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長門有希の憂鬱IV メイキングオブ

最終更新:

hiroki2008

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長門有希の憂鬱IVメイキングオブ


連載中にSNSで書かれていたネタバレ日記に加筆したもの

構成について

 プロットを書き始めたのは2007年の4月17日になっている。前にも書いたがあの頃ちょうど消失と微笑を読んでいて爆発的に生まれたのがこの6部作である。長門有希の憂鬱Ⅰを書き終えたあたりで続きを書くエネルギーを失い、kiseki氏に手伝ってもらうことになった。プロット自体は経営のものより前に書かれたのでネタが前後してる部分もある。
 発案のきっかけは、憂鬱Ⅰを書いていた頃に長門のウエディングシーンを書いてやりたいと考えていて生まれたもの。最初はハルヒの校庭落書き事件からちょうど10年後という設定だったのだが、そのタイミングは誤算に譲ってここでは24才9月という設定に変わった。

時系列的には:
 涼宮ハルヒの経営Ⅱ(執筆中)
 古泉一樹の誤算
 涼宮ハルヒの経営Ⅲ(執筆中)
 長門有希の憂鬱Ⅳ←イマココ

 テーマとしては長門の持つ見えない情熱とかやさしさだった。経営の枝を取り込んでからハルヒのほうが目立ってしまいうまく表現できているかどうか自信がない。スレで後半にも長門の感情表現が欲しかったという感想があったが、確かに後半は挙式と披露宴で駆け足展開なのでそのように感じられる部分もある。長門とハルヒのそれぞれの視点でキョンという存在について考察させたかったのだが、挙式の前日の会話のみにとどまっている。ハルヒが長門のことをどう見ていたかというところにも少し触れている。

 全体としては憂鬱Ⅲのような地味な展開で、ドタバタといえば長門の身元捏造に奔走するキョンってところだろうか。このプロットはどちらかといえば80K程度の短編向けだったのだが、それだけでは物足りないということになって3章の消失長門の部分を追加した。文章量的には257Kbyteで原作消失や微笑と同じくらいある。

プロローグ(7.6Kbyte)

 この部分は本編がほとんど書きあがってから追加された。
 長門に似合う車ってどんなのだろうかとずっと考えていて、路上で黄色いニュービートルを見かけてそれに決めた。カタログ取り寄せたんだが新車で300万くらいするらしい。どこここ氏に無理を言って車内のアングルで描いてもらった。
 最初のプロットでは確か8月ごろの予定だった。経営ⅡとⅢと誤算の舞台が夏に集中していてやむなく9月ということにしたのだが、筆が進まず締め切りに間に合わないで9月になったという説もある。前作がしょっぱなから波乱含みだったので今回は落ち着いたスタートである。

一 章(28.9Kbyte)

 冒頭の長門と携帯で会話する部分は、エリザベスタウンという映画のワンシーンにヒント得て断片として書かれ。どこに挿入するか最後まで決まっていなかった。これ以降は時系列上、展開が詰まっており挿入する場所がなかった。プロローグが書かれてからここに配置した。冒頭の段落でCEOの話なんかが出ているが経営ⅡとⅢのネタバレである。
 同窓会の案内の部分で、誤算のときの歴史改変のフォローが入っている。このプロットは誤算より前に書かれたのでこれが必要になった。同窓会はほかに2パターンあり、歴史改変の影響による内容チェックは頭痛の種だった。

二 章(38.6Kbyte)

 中河の扱いは微妙である。ヒトメボレLOVERSの中河の人格の再現もさることながら、悪役なのか味方なのかどっちに徹するのか曖昧で言動には慎重を極めた。ハルヒSSは敵対関係を作るとうまい具合にドタバタ展開になるのだが、今回はそういう話ではないのでキョンを動揺させて結婚まで持ち込むために中河を駒として使うということに落ち着いた。の、はずなのだがハルヒ的展開もプロット時点では存在していて、詳しくは三章で後述する。
 朝比奈みちるAIは以前にも使わせてもらった、◆eHA9wZFEww氏の涼宮ハルヒシミュレータが原型(ごめん今回は断ってなかった。ちょっと謝ってくる)。
 買収ネタはnomadが一時期株に凝っていたことがあって、ネタとして使った。起業のときのネタなんかもそこから着想を得ているが、専門用語を使うときはキョンにあらかじめ説明書きさせるなどして、なるべくには避けた。
 キョンの動揺→中河の買収→長門の意思表示という流れは前後関係がシビアだった。どっちかといえばキョンの内面かキョン視点の定点で展開していて、たぶんうまく繋がっているとは思うのだが、繋がりがスムーズにいかないときもあるのはプロットベースのアウトラインで書いているための欠点でもある。

三 章(40.5Kbyte)

 消失長門の部分には朝倉を出す予定もあって未公開シーンに含まれている。上書きされた二度目のループ以降の朝倉の扱いが難しかったのと、向こうの世界の中河の存在が霞んでしまうことを懸念して結局書かれなかった。
 喜緑さんの説明が固すぎるのはシリーズを通して見られる描写で、喜緑さんの会話が前置きがないというのはオリジナルの設定でもあり、ちょっと反省している。

 シリーズ全体に流れるテーマとして平行世界があるのだが、実は分裂のように話全体を二重化する予定もあった。ハルヒが中河テクノロジーにTOBをかけるネタはその流れなのだが、プロットデータの消失長門の部分に、AパートBパートとあるのがそれである。二重化を考えていた理由は、プリン向けにハルヒメイン展開の話と、TFEIスレ向けに長門メインの展開をそれぞれ用意しようかと思いついたところにある。
 別のパートはみくるが16歳12月18日へタイムトラベルするという展開だった。その場合の消失長門の時空は“部分的に切り離された時間”ということになっていて、18日にはじまって22日に時間が停止するという話になっている。時間に限界点の概念を与えて空間と同じに扱った。
 公開用プロットには書かれていないが、別のパートではキョンと長門をくっつけたのは未来からの干渉だった。背後で動いていたのは無論未来のハルヒなのだが、駒として動かされていたのが中河ということになっている。プロローグとエピローグでは中河が未来のハルヒに作戦指令を受けるシーンと遂行を報告するシーンがあった。某コナミ製ゲームの影響である。
 力尽きて二重化まではできなかった。いつかトライしてみたい。

四 章(36.1Kbyte)

 プロポーズの部分は断片としてスレに貼っている。もうすこし濃いシーンにしてもよかったのだが、キョンが自ら言っているとおり、これがまあ奥手の二人にはお似合いかってところで落ち着いた。長門の結婚願望をもっと前面に押し出してもよかったかもしれない。
 長門の後見人は、最初は新川と森にタッグを組ませる予定だったのだが、喜緑さんの立ち位置が非常に曖昧になってしまってやむなく森を降ろした。従姉妹役として用意してたんだがごめん森園生、そのうち主役で書く。
 どうしてもオリキャラを出さざるを得ない状況では、すでに登場しているレギュラーの誰かに似せて表現する手法をいつも取る。キョンの両親もハルヒと長門に似せて作ったのだが、作者の中でハルヒはキョンの姉のような存在としてイメージしているので、ここでも母親役になった。

五 章(30.4Kbyte)

 前述にあるとおり、新川と森で親子とする予定だったのだが変更された。喜緑さんに依頼するシーンはだいぶ後になって書かれたもの。
 正式な結納ではすべて仲人が結納品を取り扱い、新郎新婦が顔を合わせることはない。最近は仲人を省略して新郎の親が挨拶込みでする結納が多いらしい。

六 章(35.4Kbyte)

 ハルヒと長門の見えざる関係というテーマがずっと謎のままだったので敢えて扱ってみた。原作にも直接的な表現は多くないと思う。ハルヒが長門をどう思っていたか、キョンの存在をどう捉えているか言わせたかったのだが、もう少し突っ込んだ会話にしてもよかったかもしれない。深くは後日扱う予定にしている。
 図書館を式場にする案は最初からあった。古泉とキョンの会話の断片をスレに貼ったこともある。部屋の中の描写は実際の間取りを参考にしている。西と東を間違えたりして書き直した。


 古泉が言っているローエングリンの話は資料を漁っていて偶然見つけた一致。こういうピタリとはまるパズルのピースには感動すら覚える。
 キョンの閉鎖空間はピンポンという映画でクライマックスにそういうシーンがあり、そこで着想を得た。もう少し細かい情景描写があってもよかったかもしれない。

七 章(40.5Kbyte)

 この章はほかの章とは展開もスピードも異なり、独立したプロットが用意された。開始時間が5時になったのはエピローグで花火を見せるためで、最初は午後一くらいからになっていた。
 羽織袴の部分は描写が難しくて、読者にはいまいちイメージとして伝わっていないかもしれない。どうやって着付けをするのかは写真を見ないと分かりづらい。
 披露宴のために結婚雑誌を何冊か読んだのだが、ケーキカットはそこでヒントを得た。風船の中にくじを入れて割るという、かつてのSOS団バレンタインデーイベントを髣髴とさせるシーンも考えていたのだが、結局は使わなかった。
 中河のスピーチは、最初はノーマルなスーツを着て登場していたのだが、二章を推敲しているときにピエロという表現を使ったのに目をつけ、いっそのことピエロコスプレをさせてしまえということになった。ピエロ姿で書き直したところ披露宴会場の雰囲気がガラリと変わってしまい、道化師の雰囲気を動かす力に正直驚いている。
 ハルヒの無限時間ループはエンディングの三姉妹ダンスのシーンが書かれてから追加された。せっかくなのでキョンにもいつものフォロー役を持たせようという狙い。実はここですっぱりと終わるか、後日談に繋ぐために別の終わり方をするかずいぶん迷った。三姉妹ダンスできれいに終わるべきだと考えてこの形になった。
 エピローグには朝倉と消失長門の雰囲気を入れたのだが、どうもすっきり収まらずに心残りである。花火のシーンは8月中旬に現れるペルセウス座流星群を使いたかったのだが、脱稿が間に合わなくてこれも心残りとなった。

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