ジュルノ=ジュバァーナ・Ⅵ
「もし――オレがァ 戦場で死んだならァ、
オレの墓に 名前はいらねェ。
ただ一人の男が生き……、
戦い、死んでいったとォ、刻んで欲しいだけさァ」
オレの墓に 名前はいらねェ。
ただ一人の男が生き……、
戦い、死んでいったとォ、刻んで欲しいだけさァ」
「父上。よく歌ってるけど、それ何なの?」
「勇気の出るおまじないさ。
傭兵部隊に行って、こいつを知らない者はいない」
傭兵部隊に行って、こいつを知らない者はいない」
「オレも覚えたい!」
「ジュルノはまだ早い。
ライフルのひとつもキマる年頃になったら教えてやる」
ライフルのひとつもキマる年頃になったら教えてやる」
「つまんないの!
じゃあ月岡教えてよ!」
じゃあ月岡教えてよ!」
「親父が駄目ということを、オレがよしとは云えねえな。
頑張って銃弾を運べ、伝令に駆け回れ。
これは戦うより危険な仕事だ。
ジュリオだって、きっとその度胸を認めてくれるさ」
頑張って銃弾を運べ、伝令に駆け回れ。
これは戦うより危険な仕事だ。
ジュリオだって、きっとその度胸を認めてくれるさ」
「そうかなあ……」
「そうさ」
今にも砲弾に潰されそうな浅い塹壕がこの談笑の舞台だった。
ジュルノが戦場に飛び込んで、ちょうど3ヶ月経つ日の出来事。
ジュルノが戦場に飛び込んで、ちょうど3ヶ月経つ日の出来事。