状況は変わらず最悪だった。
事務所の近況はしれず。
相変わらず手がかりも無し。
相変わらず手がかりも無し。
犯行予告を知っているのは僕だけで、頼れるのは妹のみ。
「詰んでるなんてものじゃないな」
容疑者は10人。
動機だけで目星をつけるなら警察の連中は外れるだろうか。
そもそも犯人の候補に警察を持ってこられると、それだけで難易度が上昇するのだけど。
動機だけで目星をつけるなら警察の連中は外れるだろうか。
そもそも犯人の候補に警察を持ってこられると、それだけで難易度が上昇するのだけど。
「……面倒くさいなぁ」
第一、発生もしていない事件の推理をするなんて、探偵の領分じゃないだろう。
ミステリの探偵ってさ、殺人事件が起きてから動くんだよ。
実際、事件が起きてからの推理なら、僕にも自信はあるんだ。
だけど……
ミステリの探偵ってさ、殺人事件が起きてから動くんだよ。
実際、事件が起きてからの推理なら、僕にも自信はあるんだ。
だけど……
「それは、結局あの女の目論見を止められなかった事になる。…それは、面白くない」
たとえどんな結果で有れ、あの女の掌の上で踊るのは御免だ。
少なくともひと泡吹かせてはやりたい。
少なくともひと泡吹かせてはやりたい。
考えろ。
あいつの目的はなんだ?
本当に婚約者を殺す事なのか?
だとしたらその手段は?凶器は?共犯者は?
本当に婚約者を殺す事なのか?
だとしたらその手段は?凶器は?共犯者は?
…………
あの女、萌葱が唯一使える能力は「遠視」。
「視る」……能力。
「視る」……能力。
…………まさか、そんなに単純な事だろうか?
いや、有り得るのか?
いや、有り得るのか?
僕は携帯電話を手に取り、メールボックスを開く。
流石のセブンも、メールに気付かないほどは馬鹿じゃあない、と思いたい。
メールの内容は暗号文…あの女に気取られる事も無いだろう。
流石のセブンも、メールに気付かないほどは馬鹿じゃあない、と思いたい。
メールの内容は暗号文…あの女に気取られる事も無いだろう。
「アシュリー、日が落ちかけてる。今日は部屋を貸してもらえるそうだし、もう休もう」
「えっ…でも、良いの?健吾さんから目を離しているうちに殺されちゃうかもしれないよ?」
戸惑う妹の視線を背に、僕は宛がわれた部屋に向かうことにした。