ハルヒと親父 @ wiki内検索 / 「二人は暮らし始めましたー場外ー親父が来る その1」で検索した結果

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  • 二人は暮らし始めましたー場外ー親父が来る その3
    親父が来る その2から   ……この親父、家族愛に訴えてまで、娘を怖がらせようとしている。しかし怖がらせたところで、この親父に何の見返りがあるというのか。ある意味なけなしの父娘の絆をまた損なうだけじゃないのか。  それにしても、こいつもまたダブル・バインドだ。まともに受け取れば冗談にして茶化すことができるし、相手にしなければ親の死に冷淡な態度を非難できる。いずれを選んでも、向こうに負ける余地はない。  おれはハルヒの反応を見ようと後ろを振り返った。 「ふう。で、その不幸の手紙は何人に出せばいいの?」 おい、ハルヒ。いきなり《肝心なことは聞いてない》攻撃か? 「バカ娘、そうじゃない。死を回避する方法はないんだ」 そうだ、そういう設定だろ。 「人間いつかは死ぬわよ!」 一般論!! 「だからいつ死んでもいいように、今日の今この時を一生懸命生きるの! キョン、あたし何か...
  • 二人は暮らし始めましたー場外ー親父が来る その1
     夕食後のコーヒーを楽しみながら、いつものように、どうでもいいことを話していると、ハルヒがふと、思い出した、といった顔をしてみせた。 「そういえば、こないだは花火見にでかけちゃて、あんたの怪談を聞かずじまいだったわね」 「別におれの方は、聞かせたくなるような怖い話はないぞ。だいたいおまえを怖がらすメリットがない」  むしろデメリットの方が激しくあるんじゃないだろうか。怖がっておれに抱きついてくるタイプじゃないし(ああ、そんなゆるいツンデレなら、世界は幾度も危機に陥ったりせん)、むしろパニックに陥って手当たり次第(おれを含めた)周囲のものに攻撃をし出すことの方を危惧するぞ。 「このあたしを震えあがらせるようなやつを希望するわ」 「だからおれの話を聞けって!」 「団長に二言なし!どっからでもかかってらっしゃい!」 「聞く耳なしだろ!……やれやれ。その言葉、後悔するなよ」 ...
  • 二人は暮らし始めましたー場外ー親父が来る その2
    親父が来る その1から  計画なき逃亡をぶち上げたハルヒに、おれは首を振った。  「ハルヒ、ダメだ。前にも言ったろ。恐怖と不安は逃げれば逃げるほど、大きく強くなるって」 「じゃあ、どうすんのよ」 「馴化だ、簡単に言えば、馴れるんだ。詳しいやり方は、今教えてやる。使えるものは3つあるんだが、まずは……ハルヒ、拳をつくってみろ」 「こ、こう」 「シャドウ(・ボクシング)まではいらん。今、鼻をかすめたぞ」 「ごめん」 「ぐっと握って、腕に、二の腕に、肩にありったけの力を入れてみろ。ぶるぶる震えるくらい。……そしたら、ぱっと一度に力を抜く」 「ふう」 「これを全部の手足、胴体でやる。筋弛緩法って奴だ。恐怖や不安と両立しない感情や生理状態があるって話も、前にしたな。怒りや食欲や性欲の満足もそうだが、リラックスってのも恐怖や不安と両立しない。怖がってるときは、体もこわばって...
  • 閲覧回数上位SS
    ...の1 (9002) 二人は暮らし始めましたー場外ー親父が来る その1 (8979) 涼宮ハルヒのいちゃつき (8946) あるSS書きの個人的七つ道具ーネット篇 (8937) オヤジラジオ その3 (8915) 夏の自転車 (8813) ハルヒと親父2その後 一周年 その1 (8771) 親父さんと谷口くん4 (8765) ともコレ (8752) できちゃった その2 (8743) 辞書シリーズ/和英辞典:ただいま/おかえり (8714) 輪になってマッサージ (8704) 一人旅に必要な事 その後 (8703) 王様とあたしたち その1 (8676) 白みかける空 (8620) 親父書きがSSを読む (8387) 二人は暮らし始めました-外伝-ハルキョン温泉旅行 その3 (8377) 掲示板/足跡帳バックナンバー4 (8335) ハルヒと親父2その後 一周年 その後ー腕の腫れ、氷の...
  • 二人は暮らし始めました-外伝-二人はひきこもりました その3
    その2から  バカップル的ひきこもり生活も10日を越えると、さながらル・マン24時間耐久レース(あるいは1万円で1ヶ月生活)の様相を呈してきた。  本家のバイオスフィア実験−水も空気も出入りしない人工閉鎖系で、植物や家畜を持ちこみ、究極のショート・レンジリサイクルを行いつつ人がどこまで生きていけるかという過酷な実験も、予想外の、しかしシステム的な要因による慢性的な酸素不足、収穫不足、家畜の全滅に加えて、実験期間後半には、メンバー間のいさかいが耐えなかったという。  おれたち二人の間でも、いつものように、いさかいは耐えなかったが、これもおそらく谷口あたりに言わせれば、痴話ケンカの域にも達しない「いちゃつき」と判定されるレベルであり、ここに国木田、阪中を加えても、満場一致にして判定は覆らなかったであろう。  おっとハルヒが呼んでいる。後世に書き残し、何かの教訓にしてもらおうとい...
  • SS(二次創作)「ハルヒと親父」シリーズの物置
    ハルヒと親父 @ wikiにようこそ このwikiは、ハルヒスレSSまとめwikiに掲載された「ハルヒと親父」(オリキャラ全開)シリーズとその周辺的二次創作の物置です(詳しくは→はじめての方へ)。ひとりでやってます。 急募「親父の掛け合いを演じてみませんか?」 声劇「ハルヒと親父」では、声優さん(声で演じてくれる人)を募集してます。http //bit.ly/9TQ1r5 本日の親父の放言 「井の中の蛙の頭上にも、空は広がっている」 今日のオススメ ランダムリンク 新着記事 取得中です。 ハルヒと親父wiki 内容一覧 ([+]をクリックで展開、[-]をクリックで畳込み) +ハルヒと親父(メインライン・ストーリー) ハルヒと親父(メインライン・ストーリー) ハルヒと親父1 ハルヒと親父2 ー おとまり「ハルヒと親父2 ー おとまり」から削除...
  • そのとき親父書きは何を思ったか?
    そのとき親父書きは何を思ったか? その1:親父シリーズ短編について その2:「ハルヒと親父1」(シリーズ第一作目)について その3:「あるSS書きの個人的七つ道具」シリーズについて その4:「ハルヒと親父3ー家族旅行プラス1」について その5:「ハルヒと親父2ーおとまり」について その6:「できちゃった」について その7:「一人旅に必要な事」について その8:親父シリーズ以外(二人は暮らし始めました、新落語シリーズ「出来心」他)について その9:親父シリーズ以外(みぞのの鏡、辞書シリーズ/英和辞典、他)について その10:親父シリーズ以外(その男文系につき、ツンデロイド、他)について その11:親父シリーズ以外(彼と彼女と彼女のメール、電波の日 Nowhere、他)について その12:親父シリーズ以外(「パソコンが砂糖と化してアリがたかる」カオス篇)について その13:親父シリーズ以外(手...
  • そのとき親父書きは何を思ったか(その16)?
    再び、『二人は暮らし始めました』について  『二人は暮らし始めました』は、めでたしめでたしの定型句「二人は幸せに暮らしました」に対抗して(?)、つけたタイトルです。だから内容は、「どう幸せにくらしたんだよ?」という突っ込みに対する自問自答です。どうしたってばカップルものにしかならないんですけど。  前に、「わりとすっとばされるというか、前提にされたり一行で済まされたりするシーンやイベントを、丁寧にやってみたい」と書いたことがあります。  小説というか、広く芸術なんてものはだいたいがそうなのでしょうが、何を書くか(表現するか)と同じくらい(時にはそれ以上に)何を書かないか(省略するか)が、大きな意味を持ったりします。「すべて」を描くことは不可能な訳ですから、何を描くか決めることは、何を描くことを断念するか、と裏腹です。  ひとつは頻出モチーフやシチュエーションを避けた...
  • そのとき親父-書きは何を思ったか(その28)?
    あいつについてあたしが話せる2、3の事項  二人は暮らし始めました−--わるいゆめ  「あいつについて、あたしが話せる2,3の事項」のきっかけになった、ポクロウタさんの1枚絵から連作の4コママンガに生まれていたので、それに更にインスパイアーされて、「二人は暮らし始めました−わるいゆめ」はできました。  なので、この二つは基本的にはと同じ話(消失トラウマのキョン)です。   キョンの受けは同じ「ありがとな」ですし。  ただ時間を経て、二人の関係が「いまいち辺りをはばかる男女交際」から「同棲」へと移っているので、シチュエーションが違う、受け返しも違う、互いの理解の深さが違うものになってます。  頭を叩(はた)いても腕に抱かれても目を覚まさないキョンが、ハルヒのティア・ドロップには目が覚めたり、「泣いてなんかいない」というハルヒにt対するキョンの受け返しが妙に「男前...
  • 二人は暮らし始めました-外伝-二人はひきこもりました その2
    その1から ハルヒ 今日からやっと夏休みよ。これで思う存分いちゃラブできわね! キョン なんだ、その、いたラブって?イタ車みたいなものか? ハルヒ そう、アニメ・キャラをでっかくプリントした続き柄のおそろいを着て、って何でやねん! キョン おお、乗りツッコミ。しかも関西弁だ。 ハルヒ 確かにあれは痛いカップルだったわ。 キョン !実在するのか? ハルヒ あの世界は深いわ、キョン。まだまだこんなもんじゃないわよ。 キョン いや、その話題はストーリーとも関係ないし、なんだか帰って来れない気がするから、やめとけ。 ハルヒ そうね。話を戻すと、夏休みよ!学校に行かなくて済むし、寝る以外のすべての時間を、強い意味でのイチャイチャにつぎこむつもりでいくから覚悟しなさい! キョン なんだ、その「強い意味」って? ハルヒ ハードな内容になるってことだけは言えるわね。 キョン 具体的には? ハルヒ...
  • 二人は暮らし始めました-外伝-二人はひきこもりました その1
    ハルヒ なにベンツのマーク(スリーポインテッドスター)描いて欲情してるの? キョン してない。これは俺たちの生活時間を示した円グラフだ。 ハルヒ ふんふん。こっちが睡眠ね。たっぷり8時間、ちょうど一日の三分の一眠っている訳ね。 キョン 生活習慣を改めた結果だ。ちょっと眠りすぎてる気もするがな。 ハルヒ 睡眠は大事だわ。睡眠時間が7時間を切ると・・・ キョン そのネタは前にやった。で、こっちが学校へ行ったり、買い物に出たり、外に出かけてる社会生活の時間だ。これも合わせると、全部でおよそ8時間になる。 ハルヒ 残りの三分の一は何? キョン あー、うっほん。ハルヒ、こっちへ来い。 ハルヒ 何よ?別にいいけど。……えへへへ。 キョン 何故しがみつく? ハルヒ だきついてんのよ! キョン そうか。で、俺に触るとデレ・スイッチが入るんだな。ツン回路が切れるというか。 ハルヒ 条件反射みたいなものね。く...
  • 二人は暮らし始めました-外伝-ハルキョン温泉旅行 その3
    その2から  一泊二日の宿の予約を済ませ、互いにたっぷりと睡眠をむさぼった数日後、俺たちはその、やたらと交通の不便なところにある温泉旅館に向けて出発した。  乗り継ぎの面倒さにも関わらず、ハルヒは終始上機嫌で、 「やっぱり人間寝ないとダメねえ、キョン!」 などと勝ち誇ったように語ってみせる。 「見なさい、いいえ、触れてみなさい、このみずみずしい張りとつやの肌!」 「どれどれ」 「ど、どこさわってんのよ!! 時と場所をわきまえなさい!」 「グーで殴るな。ほっぺただろ!」 「あたしが無抵抗なのをいい事に、人のほっぺを『たこやき』にしたわね」 「抵抗どころか、おもいっきり反撃してるだろ! あと知らない奴には絵でもないと伝えにくいぞ、このいたずら」 「あんたがやったんでしょうが!」  長い旅のはずだったが、くだらない話をする時間というのは、なんでこうも短く感じ...
  • 二人は暮らし始めました-外伝-ハルキョン温泉旅行 その1
    「あー、やっとあんたも、ゼリーとプリンの日々にお別れできるわね」  とはいうものの、おれはゼリー生活に少しだけ未練があった。ゼリーだけであれだけの種類のものが作れるのも驚異だが、そのすべてが極ウマだったのだ。栄養なんかのことは、味付け以上に考えてあったんだろう。それ以外のものを口にしてないのに、2キロ太ったぐらいだからな。 「あんたのおなかの具合もよくなったことだし、買い出しに行くわよ!」  買い出し、は少々大げさでも、ハルヒはずっと付き添っていたせいで、おれが熱を出してからの買い物はすべてネットスーパーで済ませていた。数日ぶりに買い物に《出かける》ことになるな。 「おれも行こう。その勢いだと、おまえだけだと持ちきれんほど買っちまうだろう」 「あんたは病み上がりなんだし、……うーん、まあ、そこまでいうなら、お供に連れて行かないこともないわ」  いや、単なる買い物だ。それ以上のご...
  • 二人は暮らし始めました-外伝-ハルキョン温泉旅行 その2
    その1から 「というわけで、痛いエロカップルが部屋つき露天風呂でどんなことするか、リサーチしたわ。といっても、半分以上が盗撮ネタだったけど」 「……ハルヒ、聞こうと思ってたんだがな。俺でさえ毎日3時間しか寝てないのに、いつそんなこと調べてるんだ?」 「あんたが寝静まってからに決まってんでしょ、エロキョン」 「だから、お前、毎日ちゃんと寝てんのか?」 「むう」 「ちなみに夕べか明け方か知らんが、直近の睡眠時間は、何時間、いや何分だ?」 「15分ほど、うとうと……したかしら?」 「俺たちがここに来て11日になるが、その間の、のべ時間だと?」 「あーえー、全部足せば5、いいえ、6時間にはなるはずよ!」 「ハ・ル・ヒ」 「な、なによお?」 「ちょっと来い」 「こら、耳ひっぱるな! って、どこ触ってんのよ!」 「いいから、ここ座れ」 「す、座ったわよ」 「人...
  • 二人は暮らし始めました-外伝-ハルキョン温泉旅行 その4
    その3から  大浴場には、結局おれ達以外、誰も入ってこなかった。何故かというなら、決まってる。部屋ぜんぶに専用露天風呂があるからだ。  では何故大浴場があるのか? それも決まってる。旅先でケンカするカップルは、決まって一定の割合でいるからだ。部屋に居づらくなっても大浴場がある。混浴ならいっそ、新しいパートナーだってみつかるかもしれないと思うのは穿ちすぎか。とにかく人手のピークは、あれやこれやがあった後、ずっと遅い時間なんだろう。 「ちょっと、キョン! 温泉がうれしいのは分かるけど、あんた、はしゃぎすぎよ!」  悔しいが今は涙を飲もう。はしゃいだのは温泉だから、混浴だからじゃないぞ。だが今は何を言っても負け惜しみだ。反論にすらならない。 「まあ、懲りるって事を知らないあんただから、いつでも再戦は受けて立つわ。でも、おなかがすいたから、早くて夕食の後よ」  ああ、部屋...
  • そのとき親父書きは何を思ったか(その8)?
     リンクいただいてる、とあるブログの管理人さんから「個人的には親父シリーズ以外に書かれている物も載せてしまえばと思うのですが。」とのコメント返信を得て、ちょっと前からブランクで作ってあった「ハルヒと親父以外」カテゴリーに、親父シリーズ以外のSSを載せ出しました。正直「一人旅」シリーズで疲労したアタマを休めるのにも、よいタイミングかと思ったので。 二人は暮らし始めました  ぱっ、と4日分が浮かんだんで、いきなり書きました。これを30日分続けられたら、うぬぼれていたかもしれません(笑)。読み返してみると、「一人旅」シリーズで疲労したアタマを休める(こればっかりだな)のに読んだ、TTT氏の 『ハル○かわ○い』シリーズの影響が顕著ですね(どこが?と思われるかもしれませんが)。 新落語シリーズ「出来心」  「新」落語シリーズというのは、元々、他の方が書いた(傑作の誉れも高い)落語シリ...
  • 掲示板/足跡帳バックナンバー6
    お立ち寄りいただいた方々のための足跡帳バックナンバー6 ([+]をクリックで展開、[-]をクリックで畳込み) -2009-05-16〜2009-06-07の分 2009-05-16〜2009-06-30の分(別ページ) -2009-07-01〜2009-07-31の分 2009-07-01〜2009-07-31の分(別ページ) -2009-08-01〜2009-08-31の分 2009-08-01〜2009-08-31の分(別ページ) -2009-09-01〜2009-09-30の分 2009-09-01〜2009-09-31の分(別ページ) -2009-10-01〜2009-10-31の分 2009-10-01〜2009-10-31の分(別ページ) -2009-11-01〜2009-11-15の分 ...
  • そのとき親父書きは何を思ったか(その18)?
    ヰタ・セクスアリス/雨宿り及びつづきについて  ハルヒが言っていた「雨の日にしたくなるのは何故か?」という疑問は、以前にある人から投げかけられて、しばらく持っていたものです。その時、たどり着いた答えは、「背中あわせでいいから、くっついていたい」「誰かに(とくにあなたに)いっしょにいて欲しい」というものでした。男(キョン)の立場だと、これはかなり拷問に近いものがありますが(笑)。まあ、彼なら我慢できてしまうかもしれない。  この線で書けば、もう少しきれいなお話になって、 「ハルヒ、……また『雨宿り』していくか?」 「うん」  こうしてわたしたちは、いつか『大人』になる日が来て、それぞれの『相手』を探しに出かける時が来るまで、大きな木のつくる洞の中で、同じ雨に濡れ、手をつなぎ背中を合わせながら、雨宿りをしている。 ……みたいなラストになっていたかもしれません(ハルヒV...
  • あいつについてあたしが話せる2、3の事項
    (ポクロウタさんのブログに掲載されてる http //pokurouta.blog99.fc2.com/blog-entry-219.html 「翌年からあの事件の日が近くなると無意識の不安からハルヒに抱きついちゃうキョンそしてわけがわからないハルヒ」の絵に殴られたような衝撃を受けて書きました。)  この時期、あいつは決まってどこかおかしくなる。  もともと何考えてるか、いまいちわからないし、最初からおかしなやつだけど、この時期はそれに輪をかけて変だ。  普段は、あたしが声をかけても、何かに誘っても、決まってめんどくさそうな顔するくせに、この時期だけは反対で、何かといえば、あたしに声をかけてくる。「何の用?」と尋ねると、「いや別に」とか「いや、いい」とか、まったく要領を得ない。  それに、この時期になると、どういうわけか、いっつもあたしの方を見てる。 ...
  • 王様とあたしたち その1
    prologue  「父上、うれしそうですね」 「ん? ああ、顔に出てるかな?」 「ええ、珍しく」 「息子の結婚だ。もちろん嬉しいとも」 「歳のはなれた、政略結婚でも、ですか?」 「君たちには時間がある。愛情はこれから育んでいけるだろう」 「さて、どうですか。……それよりも、来賓にあの方をお呼びしているとか」 「ああ。君はまだ会ったことがなかったね」 「ええ、楽しみですよ。聞けば私と同じ歳の娘がいるとか」 「家族ともどもお呼びしてある。私の恩人だからね」 Act-1  「結婚される息子さんって、おいくつ?」 「うちのバカ娘と同じだ。まあ、嫁さんの方は6歳らしいがな」 「大変ね」 「まったく。えらい奴はいろいろ面倒だ。王さまなんかやめてこっちに来いと言ったんだがな。俺とちがって真面目なんだ」 「ほんと義理がたい人ね」 「まあ、出会った...
  • 留守番(二人は暮らし始めました)
     「……ハルヒ?」  手が隣が居る誰かを探していた。  気が付いて、目が覚める。 「そうか。あいつ、帰ってたっけ」  あの親父さんがインフルエンザだとかで、「タダでさえ体の弱い母さんにうつしたら大変」だからと、親父さんは一室に隔離され、食事を出したり着替えを出し入れしたりをハルヒがやることになった。 「おまえにうつったら意味ないだろ?」 「あたしはそんなマヌケじゃないわ。親父のタミフルひったくって先に飲んでおくから。親父? タミフルなんかに頼らず気合で治させるわ。この暮れの忙しいときに呼び付けるんだから、それぐらい当然よ。それにタミフルの服用は、症状は劇的に改善するけど、治癒についていえば平均で1日だけ治りが早くなるくらいの効果しかないの」  あわれ、親父さん……。  あいつと暮らし始めて、8ヶ月。  のべつまくなし、ほとんどあらゆる時間を一緒に居...
  • ハルヒと親父2その後 一周年 その2
    ハルヒと親父2その後 一周年 その1から ハル母 さて、明日も平日だし、そろそろ今日はお開きにしましょう。 親父 キョン、客間に客用布団と着替え一式、用意しといた。先に風呂を使ってくれ。あー、それからバカ娘。 ハルヒ 何よ? 親父 「湯加減見ようか」とか「背中流そうか」とか、ラブコメな振る舞いは慎むように。親父はもう体力の限界だ。 ハルヒ どんなラブコメよ! 親父 詳しいことは言えないが、男性用だ。少年誌とはいえ、侮れんぞ。 ハルヒ いい加減にしないと、殴るわよ。 親父 もう、いい奴を2、3発もらっちまっているが。それじゃ解散。 キョン 親父さん、風呂あがりました。先にすみません。 親父 今、風呂はバカ娘か? キョン はい。 親父 じゃあ、ちょっと座っていけ。 キョン はい……。 親父 といっても、話すネタは特にないんだけどな。 キョン はあ。 親父 二人に「共通の話題」...
  • 親父さんと谷口くんエピローグ
    親父さんと谷口くん5から オヤジ 母さん、ちょっと頼みがあるんだが。 ハル母 なんですか、お父さん。 オヤジ 今から、谷口ってのが戦勝報告にくるらしい。まえにハルキョンも連れて、初デートを覗きにいった奴がいたろ? もう3ヶ月経つが、うまくいってるんでお礼方々伺いたいんだと。 ハル母 礼儀正しい方ですね。ハルヒと中学から同級の人でしたね。 オヤジ うーん。やっぱりうちのバカ娘は育て方を間違えたか? ハル母 あれでも、外ではちゃんとしてるみたいですよ。 オヤジ 粗暴なのは親父限定か。あ、それでな。男女別々に話を聞こうと思うんだが。 ハル母 そうなの? じゃあ、彼女さんにはお茶の用意を手伝ってもらいます。 オヤジ 頼む。親父の道楽に付き合わせてすまんな。 ハル母 ふふ、何をいまさら。それに楽しいことじゃないと私も付き合わないわ。 谷口 おじゃまします! 彼女 あの、失礼しま...
  • ハルヒと親父2その後 一周年 その1
    ハルヒと親父2 ー おとまりから 親父 ハルヒ、悪いが、次の土曜の夜、空けておけ。 ハルヒ 悪いがって……、親父、悪い事でもするの? 親父 するか!あとキョンも呼んどけよ。 ハルヒ いったい何なのよ? 親父 1周年だ。 ハルヒ 何が? 親父 おまえらが初エッチしてから。 ハルヒ は? え? って、何で知ってんのよ! 親父 バカ娘、語るに落ちるとはことのことだ。親父を舐めるな。あと言った本人が傷つくようなことを言わせるな。 ハルヒ 勝手にそっちが言ってたんじゃないの! 親父 ああ、そっちじゃない。知り合いの店が1周年なんだ。ほんとは1年前に連れてくはずだったんだが、予定がかち合ったな。 ハルヒ って? あ、母さんが前に言ってたような。あたしが生まれたとき、お祝いもらった? 親父 ああ。今はその娘が継いでるんだがな。 ハルヒ わかったわ。空けとく。 親父 いい心がけだ。そういう娘には...
  • ハルヒと親父2その後 一周年 その3
    ハルヒと親父2その後 一周年 その2から  朝が来たのは分かった。  おれの精神(こころ)及び肉体(からだ)は、まだ完全には覚醒しておらず、周囲の状況を把握するには至ってなかった。おれの右手は、そこにいるはずの誰かを無意識に探していたが、成果ははかばかしくなかった。それで、人の気配を感じたとき、おれの肺は空気を喉と口蓋に送りこみ、この世のものとは思えぬ音を出すという失態をやらかした。だが音の方がしでかしたことは、よくよく考えればはるかにマシで、更なる大問題は音声信号の内容の方だった。 「ん……ハルヒ?」 「残念。はずれ」  この似ているが確かに違う声について、脳髄が前頭前野と側頭野と海馬に鞭を入れ、最高速度の検索を要求する。結果:この声は確かに・・・ 「って、ハルヒのお母さん!」 「おはよう、キョン君」 「お、おはようございます!」 「誰かお探し?」  ハルヒの...
  • 掲示板/足跡帳
    お立ち寄りいただいた方々のための足跡帳 ([+]をクリックで展開、[-]をクリックで畳込み) -2009-05-16〜2009-06-07の分 2009-05-16〜2009-06-30の分(別ページ) -2009-07-01〜2009-07-31の分 2009-07-01〜2009-07-31の分(別ページ) -2009-08-01〜2009-08-31の分 2009-08-01〜2009-08-31の分(別ページ) -2009-09-01〜2009-09-30の分 2009-09-01〜2009-09-31の分(別ページ) -2009-10-01〜2009-10-31の分 2009-10-01〜2009-10-31の分(別ページ) -2009-11-01〜2009-11-30の分 2009-11...
  • そのとき親父書きは何を思ったか(その13)?
    I wish you were here.(アナタガココニイテホシイ) タイトルは、ピンクフロイドの曲名と、その新井素子訳から。 いわゆる仮定法なんで、「あなたにここにいてほしいのに、でもあなたはいない」という意味になります。 ハルヒの問いかけと不安は、いわゆる胡蝶の夢です。 これに対するキョンの解答は実は2パターン考えていて、使わなかったもうひとつは、 「鰥(クワン)は決して眠らない魚だ。世界は、こいつが見ている夢だそうだ」 「眠らない鰥の夢は、決して覚めることがない。だからこの世界は果てなく続く。……『鰥』は「魚」偏に「眔」(とう)と書く。「眔」は目から涙が落ちている形、涙の象形文字で、「魚」の方はこの場合は女を表す。古代中国では、妻が死ぬと魚を捧げる儀式があったんじゃないかって学者もいるが、とにかく『鰥』の文字は、普通は「連れ合いをなくした男」のことを指すんだ。そし...
  • ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その1
     「ところでさ、あんた、9月の連休、何か予定ある?」  もはや恒例と化した感があるそれぞれの家で催される放課後勉強会(正確にはハルヒによる無料家庭教師)。  問題集に向かうのも1時間を超えれば多少の集中力の低化もやむを得ない訳であり、俺たちは予定より早めの休憩タイムに、和菓子とほうじ茶というしぶい間食をとっていた。その最中、冒頭のハルヒによる爆弾発言はなされた。  爆発していない? じゃあ不発弾か。  いやいや、昨今のハルヒの暴言装備はテクノロジーの粋を極めており、一見ゼム・クリップにしか見えない爆弾発言など、もはや日常茶飯事となっているのだ。 「な・ん・か、予定ある?」  俺が聞き落としたとか聞き漏らしたと、ハルヒのやつが思った訳ではないことは、発言の前三分の二を省略し、「な・ん・か」にアクセントを置いたことからも推察できる。  要は「あんたになんか予定があるわけないわ。あ...
  • スポンサーから一言 その6
    スポンサーから一言 その5から 《登場人物のおさらい》 絵描き:女Dの転落させ殺した疑いで起訴中 女A:7年前、絵描きと心中 女B:絵描きの現在の愛人。手首を切り自殺。 女C:女Aの妹。女Bと同じ日に転落死(自殺?) 女D:女B、Cと同日に転落死。  「探偵小説にいまでも時々あるだろ。『あるべきものが、そこにない方が不思議だ』ってやつ。絵描きの部屋は当然調べられたが、押収品にAを描いたものだけが一切なかった、スケッチすらもだ。心中ですでに関係は精算されて、今や新しい愛人が居る身だ。ない方が当然か? そもそも何故、こいつは心中なんてしたのか、じゃまになったAを殺すだけが目的だったのか? それなら今回はなぜ心中してないのか? 同時に複数を「自殺」させるなんて手間のかかる手段をとったんだ? 今や愛人が複数居て、順番に殺していくと、他の愛人に企みを気付かれると思ったか...
  • ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その8
    ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その7から  シャワーの音が止まった。  少し経って浴室のドアがゆっくりと開く。  俺はベッドの端に、そっちには背を向けて座っていた。 「スケベなこと考えてる顔ね」 「そんなことはない」 「だとしたら失礼な話よね」 こっちに近づいてきた奴が、後ろから俺の首に両手を回してくる。 「だいたい、うしろからじゃ見えないはずだろ」 「あんた、背中までポーカーフェイスのつもり?」 「ただの仏頂面だ」 「ホテルの最上階。二人っきり。邪魔が入る恐れなし。タオル一枚の美女が背中に体重をかけてくる。これで何が不足か、聞こうじゃないの?」  俺はゆっくりと口を開いた。 「子供の名前を考えてた」 「うっ。……なかなかやるわね」 「うそだ。最悪のタイミングで、ムードぶち壊しのことを言うことになるかもしれんが、この旅行ももうすぐ終わりだ。だから率...
  • そのとき親父-書きは何を思ったか(その23)?
    ひさびさに短い目の「そのとき親父書きは何を思ったか」をお届けします。 乱歩の日  乱歩なら他にもいくらでもあるだろう、との当然過ぎるご指摘がありましたが、ハルヒなら、絶対『人間椅子』だろうと迷いもしませんでしたwww。  というか、これを書いてはじめて『人間椅子』の何が嬉しいのか/何を欲望しているのかが、理解できたような気がします。  暑苦しくても、視覚と動き回る自由を失ってでも得たいもの。キョンは反省して、もっと「だっこ」してあげるべきですねwww。 夏氷(なつごおり)の日 ゲリラ雷雨 夏の自転車  歳時記を見てネタを考えたような、夏の掌編。  省略に省略を重ねて、削りに削ってるのは、描く力量と時間がないせいです。  それでも読み手の想像力が救ってくれるのに賭けるという、文字でやってる強みに完全に寄りかかってますね。だから、感想がもらえると、このあたりのは本当に...
  • そのとき親父書きは何を思ったか(その5)?
    ハルヒと親父2 ー おとまり  これは絶対に、ハルヒの一人称でいこうと思ってました。  ハルキョンものの前提として、相思相愛で、そのうち告白して、エッチして、同棲して、結婚して、子供ができて……、というのがあると思います。この中で「告白もの」とか「無自覚だがどう考えてもつきあってるだろお前らもの」のSSはたくさんありますが、わりとすっとばされるというか、前提にされたり一行で済まされたりするシーンやイベントを、丁寧にやってみたい、というのがありました。  たとえば、他の方の書いた「無自覚夫婦」というSSの中に出てくる、 >酒の入った涼宮とキョンの想像を絶するいちゃつき具合 というのを、具体的に書いてみたり(このバカSSがそれですが)とか、 これも、他の方の書いたエピソードというか断片ですが、 ハルヒがおもちゃの手錠をつかって朝比奈さんで遊んでいたので...
  • 二人は暮らし始めました 10日目
    ハルヒ うちは女二人に男一人よ。 キョン 俺のところは、男女二人づつだな。 ハルヒ うちではトイレの便座は、普通降ろしてあるわ。 キョン おれのところは、上げてある。 ハルヒ あんたん家は、なんで便座を上げてるの? キョン 知らん。父親に対する、わずかばかりの敬意の表現じゃないか。 ハルヒ 妹ちゃんは、あんたと結構歳が離れてるわよね。上げたままだと、小さい頃危なくなかったの? キョン ああ、トイレトレーニング用の奴があるだろ。あれ取り付けるには、便座を上げとかないといけなかった。その名残かもしれんな。……しかし、これは今決めなきゃならない問題なのか? ハルヒ 甘いわね、キョン。新婚、同棲に関わらず、男と女が暮らし始めたとき、もめごとの種になる第3位が、この「トイレの便座は上げたまま(男性優位)それとも降ろしたまま(女性優位)」問題よ。事は生物の根幹に関わること、しかもはっきり口するのが憚ら...
  • 水いらず火炎瓶
     「キョン、今日は帰りにうちへ寄りなさい」 「ああ、言われなくても送っていくが。 って、今日、誰もいないんじゃなかったか?」 「親の事を言ってるなら、第12回目の『新婚旅行』中よ。行き先は聞いてないけど」 「なんだ、その12回目っていうのは?」 「知らないわ。夫婦水いらずの旅行をそう呼ぶみたいね」 「それはいいが、誰もいないのに行っていいのか?」 「何をいまさら」 「いまさらだが……何か、あったのか?」 「親父たちが出発する前の日に、猫の死体が玄関前に投げ込まれてね。親父が処理してくれたけど」 「なんだ、そりゃ」 「ご近所にも、何件かそういう目にあった家があるみたいでね。警察も巡回を増やしてくれてるみたいだけど」 「そういうことは、もっと先に言え。一人で抱えるな、っていつも言ってるだろ」 「あ、うん。ありがと」 「いっそ、お前がうちに来るか?」 「それも考えたん...
  • ラベンダー・バス(二人は暮らし始めました)
     夏の間、部屋に帰ればすぐシャワー、汗をかいたら即シャワー、というパターンを繰り返していたせいか、思えば「ゆっくり湯船につかってくつろいだ」という記憶があまりない。  これは何もシャワーのせいとばかりは言えないだろう。  心・技・体ともに、「ゆっくり湯船につかる」のにまったく不向きな人物と、おれは暮らしているのだから。  まず心。風呂を肉体ばかりか精神をくつろがせ、リフレッシュする場所だとは、どうあっても思えないらしいあいつは、湯船にはられた液体が摂氏40度のお湯だろうが、15度の水だろうがおかまいなしに、真夏の動物園で氷柱をもらった北極クマのように、はしゃぎにはしゃいで、とにかく水をあたりにまき散らしてくれる。  つぎに技。稚戯から一転、あいつがその気になれば、魔法の杖のように指を一振りするだけで、今度はおれの理性が3段式ロケットに乗って宇宙速度で飛び去り、種馬だとかオットセイだ...
  • 親父書きがSSを読む その1/お姫様抱っこで保健室に
    その1)お姫様抱っこで保健室に  親父書きが数えたところ、ハルヒスレSSまとめwikiには、キョンがハルヒをお姫様抱っこで保健室に連れて行く場面がある、あるいは誰かがそのことに言及しているSSが17 件ありました。  このなかで、親父書きが選ぶベスト・ワンは、涼宮ハルヒの負傷 (10-330)です。  このシーンを扱った最初期のSSであり、後世に与えた影響は少なくないと、勝手に想像します(「お姫様抱っこで保健室に」というシチュエーションは、ストック・シチュエーション化してますが、誰もが知っている/利用できるシチュエーションだからこそ、粋ないかす書きこなしが出てくるものです)。  この作品のすばらしさは、ハルヒとキョンの感情描写です。感情描写がうまいというよりもーーー言い換えるとどのように(How)感情描写されているかよりも、何故(why)そこでその人物のそうし...
  • ハルヒと親父1
    「なによ。ずいぶんとご機嫌ね?」  カーペットに寝転んでTVを見てるのは親父。いい大人が日曜の朝からアニメ見ておもしろい? 「そうとも。気分がいい。だが、お前には負けそうだ」 「どういう意味かしら?」 「年頃の娘の幸せそうな姿を見るのは親冥利に尽きるが,男親としては寂しさに悲しさが添加されるようだ」 「な・に・が・言いたいのかしら?」 「ハル、お父さんと遊んでいいの? 思ったより時間過ぎてるわよ」  と助け舟を出したのは母さん。どっちにとっての助け舟かしらね。 「ええ、うそ。やばい。じゃ、行ってくるね」 「まて娘。行きがけの駄賃だ」  そういってバカ親父が何か放ってくる。と、と、と、キャッチ。え、あたしの携帯? 夕べ、居間でテレビみながらメールして、そのままだったんだ。 「心配するな。何も見てない。それから充電なら、しといた」  何も聞いてないでしょ! ……見てたら...
  • 王様とあたしたち その3
    王様とあたしたち その2から ACT-20  「彼女は、この国の女性ジャーナリストの草分けで、民主派のリーダーの一人でした。スズミヤ氏が象に乗ってこの国を救ってくれたあの事件の際、夫を亡くし、その後、乳飲み子を連れて大学へ通い学位をとったのです。議会政治の腐敗と軍事クーデターが繰り返されるこの国の政治の在り方に強い疑問を持つ女性でした。また、なんとか事態を収拾し、玉虫色の均衡と和平を目指した私の最大の批判者でもありました。彼女からすれば、私はあまりにも現実におもねりすぎているように見えたのでしょう。逆に私は、彼女の清廉な理想主義と人柄に惹かれました。私達は何度も公衆の面前で批判し合い罵り合いました。大勢の人間が、私達に相手のことをもっと大事にするようにと忠告してくれました。私達は選んだ手段こそ違いましたが、同じ理想を追求しているのだと、説明してくれる人たちが大勢いました。...
  • 通り魔2
     日曜の駅前通りを満たしていた、冬の合間にふさわしいおだやかな空気は、一台の小型トラックの出現で一変した。  周囲の人たちが、異変を感じたときには、もう数人が次々にはねられた後だった。  その小型トラックは、駅改札前の歩道に乗り上げ、さらにアクセルを吹かして、自動改札脇の通用口めがけて突っ込んで行った。  ステンレス製の扉は、一度では壊れなかったが、繰り返される突撃によってひしゃげ、トラックに道を譲ることにしたらしい。  トラックの荷台には、ポリスチレン製の手で持てる中身の入ったガソリンタンクが20個、そして人の背の高さほどあるプロパンガスのボンベが3本積まれていた。  トラックはギアを入れ替え、人々がごった返すホームへそのまま押し入ろうとした。  「やめとけ。それ以上やったら、もれなくテロだ」  隣にいたはずの親父の声が、向こうから、大惨事が起ころうとしている方向から...
  • スポンサーから一言 その2
    スポンサーから一言 その1から  「キョン君、知ってるだろうけど、このオヤジは怪しげな事なら、およそできないことがない。口寄せ、スプーン曲げ、催眠術……」 「バカとモノは使いようだが、人にいうことを聞かせたいなら、おどしの方がよほど効果的で手間いらずだ。だから脅迫は刑法犯だし、催眠の方は法的取締りがない。イギリスとアメリカの一部の州じゃ、催眠術に反感を持ってた医者達の陰謀でできたHypnotism Actっていうステージ催眠の取り締まり法があるがな。酒が飲める店で見せ物催眠術はやるな、ってくだらない法律だ。世の無知・無理解は笑えるがフィクションもひどいもんだ。刑事コロンボで、医者が催眠で患者を自殺させるリモート殺人なんて話があったが、ピーター・フォークのまぬけ面が、単なるアホ面に見えて、いい加減萎えたぞ。エロ漫画でも催眠を認めると、『はじめの一歩』でカメハメ波を認めるみたいなも...
  • そのとき親父書きは何を思ったか(その17)?
    「彼女は赤面した」はなぜNGなのか?/「描写」について 今日はものすごく細かい話です。 (例文1)ハルヒは赤面した。 (例文2)顔をトマトにように真っ赤にしてうろたえるハルヒ…… (例文3) 「(略)あんたにじっと見られると副交感神経が刺激されて顔面特有の神経血管反射が起こって血管が拡張して……」 「いや、もういい。おまえの顔見てたら、何が起こってるか、俺にもわかる」 「……顔が……真っ赤になるんだからね……」  描写というのは、近代に入ってから(二葉亭四迷がツルゲーネフの「あいびき」を訳したのが画期だとされてます)日本の文芸に輸入された技法で、親父書きにとっては「天敵」です。  未だに、これといった工夫をしてない描写(いまだに小説の地の文の大部分を占めるものです)を読むのはつらいです。私が会話ばかりをお話を多く書くのは、実はこういう理由です。...
  • できちゃった その6(最終回)
    できちゃった その5から 1:  「嫁が臨月だってのに、ダンナを海外に引っ張ってくバカがどこにいんのよ!」 「しかも、それが妊婦の親父だった日には、笑うしかないな」 「笑い事じゃない!! あんた、初孫のことどう思ってんの?」 「目に入れるほど可愛い。だが、おまえのデカ腹ごとじゃどうせ入らん。頑張れ、ハルヒ」 「このクソ親父! そんなにデカくないんだからね!」 「前にも言ったが、いい男は待つってことを知ってるんだ」 「で、肝心のキョンはどこ?」 「あいつ、残業。いい奴だよな」 「母さん、こいつ、やっちゃっていい? 2プラス、1マイナスでおつりがくるわ」 「お父さん……」 「といってもな。何故だか先方がキョンを気に入ってる。キョンもやる気になってる。なんだかサラリーマンみたいだろ、高校生バイトなのに。少々うますぎる話なんでな、俺もついてくつもりなんだが」 「当...
  • そのとき親父-書きは何を思ったか(その24)?
     ひさびさに言い訳コーナーです。 終電車  ハルヒスレに、ハルキョンが生き別れて……という話を書いている人が居たので、書いてみました。  テイストとしては夏の自転車に似てます。  普段バカップルものとかバカ親父ものを書いてるんですが、それだけに、「こいつら、離れたらどうなってしまうんだろう?」という疑問は常に有ったりします。  「離れたら、どうなるか」については、「その後」を書いてみたことがあるのですが(『一人旅に必要な事』シリーズ)、今回は「その前」を書くことで、この疑問に自分なりに答えられないか、と思って書きました。  間接的には、こいつら、なんでこんなにバカップルなんだ?とか、こんなにバカップルで大丈夫か?といった疑念に答えるバックステージ(舞台裏)ものでもあり、  直接的には、実は日常の中に無数にあるバッドエンドへの分岐を、こいつらはどうや...
  • 親父の英会話 Lesson 5
    親父の英会話 Lesson 4から 存在の英語から状態の英語へ オヤジ 前回は、存在の英語「〜がある」をやったな。おわりに「I see / find」ってネタをふっといたが、覚えてるか? キョン ええ、さすがに。昨日の今日ですし。 オヤジ とりあえず復習がてら、「道に100円玉が落ちていた」ってのを考えてみな。 キョン うーん。とりあえずthere isとhaveを使った2つを作ります。えーと、 There is a 100-yen coin on the street. ??? …… have a 100-yen coin on the street. キョン 落ちてるってのは、誰のものでもないですよね。ちょっと「誰か」とモノの関係を考えるのが難しい。 オヤジ そうだな。確かにその100円玉は誰のものでもない。だが、「100円玉が落ちていた」と言ってる奴は誰だ? キ...
  • オヤジ野球3
    オヤジ野球2から キョン うちが先攻か。向こうは親父さんが投げるんだな。 ハルヒ あたしが、各自の適性と実績をもとに最高のオーダーを考えて来たわ。 キョン 1番ピッチャー、ハルヒ。……。 ハルヒ 打順は打率のいい順よ。それが一番合理的だって長嶋総監督も言ってたわ。 キョン ……それはいい。2番でキャッチャーが、俺ってのは? ハルヒ そ、それは、さっきも言ったとおりよ! それとも、あたしの球を捕るのが不服とでも? オヤジ おおい、キョン、カーブの握りはこれでいいのか? キョン ……親父さん、せめてグラウンドに着く前に確認して下さい。 ハルヒ キョン、敵に塩を送る気? 古泉 歴史上かつ一般的には賞賛される行為ですが、今は控えていただいた方が。わがチームは9人ぎりぎりだということをお忘れなく。 キョン いっそ誰かに急なバイトが入って、メンバー不足で放棄試合というのを狙わないか? 古泉 ...
  • 王様とあたしたち その2
    王様とあたしたち その1から Act-9  「あら、ハル、どうしたの?」 「母さん。……ううん、どうもしないわ」 「キョン君は?」 「なんかパーティに出るよ用だって、タキシードの採寸で行っちゃったわ。近衛長さんがいっしょ。あたしも後で測るらしいけど」 「……ハル」 「は、はい」 「スポーツでも他のものでも、ディフェンスはね、相手のいて欲しくない場所に居て、して欲しくないことをすることが基本なの。相手がやりたいようにやるのを、止められないまでも、遅らせることもそうね。具体的には、お父さんの言動が参考になると思うわ」 「参考にしたくない。……でも、相手って?」 「まだ誰がそうなのか、わからないけれどね。たとえば、私が王子様なら、ハルと二人っきりで合う機会をつくるために、まずキョン君をハルから引き離すわ。なるべく抵抗されないような、納得できる理由と穏便なやり方...
  • 雪洞の親父
     「あ、キョンか? 親父だ。しくじっちまった。ああ、俺の方はピンピンしてるが、バカが一人、足首をひねってな。おれの見立てじゃ骨まではいってない。今夜は腫れるだろうが、周りは雪だらけで冷やすものには事欠かん。今か? スキー板ででっかい雪胴を掘った。その中にいる。雪は断熱性も遮音性も抜群だからな、中は静かなもんだ。天井もちゃんと滑らかにしたし、壁の下には溝を掘ったから、溶けた雪が垂れて来て悩まされる心配もない。で、用件だ。ついさっき、母さんの携帯にGPSのデータを送った。だが、おれのカンだと、2、3日、低気圧が居座りそうだ。となると、母さんの能力は半減だ。すまんがサポートしてやってくれ。バカと話すか?」 「早く貸しなさい! ……キョン? 親父が大げさなこと言ってたけど、あたしは全然平気だから、あんたはつまんない心配はしないように。この通り、ピンピンしてるわ。この歳で親父とビバークするとは思わ...
  • そのとき親父書きは何を思ったか(その12)?
    「パソコンが砂糖と化してアリがたかる」カオス篇の言い訳を書かないと(笑)。 くっついていたものが離れるのが悲劇、離れていたものがくっつくのが喜劇ですが、くっついていたものがさらにくっつくのが《バカップルもの》で、動きが無いので、基本的にはすべて同じ話です(笑)。へんなシチュエーションとか言葉の勢いでひっぱらないと、どうしようもない、というか。 涼宮ハルヒの禁欲  キョンがおもいっきり釣れてる(笑)。こんなんでいいのか? 涼宮ハルヒのいちゃつき  酔ってるのが、唯一の言い訳か。ハルキョンがお互いに好きなところを100個言い合うんですが、削りましたけど、ほんとに100個書きました。自分で何やってんだろうと思ったけれど。ここで100個出しとけば、先回りしてあらゆる「バカップルもの」を同工異曲にできるのではないか、という野望が。まあ、先回りしなくても、「バカップルもの」はみな同じ...
  • そのとき親父書きは何を思ったか(その10)?
    その男、文系につき 口上に、ハルヒスレSSまとめwikiに収録の、 「涼宮ハルヒのリラックス」「涼宮ハルヒの結合」、「涼宮ハルヒの電磁波」みたいに、医学論文を縦横無尽に引用してエッチを語るハルヒに萌えなのだが、これに対して、無駄な文系知識を開陳してドツボにはまって殴られるキョンの姿を受信した。 などと書いてあるのだけれど(笑)、991@Haruphilic SSさんがブログでご指摘のとおり、キョンの雑学/ムダ知識って、本や辞書の中にエロい言葉を見つけると赤鉛筆で線を引く(笑)ことによって培われた感じがしますね。 ちなみに、「四つ目屋のネット・ショップ」は実在します。リンクを貼っても、しょうがない気がするけれど。「落語の舞台を歩く」という内容充実サイトにも「落語四つ目屋の舞台を歩く」に登場(あ、艶笑落語につき18歳未満は閲覧禁止とある)。このサイトは(そういう意味で...
  • そのとき親父-書きは何を思ったか(その25)?
    親父さんと谷口くんシリーズ  光るあるところに影がある。  普段、主としてハルキョンのバカップルものを書いている親父書きですが、多分、「親父さんと谷口くん」は、ハルキョンを光とするところの影、陰画です。  原作では付き合ってるどころか告白さえしていないハルキョンですが、二次創作におけるバカップルものは、当人たちがどれほど否定しようとも、どれほど無自覚であろうとも、デフォルトが「付き合ってる」ことになっています。  一方で、原作の谷口氏は5分とはいえハルヒと「付き合った」こともある訳ですが、本シリーズの谷口くんは《永遠の恋の探求者》です。ぶっちゃけ、永遠にカップルになれないが故に永遠に恋を追い求めると運命づけられている神話的人物です(笑)。カッコイイ、でもなりたくない(笑)。  オリキャラであるところの涼宮夫妻は言うまでもなくバカップルですが、その片割れである親父さんは、図書館で...
  • @wiki全体から「二人は暮らし始めましたー場外ー親父が来る その1」で調べる

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