ハルヒと親父 @ wiki内検索 / 「同じ夢の中」で検索した結果

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  • 同じ夢の中
     親父とケンカした。  ケンカ自体はいつものことだったけど、テーマが最悪だった。  親父は、大抵のことは適当にやってしまうくせに、ケンカだけは手を抜かない。  相手が子供だろうが、自分の娘だろうが、とことんやる。  今日のケンカは、あたしが今一番触れて欲しくないと思っていることを巡って行われた。もちろん手加減なしで。  あたしは自分としては最悪の選択を、敵前逃亡を選び、自分の部屋に駆け上がった。  そして、あたしは最悪な気分でとにかく眠ろうとした。  いつもとどこか違う目覚め。  夜中に目が覚めてしまうのは、よくあることだ。  時には、夜中の街を誰にも邪魔されずに、闊歩する。今のあたしに、心安らぐ時があるとしたら、このときだった。  でも、『今夜』は違っていた。  今夜? 確かに窓から光は入ってこない。外は暗い。  あたしはただならぬ予感がして、カーテンを一気...
  • そのとき親父-書きは何を思ったか(その19)?
    同じ夢の中  ハルヒの力v.s.親父さん、第1弾。親父さんのフォール(寝逃げ)勝ち。  原作で「この先」実現するであろうシチュエーションを、伏線的にねじ込むために親父さんがまた無茶を言ってます。これで『憂鬱』以前であることをほのめかしたかったけれど。  閉鎖空間の「幼児画」ぽさを看破し、「バカ娘」と重ねて一刀両断にするところなど、親父さんの真骨頂で。  反発喰らって、ようやく曖昧なままにして来た事実を認めるに至った、個人的には記念すべきSS。つまり、『ハルヒと親父』シリーズの主役は、親父さんに他ならないということ。  これが「できちゃった」の最終回につながっている。  長らく動かせなかった「ハルヒのリフォーム」にもテコ入れできる可能性がでてきた。 デカンショ  知的な背伸びは何歳になってもした方がいいと思ってます。正直、格好のいいことではないが、それでもした方がいいと...
  • そのとき親父書きは何を思ったか?
    ...ついて その19:「同じ夢の中」、「デカンショ」、「自転を逆に回して」について] その20:何ゆえ書き手はかくも弱いのか その21:「できちゃった」について 再び その22:「ハルキョン温泉旅行」について その23:「夏氷の日」「ゲリラ雷雨」「夏の自転車」等について その24:「終電車」等について その25:「親父さんと谷口くん」シリーズについて その26:「長門有希の空腹/満腹」そして「オヤジラジオ」シリーズについて その27:「司書魔女」シリーズについて
  • SS(二次創作)「ハルヒと親父」シリーズの物置
    ... 二人でドライブ 同じ夢の中 6月の桜 デカンショ ハルヒのピアノ 7月30日プロレス記念日 クレイマークレイマー 長門有希の空腹 長門有希の満腹 銀行強盗 夏仕舞い ハルヒと親父の格闘 For piano four hands 親父のびおろん 親父とRPG やつは大変なものを盗んで行きました 通り魔 先延ばしの詩(うた) 冷蔵庫のあかり オヤジのバスケ 化粧 親父抜きの大晦日 Sweet Pain 師走の親父 通り魔2 雪洞の親父 しもやけ オヤジ野球 ホワイトデー ちかんにあった 朝食の情景 親父の臨終 ハルヒと親父シリーズ以外:主としてハルキョンもの +異年齢シリーズ 異年齢シリーズ ハルヒ>キョン   ハルヒ先輩 ハルヒ先輩2 ハルヒ先輩3 ハルヒ先輩4   ハルヒ先輩5 ハルヒ先輩6 ハルヒ先輩7 ハルヒ先輩8 ハルヒ<キョン   保健室へ行こう ...
  • 夢魔が降る夜
     明け方まで随分間がある時刻、自分の右手が、そこにいるはずも無い誰かを探しているのに気付いて、おれは目を覚ました。  熱は2日間続いて、ようやく下がり始めていた。朝になれば「今日」こそ学校に行けるだろう。いや、行かなくてはならない。  のどはまだ痛い。それを意識すると、のどの乾きに気付いた。何か飲もうと、ベッドからずるずると這い出し、部屋のドアへ向かう。  何かが、いや誰かがそこで立ちふさがっていた。  っていうか、服まくりあげて、なに放りだしてんだ、おまえは!? 「うっさい! 母乳にはね、免疫を高める成分が入ってんの! さっさと飲んで、とっとと風邪を治しなさい!」  ぼ、母乳! 子供もいないのに、そんなもの出る訳ないだろ! 「は、恥ずかしいんだから、早くしなさい!」 恥ずかしいなら、やめろ。考え直せ! 「ええい、問答無用よ!」 いつ、おまえが問答なんかしてくれた? 頭...
  • 一人旅に必要な事
    「大丈夫か、ひとりで?」 「大丈夫よ。子供じゃないんだから」 「子供じゃないから、心配してるんだがな」 「エロ親父」 「昔からことわざにもあるだろ?『お父さんの親心は、おじさんの下心』って。根はいっしょなんだ」 「はいはい。もう行くわよ」 「定期連絡を忘れるな。母さんが泣くぞ」  思うところがあって、あたしは一人で旅に出ることにした。  感傷的な理由も考えられなくはないけれど、要は、日に日に心の中で大きく重くなる、あいつの存在にケリをつけたいというのが本当のところだった。  珍しく、あいつからハガキが届いた。それも写真付きのやつ。  よくない予感はしたわ。でも、これはあたし宛よね。あたしが読まないわけにいかないじゃない。  文面はものぐさそのものだった。 「結婚しました」 まったく「ものぐさ」とシンプルはまったく違う別物だ、とあれほど言ったのに...
  • ハルヒ先輩7
    ハルヒ先輩6から  「随分、成績も上がってきたな。これだと外の学校を受験しても十分勝算があると思うが」 「外の大学なんか行かないわ」 「……この進路志望調査票なんだが、第1志望から第3志望まで『ハルヒの嫁』っていうのは?」 「あ、それ、あたしが書いたの」 「……涼宮、なんでお前がここにいるんだ? なんで一昨年と同じ会話を、おれとお前はやってるんだ?」 「だって、これ、キョンの三者面談でしょ? あたしの時と事情は同じじゃないの」 「三者ってのは、本人と親と教師のことだ。おまえは何だ?」 「キョンの嫁よ。英語で言えばベター・ハーフよ。こいつの成績に関しては、あたしも責任があるし。あと、これ、キョンのお母さんからの委任状。ちゃんと話はつけてあるわ」 「あの、先生。ハルヒにはあとでよく言っておきますんで。とりあえず内部進学を希望するということで」 「すまんな、キョン」 ...
  • 掲示板/足跡帳バックナンバー1
    ...昨日から放出中です(同じ夢の中、6月の桜)。「やっちゃいけないネタ」として封印してあったいくつかです。さて、巨大カマドウマを素手で倒すにはどうしたらいいんだろう(笑)? -- 親父書き (2009-06-23 20 55 11) 自分のワガママで封印ネタまで出して頂いてありがとうございます。親父さんならどう対処するかという興味が以前からありました。しかし、読ませて頂いてさすが親父さんとしかw 凄いです。6月の桜の、退場の仕方がとても気になりました。 -- 911 (2009-06-24 06 26 57) >911さん: いや、こちらこそ、リミッターを解除してもらって感謝してます。バランスや整合性も必要だけど、「書きたいから書く」というスタートみたいなところに回帰しつつあります。「6月の桜」では、親父は何か含みのありすぎることを言って退場しましたね。やりすぎ、しゃべりすぎだ...
  • 彼を知る彼女達の対話
     「あんたは、ぜんぜん変わらないわね、有希」 「あなたも、それほど変わらない」 「変わるわよ。もう80超えたんだもの。あいつを看取って、もう2年よ。ようやくなれてきたわ。あんたにも、いろいろ心配かけたわね」 「かまわない。……あなたは変わった。しかし、少しずつだが、以前のあなたに戻ってきている」 「そうかもね。あたしたち15の時に会ったのよ。あいつとも65年よ! まさか、こんなに長く一緒に居るとは思わなかったわ。……ずっと、一緒に居られる、ってどこかで信じてた。ううん、無理だと分かっていても、でもそう願ってた。……そういう意味じゃ、ほんと変わらないわね。夢は夢でしかないと知ってるのに、夢みたいなことばかり追いかけてた。あんたたちにも、いろいろ付き合わせたわね」 「付き合ったのではない。私は私の理由でそこにいた。そして……楽しかった」 「あ、ありがと、有希。……もう、いやね、なに...
  • 涼宮ハルヒの正夢
     「い、息ができないじゃないの、このエロキョン!!」  狭い教室に(物理的な意味で)大反響を引き起すゴージャスかつラウドネスな寝言だった。少なくとも、うとうとしかけてた俺が一気に過覚醒しちまうぐらいには、な。 「……で、できなくても、いいけどぉ。むにゃむにゃ」  はた迷惑な誰かさんの夢の内容については、あえて触れず、想像するのも止めておく。だから推測も無用だ。背景色でのリクエストも受け付けない。5組の連中にならって、肩をすくめてやり過ごしてくれ。以上だ。  が、次の寝言&寝アクション(俺を後ろに引き倒す)は、事なかれ主義者として事態をスルーしようとしてた俺の中の、なんというか名付け難いメーターの針を振り切れさせた。 「早く起きなさい、って言ってんのよ、あたしは!!」 「うお!痛ーっ。……ハ、ハルヒ!! 起きるのは、お・ま・え・だ!!」 「んが?」 「……目が、覚めた、か?」...
  • 司書はなにゆえ魔女になる?
     「三日間ほど、部活に来れない? どうして、また?」 「図書室の整理を手伝うことになった」 「学校のか?」  長門が手伝う必要があるほどの規模とも思えん、ちっちゃな図書室のはずだが。  怪訝な顔をしたおれに答えるように、長門は付け加えた。 「司書教諭は入院した。図書委員の誤操作及び誤った修復作業により図書貸出管理システムがダウンした。入院前に司書が発注した図書が書店の都合で搬入が重なった。これらにより、このままいくと約10日間、図書室は使用不能となる」 「それってただの偶然なのか?」 「普通の偶然」 「じゃ、普通じゃ起こりえない『ものすごい偶然』って、どれくらいなんだ?」 「有機生命体の平均寿命からすれば、一個体あたり10のマイナス6乗程度の確率、この惑星レベルでは10のマイナス15乗程度の確率、現有宇宙全体では10のマイナス50乗程度の確率」 「よくわからんが……そう...
  • 涼宮ハルヒの中継
     新聞部・放送部の合同企画、後援北高生徒会でお送りしております「北高、あの人に聞け」。  今回は第50回を記念し、何人もなしえなかった危険極まりない暴挙、見た目はスレンダーなくせに出るとこ出たどえらい美少女、中身は修羅か般若か阿鼻叫喚奇天烈魔人と称されるSOS団団長に単独独占インタビューを試みんばかりのラグナレク神々のたそがれだあ! 部室棟の廊下を一歩、また一歩と近づく先には、おおっと、北高七不思議をすでに五つも塗り替えた、あのSOS団に、占拠占領された、これが文芸部部室かあ!  さあ、今まさにドアノブに手をかけようとしているしているところだあ! ん、固い、開かないぞ、これはどうしたことだ!? さっそく唯我独尊平成の金剛曼陀羅卍固め涼宮ハルヒの逆鱗にふれたのか、部室のドアまで金しばりだ! おっと、ドアが今ものすごい勢いで、蹴り開けられた!中からは、成層圏を突き破らんばかりに...
  • 技術の長門−ワッフル・デコーダーの暴走3
    技術の長門−ワッフル・デコーダーの暴走2より 「では、完成したのですね? わかりました」 「古泉、長門からか?」 「ええ。対ワッフル・デコーダーの新兵器が完成したそうです」 「そうか。早速投入できるのか?」 「はい。ですが、有効範囲が狭いため、ワッフル・デコーダーを引き込む必要があるそうです」 「ますます特撮怪獣めいてきたな」 「いま長門さんが、あらゆるまとめwikiから「わっふる」の字句を削除しています。大丈夫です、wikiには履歴機能がありますから、復元は容易です」 「ワッフル・デコーダーの行く先を限定しようっていうんだな?」 「そして『餌』を用意します。つまり、わっふるの煮こごりのようなSSを」 「……誰が書くんだ、それ?」 「あたしよ!」 「うわ、ハルヒ!」 「ご挨拶ね。団長が現れて何がまずいことでもあるのかしら?」 「おまえが何を書くって?」 ...
  • 王様とあたしたち その2
    王様とあたしたち その1から Act-9  「あら、ハル、どうしたの?」 「母さん。……ううん、どうもしないわ」 「キョン君は?」 「なんかパーティに出るよ用だって、タキシードの採寸で行っちゃったわ。近衛長さんがいっしょ。あたしも後で測るらしいけど」 「……ハル」 「は、はい」 「スポーツでも他のものでも、ディフェンスはね、相手のいて欲しくない場所に居て、して欲しくないことをすることが基本なの。相手がやりたいようにやるのを、止められないまでも、遅らせることもそうね。具体的には、お父さんの言動が参考になると思うわ」 「参考にしたくない。……でも、相手って?」 「まだ誰がそうなのか、わからないけれどね。たとえば、私が王子様なら、ハルと二人っきりで合う機会をつくるために、まずキョン君をハルから引き離すわ。なるべく抵抗されないような、納得できる理由と穏便なやり方...
  • できちゃった その3
    できちゃった その2から  母子手帳がいつからもらえるか、ご存知だろうか。  正解は「妊娠がわかったら」すぐにでももらえる、である。 「そんなことも知らないで、父親になろうなんて、うかつすぎるわよ、バカキョン!」  うかつなことは認めるが、そういう「うっかり」ではないような気がするぞ、ハルヒ。 「どういうことよ?」  だいたい、母子手帳が妊娠がわかったらすぐにもらえる、なんてことを知ってる高校生なんていないと思うぞ。ハルヒ、お前は知ってたのか? 「あたりまえでしょ!」  うぐ。 「子供ができたらどうなるか、どんな準備をして何をしなきゃならないのか、知らないのはまだしも、知らないでも良いと思ってるのは許し難いわね。だったら、ちゃんと避妊しなさい!」  いや、それは、あれだろ、おまえが「生」の方が良いって言って……。 「あたしは知ってるからいいのよ」  ぐう。...
  • 銀河の中心で愛を叫ぶ
    ハルヒ 大声コンテストに出るわよ! キョン また、はじまったか。いいか、ハルヒ、おまえはいつもいつも、思いつきで話を持ってくるが…… ハルヒ なによ、何ヶ月も前から根回しして、その上みんなのハンコをもらわなきゃならないわけ? どこの役所よ!?官僚制よ!? 特別な準備も特訓も要らない、体ひとつあれば参加できる企画なのに、そんなのナンセンスでしょう! うちみたいな小規模組織は、意思決定の迅速さと機動力が売りなの! さあ、わかったら、早速出かけるわよ! キョン 今から? ハルヒ エントリーは5人ともすでにしてあるわ。もちろん、個人および団体の両方で優勝を狙うから、そのつもりでね。さあ、気合いれていくわよ!! キョン しかし、ハルヒ。準備が要らない、体一つでOK、というのはそのとおりだが、うちが得意とする種目とは思えんぞ。 ハルヒ どうしてよ? キョン おまえの大声については何もいわん。勝手...
  • ハルヒ先輩3
    ハルヒ先輩2から 「ふんふん。この成績だと、内部進学は楽勝ね。ようやく同じ学校に通えるわね!」 「敷地は今も同じだし、校舎だって5分の距離だけどな」 「大違いよ! 今はみんなも見慣れた風景になってるらしいけど、高等部の中庭であんたとお弁当食べ出した時の、周囲の目ときたら!」 「気にしてたのか? というか、気付いてたんだ?」 「当たり前でしょ!」 「じゃなんで、膝の上に俺を乗っけて食べるなんてことしたんだ? 俺も結構嫌がっただろ?」 「あたしがそうしたかったからよ! 決まってんでしょ!」 「聞いた俺が悪かった」 「あとオーディエンスがいると、余計燃えるわね」 「周囲を挑発するのは、少し自重してくれ」 「あれくらいしないとね、ライバルを黙らせるには至らないの」 「ら、ライバル?」 「あんたは鈍いし天然入ってるから気付きもしてないんでしょうけど、あんたって地味に...
  • そのとき親父-書きは何を思ったか(その21)?
     「ハルヒと親父」シリーズをはじめて、なかなか決まらなかったのがキョンのスタンスというか、キョンと親父さんの関係です。親父さんはどこまでいっても親父さんですが、キョンは相手によって対応を変えるタイプなので、どういう関係かが決まらないと態度が決まりません。「彼女の父親」「娘の彼氏」というのは、ただでさえ思うところが複雑なので、最初の頃はほとんどキョンと親父さんの絡みは回避されてました。  登場人物それぞれの「性格」と、登場人物の間の「関係」は、ネットワークでいうところの「ノード」と「パス」なので、どちらから決めても良いわけですが、現実的には「関係」の方が変わりやすく、その変化自体が物語だったりします。そんな訳で初期設定的には「性格」からはじめるのが手堅いわけですが、とあるSS書きとしては、性格をコトバで「説明」するなんてヤボなことは避けたい、実際の行動や他の登場人物とのやりとりの中で...
  • 二人は暮らし始めました−--わるいゆめ
    「あいつについてあたしが話せる2、3の事項」のきっかけになった、ポクロウタさんの1枚絵http //pokurouta.blog99.fc2.com/blog-entry-219.htmlから連作の4コママンガhttp //pokurouta.blog99.fc2.com/blog-entry-223.htmlが生まれていたので、それに更にインスパイアーされて、このSSはできました。ポクロウタさんに多謝。  夜の最中、名前を呼ばれて、目が覚めた。  何か大切なものでも失ったみたいな悲しい声で。  あたしは確認する。ここはどこ?今は何時で、何をしているの?  安らぎを与えてくれるぬくもりの中に、あたしはいた。  大丈夫、何があったって、そう言える力を与えてくれるもの。  問題は、その熱源と、今の声の発生源が、同じだってこと!  ちょっと、何、寝ぼ...
  • しもやけ
    雪洞の親父から  「あんた、その手」 「ん? ああ、しもやけだ。たいしたことない」 「あんたねえ、手と足の指はよーくマッサージしなさいって言ったでしょ!吹雪の中にいるより雪胴の方がずっとましだけど、温度は冷蔵庫以下なのよ! 凍傷にでもなったらどうすんのよ!? 指切り落とす気?」 「凍傷としもやけ(凍瘡)は違う。おまえの方は大丈夫みたいだな」 「ええい、気やすく触るな!」 「あ、すまん。冷たかったか? 小さい頃から血行が悪くてな。だから、しもやけもなれっこだ」 「んなもん、なれるな! あとでビタミンE入りの軟膏あげるから、よおく塗っときなさい! ったく、体はヒヨコみたいにホカホカのくせに、手先だけ冷たいし。血の巡りが悪いんじゃないの?」 「わるかったな。おまえみたいに血の気が多くないんだよ」 「ちょっと、手かしなさい!」 「いてて。もむのはいいが、妙に痛いぞ」 ...
  • そのとき親父-書きは何を思ったか(その20)?
    一番シビアな評価をするのは自分でしょう。ですから他人のシビアな評価なんて、本当は必要ないんですね。ウソでもいいから、持ち上げた評価が欲しいんです。それでなくても倒れようとしているところですから、シビアな評価されたら、本当に倒れちゃう。    -----井上陽水『ラインダンス』(新潮文庫)  いやもう、陽水のこのコトバをメモしておくためだけに、このページを立てたようなものです。  「的外れだけれど辛辣な批評」というのは、どうでもいい、というか、どうしようもないのですが、同じくらいヘタな場合、より辛辣な方が批評っぽく見えるらしいんです。でも、これはまったく誰の役にも立たない。人は、悪意や敵意を満たすためなら、もう少しましな手を選べるはずなんです。その努力をすべきです。  ドゥルーズ&ガタリという、哲学のサーカス団みたいなコンビがいるのですが、いつも、いくつかの涙がこぼ...
  • そのとき親父書きは何を思ったか(その12)?
    「パソコンが砂糖と化してアリがたかる」カオス篇の言い訳を書かないと(笑)。 くっついていたものが離れるのが悲劇、離れていたものがくっつくのが喜劇ですが、くっついていたものがさらにくっつくのが《バカップルもの》で、動きが無いので、基本的にはすべて同じ話です(笑)。へんなシチュエーションとか言葉の勢いでひっぱらないと、どうしようもない、というか。 涼宮ハルヒの禁欲  キョンがおもいっきり釣れてる(笑)。こんなんでいいのか? 涼宮ハルヒのいちゃつき  酔ってるのが、唯一の言い訳か。ハルキョンがお互いに好きなところを100個言い合うんですが、削りましたけど、ほんとに100個書きました。自分で何やってんだろうと思ったけれど。ここで100個出しとけば、先回りしてあらゆる「バカップルもの」を同工異曲にできるのではないか、という野望が。まあ、先回りしなくても、「バカップルもの」はみな同じ...
  • 二人は暮らし始めましたー場外ー親父が来る その3
    親父が来る その2から   ……この親父、家族愛に訴えてまで、娘を怖がらせようとしている。しかし怖がらせたところで、この親父に何の見返りがあるというのか。ある意味なけなしの父娘の絆をまた損なうだけじゃないのか。  それにしても、こいつもまたダブル・バインドだ。まともに受け取れば冗談にして茶化すことができるし、相手にしなければ親の死に冷淡な態度を非難できる。いずれを選んでも、向こうに負ける余地はない。  おれはハルヒの反応を見ようと後ろを振り返った。 「ふう。で、その不幸の手紙は何人に出せばいいの?」 おい、ハルヒ。いきなり《肝心なことは聞いてない》攻撃か? 「バカ娘、そうじゃない。死を回避する方法はないんだ」 そうだ、そういう設定だろ。 「人間いつかは死ぬわよ!」 一般論!! 「だからいつ死んでもいいように、今日の今この時を一生懸命生きるの! キョン、あたし何か...
  • ロール・プレイング その6
    ロール・プレイング その5から 老人 そう、あわてるな。王宮とまではいかぬが、王都には、懐疑論者のファランジュもある。東の巫女の侍従にも懐疑論者がおる。 オヤジ その女スパイが手引きしてくれるのか? 老人 いや、「外の者」なら、巫女が直接会うと言っておる。この意味がわかるか? オヤジ 懐疑論者も歳をくうと探偵を始めるのか? 老人 人探しを請け負ったのは初めてじゃ。これで最期にしたいがの。 オヤジ 世界が終わればそうなるさ。 老人 そうならんために、おまえさんたちが来た。そうじゃないかの? オヤジ で、巫女がいるところまで、何日かかる? 老人 さよう、人の足なら10日と、かからんじゃろ。 オヤジ 話にならんぞ。「どこでもドア」はないのか?「瞬きの鏡」でもいい。 老人 半分以上分からんが、竜の翼なら、1昼夜で着く。 オヤジ ああ、いやな展開になってきたぞ。おれまで虎のパンツで武装する...
  • フェバリット・メモリー
    (*not happy end/微鬱注意) あんた、だれ? ううん。あたし、あんたを知ってるわ。 たぶん。 あんたは、あたしを知ってるのよね? ハルヒ? あたし、ハルヒっていうの? すずみや はるひ ふーん。で、あんたは? キョン? へんな名前。でもあんたに合ってるわ。うん、キョンって感じがするもの。 ……そうらしいわね。覚えてないわ。 思いだせないっていうより、最初からそんなものはなかった、というのが実感ね。 ええ、ここに来てから随分になるわね。……正確には、そう思うというだけ。 いかれてるのは、記憶。長い方も、短い方もね。 たぶん、あんたがこの部屋を出ていったら、あんたのことも覚えていられないわ。 明日、あんたがやってきても、また同じことを言うのよ。 「あんた、だれ?」って。「キョンって感じがするもの」って。 昨日もあんたに、そういったかもしれ...
  • そのとき親父書きは何を思ったか(その18)?
    ヰタ・セクスアリス/雨宿り及びつづきについて  ハルヒが言っていた「雨の日にしたくなるのは何故か?」という疑問は、以前にある人から投げかけられて、しばらく持っていたものです。その時、たどり着いた答えは、「背中あわせでいいから、くっついていたい」「誰かに(とくにあなたに)いっしょにいて欲しい」というものでした。男(キョン)の立場だと、これはかなり拷問に近いものがありますが(笑)。まあ、彼なら我慢できてしまうかもしれない。  この線で書けば、もう少しきれいなお話になって、 「ハルヒ、……また『雨宿り』していくか?」 「うん」  こうしてわたしたちは、いつか『大人』になる日が来て、それぞれの『相手』を探しに出かける時が来るまで、大きな木のつくる洞の中で、同じ雨に濡れ、手をつなぎ背中を合わせながら、雨宿りをしている。 ……みたいなラストになっていたかもしれません(ハルヒV...
  • 辞書シリーズ/漢和辞典:虹
     小雨が降る放課後、俺たちは部室にいた。  他の団員は用事があるらしくいずれも少し遅れて来るらしい。  今、部屋にいるのはハルヒと俺の二人だけだ。  天気予報は午後から晴れると言っていたが、実際の天気もまた、今のところ予報よりもいくらか遅れているらしい。 「ねえ、キョン。あんた『虹』って字、書ける?」 なんだ、ド忘れか。ハルヒが俺に字を聞くなんてめずらしいが、いくら俺でもそれくらい書けるぞ。ほら。 「じゃあ聞くけど、なんで『虹』って、虫偏に工って書くの? おかしいと思わない?」 そんなに変か? 「変よ。あんた、あれが虫に見えるわけ? だったら虹ってどんな虫よ? まあ、ケモノ偏でも困るけど」 と、ハルヒは納得のいかない顔をして、ぶつぶつ言ってる。  放っておくと、帰るまでこの調子かもしれんな。  やれやれ。とっとと解決しておくか。 ...
  • みぞのの鏡
    「鶴屋さんに、鏡をもらったわ!」  ハルヒは鞄の中から茶色い油紙でくるまれた小さな包みを取り出した。 「その大きさだと手鏡か」 「そうよ。やんごとなき人たちの間を転々として来た不思議な鏡らしいわ」 「おいおい。持ち主が原因不明の死に見舞われるとかじゃないだろうな?」 「鶴屋さんがそんなのくれる訳ないでしょ。いらないならいつでも返してくれればいいって言ってたし」 「というわけで、今日の活動は、この鏡の謎を解くことよ!」 「なるほど、いわくがありそうな鏡ですね」 「そうでしょ! さすがは古泉君ね」 「おそれいります」 「うらに何か書いてありますぅ」 「ほんと、みくるちゃん、お手柄よ!」 「くずし字だな。何と書いてあるんだ?」 「みぞの」 「有希、よめるの?」 「覗けば汝の望みが写る、と書いてある」 「どれどれ」  ハルヒは鏡をのぞいた。が、次の瞬間...
  • ハルヒ先輩2
    ハルヒ先輩から  「まあ、あんたは、鞭より飴が効くタイプだとは思ったけど、ここまでとはね」 「どっちかって言うと、ハルヒが事前にしてくれた家庭教師のおかげだと思う」 「それでもね。……あんた、平均で80点超えてるわ。これだと『愛の極上スペシャル・フルコース』になっちゃうけど、どうする?」 「……」 「そうよねえ。こういうのは、お互いの気持ちの高まり、とか、そういうのが大事なもんだし、賞罰のネタにするのはダメね。あたしが悪かったわ。代わりに、なんでもいいから、欲しいもの言いなさい。ちゃんとご褒美は用意するから」 「ハルヒ」 「なに?」 「子供扱いしてるだろ?」 「む。そんなこと、あるわけないじゃない。あんたは、たまたま年下だったけど、あんたが10才年上だろうが、逆に年下だろうが、キョンはキョンよ。あたしの気持ちに変わるところはないわ」  いや、さすがに10歳下はま...
  • 親父さんと谷口くん2
    親父さんと谷口くんから 「えーと、前にも尋ねた覚えがあるんだが、誰だっけ?」 「このあいだ、親父さんの教えを受けた谷口です」 「おー、そうだった。その後、どうだ? もてたか?」 「おばあさん相手に100人切りを完遂しました。どっちかというと、返り討ちにされた気がしますが、勉強になりました」 「で、今はどうしてる?」 「はい、それが高じて、介護施設にボランティアへ」 「そうか。人生何が幸いするかわからんな」 「親父さん、もう一度、チャンスをください!」 「ん?何の?」 「大変充実した日々を送りましたが、本来のナンパ道から遠ざかっている気が。それに、おれ、正直言って、若い女が好きなんです!」 「それで、なんか、アドバイスすればいいんだな?」 「ぜひともお願いします!」 「アーリー・ラーニング・セットって知ってるか?」 「いや、いいえ」 「20世紀最大の催眠...
  • アーカイブ
     「はい、これ」 後ろの席から回って来たのは、MDディスクだった。 「あんたんち、再生も録音もできたわよね」 「ああ、ラジカセがある。で、これは、なんだ?」 「聞けば分かるわ」 「そりゃわかるだろう。で、何なんだ?」 「んもう。人に聞くばっかりじゃなくて、自分で手足と頭を使って、ちょっとは考えなさい。……まあ、あんたがここで言ってもいいっていうんなら、いいわ。言って上げましょう」 「ちょっと待て!」  そういうものなのか、これは? 「は? あんた、なんだと思ったの?」  くっ、はめやがったな。ちょっとここでは言えないようなことを、ほんの少しは想像したとも。笑うなら笑え。……だがすぐ打ち消したぞ! これは罠だ、とおれの背中がぴりぴりとした…… 「あんたの勘も当てになんないわね。このMDの中身は、え・い・ご。あんたの発音は、まあほかのどの教科も決して良いとは言えない、いい...
  • 親父さんと谷口くん3
    親父さんと谷口くん2から 「今度は思い出した。素人童貞の谷口だな」 「すみません。そんな、いきなり謝らなきゃなくなるような冠は、まだ付いてないです」 「それがいい。若いうちからエッチしてると、男と女のことを『わかった』ものとして軽く考えがちだ。『わかりきった』と思っているところにドリームは生まれないし、子供も生まれない、とみうらじゅんも言っている」 「いや、あの、すみません。直裁に言います。女の子にもてたい、否、女の子をものにしたいんです! どうか、俺みたいな者にも、すぐに役立つお知恵を」 「つまり、こういうことか。熱愛中のラブラブ・カップルの女性側の記憶を書き換えて、恋心のあて先を、そのうらやましい男からおまえに振りかえて、恋人を横取りする方法とか、そういうのが知りたいのか?」 「げ、外道ですね。そんなことが、できるんですか?」 「できるかどうかの問題じゃない。して...
  • そのとき親父書きは何を思ったか(その6)?
    『できちゃった』について  ハルヒ、いきなり妊娠してます。で、生むと言ってます。周囲も反対する気配なしです。  難しい素材だ思うけどと、コメントをいただいてますが、確かに難しい。こんなに簡単に書き始めるんじゃなかった、実力が足りてないぞ、と後悔することしきり。  ただ、子が親になり、親が祖父母になる、という話は、いつか必ずやろうと思ってました。世代交替というか、世代の循環があってはじめて、お話に出てくる親たちが、書き割りや背景でなく、主人公世代と並び立てる全うな登場人物になるんじゃないか、と思っていたからです。  ただ人が読みたがるか、需要はあるかと言えば、とても微妙です。  いまのコメディものは、ジャンルで言うと「家庭喜劇」というのに分類されるのですが、異なる世代を徹底的に排除しクリーニングした上に成り立ってるものも多いです。  異なる世代のことなんて、理...
  • 6月6日 かえるの日
    6月6日 かえるの日  かえるの鳴き声「けろ(6)けろ(6)」の語呂合わせから、「かえるの友の会」の会員である作家の矢島さらが1998(平成10)年に提唱しました。って、それだけ? (改作グリム童話「かわいい女の子とカエル君」)  むかしむかし、あるところに、名古屋弁で言うと、どえりゃー美人で、スレンダーなくせに出るとこ出てる女の子がいました。  女の子は、思いつきで行動するのが大好きです。その日は1000本ノックとピッチング練習をすることにしました。  ところが、あたりどころが良すぎて、800本目のノックはフェンスを越えて、ホームラン級の打球になって飛んで行きました。 「まあいいわ」  夕焼け空に消えていく白球を見送って、女の子は帰り支度を始めました。  すると、 「泣いたりして、どうしたんだ?」  なんと、モブ(群衆)の中から雑用係のカエ...
  • 保健室へ行こうエピローグ
    保健室へ行こう6から  「ふ、ふぁふぁははは」 「ハルヒ、嬉しいのは分かるが、悪の首領笑いはよせ」 「これが笑わずに居られる? 卒業で学校とはおさらば、あんたとは生徒と教師の関係は解消、あんたの訳の分からない自主規制も消滅、はれて恋人同士、しかも新婚初夜よ! 溜まりまくったあんたが、どんな野獣に変わるか、それ考えると笑いが止まらないわ」 「どうやったら、おまえの破天荒な期待に添えるか分からんが、最初だし、熟れ切ったカップルがマンネリを打破するのにやるようなハードな展開は多分ないぞ」 「え、そうなの?」 「どんな想像で未知の領域を埋めてるんだ、おまえは。大航海時代のオランダの地図職人か? セックスなんてのはな、好きな者同士、相手に合わせてやれば、普通に十分気持ちいいもんなんだ。でなきゃ人類なんてとっくに滅んでる」  ● ● ●  「ち、ち、ちょっと、キョン...
  • ヰタ・セクスアリス/雨宿りのつづき
    ヰタ・セクスアリス/雨宿りから  「低気圧が近づくと発情する」というハルヒの理論には、納得できないところがある。  たとえば雨の日、大抵の人間がそうかもしれないが、俺の体はいよいよ脱力と倦怠の極みに達し、頭脳は小停止とフリーズを繰り返し、気分にいたってはブルー一色の憂鬱に沈み込むだろう------もし、涼宮ハルヒという存在がこの世になければ。そして、よりにもよって俺の席の後ろにいなければ、確実にそうだっただろう。  精神状態に作用する薬物には、大まかに分けて、気分や精神状態を高揚・興奮させるいわゆるアッパー系と、逆にけだるい気分を提供するダウナー系がある。覚せい剤は、その名のとおりアッパー系であり、身近なところではタバコに含まれるニコチンなどがこの仲間だ。ダウナー系には、悪名高いヘロインからアルコール、アヘン、シンナーなんかもこっちに入る。  「阿片は余を裏切らないが、余...
  • 涼宮ハルヒの創作
    キョン 気のせいか、妙に本格的だな。 ハルヒ じゃあ、いくわよ。古泉君、スモークと照明お願い。 古泉 おまかせください、閣下。 ハルヒ さあ、よみがえれ、アイアン・ライター! キョン って長門かよ! 長門 調査結果を報告する。許可を。 キョン あ、ああ。やっちまえ。 長門 現在、日本国で流通するうち、発行部数が上位32000作品のあらすじについて分析を行い、よく読まれる物語に要求される傾向を抽出した。 キョン おう。すごいな。 長門 ストーリーに求められる得性の共通因子を、25文字以内の現代日本語で述べると次の通りとなる。すなわち「予想を裏切りつつも、期待を満たすストーリー」。 キョン なんだって?もう一度、言ってくれ。 長門 予想を裏切りつつも、期待を満たすストーリー。 キョン わかるような気もするが、もう少し長くていいから、説明してくれ...
  • ラブひげ危機一髪(二人は暮らし始めました)
    「なんだ、また古泉から小荷物か。今度はどこの強壮剤だ?……『ラブひげ危機一発』?」 「あんた、なにしてんの?」 「ハルヒ、いや、古泉からまた怪しげな小荷物がとどいてな。中身をたしかめようと開けたところだ」 「今度はどこの精力剤?」 「いや、どうも、そうじゃないらしい。『ラブひげ危機一発』ってなんだ?」 「あんた、「黒ひげ危機一発」も知らないの?」 「それは知ってる。ナイフを順番に刺していって、『当たり』の場所に刺すと黒ひげが飛びだすゲームだろ」 「黒ひげがが飛びだしたら、そいつの負けだから、むしろ『はずれ』ね」 「こいつは、そのアレンジ版か?」 「そうね。簡単に言うと、『黒ひげ危機一発』に『王様ゲーム』を足しこんだみたいなものね。まあ、試しにやれば、どういうものか、察しの悪いあんたにも分かるでしょ」 「おう、やってみるか。……ハルヒ、突き刺すナイフになんか書いてあるぞ」...
  • スモール・トークス
    Small Talk 親しい間柄で、どうでもいい話題について行われる、フレンドリーな会話。要するに本題に入る前の雑談、世間話。これができないと「人間扱い」されず、人と人の会話にならない。(『ユキペディア』より) Talk 1 ハルヒ ねえ、キョン。 キョン ……なんだ、ハルヒ? ハルヒ 「どーでもいい話」だけど。 キョン ああ。 ハルヒ 「いい話」って、おおむね平凡よね。 キョン そうか? まあ、そんな気もしないでもないが。 ハルヒ たとえば、人に親切にすると3倍になって返ってくるとか。 キョン それは、どっちかっていうと「うまい話」じゃないか? ハルヒ そうね。じゃあ、正義は必ず勝つ、とか。 キョン それは、「そうあってほしい話」だろ。 ハルヒ んー、勇気を出して告白したら、相手も自分のことを好きだった、とか。 キョン それが「よ...
  • ともコレ
     「みくるちゃん、お茶」 「はーい」 「みくるちゃん、あなた『ともコレ』って知ってる?」 「と、も、こ、れ、ですか?」 「そう『ともコレ』。某携帯ゲーム機でやるゲームなんだけどね」 「はあ」 「近所の小学生が、あ、みくるちゃんも知ってる、あの子よ、あのメガネの。その子がね、やってるのを見せてくれたの」 「どういうゲームなんですか?」 「『ともだちコレクション』、略して『ともコレ』ね。あたしが見たところ、とっても危険なゲームよ。今に殺人事件が起きるわね」 「ふええ。そ、そんなに怖いゲームなんですか?」 「別にホラー系って訳じゃないけどね。まあ、名前通り、友達をゲームの中につくるのよ。最初に姿カタチだけでなく、声や性格的なものまで入力するわけ。細かく設定するから、大抵は本当の友達とか、周囲の知ってる人になることが多いわね。そうやって、ゲームの中に、キャラクターが増えていくと...
  • スポンサーから一言 その4
    スポンサーから一言 その3から  「食うもの食ったし、食後の歓談までやった。バカップルにしては上出来だ。オヤジは気をきかせて、ここらで退散する」 「キョン」 とハルヒが言った。 「ああ、そうだな。……親父さん、送ります」 「お前に送られてもなあ。この辺りは、まだ馬賊でも出るのか?肉弾戦だったら、正直、ハルヒの方が役に立つぞ」 おれもそう思う。だが、親父さんの話が、あれで終わりだとは思えなかった。ハルヒも同じだろう。そしてハルヒと親父さんの間には、いつしか結ばれた、互いに弱みを見せないという相互不可侵条約があるらしい。だったら、今ここに居る人間で、その続きを聞くのは俺の役割ってことになる。  親父さんはハルヒの顔を見て、それからおれを見た。 「なるほど。じゃあ、キョン、ついてこい。ハルヒ、こいつを借りてくぞ。馬車がかぼちゃに戻る前には帰す」  部屋を出て、大通...
  • 保健室へ行こう5
    保健室へ行こう4から  「あの人、三年でしょ? どうして白衣なんか着てるの?」 「知らないの? 保健室の先生のコレよ、コレ」 「えっ! あの、ぼーとした?」 「そう。しばらくずっと保健室登校してたらしいわよ。中で何やってたか、知らないけど」 「で、『彼氏』の仕事着を、これ見よがしに着てるんだ? すごーい」  階段の上から振ってくる声。さっきすれ違った一年生らしい。聞こえてないと思ってるのね。  めんどうくさいし、いつもなら放っておくところだけど、今日のあたしは機嫌が悪い。寝坊したせいで、朝の分のキス、してないしね。  立ち止まって、お腹に力を入れて声を出す。階段にちょうど反響するくらいの大きさで。 「な・ん・か・用?」  凍り付く3人組の表情が、見なくてもわかる。  数秒遅れて返ってくる声。 「「「い、いえ、あの、すみません、失礼します!!」」」  ばたば...
  • ダンス・ダンス・ダンス
    「あれ? 母さん、めずらしいね」 「そう?」 「うん。新聞の切りぬきなんて」 「ええ、知ってる人がね」 「ふーん、出てるの?」 「訃報なの。昔の知りあい。ピアノの学校でね……ん?」 「母さん?」 「そんなに心配かけるような顔してた? 母さんも修行が足りないわ」 「そんな修行はしなくていいわよ。たまには心配ぐらいさせなさい」 「ありがと。ほんと、ハルはいい子に育ったわ」 「な、なに、言ってるのよ」 「うん、かわいい、かわいい。……ハル、夕飯頼めるかしら? 炒めものでないとありがたいわ。小鉢は2種類、ごはんは炊きこみごはんがうれしいかしら」 「わかった。……聞いていい?」 「ええ」 「その人、そんなに親しい人?」 「そうね、ピアノの学校で知りあった親友の……元旦那様。ちょっとは名の知れた人よ。一人で亡くなられたそうだから、それでちょっとね」 「パーティ...
  • 司書は休日、魔女になる
     「有希だわ」  ある晴れた日曜日、おれたちは市立図書館の前を通りかかった。  おれたち? ああ、ハルヒとおれだ。  何故、おれとハルヒなのかといえば、 「あんまり天気が良いんで、どうせ休みだからって昼過ぎまで寝てるにちがいないあんたを、団長自らがわざわざ出向いて起こしに来てあげたわ」 と、朝っぱらから失礼なことをわざわざ言いに来た誰かさんに、何故だか『罰ゲーム』を課せられたからだ。とても気持ちがいい日曜の街を、こいつと歩き回るのがどのような罰ゲームになるのかといえば……察してくれ。  「おかしいな。月末は蔵書の整理をするとかで、図書館は休みのはずだ」 「どうして、あんた、そんなこと知ってるの?」  じと目でにらむな。 「図書館を利用したことのある市民なら誰だって知ってるだろ。……多分」 「あ、そ」  ハルヒは目をそらし、顔を長門がいた方に向けた。 ...
  • 掲示板/足跡帳バックナンバー6
    お立ち寄りいただいた方々のための足跡帳バックナンバー6 ([+]をクリックで展開、[-]をクリックで畳込み) -2009-05-16〜2009-06-07の分 2009-05-16〜2009-06-30の分(別ページ) -2009-07-01〜2009-07-31の分 2009-07-01〜2009-07-31の分(別ページ) -2009-08-01〜2009-08-31の分 2009-08-01〜2009-08-31の分(別ページ) -2009-09-01〜2009-09-30の分 2009-09-01〜2009-09-31の分(別ページ) -2009-10-01〜2009-10-31の分 2009-10-01〜2009-10-31の分(別ページ) -2009-11-01〜2009-11-15の分 ...
  • 親父の英会話 Lesson 4
    親父の英会話 Lesson 3から 存在の英語 「〜がある」の言い方 オヤジ 頼む英語と質問する英語をやったから、そろそろこっちからも情報発信できるようにしておくか。頼んだり、質問したりしているうちはいいが、こっちが何か主張し出すと途端に根拠やデータを聞かれる。そんなとき事実を述べるやり方を知っといた方がいいだろう。 キョン そうですね。 オヤジ たとえばだ、「うちの会社には2000人が働いています」なんてのを、おまえならどう英語にする? キョン いきなりですか? えーと、 2000 employees are working in our campany. とかじゃ、ダメですか? オヤジ ダメなことないぞ。従業員employeeなんて単語、よく出てきたな。思いつけない、あるいは、employeeという単語を知らない場合はどうする? キョン えーと……、「中学校で習った...
  • あるSS書きの個人的七つ道具の使い方ータロット篇
    グレマスの行為項モデル  『民話の形態論(The Morphology of the Folk Tale)』という著作で、プロップは100の妖精の話を、約30の‘機能’で解釈した。ここでいう「機能」は、物語の登場人物が行う行動の基本単位である。  プロップは民話(物語)の登場人物を「彼等が何ものであるか?」ではなく「彼等が何をするか(どんな役割/はたらきを果たすか)」について分類し、つぎの7つの役割を挙げた。 悪者 提供者 支援者 探される人(the sought for person)(と彼女の父親) 送り出す人 ヒーロー 偽ヒーロー  そして物語の中で、これら役割が物語の中でどのような‘機能’を果たすかについて次のように説明する(これは物語の筋でもある)。 1 初期状態 ヒーローの家族のメンバーが紹介される。 2 失踪 家族の一人が家庭から失踪する。 3 制止 制...
  • ハルキョン家を探す その3
     次の日の放課後、俺とハルヒは、約束の通り、あの不動産屋を訪れた。  「そうか、君たちの部屋を探してたのかい。それでいいのは見つかったかい?」 「それが、どれもいまいちピンと来ないのよねえ」  かいつまんで話した「事の顛末」をニコニコ顔で聞いてくれる店主と、そんなのはそっちのけで物件リストの中にサイコ・ダイビングしてしまうハルヒ。 「すいません。目標を追い出すと周りが見えなくなる肉食獣な奴で」 「いいよいいよ、気にしないで。住むことは生きることなり、だ。真剣に探すのは当然だよ」 「住むことは生きることなり、ですか」 「実感が湧かないかな。若いうちは元気で外を飛び回っていて、家なんか帰って寝るだけ、ということも多いからね」  ハルヒが部屋探しに打込む様子を目の前にしても、どこか違和感を感じるのは、「外を飛び回ってる」ハルヒのイメージがどうしたって強烈すぎて、「帰って寝るだけ」...
  • ロール・プレイング その8
    ロール・プレイング その7から 兵士A おい、あいつ、本当にやっちまいやがった。 兵士B ああ。たった一人であの軍勢を押し戻した。 兵士A 人っ子一人いないぞ。西のやつら、逃げ帰るのも迅速だ。 兵士B あれだけの兵に、竜までいて……。それが気にかかるがな。しかし、今は先にすべきことがある。 兵士A ああ、そのとおりだ。 皇太子 「そこまでやっていいのか」ですって? つまらないことを考えるのですね。 オヤジ やっと入れ替わったか、デブ王子。 皇太子 不敬の罪は問わないでおきましょう。 オヤジ 口の聞き方を覚えるのはそっちだろ。おれは大人だぞ。 皇太子 それが何か? オヤジ 自分が世界を支えてる訳じゃないと知ってもなお、その「つまらないこと」に命投げ出して考えられるようになったら、赤飯を炊いてやる。 皇太子 支えるのは民草の役目でしょう。この世界が変わるのを、あるべき姿に変...
  • 二人は暮らし始めました-外伝-ハルキョン温泉旅行 その2
    その1から 「というわけで、痛いエロカップルが部屋つき露天風呂でどんなことするか、リサーチしたわ。といっても、半分以上が盗撮ネタだったけど」 「……ハルヒ、聞こうと思ってたんだがな。俺でさえ毎日3時間しか寝てないのに、いつそんなこと調べてるんだ?」 「あんたが寝静まってからに決まってんでしょ、エロキョン」 「だから、お前、毎日ちゃんと寝てんのか?」 「むう」 「ちなみに夕べか明け方か知らんが、直近の睡眠時間は、何時間、いや何分だ?」 「15分ほど、うとうと……したかしら?」 「俺たちがここに来て11日になるが、その間の、のべ時間だと?」 「あーえー、全部足せば5、いいえ、6時間にはなるはずよ!」 「ハ・ル・ヒ」 「な、なによお?」 「ちょっと来い」 「こら、耳ひっぱるな! って、どこ触ってんのよ!」 「いいから、ここ座れ」 「す、座ったわよ」 「人...
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