ハルヒと親父 @ wiki内検索 / 「親父さんと谷口くん3」で検索した結果

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  • 親父さんと谷口くん3
    親父さんと谷口くん2から 「今度は思い出した。素人童貞の谷口だな」 「すみません。そんな、いきなり謝らなきゃなくなるような冠は、まだ付いてないです」 「それがいい。若いうちからエッチしてると、男と女のことを『わかった』ものとして軽く考えがちだ。『わかりきった』と思っているところにドリームは生まれないし、子供も生まれない、とみうらじゅんも言っている」 「いや、あの、すみません。直裁に言います。女の子にもてたい、否、女の子をものにしたいんです! どうか、俺みたいな者にも、すぐに役立つお知恵を」 「つまり、こういうことか。熱愛中のラブラブ・カップルの女性側の記憶を書き換えて、恋心のあて先を、そのうらやましい男からおまえに振りかえて、恋人を横取りする方法とか、そういうのが知りたいのか?」 「げ、外道ですね。そんなことが、できるんですか?」 「できるかどうかの問題じゃない。して...
  • 親父さんと谷口くん2
    親父さんと谷口くんから 「えーと、前にも尋ねた覚えがあるんだが、誰だっけ?」 「このあいだ、親父さんの教えを受けた谷口です」 「おー、そうだった。その後、どうだ? もてたか?」 「おばあさん相手に100人切りを完遂しました。どっちかというと、返り討ちにされた気がしますが、勉強になりました」 「で、今はどうしてる?」 「はい、それが高じて、介護施設にボランティアへ」 「そうか。人生何が幸いするかわからんな」 「親父さん、もう一度、チャンスをください!」 「ん?何の?」 「大変充実した日々を送りましたが、本来のナンパ道から遠ざかっている気が。それに、おれ、正直言って、若い女が好きなんです!」 「それで、なんか、アドバイスすればいいんだな?」 「ぜひともお願いします!」 「アーリー・ラーニング・セットって知ってるか?」 「いや、いいえ」 「20世紀最大の催眠...
  • 親父さんと谷口くん5
    親父さんと谷口くん4から 谷口 親父師匠! 親父 誰かと思えば谷口か。今日は何だか悩んでなさそうだな。 谷口 はい。あれからいろいろ紆余曲折ありましたが、なんとかデートの約束までこぎつけるところまで行きました。 親父 そうか、100人斬りナンパ・エクスポージャまでやったのか。 谷口 はい、断られるのが前提で声をかけるのは、なかなかきついものがありましたが、確かにたかだか断られるだけ、誰も声をかけるなりゲロを吐いたり殴ったりする人はなかったです。  自分が内気だとは思ってませんでしたが、それに気付いて克服することができました。今では鼻からスパゲッティ食べて逆立ちでグランド1周くらいできそうです。 親父 そうか。しかし鼻からパスタはやめておけ。で、今日は? 谷口 はい。ご報告と、最後のアドバイスをいただきに参上つかまつりました。 親父 うむ。まあ、ドタキャンされても泣かないようにな。 ...
  • 親父さんと谷口くん
    「すまん、人の名前が覚えられない質でな。誰だっけ?」 「あの、谷口です。涼宮さんと中学から同じクラスの」 「あー、5分で振られた恋愛スプリンターの。娘がとんだ失礼を。あの顔であの性格だし、ろくな死に方しねえな、と常々思ってるんだ」 「いや、でも、いまラブラブで幸せ一杯に見えるんですが」 「キョンって、パッとしないように見えて偉大なんだな」 「いや、それはいいんですが。実はご相談があって参りました」 「なんだ、そうと早く言ってくれれば。俺は、若い奴の相談事が三度の飯より好きなんだ。経験談にはろくなネタがないけどな」 「ほっ。人に頼るなんて、と叱られるかもドキドキしてました」 「実際は自立した人間ほど、たくさんの人間に依存してるんだ。依存っぽい奴は、依存する相手が一人とか、家族だけとか、限られてるから問題を起こす。で、相談ってのは?」 「はい、俺は常々ナンパ道を極めようと日々...
  • 親父さんと谷口くん4
    親父さんと谷口くん3から 谷口 親父先生!谷口、一生のお願いがあって参りました。これが誓いの唐笠血判状です。 親父 いや、もともと一揆の首謀者が分からぬよう、どっちが上かわからんようになってるのが、唐笠血判状なんだが。谷口、谷口と、自分の名前で埋められてもなあ。まあいいや。おまえの本気を信じよう。言ってみろ。 谷口 結局、王道しかないと悟りました。俺にモテるための地味な努力を教えてください! 親父 分かってるのか?地味な努力は牛歩の歩みだ。たとえば、1ヶ月でHな女の子の住所氏名が集まる裏技と、地味な努力があったとする。おまえはどっちを選ぶんだ? 谷口 も、もちろん地味な努力であります!!  親父 なるほど。では、おまえの本気に応えるように、おれも本気でかかろう。しかし言うまでもないが、地味な努力はスモール・ステップだ。ひとつひとつの段階は実現可能なほどに小さいが、しかしそれ故にま...
  • 親父さんと谷口くんエピローグ
    親父さんと谷口くん5から オヤジ 母さん、ちょっと頼みがあるんだが。 ハル母 なんですか、お父さん。 オヤジ 今から、谷口ってのが戦勝報告にくるらしい。まえにハルキョンも連れて、初デートを覗きにいった奴がいたろ? もう3ヶ月経つが、うまくいってるんでお礼方々伺いたいんだと。 ハル母 礼儀正しい方ですね。ハルヒと中学から同級の人でしたね。 オヤジ うーん。やっぱりうちのバカ娘は育て方を間違えたか? ハル母 あれでも、外ではちゃんとしてるみたいですよ。 オヤジ 粗暴なのは親父限定か。あ、それでな。男女別々に話を聞こうと思うんだが。 ハル母 そうなの? じゃあ、彼女さんにはお茶の用意を手伝ってもらいます。 オヤジ 頼む。親父の道楽に付き合わせてすまんな。 ハル母 ふふ、何をいまさら。それに楽しいことじゃないと私も付き合わないわ。 谷口 おじゃまします! 彼女 あの、失礼しま...
  • そのとき親父-書きは何を思ったか(その25)?
    親父さんと谷口くんシリーズ  光るあるところに影がある。  普段、主としてハルキョンのバカップルものを書いている親父書きですが、多分、「親父さんと谷口くん」は、ハルキョンを光とするところの影、陰画です。  原作では付き合ってるどころか告白さえしていないハルキョンですが、二次創作におけるバカップルものは、当人たちがどれほど否定しようとも、どれほど無自覚であろうとも、デフォルトが「付き合ってる」ことになっています。  一方で、原作の谷口氏は5分とはいえハルヒと「付き合った」こともある訳ですが、本シリーズの谷口くんは《永遠の恋の探求者》です。ぶっちゃけ、永遠にカップルになれないが故に永遠に恋を追い求めると運命づけられている神話的人物です(笑)。カッコイイ、でもなりたくない(笑)。  オリキャラであるところの涼宮夫妻は言うまでもなくバカップルですが、その片割れである親父さんは、図書館で...
  • そのとき親父書きは何を思ったか(その14)?
    そろそろ全部のSSにコメントするのに飽きて来たので、いくつかだけ。 思いついたら、あとからコメントしてもよい訳だし。 新落語シリーズ「二十四孝」  落語「二十四孝」というのは、親孝行をさとす話でして、説教されるのはドメスティック・バイオレンスな息子(もういい歳なのに母親をすぐ殴るんです)、そんな息子を夜中じゅう蚊を追い払ってやるのは母親、どんないい説教話も、母親の子を思う心には勝てない、というのが原作です。  自分で書いているのに何ですが、原作を忘れるほどに、自然にバカップル夫婦ものになっていて、記憶が改変されるのかと思って確認しました(笑)。バカップルに敵なし、って感じですね。  この話に出てくる、全然話を聞いてもらえない古泉というのも、地味に好きです。 涼宮ハルヒの格闘 涼宮ハルヒの格闘2  会話しか書けない、と言われる親父書きが、何故か戦闘シーンの描写を必...
  • そのとき親父書きは何を思ったか?
    そのとき親父書きは何を思ったか? その1:親父シリーズ短編について その2:「ハルヒと親父1」(シリーズ第一作目)について その3:「あるSS書きの個人的七つ道具」シリーズについて その4:「ハルヒと親父3ー家族旅行プラス1」について その5:「ハルヒと親父2ーおとまり」について その6:「できちゃった」について その7:「一人旅に必要な事」について その8:親父シリーズ以外(二人は暮らし始めました、新落語シリーズ「出来心」他)について その9:親父シリーズ以外(みぞのの鏡、辞書シリーズ/英和辞典、他)について その10:親父シリーズ以外(その男文系につき、ツンデロイド、他)について その11:親父シリーズ以外(彼と彼女と彼女のメール、電波の日 Nowhere、他)について その12:親父シリーズ以外(「パソコンが砂糖と化してアリがたかる」カオス篇)について その13:親父シリーズ以外(手...
  • 掲示板/足跡帳バックナンバー3
    ...7 31 27) 親父さんと谷口くん3の話なんかは、カルト防御のために、大学新入生必修のような気がいたします。こういう実際的な面に代表される、親父書きさんのssの、問題を細やかに一つ一つ対処していく感覚に、自分はワクワクします。 -- nov (2009-08-22 19 59 52) >novさん:コメントありがとうございます。「親父さんと谷口くん」シリーズのモテる技術は、「親父の英会話」の英会話術と同程度の実用度を(笑)、と思いながら書いているのですが(というより両者はコミュニケーションの技術として同じカテゴリーの話のはずなんですが)、「英会話」が談話文法とか情報構造の話に入り込んでいくのに、「モテる技術」の方はどんどん、ひとでなし領域へ出て行こうとするので、2chのスレッドに投下するのは躊躇してます。多分、噂に聞く「情報商材」などより、よほど役立ち人の道に立ち戻る術につ...
  • SS(二次創作)「ハルヒと親父」シリーズの物置
    ハルヒと親父 @ wikiにようこそ このwikiは、ハルヒスレSSまとめwikiに掲載された「ハルヒと親父」(オリキャラ全開)シリーズとその周辺的二次創作の物置です(詳しくは→はじめての方へ)。ひとりでやってます。 急募「親父の掛け合いを演じてみませんか?」 声劇「ハルヒと親父」では、声優さん(声で演じてくれる人)を募集してます。http //bit.ly/9TQ1r5 本日の親父の放言 「井の中の蛙の頭上にも、空は広がっている」 今日のオススメ ランダムリンク 新着記事 取得中です。 ハルヒと親父wiki 内容一覧 ([+]をクリックで展開、[-]をクリックで畳込み) +ハルヒと親父(メインライン・ストーリー) ハルヒと親父(メインライン・ストーリー) ハルヒと親父1 ハルヒと親父2 ー おとまり「ハルヒと親父2 ー おとまり」から削除...
  • そのとき親父-書きは何を思ったか(その23)?
    ひさびさに短い目の「そのとき親父書きは何を思ったか」をお届けします。 乱歩の日  乱歩なら他にもいくらでもあるだろう、との当然過ぎるご指摘がありましたが、ハルヒなら、絶対『人間椅子』だろうと迷いもしませんでしたwww。  というか、これを書いてはじめて『人間椅子』の何が嬉しいのか/何を欲望しているのかが、理解できたような気がします。  暑苦しくても、視覚と動き回る自由を失ってでも得たいもの。キョンは反省して、もっと「だっこ」してあげるべきですねwww。 夏氷(なつごおり)の日 ゲリラ雷雨 夏の自転車  歳時記を見てネタを考えたような、夏の掌編。  省略に省略を重ねて、削りに削ってるのは、描く力量と時間がないせいです。  それでも読み手の想像力が救ってくれるのに賭けるという、文字でやってる強みに完全に寄りかかってますね。だから、感想がもらえると、このあたりのは本当に...
  • 閲覧回数上位SS
    今日の閲覧回数ベスト20 留守番(二人は暮らし始めました) あるSS書きの個人的七つ道具の使い方ータロット篇 ハルキョン家を探す その3 閲覧累積回数ベスト100 あるSS書きの個人的七つ道具ー魔道具篇 (21591) あるSS書きの個人的七つ道具ー表(タブロー)篇 (17105) ハルヒと親父1 (17040) できちゃった その6(最終回) (15946) ハルキョン家を探す その3 (15228) ハルキョン家を探す その2 (14788) ハルキョン家を探す その5 (14426) ハルヒと親父2 ー おとまり (14120) あるSS書きの七つ道具 (13762) 夏休みの工作 (13497) あるSS書きの個人的七つ道具の使い方ータロット篇 (12724) あるSS書きの個人的七つ道具の使い方(事例編) (12199) ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 そ...
  • そのとき親父-書きは何を思ったか(その21)?
     「ハルヒと親父」シリーズをはじめて、なかなか決まらなかったのがキョンのスタンスというか、キョンと親父さんの関係です。親父さんはどこまでいっても親父さんですが、キョンは相手によって対応を変えるタイプなので、どういう関係かが決まらないと態度が決まりません。「彼女の父親」「娘の彼氏」というのは、ただでさえ思うところが複雑なので、最初の頃はほとんどキョンと親父さんの絡みは回避されてました。  登場人物それぞれの「性格」と、登場人物の間の「関係」は、ネットワークでいうところの「ノード」と「パス」なので、どちらから決めても良いわけですが、現実的には「関係」の方が変わりやすく、その変化自体が物語だったりします。そんな訳で初期設定的には「性格」からはじめるのが手堅いわけですが、とあるSS書きとしては、性格をコトバで「説明」するなんてヤボなことは避けたい、実際の行動や他の登場人物とのやりとりの中で...
  • オヤジ野球6
    オヤジ野球5から  親父さんの予言通り、試合は投手戦となった。  もっとも投球内容はハルヒと親父さんとでは、随分違っていた。  なにしろ初球からナックルなど投げて来るくせ者の親父さんである。  鶴屋さん曰く、「うーん、打ちごろだ、こりゃ真芯でとらえたよと思ったんだけどさっ、手元で微妙な変化させてるみたいだね、いやー敵ながら天晴れ天晴れっ!」  朝比奈さん曰く「怖くて、その、目をつぶってたんですぅ。そしたら『今だ、振れ!』って声がして、え?え?とおもってバットを振りまわしたら、涼宮さんのお父さんがフライを捕ってました」  谷口そして国木田。 「ありゃ、手に追えないぜ。打つってより、打たされてるって感じだ」 「確かにね。そんなに速くもないし、コースも打ちやすそうで、バットに当てるところまではいくんだけど」  それから、妹。 「キ...
  • そのとき親父書きは何を思ったか(その4)?
    ハルヒと親父3 — 家族旅行プラス1の場合  最初に浮かんだのは、 「よお、ベルちゃん久しぶり」 「何度も言うが、おれは鈴宮じゃなくて涼宮だ」 という耳で聞いたら全然分からないやり取りです。これは会うたびに繰り返されている軽口なんでしょう。これだけで「親父と怪しい仲間たち」の短くない、冗談みたいな本気みたいな付き合いが、親父書きの頭に、ぱあと広がりました。  この無意味にハードボイルドっぽい(とそのときは思った)設定を生かすには、逃げる者と追う者の追っかけサスペンスだ、ということで、親父にキョンが拉致られてハルヒに追っかけられる話を思いつきました。「スピンアウトもの」とした話です。  ただこれは挫折しました。はじめとおわりはすぐ決まったのですが、サスペンスは、中盤の持続というか、どう話を進ませず読み手を引っ張るかがキモでそこのところがうまく書けませんでした。...
  • 親父の臨終
    母  お父さん、あと何か言いたいことはありますか? 親父 プロポーズのこと覚えてるか? 母  ええ、もちろん。 親父 俺と同じくらい長生きしてくれ、って言ったっけな。 母  こんなおばあちゃんになるまで生きられるなんて誰も思わなかったわ。お父さんのおかげよ。 親父 俺が死んでも、合わせなくていいぞ。2倍ぐらい長生きしてもいい。 母  一人でさびしくないんですか? 親父 娑婆がにぎやか過ぎた。さびしいってやつを思いだすのに時間が必要だ。 ハルヒ にぎやかさの半分は、親父のせいでしょ! 親父 あとの半分はおまえだ。なあ、キョン、おまえもそう思うだろ? キョン はい。 親父 あとは頼むぞ。といっても、こいつら勝手になんとかするからなあ。 キョン ええ。 親父 ああ。最後にかっこいいこと言って死のうと思ってたんだがな。 ハルヒ いいわよ、最...
  • ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その4
    ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その3から  飛行機は快調に空を飛び、涼宮ハルヒは俺の二の腕に盛大に頭をぶつけて眠っている。 「おい、ハルヒ。起きろ、飯だ、機内食だぞ」 「ん……あ?」 「どっちにしろ寝ちまうんだな」 「"What would you like, beef or fish? 」 「ああ、うん。……キョン、あんた、魚とお肉、どっちがいい?」 「ああ、肉にするか」 「Can I have the fish meal ? He says he d like to have the beef.(わたしは魚料理をちょうだい、彼は肉料理を食べたいそうよ)」 「いまさら驚かんが、英語もできるのか?」 「親父の持論だと、ハロー、プリーズ、サンキュの3つとクレジット・カードがあれば、どこへ行ってもなんとかなるらしいけどね」  ハルヒがト...
  • ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その3
    ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その2から  そんなこんなで、出発当日。  ハルヒから電話をもらった俺は、パッケージング・バイ・ハルヒのトランクを、俺の部屋から玄関へと運び、その到着を待っていた。  ほぼ予定時刻に、すでに涼宮家を満載したライト・バン型タクシー(?)が、うちの家の前に到着した。 「いわゆる空港行きの乗り合いタクシーだ。予約している飛行機の便を連絡しとくと、タクシー会社が調整して、ドア・トゥ・ドアで送迎してくれる。今日は、おれたちだけみたいだが」  とハルヒの親父さんが、運転手に代わってそのシステムを説明してくれる。 「それじゃあ、行ってくるから」  と家族に、特に妹に、言い聞かせるように旅立ちの挨拶をする。 「ご迷惑かけないようにね。涼宮さん、お世話になります」 「こちらこそ。無理を言ってすみません」 「いえいえ、うちの馬鹿息子は、本当にハルヒ...
  • ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その8
    ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その7から  シャワーの音が止まった。  少し経って浴室のドアがゆっくりと開く。  俺はベッドの端に、そっちには背を向けて座っていた。 「スケベなこと考えてる顔ね」 「そんなことはない」 「だとしたら失礼な話よね」 こっちに近づいてきた奴が、後ろから俺の首に両手を回してくる。 「だいたい、うしろからじゃ見えないはずだろ」 「あんた、背中までポーカーフェイスのつもり?」 「ただの仏頂面だ」 「ホテルの最上階。二人っきり。邪魔が入る恐れなし。タオル一枚の美女が背中に体重をかけてくる。これで何が不足か、聞こうじゃないの?」  俺はゆっくりと口を開いた。 「子供の名前を考えてた」 「うっ。……なかなかやるわね」 「うそだ。最悪のタイミングで、ムードぶち壊しのことを言うことになるかもしれんが、この旅行ももうすぐ終わりだ。だから率...
  • ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その6
    ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その5から 「ところでキョン君、鹿撃ちにいかないか?」  次の日の朝。  俺たちが宿泊したコテージのベランダにでかいダイニング・テーブルを引っ張り出して、4人で朝食をとった後、コーヒーを飲みつつ、親父さんは、その気楽な格好のように、気楽に言った。 「今、なんと?」 「こんな小島に、鹿なんてでかいものが生きていける生態系がないでしょうが」  と突っ込むハルヒ。 「ではキョン君、カジキマグロを釣りに行かないか?」 「それはどこの港町ラハイナよ!」  と突っ込むハルヒ。 「ではハルヒ、キョン君はもう食ったのか?」 「ぶっ!ごほごほ」  と咳きこむ俺。 「このエロオヤジ!どうしてあたしに聞くのよ!こっちに先に来くのが筋ってもんでしょ!」  いや、それも筋が違うぞ、ハルヒ。それにその話題を引きずり戦線を拡大すると、このSSが...
  • ハルヒと親父2その後 一周年 その3
    ハルヒと親父2その後 一周年 その2から  朝が来たのは分かった。  おれの精神(こころ)及び肉体(からだ)は、まだ完全には覚醒しておらず、周囲の状況を把握するには至ってなかった。おれの右手は、そこにいるはずの誰かを無意識に探していたが、成果ははかばかしくなかった。それで、人の気配を感じたとき、おれの肺は空気を喉と口蓋に送りこみ、この世のものとは思えぬ音を出すという失態をやらかした。だが音の方がしでかしたことは、よくよく考えればはるかにマシで、更なる大問題は音声信号の内容の方だった。 「ん……ハルヒ?」 「残念。はずれ」  この似ているが確かに違う声について、脳髄が前頭前野と側頭野と海馬に鞭を入れ、最高速度の検索を要求する。結果:この声は確かに・・・ 「って、ハルヒのお母さん!」 「おはよう、キョン君」 「お、おはようございます!」 「誰かお探し?」  ハルヒの...
  • 雪洞の親父
     「あ、キョンか? 親父だ。しくじっちまった。ああ、俺の方はピンピンしてるが、バカが一人、足首をひねってな。おれの見立てじゃ骨まではいってない。今夜は腫れるだろうが、周りは雪だらけで冷やすものには事欠かん。今か? スキー板ででっかい雪胴を掘った。その中にいる。雪は断熱性も遮音性も抜群だからな、中は静かなもんだ。天井もちゃんと滑らかにしたし、壁の下には溝を掘ったから、溶けた雪が垂れて来て悩まされる心配もない。で、用件だ。ついさっき、母さんの携帯にGPSのデータを送った。だが、おれのカンだと、2、3日、低気圧が居座りそうだ。となると、母さんの能力は半減だ。すまんがサポートしてやってくれ。バカと話すか?」 「早く貸しなさい! ……キョン? 親父が大げさなこと言ってたけど、あたしは全然平気だから、あんたはつまんない心配はしないように。この通り、ピンピンしてるわ。この歳で親父とビバークするとは思わ...
  • 掲示板/足跡帳バックナンバー4
    お立ち寄りいただいた方々のための足跡帳バックナンバー3 ([+]をクリックで展開、[-]をクリックで畳込み) -2009-05-16〜2009-06-07の分 2009-05-16〜2009-06-30の分(別ページ) -2009-07-01〜2009-07-31の分 2009-07-01〜2009-07-31の分(別ページ) -2009-08-01〜2009-08-31の分 2009-08-01〜2009-08-31の分(別ページ) -2009-09-01〜2009-09-14の分 スポンサーから一言、脱稿。現在、絶賛反省中。ああ、事件ものなんて手を出すんじゃなかった……。 -- 親父書き (2009-09-01 19 16 12) 某所に1日限りの、私にとっては「夏のご褒美」となるコンテンツ発見。ああ、夏の疲れがいやされ...
  • 親父抜きの大晦日
     「……ねえ、母さん、親父は?」 「やっぱりダメみたいね。向こうもすごい雪で、とても飛行機飛びそうにないって」 「まったく。年越しを何だと思ってるのかしら」 「お父さんも残念そうだったわ」 「あ、あたしは別に……」 「そうそう。ハルヒには謝っといてくれって、お父さんが」 「たまには殊勝なこと、言うわね」 「それから、『手は打っておいた』って。心当たりある、ハル?」 「……ない。……でも、すごく嫌な予感がする」 「母さんも、嫌な感じはしないけど、そろそろ誰かやって来そうね。お湯を沸かすわ」 「ハルヒっ!!」 「な、なによ、今の? って、キョン!?」 「息切れしてる声、走ってきたみたいね。ハル、早く行ってあげなさい」 「キョン!……あんた、いつから雪だるまと縁続きになったのよ!?」 「は、ハルヒ、無事か?」 「無事も何も……って、親父の奴ね!」 「ああ、親父さん...
  • そのとき親父-書きは何を思ったか(その26)?
    長門有希の空腹、満腹、オヤジラジオ 911さんをして「とうとう会わせてしまいましたね、この二人を」と言わしめた長門‐親父シリーズ。 原作で、反則的なまでに圧倒的なスペックを誇る長門さんと、親父シリーズ自体が反則なんだけど、その中でも破格に反則な親父さんのタッグ。 というか、この二人、なんか気が合いそうというか、話が通じそうなんだもん、と思うのは、親父書きの贔屓目ですか?イエス? ならば言おう。書きたかったんだもん。 しかし、小説の処理的には、ちょっと難しかったです。一応、キョンの一人称で追えないものは、登場人物のセリフだけ、というのが方針なんですが(ハルヒの一人称は少しあるけれど)、長門‐親父となるとセリフ回しだけで可能なのか、喋ってくれるの、長門さん?という懸念が一部にはありました。まあ、実際は、親父さんが長門さんの分まで喋ってるんですが。 あと、ラジ...
  • 涼宮ハルヒのリフォーム その2
    涼宮ハルヒのリフォーム その1から  元々は善良な街角の不動産屋であったのが、ひょんなことからSOS団熱に感染してしまい、不思議探索だけでは開き足らず、不思議物件を手に入れ、それをハルヒと俺に貸してくれるという。  ハルヒが断定するところの、その「お化け屋敷」の間取り図をつくるために、俺はハルヒの親父さんとともに、あの不動産屋がある駅へと電車で向かっていた。  「相談があるんだ」 家を出てから数分を待たずに親父さんは言った。 「はい」 なんだろう? 「さぼろう」 「はい?」 いきなりですか? 「大の男が雁首そろえて、かび臭い古屋で巻尺ふりまわしてるってのも、様にならん」 まあ、それはそうかもしれませんが。 「しかし、なんの策もなしに、たださぼるというのは、どうも……」 「しっかり尻に敷かれてるな」 周囲からすると、そう見えるかもしれんが、おれに言わせる...
  • ハルヒと親父2その後 一周年 その2
    ハルヒと親父2その後 一周年 その1から ハル母 さて、明日も平日だし、そろそろ今日はお開きにしましょう。 親父 キョン、客間に客用布団と着替え一式、用意しといた。先に風呂を使ってくれ。あー、それからバカ娘。 ハルヒ 何よ? 親父 「湯加減見ようか」とか「背中流そうか」とか、ラブコメな振る舞いは慎むように。親父はもう体力の限界だ。 ハルヒ どんなラブコメよ! 親父 詳しいことは言えないが、男性用だ。少年誌とはいえ、侮れんぞ。 ハルヒ いい加減にしないと、殴るわよ。 親父 もう、いい奴を2、3発もらっちまっているが。それじゃ解散。 キョン 親父さん、風呂あがりました。先にすみません。 親父 今、風呂はバカ娘か? キョン はい。 親父 じゃあ、ちょっと座っていけ。 キョン はい……。 親父 といっても、話すネタは特にないんだけどな。 キョン はあ。 親父 二人に「共通の話題」...
  • 銀行強盗
     「なあ、キョン。あいつら殴って来ていいか?」 「お、落ち着いてください、親父さん。他にも人質が居るし、犯人たちは全員武装してます」 「ちっ。だがどうする。このままでは埒が明かんぞ。……時間に間に合わんと事だ」 「た、確かに」 「あいつら、楽しみにしてたからな」  夕方には、ハルヒの母さんのバースディ・パーティが予定されていた。それ用に注文されていたケーキと七面鳥の丸焼きを取りに、親父さんと俺は派遣された訳だが、軍資金を降ろそうと立ち寄った都市銀行支店で、何の因果か捕われの身になっていた。  犯人は4人組。武装は全員、本物っぽく見えるサブ・マシンガン。うち一人は、名乗りを上げ威嚇するために、先ほど実際に乱射して見せた。  全員の携帯電話は没収され、待ち合いスペースの真ん中にまとめて置かれている。  男性の行員及び客は、みな後ろ手に縛られている。女性たちが窓際の椅子に集...
  • 親父抜きの大晦日その後^3
    親父抜きの大晦日その後^2から  おれとハルヒは、日付と年が変わるのを待つというより、むしろ迎え撃つように、お重に入り切らなかった和洋中のおせちを、互いに競い合って腹に詰め込んだ。  箸と箸でつばぜり合いを演じているうちに、どこかこの近くの寺の鐘が108つをとっくに越えて突かれまくり、ようやく最後の鐘となったところで、主のいない涼宮家の電話が音をたてた。 「誰よ、こんな時間に?」 「当然、親父さんだろ?」 「あー、あいつなら、やりかねないわ」  となおも箸を止めないおれたちのかわりに、ハルヒのお母さんが受話器を取った。もとい、スピーカーのスイッチを入れた。 「皆の衆、ハッピィ・ニュー・イヤー。なんだ、キョン、まだいるのか?」 「いちゃいけないっていうの? 話によっては相手になるわよ!」 「年越しだ。過去の遺恨は水に流せ」 「正月早々、下水が詰まりまくりよ」 ...
  • スポンサーから一言 その2
    スポンサーから一言 その1から  「キョン君、知ってるだろうけど、このオヤジは怪しげな事なら、およそできないことがない。口寄せ、スプーン曲げ、催眠術……」 「バカとモノは使いようだが、人にいうことを聞かせたいなら、おどしの方がよほど効果的で手間いらずだ。だから脅迫は刑法犯だし、催眠の方は法的取締りがない。イギリスとアメリカの一部の州じゃ、催眠術に反感を持ってた医者達の陰謀でできたHypnotism Actっていうステージ催眠の取り締まり法があるがな。酒が飲める店で見せ物催眠術はやるな、ってくだらない法律だ。世の無知・無理解は笑えるがフィクションもひどいもんだ。刑事コロンボで、医者が催眠で患者を自殺させるリモート殺人なんて話があったが、ピーター・フォークのまぬけ面が、単なるアホ面に見えて、いい加減萎えたぞ。エロ漫画でも催眠を認めると、『はじめの一歩』でカメハメ波を認めるみたいなも...
  • 掲示板/足跡帳バックナンバー5
    お立ち寄りいただいた方々のための足跡帳バックナンバー5 ([+]をクリックで展開、[-]をクリックで畳込み) -2009-05-16〜2009-06-07の分 2009-05-16〜2009-06-30の分(別ページ) -2009-07-01〜2009-07-31の分 2009-07-01〜2009-07-31の分(別ページ) -2009-08-01〜2009-08-31の分 2009-08-01〜2009-08-31の分(別ページ) -2009-09-01〜2009-09-30の分 2009-09-01〜2009-09-31の分(別ページ) -2009-10-01〜2009-10-15の分 恐らく最速(28日)で、閲覧回数ベスト100に「親父さんと谷口くん4」が上がってきました。世評(?)の高かった夏の自転車です...
  • 留守番(二人は暮らし始めました)
     「……ハルヒ?」  手が隣が居る誰かを探していた。  気が付いて、目が覚める。 「そうか。あいつ、帰ってたっけ」  あの親父さんがインフルエンザだとかで、「タダでさえ体の弱い母さんにうつしたら大変」だからと、親父さんは一室に隔離され、食事を出したり着替えを出し入れしたりをハルヒがやることになった。 「おまえにうつったら意味ないだろ?」 「あたしはそんなマヌケじゃないわ。親父のタミフルひったくって先に飲んでおくから。親父? タミフルなんかに頼らず気合で治させるわ。この暮れの忙しいときに呼び付けるんだから、それぐらい当然よ。それにタミフルの服用は、症状は劇的に改善するけど、治癒についていえば平均で1日だけ治りが早くなるくらいの効果しかないの」  あわれ、親父さん……。  あいつと暮らし始めて、8ヶ月。  のべつまくなし、ほとんどあらゆる時間を一緒に居...
  • そのとき親父-書きは何を思ったか(その19)?
    同じ夢の中  ハルヒの力v.s.親父さん、第1弾。親父さんのフォール(寝逃げ)勝ち。  原作で「この先」実現するであろうシチュエーションを、伏線的にねじ込むために親父さんがまた無茶を言ってます。これで『憂鬱』以前であることをほのめかしたかったけれど。  閉鎖空間の「幼児画」ぽさを看破し、「バカ娘」と重ねて一刀両断にするところなど、親父さんの真骨頂で。  反発喰らって、ようやく曖昧なままにして来た事実を認めるに至った、個人的には記念すべきSS。つまり、『ハルヒと親父』シリーズの主役は、親父さんに他ならないということ。  これが「できちゃった」の最終回につながっている。  長らく動かせなかった「ハルヒのリフォーム」にもテコ入れできる可能性がでてきた。 デカンショ  知的な背伸びは何歳になってもした方がいいと思ってます。正直、格好のいいことではないが、それでもした方がいいと...
  • オヤジ野球7
    オヤジ野球6から  4回裏の親父チームの攻撃は、 「ふやああ!」 という絹を割くような(?)悲鳴と共にしゃがみこみ頭をかばったはずのグローブに、ショート強襲のライナーが偶然(?)にも自ら飛びこんでくれることで終わりとなった。  よくできた科学は魔術と、できすぎた科学はご都合主義と、それぞれ見分けがつかないと言ったのは誰だったか。  誰も不幸にならないこの程度のご都合主義なら歓迎すべきだろう。  だが、打者一巡して、ハルヒの投球に、親父チームの打線はタイミングが合ってきたのも、逃れようのない事実だ。  そして、5回表のおれたちの攻撃。  「少しお話が。いえ、世界的な危機と言うより、我々の打線、つまり攻撃についてです」 「おきまりだが、顔が近い。あと言うまでもないが、今日はズルはなしだぞ」 「ええ、涼宮さんも入れて相談できる内容です。提案者...
  • 二人は暮らし始めましたー場外ー親父が来る その3
    親父が来る その2から   ……この親父、家族愛に訴えてまで、娘を怖がらせようとしている。しかし怖がらせたところで、この親父に何の見返りがあるというのか。ある意味なけなしの父娘の絆をまた損なうだけじゃないのか。  それにしても、こいつもまたダブル・バインドだ。まともに受け取れば冗談にして茶化すことができるし、相手にしなければ親の死に冷淡な態度を非難できる。いずれを選んでも、向こうに負ける余地はない。  おれはハルヒの反応を見ようと後ろを振り返った。 「ふう。で、その不幸の手紙は何人に出せばいいの?」 おい、ハルヒ。いきなり《肝心なことは聞いてない》攻撃か? 「バカ娘、そうじゃない。死を回避する方法はないんだ」 そうだ、そういう設定だろ。 「人間いつかは死ぬわよ!」 一般論!! 「だからいつ死んでもいいように、今日の今この時を一生懸命生きるの! キョン、あたし何か...
  • 涼宮ハルヒのリフォーム その3
    涼宮ハルヒのリフォーム その2から  「すごい鍵束だな」 と親父さんは俺が持っているものを見て言った。 「マスター・キーってものがないんだそうです」 「扉ひとつに、ひとつずつか。よく、玄関の鍵がそれだとわかるな」 「ええ、これひとつだけ飾りが付いていて。残りの扉は、面倒なんで、昨日来た時に鍵は開けておきました」 「ふーん」  洋館内部の実測と点検は、てきぱきと進められた。  部屋の内側の形と面積を知るのが主な目的だったが、親父さんが指示を出し、巻き尺の端を持って俺を走らせる。軽口も冗談も休まないが、親父さんは判断が速くて正確で、たとえ間違っても「ああ、やっちまった」と認めるのも修正するのも躊躇がない。おかげで作業は驚くほど速く、それに気持ちよく進んだ。  親父さんは、俺が走る間にも、壁を叩いたり、床を蹴ったりしつつ、建物本体の具合をチェックしているみたいだっ...
  • 涼宮ハルヒのリフォーム その1
    ハルキョン家を探す その5から  「あたしたち、幽霊屋敷に住むわ。SOS団のみんなも一緒よ!」  いやハルヒ、『前回までのあらすじ』を強引に一言で言ってしまえば、確かにそういう風にもまとめられるかもしれないが、それだと誰も安心も納得もできないぞ。  俺は、例の不動産屋の店主との出会いのいきさつから、ついさっき訪れた古い洋館のだいたいの部屋数まで、差し障りのなさそうな部分をかいつまんで話したが、それでも主賓クラスのスピーチの長さになってしまった。ハルヒの親父さんが「ジー・ジェイ」とかなんとか言ってた気がするが。  頃は合格発表の晩、ところは涼宮オヤジの縁が深い、俺とハルヒも再開店1周年の際に訪れたことのある洋館風のレストラン、主催俺の家アンド涼宮家、協賛SOS団と愉快な仲間たちでもって開催された「ハルキョン超合格宿がパーティ」(誰だタイトル考えた奴?)は、ハルヒと俺に...
  • 涼宮ハルヒのリフォーム その4
    涼宮ハルヒのリフォーム その3から リフォーム4  涼宮夫妻合作のツナキャベツ・サンドを食べ終えた後も、ハルヒと俺は、ひなたぼっこともおしゃべりともつかぬ何かをしつつ、庭の隅にあったベンチに腰かけていた。  ハルヒが会話を切って横を向き、俺もハルヒの顔から視線を外してそっちを見ると、気配を消してきた親父さんがすぐそこまで来ていた。 「おまえら、ほんとに仲良いな。離れ離れになったら、ダメダメになっちまうんじゃないか?」 「なるわけないでしょ」  いつものオヤジ・トークだ。声にもからかいの色が乗ってるし、口元もニヤリとしてる。ハルヒが適当に受け流して、それでいつものように終わるものだと思っていた。  ところが、今日に限って、親父さんは食い下がった。多分、ハルヒの返事の些細な違い、たとえば「おおきなお世話よ」と無視を決めこむのか、それとも今日のように明確な否定を...
  • そのとき親父書きは何を思ったか(その1)?
    みじかいやつ(1シーン、会話もの)の場合 (→このあたりの作品)  親父書きの場合、だいたい台詞の数行から十数行が最初に頭に浮かびます。  それで完成すれば言うことはないのですが、さて、そこからオチに持っていくのが一苦労かといえば、会話だし、適当なところで切ってやればいいや、とお気楽な考えを抱いているので、なんというか適当です。  読んでいて楽しいように、もといつらすぎないように、適度なくすぐりやボケを入れようとは思いますが、そこは親父さん、ほっといても何かやらかしてくれます。  むしろ親父さんなりハルヒなりが突っ走りすぎないように、それだけを考え祈っているような気がします。最終手段は、ジョーカーたる母さんの登場&とどめ、ですが。  ただ最初に思いついたときの、会話する二人の間で共有される空気みたいなのが、伝わればいいなと、そちらが一番意を尽くすところで...
  • 親父とRPG その3
    親父とRPG その2から ひゅーーどかん! 「誰!? 今、モンスターに、ロケット・ランチャーぶっ放した奴!?」 「おれだ、遅くなったな」 「親父さん!」 「首のつながったキョンと、そこにぶら下がってるバカ娘が見えるぞ。どうやら間に合ったらしいな」 「こっちは、足でリセットボタンを押したい気分よ!」 「ハルヒ、考えても見ろ、この人を敵に回すのと、味方の後ろでヤジらせるのと、どっちが心臓に悪い?」 「地獄の最下層コキュートス(嘆きの川)で氷漬けにするか、アトラスに代わってジブラルタル海峡のところで天空を担がせ支えさせるか、って選択肢はないの?」 「なんだかんだ言って愛されてるな、キョン」 「いや、親父さんが単にものすごく嫌われてるという話じゃないかと」 「敵にこれだけ囲まれても、その余裕、さすがはハルキョンだ」 「え、なんだ!? 中盤の山場とは言え、あのモンスタ...
  • ハルキョン家を探す その2
     涼宮家の魅惑の夕食が終わり(今夜は和食、とっても大変そうな懐石風だった)、ハルヒがガリガリ引いたばかりの豆で入れたコーヒーを飲み、今度は俺たちがなんだか皿の上に乗せられているような心持ちだった。人生で起こることは、すべて皿の上でも起こる、と言ったのはだれだったか。 「うん、おもしろい」  ハルヒの親父さんが発した一声はこれだった。 「ひさびさに早く帰って来たら、夕食は魅惑の懐石料理で、その上願ってもないスペシャル・ゲストがいて、バカ娘までしおらしい、と来る。俺は今日のを最後の晩餐にしてもいいくらいの心持ちだよ、母さん」 「なんですか、お父さん」 「キョン君のふとんを敷いてやってくれ。今日は寝ずに語り明かそうな、なっ、キョン君」 「すみません。その前に、お話が」 「おお、何だろう? 俺の向かいにはキョン君がいて、その左隣にはうちのバカ娘。母さんはどこにすわるんだ?...
  • 親父抜きの大晦日その後^2
    親父抜きの大晦日その後から  「お、キョンか?雪だるまになったそうだな。悪いことをした。ノートパソコン? ああ、構わん。好きなのを使ってくれ。別に、MIKURUフォルダもHARUHIフォルダもないから、遠慮するな。あと、悪いことは言わん、NAGATOフォルダには手を付けるなよ。冗談だ」  おれは悪質な冗談を華麗にスルーし、借りうけたノートパソコンをキッチンに持ちこんだ。 「親父、OKしたの?」 「ああ、本を貸してくれ」  親父さんが断るとは全く思わなかったが、これくらいはOKしてもらわないと雪だるまが夢まくらに立つと思うぞ。  おれはネットで検索し、この小さな「フランス料理のバイブル」が、1902年にオーギュスト・エスコフィエが書いた、料理人の大きなバイブルである「Le guide culinaire ル・ギッド・キュリネール(料理の手引き)」という本を、弟子の二人が覚...
  • 朝食の情景
    オヤジ よう、キョン。早いな。 キョン あ、親父さん。おはようございます。 オヤジ なんか、おまえがうちで朝飯食ってても、不思議ともなんとも思わなくなったな。 ハルヒ 何がどう不思議なのよ? オヤジ おまえには父親の気持ちなんぞ一生分からん。 ハルヒ 当たり前でしょ! って、キョン、あんた何、胸に手をあてて考えてんの? オヤジ 朝食後のスピーチか? どうせなら聖書に手を置いてやれ。 ハルヒ つっこみどころが多過ぎて、一行に収まんないでしょ! 母さん ハル、ご飯食べて行くんでしょ。すわったら? ハルヒ ……はーい。……親父、覚えてなさい! オヤジ おれが何かしたか? ……キョン、真剣に答えなくていいぞ。 ハルヒ 母さん、おかわり! オヤジ おまえは芸人か!? もっと味わって食え。 ハルヒ 事は一刻を争うの! 一秒一秒を真剣に生きてたら、そんな悠長なこと言ってられないわ! オヤジ ずーっと、ふ...
  • デカンショ
    天抜きの日から 親父 おう、キョン。小腹がすかねえか? キョン そうですね。 親父 蕎麦くらいなら入るだろ。いつものとこ、寄っていこうぜ。 キョン この後、もうひとつ相手先とのミーティングがありますから、ビールはなしですよ。 親父 ちぇっ。雑用係というより風紀委員だな。 キョン 雑用係でも止めますよ。涼宮の人間は酒癖悪いといったのは、親父さんですよ。 親父 でも、ハルヒみたいにおぶって帰ってはくれんわな。 キョン あれは、あいつ限定です。 親父 やれやれ。さあ、着いた。なに、頼む? キョン じゃ、天ざるで。 親父 頼むもんまで同じかよ、このバカップルめ。悔しいから、おれも同じのだ。 キョン そういや、ハルヒと食事してて、「天抜き」でスノッブの話をした、と言ってました。 親父 スノッブな。訳せば「俗物」、いまじゃ完全に悪口だが、た...
  • 化粧
    「キョン、今のメイクは、目元ぱっちりが基本だ。くちびるも眉も薄い淡い色をつかって、マスカラは2つ高いのにしろ」 「いや、貴重な情報なんですが、役立てる術がなくて。だいたい、あいつはあんまり化粧とかしないし」 「だ・か・ら、おまえに言ってるんだ」 「いや、だったら、なおさら、おれなんかが言っても……。いつも不思議に思うんですが、どこでそういう情報を仕入れて来るんですか?」 「これはという美容部員を見つけたらお茶か食事に誘う。簡単だ。季節が変わる毎にやってるから、更新も怠りない」 「……谷口がナンパを習いに行ってると聞きましたが、本当でしたか」 「ああ、バカだが根性のある奴だ」 「……お母さんも、化粧っ気ないですよね?」 「母さんはいいんだ」 「親父さん」 「お、キョン、反論か? 受けて立つぞ」 「……うちにも妹がいるから分かりますが、基本的に女の子は母親の化粧品を悪戯す...
  • できちゃった その6(最終回)
    できちゃった その5から 1:  「嫁が臨月だってのに、ダンナを海外に引っ張ってくバカがどこにいんのよ!」 「しかも、それが妊婦の親父だった日には、笑うしかないな」 「笑い事じゃない!! あんた、初孫のことどう思ってんの?」 「目に入れるほど可愛い。だが、おまえのデカ腹ごとじゃどうせ入らん。頑張れ、ハルヒ」 「このクソ親父! そんなにデカくないんだからね!」 「前にも言ったが、いい男は待つってことを知ってるんだ」 「で、肝心のキョンはどこ?」 「あいつ、残業。いい奴だよな」 「母さん、こいつ、やっちゃっていい? 2プラス、1マイナスでおつりがくるわ」 「お父さん……」 「といってもな。何故だか先方がキョンを気に入ってる。キョンもやる気になってる。なんだかサラリーマンみたいだろ、高校生バイトなのに。少々うますぎる話なんでな、俺もついてくつもりなんだが」 「当...
  • ロール・プレイング その5
    ロール・プレイング その4から 兵士A キョン、とか言ったな。 キョン あ、はい。 兵士B 我々が口を出す筋合いではないが。 兵士A しかし命を助けてもらったのは事実だ。だからこそ聞いておきたい。 兵士B あの者、おまえが「親父」と呼んでいた人物、信用できるのか? 兵士A あいつに着いて行って大丈夫なのか、という話だ。 キョン はあ。その質問に答えるのは、一生かかりそうと言うか……。 兵士B ぬるい! そんな悠長な事で大丈夫なのか? 兵士A 突き落とされたから言うのでは無いが、あの者、悪とは言い切れぬにせよ、普通じゃないぞ! キョン ああ、それは、確かに、……認めます。 兵士B あいつに何か弱みでも握られてるのか? キョン うーん、完全に間違っている訳ではない気がするけど……。 兵士A どっちなんだ!? キョン いや、「握られてる」のとは違います。……おれたちは、人を捜しに来ま...
  • できちゃった その5
    できちゃった その4から 「両親教室? 何だ、それは?」 「実質は父親教室みたいなものらしいんですが。いままで妊婦さん向けの母親教室は、どこの産婦人科でもやってたんですが、それだと父親になる側が、母親になる側と、知識にしろモチベーションにしろギャップが広がってしまうんで、両方が参加する教室を導入しているところが増えているみたいなんです。両親教室への参加が、立ち合い出産の条件になっているところも多くて」 「まあ、何も知らんバカを出産に立ち合わせても、騒ぐだけで役には立たんしな」 「あんたの場合、役に立たないどころか、追いだされたんでしょ?」 「バカ娘、それは正確とは言えん。母さんから『もう大丈夫』サインが出たんで、おとなしく退散したんだ。な、母さん」 「ええ。さすがにわたしもハルヒを生むのに集中したくって」 「ほら、見なさい。キョン、あたしたちは二の轍は踏まないで行く...
  • 家族旅行で見る夢は
     充電中の携帯が、けたたましい音を立てた。おいおい、まだ7時半だぞ。待ち合わせは10時のはずだろ。どうしたんだ、ハルヒ? 「キョン? 今そっちに親父が行ったから、早く逃げなさい! いいから、とにかく逃げて! あーもう、今からあたしもそっちに行くから!」  何あせってんだ、ハルヒの奴? そういや今、下で『あらあら、ハルヒちゃんのお父さん』っておふくろの声がしたが。誰か階段を上がってくる。って、ハルヒの親父さん、もとい、お父さん? 「ハロー、キョン君。いい朝だ。俺のことは涼宮親父と呼んでくれ」 それ、ものすごく呼びにくいです。 「パパでもいいぞ」 勘弁してください。 「いま電話があったみたいだが、ハルヒがこっちへ向かってるんだ。急いで出るぞ。逃げるんだよ、地の果てまでも。ちなみに君は人質だ。あ、ご両親には今話をしておいたから」 ほとんど数分もかかってないぞ。それと『話しておいた...
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