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長門有希の憂鬱IV 未公開シーン 四章

最終更新:

hiroki2008

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長門の後見人の部分


使われなかった別パターン
古泉の本業をハルヒに告げたものかどうか懸念している



 翌朝、俺はハルヒのニヤニヤに遭遇しないうちに古泉を捕まえて男子トイレに引っ張っていった。
「古泉、ちょっと相談があってな」
「なんなりと」
「昨日、長門と入籍した」
「婚約の間違いですか?」
「いや、入籍だ」
「まじっすか、失礼。それはまた電撃的ですね」
「大声じゃいえないんだが、住基ネットに入り込んで戸籍を書き換えた」
「なんということ、それは重大な発言ですよ。こともあろうにシステム構築会社のスタッフがハッキングだなんて」
「実は長門には正式な戸籍がなくてな。ついでだっていうんで婚姻情報も書き込んでしまった」
「そうだったんですか。長門さんらしいですね。まあ知られなければ構わないでしょう。わが国のセキュリティ事情なんてその程度のもんです」
「さっきと言ってることが違うような気もするが、今のは聞かなかったことにしてくれ」
「分かりました。それで、相談というのは?」
「入籍したはいいが、まだ婚約すら両親に話してなくてな。可及的急ぎで結婚式をやらねばならん」
「それは順序が逆というか、また急な話ですね。まあ、なんとかならないこともないでしょうが」
「それで、長門の後見人というか、親族代表を誰かに頼めないだろうか」
「ああ、それならお安い御用です。うちの機関にも長門さんのファンがおりましてね」
「そうだったのか」
「年齢的にも新川さんあたりがよろしいかと。彼も長門さんの大ファンです」
うーむ。闇の組織に長門の隠れファンがいたなんて、ちょっと不安だ。
「長門さんのお父さんの役でどうでしょう。イメージ的にぴったりだと思いますよ」
「そうだな。新川さんに頼もう」
「承知しました。打診しておきます」
「それからな、これは無理なら断ってもいいんだが」
「水臭いですよ。なんでも言ってください」
「式場がな、図書館がいいと思うんだ」
「中央図書館ですか。面白い試みですね」
「休館日に場所を借りれないかと思ってはいるんだが、どうだろう」
「ほかでもないあなたと長門さんの頼みです。なんとかしますよ」
「無理言ってすまんな」
「こういうことにかけては、うちの機関はお安い御用です」
なんだかSOS団御用達の便利屋稼業をやらせてしまってる気がするが。スマン幹部、そのうち埋め合わせはする。気が向いたらな。
「それにしても、あなたがよもや長門さんと結婚されることになるとは。正直驚きました」
「高三の頃から付き合ってたのは知ってるだろう」
「僕が言うのは、宇宙人製アンドロイドと婚姻関係を結ぶということがです」
「俺にとっちゃあいつの素性がなんだろうが関係ないんだ」
「さすがですね。ときに、長門さんのどこがよかったんですか」
「なんというかな。ハルヒはひとりででも勝手に暴走していられるだけのエネルギーがあるが、長門には、ひとりにしてはおけないと思わせるものがあるんだよな」
「長門さんには強力なバックボーンがあるじゃないですか」
「そりゃあ長門には何度も窮地を助けてもらった。だが、完璧を期しているはずのアンドロイドがだ、感情を処理できなくて暴走したり、人間的な自我に目覚めたりで、誰かがフォローしてやらないといけない。お前はそうは思わないか?」
「なるほど。もしかしたら、それは彼女の計算の上でのことかもしれませんよ……」
そうなのか……。少し不安になってきた。
「冗談ですよ。彼女はあなたが好きなんです。それは僕にもずっと前から分かっていました」
「どれくらい前から?」
「例の、暴走したときでしょうか。あれはどう考えてもあなたへの熱いメッセージですよ」
やっぱりそうか。俺は少しだけ考え、思い直して言った。
「もしあいつが計算の上でやったとしても、俺は長門と一緒にいるほうが、自分が必要とされていることを感じていられる」
「あなたが言うと実に真に迫ってますね。さすがです」
「お前のほうはどうなんだ?ハルヒとはうまくいってるのか。あれから浮いた話すら聞かないが」
「僕たちは幸せそのものですよ。ですが、ひとつだけ気がかりなことがありまして」
「なんだ、ハルヒに初恋の相手でも現れたのか」
「いいえ、そんなことではなくて。僕の本業のことを話したものかどうか迷っているんです」
「それは懸念材料だな」
前にバレたときは自ら記憶を消しちまってるからな。
「確かにこのところ、閉鎖空間の出現は減少傾向にあります。このまま消えてしまうのかもしれません」
それは前にも何度もあったし、そのたびにパワー上昇して俺たちは慌てふためいたんじゃなかったか。
「長期的に見ればそれもありですが、僕が先回りして閉鎖空間発生のきっかけを解消しているために減少しているものと見受けられます」
「ということは、このままいくとハルヒの能力がなくなっちまうってことか」
「その懸念もあります。いえ、むしろ喜ばしいことかもしれませんが」
そうなると、機関は解体、古泉は本業を失うことになるな。ハルヒが呼び出した長門や朝比奈さんはいったいどうなるんだろう。
「やっぱり現状維持がいいんじゃないか」
俺は適当に自分勝手な意見を述べた。
「ええ、その辺も含めて、機関の上層部では揉めに揉めています。もしも、涼宮ハルヒがただの人になったら我々の存在意義はどうなるんだ、と」
ハルヒがただの人になっちまったら世界は安定し時空震も情報フレアもタイムパラドックスも起らないだろう。だが俺はハルヒのパワーが自然消滅なんて、しないほうに賭けるね。だってそのほうが面白いからな。

長門の後見人の部分


誤算の執筆より前に書かれた部分
古泉がハルヒと付き合うことになったので修正



「もしあいつが計算の上でやったとしても、俺は長門と一緒にいるほうが、自分が必要とされていることを感じていられる」
「さすがあなたですね」
「お前のほうはどうなんだ?お前自身の色恋沙汰はいっこうに耳にすることがないが」
「僕ですか。僕にはバイトがありますから。それを分かってくれる人でないと無理でしょうね。より良き理解者は、まだ当分現れそうにありません」
余裕かましてるよ、こいつは。


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