ハルヒと親父 @ wiki内検索 / 「生まれた理由」で検索した結果

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  • 生まれた理由
    女 聞いてもいいかしら? 男 ああ。 女 どうしてわたしと結婚しようと思ったの? 男 何故美人はろくでもない男と結婚するのだろうか、とサマセット・モームが言ってる。 女 何故かしら? 男 賢明な男は美人と結婚しないから、だそうだ。ちなみに俺はバカだ。 女 知ってるわ。 男 俺も聞いていいかな? 女 ええ。 男 なんでプロポーズを受けてくれた? 女 負けるのが嫌いなの。 男 俺がか?君がか? 女 両方よ。 男 子供はひどく負けず嫌いなのができそうだな。 女 そのうえ、きっと美人よ。 男 たまらんな。 女 そうね。 母 というわけで、この十月十日後に、あなたが生まれたのよ、ハル。 小さいハルヒ 何なのよ、この会話は? 親父 新婚旅行での一コマだ。 小さいハルヒ こんなの宿題に書けないわよ! 親父 ちょっと貸してみろ。俺があることないこと書いてやる。 小さいハルヒ 書くな! この前,それ...
  • SS(二次創作)「ハルヒと親父」シリーズの物置
    ...ストキス・ショット 生まれた理由 涼宮ハルヒの特訓 キスキス 夏休みの工作 しふぉん 捨て猫と会った日のこと High Moon:真夜中の親父 +親父さんと谷口くん 親父さんと谷口くん  その1 その2 その3 その4 その5(最終回)  エピローグ +ハルヒと親父(小品) ハルヒと親父(小品) とある七夕の前日 なれそめ チョコレート・パニック ハルヒとその母:共に居る理由 What s Love? 子犬の恋 或る日の出来事 親父の一番長い日 恋文たち 天抜きの日 父の日のこと 愛と運命についての対話 嫁いだ日 二人でベンチに キョンが泊まった翌朝の涼宮家 二人でドライブ 同じ夢の中 6月の桜 デカンショ ハルヒのピアノ 7月30日プロレス記念日 クレイマークレイマー 長門有希の空腹 長門有希の満腹 銀行強盗 夏仕舞い ハルヒと親父の格闘 For ...
  • 親父の一番長い日
    親 父 おちつけよ、キョン。 キョン いや、大丈夫、大丈夫です。 親 父 まあ男は結局気をもむくらいしかできんけどな。 キョン 大丈夫、大丈夫。 親 父 おいおい。そんなに心配なら、ラマーズ法とかあったろ。中に入って手でも握ってやればよかったんだ。 キョン 「あんたがいたって役に立たないんだから」って言われて。 親 父 まあ、実際、そうだけどな。 キョン (ぶつぶつ) 親 父 まだ何時間か続くぞ。そんなに気を張ってたら、痩せこけて腹も引っ込んじまう。 キョン 大丈夫、大丈夫です。 親 父 時間つぶしに、何か面白おかしい話でもしてやろうか。たとえばあいつが生まれた日のこととか。 キョン ハルヒが? 親 父 あんときは、どっちか片方は死ぬとか、物騒なこと言われたなあ。 男  どっちか、あきらめろ? それが医者のいうことか! 医者 おまえだからいうんだ。このままだと両方が危険だ。 男 ...
  • 親父の英会話 Lesson 10
    親父の英会話 Lesson 9から 英会話が生まれる/世界の分割と移動 会話をするとしよう。 最低2人の人間が要る。 You and I(おまえとおれ)だ。 おれが要る場所とお前が要る場所は異なっている。 I am here. おれはここ居る。おれが居るのはここだ。 You are there. おまえはそこにいる。おまえがいるのはそこだ。 here/ thereの区別が生じると、空間に向きが生まれる。 向きが生まれて、移動が言い表せるようになる。go and comeだ。 これは前に、「動詞の分解」でやったな。 "Go" means "move from here to there".  "Come" means "move from there to here"...
  • What's Love?
    ハルヒ ねえ、親父? オヤジ なんだ、娘? ハルヒ 人を好きになったことある? オヤジ 誰に聞いてるんだ、というより、誰が聞いてるんだ、って感じの質問だな。 ハルヒ 答えて。 オヤジ おまえ、自分が何で生まれたのか、わかってないのか。 ハルヒ 知らないわけじゃないけど、信じられないだけよ。 オヤジ おれと母さんが愛し合ったからだ。そして今も愛し合ってるし、この先もずっと愛し合ってるだろう。どうだ、まいったか。 ハルヒ ……。 オヤジ では、若輩者に恋とは何か、教えてやろう。 オヤジ 眺めている間は、世界の端ばしまでが見渡せるように思える。何もかもわかったような気になれる。だが一歩前に出て相手に触れたら最後、一瞬にして全てを見失う。音は耳鳴りのように自分の内側だけから聞こえる。手はしびれ、感触らしきものも確かでない。そして目に見えるのはもう、そいつだけだ。だが、世界は色を、においを、温度を、...
  • 一人旅に必要な事 エピローグ2
    アキと親父 アキ ねえ、親父ちゃん。聞きたい事があるんだけど。 親父 おう、なんだ? アキ パパとハルヒはラブラブだよね。 親父 だよな。ああいうのをバカップルというんだな。 アキ で、ナツキはさ、パパとハルヒの子供だよね。 親父 ああ。そうだな。 アキ 学校じゃさ、愛し合うと子供ができるっていうんだけど、あたしのママとパパは、そんなにラブラブだった訳じゃないと思うんだ。なんで、あたしは生まれたんだろう? 親父 うーん、身もふたもないことを言うとな……。 アキ うん、いいよ。それを期待して親父ちゃんに聞いたんだもん。パパとかハルヒだと、うまくいい話に持って行かれそうでさ。あたし、そういうのに弱いから、ごまかされちゃうと思うんだ。 親父 うむ。じゃ遠慮なく身もふたもないことを言うと、5分間のラブラブでも、赤ん坊は生まれる。逆に30年間ラブラブでも生...
  • 親父のびおろん
     ん、これか?  久々に時間はあるし、良い天気だし、空が開けたとこで弾こうとおもってな。海の方の公園で演(や)ったんだ。その稼ぎだな。  5円、10円、スナック菓子の半分残った奴、それについてた知らないサッカー選手のカードだ。  ガキしかいなくてな、その公園。ま、平日の昼間だしな。ガキの喜ぶような曲、知らねえし。こんなもんだろ。  公園に着くなり、とりあえず、簡単なのをギコギコやってたんだ。そしたらな、10才ぐらいのガキだったな。 「おじさん、ニート?」 「ちょっと違うが、似たようなもんだな」 「蟻とキリギリスって知ってる?」 「ああ」 「ママにね、バイオリン習えって言われたんだけど」 「ふーん。で、学校でキリギリス野郎って言われたか?」 「うん。でも遊んで暮らせるなら、誰だってその方が良いと思わない?」 「そりゃそうだな。けど、おまえ、勉強だってしてるだろ?...
  • あるSS書きの個人的7つ道具(文房具篇)
    「情報をうまく整理できれば、泉のごとくすばらしいアイデアが生まれ、幸福な人生をおくれる」などと夢を描いて、《ロディア》や《モレスキン》と戯れながら人生を送るべきではないと考えるSS書きの、せこい文房具たち。 たとえばロディアはこういうの たとえばモレスキンはこういうの ポストイット 筆ペン クリップ付き4色ボールペン 方眼スパイラル・ノート ブックスタンド 手帳と1ヶ月インデクス 携帯電話 ポストイット  メモする→張り替えて整理(孤独なKJ法)      →手帳からさらにノートへ→さらに模造紙へ      (溢れればさらにでかい紙へ)(個人作業から集団作業まで)      →再整理が楽 →不要になれば捨てる  本のしおり兼書き込みメモも、ポストイット。分厚さが倍になることもある(ここまでいくと本が壊れる)。これも、張り替えてノートや手帳へ...
  • 子犬の恋
    ハルヒ ねえ、母さん。初恋って実らないのかな? ハル母 そうでもないわ。 ハルヒ そう? ハル母 お父さん、母さんが初恋だったそうよ。 ハルヒ 悪いけど、あいつの言うことは信用できない。 ハル母 いつもふざけてるし、たちの悪い冗談も言うけど、基本的にはいい人よ。 ハルヒ たちが悪い、と分かってるなら、少しは止めて。 ハル母 母さんも嫌いじゃないもの、たちの悪い冗談。 ハルヒ 母さん! ハル母 そうそう、初恋の話だったわね。 ハルヒ うん。 ハル母 むかしむかし付き合った人にね、ぼくらの恋愛はpuppy loveだと言われたことがあったわ。 ハルヒ puppy love? 子犬(puppy)の恋(love)ってこと? ハル母 “intense but relatively short-lived love, typically associated withadolescents”、若い人た...
  • 親父の臨終
    母  お父さん、あと何か言いたいことはありますか? 親父 プロポーズのこと覚えてるか? 母  ええ、もちろん。 親父 俺と同じくらい長生きしてくれ、って言ったっけな。 母  こんなおばあちゃんになるまで生きられるなんて誰も思わなかったわ。お父さんのおかげよ。 親父 俺が死んでも、合わせなくていいぞ。2倍ぐらい長生きしてもいい。 母  一人でさびしくないんですか? 親父 娑婆がにぎやか過ぎた。さびしいってやつを思いだすのに時間が必要だ。 ハルヒ にぎやかさの半分は、親父のせいでしょ! 親父 あとの半分はおまえだ。なあ、キョン、おまえもそう思うだろ? キョン はい。 親父 あとは頼むぞ。といっても、こいつら勝手になんとかするからなあ。 キョン ええ。 親父 ああ。最後にかっこいいこと言って死のうと思ってたんだがな。 ハルヒ いいわよ、最...
  • ロール・プレイング その7
    ロール・プレイング その6から 老人 なんじゃ、もうギャーギャー騒がんのか? つまらん。 オヤジ 勢いに任せてオトコマエなことを言っちまったら、へんに腹がすわったらしくてな。 老人 便利な腹じゃ。 オヤジ 残る恐怖は、怒った女房だけだが、こいつは克服したくない。 老人 そしてよく回る口じゃ。 オヤジ このまま王宮まで飛ぶのか? 老人 降りると余計に時間がかかる。王都は人が多すぎる。都を抜けようとすると丸1日はかかるわい。 オヤジ 都市計画がなってないな。公衆衛生の観念もないだろ? 向こうに戻ったら、ヨハン・ピーター・フランクの10巻本を届けてやる。 老人 王都は確かに死亡率が高いが、それでも人が押し寄せるよう来る。それで釣り合いがとれておるのじゃ。 オヤジ マルサスの罠にどっぷりかよ。東の巫女が戦を避けたがってたのも、その口か? まあ、この世界の戦で、それほど人が死ぬかは疑問だが。...
  • 親父とRPG その2
    親父とRPGから  「なんで、今度はあたしが行商人なのよ!」 「おまえみたいな、はっちゃけた奴をな、ピラミッドの上の方に置いとくと下が大変なんだ。昔の殿様なんか、食事に石ころが入ってても、表沙汰にすれば、味見係以下、食事に携わってる連中が処分されるだろ。だから、知らんぷりして、誰も見てないうちに吐き出すくらいでないと、上のものは勤まらなかった」 「うー、聞くだけで、ストレスの溜まりそうな話ね」 「おまえなんか、化け物を殴ってりゃストレス発散できるじゃねえか」 「あたしが言いたいのはね、なんであんたと親子連れかってことよ!」 「事実、親子なんだから仕方がない。恨むなら神を恨め、バカ娘」 「事実と2次元をごっちゃにするな。これはゲームの内でしょ!」 「最初からパーティが揃ってたら、モチベーションが沸かんだろ。そのうち仲間と合うんじゃないか? それまでおれがお前のお守りだ...
  • 二人は暮らし始めましたー場外ー親父が来る その1
     夕食後のコーヒーを楽しみながら、いつものように、どうでもいいことを話していると、ハルヒがふと、思い出した、といった顔をしてみせた。 「そういえば、こないだは花火見にでかけちゃて、あんたの怪談を聞かずじまいだったわね」 「別におれの方は、聞かせたくなるような怖い話はないぞ。だいたいおまえを怖がらすメリットがない」  むしろデメリットの方が激しくあるんじゃないだろうか。怖がっておれに抱きついてくるタイプじゃないし(ああ、そんなゆるいツンデレなら、世界は幾度も危機に陥ったりせん)、むしろパニックに陥って手当たり次第(おれを含めた)周囲のものに攻撃をし出すことの方を危惧するぞ。 「このあたしを震えあがらせるようなやつを希望するわ」 「だからおれの話を聞けって!」 「団長に二言なし!どっからでもかかってらっしゃい!」 「聞く耳なしだろ!……やれやれ。その言葉、後悔するなよ」 ...
  • 親父さんと谷口くん3
    親父さんと谷口くん2から 「今度は思い出した。素人童貞の谷口だな」 「すみません。そんな、いきなり謝らなきゃなくなるような冠は、まだ付いてないです」 「それがいい。若いうちからエッチしてると、男と女のことを『わかった』ものとして軽く考えがちだ。『わかりきった』と思っているところにドリームは生まれないし、子供も生まれない、とみうらじゅんも言っている」 「いや、あの、すみません。直裁に言います。女の子にもてたい、否、女の子をものにしたいんです! どうか、俺みたいな者にも、すぐに役立つお知恵を」 「つまり、こういうことか。熱愛中のラブラブ・カップルの女性側の記憶を書き換えて、恋心のあて先を、そのうらやましい男からおまえに振りかえて、恋人を横取りする方法とか、そういうのが知りたいのか?」 「げ、外道ですね。そんなことが、できるんですか?」 「できるかどうかの問題じゃない。して...
  • ラベンダー・バス(二人は暮らし始めました)
     夏の間、部屋に帰ればすぐシャワー、汗をかいたら即シャワー、というパターンを繰り返していたせいか、思えば「ゆっくり湯船につかってくつろいだ」という記憶があまりない。  これは何もシャワーのせいとばかりは言えないだろう。  心・技・体ともに、「ゆっくり湯船につかる」のにまったく不向きな人物と、おれは暮らしているのだから。  まず心。風呂を肉体ばかりか精神をくつろがせ、リフレッシュする場所だとは、どうあっても思えないらしいあいつは、湯船にはられた液体が摂氏40度のお湯だろうが、15度の水だろうがおかまいなしに、真夏の動物園で氷柱をもらった北極クマのように、はしゃぎにはしゃいで、とにかく水をあたりにまき散らしてくれる。  つぎに技。稚戯から一転、あいつがその気になれば、魔法の杖のように指を一振りするだけで、今度はおれの理性が3段式ロケットに乗って宇宙速度で飛び去り、種馬だとかオットセイだ...
  • 資本戦隊キャピタル・ファイブ2
    資本戦隊キャピタル・ファイブから オヤジ バカ娘。 ハルヒ 何よ、オヤジ。 オヤジ 次のシナリオだ。 ハルヒ あ、あんたね、あんなもの、映画にできる訳がないでしょ! オヤジ Vシネマでもいいぞ。 ハルヒ だから、こんなもの置いて行くな!! 資本戦隊キャピタル・ファイブ2 キャピタル・レッド……リーダー、でもスパイ キャピタル・ブルー……クールな一匹狼 キャピタル・イエロー……調子がよい太鼓持ち、二重スパイ キャピタル・ブラック……「イエス、ユー・キャン」が口癖 キャピタル・グリーン……葉緑素を体内に持ち、菜食主義を地でいく半植物人間、エコロジスト、青臭い言動が持ち味 ゴールド司令官……戦隊をあずかる。必殺技ゴールド・ラッシュ。出番なし。 カツマー長官……キャピタリズムを体現した初の女性長官。爆弾発言が得意。愛読書はミルトン・フリードマン『選択と自由』。 カツマー...
  • 二人は暮らし始めました−--わるいゆめ
    「あいつについてあたしが話せる2、3の事項」のきっかけになった、ポクロウタさんの1枚絵http //pokurouta.blog99.fc2.com/blog-entry-219.htmlから連作の4コママンガhttp //pokurouta.blog99.fc2.com/blog-entry-223.htmlが生まれていたので、それに更にインスパイアーされて、このSSはできました。ポクロウタさんに多謝。  夜の最中、名前を呼ばれて、目が覚めた。  何か大切なものでも失ったみたいな悲しい声で。  あたしは確認する。ここはどこ?今は何時で、何をしているの?  安らぎを与えてくれるぬくもりの中に、あたしはいた。  大丈夫、何があったって、そう言える力を与えてくれるもの。  問題は、その熱源と、今の声の発生源が、同じだってこと!  ちょっと、何、寝ぼ...
  • そのとき親父-書きは何を思ったか(その28)?
    あいつについてあたしが話せる2、3の事項  二人は暮らし始めました−--わるいゆめ  「あいつについて、あたしが話せる2,3の事項」のきっかけになった、ポクロウタさんの1枚絵から連作の4コママンガに生まれていたので、それに更にインスパイアーされて、「二人は暮らし始めました−わるいゆめ」はできました。  なので、この二つは基本的にはと同じ話(消失トラウマのキョン)です。   キョンの受けは同じ「ありがとな」ですし。  ただ時間を経て、二人の関係が「いまいち辺りをはばかる男女交際」から「同棲」へと移っているので、シチュエーションが違う、受け返しも違う、互いの理解の深さが違うものになってます。  頭を叩(はた)いても腕に抱かれても目を覚まさないキョンが、ハルヒのティア・ドロップには目が覚めたり、「泣いてなんかいない」というハルヒにt対するキョンの受け返しが妙に「男前...
  • 親父さんと谷口くん2
    親父さんと谷口くんから 「えーと、前にも尋ねた覚えがあるんだが、誰だっけ?」 「このあいだ、親父さんの教えを受けた谷口です」 「おー、そうだった。その後、どうだ? もてたか?」 「おばあさん相手に100人切りを完遂しました。どっちかというと、返り討ちにされた気がしますが、勉強になりました」 「で、今はどうしてる?」 「はい、それが高じて、介護施設にボランティアへ」 「そうか。人生何が幸いするかわからんな」 「親父さん、もう一度、チャンスをください!」 「ん?何の?」 「大変充実した日々を送りましたが、本来のナンパ道から遠ざかっている気が。それに、おれ、正直言って、若い女が好きなんです!」 「それで、なんか、アドバイスすればいいんだな?」 「ぜひともお願いします!」 「アーリー・ラーニング・セットって知ってるか?」 「いや、いいえ」 「20世紀最大の催眠...
  • 涼宮親父の修業時代
     ああ、親とケンカはいつものことだったが、いい頃合だし、18で勘当ってことになってな。  ドイツの大学は学費がいらねえ、ってのを誰かに聞いてたんだ。かなり後になってからフランスもそうだったと知ったんだが、大失敗だったな。食うものにはこだわらない方だが、フランスのめしの方がうまいくらいは俺にも分かる。  そう、ドイツ語どころか、英語も怪しいもんだ。知ってたのはハロー、プリーズ、サンキューだけだ。金があるうちは、パック旅行の旅行者と一緒で、その程度でもなんとかなるが、金がなくなるとな。ホワットとハウを知って、飛躍的に語彙が増えた。「今、なんて言った?」「そりゃ、なんだ?」「どんな風に(どこで、だれに、どんな場合に)使うんだ?」としつこく聞くんだ。ヘボンって医者は、それだけで最初の和英辞典を作ったらしいが。  ドイツ語はもうちょっとましで、大学に付属してる留学生向けの語学コース...
  • できちゃった その5
    できちゃった その4から 「両親教室? 何だ、それは?」 「実質は父親教室みたいなものらしいんですが。いままで妊婦さん向けの母親教室は、どこの産婦人科でもやってたんですが、それだと父親になる側が、母親になる側と、知識にしろモチベーションにしろギャップが広がってしまうんで、両方が参加する教室を導入しているところが増えているみたいなんです。両親教室への参加が、立ち合い出産の条件になっているところも多くて」 「まあ、何も知らんバカを出産に立ち合わせても、騒ぐだけで役には立たんしな」 「あんたの場合、役に立たないどころか、追いだされたんでしょ?」 「バカ娘、それは正確とは言えん。母さんから『もう大丈夫』サインが出たんで、おとなしく退散したんだ。な、母さん」 「ええ。さすがにわたしもハルヒを生むのに集中したくって」 「ほら、見なさい。キョン、あたしたちは二の轍は踏まないで行く...
  • スポンサーから一言 その4
    スポンサーから一言 その3から  「食うもの食ったし、食後の歓談までやった。バカップルにしては上出来だ。オヤジは気をきかせて、ここらで退散する」 「キョン」 とハルヒが言った。 「ああ、そうだな。……親父さん、送ります」 「お前に送られてもなあ。この辺りは、まだ馬賊でも出るのか?肉弾戦だったら、正直、ハルヒの方が役に立つぞ」 おれもそう思う。だが、親父さんの話が、あれで終わりだとは思えなかった。ハルヒも同じだろう。そしてハルヒと親父さんの間には、いつしか結ばれた、互いに弱みを見せないという相互不可侵条約があるらしい。だったら、今ここに居る人間で、その続きを聞くのは俺の役割ってことになる。  親父さんはハルヒの顔を見て、それからおれを見た。 「なるほど。じゃあ、キョン、ついてこい。ハルヒ、こいつを借りてくぞ。馬車がかぼちゃに戻る前には帰す」  部屋を出て、大通...
  • 保健室へ行こう5(キョン視点)
    保健室へ行こう5  「……キ、キョン……」  誰かが確かにおれのことを呼んだ。  「誰か」ってのは正確じゃないな。  どういう訳か本名より定着したあだ名だが、同僚も、(親しみを込め呼んでいるらしい)生徒も、おれのことは「キョン先生」と呼ぶ。  こんな風に呼び捨てるのは、あいつしかいない。 「ハルヒ? どこだ?」  職員室で野暮用を済ませ、保健室の前まで戻って来たところだった。  ドアを開けようとして、中から鍵がかかってることに気付く。繰り返しになるが、こういうことをするのはあいつしかいない。  結論。中にいるのはハルヒだ。  ポケットから鍵を出し、鍵穴に突っ込もうとした時だった。 「だ、だめ!……キョン……」  その声に手が止まる。体が硬直する。  足腰から力が抜けて、擬音で言えばへなへなと、おれはその場に座り込みそうになった。 「……何やってんだ、あい...
  • 1月31日 妻にささげる日
     「ちょっとキョン! ここ、どこ?」 「群馬県だ。あそこで噴火してるのが浅間山、その向こうはもう軽井沢だけどな」 「もうって、通り過ぎてるじゃないの!」 「いや、上田菅平ICで降りて国道144号線を来たからな」 「って、細かい地名を言ってもわかんないわよ!」 「正直おれもわからんが、もうすぐ目的地につくらしいぞ」 「どこよ?」 「嬬恋(つまごい)村だ」 「それって中島みゆき、長渕剛、佐野元春、チャゲ&飛鳥、谷山浩子、八神純子を輩出したヤマハポピュラーソングコンテスト(通称POPCON)の本選が開催されたとこ?」 「残念ながら、それは静岡県掛川市にある嬬恋だ。よく勘違いされるけどな」 「あ、あんた、そんなところまで妻を求めに行く訳!?」 「いや、『請う』じゃなくて『恋う』と書く。そこに村の名前にちなんだ『愛妻家協会』というのがあるらしい。なんでも嬬恋村は、日本武尊(ヤマ...
  • ハルヒと親父2 ー おとまり
    「あのね、母さん。明日、映画見に行ってくるから」 「そうなの。じゃあ、シャンペン抜きましょう」 「な、なに言ってんの!?」 「あら、和風がよかった?お赤飯にする?」 「そんなんじゃないわよ!」 「そんなのじゃないって何が?」 「あう」 「ただ映画行くだけなら、わざわざ前日に言って行かないでしょ」 「それはその、5本立てオールナイトだから、帰るの次の日の朝になるし……」 「ゆっくりでいいわよ。朝帰りはかえって『お泊りしてきました』って言ってるようなものだし」 「……////」 「合宿のときは、平気で泊まってきたじゃない」 「あの時とは、ちょっと、事情が違うというか……」 「それだけ聞けば十分。あまり聞いても話したくなるだけだから聞かないわ」 「……うん。そ、それとね」 「お父さんでしょ? 明日、明後日と珍しく家にいるから」 「う、うん」 「心配いらないわ。母...
  • スポンサーから一言 その2
    スポンサーから一言 その1から  「キョン君、知ってるだろうけど、このオヤジは怪しげな事なら、およそできないことがない。口寄せ、スプーン曲げ、催眠術……」 「バカとモノは使いようだが、人にいうことを聞かせたいなら、おどしの方がよほど効果的で手間いらずだ。だから脅迫は刑法犯だし、催眠の方は法的取締りがない。イギリスとアメリカの一部の州じゃ、催眠術に反感を持ってた医者達の陰謀でできたHypnotism Actっていうステージ催眠の取り締まり法があるがな。酒が飲める店で見せ物催眠術はやるな、ってくだらない法律だ。世の無知・無理解は笑えるがフィクションもひどいもんだ。刑事コロンボで、医者が催眠で患者を自殺させるリモート殺人なんて話があったが、ピーター・フォークのまぬけ面が、単なるアホ面に見えて、いい加減萎えたぞ。エロ漫画でも催眠を認めると、『はじめの一歩』でカメハメ波を認めるみたいなも...
  • 家族旅行で見る夢は
     充電中の携帯が、けたたましい音を立てた。おいおい、まだ7時半だぞ。待ち合わせは10時のはずだろ。どうしたんだ、ハルヒ? 「キョン? 今そっちに親父が行ったから、早く逃げなさい! いいから、とにかく逃げて! あーもう、今からあたしもそっちに行くから!」  何あせってんだ、ハルヒの奴? そういや今、下で『あらあら、ハルヒちゃんのお父さん』っておふくろの声がしたが。誰か階段を上がってくる。って、ハルヒの親父さん、もとい、お父さん? 「ハロー、キョン君。いい朝だ。俺のことは涼宮親父と呼んでくれ」 それ、ものすごく呼びにくいです。 「パパでもいいぞ」 勘弁してください。 「いま電話があったみたいだが、ハルヒがこっちへ向かってるんだ。急いで出るぞ。逃げるんだよ、地の果てまでも。ちなみに君は人質だ。あ、ご両親には今話をしておいたから」 ほとんど数分もかかってないぞ。それと『話しておいた...
  • できちゃった 外伝ーミッドナイト・ミルク
    オヤジ よし、今日も「ミルク訓練」やるぞ。時間計るからな。 キョン はい。 オヤジ 目をつぶってできるようになるまで反復練習だ。下手すると火傷するから気を抜くな。 キョン はい。 オヤジ まず、手を洗ってこい。手順は「厚生労働省指針 手洗いマニュアル 外食・飲食業者篇」に準拠してある。  1. 水で手をぬらし石鹸をつける。  2. 指、腕を洗う。特に指の間、指先をよく洗う。(30秒程度)  3. 石鹸をよく洗い流す。(20秒程度)  4. 0.2%逆性石鹸液又はこれと同等の効果を有するものをつけ、手指をよくこする。(又は1%逆性石鹸液又はこれと同等の効果を有するものに手指を30秒程度つける。)  5. よく水洗いする。  6. タオルペーパー等でふく。 以上だ。 キョン はい。 オヤジ それから蒸し器に必要なものを入れろ。 キョン 広い口の哺乳瓶(ガラス製)、ゴム乳首(穴小さめ)、びんはさ...
  • 一人旅に必要な事 エピローグ1
    アキとハルヒ  「ねえ、ハルヒー。赤ちゃんって、いつ来るの?」 アキはハルヒの隣に座りながら、足をぱたぱたと上下に動かしてる。 「半年は先ね。それと来るんじゃなくて、生まれるの。そしてあたしが生むの」 「えー、コウノトリとか、そういうのは?」 「関与せず」 「死んでもお花畑に行く訳じゃないんだ」 「最終的には水と二酸化炭素に分解されるわね。魂はこの際、置いとくにしても」 「えーっ、アキの死生観、根底から崩壊だよ」 「大丈夫。あんたはまだ若いから、十分建て直せるわ」 「ママって随分とあたしにウソ教えたんだね。パパなんか優柔不断の二股掛け男だって教わったし、ハルヒなんかすごいヤリマン女扱いだったよ」 「ヤリマンとコウノトリね。確かにバランス悪いわね。でもウソっていうのとは、ちょっと違うのよ。アキ、蜘蛛って嫌い?」 「んー、人気無いけど、あたしは結構好き。蜘蛛の巣ってよ...
  • 一人旅に必要な事 エピソード2
    幸せと笑顔 アキ ねえ、ナツキは、ハルヒに似てるよね。 ハルヒ そうね。キョンにも似てるけどね。 アキ 惜しいね。すごい美人になれたかもしれないのに。普通の美人どまりかも。 ハルヒ それはキョンを愛するあたしへの挑戦と受け取っていいわね、アキ。キョンはああ見えても、もてるのよ。 アキ 知ってる。素で親切で、自分の行為を親切ともなんとも思ってないから、相手が感謝して好意を持ったとしても気付かないんでしょ。フラクラっていうんだよね。 ハルヒ その下らない豆知識の発信源は、親父ね。 アキ うん、親父ちゃんって、ほんと物知りだね。何、尋ねても答えちゃうから、アキ、びっくりだよ。いーーっぱい説明してくれるから、ときどき自分が何を質問したから忘れちゃうけど。 ハルヒ だいたい親父は、いつも百言くらい多いのよ! オヤジ 人間は知りたがりの動物だと、アリストテレスも言っている。あきらめろ。 ハルヒ ア...
  • 涼宮ハルヒのリフォーム その6
    涼宮ハルヒのリフォーム その5から  それでも、この大掛かりで、ひょっとするとものすごくばかばかしいかもしれないミッションに、俺も参加しない訳にはいかないようだった。  おれは開けっぱなしの窓から恐る恐る手鏡を出して下を見た。続いて、今度は首を出してノクト・ビジョンをしたまま真下を見た。  さっきまで影にしか見えなかったやつが、こちらを見上げていた。つまり目があった。 「なにしてるんだ、おまえ?」  いや、わかってる。こっちの方こそ、何してるんだってことはな。 「下見」  相手が答えた。 「下見って、何の?」 「一緒に住むこと」 「キョン、今おまえ、女の子と喋ってるみたいに聞こえるんだが、知り合いか」 「長門です」  親父さんにそう答えて、俺はノクト・ビジョンをひっぺがし、長門に言った。 「銃なんか向けてすまなかった。どこか痛めてたり、すりむいてないか?」...
  • ハルヒとその母:共に居る理由
    「ねえ、母さん」 「なあに、ハル?」 「いまでも親父のこと、好き?」 「大好きよ」 「どうして?」 「そうね。理由なんて考えたこともないけど。あった方がいい?」 「んー、本当に聞きたいのはそういうことじゃない気もするんだけど」 「そう。でも真面目に考えてみるわね」 「うん」 「お父さん抜きの毎日なんて考えられないわね。もちろんハルもだけど」 「うん」 「でも、どちらかが先に死ぬことになるわね、多分。そのことを考えると悲しくてたまらないけど」 「別れたら悲しいから、いっしょにいるの?」 「ちょっとへんな感じね。どこかで間違ったみたい」  そう言って母さんは、ちょっと映画みたいに肩をすくめた。どこか儚(はかな)げなのは、病弱な体のせいばかりじゃないと思う。多分、何度も自分の死や家族との別れのことを考え尽くしたせいかもしれないと、その時のあたしは思った。  「とにかく一緒にいたいの。そしてい...
  • あるSS書きの個人的七つ道具ー魔道具篇
    1 マインドマップ 2 ルルスのアルス・マキナ 3 タロット 4 ロジェのシソーラス 5 時空計算尺ガリバー 6 猿の手(Monkey's Paw) 7 Dramatica(ストーリー作成・分析ソフト) 1 マインドマップ  本式(マインドマップ(R))にはいろいろちゃんとしたやり方があるようだが、個人的には、ひとりブレインストーミングの道具。アイデアやプロットやキャラクター設定を膨らませていくのに使える。  大きめの紙の真ん中にメインとなるアイデアなどを書いて、枝を生やして思いついたものをどんどん追加していく。手書きで十分だが、フリーソフトなどもある。  一覧性と追記が容易なところがミソか。   国語力世界一のフィンランドの小学生は、これでお話をつくる練習をするようだ(誰が?なにを?なんのために?といった枝を最初から生やしておいて、そこから広げさせるらしい)。...
  • Sweet Pain
     「ただいまぁ……」 「不機嫌な声で、バカ娘がご帰還だ。やれやれ。キョンの奴、へまやったかな?」 「そうかしら。たくさん笑った日ほど、帰り道はさびしいものよ」 「なるほど。……だったら送らせりゃいい」 「そして、その先は『泊まらせりゃいい』、『いっしょになればいい』ね」 「うーん。母さん、失言した」 「……何、バカなこと言ってんのよ?」 「おかえりさない、ハル」 「ただいま、母さん」 「息災か、バカ娘?」 「大きなお世話よ」 「どうだ、この違い?」 「仲のいい父と娘だって、ご近所でも評判よ」 「「どこが!?」」 「……そういうところも」 「「……」」 「ハル、お夕飯は?」 「あ、ごめん。食べてきたの。連絡忘れてたわ」 「そう。次は思いだしてくれるとうれしいわ」 「ごめんなさい」 「あら、お父さん、お風呂?」 「いや、上でラブプラスでもしてくる」 ...
  • 王様とあたしたち その3
    王様とあたしたち その2から ACT-20  「彼女は、この国の女性ジャーナリストの草分けで、民主派のリーダーの一人でした。スズミヤ氏が象に乗ってこの国を救ってくれたあの事件の際、夫を亡くし、その後、乳飲み子を連れて大学へ通い学位をとったのです。議会政治の腐敗と軍事クーデターが繰り返されるこの国の政治の在り方に強い疑問を持つ女性でした。また、なんとか事態を収拾し、玉虫色の均衡と和平を目指した私の最大の批判者でもありました。彼女からすれば、私はあまりにも現実におもねりすぎているように見えたのでしょう。逆に私は、彼女の清廉な理想主義と人柄に惹かれました。私達は何度も公衆の面前で批判し合い罵り合いました。大勢の人間が、私達に相手のことをもっと大事にするようにと忠告してくれました。私達は選んだ手段こそ違いましたが、同じ理想を追求しているのだと、説明してくれる人たちが大勢いました。...
  • 水いらず火炎瓶
     「キョン、今日は帰りにうちへ寄りなさい」 「ああ、言われなくても送っていくが。 って、今日、誰もいないんじゃなかったか?」 「親の事を言ってるなら、第12回目の『新婚旅行』中よ。行き先は聞いてないけど」 「なんだ、その12回目っていうのは?」 「知らないわ。夫婦水いらずの旅行をそう呼ぶみたいね」 「それはいいが、誰もいないのに行っていいのか?」 「何をいまさら」 「いまさらだが……何か、あったのか?」 「親父たちが出発する前の日に、猫の死体が玄関前に投げ込まれてね。親父が処理してくれたけど」 「なんだ、そりゃ」 「ご近所にも、何件かそういう目にあった家があるみたいでね。警察も巡回を増やしてくれてるみたいだけど」 「そういうことは、もっと先に言え。一人で抱えるな、っていつも言ってるだろ」 「あ、うん。ありがと」 「いっそ、お前がうちに来るか?」 「それも考えたん...
  • ハルヒと親父2その後 一周年 その1
    ハルヒと親父2 ー おとまりから 親父 ハルヒ、悪いが、次の土曜の夜、空けておけ。 ハルヒ 悪いがって……、親父、悪い事でもするの? 親父 するか!あとキョンも呼んどけよ。 ハルヒ いったい何なのよ? 親父 1周年だ。 ハルヒ 何が? 親父 おまえらが初エッチしてから。 ハルヒ は? え? って、何で知ってんのよ! 親父 バカ娘、語るに落ちるとはことのことだ。親父を舐めるな。あと言った本人が傷つくようなことを言わせるな。 ハルヒ 勝手にそっちが言ってたんじゃないの! 親父 ああ、そっちじゃない。知り合いの店が1周年なんだ。ほんとは1年前に連れてくはずだったんだが、予定がかち合ったな。 ハルヒ って? あ、母さんが前に言ってたような。あたしが生まれたとき、お祝いもらった? 親父 ああ。今はその娘が継いでるんだがな。 ハルヒ わかったわ。空けとく。 親父 いい心がけだ。そういう娘には...
  • できちゃった エピローグ
    できちゃった その6(最終回)から  墜落事故から1年後、キョンに双子の娘、母さん、それにあたしは、カルフォルニア州バークレー市の地を踏んでいた。親父は仕事が忙しくて(ざまあみろ)日本に置いていかれることになった。 「なんて逆=単身赴任だ!」 「キョンをこき使って、サボってるから、こういう目に合うのよ」 「おまえなあ、どの口でいうんだ?」 「この口よ」 「アヒル口かよ。だいたいサボってないだろ。入院してただろ」 「その間もキョンはバイトしてたじゃないの!」 「そのかわりTOEFL&SAT対策にエッセイの添削、留学向け受験勉強をキョンとお前の二人分、見てやっただろ!」 「最後の方は、マサカドさんとアカザキさんに押しつけてたじゃない」 「直前には経験者の方がいいだろうと思ったんだ」 「お父さん、いい考えがあるわ」 「なんだ、母さん?」 「会社をやめて、アメリカ...
  • 新落語シリーズ「松山鏡」
     越後の国は松山(まつのやま)村に、キョンという、へんな名前の、まことに素朴で孝行者がおったそうでございます。  さて、その評判が領主にも聞こえ、褒美を与えようという話になりました。  「松山村のキョン、ならびに村役人一同、ばっちり付き添ってるねっ!」 領主役はいうまでもなく鶴屋さんでありまして。 「ははあ、一同、付き添いましてございます」 「キョン、面(おもて)をちょいと、上げてくれないかなー」 「はい」 「なるほど、なるほど。キョン、って顔してるねえ。なんでも、めがっさ親孝行なんだってねえ?」 「いえ、両親とも、十分な孝行をしないうちに、亡くなりました。何分、貧乏暮らし故、うまい酒を飲ませたことを、うまい魚を食べさせたこともありません」 「ふーん、随分早いうちに親を亡くしたんだねえ。で、それ以来、墓参りを欠かせたことがないって言うじゃないかぁ! まったく領...
  • 一人旅に必要な事 その後の後
     その女の子は10mくらい前でキョンの手をふりほどくと、と・と・と、とあたしの前まで来て、ちっちゃな指を突きつけてきた。 「おばさん、だあれ?」  おっと、そう来たか。でも、あたしだって、だてに場数は踏んでないのよ。 「あたしはハルヒ。あんたのお名前は?」 「あたしアキ。はる、なつ、あき、ふゆ、のアキ」 「んー、おりこうさんだね。自分の名前の意味まで言えるんだ」 「あたし、ハルヒって知ってるよ」 「へー、聞こうじゃないの」 「パパの初恋の人!」 思わず手がこぶしになるわ! 覚えてなさい、キョン! 「そんで、最愛の人! でも、初恋って実らないんだって!」 アキちゃん、それ、何回くらい練習したのかしら?  「初恋」あたりで固まったキョンは、ようやく「解凍」できたらしく、自分の娘に追いついて来る。 「アキ、『はじめまして』と『こんにちは』だろ、最初は」 「ごめーん。ア...
  • ロール・プレイング その6
    ロール・プレイング その5から 老人 そう、あわてるな。王宮とまではいかぬが、王都には、懐疑論者のファランジュもある。東の巫女の侍従にも懐疑論者がおる。 オヤジ その女スパイが手引きしてくれるのか? 老人 いや、「外の者」なら、巫女が直接会うと言っておる。この意味がわかるか? オヤジ 懐疑論者も歳をくうと探偵を始めるのか? 老人 人探しを請け負ったのは初めてじゃ。これで最期にしたいがの。 オヤジ 世界が終わればそうなるさ。 老人 そうならんために、おまえさんたちが来た。そうじゃないかの? オヤジ で、巫女がいるところまで、何日かかる? 老人 さよう、人の足なら10日と、かからんじゃろ。 オヤジ 話にならんぞ。「どこでもドア」はないのか?「瞬きの鏡」でもいい。 老人 半分以上分からんが、竜の翼なら、1昼夜で着く。 オヤジ ああ、いやな展開になってきたぞ。おれまで虎のパンツで武装する...
  • ともコレ
     「みくるちゃん、お茶」 「はーい」 「みくるちゃん、あなた『ともコレ』って知ってる?」 「と、も、こ、れ、ですか?」 「そう『ともコレ』。某携帯ゲーム機でやるゲームなんだけどね」 「はあ」 「近所の小学生が、あ、みくるちゃんも知ってる、あの子よ、あのメガネの。その子がね、やってるのを見せてくれたの」 「どういうゲームなんですか?」 「『ともだちコレクション』、略して『ともコレ』ね。あたしが見たところ、とっても危険なゲームよ。今に殺人事件が起きるわね」 「ふええ。そ、そんなに怖いゲームなんですか?」 「別にホラー系って訳じゃないけどね。まあ、名前通り、友達をゲームの中につくるのよ。最初に姿カタチだけでなく、声や性格的なものまで入力するわけ。細かく設定するから、大抵は本当の友達とか、周囲の知ってる人になることが多いわね。そうやって、ゲームの中に、キャラクターが増えていくと...
  • 親父書きがSSを読む その1/お姫様抱っこで保健室に
    (その1)お姫様抱っこで保健室に  親父書きが数えたところ、ハルヒスレSSまとめwikiには、キョンがハルヒをお姫様抱っこで保健室に連れて行く場面がある、あるいは誰かがそのことに言及しているSSが17 件ありました。  このなかで、親父書きが選ぶベスト・ワンは、涼宮ハルヒの負傷 (10-330)です。  このシーンを扱った最初期のSSであり、後世に与えた影響は少なくないと、勝手に想像します(「お姫様抱っこで保健室に」というシチュエーションは、ストック・シチュエーション化してますが、誰もが知っている/利用できるシチュエーションだからこそ、粋ないかす書きこなしが出てくるものです)。  この作品のすばらしさは、ハルヒとキョンの感情描写です。感情描写がうまいというよりもーーー言い換えるとどのように(How)感情描写されているかよりも、何故(why)そこでその人物のそうし...
  • 新興宗教(一攫千金シリーズ)
    ハルヒ ねえ、キョン。新興宗教ってやっぱり儲かるのかしら? 宗教団体って税金かからないんでしょ? キョン いや、そりゃちょっと違うぞ、ハルヒ。営利事業ではない部分は、宗教法人に限らず任意団体(親睦会、サークル)でも課税されない。たとえば町内会の会費に税金はかからないだろ? みんなで町内のことに使うお金を分担し合ってるだけで、町内会長の「給料」がそこから出てるわけでもない。あれと同じ理屈なんだ。 キョン お寺や神社などの宗教施設を維持管理する団体(檀家組織や氏子組織等の信者団体)が、その施設の維持管理費の負担で出し合った御布施等の寄付金は、とりあえず当該宗教法人の所得になるんだが、元をたどれば町内会費や町内の寄付金みたいなもので、町内会費と同様に課税はされん。非課税なのは、町内会館の維持管理と同様に、宗教法人の施設維持管理費用として「信者が出し合ってる」と見なされる御布施等の法人収入だけだ。...
  • 王様とあたしたち その1
    prologue  「父上、うれしそうですね」 「ん? ああ、顔に出てるかな?」 「ええ、珍しく」 「息子の結婚だ。もちろん嬉しいとも」 「歳のはなれた、政略結婚でも、ですか?」 「君たちには時間がある。愛情はこれから育んでいけるだろう」 「さて、どうですか。……それよりも、来賓にあの方をお呼びしているとか」 「ああ。君はまだ会ったことがなかったね」 「ええ、楽しみですよ。聞けば私と同じ歳の娘がいるとか」 「家族ともどもお呼びしてある。私の恩人だからね」 Act-1  「結婚される息子さんって、おいくつ?」 「うちのバカ娘と同じだ。まあ、嫁さんの方は6歳らしいがな」 「大変ね」 「まったく。えらい奴はいろいろ面倒だ。王さまなんかやめてこっちに来いと言ったんだがな。俺とちがって真面目なんだ」 「ほんと義理がたい人ね」 「まあ、出会った...
  • ロール・プレイング その9
    ロール・プレイング その8から 西の国の王女 西の塔に出した軍から、飛竜が戻りました。 ??? 連絡用に連れていった奴ね。それで? 西の国の王女 司令官からの書簡が届きました。「外の力を持つたった一人の男が、我が軍勢を圧し帰した」とあります。……あなたの言うとおりになりましたね。 ??? やる気が、傍目にはものすごく分かりにくいけど、やる時はやる奴だって言ったでしょ。さあ、今度はあんたの番よ! 西の国の王女 約束したことは守ります。……でも、私に本当にできるのでしょうか? ??? できるできないじゃなくて、や・る・の! ここまで来たら、腹を決めるしかないわ。 西の国の王女 ……ここまでやってきたことも、あなたが来なければ、どれもできないことでした。 ??? そうね。あんたには不可能に思えた。でも、あんたはそれをやったのよ。 西の国の王女 ……。 ??? あんたが思いを固めてやり抜...
  • できちゃった その2
    できちゃった その1から ハル母 キョン君、いらっしゃい。ハルは部屋よ。「勝手にあがってきて」って言ってたわ。 キョン いつもすみません。お邪魔します。 キョン ……って、おい、ハルヒ? ハルヒ ん?……あ、キョン、おはよ。 キョン おはよって、もう昼だぞ。それと妊婦が床に寝るな。うつぶせで寝るな。腹出して寝るな。ったく、よいしょっと。 ハルヒ お、お姫様だっこ……って、もう終わり? キョン 終わりって、ベッドに運ぶだけだから、これで終わりだろ。 ハルヒ このまま町内を一周してみない? キョン しない。無駄に体を冷やすな。それより、なに散らかして寝てたんだ? ハルヒ あ、これ? 母さんの家事日記だって。もらったの。新妻と新米ママには参考になるだろうって。読みふけってるうちに寝ちゃったみたいね。 キョン ……おれには「ただの親父」...
  • スポンサーから一言 その6
    スポンサーから一言 その5から 《登場人物のおさらい》 絵描き:女Dの転落させ殺した疑いで起訴中 女A:7年前、絵描きと心中 女B:絵描きの現在の愛人。手首を切り自殺。 女C:女Aの妹。女Bと同じ日に転落死(自殺?) 女D:女B、Cと同日に転落死。  「探偵小説にいまでも時々あるだろ。『あるべきものが、そこにない方が不思議だ』ってやつ。絵描きの部屋は当然調べられたが、押収品にAを描いたものだけが一切なかった、スケッチすらもだ。心中ですでに関係は精算されて、今や新しい愛人が居る身だ。ない方が当然か? そもそも何故、こいつは心中なんてしたのか、じゃまになったAを殺すだけが目的だったのか? それなら今回はなぜ心中してないのか? 同時に複数を「自殺」させるなんて手間のかかる手段をとったんだ? 今や愛人が複数居て、順番に殺していくと、他の愛人に企みを気付かれると思ったか...
  • ミルク搾りの女の子
     むかしむかし、あるところに、とてもかわいい女の子が暮らしていました。  女の子は空想することが大好きで、その日も楽しいことを空想しながら、牛からしぼったばかりのミルクの入った桶を、頭に乗せて運んでいました。 「そうね。このミルクを売ったお金で、少なくとも300個の卵が買えるわ。 そして、どんなに悪くても、卵からは200羽のヒナが生まれるわ。 そして、そのうちの50羽は、親鳥に成長するわ。 そう、ちょうどその頃はクリスマス前で、トリ肉が一番高く売れる時期だわ。 高く売れると、そのお金で新しいドレスが買えるわね。 真っ赤なドレス、とってもすてきな真っ赤なドレスよ。 当然、クツもおそろいでね。 そしてそのドレスを着て、クリスマスパーティーに出かけるのよ。 すてきなドレスを着た美人のあたしが登場すれば、みんな、あたしにプロポーズしてくるわね。 でも、すぐに受けてはダメ。 ...
  • 師走の親父
     「お父さんが今度の仕事で点数稼いだから、多少の無理はきくそうよ」 とハルヒのお母さんは言った。  以下は、後で親父さんに聞いた話である。  「んー、仕事か? いつものモメゴト・シューティングだ。町村合併でな、もともと仲が悪かった町がひとつになった。片方は古くからの温泉を中心にした町で、向こう側にあるスキー場が生業の町だ。水と油ならぬ、湯と雪の間柄って訳だ。元々地熱のせいで、ここのスキー場は雪解けが早くて営業できる期間がよそより短い。そういうところに人間様が後からやってきた訳だが、自然に怒りをぶつけてもしょうがないから、地熱憎けりゃ温泉旅館まで憎い、ってことらしくてな」  「涼宮さん、すぐオヤジが参りやす。しばらく遊んでってくだせえ」 「なるほど。おれは、うまい飯といい女に目がないんだが、よく分かったな」 「へへへ、それは男なら誰でも同じでしょう」 「そう...
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