 これが最後の・・いや昨日が最後の普通の日になるとは思ってなかった いつも通りの学園生活、今日の最後の授業は英語 (学校が終わったら部活かぁ・・・)などと私は考えていた すると窓の外を見たら、一冊の黒いノートがふわりふわり と落ちてきた、なんか文字が書いてあったが見えなかった しかし此処は階段を上がれば屋上、誰かが落としたのか と考えていた、授業が終わった後もまだ落ちていた しかしあのノート気になるのよ・・・って...
  • 従順なハルヒ~君と僕の間~ 第一話「鎖」
    とある部屋のとあるベッドの上。そこに、俺は眠っていた。 「ごめんね、キョン!」 そして、ハルヒは泣きながら謝っていた。 理由?それは今病院に居ることが関係している。そう。俺が居るのは病室のベッドの上だ。 俺は日頃からSOS団との毎日面白いと思いながら過ごしていた。それは偽りの無い楽しさだ。 だが同時にストレスを溜めていた。あれだけ毎日好き勝手に使われればそりゃ溜まる。 朝比奈さんや古泉も非常に溜まっているとは思うが中でも俺は特に酷いと自負できる。 そんなある日だ。俺はハルヒと喧嘩してる最中に倒れたのだ。診断結果はストレスと疲労の蓄積。 ハルヒにはストレスや疲労を与え続けていた自覚があったらしい。 起きるや否や抱きついてきて、こうして泣きながら謝ってきたのだ。 「ごめんね・・・ごめんね・・・」 謝罪の言葉のみを繰り返すその姿にはいつものような100万ワットの輝きの笑顔は無い。 暗く沈んだ泣き...
  • スノースマイル・バースデイ3
    泣き喚いて森に掴み掛かるように、その言葉を即座に現実のものとして当て嵌め、喪失への激情を露にすることのできた者はいなかった。――彼等は放心していた。長門有希までもが、そうだった。 「私は皆様に、謝罪しなければなりません」 森の声はあくまで起伏のない、義務を読み上げる事務員のような代物だったが、其処にどんな感情が眠っているのか、少年には読み取ることができなかった。泣き腫らした痕跡でもあれば、分かり易く彼女の悲しみを察せられたのかもしれない。けれど、保護対象としてきた彼等の前でそんな醜態を晒すような愚を犯す森園生ではなく、また彼女が機関のプロフェッショナルであることを彼らはよく知っていた。 「昨夜のことです。機関内部で、大規模なクーデターが発生しました」 「クー、デター……?」 みくるの鸚鵡返しに、森は肯定を返す。 「我等も長い時をかける間に、一枚岩ではなくなっていました。派閥が絡み合っ...
  • 女古泉'ちゃん'の憂鬱 第一話「梅しば」
    「おはようございます、キョンくん」 「あぁ、おはよう」 無愛想ながらもきっちりと挨拶をしてくれる男子生徒、キョンくん。 機関やその他大勢の場所から重要人として扱われる人。 そして、叶わない僕の片思いの相手。 ―――お前は、涼宮ハルヒとあのアナルの美味しそうな男子を監視しろ。 そんな任務があって、出会った彼。 別の教室である僕達は朝出会うと廊下で手を振って分かれる。 その度に後姿が、遠く感じる。そう見えても、仕方が無い。 彼の前で僕はあくまで男の子だから。偽りの姿の僕。 彼に恋を抱いているのは、彼の知らない僕。本来の姿。すなわち、女の子としての。 見せて良いのは偽りの姿。見せては駄目なのは本来の姿。 本当は逆が良い。でも、仕方ない。僕は機関の中に居るんだから。 だから、遠く感じる。だから、叶わない。 「・・・・・はぁ」 叶うのなら、貴方に抱かれたい。そして、犯されてると思うぐらい愛されたい。...
  • 涼宮ハルヒのDEATH NOTE
      このノートに名前を書かれたものは死ぬ と言うノートを死神が人間界に落とし   退屈な天才少女 涼宮ハルヒがノートを拾い、 犯罪者を一掃し、犯罪を世の中から消し、 犯罪のない世の中を築こうとする、 皆からはキラと呼ばれていた しかし、その行く手を弾むもの、 世界の名探偵Sが動き出す、 ハルヒはKを殺すため Sはキラを捕まえるため 天才VS天才の勝負がはじまる。   本編(作者.やべ酉きえたんだ^^;)    第一話 始まり     外伝(下記は編集自由) デスノートででてきた者を置きまくってます   _________________________________________________________________________________________________________      
  • キョソの旅
     プロローグ 「アナルの中で・b」  ―in Your Anal―   「なあこいずみ」  少年の声がしました。 「何ですか、キョソたん」  人型モトラドがそれに答えました。 「お前は本当に手が早いよな、いつもいつも」 「いやぁ、キョソたんにそう言われると光栄です」  男たちが横たわっていました。  どいつもこいつも例外なく掘られた後でした。 「それじゃ、行くか」 「かしこまりです!」  少年が言うと、モトラドは韋駄天の足で疾走しました。  追加の警官隊が現れた頃、そこにはアナルヴァージンを喪失した男たちしかいませんでした。  キョソの旅 ――The Anal World――    第一話 「穴の国」  ―Ah―!―  草のまばらな大地を、一台のこいずみくん(注・アナルゲイモトラド。イノセント。ガチホモ。全裸。危険物所持)が走っていました。 「こいずみ、ここはもう国の中なん...
  • 真剣十代ツンデレ座談会
         真剣十代ツンデレ座談会 第一回 ~ツンデレ卒業宣言~     ハルヒ「あたしやめるから」 キョン「主語を言ってくれ」 ハルヒ「あたし、ツンデレやめるから」 キョン「急にやめられるもんなのかよ!?」 ハルヒ「最近の時流に乗るのも疲れちゃったのよね。大体、あんな女の子リアルでいるわけないじゃない。フィクションだから楽しめるのよ」 キョン「うわー、いきなりぶっちゃけやがった」 ハルヒ「ツンデレキャラも大変なのよ。ツンデレヒロインが主役のラブコメは展開が遅いでしょ?飽きるっちゅーねん!」 キョン「そうかも知れないけど、そのやきもきが物語の味だろ?」 ハルヒ「あたしをよくツンデレツンデレ言うけどね。あんただって稀代のツンデレキャラよ。原作読み直してみなさい」 キョン「……まぁ否定はせんわ」 ハルヒ「作中、こっちが何度アプローチしたと思ってんのよ!まぁ、自分でも素直じゃないと思ってるけど!気...
  • スノーホワイト・レクイエム6
    白雪姫に、最期に与えられたのは、林檎でした。 紅く艶のある、瑞々しそうな林檎。 白雪姫は、手を伸ばしました。 もう何も、堪える事はありませんでした。 --------------------------- 俄かには信じ難い事象を、否応なしに信じさせられる。 ――そんな事例なら、以前にもあった。四年前、涼宮ハルヒに何らかの出来事が発生し、突如として古泉が能力に覚醒した日。古泉は拒否権なくあらゆるものを奪い取られ、代償に幾許かの『選ばれたもの』である、という自負を与えられ、逃避する余地のない宿命という名の拘束に縛り付けられた。 けれども「分かってしまった」古泉は、重責を課せられたとて、放り出すことは叶わなかった。自覚的にそうだったのだ。「分かってしまう」ということは、つまりはそういうことだった。 無論、過去の彼自身がそうであったように、SOS団団員として走り回る事そのも...
  • 白有希姫 後篇
      学校祭まであと20日、演劇は6割方進行した。俺は王子役の台詞、そして何故かアクロバットな運動を命じられ、そしてスポットライトの練習までやらされることになっている。 これならまだ『その他雑用』の方が良かったぜ…畜生。 コンピ研の奴らが素直に演技の練習を続けているのが少し気がかりだが…まぁ俺は自分の事で精一杯だ。   いまいち進度が遅い為、ハルヒは文芸部室にメンバーを集め、ミーティングを開始した。   「うーん…皆はよく頑張ってくれてるんだけど…ちょっと練習時間が短いのかしら?」   いや、十分にハードなスケジュールだと俺は自負してたんだが?   「そもそも、お前のシナリオが無理矢理すぎるからいけないんじゃないか?」 「まぁ大変ではあるけど…これが成功すれば、きっと素晴らしいものになる事間違いなしよ!」   この自信はどこから沸いてくるのか。もし沸き場所を知っている方が居れば連絡を取り合...
  • 遠距離恋愛 第五章 告白
    第五章 告白   ハルヒを抱き上げ、団長席に座らせ直したところで部室のドアが静かに開いた。 朝比奈さんが入り口で手招きしている。長門も居るようだ。 俺はハルヒを起こさないよう、静かに部室を出た。 廊下にはいつもの喧噪が戻っており、ここはもはや異常空間ではない事を感じさせる。   「キョンくん、お疲れ様でした」 「……現在より2分12秒前、すべての閉鎖空間の消滅を確認。またそれと前後して、この部室に展開されていた対情報シールドの消滅を確認」 そうか。とりあえず世界崩壊は避けられたようだな。 「……そう」 俺は盛大なため息をはき出した。   「ふふっ、キョンくん?」 朝比奈さんがきらきらした目で聞いてきた。 「は、なんでしょう?」 「どうやって涼宮さんの機嫌を直したんですか?」 どうしよう?正直に伝えた方が良いんだろうが…… 「実は……それなんですが……」   俺は先ほどまでの経緯をかいつまん...
  • 長門有希の報告Report.11
    Report.11 涼宮ハルヒの遭遇  SOS団集団下校。それは何も変わらない、いつもの光景だった。 「あれっ!?」  涼宮ハルヒは驚き、声を上げた。 「どないしたんや、ハルヒ。」 【どうしたんだ、ハルヒ。】  『彼』が問い掛ける。 「ほら、あそこ、踏み切りの向こう。あそこにおるの、朝倉違(ちゃ)う!?」 【ほら、あそこ、踏み切りの向こう。あそこにいるの、朝倉じゃない!?】 「何(なん)やと!?」 【何(なん)だと!?】  『彼』は驚愕した表情で彼女の指す方向を見た。しかし、その視線はちょうど走ってきた電車に阻まれる。電車が通り過ぎると、そこには誰もいなかった。 「見間違いか、他人の空似と違(ちゃ)うか?」 【見間違いか、他人の空似じゃないか?】 「いや、あれは間違いない!」  こうして、翌日の不思議探索ツアーは、『朝倉涼子の捜索』に決定した。ここでも彼女の力は遺憾なく発揮され、捜索開始...
  • スノーホワイト・レクイエム7
          小人が駆けつけたとき、 ――総ては、終わったあとでした。       ---------------------------                人気のない校舎の片隅、保健室前の廊下通りで、古泉は朝倉と対峙する。 「……それは、どういう意味ですか」 古泉は、退路のない袋小路に行き詰ったように、苦渋の声を返した。想像し得る最悪の結末が、目の前にちらついて離れなかった。払い除ける余裕も、取り繕い毅然と笑ってみせる駆け引きも浮かばずに。 古泉の行く手を阻むように朝倉は扉前に立ち塞がり、桜色の唇をゆるく持ち上げて、淡く微笑んでいる。美しいと幾らでも形容されるだろう面を、けれども憂鬱に翳らせながら。 それは総てを理解し、また、諦めた者の眼差しだった。意思を投擲し、手ぶらになった両腕に、抱きすくめるものを失くしてしまった母親のような哀しい瞳。 「言葉通りの意味よ。……分...
  • スノーホワイト・レクイエム5
    小人はようよう、識りました。 白雪姫が「或る者」に殺され掛かっていること。 小人は護りを、誓いました。 己が命を賭しても、護るに値するものを望みました。 ---------------------------                    古泉は、沈着を旨とする己の本分すら忘れ、ただ止め処ない血の毒々しい赤を目の当たりにしていた。携えていた手紙は緋色の液体を吸って、端はよれ、血に塗れた櫛と同様に落ちてべたりと床に張り付く。 仕込み刃だ。 櫛に、触れたら刃が突き刺さるタイプの仕掛けがしてある。しゃがみ込んだ古泉は、咄嗟に傷口を押さえたために血で汚れた左手で、同じく赤くなった手紙の便箋を床から拾い上げ、中を覗き込んだ。メッセージが記されているような類の紙はないことを確かめ、苦々しさに唇を噛み締める。衝動のまま封筒を握り潰しかけたが、ぎりぎりで思い留まり、震わせながら左腕を降ろ...
  • 白有希姫 前篇
      「もちろん、去年学校祭で行った映画撮影は覚えてるわよね?その時の主役女優と男優を答えなさい、キョン!」 「朝比奈さんと古泉だろ。」 「そう!有希も大事な役だったけど、ちょっと刺激が足りないのよ!だから、今回は脇役だった者に大チャンスを与えようと思ってるわ!」   今回は、って…やはりまた何かするつもりなんだろうな、コイツは。   「で、何をする気なんだよ。」 「演劇よ!学校祭で演劇をするの!」   反論はしなかったさ。無意味な抗議ってことはもう分かりきってるからな。ハルヒはホワイトボードに何かをいきなり書き始め、演劇の題名を高らかに宣言した。   「その名も…『白有希姫』!!!」 「…やれやれ。」   白有希姫。童話『白雪姫』の事だろう。   「今時白雪姫の話なんか平々凡々に演じてどうする。何の楽しみもなさそうだ。」 「普通にやるわけないじゃない!アレンジよ、ア・レ・ン・ジ!!」   ...
  • スノーホワイト・レクイエム3
    お妃様は、ついに、白雪姫を殺してしまおうと思い立ちました。 顔を隠し、白雪姫の興味を引くだろうものを携えて小人の粗末な襤褸を訪ねます。 「さあさ、扉を開けておくれ。お嬢さんや、こんなものはいかがかね」 無知な白雪姫は、無防備にお妃様を迎え入れ。 するりするりと取り出されたそれに、眼をかがやかせました。 ---------------- 心臓を突き刺すような、尾を引く、か細く切羽詰った悲鳴だった。 何かが、起きた。直感的に古泉は悟った。 全身の血の気が、ざあと干潮のように引くのを自覚する。圧倒されるような「不吉な予感」が喉元を奔った。 生じた危機意識に、警鐘がけたたましく脳内を鳴り響いて冷静さを占拠する。喉につっかえた様な己の所在に対する違和感も、一瞬にして思考から消し飛んでいた。矢も楯もたまらず古泉は身を翻して走り出した。何があったのかはわからない、わからないが――と...
  • ピロートーク~リクスー編
    その1 …駅前… ハ「遅いわよ、キョン!」 キ「すまん、出掛けにお袋が…」 ハ「まぁいいわ、今日のデートはスーツを買いにいくわよ!」 キ「スーツってなんで?」 ハ「馬鹿ねぇ、就職活動のために決まってるじゃない、もう大学三年なんだから就活は始まってるのよ! それともニートにでもなる気?」 キ「いやぁ今月金欠で……」 ハ「お金はあんたのおかぁさんからとっくに預かってるわよ、あたしの分は貯金下ろしてきたしね」 キ「お袋め余計な事を……ってハルヒの分って…お前就職するのか? てっきり大学院かと思ってたぞ」 ハ「まぁそっちも考えたんだけど、あたしみたいな優秀な人材を象牙の塔に閉じ込めておくだなんて社会の損失よ! なるべく早く実社会にでて働くのが世のため人のためよ、いわば社会貢献ね」 キ「……(ハルヒに宮仕えが出来るとは思えないが……まぁいざとなりゃあの手でいくか)」 ハ「さぁいくわよ、デパートで...
  • ハリネズミな僕たち
    SOS団部室。   授業が終わり放課後になると、約束があるわけでもなく誰ともなく所属団員は集まってくる集いの場。 今日もそれは違えず、団長を含む四人は全員出席していた。 涼宮ハルヒ。キョン。古泉一樹。長門有希。 去年までなら唯一年上の先輩だった朝比奈みくるも居たはずなのだが、学校を卒業してしまった為に、部室には顔を見せなくなっている。 無論、SOS団に一度入部させられたからには卒業如きでは簡単に解放されず、土日に開催される不思議探索には行動を共にしているのだが。少なくとも彼女達が卒業してSOS団が解散するまでは、付き合うことは規定事項だろう。 「ちょっとキョン、次の探索日なんだけどみくるちゃんにコレを着させてみない?」 「お前は朝比奈さんに一生物のトラウマをこれ以上刻み付ける気か? 却下だ馬鹿者」 「なによっ――!! 団長の意見に反対する気?」 仲良く肩を並べながらパソコンの画面を覗き見...

  •  それは、ふと思いついての行動だった。  学校へ向かう途中、俺は交差点を歩いている猫を見た。  それ程交通量がある道ではないが、通勤時間だけあってそれなりに車は走っている。  ちょうどその日の朝、俺は猫が車に跳ねられるというなんとも後味の悪い夢を見た事もあり 俺はなんとなくその猫の様子を目で追っていた。  そういえばちょうどあんな柄の猫だったような?  夢の中の猫と現実の猫が重なって見えてくる。そうだ、ちょうどこんな感じの場所で この数秒後に、黄色信号を無理に突っ切ってきたトラックが左折してきて……。  俺のナレーションに合わせたかのようにトラックの姿が現れたとき、自然に体は動いていた。  距離にしてたった数歩の違いで夢の中では助けることの出来なかった猫は、あっさりと 俺の手に襟首を捕まれもがいている。直後に通り過ぎていくトラック。  ……運がよかったな。  俺は引っかき傷を作られる前に猫...
  • スノーホワイト・レクイエム最終話
    気まぐれに打ち始めた物語は佳境に入った。そこで、指が止まる。プロットなんてない、展開も決めていない。無心でただ、場面場面を繋ぐように文を補足していけば、どうしたって、ラストに近付くにつれ進捗は下がっていった。とにかく先へ進める為にキーを押そうとしても、指は思う様に軽快に動いてはくれない。至って当然の話だ。だってわたしは白雪姫がどうなるのかをまだ、決めかねている。毒林檎を食べて伏せてしまった哀れな白雪姫が、王子様に出遭えず仕舞いで、どんな結末を迎えるのか。 「愛しいひと」にも巡り合えぬままに、生涯を閉じようとする、薄幸の少女。 ――ハッピーエンドに、してあげたいのに。 「長門さんどうしたの?こんな時間まで居残りなんて、珍しいわね」 「あ……」 部室の扉を開けて、堂々と踏み込んできたのは、朝倉涼子――朝倉さん。セミロングの綺麗な髪。優等生らしく背筋の伸びた、頼れる女性を思わせる温和な微笑...
  • それでもコイツは涼宮ハルヒなんだ 8
    15,フリープレイ(R)  呆けた人間に有事を理解させるにはショック療法が一番手っ取り早いなんてのは経験から言って間違いじゃない。それに朝倉は急進派だしな。急いては事を仕損じると昔から言うが、しかし今回に限れば少女の目論見は成功に終わったと言ってやってもいいだろう。  お陰で大分目が覚めた。  人の出入りが奇跡的に無いマンションのエントランスは冬でありながら、その体感気温を上昇させ続けていた。心臓を始めとして血管一本一本に至るまで血と共にカンフル剤が巡っているように脈拍は速い。これは俺の意識の在り方の違いでしかないのだろうが。  昨日までとは違う。ついに「始まった」、そう直感的に理解する。具体的に何が始まったかは朝倉にでも聞かないと只の一般人である俺には分からない。だけどもう、何かが確かに始まっているというそれだけはこんな俺にも言い切れた。  十二月、クリスマス。ワールドエンド。...
  • 遠距離恋愛 第二十三章 スイートルーム
    第二十三章 スイートルーム     灰色一色の、現実味のない空間。豪奢なシャンデリアや大画面テレビなどが配置された部屋。   俺は今、キングサイズのダブルベッドに座っている少女を見ている。   白いコートを肩に掛け、ロングヘアをポニーテールに纏めている。   少女は手元の携帯電話を取り出し、何処かへと電話を掛けた。   「……」 「……」 「……」 「……やっと出てくれた」 「……」 「どうしちゃったの?どうしてパーティに来てくれなかったの?」 「……」 「ウソ!だって、発車時刻まで3時間もあったじゃない!」 「……」 「そんなに佐々木さんとデートしたかったの?まあいいわ。今日は大事な発表があったのよ。それなのに」 「……」 「……一番上の階」 「……」 「うん」 「……」 「……来てくれないの?アタシ、キョンのこと待ってるんだよ?」 「……」 「……何よ」 「………………」 「な……」...
  • スノーホワイト・レクイエム2
    お妃様は、美しい鏡に己の顔を映し、艶然と唱えました。 「鏡よ鏡、わたくしの問いに答えておくれ」 はい、お妃様、と鏡は愛する妃に恭しく答えました。 ---------------- 温く哀しい夢を、見ていたような気がした。 古泉はうつ伏せていた身をそっと起こす。何時の間に眠っていたのだろう、と懲り固まった肩を微かに鳴らす。机に突っ伏して眠を取るなんて、随分、久し振りの行為であるような気がしたのだ。名残惜しさも相まって、霞がかった意識をどうにか覚醒させようと瞼を掌で軽くさする。 睡魔から解放されるのを待っているうちに、日は大きな傾きを見せていた。窓から降り注ぐ落陽の光は、オレンジ色に夜の闇を混ぜたような陰のある色彩を帯びている。 何という事もない、見慣れた文芸部室だ。 転寝をしていた古泉は、間近に開きっぱなしに伏せられていたハードカバーを、寝起きで回らない頭をどうにか動かそう...
  • 会心の一手
    力を入れると意外なことにあっさりと部室の扉が開いた。 今日は彼女から部活は休みだと聞かされていたので、当然ながら鍵が掛かっていると思っていたのだ。 現に僕は鍵を持っている。にも関わらず鍵は開いていた。ということは、 「長門さん、あなたも来ていたんですか」 「そう」 当然だと言わんばかりに彼女はそう告げた。いつものように窓側の席で本に視線を向けている。 それは誰かが描いた幻想の世界のようだ。それくらい、その風景は絵になっていた。 僕はその風景を壊さぬように慎重に席に着く。それと同時にふと疑問に思っていたことを口にした。 「そういえば、今日はなぜ活動が休みになったのでしょうか。涼宮さんはいつものように一方的でしたから、 原因を聞いていないんですよ。長門さんは聞きましたか?」 そう尋ねると彼女はそのままの姿勢で答えた。 「わたしも原因は聞いていない。ただ、推測は可能」 「と、言うと?」 「今日は...
  • 朝比奈みくるのクーデター その1
     季節は春。高校生活的時系列で表現するならもうすぐ春休みって奴だ。 期末テストも終わって短縮授業で高校ライフをエンジョイしたいところだが、 相変わらず絶賛24時間営業中のSOS団はホワイトカラーエグゼプションを先取り実現で 残業どころか休日手当もなしに稼働中だ。 「不満そうですね」  ドンジャラで暇つぶしの相手をしていた古泉が俺に向かって言う。 俺はふうっとため息を吐いて、 「別に不満じゃないぜ。ただあまりに同じ事がだらだらと続いているんで、少々うんざり気味なだけだ」 「平穏が一番です。僕としてはこのまま何もなく終えてほしいですからね」  ……まあ、古泉の言うこともわかるけどな。平和が一番だ。  ――しかし、そう考えるとなぜか面倒なことが起きるんだよな。   ◇◇◇◇    次のシーンになると、なぜか俺は洞窟の中にいる。それも長門と朝比奈さんと一緒だ。 一面に地底湖のようなものが広がり、水...
  • SOS団ラジオ支部~深夜版~ 
    wawawa忘れもの~♪♪チャチャチャ!wawawa忘れ物~♪♪♪   ハルヒ「はぁい!こちらはSOS団ラジオ支部~深夜版~よぉ!」 古泉「昼間では絶対言えない」 みくる「あなたの夜のお悩みを」 長門「私たちSOS団が解決する・・・」 キョン「てなわけで・・・深夜ラジオ支部SOS団をヨロシク!」   ハルヒ「キョン!今日の特別ゲストは誰なのかしら?」 キョン「今日は初回放送だから大物を連れてきたぜ!」 みくる「うわぁ楽しみですぅ」 キョン「それでは紹介だ!入ってきてくださーい」 ダダダダダダァーダダダダダン!!   谷川流「こんばんは!」   キョン除く一同「なっ・・・なんだってぇ!?」   キョン「初回放送の記念すべき第一ゲストは、俺たちの生みの親の谷川流さんだぁ」 ハルヒ「ちょ・・・ちょっと!大物すぎでしょあの人は」 古泉「僕たちの生みの親ですからねぇ・・・」 み...
  • ハルヒがニート略してハルヒニートその1
      キョン「ただいま」    西暦20XX年、俺は高校を卒業してそこそこのレベルの大学に受かり、卒業してから就職、現在は毎日定時に会社に行って働く毎日だ。  まあ普通社会人ってのはすべからくそうしてこの日本経済の歯車的活動の一環を担って生きていくものだが、ここにその例から外れた存在がいた。   ハルヒ「おかえり、今日の晩御飯なに?」    普通、家にずっといて、しかも働いて帰ってきた奴に対して言う台詞じゃあない。「おかえりなさい。ご飯にする? お風呂にする?」というのが相場だろう。  だがこいつがいまだかつて俺の帰宅を暖かい風呂や飯をこしらえて待っていたことなど一度としてない。   ハルヒ「あ、レベル上がった!」    おそらく今日もまた一日中ずっと座りっぱなしだったと思われるパソコンデスクに腰を下ろしたままハルヒが言った。  画面に映し出されているのはオンラインのRPGゲー...
  • きょんむす第三弾 キョンむす!
    もくじ   目を開ける。視界一杯に映り込んできたのは少女の笑顔。 「起きましたか?」 少女がソファから立ち上がって僕に声を掛ける。その際にソファが歪んで彼女がそこに腰掛けていた事を知った。 「今……何時です?」 寝転んでいたソファから上半身を起こして少女に尋ねる。……毛布が掛かっていたのは、彼女の仕業でしょう。僕は仕事から帰ってきた後、倦怠感に身を任せて着替えもせずに突っ伏した筈ですから。 「二時くらいです」 少女は微笑んで僕の眼を見る。 「二時……ですか? それは……寝過ぎましたね」 幸いだったのは今日が休日だったことでしょうか。昨日は確かに激務だったとは言え、目覚ましも掛けずに寝てしまうなんて我ながら何と言うか……。 「困ったものです」 溜息を吐く。 「何が困った事なんですか?」 少女が僕の上に掛かっていた毛布を丹念に畳みながら聞いてくる。 「いえ、今日が休日で良かったと思いまして...
  • そして、変わらぬ日常
    そして、変わらぬ日常 1.未来その1 「最高評議会の審決結果を伝達する」 「はい」 「賛成8、棄権1で、限定条件付死刑と決した。原状復帰命令に従わない場合は、死刑とする。死刑執行人には、あなたを任ずる」 「かしこまりました」 「これがおそらく私のあなたへの最後の命令になる。こんな結果になってしまって、非常に残念」 「致し方ありません。自分の不始末の責任は自分でとらなければなりませんから。たとえ、それが身に覚えのないことであっても」 「あなただけに責任を負わせるつもりはない。私も付き合う。私にも命令がくだった」 「……そうですか。後始末の方はどうするのですか? てっきり、あなたがするものと思っていましたが」 「手配はつけた。問題はない」 「そうですか。ならば、後顧の憂いはありませんね。あとはお互いに任務を遂行するのみですが、残された時間は?」 「時間軸上書き効果の五次元速度が異常に速い。...
  • 秘めてた想い(前編)
      年中突拍子もないことを考え、ほとんど全てのイベントで周りの人間を巻き込んで振り回し続けるあいつがSOS団を立ち上げてからもうすでに3年目だ。   そろそろ俺たちも進路を本気で考えなければならない時期になってきた訳で、去年の同じ時期なら適当にあしらっていたであろう期末考査のために柄にもなく俺は勉強してない割に成績優秀なハルヒや、卒業後もこの時間平面に留まり、それなりの大学に進学した朝比奈さんに勉強を見てもらいながら過ごしていた。   そんな時期の昼休み、俺はいつもどおりに国木田と谷口と弁当を食っていた。そのときの話だ。 「…そんでその女がよぉ」 谷口のナンパ失敗談をいつもどおり適当に聞き流しているとき国木田がいつものようにやんわりと受け答えしていた。 「谷口もそのナンパへのエネルギーをもうちょっと受験勉強に注いだら?」 …もっともだ。 「別にいいじゃねぇか、ナンパやゲーセン以...
  • スノーホワイト・レクイエム8
        お妃様は、儚く泣きそうに歪めた瞳で、鏡に呼び掛けました。 「鏡よ鏡、わたくしの問いに答えておくれ」 はい、お妃様、と鏡は愛する妃に恭しく答えました。 鏡に明瞭に映し出された、白雪姫の姿を前にして、お妃様は問い掛けました。 「それでは鏡よ、お答えなさい。此の世で、……生き残るべきは、どちら?」 此の世で欲され、愛され、必要とされるのはどちらですか。 ――わたしと白雪姫の、どちら。 ---------------------------   長門は、酷く懐かしい宇宙の深淵を思わす黒瞳を細めた。 SOS団の集う部室で、長門が古泉に投げ掛ける無機質で硬く透明な眼差しが、其処にあった。古泉の問いには答えずに、少女は瞬く。整った睫毛を揺らす。 「いつ」 気付いた、と端的な問い返し。 古泉は俯いた。常なら片時も離さずにいる苦々しさを隠す仮面を、被ることはしない。  ...
  • 魔法少女フェアリーユキ・後編
    「ふっふっふっふ。ユキ。今日こそこの町内はわが手中に落ちるのだ」  ひゃっひゃっひゃと笑いながら、悪役の彼女は一歩、また一歩と歩みを進める。 「わたしは、負けない」  ユキがキッと表情を引きしめて、にじり寄る長髪の魔女に対峙した。 「はいっ! カット!」  ポンポンと、監督がメガホンを叩いて合図をする。 「有希! とってもいい演技だったわ! これは本当に、文化祭でのみくるちゃんの立場も危ういわねぇ」  半目で流し目を送る監督に、去年はカメラを向けられる側だった朝比奈さんがわずかに震えた。 「えっ。えぇぇ~っ」  朝比奈さんはしょんぼりしてうつむいた。……あれ。残念なのかな。あれだけやりづらそ うに戦うウェイトレスをしていたのに。 「鶴屋さんも急に呼んじゃってごめんねっ! 去年に引き続き素晴らしい助演女優っぷりよ!」  親指を立てる涼宮さんに、黒服魔女姿の先輩。鶴屋さんは、 「いやいやっ!...
  • 涼宮セルヒの憂鬱
    新ジャンル「セルヒ」     「ぶるぁぁぁぁああああ!! ただの人間にぃ、興味はなぁぁああい!!」 「サイヤ人、トランクス、ピッコロ、餃子がいたら私の所にくるがいい、いじよう!」 長くて真っ直ぐな緑の皮膚に斑点つけて、クラス全員の視線を傲然と受けとめる顔はこの上なくカラフルな色合い、意志の強そうな大きくて黒い羽を異常に大きい尻尾が縁取り、薄金色のオーラを出した少女。 セルヒの白い喉がやけにまばゆかったのを覚えている。 えらい緑がそこにいた。           「やあごめんごめん! 遅れてしまったぁ! 産むのに手間取ってしまったわ」 片手を頭の上でかざしてセルヒが登場した。 後ろに回されたもう一方の手が別の生物の粘液塗れの腕をつかんでいて、どう見ても無理矢理産まれてこられたと思しきその生物共々、セルヒはズカズカ部屋に入ってなぜかドアに錠を施した。 ガチャリ、というその音に、不安げに震...
  • 朝倉涼子の軌跡 断章『心、通わせて』
     謎の少女――橘京子の襲撃から二週間が経ったが、あれから命に障る事件は起きなかっ た。一方、不可思議な現象等は、端に涼宮の精神状態が安定している為か、はたまたその 力の発生自体が稀有な為か、涼宮は垣間見せる事は無かった。 だが、古泉曰く。 「涼宮さんは発言や行動こそ奇天烈ですが、彼女が悪戯に世界の秩序や構成を乱さないの は、彼女が現実と空想の類の境界線を明瞭に把握し、理解しているからですよ。でなけれ ば、今頃世界は酷い有り様になっているはずです」 などと、豪語したからであり、しかし信憑性の薄い話でもあった。贔屓目で見ても、あ いつ――涼宮が人格者であるとはとても思えない。しかし、涼宮の精神や心理と少なから ずともリンク出来ると言っていた能力者である古泉が言うのであれば、あながち間違いで はないのかもしれない。現に涼宮は悪戯に世界の法則を覆す事象は起こさなかったが、相 変わらず閉鎖空間は発生...
  • 彼がバイトを始めた理由 後編
    もくじ   「ちょっと!何よ今の音!」 ハルヒが叫ぶや否や何かが真横を通り過ぎた。 …風?にしては違和感が… 振り向くと店の入り口の扉が派手に割られており、店の外でぼけーっと突っ立ってる1人の少女がいた。 気がつけば他の客も何事かとこっちを見ている。 …うん、状況が理解できない。 ハルヒにバレないように古泉を手招きで引き寄せる。 (おい!一体何なんだこれは!) (…報復してくるって) (報復?) (長門さんがそう言ってドアをぶち破って行きました…) 反射的に長門が座っていた所をみる。 …いねぇ… 「…あれ?そういえば…喜緑さんは?」 「あぁ、えみりんならものっそい勢いで有希っこを追いかけていったよ」 「…ふぇぇ…ガラスの音が怖かったです…長門さんは誰を追いかけて行ったんですか?」 あいつも誰か追いかけて行ったんですか? 「黒い髪の子を追いかけて行きましたよ。知らない...
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